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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013847
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】履歴処理装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20240125BHJP
   G05B 19/18 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G05B19/18 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116237
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【弁理士】
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】小川 正
【テーマコード(参考)】
3C100
3C269
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA57
3C100BB03
3C100BB13
3C269AB01
3C269BB11
3C269KK11
3C269PP04
3C269QE34
3C269QE37
(57)【要約】
【課題】設定日時が変更された場合に、設定日時を変更した後の生産システムの履歴情報をユーザが正確に認識し易い履歴処理装置を提供すること。
【解決手段】本開示の履歴処理装置は、生産システムの履歴情報を処理する履歴処理装置であって、生産システムで用いられる設定日時が変更されたか否かを判断する変更判断処理と、変更判断処理により設定日時が変更されたと判断した場合、生産システムに係わる履歴情報のうち、変更後の日時以降の履歴情報を削除する削除処理と、変更前の日時と変更後の日時の時間差分だけ、履歴情報の時間をシフトさせるシフト処理と、設定日時が変更される前に記憶されていた履歴情報の全てを削除する全削除処理と、の3つの処理のうち、少なくとも1つの処理が実行可能である。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産システムの履歴情報を処理する履歴処理装置であって、
前記生産システムで用いられる設定日時が変更されたか否かを判断する変更判断処理と、
前記変更判断処理により設定日時が変更されたと判断した場合、前記生産システムに係わる前記履歴情報のうち、変更後の日時以降の前記履歴情報を削除する削除処理と、変更前の日時と変更後の日時の時間差分だけ、前記履歴情報の時間をシフトさせるシフト処理と、設定日時が変更される前に記憶されていた前記履歴情報の全てを削除する全削除処理と、の3つの処理のうち、少なくとも1つの処理が実行可能である、履歴処理装置。
【請求項2】
前記履歴情報は、
異常の種類とその異常が発生した日時を関連付けた異常履歴データ、又は、前記生産システムにおける生産日とその生産日に生産した生産数と生産に必要であった生産時間を関連付けた生産情報データ、のうち少なくとも一方のデータを含み、
日時の順番に前記履歴情報を表示する、請求項1に記載の履歴処理装置。
【請求項3】
前記生産システムが移設されたか否かを判断する移設判断処理を、さらに実行し、
前記移設判断処理により前記生産システムが移設されたと判断し、移設されてから所定の基準時間が経過した後に、前記変更判断処理により設定日時が変更されたと判断した場合、前記削除処理、前記全削除処理を実行可能であっても、前記シフト処理を優先して実行する、請求項1又は請求項2に記載の履歴処理装置。
【請求項4】
前記生産システムは、
前記履歴処理装置と、
前記履歴処理装置と接続され、生産ラインに並んで互いに連結されて配置され、1つのワークに対して異なる作業を実行する複数の作業機モジュールと、
を備え、
前記履歴処理装置は、
前記削除処理、前記シフト処理、前記全削除処理のうち、何れか1つの処理を実行する場合、前記変更判断処理で判断した設定日時への変更と、前記何れか1つの処理を、複数の前記作業機モジュールの各々に対して実行させる、請求項1又は請求項2に記載の履歴処理装置。
【請求項5】
前記生産システムは、
管理装置と、
前記管理装置と接続され、生産ラインに並んで互いに連結されて配置され、1つのワークに対して異なる作業を実行する複数の作業機モジュールと、
を備え、
前記履歴処理装置は、
複数の前記作業機モジュールの各々に設けられ、
複数の前記作業機モジュールの各々に設けられた前記履歴処理装置のうち、何れか1つの前記履歴処理装置は、前記変更判断処理により自装置の設定日時が変更されたと判断した場合、変更後の前記設定日時を前記管理装置へ通知し、
前記管理装置は、
複数の前記作業機モジュールの各々に設けられた前記履歴処理装置に、前記削除処理、前記シフト処理、前記全削除処理のうち、何れか1つの処理を実行させる場合、通知を取得した変更後の前記設定日時への変更と、前記何れか1つの処理を、全ての前記作業機モジュールの各々の前記履歴処理装置に実行させる、請求項1又は請求項2に記載の履歴処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生産システムの設定日時の変更に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、工作機械におけるパラメータを設定するパラメータ設定装置について記載されている。パラメータ設定装置は、工作機械が移設されたことを移設検知手段により検知したときに、工作機械の移設以前にパラメータが変更されているか否かを移設後に判別する。パラメータ設定装置は、パラメータの変更箇所が少なくとも1つある場合には、この変更されたパラメータを予め記憶されている所定の初期状態へ戻している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-158974号公報(段落0006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したパラメータ設定装置は、工作機械を移設した前後において、パラメータ、具体的には、チップコンベヤの運転方法、オイル供給装置の作動方法、動作制限情報などを、初期状態にリセットする。ところで、工作機械などの生産システムの状態変化としては、移設に限らず、例えば、システムに設定された日時を変更される状態変化がある。このような設定日時の状態変化が発生した場合に、生産システムの履歴が適切に管理されないと、ユーザが履歴を誤って認識する虞がある。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、設定日時が変更された場合に、設定日時を変更した後の生産システムの履歴情報をユーザが正確に認識し易い履歴処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本明細書は、生産システムの履歴情報を処理する履歴処理装置であって、前記生産システムで用いられる設定日時が変更されたか否かを判断する変更判断処理と、前記変更判断処理により設定日時が変更されたと判断した場合、前記生産システムに係わる前記履歴情報のうち、変更後の日時以降の前記履歴情報を削除する削除処理と、変更前の日時と変更後の日時の時間差分だけ、前記履歴情報の時間をシフトさせるシフト処理と、設定日時が変更される前に記憶されていた前記履歴情報の全てを削除する全削除処理と、の3つの処理のうち、少なくとも1つの処理が実行可能である、履歴処理装置を開示する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の履歴処理装置によれば、生産システムの設定日時が変更された場合、削除処理、シフト処理、全削除処理のうち、少なくとも1つを実行する。これにより、過去の履歴情報の削除や時間の変更を実行することで、設定日時が変更された場合に、設定日時を変更した後の生産システムの履歴情報をユーザが正確に認識し易くできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施例に係わる生産システムのブロック図。
図2】工作機械の外観正面図。
図3】異常履歴データの表示画面。
図4】生産情報データの表示画面。
図5】比較例の処理を示す図。
図6】履歴情報処理のフローチャート。
図7】削除処理を示す図。
図8】全削除処理を示す図。
図9】シフト処理を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の履歴処理装置を具体化した一実施例について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施例の履歴処理装置を備える生産システム10のブロック図を示している。図1に示すように、生産システム10は、管理装置11と、工作機械12を備えている。管理装置11は、例えば、パーソナルコンピュータであり、CPU11A、記憶装置11B、ユーザIF(インタフェースの略)11C、ネットワークIF11D等を備えている。尚、管理装置11は、パーソナルコンピュータに限らず、ノートPCやタブレットなどの他の情報処理装置でも良い。
【0010】
記憶装置11Bは、例えば、RAM、ROM、ハードディスク等を組み合わせて構成されている。尚、記憶装置11Bは、上記した種類の記憶装置に限らず、フラッシュメモリやSSDなどの他の記憶装置でも良い。記憶装置11Bには、管理プログラム11Eが記憶されている。管理プログラム11Eは、例えば、工作機械12のベンダーから提供されるプログラムであり、工作機械12の管理等を実行するプログラムである。また、管理プログラム11Eには、後述する図6に示す履歴情報処理を実行するプログラムが含まれている。ユーザIF11Cは、例えば、LCDなどの表示装置、キーボードやマウスなどの入力装置を備えている。管理装置11は、ユーザIF11Cに対する操作入力に応じてCPU11Aで管理プログラム11Eを実行する。ユーザは、ユーザIF11Cを操作し、管理プログラム11Eを実行することで、工作機械12(後述する作業機モジュール22A~22I)の履歴情報の閲覧や工作機械12に対する設定(後述する履歴情報を処理するモードの変更など)を行なうことができる。また、管理装置11は、生産システム10の設定日時の変更を、ユーザIF11Cを用いて受け付ける。ここでいう生産システム10の設定日時とは、例えば、管理装置11が生産システム10の管理に用いる日時である。
【0011】
ネットワークIF11Dは、例えば、LANインタフェースであり、ネットワーク13を介して工作機械12と接続されている。ネットワーク13は、例えば、生産システム10を設置した工場内のLANである。尚、ネットワーク13は、LANに限らず、インターネットなどのWANでも良く、LANとWANを組み合わせた構成でも良い。また、ネットワークIF11Dは、有線のインタフェースに限らず、無線LANなどの無線インタフェースでも良い。
【0012】
また、管理装置11は、移設検出手段11Fを備えている。移設検出手段11Fは、生産システム10の設置場所が変更されたことを検出するのに用いられるものである。具体的には、移設検出手段11Fとしては、例えば、GPSに用いるGPSアンテナを用いることができる。尚、移設検出手段11Fを工作機械12に取り付けても良い。また、移設検出手段11Fは、GPSを用いた手段に限らない。移設検出手段11Fとしては、例えば、加速度センサを用いて、管理装置11や工作機械12が移設される際の揺れを、加速度により検出しても良い。あるいは、移設検出手段11Fとして、距離センサを用いて、管理装置11や工作機械12に設定した基準位置と設置面との距離の変化から移設を検出しても良い。また、移設検出手段11Fとして、ジャイロセンサを用いて、移設に伴う管理装置11や工作機械12の設置の向きの変化から移設を検出しても良い。また、移設検出手段11Fとして、ネットワークIF11Dを用いて、管理装置11や工作機械12が接続されるネットワーク13のIPアドレス(グローバルIPアドレス)の変化から移設を検出しても良い。
【0013】
図2は、工作機械12の外観正面図を示している。図2に示すように、工作機械12は、ベース21と、ベース21の上に配置された複数(図2では9台)の作業機モジュール22A~22Iを備えている。尚、図1は、複数の作業機モジュール22A~22Iのうち、作業機モジュール22A,22Iのみを図示し、他の作業機モジュール22B~22Hの図示を省略している。ベース21は、複数(図2では5台)のベースユニット21A~21Eを備えている。複数のベースユニット21A~21Eは、図2における左右方向に並んで配置され、互いに連結して固定されている。作業機モジュール22A~22Iは、ベースユニット21A~21Eの上に配置されている。作業機モジュール22A~22Iは、図2における左右方向に並んで配置されて互いに連結され、1つの生産ラインを構成している。複数の作業機モジュール22A~22Iの各々は、ワークに対する旋削加工、穴開け加工、フライス加工、歯切り加工、研磨、計測などの各種の作業を実行可能となっている。
【0014】
尚、工作機械12は、ワーク搬送装置(図示略)を備えている。ワーク搬送装置は、例えば、ベース21の前面を左右方向にスライド移動するスライダ装置と、作業機モジュール22A~22Iとの間でワークの受け渡しを実行する多関節ロボットを備えている。工作機械12は、ワーク搬送装置を左右方向へ移動させ、作業機モジュール22A~22Iとの間のワークの受け渡しを実行する。
【0015】
図1及び図2に示すように、作業機モジュール22A~22Iは、CPU31、記憶装置32、ユーザIF33、ネットワークIF34を備えている。記憶装置32は、例えば、RAM、ROM、ハードディスク等を組み合わせて構成されている。記憶装置32には、制御プログラム35、履歴情報36が記憶されている。作業機モジュール22A~22Iは、記憶装置32に記憶された制御プログラム35をCPU31で実行することで、上記した各種の作業(旋削加工など)を実行する。制御プログラム35には、例えば、ワークに対する加工動作を制御するNCプログラム、各種の信号を処理するラダー回路用のプログラム等が含まれている。
【0016】
また、図2に示すように、作業機モジュール22A~22Iの正面側の側壁には、ユーザIF33が取り付けられている。ユーザIF33は、例えば、タッチパネルや操作スイッチであり、そのユーザIF33を備える作業機モジュールに関する操作を受け付ける。また、ユーザIF33は、各作業機モジュール22A~22Iの現在の動作状況や設定状況等をタッチパネルに表示する。また、作業機モジュール22A~22Iは、各作業機モジュール22A~22Iの設定日時の変更を、ユーザIF33を用いて受け付ける。
【0017】
また、ネットワークIF34は、例えば、LANインタフェースであり、ネットワーク13を介して管理装置11や他の作業機モジュール22A~22Iと接続されている。作業機モジュール22A~22Iは、ネットワーク13を介して管理装置11から指令を取得し、履歴情報36の処理等を実行する。
【0018】
(履歴情報36について)
図1に示すように、作業機モジュール22A~22Iの各々の記憶装置32には、履歴情報36として、異常履歴データ37、生産情報データ38、ログデータ39が記憶されている。管理装置11は、ユーザIF11Cに対する操作入力に応じて、作業機モジュール22A~22Iの各々から履歴情報36を取得しユーザIF11C(LCDなど)に表示する。また、作業機モジュール22A~22Iの各々は、ユーザIF33に対する操作入力に応じて自装置の履歴情報36をユーザIF33に表示する。従って、作業機モジュール22A~22Iは、管理装置11と同様に、履歴情報36の表示を実行できる。以下の説明では、管理装置11によって履歴情報36を表示する方法を主に説明し、作業機モジュール22A~22Iによって表示する方法の説明を適宜省略する。
【0019】
図3は、異常履歴データ37を表示した表示画面41の一例を示している。図3に示すように、異常履歴データ37には、NO.、異常の種類、その異常が発生した日時、を互いに関連付けたデータが複数記憶されている。NO.の情報は、各異常情報を識別するための識別情報であり、例えば、異常の種類に応じた番号が設定されている(ALM10004など)。異常の種類の情報は、その異常の特徴や内容を示す情報である。作業機モジュール22A~22Iの各々は、制御プログラム35を実行し、加工動作中等に自装置で発生する異常を監視する。作業機モジュール22A~22Iは、異常の発生を検出すると、検出した異常に応じたNO.、異常の種類の情報、発生日時を関連付けて異常履歴データ37に記憶する。
【0020】
管理装置11は、例えば、管理プログラム11Eを実行している状態において、異常履歴データ37を表示する作業機モジュール22A~22Iの選択をユーザIF11Cで受け付ける。管理装置11は、選択された作業機モジュール22A~22Iから、ネットワーク13を介して異常履歴データ37を取得し、ユーザIF11Cに表示する。図3に示すように、管理装置11は、取得した異常履歴データ37について、例えば、発生日時が遅いもの(新しいもの)から順番に、表示画面41の上から下に向かって並べて表示する。管理装置11は、表示画面41の下に表示したアイコン43を操作されることで、表示画面41に表示しきれなかった古い異常履歴データ37を表示する。
【0021】
また、図4は、生産情報データ38を表示した表示画面45の一例を示している。図4に示すように、生産情報データ38には、生産日、生産数、生産時間を互いに関連付けたデータが複数記憶されている。生産日は、生産を行なった日付けである。生産数は、その生産日に生産したワークの数である。作業機モジュール22A~22Iの各々は、制御プログラム35を実行し、加工を実行したワークの数と、生産時間を計測する。例えば、作業機モジュール22A~22Iは、ワークの種類ごとに、累計の生産時間を計測する。作業機モジュール22A~22Iは、1種類のワークの生産が開始されてから終了するまでの時間を生産時間として計測する。本実施例の生産システム10では、例えば、ワークの種類を識別するために、各種のワークにワーク番号がそれぞれ設定されている。作業機モジュール22A~22Iは、段取り替え等により、任意の種類のワークの生産が終了すると、生産日、計測した累計の生産数、生産に掛かった累計の生産時間、ワーク番号を関連付けて生産情報データ38として記憶する。
【0022】
管理装置11は、異常履歴データ37と同様に、ユーザにより選択された作業機モジュール22A~22Iから生産情報データ38を取得し表示する。図4に示すように、管理装置11は、取得した生産情報データ38について、生産日が遅いもの(新しいもの)から順番に、表示画面45の上から下に向かって並べて表示する。図4に示すように、表示画面45の右下には、ワーク番号を選択するワーク番号ボタン46が表示されている。管理装置11は、例えば、ワーク番号ボタン46によって選択されたワーク番号(ワークの種類)について、生産日、生産数、生産時間を表示画面45に表示する。
【0023】
また、ログデータ39には、作業機モジュール22A~22Iの各種のログが記憶されている。作業機モジュール22A~22Iは、例えば、NCプログラムの実行履歴、PLCの動作履歴、各種のサーボモータへの動作指示、各種センサの信号などをログとして記憶する。作業機モジュール22A~22Iは、発生したログを、種類と記録日時で分類し、ログデータ39として記録する。管理装置11は、異常履歴データ37と同様に、ユーザにより選択された作業機モジュール22A~22Iからログデータ39を取得し表示する。管理装置11は、例えば、取得したログデータ39について記録日時に基づいて時系列順に並べ、ユーザから指定された条件に基づいてログデータ39の解析を実行する。管理装置11は、解析結果をユーザIF11Cに表示する。これにより、ユーザは、管理装置11の表示を確認することで、作業機モジュール22A~22Iの過去の動作状態や、異常の発生原因を確認することができる。
【0024】
尚、本開示の履歴情報36は、上記した異常履歴データ37、生産情報データ38、ログデータ39のうち、少なくとも1つのデータを含む情報でも良い。また、履歴情報36は、この3種類のデータに限らず、例えば、作業機モジュール22A~22Iを使用したユーザの履歴データでも良い。また、上記した異常履歴データ37、生産情報データ38、ログデータ39の内容や表示方法は、一例である。例えば、異常履歴データ37は、異常を検出した信号名の情報を含んでも良い。また、生産情報データ38は、検査モジュールで検出した不良品の数の情報を含んでも良い。また、管理装置11は、異常履歴データ37を異常の種類ごとに表示しても良い。また、管理装置11は、生産情報データ38について1日の生産数をワーク番号ごとにまとめて1画面に表示しても良い。また、上記した説明では、管理装置11が表示する処理について説明した。しかしながら、作業機モジュール22A~22Iの各々は、管理装置11と同様に、例えば、自装置の履歴情報36や他の作業機モジュール22A~22Iの履歴情報36を、ユーザIF33に表示できる。
【0025】
(履歴情報36の処理について)
次に、設定日時の変更に応じて履歴情報36を処理する内容について説明する。ここで、生産システム10の設定日時は、様々な要因で変更される。例えば、生産システム10を国内から海外に移設した場合、移設先の国の標準時に設定日時を変更される。上記したように、生産システム10は、作業機モジュール22A~22Iの各々に履歴情報36を記憶しており、履歴情報36を日時で管理・表示している。このため、生産システム10の設定日時が変更されると、それまで記憶した履歴情報36の日時と、生産システム10に設定された日時とにずれが生じる。
【0026】
図5は、比較例の処理を示しており、例えば、作業機モジュール22A~22Iが設定日時の変更前後において履歴情報36に対する処理を何もせずに履歴情報36の記憶処理を継続した場合を示している。図5に示すように、例えば、設定日時を変更する前の日時(以下、変更前日時という)が「2022/7/23 9:00」で、設定日時を変更した後の日時(以下、変更後日時という)が「2022/7/22 9:00」とする。この場合、設定日時が変更前日時から、古い日時の変更後日時に変更されたこととなる。作業機モジュール22A~22Iは、設定日時が変更された後、変更後日時「2022/7/22 9:00」から履歴情報36の記憶を開始する。即ち、作業機モジュール22A~22Iは、変更後に新たに発生した履歴情報36を、変更後日時以降の日時で記憶する。このため、それまでに記憶していた履歴情報36と、新たに発生した履歴情報36とが、同じ日付けで記憶される。より具体的には、「2022/7/22 9:00~2022/7/23 9:00」までの履歴情報36に、設定変更前の古い履歴情報36と、設定変更後の新たな履歴情報36とが混ざり、データの追記や上書きが発生する虞がある。
【0027】
例えば、異常履歴データ37であれば、図3に示すような日時順に並ぶ異常履歴データ37の中に、新たに発生したデータが、古い日付けのデータの間に挿入される虞がある。その結果、ユーザは、移設後に発生した異常のデータの確認が遅れる、あるいはデータを誤って認識する虞がある。また、図4に示す生産情報データ38であれば、過去の生産数や生産時間に、移設後の生産数や生産時間が加算される虞がある。その結果、ユーザは、生産数や生産時間を誤って認識する虞がある。また、ログデータ39であれば、新たに発生したログが、古い日付けログと混ざって記憶される虞がある。その結果、例えば、管理装置11が、ログデータ39を時系列順に並べて解析した場合に、誤った解析結果を出力してしまう虞がある。
【0028】
そこで、本実施例の生産システム10は、設定日時を変更された場合に履歴情報36を処理するモードとして、削除処理モード、シフト処理モード、全削除処理モードの3つの処理モードを備えている。また、本実施例の生産システム10は、管理装置11及び作業機モジュール22A~22Iの何れにおいても設定日時の変更を受け付けることができる。以下の説明では、一例として、管理装置11において設定日時の変更を受け付けた場合について説明する。また、管理装置11には、上記した3つの処理モードの何れかが設定されているものとする。図6は、管理装置11が実行する履歴情報処理のフローチャートを示している。管理装置11は、例えば、電源を投入され、管理プログラム11EをCPU11Aで実行すると、図6に示す処理を開始する。
【0029】
まず、図6のステップ(以下、単にSと記載する)11において、管理装置11は、生産システム10の設定日時が変更されたか否かを判断する(本開示の変更判断処理の一例)。後述するように、管理装置11は、例えば、生産システム10の各種処理に用いる基準となる時間の変更を、設定日時の変更として受け付け、受け付けた設定日時の変更を作業機モジュール22A~22Iに反映する。管理装置11は、設定日時の変更が実施されるまでの間(S11:NO)、S11の処理を繰り返し実行する。管理装置11は、例えば、ユーザIF11Cに対する操作入力に基づいて設定日時の変更の指示を受け付けると、S11において肯定判断し(S11:YES)、S13を実行する。
【0030】
S13において、管理装置11は、生産システム10が移設されたか否かを判断する。管理装置11は、図1に示す移設検出手段11Fにより生産システム10が移設されたか否かを判断する(S13、本開示の移設判断処理の一例)。管理装置11は、例えば、管理プログラム11Eの実行開始時等の所定のタイミングで、移設検出手段11FのGPS情報により現在位置を検出し、検出した現在位置の情報を記憶装置11Bに記憶する。管理装置11は、S13を実行するタイミングで移設検出手段11Fにより現在位置を検出し、検出した現在位置と、記憶装置11Bに記憶しておいた現在位置、即ち、過去の現在位置の2つの位置を比較する。管理装置11は、2つの位置の距離が所定距離以下である場合、S13で否定判断し(S13:NO)、S15を実行する。また、管理装置11は、2つの位置の距離が所定距離以上である場合(S13:YES)、即ち、生産システム10が移設されたと判断した場合、S17を実行する。
【0031】
管理装置11は、S15において、処理モードとしてシフト処理モードが設定されているか否かを判断する。管理装置11は、シフト処理モードが設定されていた場合(S15:YES)、シフト処理を実行する(S19)。管理装置11は、シフト処理モードが設定されていない場合(S15:NO)、削除処理モードが設定されているか否かを判断する(S21)。管理装置11は、削除処理モードが設定されていた場合(S21:YES)、削除処理を実行する(S23)。
【0032】
管理装置11は、S23において、S11で判断した(受け付けた)設定日時への変更と、削除処理を、生産システム10の全ての作業機モジュール22A~22Iに対して実行させる。管理装置11は、例えば、S11で受け付けた変更後の設定日時の情報と、削除処理の実行指示を、作業機モジュール22A~22Iに通知する。管理装置11は、S23を実行すると、図6に示す処理を終了し、例えば、S11からの処理を再度実行する。作業機モジュール22A~22Iは、互いに同様に履歴情報36に対する削除処理を実行する。また、他のシフト処理、全削除処理についても同様に実行する。このため、以下の説明では、作業機モジュール22Aについて主に説明し、他の作業機モジュール22B~22Iの処理の説明を適宜省略する。
【0033】
作業機モジュール22Aは、削除処理を指示された場合、図7に示すように、変更後日時以降の履歴情報36を削除する(図7中の破線参照)。例えば、変更前日時が「2022/7/23 9:00」で、管理装置11から取得した変更後日時が「2022/7/22 9:00」とする。この場合、作業機モジュール22Aは、管理装置11からS23の指示を取得すると、自装置の記憶装置32に記憶された履歴情報36のうち、変更後日時「2022/7/22 9:00」以降の日時のデータ(異常履歴データ37等)を削除した後、自装置の設定日時を変更する。これにより、上記したような新旧の履歴情報36が混ざる、あるいは生産数が加算されるなどの事態の発生を抑制できる。尚、削除処理において設定日時が未来の日時に変更された場合、作業機モジュール22Aは、履歴情報36の削除を実行しない。また、本開示における履歴情報36の削除とは、例えば、記憶装置32から異常履歴データ37等を消す処理である。あるいは、履歴情報36の削除とは、例えば、履歴情報36を利用する制御プログラム35から、参照できない記憶領域に異常履歴データ37等を移動させて、消した場合と同等の効果を発揮する処理でも良い。
【0034】
また、管理装置11は、図6のS21において、削除処理モードが設定されていないと判断した場合(S21:NO)、S11で判断した設定日時への変更と、全削除処理を、生産システム10の全ての作業機モジュール22A~22Iに対して実行させ(S29)、図6の処理を終了する。作業機モジュール22Aは、全削除処理を指示された場合、図8に示すように、設定日時が変更される前に記憶されていた履歴情報36の全てを削除する(図8中の破線参照)。例えば、作業機モジュール22Aは、管理装置11からS29の指示を取得し、全削除処理を実行する時点(図8であれば「2022/7/23 9:00」時点)の全データを削除した後、自装置の設定日時を変更する。これにより、上記したような新旧の履歴情報36が混ざる等の発生を抑制できる。尚、全削除処理において設定日時が未来の日時に変更された場合にも、作業機モジュール22Aは、設定日時が変更される前に記憶されていた履歴情報36の全てを削除しても良い。
【0035】
一方、管理装置11は、S19において、S11で判断した設定日時への変更と、シフト処理を、生産システム10の全ての作業機モジュール22A~22Iに対して実行させ、図6の処理を終了する。作業機モジュール22Aは、シフト処理を指示された場合、図9に示すように、変更前日時と変更後日時の時間差分だけ、履歴情報36の時間をシフトさせる。図9の上図は、変更前日時が「2022/7/23 9:00」で、変更後日時が「2022/7/22 9:00」、即ち、古い時間に変更された場合を示している。この場合、作業機モジュール22Aは、自装置の記憶装置32に記憶された履歴情報36について、変更前日時と変更後日時の時間差(図示例であれば1日)分だけ、履歴情報36の全てのデータの時間を戻す(古くする)。換言すれば、履歴情報36の時間情報を1日(24時間)だけ減算する。作業機モジュール22Aは、履歴情報36の時間を変更した後、自装置の設定日時を変更する。この場合にも、上記したような新旧の履歴情報36が混ざる等の発生を抑制できる。
【0036】
また、図9の下図は、変更前日時が「2022/7/23 9:00」で、変更後日時が「2022/7/24 9:00」、即ち、新しい時間に変更された場合を示している。この場合、作業機モジュール22Aは、自装置の記憶装置32に記憶された履歴情報36について、変更前日時と変更後日時の時間差(図示例では1日)分だけ、履歴情報36の全てのデータの時間を進める(新しくする)。換言すれば、履歴情報36の時間情報を1日(24時間)だけ加算する。作業機モジュール22Aは、履歴情報36の時間を変更した後、自装置の設定日時を変更する。この場合、既に記憶済みの履歴情報36との連続性を維持できる。
【0037】
上記したように、本実施例では、履歴情報36は、異常の種類とその異常が発生した日時を関連付けた異常履歴データ37、及び生産システム10における生産日とその生産日に生産した生産数と生産に必要であった生産時間を関連付けた生産情報データ38を含んでいる。そして、管理装置11や作業機モジュール22A~22Iは、日時の順番に履歴情報36を表示する(図3図4)。このような日時を基準に表示する履歴情報36において、設定日時の変更に応じて上記した3つの処理を実行することは、データの混在の発生を抑制する観点から極めて有効である。
【0038】
また、管理装置11は、3つの処理の何れかを実行する場合、S11で判断した設定日時への変更と、設定されたモードに応じた処理を、全ての作業機モジュール22A~22Iの各々に対して実行させる。これによれば、管理装置11において生産システム10の設定日時や、作業機モジュール22A~22Iの各々の履歴情報36を統括的に管理できる。生産システム10の設定日時を容易に統一でき、設定日時を互いに一致させることで作業機モジュール22A~22I間の履歴情報36の比較が容易となる。
【0039】
ここで、生産システム10を移設して直ぐに設定日時を変更した場合(ワークの加工を実行する前など)であれば、移設後の履歴情報36が記憶される前に上記した3つの処理を開始し、新旧の履歴情報36が混在すること等の発生を抑制できる。しかしながら、例えば、移設時の設定作業等で設定日時の変更を忘れる可能性がある。この場合、所定の日時が経過してから設定日時が変更される。従って、設定日時を変更する時点で移設後の履歴情報36が既に記憶されている虞がある。このような移設後に所定日時だけ経過してから設定日時が変更された場合、管理装置11は、上記した3つの処理のうち、シフト処理を優先して実行する。
【0040】
図6に示すように、管理装置11は、S17において、移設した後に所定の基準時間だけ経過したか否かを判断する。管理装置11は、例えば、定期的に移設検出手段11FのGPS情報を取得し、S13と同様に、過去の現在位置と、新たに取得した現在位置に基づいて移設が発生したか否かを判断する。従って、管理装置11は、定期的に移設の発生の有無を判断する。管理装置11は、移設が発生したと判断した場合、判断した時点から経過時間を計測する。管理装置11は、S17において、計測した経過時間が基準時間以上である場合(S17:YES)、シフト処理を実行させる(S19)。従って、管理装置11は、移設されたと判断し、且つ、移設されてから所定の基準時間が経過した後に、設定日時が変更されたと判断した場合(S11:YES)、削除処理モードや全削除処理モードが設定されていたとしても、シフト処理を優先して実行する。これにより、移設後に記憶された履歴情報36を削除せずに、履歴情報36の記憶時間をシフトして残すことができる。尚、管理装置11は、移設後の経過時間が基準時間未満である場合(S17:NO)、S15以降を実行することで、設定された処理モードを実行する。また、上記したS17の基準時間としては、移設後に有効な履歴情報36の記憶が開始されていると予測される時間を設定でき、例えば、数時間から数十時間を設定できる。また、管理装置11は、移設からの経過時間で判断しなくとも良い。例えば、管理装置11は、移設後に生産システム10においてワークの加工を1回でも実行した場合、シフト処理を優先して実行しても良い。また、管理装置11は、シフト処理を優先しなくとも良い。管理装置11は、移設後に基準時間だけ経過する、あるいは、移設後にワークの加工を実行したとしても、設定された処理モードの処理を実行しても良い。
【0041】
また、管理装置11は、上記した削除処理、シフト処理、全削除処理の何れの処理を実行したかを示す情報、実行した日時の情報、変更前日時の情報、変更後日時の情報を変更履歴として記憶しても良い。また、管理装置11は、図6の処理を実行し変更履歴を更新する際、過去のデータの「実行した日時の情報」を、変更前日時と変更後日時の時間の差分だけシフトさせても良い。即ち、過去の変更履歴の時間情報を設定日時の変更に合わせて補正しても良い。
【0042】
また、上記した図6に示す例では、管理装置11が設定日時の変更を受け付けたが、作業機モジュール22A~22Iが設定日時の変更を受け付けた場合にも、同様に、処理モードに応じて履歴情報36を処理できる。作業機モジュール22A~22IのCPU31(本開示の履歴処理装置の一例)は、制御プログラム35を実行することで、図6の一部、又は全部の処理を実行しても良い。一例として、作業機モジュール22Aが実行する場合について説明する。また、図6の各処理を参照して説明する。
【0043】
作業機モジュール22Aは、自装置のユーザIF33において設定日時の変更を受け付ける(S11)。作業機モジュール22Aは、設定日時の変更を受け付けると(S11:YES)、変更後の設定日時を管理装置11へ通知する。管理装置11は、作業機モジュール22Aから通知を取得すると、S13以降を実行し、削除処理(S23)、シフト処理(S19)、全削除処理(S29)の何れを実行するか決定する。管理装置11は、作業機モジュール22Aから取得した変更後の設定日時への変更と、決定した処理を、全ての作業機モジュール22A~22Iの各々に実行させる。これにより、生産ラインの複数の作業機モジュール22A~22Iの何れかで設定日時の変更を受け付けた場合、その設定日時の変更と、履歴情報36の処理を他の全ての作業機モジュール22A~22Iに反映できる。
【0044】
尚、上記した作業機モジュール22Aによる処理の内容は一例である。例えば、作業機モジュール22Aは、図6に示すS13以降も実行し、シフト処理、削除処理、全削除処理の何れを実行するか決定しても良い。即ち、作業機モジュール22Aが、移設の判断(S13)や、移設後の時間経過の判断(S17)、実行する処理の決定(S15、S21)までを実行しても良い。この場合、作業機モジュール22A~22Iは、GPSアンテナ等の移設検出手段11Fを備えても良い。また、作業機モジュール22A~22Iの各々は、3つの処理の何れを実行するか、処理モードの切り替えをユーザIF33で受け付けても良い。そして、作業機モジュール22Aは、S11で受け付けた設定日時と、決定した処理の種類を管理装置11へ通知しても良い。管理装置11は、取得した通知に基づいて、全ての作業機モジュール22A~22Iに処理を実行させても良い。
【0045】
あるいは、作業機モジュール22A~22Iは、各々に設定された処理モードに応じて、互いに異なる処理(シフト処理や削除処理等)を実行しても良い。例えば、作業機モジュール22Aは、設定日時の変更を受け付けた場合、図6の処理を実行し自装置の履歴情報36を処理する一方、管理装置11へ通知しなくとも良い。この場合、生産システム10は、管理装置11を備えなくとも良い。また、生産システム10は、削除処理、シフト処理、全削除処理のうち、少なくとも1つが実行可能な構成(少なくとも1つのモードしか備えない構成)でも良い。
【0046】
因みに、管理装置11、CPU31は、履歴処理装置の一例である。S11は、変更判断処理の一例である。S13は、移設判断処理の一例である。S19は、シフト処理の一例である。S23は、削除処理の一例である。S29は、全削除処理の一例である。
【0047】
以上、上記した本実施例では、以下の効果を奏する。
本願の一態様である管理装置11は、設定日時が変更された場合(S11:YES)、削除処理、シフト処理、全削除処理の何れかを実行する。これにより、新たに発生した異常履歴データ37やログデータ39が古いデータの中に埋もれてしまう事態や、生産情報データ38の生産数が誤った数になる事態の発生を抑制できる。設定日時を変更した後の生産システム10の履歴情報36をユーザが正確に認識し易くできる。
【0048】
また、本開示の内容は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。
例えば、上記実施例では、履歴情報36を、作業機モジュール22A~22Iの各々が記憶装置32に記憶したが、全ての作業機モジュール22A~22Iの履歴情報36を管理装置11が記憶装置11Bに記憶し一括して管理しても良い。この場合、記憶装置32にも履歴情報36を記憶させ、記憶装置11Bの履歴情報36の変更を、記憶装置32に適宜反映しても良い。また、履歴情報36をネットワーク13上の外部ストレージに記憶しても良い。
また、上記実施例では、管理装置11と、作業機モジュール22A~22Iの何れにおいても、図6に示す処理が実行可能であったが、どちらか一方のみが実行できる構成、あるいは、作業機モジュール22A~22Iの特定のモジュールのみが実行できる構成でも良い。
【0049】
また、履歴情報36は、異常履歴データ37、生産情報データ38、ログデータ39の少なくとも1つのデータを備える構成でも良い。
また、図6に示す処理の内容や順番は、一例である。例えば、管理装置11は、S13の移設判断処理や、S17の経過時間の判断を実行せず、S11の後にS15を実行しても良い。
本開示の生産システムは、1又は2以上の連結されていない工作機械を備える構成でも良い。
また、本開示の生産システムは、ワークを切削等する工作機械のシステムに限らない。例えば、生産システムは、半田印刷装置、電子部品実装装置、リフロー炉、検査装置を備える基板生産システムでも良い。この場合、例えば、基板生産システムを管理する管理装置が、設定日時の変更を受け付け、生産ライン上の各装置(半田印刷装置や電子部品実装装置など)の履歴情報36の処理を指示しても良い。履歴情報36としては、例えば、上記した異常履歴データ37、基板の生産数を示す生産情報データ38、ログデータ39を、上記実施例と同様に採用できる。
【0050】
尚、本開示の範囲は、特許請求の範囲に記載された従属関係に限定されない。例えば、本明細書では、請求項4において「請求項1又は請求項2に記載の履歴処理装置」を「請求項1~3の何れか1項に記載の履歴処理装置」に変更した技術思想も開示されている。また、請求項5において「請求項1又は請求項2に記載の履歴処理装置」を「請求項1~4の何れか1項に記載の履歴処理装置」に変更した技術思想も開示されている。
【符号の説明】
【0051】
10 生産システム、11 管理装置(管理装置、履歴処理装置)、31 CPU(履歴処理装置)、36 履歴情報、37 異常履歴データ、38 生産情報データ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9