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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138505
(43)【公開日】2024-10-08
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   B62D 5/04 20060101AFI20241001BHJP
   A01C 11/02 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
B62D5/04
A01C11/02 331B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024113157
(22)【出願日】2024-07-16
(62)【分割の表示】P 2023125297の分割
【原出願日】2017-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 翔一
(72)【発明者】
【氏名】大西 健太
(57)【要約】
【課題】ボンネット内において、パワーステアリング装置を効率よく配置して、ユーザの足元に十分なスペースを確保すること。
【解決手段】作業車両は、エンジン6と、電動モータ62と、電動モータ62からの操舵力を車輪に伝達するステアリングシャフト41と、を備える。ステアリングシャフト41は、ミッションケース7の上部に支持される。電動モータ62は、前後方向において、ステアリングシャフト41のいずれかの部位よりも前方側に配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、電動モータと、前記電動モータからの操舵力を車輪に伝達するステアリングシャフトと、を備え、
前記ステアリングシャフトは、ミッションケースの上部に支持され、
前記電動モータは、前後方向において、前記ステアリングシャフトのいずれの部位よりも前方側に配置されている、
作業車両。
【請求項2】
前記電動モータと前記エンジンとは前後方向において少なくとも一部が重複している、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記電動モータと前記エンジンとは前後方向に隣接している、
請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記電動モータと前記ステアリングシャフトとは左右方向で異なる位置に配置されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪に操縦ハンドルの操舵力を伝達するステアリングシャフトと、そのステアリングシャフトに操舵補助力を付与するパワーステアリング装置とを備えた作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような作業車両では、パワーステアリング装置が、電動モータを備えた電動式に構成され、電動モータの駆動力を操舵補助力としてステアリングシャフトに付与しているものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の作業車両では、ステアリングシャフトの上部に操縦ハンドルが連結されており、ステアリングシャフトが、下方側ほど前方側に位置する後方傾斜姿勢にて備えられている。パワーステアリング装置は、ステアリングシャフトの中間部に備えられた駆動ギヤにピニオンギヤを噛合させる状態で電動モータを備えており、電動モータを作動させることで、電動モータの駆動力を操舵補助力としてステアリングシャフトに付与している。このように、ステアリングシャフトの軸心方向に対して直交する横側方から電動モータによる操舵補助力を付与しており、電動モータの配置位置は、前後方向においてステアリングシャフトよりも後方側となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-37510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような作業車両では、エンジン、ステアリングシャフト、パワーステアリング装置等の各種の機器をボンネット内に配置することから、ボンネット内の限られたスペースに各種の機器を効率よく配置することが求められている。しかしながら、上記特許文献1に記載のものでは、電動モータがステアリングシャフトよりも後方側に配置されているので、ボンネットがステアリングシャフトよりも後方側に張り出した形状となる。よって、操縦ハンドルを操作するユーザの足元までボンネットが張り出すことになり、ユーザの足元に十分なスペースを確保できず、ユーザに圧迫感を与えることになる。
【0006】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、ボンネット内において、パワーステアリング装置を効率よく配置して、ユーザの足元に十分なスペースを確保することができる作業車両を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る作業車両は、エンジンと、電動モータと、前記電動モータからの操舵力を車輪に伝達するステアリングシャフトと、を備える。前記ステアリングシャフトは、ミッションケースの上部に支持される。前記電動モータは、前後方向において、前記ステアリングシャフトのいずれの部位よりも前方側に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】田植機の全体概略構成を示す側面図
図2】ボンネットを取り外した状態での田植機の要部を示す左側面図
図3】ボンネットを取り外した状態での田植機の要部を示す平面図
図4】ボンネットの後部を取り外した状態でのダッシュボードの下部を示す斜視図
図5】変速機構の概略構成を示す図
図6】ステアリング系統の概略構成を示す前方側から見た正面図
図7】ステアリング系統の概略構成を示す後方側から見た斜視図
図8】ステアリング系統の要部を示す右側面図
図9】ステアリング系統の要部を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る作業車両の実施形態を図面に基づいて説明する。
作業車両としての田植機1は、図1に示すように、走行機体2と苗植装置3が備えられ、苗植装置3が昇降機構4を介して走行機体2の後部に昇降自在に支持されている。苗植装置3は、苗載台31及び複数の苗植付爪32を備えており、苗載台31の苗を複数の苗植付爪32により圃場に植付可能に構成されている。
【0010】
ちなみに、この実施形態では、作業車両として田植機1を例示したが、田植機1の他、トラクタ、コンバイン、土木・建築作業装置、除雪車等、乗用型作業車両が適用可能である。
【0011】
走行機体2は、前後方向に延びる車体フレーム5が備えられ、車体フレーム5に各種の機器が支持されている。車体フレーム5には、その前方側に駆動源となるエンジン6(図2及び図3参照)が支持され、エンジン6よりも後方側にミッションケース7が支持されている。走行機体2の前部には、エンジン6を覆うボンネット10が備えられている。ちなみに、図2は、ボンネット10を取り外した状態でのボンネット10の内部及びミッションケース7を示す左側面図であり、図3は、ボンネット10を取り外した状態でのボンネット10の内部及びミッションケース7を示す平面図である。
【0012】
ミッションケース7には、図示は省略するが、例えば、油圧-機械式無段変速機(HMT:Hydro Mechanical Transmission)、及び、HMTからの動力を複数段に変速する変速機構等が備えられている。ちなみに、HMTは、エンジン6からの動力を無段階に変速可能な油圧式無段変速機(HST:Hydro Static Transmission)と、エンジン6からの動力及びHSTからの動力を合成することが可能な遊星歯車機構とを組み合わせて構成されている。
【0013】
車体フレーム5の前部には、フロントアクスルケース(図示省略)が支持されており、フロントアクスルケースの左右両側に前輪8が取り付けられている。車体フレーム5の後部には、リアアクスルケース(図示省略)が支持されており、リアアクスルケースの左右両側に後輪9が取り付けられている。
【0014】
田植機1は、図2に示すように、エンジン6の動力が動力伝達ベルト22を介してミッションケース7に伝達され、ミッションケース7の内部にあるHMT及び変速機構等によりミッションケース7からの出力を変速自在に構成されている。そして、ミッションケース7からの出力が左右の前輪8と左右の後輪9とのそれぞれに伝達自在であり、前輪8及び後輪9が回転駆動自在に構成されている。
【0015】
車体フレーム5の前部には、図1中点線で示すように、上下方向に延びる取付フレーム11が配設されており、取付フレーム11に予備苗載台12が取り付けられている。予備苗載台12は、ボンネット10の左右両側に配置されている。予備苗が予備苗載台12に載置されて、苗植装置3への苗補給が可能とされている。
【0016】
車体フレーム5の前後方向の中間部には、運転操作部13が配置されている。運転操作部13の前方側であり、ボンネット10の後端部には、ダッシュボード14が配置されている。ダッシュボード14の左右方向の中央部に、操縦ハンドル15が配置され、操縦ハンドル15の後方側には、運転座席16が配置されている。ボンネット10の左右方向の両側及びその後部の車体フレーム5上を覆う車体カバー17が備えられている。運転操作部13には、主変速レバー18、ブレーキペダル19(図4参照)、変速ペダル20(図4参照)、昇降クロスレバー21(図4参照)等の各種の操作具が備えられている。
【0017】
ちなみに、操作具について説明すると、主変速レバー18は、前進、中立、後進を含めて走行機体2の走行速度を変速操作するためのレバーである。ブレーキペダル19は、前輪8や後輪9に制動力を付与する制動操作を行うためのペダルである。変速ペダル20は、ミッションケース7からの出力を変速して走行機体2の走行速度を変速操作するためのペダルである。昇降クロスレバー21は、昇降機構4により苗植装置3を昇降操作するためのレバーである。昇降クロスレバー21は、前後方向及び左右方向の両方向に揺動操作自在に構成されており、どの位置に揺動操作されているかを検出する検出センサ等が備えられている。
【0018】
以下、図6及び図7に基づいて、操縦ハンドル15の回転操作によって前輪8(車輪)を操向操作するためのステアリング系統の概略構成について説明する。
【0019】
操縦ハンドル15の中心部分に接続されて、操縦ハンドル15の操舵力を前輪8に伝達するステアリングシャフト41が備えられている。ステアリングシャフト41は、その周囲が支持部材により覆われているので、図2図6、及び、図7では、覆われている部位を点線にて示している。ステアリングシャフト41は、上下方向に延びるように備えられ、その上端部が操縦ハンドル15に連結されている。ステアリングシャフト41の下端部がシール部材42を介してミッションケース7の上部に連結されており、ステアリングシャフト41は、ミッションケース7の上部に支持されている。
【0020】
ステアリングシャフト41は、上方側から順に、上方側シャフト41a、中間シャフト41b、下方側シャフト41cの3つのシャフトに分割されている。上方側シャフト41aは、上方側ほど後方側に位置する後方傾斜姿勢にて配置されており、中間シャフト41b及び下方側シャフト41cは、上下方向に沿って延びる起立姿勢にて配置されている。上方側シャフト41aと中間シャフト41bは継手部材43にて一体的に回転するように接続されており、中間シャフト41bと下方側シャフト41cとの間にはパワーステアリング装置61が配置されている。
【0021】
ユーザが操縦ハンドル15を回転操作すると、その回転操作に伴う操舵力がステアリングシャフト41に伝達される。ステアリングシャフト41の中間部にはパワーステアリング装置61が備えられており、パワーステアリング装置61は、電動モータ62を備えており、電動モータ62の駆動力を操舵補助力としてステアリングシャフト41に付与する電動式に構成されている。よって、ステアリングシャフト41には、ユーザによる操縦ハンドル15の操舵力に加えて、パワーステアリング装置61における電動モータ62による操舵補助力が付与されている。ステアリングシャフト41は、操縦ハンドル15による操舵力、及び、パワーステアリング装置61による操舵補助力によって回転駆動することになり、ステアリングシャフト41の回転駆動によってピットマンアーム(図示省略)を揺動操作して右及び左の前輪8を操向操作するように構成されている。
【0022】
パワーステアリング装置61は、中間シャフト41bと下方側シャフト41cとの間に配置されたパワーステアリングケース63と、電動モータ62とが備えられている。パワーステアリングケース63は、図9に示すように、大径の円筒部位の上部に小径の円筒部位を配置させた平面視で円形状に形成されており、その上端部から上方側に延びる状態で入力部64が配置され、その底面部から下方側に延びる状態で出力部65が配置されている。パワーステアリングケース63内には、詳細な図示は省略するが、例えば、入力部64にて入力された操舵力(回転駆動力)を伝達して出力部65に出力する軸部、その軸部の途中部に配置される駆動ギヤ、トルクセンサ等が収容されている。そして、パワーステアリング装置61は、図9に示すように、入力部64が中間シャフト41bに接続されており、中間シャフト41bから入力部64に操舵力(回転駆動力)が伝達されるように構成されている。また、パワーステアリング装置61は、図9に示すように、出力部65がジョイント部材52を介して下方側シャフト41cに接続されており、出力部65からジョイント部材52を介して下方側シャフト41cに操舵力(回転駆動力)伝達されるように構成されている。
【0023】
図7及び図9に示すように、電動モータ62は、例えば、パワーステアリングケース63内の駆動ギヤに噛合する出力ギヤを備えており、パワーステアリングケース63内の駆動ギヤを駆動回転自在に備えられている。パワーステアリング装置61は、操縦ハンドル15の回転操作に伴う操舵力(回転駆動力)が中間シャフト41bから入力部64に入力されると、その操舵力(回転駆動力)に電動モータ62による操舵補助力(回転駆動力)を加えた操舵力(回転駆動力)を出力部65から出力して、ジョイント部材52を介して下方側シャフト41cに伝達するように構成されている。
【0024】
ステアリングシャフト41の支持構成について説明する。
図6及び図7に示すように、ブッシュ等(図示省略)を介してステアリングシャフト41を回転自在に支持する上方側支持部材44と、ステアリングシャフト41が内部に配置されてパワーステアリング装置61を支持する下方側支持部材45とが備えられている。上方側支持部材44及び下方側支持部材45の夫々が、ステアリングシャフト41を覆う状態でステアリングシャフト41の軸心方向に延びるように構成されている。
【0025】
上方側支持部材44は、上方側シャフト41a及び中間シャフト41b(ステアリングシャフト41においてパワーステアリング装置61よりも上方側部位)の外周部を覆う状態で備えられている。下方側支持部材45は、下方側シャフト41c(ステアリングシャフト41においてパワーステアリング装置61よりも下方側部位)の外周部を覆う状態で備えられている。
【0026】
上方側支持部材44は、上方側から順に、上方側シャフト41aに相当する部位を覆う第1支持部材46と、継手部材43に相当する部位を覆う第2支持部材47と、中間シャフト41bに相当する部位を覆う第3支持部材48と、支持基台66とが備えられている。上方側支持部材44は、支持基台66によって下方側支持部材45の上部に支持されている。
【0027】
第1支持部材46は、上方側シャフト41aの周方向の全長に亘って覆う円筒状に構成されており、ブッシュ等(図示省略)を介して上方側シャフト41aを回転自在に支持している。よって、上方側支持部材44は、上方側シャフト41a及びブッシュ等の中間部材を介して操縦ハンドル15に連結されている。第2支持部材47は、その上端部が第1支持部材46に連結されており、継手部材43の前方、上方及び左右方向の両側を覆い、且つ、継手部材43の後方側を開放するコ字状に構成されている。第3支持部材48は、その上端部が第2支持部材47に連結されており、中間シャフト41bの左右両側を覆い、且つ、中間シャフト41bの前方側及び後方側を開放する前後方向に延びる一対の板状体にて構成されている。
【0028】
下方側支持部材45は、図9に示すように、その内部を中空空間45aとする円筒状に形成され、その中空空間45aに下方側シャフト41cが配置されている。下方側支持部材45の下部には、図6及び図9に示すように、シール部材42が配置されており、下方側支持部材45とミッションケース7との間にシール部材42が配設されている。シール部材42は、下方側支持部材45の内部の中空空間45aと連通する部位をシールする(塞ぐ)ことで、ミッションケース7の内部と下方側支持部材45の内部の中空空間45aとを遮断しており、ミッションケース7の内部と下方側支持部材45の内部の中空空間45aとの間での水や作動油等の移動を防止している。
【0029】
下方側支持部材45は、図7図9に示すように、その上端部に水平方向に延びるフランジ部49が備えられている。フランジ部49は、前後方向及び左右方向において、下方側支持部材45の外径よりも幅広に形成されている。下方側支持部材45には、その外周部から前方側又は後方側に延びる傾斜状のリブ部51が備えられ、リブ部51の上端部がフランジ部49に連結されている。リブ部51は、下方側支持部材45の前方側に左右方向に間隔を隔てて左右一対備えられ、下方側支持部材45の後方側にも左右方向に間隔を隔てて左右一対備えられている。
【0030】
パワーステアリング装置61の支持構成について説明する。
パワーステアリング装置61のパワーステアリングケース63は、図7図9に示すように、下方側支持部材45のフランジ部49上に載置支持されている。フランジ部49の中央側部位には、図9に示すように、下方側支持部材45の内部の中空空間45aを開放する開口部50が形成されており、この開口部50を上方側から塞ぐ状態でパワーステアリングケース63が配置されている。パワーステアリングケース63には、下方側に突出する出力部65が備えられ、その出力部65が開口部50を通して中空空間45a内に延びるように配置されている。これにより、出力部65と下方側シャフト41cとがジョイント部材52を介して連結され、出力部65から出力される操舵力(回転駆動力)がジョイント部材52を介して下方側シャフト41cに伝達自在に構成されている。パワーステアリングケース63には出力部65の周囲に開口部67が形成されており、パワーステアリングケース63の開口部67と下方側支持部材45におけるフランジ部49の開口部50とにより、パワーステアリング装置61の内部と下方側支持部材45の内部の中空空間45aとが連通するように構成されている。
【0031】
このようにして、パワーステアリングケース63は、その内部が下方側支持部材45の内部の中空空間45aと連通する状態でフランジ部49上に載置支持されている。下方側支持部材45は、内部の中空空間45aにステアリングシャフト41を配置させ、且つ、その内部の中空空間45aとパワーステアリング装置61の内部とを連通させる状態でパワーステアリング装置61を支持するように構成された支持部材となっている。
【0032】
電動モータ62は、パワーステアリングケース63の横側方に延びる状態でパワーステアリングケース63に連結支持されている。電動モータ62は、その内部がパワーステアリングケース63の内部に連通する状態で備えられている。
【0033】
上方側支持部材44について説明を加える。
上方側支持部材44には、主変速レバー18や昇降クロスレバー21等の操作具を支持する操作具支持構成が一体的に備えられている。図6及び図7に示すように、上方側支持部材44における第2支持部材47の前端部には、左右方向に延びる棒状の操作具用支持フレーム71が備えられている。操作具用支持フレーム71の左端部には、主変速レバー18のレバーガイド72が支持され、そのレバーガイド72に主変速レバー18が支持されている。操作具用支持フレーム71の右端部には、昇降クロスレバー21(図4参照)や昇降クロスレバー21の位置を検出する検出センサ等を支持するための支持ブラケット73が備えられている。
【0034】
上述の如く、上方側支持部材44は、図7に示すように、第1支持部材46と第2支持部材47と第3支持部材48とを備えており、これら第1~第3支持部材46~48により、ステアリングシャフト41を囲む状態でステアリングシャフト41を回転自在に支持するシャフト側支持部材が構成されている。上方側支持部材44では、支持基台66の上部にシャフト側支持部材(第1~第3支持部材46~48)が連結支持されており、支持基台66の下端部を下方側支持部材45の上部に連結することで、上方側支持部材44が、支持基台66を介して下方側支持部材45の上部に支持されている。
【0035】
支持基台66は、図7に示すように、パワーステアリング装置61を覆うように備えられている。支持基台66は、パワーステアリングケース63の外周部と間隔を隔てて(接触せずに)覆うように構成されている。支持基台66は、パワーステアリングケース63の左右方向の両側及び上方側を覆い、且つ、前後方向の両側を開放する前後方向視でコ字状に形成されている。支持基台66において、パワーステアリングケース63の左側を覆う左壁部66a、パワーステアリングケース63の右側を覆う右壁部66b、パワーステアリングケース63の上部を覆う上壁部66cの夫々には、各種の部材を挿通させて各種の部材を所望位置に配置するための開口部や切欠部が形成されている。このように、支持基台66は、パワーステアリング装置61と干渉することなく配置されている。
【0036】
支持基台66は、その下端部がボルトナットの締結により下方側支持部材45のフランジ部49に連結支持されている。支持基台66は、平面視で矩形状に形成され、前後方向及び左右方向での幅がフランジ部49と同じ又は略同じ幅に構成されている。そして、支持基台66及びフランジ部49の四隅が下方側支持部材45のフランジ部49への連結支持箇所となっている。
【0037】
上方側支持部材44は、図7及び図8に示すように、その下端部に配置された支持基台66にて下方側支持部材45のフランジ部49に連結されている。第1支持部材46と第2支持部材47と第3支持部材48とが溶接等により連結されて一体的に備えられて、シャフト側支持部材が構成されている。左右一対の第3支持部材48の下端部が支持基台66の左右方向の両側に連結されており、第3支持部材48と支持基台66との連結はボルトナットの締結により行われている。これにより、シャフト側支持部材(第1~第3支持部材46~48)と支持基台66とが分離自在な別体に構成されている。第3支持部材48と支持基台66は、第3支持部材48及び支持基台66の前後方向での全長に亘って第3支持部材48の下端部と支持基台66の上壁部66cとが当接しており、その前後方向の両端部がボルトナットの締結箇所となっている。支持基台66は、左右一対の第3支持部材48よりも左右方向で広幅に形成されており、シャフト側支持部材(第1~第3支持部材46~48)を安定して支持できるように構成されている。
【0038】
支持基台66は、パワーステアリングケース63の外周部と間隔を隔てて(接触せずに)覆うので、上方側支持部材44は、支持基台66にて下方側支持部材45のフランジ部49に連結することで、上方側支持部材44が、下方側支持部材45のフランジ部49において、パワーステアリングケース63の支持位置から外れた位置に支持されている。
【0039】
操縦ハンドル15を回転操作する際に、操縦ハンドル15に対して外力が発生すると、上方側支持部材44が、上方側シャフト41a及びブッシュ等の中間部材を介して操縦ハンドル15に連結されているので、その外力が上方側支持部材44に伝達される。上方側支持部材44に伝達された外力は、支持基台66を介して下方側支持部材45のフランジ部49に伝達され、パワーステアリング装置61に外力が伝達されるのを防止することができる。よって、操縦ハンドル15に対して発生する外力がパワーステアリング装置61にかかるのを防止して、パワーステアリング装置61にかかる外力を最小限に抑えることができる。しかも、上方側支持部材44には、レバーガイド72や支持ブラケット73等の操作具支持構成が一体的に備えられているので、操作具(主変速レバー18や昇降クロスレバー21)に作用する外力も、支持基台66を介して下方側支持部材45のフランジ部49に伝達され、パワーステアリング装置61に外力が伝達されるのを防止することができる。
【0040】
操作具用支持フレーム71には、図6及び図7に示すように、レバーガイド72や支持ブラケット73等の操作具支持構成だけでなく、操作具用支持フレーム71と支持基台66とを連結する補強フレーム74が備えられている。補強フレーム74は、ステアリングシャフト41よりも右側において、上方側ほど前方側に位置する前方傾斜姿勢に配置されている。補強フレーム74の下端部が支持基台66の右壁部66bに連結されており、第1支持部材46と第2支持部材47と第3支持部材48との一体物(シャフト側支持部材)の支持強度を向上させるようにしている。このようにして、操作具用支持フレーム71の一部及び補強フレーム74により、第1支持部材46と第2支持部材47と第3支持部材48との一体物(シャフト側支持部材)と支持基台66とを連結する補強部材が、操作具用支持フレーム71の一部及び補強フレーム74にて構成されている。補強フレーム74は、操作具用支持フレーム71と支持基台66とを連結するだけでなく、その中間部に電装部材75が支持されている。これにより、操作具用支持フレーム71の一部及び補強フレーム74にて構成される補強部材には、ステアリングシャフト41及びパワーステアリング装置61を支持するための支持部材以外の部材である電装部材75が支持されている。
【0041】
下方側支持部材45は、図6及び図7に示すように、ステアリングシャフト41を覆うだけでなく、下方側支持部材45の左側部に変速ケース81が連結支持されている。変速ケース81は、左右方向に分割自在な分割ケースを組み付けて構成されている。変速ケース81には、変速操作に伴ってミッションケース7からの出力を変速するための変速機構82(図5参照)が収容されている。
【0042】
図5に示すように、変速機構82は、左右方向に延びる変速操作軸83が回転自在に備えられている。変速操作軸83には、扇形歯車84と第1アーム85の基端部が固定されており、変速操作軸83、扇形歯車84、及び、第1アーム85が一体的に回転自在に備えられている。扇形歯車84に噛合するピニオン86を回転駆動させるアクチュエータ87(電動モータ)が備えられ、アクチュエータ87にてピニオン86を回転駆動することで、扇形歯車84を介して変速操作軸83を回転駆動させるように構成されている。
【0043】
第1アーム85の先端部には、後方側に延びる変速ロッド93が連結されており、変速操作軸83の回転により変速ロッド93を前後方向に移動操作するように構成されている。図示は省略するが、変速ロッド93の後端部は、連係機構等を介してミッションケース7の内部のHSTにおけるトラニオン軸に連動連結されている。これにより、変速ロッド93を前後方向に移動操作することによって、トラニオン軸を操作してHSTの斜板角度を所望角度に調整し、ミッションケース7からの出力(走行速度)を無段階で変速可能に構成されている。
【0044】
扇形歯車84には、円弧状のカム溝88が形成されており、先端部がカム溝88内で移動自在に係合された第2アーム89が備えられている。左右方向に延びて回転自在な横軸90が備えられ、その横軸90に第2アーム89の基端部及び第3アーム91の基端部が連結されている。扇形歯車84が回転することで、第2アーム89の先端部がカム溝88内を移動して横軸90が回転され、第3アーム91が揺動操作される。第3アーム91の先端部にワイヤー92が連結され、ワイヤー92の他端部にエンジン6のスロットルレバーが連結されている。これにより、第3アーム91の揺動操作に応じてスロットルレバーが連動して操作されるように連係されており、ミッションケース7からの出力(走行速度)を無段階で変速することで、エンジン6のエンジン回転速度が調整されるようにしている。
【0045】
図4に示すように、運転操作部13においてダッシュボード14の右下側には、変速ペダル20が配置されており、変速ペダル20の踏み込み量を検出するポテンショメータ等(図示省略)が備えられている。そして、変速ペダル20の踏み込み量に応じて、HSTの斜板角度が所望角度になるように、変速機構82におけるアクチュエータ87(図5参照)を回転駆動させている。これにより、変速機構82は、ユーザによる変速ペダル20の踏み込み操作に応じて、ミッションケース7からの出力(走行速度)を所望の変速状態に変速している。
【0046】
下方側支持部材45は、図9に示すように、その内部が中空空間45aとなっているので、中空空間45aを利用して、ミッションケース7の内部を外部に開放するとともに、パワーステアリング装置61の内部を外部に開放するための構成が備えられている。
【0047】
図8に示すように、ミッションケース7の内部と下方側支持部材45の内部とを連通させる状態でミッションケース7と下方側支持部材45とを接続する連通接続部100と、下方側支持部材45の内部を外部に開放する外部開放部101とが備えられている。連通接続部100は、ミッションケース7の内部と下方側支持部材45の内部とを連通接続するミッション用ブリーザパイプにて構成されている。下方側支持部材45に対する連通接続部100の接続箇所100aには、下方側支持部材45の外壁部を貫通する孔部が形成されており、この孔部により下方側支持部材45の内部に連通されている。外部開放部101は、下方側支持部材45の内部と外部とを連通接続するブリーザパイプにて構成されている。外部開放部101は、下方側支持部材45の内部と外部とを連通接続することで、ミッションケース7の内部を下方側支持部材45の内部を介して外部に連通するためのブリーザパイプと、パワーステアリング装置61の内部を下方側支持部材45の内部を介して外部に連通するためのブリーザパイプとを兼用するものとなっている。下方側支持部材45に対する外部開放部101の接続箇所101aには、下方側支持部材45の外壁部を貫通する孔部が形成されており、この孔部により下方側支持部材45の内部に連通されている。外部開放部101は、ステアリングシャフト41の周囲において上方側に延びるように配置されている。外部開放部101の上端部は、上方側支持部材44の第2支持部材47にて前上方側及び左右両側が覆われた空間に開放されている。
【0048】
連通接続部100によってミッションケース7の内部と下方側支持部材45の内部とが連通接続されているので、図8及び図9に示すように、ミッションケース7の内部の空気を、一旦、下方側支持部材45の中空空間45aに供給することができる。そして、外部開放部101によって下方側支持部材45の中空空間45aが外部に開放されているので、下方側支持部材45の中空空間45aに供給された空気を、最終的には外部に排出することができる。これにより、ミッションケース7の内部を外部に開放して、ミッションケース7の内部の圧力を外部に逃がすことができ、ミッションケース7の内部が高圧になることを防止することができる。
【0049】
図9に示すように、パワーステアリング装置61のパワーステアリングケース63の内部が下方側支持部材45の中空空間45aと連通する状態でパワーステアリング装置61が備えられている。よって、パワーステアリング装置61の内部の熱や水蒸気は、一旦、下方側支持部材45の中空空間45aに供給することができる。そして、図8及び図9に示すように、外部開放部101によって下方側支持部材45の中空空間45aが外部に開放されているので、下方側支持部材45の中空空間45aに供給された熱や水蒸気を、最終的には外部に放熱又は放出することができる。これにより、パワーステアリング装置61の内部の熱や水蒸気を外部に放熱又は放出することができ、パワーステアリング装置61の内部が高温状態となったり、パワーステアリング装置61の内部に結露水等の水分が溜まるのを防止することができる。
【0050】
連通接続部100及び外部開放部101の両方は、図8に示すように、下方側支持部材45の右側部に配置されており、ステアリングシャフト41よりも右側に配置されている。そして、下方側支持部材45に対する連通接続部100の接続箇所100aと下方側支持部材45に対する外部開放部101の接続箇所101aは、前後方向及び上下方向に間隔を隔てて配置されている。ちなみに、図6及び図7では、連通接続部100及び外部開放部101を省略しており、下方側支持部材45に対する連通接続部100の接続箇所100aと下方側支持部材45に対する外部開放部101の接続箇所101aのみ図示している。
【0051】
連通接続部100の接続箇所100aと外部開放部101の接続箇所101aは、図8に示すように、前後方向において、側面視における下方側支持部材45の中央部(図8中、Cの点線)を挟んで離間する状態で配置されている。連通接続部100の接続箇所100aが下方側支持部材45の中央部よりも後方側に配置されており、外部開放部101の接続箇所101aが下方側支持部材45の中央部及びそれよりも前方側に配置されている。また、外部開放部101の接続箇所101aは、上下方向において、連通接続部100の接続箇所100aよりも上方側に配置されている。連通接続部100の接続箇所100aは、下方側支持部材45の上端部に配置されており、外部開放部101の接続箇所101aは、下方側支持部材45の上下方向の中間部に配置されている。
【0052】
以下、パワーステアリング装置61における電動モータ62と他の機器との配置関係について説明する。
パワーステアリング装置61の電動モータ62は、図6及び図7に示すように、ステアリングシャフト41の軸心方向に対して直交する横側方から操舵補助力を付与するので、ステアリングシャフト41の横側方に配置されている。電動モータ62は、図2に示すように、前後方向において、エンジン6よりも後方側で且つステアリングシャフト41よりも前方側に配置されている。このように、エンジン6とステアリングシャフト41との間のスペースを有効に活用して電動モータ62を配置させており、ボンネット10内の限られたスペースに、エンジン6、ステアリングシャフト41、パワーステアリング装置61等を効率よく配置している。
【0053】
下方側支持部材45には、図6及び図7に示すように、その左側部に変速ケース81が配置されている。変速ケース81は、HSTのトラニオン軸を操作することで、ミッションケース7からの出力を変速する変速機構82(図5参照)を収容している。変速ケース81は、ステアリングシャフト41に対して左右方向の左側に配置されており、HSTのトラニオン軸も、ステアリングシャフト41に対して左右方向の左側に配置されており、変速ケース81とHSTのトラニオン軸が、ステアリングシャフト41に対して左右方向の同じ側に配置されている。これにより、変速ケース81とHSTのトラニオン軸とを連係する変速ロッド93の長さや構成等の簡素化を図ることができる。そして、図6及び図7に示すように、電動モータ62も下方側支持部材45の左側部に配置されており、変速ケース81と電動モータ62を、ステアリングシャフト41に対して左右方向の左側にまとめて配置している。電動モータ62は、変速ケース81よりも上方側に配置されており、電動モータ62と変速ケース81との干渉を抑制しながら、変速ケース81よりも上方側のスペースを活用して効率よく配置している。また、図2に示すように、前後方向では、電動モータ62の一部と変速ケース81の一部とが重複するように配置されている。
【0054】
変速ケース81と電動モータ62を、ステアリングシャフト41に対して左右方向の左側にまとめて配置することで、ステアリングシャフト41に対して左右方向の右側には、電動モータ62や変速ケース81等の配置スペースを確保する必要がなくなる。よって、ステアリングシャフト41よりも右側に大きなスペースを確保することができる。図4に示すように、ステアリングシャフト41に対して左右方向の右側には、エンジン6のオイルフィルタ25や給油口26が配置されている。そこで、ステアリングシャフト41よりも右側の大きなスペースを活用して、エンジン6等のメンテナンス作業を行うことができ、メンテナンス作業の簡素化を図ることができる。
【0055】
図2及び図3に示すように、エンジン6の左側端部には、フライホイル23が配置されており、そのフライホイル23を上方側から覆うフライホイルカバー24が備えられている。フライホイルカバー24は、フライホイル23の上方側を覆うだけでなく、フライホイル23の後方側も覆うように構成されている。フライホイルカバー24は、フライホイル23の上部において前後方向に延びる部位と、その前後方向に延びる部位の後端部から連続してフライホイル23の後方側まで下方後方側に延びる部位とを備えた円弧状に形成されている。このような形状のフライホイルカバー24を備えることで、泥水等の上方側への飛散を防止している。
【0056】
そこで、電動モータ62は、図2に示すように、フライホイル23の外周部とフライホイルカバー24の下端部とを通るフライホイル23の接線(図2中、Sの点線)よりも上方側に配置されている。このように、電動モータ62を配置することで、フライホイルカバー24にて泥水の飛散が防止されている位置に電動モータ62を配置することができ、泥水の飛散等により電動モータ62に悪影響が及ぶのを防止することができる。また、変速ケース81も、フライホイル23の外周部とフライホイルカバー24の下端部とを通るフライホイル23の接線(図2中、Sの点線)よりも上方側に配置されている。
【0057】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、電動モータ62と変速ケース81をステアリングシャフト41よりも左側に配置しているが、電動モータ62と変速ケース81をステアリングシャフト41よりも右側に配置することもできる。また、電動モータ62と変速ケース81とをステアリングシャフト41に対して左側と右側とに分散して配置することもできる。
【0058】
(2)上記実施形態では、ボンネット10内に変速ケース81を配置しているが、変速ケース81を省略することもできる。
【0059】
(3)上記実施形態では、ステアリングシャフト41を、上方側シャフト41aと中間シャフト41bと下方側シャフト41cの3つのシャフトに分割しているが、何本のシャフトに分割するかは適宜変更が可能であり、例えば、1本のシャフトにてステアリングシャフト41を構成することもできる。
また、ステアリングシャフト41の姿勢についても、例えば、下方側ほど前方側に位置する後方傾斜姿勢や上下方向に沿って延びる起立姿勢等、各種の姿勢を適用することができる。
【0060】
<発明の付記>
本発明の第1特徴構成は、エンジンと、そのエンジンからの駆動力が伝達されるミッションケースと、操縦ハンドルの操舵力を車輪に伝達するステアリングシャフトと、そのステアリングシャフトに操舵補助力を付与するパワーステアリング装置とが備えられ、
前記パワーステアリング装置は、電動モータの駆動力を前記ステアリングシャフトに付与する電動式に構成され、
前記ステアリングシャフトは、前記ミッションケースの上部に支持され、
ボンネット内には、前記エンジン、前記ステアリングシャフト、及び、前記パワーステアリング装置が配置され、
前記電動モータは、前後方向において、前記エンジンよりも後方側で且つ前記ステアリングシャフトよりも前方側に配置されている点にある。
【0061】
本構成によれば、電動モータは、前後方向において、エンジンよりも後方側で且つステアリングシャフトよりも前方側に配置されているので、エンジンとステアリングシャフトとの間のスペースを有効に活用して電動モータを配置させることができ、ボンネット内にパワーステアリング装置を効率よく配置することができる。これにより、ボンネットが、ステアリングシャフトよりも後方側に張り出した形状となるのを防止でき、操縦ハンドルを操作するユーザの足元に十分なスペースを確保することができる。
【0062】
本発明の第2特徴構成は、前記ボンネット内には、変速操作に伴って前記ミッションケースからの出力を変速するための変速機構を備えた変速ケースが備えられ、
前記変速ケースは、前記ミッションケースの上部に配置され、
前記電動モータは、前記変速ケースよりも上方側に配置されている点にある。
【0063】
本構成によれば、ボンネット内において、ミッションケースの上部のスペースを有効に活用して、電動モータだけでなく、変速ケースも配置することができる。しかも、電動モータは、変速ケースよりも上方側に配置させて、電動モータと変速ケースとを上下方向で異なる位置に配置させているので、電動モータと変速ケースとの干渉を抑制しながら、電動モータ及び変速ケースを効率よく配置することができる。よって、ボンネット内のスペースを有効に活用して、エンジン、ステアリングシャフト、パワーステアリング装置、変速ケースの夫々を効率よく配置することができる。
【0064】
本発明の第3特徴構成は、前記電動モータ及び前記変速ケースは、前記ステアリングシャフトに対して左右方向の同じ側に配置されている点にある。
【0065】
本構成によれば、ステアリングシャフトに対して左右方向の一方側のスペースを活用して、電動モータ及び変速ケースをまとめて配置することができるので、ステアリングシャフトに対して左右方向の他方側には、電動モータや変速ケース等の配置スペースを確保する必要がなくなる。これにより、ステアリングシャフトに対して左右方向の他方側にスペースを確保することができ、そのスペースをエンジン等のメンテナンス作業を行うときのスペースやその他各種の用途に活用することができる。
【0066】
本発明の第4特徴構成は、前記エンジンのフライホイルを上方側から覆うフライホイルカバーが備えられ、
前記電動モータは、前記フライホイルの外周部と前記フライホイルカバーの下端部とを通る前記フライホイルの接線よりも上方側に配置されている点にある。
【0067】
本構成によれば、フライホイルカバーはフライホイルを上方側から覆っているので、フライホイルカバーによってそれよりも上方側への泥水等の飛散を防止することができる。電動モータは、フライホイルの外周部とフライホイルカバーの下端部とを通るフライホイルの接線よりも上方側に配置されているので、フライホイルカバーにて泥水の飛散が防止されている位置に電動モータを配置することができ、泥水の飛散等により電動モータに悪影響が及ぶのを防止することができる。
【0068】
本発明の一態様に係る作業車両は、エンジンと、操縦ハンドルの操舵力を車輪に伝達するステアリングシャフトと、そのステアリングシャフトに操舵補助力を付与するパワーステアリング装置と、を備える。前記パワーステアリング装置は、電動モータの駆動力を前記ステアリングシャフトに付与するように構成される。前記電動モータは、前後方向において、前記エンジンよりも後方側で且つ前記ステアリングシャフトよりも前方側に配置されている。
【0069】
本発明の一態様に係る作業車両は、エンジンと、操縦ハンドルの操舵力を車輪に伝達するステアリングシャフトと、そのステアリングシャフトに回転駆動力を付与する電動モータと、を備える。前記ステアリングシャフトは、ミッションケースの上部に支持される。前記電動モータは、前後方向において、前記エンジンよりも後方側で且つ前記ステアリングシャフトよりも前方側に配置されている。
【符号の説明】
【0070】
1 田植機(作業車両)
6 エンジン
7 ミッションケース
8 前輪(車輪)
10 ボンネット
15 操縦ハンドル
23 フライホイル
24 フライホイルカバー
41 ステアリングシャフト
61 パワーステアリング装置
62 電動モータ
81 変速ケース
82 変速機構
S フライホイルの接線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9