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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013849
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】ハンド及び組立て方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/00 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
B25J15/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116241
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 曹
(72)【発明者】
【氏名】大谷 和史
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS07
3C707DS03
3C707ES03
3C707ET02
3C707EU13
3C707FS01
3C707FT02
3C707FU01
(57)【要約】
【課題】複雑な部品組込み又は組立て作業が可能なハンド及び組立て方法を提供する。
【解決手段】ハンド1は、ワークに対して作業を行うツールと、シャフトと、前記シャフトとジョイントで回動可能に接続するリンクと、を有し、前記リンクは、前記シャフトの軸方向からずれた方向に延びていて、先端部が前記軸方向に沿う力を受けたときに、前記シャフトの前記軸方向からのずれの角度がさらに大きくなるとともに、前記先端部と前記ツールとの距離が小さくなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに対して作業を行うツールと、
シャフトと、
前記シャフトとジョイントで回動可能に接続するリンクと、を有し、
前記リンクは、前記シャフトの軸方向からずれた方向に延びていて、先端部が前記軸方向に沿う力を受けたときに、前記シャフトの前記軸方向からのずれの角度がさらに大きくなるとともに、前記先端部と前記ツールとの距離が小さくなる、
ハンド。
【請求項2】
ワークに対して作業を行うツールと、
シャフトと、
前記シャフトとジョイントで回動可能に接続するリンクと、を有し、
前記リンクは、前記シャフトの軸方向からずれた方向に延びていて、先端部が前記軸方向に沿う力を受けたときに、前記シャフトの前記軸方向からのずれの角度がさらに大きくなるとともに、前記先端部と前記ツールとの距離が大きくなる、
ハンド。
【請求項3】
前記ツールを固定し、かつ前記シャフトを保持するベースと、
前記ジョイントを前記ベースから遠ざける方向に前記シャフトを付勢するバネと、を有する、
請求項1又は請求項2に記載のハンド。
【請求項4】
前記リンクの前記先端部が前記軸方向に沿う力を受けたとき、
前記シャフトの前記軸方向からの平面視で、前記リンクとツール先端部の少なくとも一部が重なる、
請求項1に記載のハンド。
【請求項5】
前記リンクの前記先端部が前記軸方向に沿う力を受けたとき、
前記シャフトの前記軸方向からの平面視で、前記リンクとツール先端部とは離れていて、前記ジョイントと前記ツール先端部との間に前記リンクが位置する、
請求項1に記載のハンド。
【請求項6】
前記リンクの前記先端部が前記軸方向に沿う力を受けたとき、
前記シャフトの前記軸方向と直交する方向からの平面視で、前記リンクの前記先端部と前記ジョイントとの間にツール先端部がある、
請求項1に記載のハンド。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載のハンドを用いて、半組立て品に対して組立て作業を行う方法であって、
前記ハンドを移動させて、リンクの先端部を前記半組立て品の一部に当接し、
前記リンクのシャフトの軸方向に対する角度を大きくすることで、第1部品の位置又は姿勢を変更し、
前記リンクが前記第1部品と当接した状態で、ツールが前記第1部品又は第2部品に対して作業を行う、
組立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンド及び組立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動組立てラインにおいて、例えばロボットに取り付けられたネジ締めハンドによりワークのネジ締めを行なう場合に、特許文献1には、上下動及び回動可能に取り付けられたネジ締めハンドの外周に、ワークをバネで押圧する押圧子を設けて、ワークを固定することで組立作業の信頼性を向上させたワーク押え機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-169333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のハンドは、可動する部品に別部品を組込む作業や可動部品を移動させその部分に別部品を組込む作業に適応することができなかった。つまり、1つのハンドで、複雑な部品組込み又は組立て作業をすることができないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ハンドは、ワークに対して作業を行うツールと、シャフトと、前記シャフトとジョイントで回動可能に接続するリンクと、を有し、前記リンクは、前記シャフトの軸方向からずれた方向に延びていて、先端部が前記軸方向に沿う力を受けたときに、前記シャフトの前記軸方向からのずれの角度がさらに大きくなるとともに、前記先端部と前記ツールとの距離が小さくなる。
【0006】
ハンドは、ワークに対して作業を行うツールと、シャフトと、前記シャフトとジョイントで回動可能に接続するリンクと、を有し、前記リンクは、前記シャフトの軸方向からずれた方向に延びていて、先端部が前記軸方向に沿う力を受けたときに、前記シャフトの前記軸方向からのずれの角度がさらに大きくなるとともに、前記先端部と前記ツールとの距離が大きくなる。
【0007】
組立て方法は、上記に記載のハンドを用いて、半組立て品に対して組立て作業を行う方法であって、前記ハンドを移動させて、リンクの先端部を前記半組立て品の一部に当接し、前記リンクのシャフトの軸方向に対する角度を大きくすることで、第1部品の位置又は姿勢を変更し、前記リンクが前記第1部品と当接した状態で、ツールが前記第1部品又は第2部品に対して作業を行う。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係るハンドの構成を示す側面図。
図2】第1実施形態に係るハンドの構成を示す正面図。
図3】第1実施形態に係るハンドを用いた組立て方法を示すフォローチャート。
図4】第1実施形態に係るハンドを用いた組立て作業を説明する側面図。
図5】第1実施形態に係るハンドを用いた組立て作業を説明する正面図。
図6】第1実施形態に係るハンドを用いた組立て作業を説明する側面図。
図7】第1実施形態に係るハンドを用いた組立て作業を説明する正面図。
図8】第1実施形態に係るハンドを用いた組立て作業を説明する側面図。
図9】第1実施形態に係るハンドを用いた組立て作業を説明する正面図。
図10】第2実施形態に係るハンドを用いた組立て作業を説明する側面図。
図11】第2実施形態に係るハンドを用いた組立て作業を説明する正面図。
図12】第2実施形態に係るハンドを用いた組立て作業を説明する側面図。
図13】第2実施形態に係るハンドを用いた組立て作業を説明する正面図。
図14】第2実施形態に係るハンドを用いた組立て作業を説明する側面図。
図15】第2実施形態に係るハンドを用いた組立て作業を説明する正面図。
図16】第3実施形態に係るハンドを用いた組立て作業を説明する側面図。
図17】第3実施形態に係るハンドを用いた組立て作業を説明する正面図。
図18】第3実施形態に係るハンドを用いた組立て作業を説明する側面図。
図19】第3実施形態に係るハンドを用いた組立て作業を説明する正面図。
図20】第3実施形態に係るハンドを用いた組立て作業を説明する側面図。
図21】第3実施形態に係るハンドを用いた組立て作業を説明する正面図。
図22】第4実施形態に係るハンドの構成を示す側面図。
図23】第4実施形態に係るハンドを用いた組立て作業を説明する側面図。
図24】第4実施形態に係るハンドを用いた組立て作業を説明する正面図。
図25】第4実施形態に係るハンドを用いた組立て作業を説明する側面図。
図26】第4実施形態に係るハンドを用いた組立て作業を説明する正面図。
図27】第4実施形態に係るハンドを用いた組立て作業を説明する側面図。
図28】第4実施形態に係るハンドを用いた組立て作業を説明する正面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.第1実施形態
先ず、第1実施形態に係るハンド1について、図1及び図2を参照して説明する。
尚、説明の便宜上、以降の図1図2、及び図4図28において、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、及びZ軸を図示している。また、X軸に沿った方向を「X方向」、Y軸に沿った方向を「Y方向」、Z軸に沿った方向を「Z方向」と言う。また、各軸の矢印側を「プラス側」、矢印と反対側を「マイナス側」とも言う。また、Z方向のプラス側を「上」、Z方向のマイナス側を「下」とも言う。また、マイナスY方向から見た図を「側面図」、プラスX方向から見た図を「正面図」として説明する。
【0010】
本実施形態のハンド1は、ロボット等のロボットアーム先端に装着され、部品等を保持し移送して、半組立て品の組立て作業を行うために用いられる。
ハンド1は、図1及び図2に示すように、ベース10と、ベース10に固定され部品を保持するツール11と、ベース10に保持されるシャフト13と、シャフト13に対し回転可能なジョイント14と、シャフト13とジョイント14で回動可能に接続するリンク15と、ジョイント14をベース10から遠ざける方向にシャフト13を付勢するバネ17と、を備える。
【0011】
ベース10は、ロボットアーム先端に装着される部分であり、プラスX方向の端部にツール11を固定し、マイナスX方向の端部にシャフト13を保持している。
【0012】
ツール11は、ワークに対して作業を行う。具体的には、ツール先端部12に装着された部品保持部19にワークを吸着し、所定の位置へワークを搬送する。尚、ツール11は、複数の爪で構成されて、ワークを把持するものであってもよい。
【0013】
シャフト13は、Z方向に延在し、マイナスZ方向の端部にジョイント14を介してリンク15が接続されている。また、プラスZ方向の端部側において、ベース10がZ方向である軸方向G1に可動可能になるようにバネ17を介してベース10に保持されている。
【0014】
ジョイント14は、シャフト13に対して、リンク15がジョイント14の回転軸P1回りに回動可能になるように、シャフト13のマイナスZ方向の端部及びリンク15の先端部16と反対側の端部に接続されている。
【0015】
リンク15は、シャフト13の軸方向G1からずれた方向に延びている。具体的には、軸方向G1に対して反時計回りに角度A1回転した方向に延びている。そのため、リンク15の先端部16とツール先端部12との距離W1は、シャフト13とツール先端部12との距離より短い。
【0016】
バネ17は、ジョイント14をベース10から遠ざける方向にシャフト13を付勢している。
【0017】
次に、第1実施形態に係るハンド1を用いた半組立て品20の組立て方法について、第1部品21の凹部25に第2部品22を配置する作業を一例として挙げ、図3図9を参照して説明する。
尚、説明の便宜上、図4図6、及び図8において、第1部品21を回転軸P2回りに回転可能とするジョイント24を支持し、第3部品23と連結した支持部26の図示を省略している。
【0018】
本実施形態のハンド1を用いた半組立て品20の組立て方法は、図3に示すように、当接工程と、位置又は姿勢変更工程と、部品組込み工程と、を含む。
【0019】
先ず、ステップS1の当接工程において、図4及び図5に示すように、ロボット等のロボットアーム先端に装着されたハンド1を所定の位置に配置し、ロボットによりハンド1を軸方向G1に移動させ、リンク15の先端部16を半組立て品20の一部である第3部品23に当接する。尚、本実施形態の半組立て品20は、第1部品21、第2部品22、及び第3部品23を含んで構成され、第1部品21は、ジョイント24の回転軸P2回りに回動可能になるように、ジョイント24を介して第3部品23に連結した支持部26に保持されている。また、第1部品21は、プラスZ方向の端部がジョイント24と接続し、リンク15と対向する面の反対側の面に、ツール11に保持された第2部品22を組込む凹部25が設けられている。従って、この状態で第1部品21の凹部25内に第2部品22を組込む作業を実施することができない。
【0020】
次に、ステップS2の位置又は姿勢変更工程において、図6及び図7に示すように、リンク15の先端部16に軸方向G1に沿う力を受け始めても、シャフト13はバネ17によってベース10から遠ざかる方向に反力を受けているために、ジョイント14が第3部品23との距離を縮めることができる。このためバネ17の強さである付勢力は適宜調整がなされている必要がある。同時に、リンク15がジョイント14の回転軸P1回りに回転し、リンク15のシャフト13の軸方向G1からのずれの角度A2がさらに大きくなる。そのため、リンク15の回転軸P1回りの回転により、リンク15の先端部16が第3部品23の上面に沿ってプラスX方向に移動するので、第1部品21と当接し、角度A2が大きくなるにともない、第1部品21がジョイント24の回転軸P2回りで矢印B1方向に回転し、第1部品21の凹部25が設けられた面がツール11と対向し、略水平となる。従って、リンク15のシャフト13の軸方向G1に対する角度A2を大きくすることで、第1部品21の姿勢を変更させることができる。
【0021】
次に、ステップS3の部品組込み工程において、図8及び図9に示すように、リンク15を第1部品21に当接した状態で、ツール11が第1部品21又は第2部品22に対して作業する。具体的には、第2部品22を保持するツール11をX方向又はY方向に移動させ、軸方向G1からの平面視で、凹部25内に第2部品22が収まる位置に配置し、ハンド1を軸方向G1に移動させることでツール11がZ方向に移動し、第2部品22を凹部25内に組込む。シャフト13とベース10とは固定されていないため、シャフト13のZ方向での移動は起こらない。従って、リンク15の先端部16が軸方向G1に沿う力を受けたときに、図8に示すように、軸方向G1からの平面視で、リンク15とツール先端部12の少なくとも一部が重なっている。
その後、第2部品22をツール11から解放し、ハンド1を元の位置に戻すことで、半組立て品20の組立て作業を終了する。
【0022】
以上で述べたように本実施形態のハンド1は、リンク15がシャフト13の軸方向G1からずれた方向に延びていて、先端部16が軸方向G1に沿う力を受けたときに、シャフト13の軸方向G1からのずれの角度A1がさらに大きくなるとともに、先端部16とツール11との距離W1が小さくなる。そのため、リンク15の先端部16に半組立て品20の一部である第1部品21を当接することで、第1部品21の位置又は姿勢を変更することができ、位置又は姿勢を変更した第1部品21にツール11が保持した半組立て品20の一部である第2部品22を組込むことができる。従って、複雑な部品組込み又は組立て作業を1つのハンド1で行うことができる。
【0023】
また、本実施形態のハンド1を用いた組立て方法は、ハンドを移動させて、リンク15の先端部16を半組立て品20の一部に当接する当接工程と、リンク15のシャフト13の軸方向G1に対する角度A1を大きくすることで、第1部品21の位置又は姿勢を変更する位置又は姿勢変更工程と、リンク15が第1部品21と当接した状態で、ツール11が第1部品21又は第2部品22に対して作業を行う部品組込み工程と、を有している。そのため、1つのハンド1で、第1部品21を移動させ、第1部品21に第2部品22を組込む等の複雑な部品組込み又は組立て作業をすることができる。
【0024】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態に係るハンド1aを用いた組立て方法について、図10図15を参照して説明する。
【0025】
本実施形態のハンド1aは、第1実施形態のハンド1に比べ、リンク15の先端部16が軸方向G1に沿う力を受けたとき、シャフト13の軸方向G1からの平面視で、リンク15とツール先端部12とは離れていて、ジョイント14とツール先端部12との間にリンク15が位置することと、半組立て品20aを構成する部品構造が異なる以外は、第1実施形態のハンド1と同様である。尚、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0026】
ハンド1aは、図10及び図11に示すように、ベース10と、ツール11と、シャフト13と、ジョイント14と、リンク15と、バネ17と、を備え、第1実施形態のハンド1と同じ構成である。また、半組立て品20aは、第1部品21a、第2部品22a、第3部品23a、及び第4部品24aで構成され、第3部品23a上に、第1部品21aと第4部品24aとが配置され、軸方向G1からの平面視で、第1部品21aの凹部25と重なる位置に第4部品24aが配置されている。従って、この状態で第1部品21aの凹部25内に第2部品22aを組込む作業を実施することができない。
【0027】
先ず、ステップS1の当接工程において、図10及び図11に示すように、ロボットによりハンド1aを軸方向G1に移動させ、リンク15の先端部16を半組立て品20aの一部である第3部品23aに当接する。
【0028】
次に、ステップS2の位置又は姿勢変更工程において、図12及び図13に示すように、リンク15の先端部16に軸方向G1に沿う力を加え、ジョイント14を第3部品23aに近づけることで、リンク15がジョイント14の回転軸P1回りに回転し、リンク15の先端部16が第1部品21aと当接し、第1部品21aをプラスX方向に移動させることができる。従って、リンク15のシャフト13の軸方向G1に対する角度A2を大きくすることで、第1部品21aの位置を変更させることができる。
【0029】
次に、ステップS3の部品組込み工程において、図14及び図15に示すように、リンク15を第1部品21aに当接した状態で、第2部品22aを保持するツール11をX方向又はY方向に移動させ、軸方向G1からの平面視で、凹部25内に第2部品22aが収まる位置に配置し、ハンド1を軸方向G1に移動させ第2部品22aを凹部25内に組込む。従って、リンク15の先端部16が軸方向G1に沿う力を受けたときに、シャフト13の軸方向G1からの平面視で、リンク15とツール先端部12とは、距離W2だけ離れていて、ジョイント14とツール先端部12との間にリンク15が位置する。
【0030】
このような構成とすることで、軸方向G1からの平面視で、第1部品21aの凹部25を覆う第4部品24aの下から第1部品21aを移動させることができ、第1部品21aの凹部25内に第2部品22aを組込むことができる。そのため、第1実施形態のハンド1と同等の効果を得ることができる。
【0031】
3.第3実施形態
次に、第3実施形態に係るハンド1bを用いた組立て方法について、図16図21を参照して説明する。
【0032】
本実施形態のハンド1bは、第1実施形態のハンド1に比べ、リンク15の先端部16が軸方向G1に沿う力を受けたとき、シャフト13の軸方向G1と直交する方向からの平面視で、リンク15の先端部16とジョイント14との間にツール先端部12があること以外は、第1実施形態のハンド1と同様である。尚、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0033】
ハンド1bは、図16及び図17に示すように、ベース10と、ツール11と、シャフト13と、ジョイント14と、リンク15と、バネ17と、を備え、第1実施形態のハンド1と同じ構成である。また、半組立て品20bは、第1部品21b、第2部品22b、及び第3部品23bで構成され、第1部品21b上に、第3部品23bが配置され、軸方向G1からの平面視で、第1部品21bの凹部25と重なる位置に第3部品23bが配置されている。従って、この状態で第1部品21bの凹部25内に第2部品22bを組込む作業を実施することができない。
【0034】
先ず、ステップS1の当接工程において、図16及び図17に示すように、ロボットによりハンド1bを軸方向G1に移動させ、リンク15の先端部16を半組立て品20bの一部である第1部品21bに当接する。
【0035】
次に、ステップS2の位置又は姿勢変更工程において、図18及び図19に示すように、リンク15の先端部16に軸方向G1に沿う力を加え、ジョイント14を第1部品21bに近づけることで、リンク15がジョイント14の回転軸P1回りに回転し、リンク15の先端部16が第3部品23bと当接し、第3部品23bをプラスX方向に移動させることができる。従って、リンク15のシャフト13の軸方向G1に対する角度A2を大きくすることで、第3部品23bの位置を変更させることができる。
【0036】
次に、ステップS3の部品組込み工程において、図20及び図21に示すように、リンク15を第3部品23bに当接した状態で、第2部品22bを保持するツール11をX方向又はY方向に移動させ、軸方向G1からの平面視で、凹部25内に第2部品22bが収まる位置に配置し、ハンド1を軸方向G1に移動させ第2部品22bを凹部25内に組込む。従って、リンク15の先端部16が軸方向G1に沿う力を受けたときに、シャフト13の軸方向G1と直交する方向からの平面視で、リンク15の先端部16とジョイント14との間にツール先端部12がある。
【0037】
このような構成とすることで、軸方向G1からの平面視で、第1部品21bの凹部25を覆う第3部品23bを移動させることができ、第1部品21bの凹部25内に第2部品22bを組込むことができる。そのため、第1実施形態のハンド1と同等の効果を得ることができる。
【0038】
4.第4実施形態
次に、第4実施形態に係るハンド1cについて、図22を参照して説明する。
【0039】
本実施形態のハンド1cは、第1実施形態のハンド1に比べ、リンク15がシャフト13の軸方向G1から時計回り方向にずれた方向に延び、リンク15の先端部16が軸方向G1に沿う力を受けたときに、先端部16とツール11との距離W3が大きくなること以外は、第1実施形態のハンド1と同様である。尚、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0040】
ハンド1cは、図22に示すように、ベース10と、ツール11と、シャフト13と、ジョイント14と、リンク15と、バネ17と、を備える。
【0041】
リンク15は、シャフト13の軸方向G1からずれた方向に延びている。具体的には、軸方向G1に対して時計回りに角度A3回転した方向に延びている。そのため、リンク15の先端部16とツール先端部12との距離W3は、シャフト13とツール先端部12との距離より長い。
【0042】
次に、第4実施形態に係るハンド1cを用いた半組立て品20cの組立て方法について、図23図28を参照して説明する。尚、半組立て品20cの組立て方法は、半組立て品20cを構成する部品構造が異なる以外は、第1実施形態と同様である。
【0043】
先ず、ステップS1の当接工程において、図23及び図24に示すように、ロボットによりハンド1を軸方向G1に移動させ、リンク15の先端部16を半組立て品20cの一部である第3部品23cに当接する。尚、本実施形態の半組立て品20cは、軸方向G1からの平面視で、第1部品21cの凹部25と重なる位置に第3部品23cが配置されている。従って、この状態で第1部品21cの凹部25内に第2部品22cを組込む作業を実施することができない。
【0044】
次に、ステップS2の位置又は姿勢変更工程において、図25及び図26に示すように、リンク15の先端部16に軸方向G1に沿う力を加え、ジョイント14を第3部品23cに近づけることで、リンク15がジョイント14の回転軸P1回りに回転し、リンク15のシャフト13の軸方向G1からのずれの角度A4がさらに大きくなる。そのため、リンク15の先端部16が第3部品23cに当接し、第3部品23cをマイナスX方向に移動させることができる。従って、リンク15のシャフト13の軸方向G1に対する角度A4を大きくすることで、第3部品23cの位置を変更させることができる。
【0045】
次に、ステップS3の部品組込み工程において、図27及び図28に示すように、リンク15を第3部品23cに当接した状態で、第2部品22cを保持するツール11をX方向又はY方向に移動させ、軸方向G1からの平面視で、凹部25内に第2部品22cが収まる位置に配置し、ハンド1を軸方向G1に移動させ第2部品22cを凹部25内に組込む。従って、リンク15の先端部16が軸方向G1に沿う力を受けたときに、リンク15の先端部16とツール11との距離W4が大きくなる。
【0046】
このような構成とすることで、軸方向G1からの平面視で、第1部品21cの凹部25と重なる第3部品23cを移動させることができ、第1部品21cの凹部25内に第2部品22cを組込むことができる。そのため、第1実施形態のハンド1と同等の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0047】
1,1a,1b,1c…ハンド、10…ベース、11…ツール、12…ツール先端部、13…シャフト、14…ジョイント、15…リンク、16…先端部、17…バネ、19…部品保持部、20…半組立て品、21…第1部品、22…第2部品、23…第3部品、24…ジョイント、25…凹部、26…支持部、A1,A2,A3,A4…角度、B1…矢印、G1…軸方向、P1,P2…回転軸、W1,W2,W3,W4…距離。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28