(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138455
(43)【公開日】2024-10-08
(54)【発明の名称】基板搬送装置及び基板位置ずれ測定方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20241001BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024111738
(22)【出願日】2024-07-11
(62)【分割の表示】P 2022500224の分割
【原出願日】2020-10-07
(31)【優先権主張番号】16/789,814
(32)【優先日】2020-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】517340611
【氏名又は名称】カワサキロボティクス(ユーエスエー),インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 雅也
(72)【発明者】
【氏名】バロアニー, アビッシュ アショック
(72)【発明者】
【氏名】ゼン, ミン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイパラン, サイモン
(72)【発明者】
【氏名】中原 一
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コンパクトな基板搬送装置及び基板位置ずれ測定方法を提供する。
【解決手段】チャンバ3及び搬送チャンバを備える板処理設備100において、搬送チャンバの搬送室に設置されている基板搬送装置1は、基板Wを保持するハンド12と、ハンド12を移動させるアーム11とを備えるロボット10と、ハンド12の移動経路を設定し、ハンド12が移動経路上を目標位置に向かって移動するようにアーム11を制御するロボット制御装置15と、所定の確認位置に位置するハンド12に保持された基板Wを撮影可能に配置されているカメラ6と、を備え、ロボット制御装置15は、確認位置を通るように移動経路を設定し、ハンド12が確認位置に位置したときにカメラ6が撮影した画像を取得し、画像に写されている基板Wと所定の環境との距離を算出し、距離に基づいて基板Wの基準位置からの位置ずれ量を算出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板搬送装置であって、
基板を保持するハンドと、前記ハンドを移動させるアームとを備えるロボットと、
前記ハンドの移動経路を設定し、前記ハンドが前記移動経路上を目標位置に向かって移動するように前記アームを制御するロボット制御装置と、
前記基板搬送装置及び前記基板を取り巻く所定の環境と、所定の確認位置に位置する前記ハンドに保持された前記基板とを撮影可能に配置されているカメラと、を備え、
前記ロボット制御装置は、前記確認位置を通るように前記移動経路を設定し、前記ハンドが前記確認位置に位置したときに前記カメラが撮影した画像を取得し、前記画像に写されている前記基板と前記所定の環境との距離を算出し、前記距離に基づいて前記基板の基準位置からの前記基板の径方向への位置ずれ量を算出し、
前記環境は、前記移動経路上を移動する前記基板が通過する基板処理設備のゲートの開口周縁である、基板搬送装置。
【請求項2】
前記ロボット制御装置は、前記位置ずれ量に基づいて前記目標位置を補正する、請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記ハンドは、前記基準位置からの位置ずれ方向への位置ずれを許容し、
前記ロボット制御装置は、前記画像に写されている前記位置ずれ方向における前記基板の一対の端部と前記環境との一対の間隙の寸法に基づいて、前記基板の前記基準位置からの位置ずれ量を算出する、請求項1又は2に記載の基板搬送装置。
【請求項4】
前記基準位置は、前記確認位置において、一対の間隙の寸法が互いに等しくなる位置である、請求項3に記載の基板搬送装置。
【請求項5】
所定の確認位置を通るように移動経路を設定し、
基板を保持する基板搬送装置のハンドであって、前記移動経路上を移動するハンドが前記確認位置に位置したときにカメラが撮影した画像を取得し、
前記画像に写されている前記基板と前記移動経路上を移動する前記基板が通過する基板処理設備のゲートの開口周縁との距離を算出し、
前記距離に基づいて前記基板の基準位置からの前記基板の径方向への位置ずれ量を算出する、基板位置ずれ測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板搬送装置及び基板位置ずれ測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から基板の自動位置合せ装置が知られている。例えば特許文献1の基板の自動位置合せ装置は、2つのセンサーと2つの光源と基板を搬送する搬送チャックとを備えている。センサーと光源は、基板を挟んで上下に、且つ基板の搬送方向に関して対称となる位置で、基板の周縁部が2つのセンサーと光源間を横切るように設置されている。そして、搬送チャックが基板を吸引止着して移動させ、2つのセンサが遮光されたときのセンサー出力に基づいて基板の中心位置を算出し、その上で基板の基準点座標からのずれ量を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特開昭63-94653号公報に記載の自動位置合せ装置は、位置ずれ量を算出するにあたり、基板を搬送方向に向けて一直線に大きく動かす必要があり、装置が大型化しやすいという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明のある態様に係る基板搬送装置は、基板を保持するハンドと、前記ハンドを移動させるアームとを備えるロボットと、前記ハンドの移動経路を設定し、前記ハンドが前記移動経路上を目標位置に向かって移動するように前記アームを制御するロボット制御装置と、所定の確認位置に位置する前記ハンドに保持された前記基板を撮影可能に配置されているカメラと、を備え、前記ロボット制御装置は、前記確認位置を通るように前記移動経路を設定し、前記ハンドが前記確認位置に位置したときに前記カメラが撮影した画像を取得し、前記画像に写されている前記基板と所定の環境との距離を算出し、前記距離に基づいて前記基板の基準位置からの位置ずれ量を算出する。
【0006】
この構成によれば、確認位置において基板の位置ずれを測定することができ、基板の位置ずれを補償することができる基板搬送装置をコンパクトにすることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、基板搬送装置をコンパクトにすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係る基板搬送装置を備える基板処理設備の構成例を示す斜視図である。
【
図2】
図1の基板処理設備の構成例を示す平面図である。
【
図3】
図1の基板処理設備の動作例を示す平面図であり、ハンドが確認位置に位置する状態を示す図である。
【
図4】
図1の基板処理設備の動作例を示す図であり、確認位置に位置するハンドをカメラが撮影した画像を示す図である。
【
図5】
図1の基板処理設備の動作例を示す平面図であり、ハンドの移動経路を修正した状態を示す図である。
【
図6】
図1の基板搬送装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下では、全ての図を通じて、同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0010】
図1は、実施の形態に係る基板搬送装置1を備える基板処理設備100の構成例を示す斜視図である。
図2は、基板処理設備100の構成例を示す平面図である。
【0011】
図1及び
図2に示すように、基板処理設備100は、基板Wに熱処理、不純物導入処理、薄膜形成処理、リソグラフィー処理、洗浄処理及び平坦化処理等の各種プロセス処理を施すための設備である。本実施の形態において、基板Wは半導体ウェハでありシリコンウェハ、サファイヤ(単結晶アルミナ)ウェハ、その他の各種のウェハが例示される。なお、基板Wは、ガラス基板であってもよく、ガラスウェハとしては、例えば、FPD(Flat Panel Display)用ガラス基板、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)用ガラス基板が例示される。
【0012】
そして、基板処理設備100は、チャンバ3、及び搬送チャンバ4を備え、チャンバ3は搬送チャンバ4にゲート5を介して接続されている。搬送チャンバ4の搬送室41には基板搬送装置1が設置されている。基板Wは、FOUP(Front Opening Unified Pod)と称されるキャリア110に複数収容された状態で基板処理設備100に搬送され、搬送チャンバ4に接続される。そして、基板搬送装置1が、キャリア110に収容された基板Wを取り出し、搬送チャンバ4の搬送室41を介して、チャンバ3の部屋31の基板載置位置Ppに移送する。基板載置位置Ppには、例えば、基板Wを載置するためのステージ32が設けられている。部屋31は、例えば、基板Wに各種プロセス処理を施すための処理室、或いは、更に別のチャンバ3に基板Wを搬送するための搬送室である。そして、搬送チャンバ4からチャンバ3に搬入される基板Wは、チャンバ3の部屋31と搬送チャンバ4の搬送室41との間に設けられているゲート5の開口51を通る。ゲート5は、部屋31及び搬送室41を区画している。開口51は、部屋31及び搬送室41に向かって開口し、部屋31と搬送室41とを接続する通路である。この開口51の開口周縁52は、例えば略横長四角形に形成されており、開口51は、基板Wの径よりも大きい幅寸法を有する。また、基板載置位置Ppは、平面視において、ゲート5から部屋31の奥行き方向に延びる直線上に位置決めされている。これによって、基板Wをゲート5(具体的には後述する確認位置Px)から真っ直ぐ挿入することによって、基板Wを基板載置位置Ppに位置させることができる。
【0013】
そして、基板載置位置Ppに移送した基板Wは、チャンバ3等において、予め定める処理を施される。そして、基板搬送装置1によって、基板載置位置Ppからキャリア110に移送され、キャリア110に再度収容される。これらの過程における基板Wへのパーティクルの付着等を防ぐため、基板処理設備100は、部屋31及び搬送室41のクリーン度を高く保つための図示しない装置を含む。また、ゲート5は、チャンバ3側のクリーン度を高く保つための隔壁として機能する。
【0014】
基板搬送装置1は、基板Wを搬送する装置であり、ロボット10と、ロボット制御装置15と、カメラ6とを含む。
【0015】
ロボット10は、例えばスカラ型の水平多関節ロボットである。ロボット10は、アーム11によって、3次元的に、すなわち、互いに直交する3軸方向に移動される。ロボット10は、搬送室41に設置されている基台14と、アーム11と、ハンド12と、アーム駆動部13とを含む。
【0016】
ハンド12は、パッシブハンドであり、ブレード23と、ブレード23の基端部に連なるリスト24とを含む。ブレード23は、全体として平板状であり、アーム11によって、上面が水平を保つように保持される。そして、ブレード23は、上面に設けられた3つのパッド23aを介してその上に載置された基板Wを摩擦力によって保持する。なお、ハンド12は、パッシブハンドに限られるものではなく、基板Wをベルヌーイハンド等のワークを吸引保持する吸着ハンドや、基板Wのエッジを把持するエッジグリップハンドであってもよい。
【0017】
アーム11は、複数の関節を含む多関節構造であり、基端部が基台14と連結され、先端部がリスト24と連結されている。アーム11は、基端部から先端部に向かう方向に関節を介して順次連結される複数のリンク(昇降軸20、下アーム21、上アーム22)を備える。
【0018】
昇降軸20は、基台14に対して上下方向に移動可能に接続されている。下アーム21は、基端部が昇降軸20の上端に関節を介して上下方向に延びる回動軸線周りに回動可能に連結されている。上アーム22は、基端部が下アーム21の先端部に関節を介して上下方向に延びる回動軸線周りに回動可能に連結されている。そして、リスト24は、基端部が上アーム22の先端部に関節を介して上下方向に延びる回動軸線周りに回動可能に連結されている。
【0019】
アーム駆動部13は、下アーム21、上アーム22及びブレード23を関節において回動させてハンド12を水平方向に移動させる機構である。また、アーム駆動部13は、昇降軸20を昇降させることによってアーム11全体を上下方向に移動させ、ハンド12を上下方向に移動させる機構である。
【0020】
ロボット制御装置15は、所定の動作プログラムにしたがって、指示点Pの移動経路Tを設定する。本実施の形態において、移動経路Tは、ハンド12がキャリア110において搬送対象の基板Wを取り上げる動作を行うための経路を含み、その後、指示点Pが確認位置Pxを通り、目標位置Pyに至る経路である。指示点Pは、例えば、ブレード23の3つのパッド23aが位置する点によって規定される円の中心軸上に設定される。確認位置Pxは、例えば、開口51の中央に設定される。なお、この確認位置Pxにおいて、ハンド12は、目標位置Pyに向かって延びる姿勢をとってもよい。目標位置Pyは、基板載置位置Ppの中心に設定され、この位置において、ハンド12は、確認位置Pxにおける姿勢が維持される。そして、ロボット制御装置15は、ハンド12の指示点Pが移動経路T上を目標位置Pyに向かって移動するようにアーム11を制御する。なお、移動経路Tに係る情報には、ハンド12の位置の変位を規定する情報だけでなく、ハンド12の姿勢の変位を規定する情報も含まれる。確認位置Px及び目標位置Pyについても同様に、ハンド12の姿勢を規定する情報を含む。そして、ロボット制御装置15は、移動経路Tを修正することができるように構成されている。
【0021】
ロボット制御装置15は、例えば、それぞれ、CPU等の演算器を有する制御部と、ROM及びRAM等のメモリを有する記憶部とを備えている。制御部は、集中制御する単独の制御器で構成されていてもよく、互いに協働して分散制御する複数の制御器で構成されてもよい。記憶部には、移動経路Tを生成するプログラムが格納され、演算器が当該プログラムを実行することにより、ハンド12の位置及び姿勢を制御する。
【0022】
カメラ6は、例えば、対象物を立体的に撮像することができるステレオビデオカメラである。カメラ6は、基板Wの位置ずれを検知するために用いられる。また、カメラ6は、確認位置Pxに位置するハンド12に保持された基板Wを撮影可能に配置されている。本実施の形態において、カメラ6は、ゲート5の搬送室41側の側面の開口51の下方にあたる位置に取り付けられ、確認位置Pxに位置するハンド12に保持された基板Wと開口51とを同時に撮影することができるようになっている。そして、カメラ6は、視野に開口51の開口周縁52を含むように斜め上方に向けられている。これによって、撮影した画像Gに映り込む基板Wの表面の反射光を抑制することができ、画像処理を精確に行うことができる。また、カメラ6を基板Wの下面側に位置させることによって、基板Wの上面へのパーティクルの付着を防止することができる。そして、カメラ6が撮影した画像Gは、ロボット制御装置15に入力される。なお、カメラ6は、基板Wの位置ずれを検知する目的以外の目的にも用いられる汎用のカメラであってもよい。また、カメラ6は対象物を立体的に撮像することができるステレオビデオカメラであるので、カメラ6と基板Wとの距離を取得することができる。
【0023】
[動作例]
次に、基板搬送装置1の動作例を説明する。
【0024】
図2に示すように、まず、ロボット制御装置15は、移動経路Tを設定する。そして、ロボット制御装置15は、ハンド12がキャリア110において、搬送対象の基板Wを取り上げるようにアーム11を制御する。
【0025】
図3は、ハンド12の指示点Pが確認位置Pxに位置する状態を示す図である。
図3においては、基板Wの中心Cがブレード23の指示点Pからずれて基板Wがブレード23に載置された例を示す。
【0026】
次に、ロボット制御装置15は、基板Wを保持するハンド12の指示点Pが経由点である確認位置Pxに向けて移動経路T上を移動するようにアーム11を制御する。そして、
図3に示すように、ロボット制御装置15は、ハンド12の指示点Pが確認位置Pxに位置すると、ハンド12を一旦停止させる。
【0027】
図4は、確認位置Pxに位置するハンド12をカメラ6が撮影した画像Gを示す図である。
【0028】
次に、ロボット制御装置15は、ハンド12の指示点Pが確認位置Pxに位置している時点においてカメラ6が撮影した画像Gを取得する。そして、ロボット制御装置15は、
図4に示すように、画像Gに写されている基板Wと基板搬送装置1及び基板Wを取り巻く所定の環境との距離を算出し、この距離に基づいて基板Wの基準位置Sからの位置ずれ量Lを算出する。本実施の形態において、上記所定の環境とは、開口周縁52であり、更に具体的には、開口周縁52の上下方向に延びる左右の側縁である。ロボット制御装置15は、基板Wと隣り合って位置する開口周縁52との間隙53の寸法を算出し、間隙53の寸法に基づいて基板Wの基準位置Sからの位置ずれ量Lを算出する。なお、基板Wの位置ずれは、ハンド12の位置ずれに起因するものであってもよい。ハンド12の位置ずれは、例えば、ロボット10の繰り返し精度が低いことによって生じる。
【0029】
具体的には、ロボット制御装置15は、画像Gに写されている位置ずれ方向Dにおける基板Wの第1端部We1と開口周縁52との間隙である第1間隙53aの寸法La、及び第2端部We2と開口周縁52との間隙である第2間隙53bの寸法Lbを算出する。なお、位置ずれ方向Dとは、位置ずれ量を測定する方向であり、例えば、開口51の幅方向である。そして、第1端部We1及び第2端部We2は、基板Wの中心Cを通る位置ずれ方向Dに延びる直線Ls上の部位であってもよい。また、第1間隙53aは、直線Lsが開口周縁52を通る部位と第1端部We1との間隙であってもよい。同様に、第2間隙53bは、直線Lsが開口周縁52を通る部位と第2端部We2との間隙であってもよい。そして、位置ずれ量Lを以下の式を用いて算出する。
L=(La+Lb)/2-La
すなわち、位置ずれ量Lは、一対の間隙53a、53bの寸法が互いに等しくなる位置を基準位置Sとして、この基準位置Sから位置ずれ方向Dへの基板Wの符号付きの位置ずれ量である。このように、ロボット制御装置15は、一対の端部We1,We2と環境との一対の間隙53a、53bの寸法に基づいて、基板Wの基準位置Sからの位置ずれ量Lを算出する。
【0030】
図5は、ハンド12の指示点Pが修正確認位置Pxaに位置する状態を示す図である。
【0031】
次に、
図5に示すように、ロボット制御装置15は、位置ずれ量Lに基づいて、移動経路T及び目標位置Pyを補正する。具体的には、ロボット制御装置15は、確認位置Pxから目標位置Pyに至る移動経路Tを位置ずれ方向Dに-L移動(シフト)させた修正移動経路Taを算出する。
【0032】
次に、ロボット制御装置15は、一旦停止させていたハンド12の移動を再開し、ハンド12の指示点Pが修正移動経路Taの始点である修正確認位置Pxaに位置するように、位置ずれ方向Dに位置ずれ量L移動(シフト)させる。これによって、位置ずれ方向Dにおいて、基板Wの中心Cが確認位置Pxに一致するように基板Wの位置が補償される。
【0033】
次に、ロボット制御装置15は、ハンド12に修正移動経路Ta上を移動させ、ハンド12を修正移動経路Taの終点である修正目標位置Pyaに位置させる。なお、上述した通り、修正目標位置Pyaにおけるハンド12の姿勢は、修正確認位置Pxaにおけるハンド12の姿勢を維持した姿勢であるので、基板Wの位置ずれが再度発生することを防止することができる。
【0034】
以上の通り、基板処理設備100の基板搬送装置1は、確認位置Pxにおいて、基板Wを動かすことなく、キャリア110の移送時、基板搬送装置1による基板Wの搬送時等に起因して起こる基板Wの位置ずれや、基板搬送装置1の繰り返し精度が低いことに起因する基板Wの位置ずれ量Lを測定することができる。これによって、基板Wの位置ずれを検知することができる基板搬送装置をコンパクトにすることができる。また、基板Wの基準位置Sからの位置ずれ量Lを測定する構成を簡素化することができ、製造に有利、且つ、製造コストも安価となる。
【0035】
そして、ロボット制御装置15は、位置ずれ量Lに基づいて目標位置Pyを補正してもよい。これによって、位置ずれ方向Dにおける、基板載置位置Ppからの基板Wの位置ずれを補償することができる。
【0036】
また、ハンド12は、基準位置Sからの位置ずれ方向Dへの位置ずれを許容し、ロボット制御装置15は、画像Gに写されている位置ずれ方向Dにおける基板Wの一対の端部と環境との一対の間隙53の寸法に基づいて、基板Wの基準位置Sからの位置ずれ量Lを算出してもよい。これによって、基板Wの基準位置Sからの位置ずれ量Lを適切に測定することができる。
【0037】
更に、基準位置Sは、確認位置Pxにおいて、一対の間隙53の寸法が互いに等しくなる位置であってもよい。これによって、基板Wの基準位置Sからの位置ずれ量Lを適切に測定することができる。
【0038】
また、環境は、移動経路上を移動する基板Wが通過する基板処理設備100のゲート5の開口周縁52であってもよい。これによって、基板Wの基準位置Sからの位置ずれ量Lを適切に測定することができる。
【0039】
<変形例>
上記実施の形態においては、カメラ6はゲート5に取り付けられていたがこれに限られるものではない。これに代えて、
図6に示すように、カメラ6は、リスト24に取り付けられてもよい。
【0040】
また、上記実施の形態においては、確認位置Pxにおいてハンド12を一旦停止させて基板Wの位置ずれを測定したがこれに限られるものではない。これに代えて、ロボット制御装置15は、ハンド12を移動させながら、指示点Pが確認位置Pxを通過した時点における画像Gに基づいて位置ずれを測定してもよい。そして、ロボット制御装置15は、測定結果に基づいて、基板Wの位置ずれを基板載置位置Pp近傍で補償してもよい。
【0041】
更に、上記実施の形態においては、水平面において位置ずれ方向Dと直交する方向への基板Wの位置ずれは補償していないが、これを補償してもよい。例えば、ステレオカメラであるカメラ6が撮影した画像Gに基づいて、水平面において位置ずれ方向Dと直交する方向への基板Wの位置ずれを補償してもよい。
【0042】
また、上記実施の形態においては、間隙53の寸法に基づいて位置ずれ量Lを測定したがこれに限られるものではない。例えば、所定位置に位置させた基板Wとステージ32とが同時に画像に収まるように撮影し、この画像に映った基板Wとステージ32との位置関係に基づいて位置ずれ量Lを測定してもよい。
【0043】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。したがって、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【符号の説明】
【0044】
G 画像
L 位置ずれ量
Px 確認位置
Py 目標位置
S 基準位置
T 移動経路
W 基板
1 基板搬送装置
6 カメラ
10 ロボット
11 アーム
12 ハンド
15 ロボット制御装置
【手続補正書】
【提出日】2024-08-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板搬送装置であって、
基板を保持するハンドと、前記ハンドを移動させるアームとを備えるロボットと、
前記ハンドの移動経路を設定し、前記ハンドが前記移動経路上を目標位置に向かって移動するように前記アームを制御するロボット制御装置と、
前記ハンドの進行方向を撮影可能に前記ハンドに備えられ、所定の確認位置に位置する前記ハンドに保持された前記基板及び前記基板を取り巻く所定の環境を撮影するカメラと、を備え、
前記ロボット制御装置は、前記確認位置を通るように前記移動経路を設定し、前記ハンドが前記確認位置に位置したときに前記カメラが撮影した画像を取得し、前記画像に写されている前記基板と前記所定の環境との距離を算出し、前記距離に基づいて前記基板の基準位置からの位置ずれ量を算出する、基板搬送装置。
【請求項2】
前記カメラは、前記基板及び前記環境を立体的に撮像するステレオビデオカメラである、請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記ロボット制御装置は、前記位置ずれ量に基づいて前記目標位置を補正する、請求項1又は2に記載の基板搬送装置。
【請求項4】
前記ハンドは、前記基準位置からの位置ずれ方向への位置ずれを許容し、
前記ロボット制御装置は、前記画像に写されている前記位置ずれ方向における前記基板の一対の端部と前記環境との一対の間隙の寸法に基づいて、前記基板の前記基準位置からの位置ずれ量を算出する、請求項1乃至3の何れか1項に記載の基板搬送装置。
【請求項5】
前記基準位置は、前記確認位置において、一対の間隙の寸法が互いに等しくなる位置である、請求項4に記載の基板搬送装置。
【請求項6】
前記環境は、前記移動経路上を移動する前記基板が通過する基板処理設備のゲートの開口周縁である、請求項1乃至5の何れか1項に記載の基板搬送装置。
【請求項7】
所定の確認位置を通るように移動経路を設定し、
基板を保持する基板搬送装置のハンドであって、前記移動経路上を移動するハンドが前記確認位置に位置したときに前記ハンドの進行方向を撮影可能に前記ハンドに備えられたカメラが撮影した画像を取得し、
前記画像に写されている前記基板と前記基板を取り巻く所定の環境との距離を算出し、
前記距離に基づいて前記基板の基準位置からの位置ずれ量を算出する、基板位置ずれ測定方法。