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特開2024-138515建材パネルの接合金具およびその接合金具を用いた建材パネルの連結構造体
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  • 特開-建材パネルの接合金具およびその接合金具を用いた建材パネルの連結構造体 図22
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138515
(43)【公開日】2024-10-08
(54)【発明の名称】建材パネルの接合金具およびその接合金具を用いた建材パネルの連結構造体
(51)【国際特許分類】
   E04D 3/363 20060101AFI20241001BHJP
   E04D 3/365 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
E04D3/363 A
E04D3/365 G
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024114094
(22)【出願日】2024-07-17
(62)【分割の表示】P 2022137584の分割
【原出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000200323
【氏名又は名称】JFE鋼板株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和泉 直樹
(72)【発明者】
【氏名】長岐 大三
(57)【要約】      (修正有)
【課題】現場での施工が容易に行える建材パネルの接合金具およびその接合金具を用いた建材パネルの連結構造体を提供する。
【解決手段】幅両縁部に継手が設けられた金属製の外皮材と、外皮材の裏面に固定される芯材とを備え、外皮材の幅方向の両縁部にそれぞれ他の建材パネルを隣接配置してその建材パネルの隣接継手と継手とを対面させ、カバーキャップを介して継手を相互に連係、覆い隠すことにより建築構造物を構築し、継手は外縁端において立ち上がる起立片を有する建材パネルの接合金具であって、断面がハット型形状であり、天板部と天板部の両端に折り曲げられて一方端が接続する縦壁部とで構成された本体と、縦壁部の他方端に一方端が片持ち状態で接続され、他方端に立設した立ち上り羽根部を有する舌片を備え、天板部の幅より対向する縦壁部の下端の開きが狭くなっており、舌片には建材パネル固定用の案内孔をもつ、建材パネルの接合金具。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向の両縁部にそれぞれ継手が設けられた金属製の外皮材と、該外皮材の裏面に配置、固定される芯材とを備え、該外皮材の幅方向の両縁部にそれぞれ他の建材パネルを隣接配置してその建材パネルの隣接継手と該継手とを対面させるとともに、それら継手をカバーキャップを介して相互に連係、覆い隠すことにより建築構造物の屋根または壁を構築し、前記継手は、その外縁端において立ち上がる起立片を有する建材パネルの接合金具であって、
断面がハット型形状であり、天板部と該天板部の両端に折り曲げられて一方端が接続する縦壁部とで構成された本体と、前記縦壁部の他方端に一方端が片持ち状態で接続され、他方端に立設した立ち上り羽根部を有する舌片を備え、
前記天板部の幅より対向する縦壁部の下端の開きが狭くなっており、
前記舌片には建材パネル固定用の案内孔をもつ、建材パネルの接合金具。
【請求項2】
幅方向の両縁部にそれぞれ継手が設けられた金属製の外皮材と、該外皮材の裏面に配置、固定される芯材とを備え、該外皮材の幅方向の両縁部にそれぞれ他の建材パネルを隣接配置してその建材パネルの隣接継手と該継手とを対面させるとともに、それら継手を、カバーキャップを介して相互に連係、覆い隠すことにより建築構造物の屋根または壁を構築し、前記継手は、その外縁端において立ち上がる起立片を有する建材パネルを複数枚用意し、各建材パネルの継手同士を対面させるとともに、
請求項1に記載の建材パネルの接合金具の本体部で隣り合う建材パネルの前記起立片どうしを挟み込み両建材パネルをつなぎ合わせ、各建材パネルを下地材に固定し、前記建材パネルの継手を、カバーキャップを介して相互に連係、覆い隠してなる、接合金具を用いた建材パネルの連結構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築構造物の屋根や外壁を構築するのに好適な建材パネルの接合金具およびその接合金具を用いた建材パネルの連結構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属板を外皮材としてその裏面に断熱材が備えられた建材パネルは、軽量で、高強度、断熱効率が高いメリットを有しており、工場や倉庫、一般住宅や集合住宅、店舗等の商業施設、あるいは畜舎等の建築構造物の屋根材や外壁材として広く採用されており、この点に関する先行技術としては、例えば、特許文献1、特許文献2が参照される。
【0003】
ところで、この種の建材パネルは、以下のような不具合があり、未だ改善の余地が残されている。すなわち、かかる建材パネルは、建材パネル同士を連係させるカバーキャップがパネル本体に一体連結された構造からなっており、パネル本体とカバーキャップの連係位置が同じになることから重ね合わせ部分に段差が生じるためカバーキャップが嵌めにくく、無理やりカバーキャップを嵌めようとするとカバーキャップと断熱材との境界面で断熱材が割れるおそれもあり、建材パネルの長手方向のつなぎ合わせが困難で現場施工性がよいとはいえないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3374072号公報
【特許文献2】特許第5189401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、優れた断熱性、気密性、水密性を確保しながらも、現場での施工が容易に行える建材パネルの接合金具およびその接合金具を用いた建材パネルの連結構造体を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、幅方向の両縁部にそれぞれ継手が設けられた金属製の外皮材と、該外皮材の裏面に配置、固定される芯材とを備え、該外皮材の幅方向の両縁部にそれぞれ他の建材パネルを隣接配置してその建材パネルの隣接継手と該継手とを対面させるとともに、それら継手をカバーキャップを介して相互に連係、覆い隠すことにより建築構造物の屋根または壁を構築し、前記継手は、その外縁端において立ち上がる起立片を有する建材パネルの接合金具であって、断面がハット型形状であり、天板部と該天板部の両端に折り曲げられて一方端が接続する縦壁部とで構成された本体と、前記縦壁部の他方端に一方端が片持ち状態で接続され、他方端に立設した立ち上り羽根部を有する舌片を備え、前記天板部の幅より対向する縦壁部の下端の開きが狭くなっており、前記舌片には建材パネル固定用の案内孔をもつ、建材パネルの接合金具である。
【0007】
また、本発明は、幅方向の両縁部にそれぞれ継手が設けられた金属製の外皮材と、該外皮材の裏面に配置、固定される芯材とを備え、該外皮材の幅方向の両縁部にそれぞれ他の建材パネルを隣接配置してその建材パネルの隣接継手と該継手とを対面させるとともに、それら継手をカバーキャップを介して相互に連係、覆い隠すことにより建築構造物の屋根または壁を構築し、前記継手は、その外縁端において立ち上がる起立片を有する建材パネルを複数枚用意し、各建材パネルの継手同士を対面させるとともに、上記の接合金具の本体部で隣り合う建材パネルの前記起立片どうしを挟み込み両建材パネルをつなぎ合わせ、各建材パネルを下地材に固定し、前記建材パネルの継手をカバーキャップを介して相互に連係、覆い隠してなる、接合金具を用いた建材パネルの連結構造体を構成することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、隣り合う2枚の継手の外縁端で起立片同士を突き合わせ、接合金具で固定することで目地合せが容易となる。また、建材パネルの継手にカバーキャップの取り付ける姿勢を一定に保持する吊子としての機能をもっている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明にしたがう建材パネルの実施の形態を模式的に示した外観斜視図である。
図2図1に示した建材パネルの分解斜視図である。
図3】(a)は、図1に示した建材パネルの正面図であり、(b)は図1に示した建材パネルの背面図である。
図4図3に示した建材パネルの平面図である。
図5図3に示した建材パネルの底面図である。
図6図3に示した建材パネルの右側面図である。
図7図5において内皮材を取り外した状態を示した図である。
図8図4のA-A断面を示した図である。
図9】建材パネルを構成する構成部材の一般部(接続部以外の部分)における組み立て状況を幅方向の断面で示した図である。
図10】建材パネルの一般部の接続状態を幅方向の断面で示した図である。
図11】本発明にしたがう建材パネルの長手方向におけるつなぎ合わせ要領の説明図である。
図12】建材パネルの長手方向のつなぎ合わせにおける組み立て状況を幅方向の断面で示した図である。
図13】建材パネルの長手方向のつなぎ合わせにおける接続状態を幅方向の断面で示した図である。
図14】(a)~(f)は、本発明にしたがう建材パネルの製造要領の説明図である。
図15】カバーキャップの外観斜視図である。
図16】クリップの構成を示した図であり、(a)は外観斜視図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は底面図、(e)は右側面図である。
図17】本発明にしたがう建材パネルを4枚つなぎ合わせた場合につき、カバーキャップCの組付け状況を模式示した図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)はカバーキャップの右側面をつなぎ合わせ前の状態で示した図、(d)は建材パネルの右側面をつなぎ合わせ前の状態で示した図である。
図18】本発明にしたがう建材パネルの他の実施の形態を断面について示した図である。
図19】本発明にしたがう建材パネルの他の実施の形態を断面について示した図である。
図20】本発明にしたがう建材パネルの他の実施の形態を断面について示した図である。
図21】本発明にしたがう建材パネルの他の実施の形態を断面について示した図である。
図22】本発明にしたがう建材パネルの他の実施の形態を断面について示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明にしたがう建材パネルの実施の形態を模式的に示した外観斜視図であり、図2は、図1に示した建材パネルの分解斜視図である。また、図3(a)は、図1に示した建材パネルの正面図であり、図3(b)は図1に示した建材パネルの背面図であり、図4は、図3に示した建材パネルの平面図、図5は、図3に示した建材パネルの底面図、図6は、図3に示した建材パネルの右側面図、図7は、図5において内皮材を取り外した状態を示した図、図8は、図4のA-A断面を示した図である。さらに、図9は、建材パネルを構成する構成部材の一般部における組み立て状況を幅方向の断面で示した図であり、図10は、建材パネルの一般部の接続状態を幅方向の断面で示した図であり、図11は、本発明にしたがう建材パネルの長手方向のつなぎ合わせ要領の説明図であり、図12は、建材パネルの長手方向のつなぎ合わせにおける組み立て状況を幅方向の断面で示した図であり、図13は、建材パネルの長手方向のつなぎ合わせにおける接続状態を幅方向の断面で示した図である。
【0011】
なお、建築構造物の屋根や壁を構築するに当たっては、本発明にしたがう建材パネルと同一の構成からなる建材パネルを複数枚用いることを前提とする。また、建材パネルの幅寸法や長さ、厚さは任意に変更し得るものであって、図示したようなアスペクト比の建材パネルには限定されない。建材パネルのつなぎ合わせ手順としては、建材パネルの長手方向のつなぎ合わせを先行して行い、長手方向のつなぎ合わせを終えたら幅方向のつなぎ合わせを行う縦継ぎ(縦葺き)方法を採用することができるが、建材パネルの幅方向のつなぎ合わせを先行して行い、幅方向のつなぎ合わせを終えたならば長手方向のつなぎ合わせを行う横継ぎ(横葺き)方法を採用してもよい。
【0012】
図1~13における符号1は、本発明にしたがう建材パネルの基本骨格をなす金属製の外皮材である。外皮材1は、一対の短辺と、該一対の短辺を両側から挟み込む一対の長辺にて取り囲まれ、平面視における輪郭が矩形形状をなしており、その上面は、フラットな屋根や壁が構築できるように平坦面になっている。なお、短辺に沿う向きを外皮材1の幅方向ということとし、長辺に沿う向きを外皮材1の長手方向ということとする。
【0013】
また、図1~13における符号2は、外皮材1の幅方向の両縁部にそれぞれ設けられた継手、3は、外皮材1の裏面に配置、固定される芯材、4は、芯材3の下面に配置、固定され、外皮材1との協働下に該芯材3を挟持する内皮材である。内皮材4は、省略することもできる。
【0014】
外皮材1(継手2を含む)、内皮材4は、いずれも、厚さ0.2~1.0mm程度、より好ましくは、0.4mm程度の亜鉛めっき鋼板、アルミニウム亜鉛合金めっき板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、銅板またはそれらの塗装、被覆金属板等が用いられ、単一の板材にロール成形等の成形加工を施すことにより形成される。なお、内皮材4としては、上記の部材の他、紙、プラスチック、鉄、銅、アルミニウム等の金属箔、金属フィルム等を用いることもできる。
【0015】
継手2は、一端が外皮材1の外表面につながり他端が該外皮材1の外表面よりも下方に位置する側壁部(傾斜壁)2aと、外皮材1の外表面よりも下方に位置するが、該側壁部2aの他端よりも上方に位置する座面2b1を有し、建材パネル同士をつなぐための接合金具としてのクリップKを載置、固定するベース2bと、該側壁部2aの他端、該ベース2bの一端にそれぞれつながり、外皮材1の幅方向の中央部に向けて指向するとともに該カバーキャップCのキャップ本体C1に形成された連係片C2に着脱自在に連係可能な顎部2cとを有するものが適用される。
【0016】
顎部2cの頂面2c1は、カバーキャップCを装着した際に、外皮材1の外表面と面一になるように、外皮材1の外表面よりも若干低くなるように設定するのが好ましい。また、ベース2bは、建材パネルを下地材に固定するねじをねじ込む座面2b1として機能させる観点から平坦な面(水平面)で形成されたものとするのが好ましい。
【0017】
顎部2cの立ち上がり壁2c2と側壁部2aとによって例えばV字断面形状をなす溝部2dを形成しておくことにより、溝部2dの底部からカバーキャップCの装着位置までの距離L(図10参照)を大きくすることが可能となりカバーキャップC内への雨水の侵入を抑制することができる利点がある。
【0018】
芯材3は、継手2の領域の一部を含んで該外皮材1の裏面に配置、固定される芯材本体3aと、該芯材本体3aの側面、先端面、後端面につながる当接面を有し、芯材本体3aの周りを取り囲む枠体3bからなるものが適用される。枠体3bは、芯材本体3aの側面、先端面、後端面にそれぞれ位置する個別部材として示したが、該枠体3bは、一体物としてもよい。なお、枠体3bのうち、芯材本体3aの先端面、後端面に配置される枠体3bには、建材パネルの製造に際して外皮材1の裏側溝部に予め装着される充填駒3b′が備えられる。
【0019】
芯材3の芯材本体3aとしては、高断熱、高気密を確保するため、厚さ75~150mm程度、より好ましくは、100mm程度の発泡プラスチック系の断熱材を用いることができる。発泡プラスチック系断熱材としては、注入発泡が可能な、ポリイソシアヌレート等を適用するのが好ましい。
【0020】
枠体3b、充填駒3b′は基本的には、上記のような材質からなる断熱材を用いる。枠体3b、充填駒3b′は、予め所定の形状、厚さに成形された断熱ブロックを使用する。枠体3b、充填駒3b′と芯材本体3aとを同質部材にて構成することにより両部材の密着強度を高めることができる。枠体3b、充填駒3b′と外皮材1とは、接着剤を介して予め連結しておくことも可能であるが、該枠体3b、充填駒3b′の外皮材1に対する正確な位置決めが可能であるならば接着剤による連結を省略してもよい。芯材本体3の後端面に位置する枠体3bには、断熱材原液を注入するための開孔3b1と空気を抜くための開孔3b2、逆止弁3b3を設けておく。
【0021】
また、図1~13における符号5は、ベース2bの他端に設けられ、継手2の末端を形成する起立片である。この起立片5は、建材パネルのつなぎ合わせ部分への雨水の侵入を遮断するとともに、建材パネル同士をつなぎ合わせる際に使用されるものであって、ベース2bと顎部2cの側壁とによってその内側に樋を形成することにより、カバーキャップC内に雨水が侵入してもこの樋を通して侵入した雨水を軒側あるいは地表に向けて速やかに排出することができる。起立片5の上端部には、図示はしないが内側に向けて折り返した折り返し片を設けてもよい。
【0022】
また、図1~13における符号6は、外皮材1の長手方向の一端に該外皮材1に面一状態で一体的につながる跳ね出し片である。この跳ね出し片6は、継手2(起立片5を含む)と同様の形状を有し、該継手2につながる延長部分6aを有しており、水下側に隣接配置される他の建材パネルの下継手に重ね合わさるものである(外皮材1と跳ね出し片6とは面一状態でつながっているため、その境界を便宜上点線で表示する)。また、符号7は、外皮材1の長手方向の他端に段下がり(外皮材1の厚さ程度の段下がり)域を形成して該外皮材1に一体的に設けられ、水上側に隣接配置される別の建材パネルの跳ね出し片6に重ね合わさる下継手である。下継手7も基本的には、継手2(起立片5を含む)とほぼ同じ形状の延長部分からなるが、顎部2cに対応する凸部7aは、建材パネルの長手方向のつなぎ合わせを容易にするため、顎部2cよりも小さなサイズになっている。
【0023】
本発明にしたがう建材パネルは、図14(a)~(f)に示すように、外皮材1の裏面に発泡堰き止め部材として機能させる枠体3bを配置、固定する一方、発泡内圧による変形を防止するため外皮材1の表面に継手2に沿う押え部材h1、h2と下継手7に沿う押え部材h3を配置し、跳ね出し片6の下面に押え部材h4を配置する。そして、枠体3bにて形成される開放端に当て板または内皮材4を宛がってその内側に閉空間Mが形成された組み立て構造体を構成したのち、該組み立て構造体を加温、加圧するとともに、開孔3b1を通して組み立て構造体の閉空間M内に空気置換を行いながら発泡プラスチック系断熱材を液状で注入し発泡させることにより芯材本体3aを形成するものである。これにより、断熱材を外皮材の形状に合わせて成形加工を行い、成形加工に係わる断熱材を外皮材に張り付けたり、成形型を外皮材の裏面に組み付け、その成形型のキャビティ内に断熱材原液を注入し発泡させる煩雑な工程は不要であり、建材パネルを効率的に製造することができる。
【0024】
組み立て構造体は、その複数枚を積層し、積層された組み立て構造体の一群を多段プレス等を用いて加温、加圧するとともに各組み立て構造体の閉空間M内に発泡プラスチック系断熱材を液状で注入し発泡させてもよく、これによれば、建材パネルのより効率的な製造が可能になる。組み立て構造体の加温、加圧条件としては、ポリイソシアヌレートの場合、温度60°Cで30分程度保持するのが好ましい。また、組み立て構造体を積層するに当たっては、外皮材1の表面を上方に向けた水平姿勢に保持して積層する。
【0025】
本発明にしたがう建材パネルを用いて建築構造物の屋根あるいは壁等の連結構造体を構築するには、外皮材1の幅方向の両縁部にそれぞれ他の建材パネルを隣接配置してその隣接継手2と継手2とを対面させる(図9参照)。そして、起立片5同士をクリップKで挟み込み両建材パネルをつなぎ合わせるとともに、クリップKを通してベース2bにねじを打ち込んで建材パネルを垂木等に固定したのち、それら継手2をカバーキャップCのキャップ本体C1に設けられた連係片C2に連係させてカバーキャップCで継手2を覆い隠せばよい(図10参照)。建材パネルの、水下側、水上側における他の建材パネルとのつなぎ合わせは、建材パネルの幅方向のつなぎ合わせに先立って行うのが好ましく、具体的には、水下側に位置する建材パネルの下継手7の上に水上側に配置される建材パネルの跳ね出し片6を重ね合わせることにより行う(図12図13参照)。なお、下継手7と跳ね出し片6とを重ね合わせるに際しては、その相互間に図11に示すように止水用のパッキンSを設けておくことができる。
【0026】
建材パネルを、ルーフィングL、野地板Nを介して垂木T等の固定する場合、ねじの打ち込みによって形成される貫通部に起因した結露の発生を抑制する観点から、図10図13に示すように、ねじは、継手2の何れか一方のベース2bにおいて打ち込むのが好ましい。また、継手2と、隣接配置される他の建材パネルの隣接継手2との対面相互間には、気密性の向上、断熱欠損の発生を防ぐ観点から、EPDMスポンジゴム等の気密用のパッキンPを配置することができる。
【0027】
図15は、カバーキャップCの外観斜視図を示した図である。カバーキャップCは、継手2、隣接配置される他の建材パネルの隣接継手2の上面に位置して継手2、隣接継手2を覆い隠すキャップ本体C1と、該キャップ本体C1の幅方向の両端に片持ち状態で一体連結するとともにスプリングバックを伴う弾性変形によりワンタッチで取り付けることができる連係片C2と、キャップ本体C1の端部につながりカバーキャップC同士をつなぐ継手C3とで構成されたものを用いることができる。なお、カバーキャップCは、図示以外のものを用いてもよい。
【0028】
また、図16(a)~(e)は、クリップKの構成を具体的に示した図である。クリップKとしては、スプリングバックに伴う弾性変形により2枚の起立片5を挟持することができるダブルクリップタイプのクリップ本体K1と、幅方向の端部に立ち上がり羽根を有しクリップ本体K1の下端に片持ち状態でつながる舌片K2とで構成されたハット型形状をなすものを用いることができる。クリップKは、カバーキャップCの取り付け姿勢を一定に保持する吊子としての機能をも備えており、建材パネルの長手方向に沿い、例えば400~600mmピッチで複数配置される。クリップ本体K1は、天板部と該天板部の両端に折り曲げられて一方端が接続する縦壁部とで構成されており、対向する縦壁部の下端の開きは、天板部の幅より狭い。舌片K2には、ねじを打ち込むための案内孔をもっている。
【0029】
図17(a)~(d)は、本発明にしたがう建材パネルを縦横に4枚つなぎ合わせた場合につき、カバーキャップCの組付け状況を模式的に示した図である。カバーキャップCは基本的には、該カバーキャップCの水上側の端部に位置する継手C3の上に、水上側に配置されるカバーキャップCの水下側の端部を重ね合わせてつなぎ合わせるものである。カバーキャップCのつなぎ合わせ部分は、建材パネルのつなぎ合わせ部分とは異なる位置となるようにずらしておくのが好ましい。かかる構成からなるカバーキャップCを適用すると、一般部のカバーキャップCの幅は、図10に示すようにW1であるが、跳ね出し片6と下継手7が重なり合う接続部位では、カバーキャップCが強く接触、その幅は、図13に示すように、W1からW2へと拡幅(W2>W1)されてすべり抵抗が増大することとなり、別途に固定手段を設けずともカバーキャップCを建材パネルに確実に固定することができる。
【0030】
本発明にしたがう建材パネルを用いて建築構造物の屋根を構築するには、跳ね出し片6が水下側になるように、下継手7が水上側になるように配置する。また、建築構造物の壁を構築するには、跳ね出し片6が基礎側になるように、下継手7が軒側を向くように配置する。
【0031】
屋根を構築する際に、軒先に配置される建材パネルは、跳ね出し片6の突き出し長さを短くしたものを用いるのが好ましく、また、壁を構築する際に、最も基礎側に配置される建材パネルは、跳ね出し片6の突き出し長さを短くしたものを用いるのが好ましい。
【0032】
図18は、本発明にしたがう建材パネルの他の実施の形態を示した図である。芯材本体3aは、その側面、先端面、後端面に、少なくとも1つの凹部および/または凸部3a1を設けておくことができ、枠体3bには、芯材本体3aの凹部および/または凸部3a1に適合して該芯材本体3aおよび枠体3bの相互連結を可能とする凸部および/または凹部3b3を設けておくことができる。これにより芯材本体3aと枠体3bとの連結強度がより一層高まる。
【0033】
図19は、内皮材4を省略して芯材3の芯材本体3aの上面に、外皮材1の長手方向に沿って伸延する凹所8を設け、その部位を空気層とする、本発明にしたがう建材パネルのさらに他の例を示した図である。
【0034】
かかる建材パネルにおいては、野地板Nの上に透湿ルーフィングLが配置され、芯材3として透湿性の高い部材で構成さている場合に、芯材3を通過した湿気を凹所8を通して建築構造物の外側へと排出することが可能であって、結露による壁や屋根の下地材等の腐朽を回避することができる。凹所8は、図19中の破線で示すような形状を有する断熱ブロックを用いることにより形成することができる。
【0035】
図20は、芯材3の芯材本体3aの下面に、外皮材1の長手方向に沿って伸延する凹所9を設けた、本発明にしたがう建材パネルのさらに他の例を示した図である。
【0036】
かかる建材パネルは、既存の屋根や壁を改修するのに用いて好適な建材パネルであって、凹所9に既存の壁や屋根に設けられている突起物(瓦棒等)を格納して、建材パネルを既存の屋根、壁に固定することにより高い断熱性を有する新規な屋根、壁に改修することができる。
【0037】
図21図22は、本発明にしたがう建材パネルの変形例を示した図である。図21図22に示した建材パネルは、外皮材1の外上面が継手2の側壁部2aの下端に一直線でつながった構造からなるもの、すなわち、継手2の一端が外皮材1の外表面につながり他端が該外皮材1の外表面よりも上方に位置する側壁部2aと、該側壁部2aの他端につながり、該外皮材1の幅方向の中央部に向けて指向するとともに該カバーキャップCに形成された連係片C2に着脱自在に連係可能な顎部2cと、該顎部2cの基端につながり、外皮材1の外表面よりも上方に位置する座面および起立片5が形成されたベース2bとを有するものである。
【0038】
かかる建材パネルも、上掲図1に示した建材パネルと同様に、良好な断熱性、気密性、施工性を確保したうえで建材パネルの効率的な製造ができるものである。
【0039】
とくに、外皮材1の幅方向の中央に凸部10を設けた、図22に示した建材パネルにあっては、屋根、壁等の連結構造体の美的外観の改善に寄与する。
【0040】
本発明にしたがう建材パネルとしては、幅方向を中心にして左右対称な形状を有するシンメトリータイプの建材パネルを例として示したが、左右非対象な形状を有する建材パネルとしてもよく、図示の形状に限定されることはない。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、優れた断熱性、気密性を確保しながらも、効率的な施工が可能な建材パネルおよびその建材パネルを用いた連結構造体が提供できる。
【符号の説明】
【0042】
1 外皮材
2 継手、隣接継手
2a 側壁部
2b ベース
2b1 座面
2c 顎部
2c1 頂面
2c2 立ち上がり壁
2d 溝部
3 芯材
3a 芯材本体
3a1 凹部、凸部
3b 枠体
3b′ 充填駒
3b1 開孔
3b2 開孔
3b3 逆止弁
3b4 凸部および/または凹部
4 内皮材
5 起立片
6 跳ね出し片
6a 延長部分
7 下継手
7a 凸部
8 凹所
9 凹所
10 凸部
C カバーキャップ
C1 キャップ本体
C2 連係片
C3 継手
K クリップ
K1 クリップ本体
K2 舌片
M 閉空間
h1 押え部材
h2 押え部材
h3 押え部材
h4 押え部材
S 止水用のパッキン
P 気密用のパッキン
L ルーフィング
N 野地板
T 垂木
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16
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図18
図19
図20
図21
図22