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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138526
(43)【公開日】2024-10-08
(54)【発明の名称】プレート状油性食品
(51)【国際特許分類】
   A23G 1/36 20060101AFI20241001BHJP
   A23G 4/20 20060101ALI20241001BHJP
   A23G 1/38 20060101ALI20241001BHJP
   A23D 9/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
A23G1/36
A23G4/20
A23G1/38
A23D9/00 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024114598
(22)【出願日】2024-07-18
(62)【分割の表示】P 2023573189の分割
【原出願日】2023-02-15
(31)【優先権主張番号】P 2022053221
(32)【優先日】2022-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】315015162
【氏名又は名称】不二製油株式会社
(72)【発明者】
【氏名】入澤 勇介
(72)【発明者】
【氏名】藤田 朋子
(57)【要約】
【課題】
プレート状の油性食品を介して焼き菓子同士を接着させ、製造過程及び流通過程でのべたつきやはがれ、ズレが抑制できる焼き菓子接着に用いることができるプレート状油性食品及びこれを用いた複合菓子を提供することを課題とする。
【解決手段】
特定範囲のヨウ素価、飽和脂肪酸及びS3型トリグリセリド含量を含む油脂Aを含むテンパリングタイプの油性食品であって、油脂成分中のSUS型トリグリセリドが50~80重量%、SU2型とU3型トリグリセリドの合計量が8.5~24重量%、であるプレート状油性食品を用いることで、本願課題を解決することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)~3)の全要件を満たす油脂Aを油脂成分中に3~35重量%含み、
油脂成分が(a)及び(b)の要件を満たす、テンパリングタイプのプレート状油性食品。
油脂A
1)ヨウ素価が60~200である、
2)飽和脂肪酸を5~50重量%含む、
3)S3型トリグリセリドが5重量%以下、
油性食品の油脂成分
(a)油脂がSUS型トリグリセリドを50~85重量%、
(b)SU2型とU3型トリグリセリドの合計量が8.5~24重量%、
但し、S:炭素数16~24の飽和脂肪酸、U:炭素数16~24の不飽和脂肪酸
S3:トリグリセリドにSが3つ結合したトリグリセリド、
SUS:トリグリセリドの1位及び3位にSが結合、2位にUが結合したトリグリセリド、
SU2:トリグリセリドにSが1つ、Uが2つ結合したトリグリセリド、
U3:トリグリセリドにUが3つ結合したトリグリセリド、を意味する。
【請求項2】
油脂成分が油性食品全体の25~65重量%である、請求項1に記載のプレート状油性食品。
【請求項3】
焼き菓子接着用である請求項1又は2に記載のプレート状油性食品。
【請求項4】
1)~3)の全要件を満たす油脂Aを油脂成分中に3~35重量%配合し、
油脂成分が(a)及び(b)の要件を満たす油性食品を、テンパリング操作を行い、2mm~20mmの厚さのプレート状に成形するプレート状油性食品の製造方法。
油脂A
1)ヨウ素価が60~200である、
2)飽和脂肪酸を5~50重量%含む、
3)S3型トリグリセリドが5重量%以下、
油性食品の油脂成分
(a)油脂がSUS型トリグリセリドを50~85重量%、
(b)SU2型とU3型トリグリセリドの合計量が8.5~24重量%
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のプレート状油性食品を用いた複合菓子。
【請求項6】
請求項3に記載のプレート状油性食品を用いた複合菓子。
【請求項7】
請求項4に記載のプレート状油性食品を用いて、焼き菓子を接着させる複合菓子の製造方法。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載のプレート状油性食品を使用して、焼き菓子を接着することで、接着性を向上させてズレやはがれを抑制する方法。
【請求項9】
請求項3に記載のプレート状油性食品を使用して、焼き菓子を接着することで、接着性を向上させてズレやはがれを抑制する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼き菓子と焼き菓子の間に用いるプレート状油性食品の提供及びこれを使用する複合菓子に関する。
【背景技術】
【0002】
焼き菓子と焼き菓子の間に油性食品を挟んだ食品は多く提供されている。
それらの多くは、油性食品としてサンドクリーム、スプレッド、ショートニングなどと呼ばれる軟らかい物性の食品が用いられており、それらの用途に適した油脂の検討がされてきた(特許文献1)。
サンドクリームなどの油性食品は、流動性又は可塑性を有しており、焼き菓子との接着性が高い素材である。そのため、サンドクリームを間に挟んだ焼き菓子は、流通過程でそれらの接着面がはがれることが少なく、従前から市場で流通している。(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-150625号公報
【特許文献2】特開2018-166428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、焼き菓子と焼き菓子の間に用いる油性食品として、板チョコレートのようなプレート状の素材を採用したいという要望は多い。
板チョコレートとは、一般的には融解したチョコレートをテンパリングしてからモールド(型)に入れて成型した、一定の厚みがあるチョコレートであり、硬いぱきっとした食感と濃厚なチョコレートらしい風味と口どけを特徴とする。
【0005】
板チョコレートなどの油性食品は、従来のサンドクリームやスプレッドと比較してぱきっとした食感や濃厚な風味に特徴を有する。これらを焼き菓子と焼き菓子の間に挟む場合、表面がしっかり固まっているために接着に必要な、いわゆる「ぬれ」が存在せず、焼き菓子と油性食品が接着しない。従って、油性食品を介して焼き菓子が接着せず、流通過程ですぐにはがれ落ちてしまうという問題があった。
【0006】
はがれ落ちの問題を解決するために、板チョコレートに融解したチョコレートなどの油性食品を塗布することで「ぬれ」を生じさせ、焼き菓子と接着する方法を用いることがある。
しかし、融解したチョコレートを板チョコレートとは別に準備する必要があり、連続生産の工程としては煩雑であった。
【0007】
発明者らは、種々の検討を重ね、焼き菓子を焼成した後に残った余熱で、プレート状油性食品を一部融解させて焼き菓子と接着させる方法を採用した。しかしながら、余熱でプレート状油性食品を融解させることで、接着性を向上させることができるが、多く融解してしまうとプレート状態を保持できない。一方で、融解しなければ接着させることができないという問題が生じた。
【0008】
従って本発明の目的は、焼き菓子焼成後の余熱を利用して、プレート状油性食品を介して焼き菓子同士を接着させ、製造過程及び流通過程でのべたつきやはがれ、ズレが抑制された複合菓子を提供することである。さらに接着後もプレート状を維持することができ、食感及び風味が良好である、焼き菓子接着に用いることができるプレート状油性食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者らは上記課題を解決すべく更に鋭意検討を重ねた結果、プレート状油性食品が、ヨウ素価、飽和脂肪酸含有量及びS3型トリグリセリドの含有量について一定要件を満たす油脂Aを含み、油性食品中の油脂成分が特定要件を満たすことで、風味、口どけが良好であり、焼き菓子接着に用いることができることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、
(1)1)~3)の全要件を満たす油脂Aを油脂成分中に3~35重量%含み、油脂成分が(a)及び(b)の要件を満たす、テンパリングタイプのプレート状油性食品、
油脂A
1)ヨウ素価が60~200である、
2)飽和脂肪酸を5~50重量%含む、
3)S3型トリグリセリドが5重量%以下、
油性食品の油脂成分
(a)油脂がSUS型トリグリセリドを50~85重量%、
(b)SU2型とU3型トリグリセリドの合計量が8.5~24重量%、
但し、S:炭素数16~24の飽和脂肪酸、U:炭素数16~24の不飽和脂肪酸、
S3:トリグリセリドにSが3つ結合したトリグリセリド、
SUS:トリグリセリドの1位及び3位にSが結合、2位にUが結合したトリグリセリド、
SU2:トリグリセリドにSが1つ、Uが2つ結合したトリグリセリド、
U3:トリグリセリドにUが3つ結合したトリグリセリド、を意味する、
(2)油脂成分が油性食品全体の25~65重量%である、(1)に記載のプレート状油性食品、
(3)焼き菓子接着用である(1)又は(2)に記載のプレート状油性食品、
(4)1)~3)の全要件を満たす油脂Aを油脂成分中に3~35重量%配合し、油脂成分が(a)及び(b)の要件を満たす油性食品を、2mm~20mmの厚さのプレート状に成形するプレート状油性食品の製造方法、
油脂A
1)ヨウ素価が60~200である、
2)飽和脂肪酸を5~50重量%含む、
3)S3型トリグリセリドが5重量%以下、
油性食品の油脂成分
(a)油脂がSUS型トリグリセリドを50~85重量%、
(b)SU2型とU3型トリグリセリドの合計量が8.5~24重量%、
(5)(1)又は(2)に記載のプレート状油性食品を用いた複合菓子、
(6)(3)に記載のプレート状油性食品を用いた複合菓子、
(7)(4)に記載のプレート状油性食品を用いて、焼き菓子を接着させる複合菓子の製造方法、
(8)(1)又は(2)に記載のプレート状油性食品を使用して、焼き菓子を接着することで、接着性を向上させてズレやはがれを抑制する方法、
(9)(3)に記載のプレート状油性食品を使用して、焼き菓子を接着することで、接着性を向上させてズレやはがれを抑制する方法、
である。
換言すれば、本発明は、
(1)1)~3)の全要件を満たす油脂Aを油脂成分中に3~35重量%含み、油脂成分が(a)及び(b)の要件を満たす、テンパリングタイプのプレート状油性食品、
油脂Aは、1)ヨウ素価が60~200である、2)飽和脂肪酸を5~50重量%含む、3)S3型トリグリセリドが5重量%以下、
油性食品の油脂成分は、(a)油脂がSUS型トリグリセリドを50~85重量%、(b)SU2型とU3型トリグリセリドの合計量が8.5~24重量%、
但し、S:炭素数16~24の飽和脂肪酸、U:炭素数16~24の不飽和脂肪酸
S3:トリグリセリドにSが3つ結合したトリグリセリド、
SUS:トリグリセリドの1位及び3位にSが結合、2位にUが結合したトリグリセリド、
SU2:トリグリセリドにSが1つ、Uが2つ結合したトリグリセリド、
U3:トリグリセリドにUが3つ結合したトリグリセリド、を意味する、
(2)油脂成分が油性食品全体の25~65重量%である、(1)に記載のプレート状油性食品、
(3)焼き菓子接着用である(1)又は(2)に記載のプレート状油性食品、
(4)1)~3)の全要件を満たす油脂Aを油脂成分中に3~35重量%配合し、油脂成分が(a)及び(b)の要件を満たす油性食品を、2mm~20mmの厚さのプレート状に成形するプレート状油性食品の製造方法、
油脂Aは、1)ヨウ素価が60~200である、2)飽和脂肪酸を5~50重量%含む、3)S3型トリグリセリドが5重量%以下、
油性食品の油脂成分は、(a)油脂がSUS型トリグリセリドを50~85重量%、
(b)SU2型とU3型トリグリセリドの合計量が8.5~24重量%、
(5)(1)~(3)いずれか一つに記載のプレート状油性食品を用いた複合菓子、
(6)(1)~(3)いずれか一つに記載のプレート状油性食品を用いて、焼き菓子を接着させる複合菓子の製造方法、
(7)(1)~(3)いずれか一つに記載のプレート状油性食品を使用して、焼き菓子を接着することで、接着性を向上させてズレやはがれを抑制する方法、
である。
【発明の効果】
【0011】
焼き菓子焼成後の余熱を利用することで、プレート状油性食品を介して容易に焼き菓子を接着させ、べたつきやはがれ、ズレが起こりにくい複合菓子を提供することができる。さらに接着後もプレート状を維持することができて、食感及び風味が良好である、焼き菓子接着に用いることができるプレート状油性食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。本発明において油脂とは、カカオマスやココアなどのカカオ原料由来の脂肪分(カカオバター)や乳原料由来の乳脂肪分、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米ぬか油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、ゴマ油、月見草油、パーム油、シア油、サル脂、ヤシ油、パーム核油等の植物性油脂、藻類油、微生物発酵由来の油脂、乳脂、牛脂、ラード、魚油、鯨油等の動物性油脂、これらの硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂などが挙げられる。
プレート状油性食品中の油脂成分とは、カカオマスや全脂粉乳などに含まれる油脂すべてを含めた重量%を意味する。
【0013】
本発明において油性食品とは、油脂が連続相をなす食品であり、チョコレート類、バタークリーム、スプレッド類のことをいう。本発明において言うところの「チョコレート類」とは全国チョコレート業公正取引協議会、チョコレート利用食品公正取引協議会が規定するところの、「純チョコレート」、「チョコレート」、「準チョコレート」及び「チョコレート利用食品」に限定されるものでなく、カカオバター以外の油脂とカカオ固形分以外の可食物よりなる「チョコレート様食品」、その他、例えばカレー風味やチーズ風味といった、油脂をベースとして可食物を分散させた食品を総称するものであってもよい。
本発明におけるプレート状油性食品とは、特定の厚みを有する板状の油性食品のことをいう。厚みには特に限定はないが、喫食に適した複合菓子であるためには、2mm程度~20mm程度が好ましい。プレート状油性食品は、板の状態を形成するため、一定の硬さを有する。
硬さの程度は、プレートの厚さによっても異なるが、例えば2mm程度の厚さであれば、20℃においてレオメーターで200g~800g程度の硬さを有する。
なお、ここで言うレオメーターとは、株式会社レオテック社製レオナーRT-2002D・Dのことをいい、硬さはφ1mmの専用アダプタを用いた進入速度5cm/minの進入弾性測定値のことである。
【0014】
プレート状油性食品は、工業生産する代表的な方法として、レイヤーカットによる製造方法が挙げられる。レイヤーカットによる製造方法とは、一定速度で運行するベルトコンベアに均一な厚さに延ばし、冷却し、運行方向に等間隔で配置されたスリット又は丸刃カッターで縦切りにされた後、ベルトコンベアと直角に配置された刃物を上下に動かすことで横切りにできる装置を用いて適当なサイズに裁断する方法が挙げられる。その他特殊な形状の場合には、板チョコレート等と同様にモールドに入れて成型する場合もある。
レイヤーカットの場合は、大量に生産できることと、多種のサイズに対応できる利点がある。また、ベルトコンベアで冷却固化すれば良いため、油脂成分の調整にも対応しやすい。
モールドに入れて成型する場合は、専用の型が必要であり、サイズや形状が限定される。さらに、冷却固化後に型から抜き出せるような硬い物性となる油脂成分で調整しなければならない場合もある。
【0015】
本発明のプレート状油性食品には、油脂成分中に以下の要件を満たす油脂Aを含む。
油脂Aとは、以下で述べる油脂成分を含むものであるが、油脂の他に本発明の効果を損なわない範囲内において、乳化剤、酸化防止剤等を配合した油脂組成物も使用することができる。
油脂Aは、油性食品の油脂成分中に3~35重量%含まれる。好ましくは4~32重量%、さらに好ましくは6~25重量%含まれる。
油脂Aに該当する油脂は、単独で含まれても良いし、複数種類を組み合わせて含有させても良い。油脂Aを所定量含むことで、プレート状油性食品を介して容易に焼き菓子を接着させ、接着後もプレート状を維持することができ、食感及び風味が良好であるプレート状油性食品を調製することができる。
【0016】
本発明に含まれる油脂Aのヨウ素価は60~200である。好ましくは65~200であり、さらに好ましくは65~150である。
油脂Aのヨウ素価が低いと、良好な接着性をプレート状油性食品に付与することができず、ヨウ素価が高いものは、製造過程あるいは流通過程で風味劣化を起こす場合がある。
ここで、本発明におけるヨウ素価は、社団法人日本油化学会制定の基準油脂分析試験法2.3.4 ヨウ素価に準じて測定したものである。
【0017】
本発明のプレート状油性食品に含まれる油脂Aには、飽和脂肪酸を5~50重量%含有する。好ましくは6~40重量%であり、さらに好ましくは7~38重量%含有する。油脂Aの飽和脂肪酸を多く含有すると良好な接着性をプレート状油性食品に付与することができない場合がある。少ない場合はプレート状を維持できなかったり、ぱきっとした良好な食感を付与できなかったりする場合がある。
【0018】
本発明のプレート状油性食品に含まれる油脂AのS3型のトリグリセリドは、5重量%以下である。好ましくは4.5重量%以下、さらに好ましくは3重量%以下である。S3型トリグリセリドの量を調整することで、良好な接着性と接着後のプレート状態の維持を両立することができる。油脂Aに含まれるS3型トリグリセリドが多いと、良好な接着性が得られない場合がある。さらには、プレート状油性食品の生産時に、テンパリングを取りづらくなる場合がある。
【0019】
本発明において油脂のトリグリセリドとは、1分子のグリセロールに、3分子の脂肪酸がエステル結合した構造を有するものである。トリグリセリドの1、2、3位とは、脂肪酸が結合した位置を表す。
ここで、Sとは炭素数16~24の飽和脂肪酸、S3型トリグリセリドとは、Sが三つ結合したトリグリセリドを示す。
油脂のトリグリセリド組成は、基準油脂分析法2.4.6.2-2013に準拠して高速液体クロマトグラフィーにより行った。融解した油脂をアセトンと混合して分析試料を調整し、移動相にアセトン/アセトニトリル=80/20の溶剤を使用してODSカラムで分離し、RI検出器で検出して得られたピーク面積%をそれぞれのトリグリセリド含有量とした。
【0020】
本発明のプレート状油性食品の油脂成分中には、SUS型のトリグリセリドを含む。
ここで、Uとは炭素数16~24の不飽和脂肪酸、SUSとは、1位及び3位の脂肪酸がSであり、2位の脂肪酸がUであるトリグリセリドを示すトリグリセリドを示す。
SUS型トリグリセリドの油脂成分中の含有量は50~85重量%であり、好ましくは53~80重量%であり、さらに好ましくは54~78重量%である。SUS型トリグリセリドの量を所定の範囲に調整することで、良好な接着性を有し、接着後もプレート状を維持することができ、食感及び風味が良好であるプレート状油性食品を調製することができる。
SUS型トリグリセリドの量が少ないと、プレート状を維持できなかったり、板チョコレートのようなぱきっとした良好な食感を得られなかったりする場合がある。また、SUS型トリグリセリドの量が多いと焼き菓子を良好に接着できない場合がある。
【0021】
本発明のプレート状油性食品には、油脂成分中にSU2型のトリグリセリドを含む。SU2型トリグリセリドとは、Uが二つ結合し、Sが一つ結合したトリグリセリドを示す。
あわせて、本発明のプレート状油性食品には、油脂成分中にU3型のトリグリセリドを含む。U3型トリグリセリドとは、Uが三つ結合したトリグリセリドを示す。SU2型及びU3型トリグリセリドの油脂組成中の合計含有量は、8.5~24重量%である。好ましくは、9~22.5重量%であり、さらに好ましくは10~21重量%である。SU2型及びU3型トリグリセリドの含有量を所定の範囲に調整することで、良好な接着性を有し、接着後もプレート状を維持することができ、食感及び風味が良好であるプレート状油性食品を調製することができる。
これらのトリグリセリドの含有量が少ないと、良好な接着性が得られない場合があり、含有量が多いとプレート状を維持することが難しくなったり、焼き菓子の接着状態にズレが生じてしまったりする場合がある。
【0022】
本発明においてプレート状油性食品の油脂成分は、好ましくは油性食品全体で25重量%~65重量%であり、より好ましくは30重量%~60重量%、さらに好ましくは32重量%~50重量%である。油分を好ましい範囲に調整することで、食感及び風味が良好であるプレート状油性食品を調製することができる。
油脂成分が多すぎると、油っぽい風味が強く、プレート状油性食品に求められる濃厚な風味を損なう場合がある。油脂成分が少ないと、プレート状油性食品の製造に当たって、融解状態で連続生産に適した流動性を得られず、適さない。
【0023】
本発明において焼き菓子とは、小麦粉、及び食用油脂を原料とし、必要により糖類、食塩、澱粉、乳製品、卵製品、膨脹剤、食品添加物等の原材料を配合し、又は添加したものを混合機、成型機及びオーブンを使用して製造した食品をいう。焼菓子の例としては、ビスケット、クッキー、クラッカー、ラングドシャ、乾パン、プレッツェル、パイ、カットパン、ショートブレッド等が挙げられる。
【0024】
本発明において接着とは、二つの面が結合した状態であり、焼き菓子の接着に用いるプレート状油性食品を媒介として焼き菓子同士を結合させることをいう。本発明のプレート状油性食品は、焼き菓子の余熱によってわずかに融解する。融解することで接着に必要な「ぬれ」が生じ、プレート状油性食品及び焼き菓子の重力によって接着されて焼き菓子同士が結合するという仕組みに貢献する。
接着性とは、焼き菓子とプレート状油性食品、及びプレート状油性食品を媒介とした他方の焼き菓子これら三者がそれぞれの境界面で接着している強度を示しており、外力をかけたときに、はがれにくいものは、接着性が良好、などと表現する。
焼き菓子接着用プレート状油性食品とは、当該プレート状油性食品を媒介として焼き菓子同士を結合させるための油性食品のことをいう。
【0025】
本発明のプレート状油性食品は、テンパリングタイプの油性食品である。テンパリングとは、融解状態の油性食品中の油脂に、安定結晶の結晶核を生じさせる操作である。このような安定結晶を生じさせて固化させる油性食品を、テンパリングタイプの油性食品という。テンパリング操作により、安定な結晶状態で油性食品を固化することができる。テンパリングは、例えば、40~50℃で融解しているチョコレートを、品温が26~29℃程度になるまで下げた後に、再度28~31℃程度まで加温する操作が挙げられる。テンパリング操作に替えて、シード剤を用いたテンパリングを行ってもよい。シード剤は、SUS型トリグリセリドの安定な状態の結晶を含む。このシード剤を30℃~35℃の融解状態の油性食品に一定量分散させることで、テンパリング操作と同等の効果を得ることができる。シード剤に含まれるSUS型トリグリセリドの安定結晶とは、例えば、SOS(1,3-ジステアロイル-2-オレオイルグリセロール)あるいはBOB(1,3-ジベヘノイル-2-オレオイルグリセロール)をいう。
テンパリングはシード剤を用いたテンパリングでも、温調のみで行うテンパリングでもどちらでも良い。
テンパリングしたものは、風味や口溶けが良好になるだけでなく、接着後の固化が早いためべたつきが起こりにくく、保形性も良好である。
テンパリングしないと、接着はするが、固化が遅くべたつきが発生しやすい。さらに、経時的にプレート状油性食品の油脂結晶が粗大化し、口溶けの悪化や食感不良を発生させる可能性がある。
【0026】
複合菓子とは、焼き菓子同士がプレート状油性食品を介して接着されている食品で、チョコサンドクッキー、チョコサンドラングドシャ、クリームサンドビスケットなどの菓子が挙げられる。
【0027】
べたつきとは、プレート状油性食品で焼き菓子を接着させて放冷後、プレート状油性食品中の油脂が固化せず、側面から見えるプレート状油性食品に触れた時に、油性食品の一部が付着することをいう。べたつきが発生すると、プレート状油性食品で接着させた複合菓子を包材に充填する際に、製造ラインや包材が汚れてしまい、設備に不可をかけるだけでなく、外観不良にもつながる。
【0028】
はがれとは、接着した状態の焼き菓子とプレート状油性食品、及びプレート状油性食品を媒介とした他方の焼き菓子これら三者に外力を加えたときに、接着しているそれぞれの境界面から分離することを示し、接着性の評価と関連性が高い。プレート状油性食品が硬く、焼き菓子の余熱で融解しないと、接着できる面が減少して、はがれやすくなる。与える外力が弱くてもはがれてしまうものは接着性が悪く、外力をかけてもはがれること無く、接着した状態で焼き菓子とプレート状油性食品が一緒に割れてしまうような状態は、接着性が良好であると言える。
【0029】
ズレとは、接着した状態の焼き菓子とプレート状油性食品、及びプレート状油性食品を媒介とした他方の焼き菓子これら三者に、外力を加えたときに、それぞれの境界面で分離はしないものの、境界面上で移動してしまうことを示す。プレート状油性食品が軟らかい場合に発生しやすい。ズレが発生すると、プレート状油性食品を媒介として接着している二つの焼き菓子が形成する形状が変化してしまい、外観を損なう。さらには、ズレが発生すると、外力の影響を受けやすく、はがれやすくなるといった不具合も起きる。
ズレは、プレート状油性食品の保形性の程度に影響すると考えられる。プレート状油性食品が接着後に形状維持することができれば、ズレも生じにくい。
【0030】
本発明のプレート状油性食品には、含有する油脂成分中にカカオバター及び/又はカカオバター代替脂を含む。カカオバターは直接配合することもできるが、カカオバターを含むカカオマスやココアを配合することでも、カカオバターの含有量を調整することができる。プレート状油性食品中に含有するカカオバターは、カカオバターの代わりにカカオバター代用脂を配合することもできる。
カカオバター代替脂とは、チョコレートの物性改良や製造コストの節約の目的にて、カカオバターの一部または全部に代えて用いられるもので、本発明ではテンパリングタイプの油脂が好ましい。テンパリングタイプの油脂とは、CBEと称される1,3位飽和、2位不飽和のトリグリセリド型油脂に富むものをいう。
カカオバター及びCBEはSUS型トリグリセリドを多く含むSUS含有油脂である。本発明においてSUS含有油脂は、SUS型トリグリセリドを80重量%以上含む油脂のことをいう。SUS配合油脂の含有量は、プレート状油性食品の油脂成分中50~98重量%が好ましい。更に好ましくは51~96重量%、より好ましくは55~94重量%である。
【実施例0031】
以下に本発明の実施例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、%および部はいずれも重量基準を意味する。
【0032】
油脂A:
油脂A1として、ヨウ素価68のパーム分別軟質油を用いた。
油脂A2として、ヨウ素価84のハイオレイックひまわり油を用いた。
油脂A3として、ヨウ素価131の大豆白絞油を用いた。
油脂A4として、ヨウ素価68のパーム分別軟質油を、ナトリウムメチラートを触媒としてランダムエステル交換反応を行った後、脱色、脱臭を行い、精製油として得られるランダムエステル交換油脂を用いた。
比較例の油脂Xとして、市販のバターオイルを用いた。
比較例の油脂Yとして、精製パーム油を用いた。
それぞれの組成を表1に示した。
【0033】
以降の表に記載のS3、U3、SU2、S2U、SUSとは、それぞれS3型トリグリセリド、U3型トリグリセリド、SU2型トリグリセリド、S2U型トリグリセリド、SUS型トリグリセリドを示した。
SU2+U3とは、SU2型トリグリセリドとU3型トリグリセリドの合計量を示した。
【0034】
【表1】
【0035】
油脂A1~A4に組み合わせる油脂として、カカオバター(不二製油株式会社製:ココアバター201)、CBE(不二製油株式会社製:メラノNEW.SS-5)を使用した。
また、それ以外にヨウ素価45のパーム分別中融点部の油脂を使用した。
カカオバター、CBEのSUS型トリグリセリド含有量は、それぞれ85.5%、82.7%であった。
【0036】
実験(1)
表2に記載の配合にて常法によりロール掛け、ミキシングを行い、油性食品を調製した。調製した融解状態の油性食品をテンパリング処理し、カット成形により、縦44mm、横44mm、厚さ2mmのプレート形状に成形した。
工業的には、レイヤーでのカット成形をおこなうが、少量試作のために、油性食品を厚さ2mmにそろえた板状に固化し、所定のサイズに切り抜いてカット成形を行った。
テンパリングは、融解状態の油性食品を32℃にして、シード剤(不二製油株式会社製:チョコシードLT)を油性食品に対して0.2重量部添加後に攪拌する方法を用いた。
クリームチーズパウダーは油脂成分が65%のもの、全粉乳は油脂成分が26%のものを用いた。
【0037】
評価方法
プレート状油性食品の機能は以下の方法で、評価した。
表面温度が約50℃(個々の実測で47℃~49℃)のラングドシャ(イトウ製菓株式会社製:ラングドシャ(サイズ:縦45mm、横45mm))2枚で、調製したプレート状油性食品を挟む。ラングドシャをプレート状油性食品で接着させた複合菓子を、20℃環境下にて静置した。
ラングドシャは焼成後の余熱を再現するために、50℃の保温庫に1時間以上静置したものを用いた。
以下に示すべたつき、保形性、接着性については、20℃、1時間後に確認した。
それぞれの検討例で、5個ずつラングドシャをプレート状油性食品で接着させた複合菓子を調製して状態を確認した。
<べたつき>
ラングドシャを接着した状態の層状になった側面に触れたときに、プレート状油性食品にべたつきがあるか、指に融解した油性食品が付着するか否かを確認した。以下に示すような状態でべたつきを評価した。当該評価は、包材への付着の評価にもつながる。
◎:完全に固化している
〇:指紋が付く程度
△:許容範囲。油のみ指に付着する
×:油性食品が指に付着する
<保形性>
プレート状油性食品が板状の厚みを維持しているかどうかを、保形性として確認した。当該評価は、良好であれば、焼き菓子同士の接着状態について、経時的に発生するズレを抑制することができる。プレート状油性食品が板状の厚みを保持しているか否かを以下の基準で評価した。
〇:良好。形状が保持されている
△:静置では良好。許容範囲だが、手で持ったときに、変形が発生する
×:焼き菓子から横にはみ出す
<接着性>
2枚のラングドシャがプレート状油性食品で接着されているか否かで接着性を確認した。上のラングドシャだけをつまみ、上に持ち上げた後、5回振ることで接着の程度を確認した。
当該評価は、良好であればはがれを抑制することができる。
◎:良好。振ってもはがれ落ちない。接着面をはがそうとすると、ラングドシャが割れてしまう
〇:振っても、はがれ落ちない
△:持ち上げることは問題ないため許容範囲だが、振るとはがれる
×:持ち上げたらはがれ落ちる
<保存性>
プレート状油性食品で接着されたラングドシャを25℃で14日間保存し、外観を確認した。
〇:良好
△:許容範囲だが、やや油染みなどあり
×:油染みやブルームが発生し、外観不良
<風味、口どけ>
保存性の確認と同様に、25℃で14日間保存し、複合菓子中のプレート状油性食品の風味と口溶けを確認した。
○:良好。濃厚なチョコ感と良好な口溶け
△:許容範囲。やや風味薄いが、許容レベル
×:不可。油っぽい
<食感>
保存性の確認と同様に、25℃で14日間保存し、複合菓子中のプレート状油性食品の食感を確認した。
○:良好。ぱきっとした板チョコらしい食感
△:許容範囲。やや噛みだし軟らかい
×:不可。ソフトな食感
上記項目を評価し、すべて△以上の評価となるものを合格品質であると判断した。
【0038】
【表2】
【0039】
油脂A1の含有量によって、べたつき、保形性及び接着性に差が生じた。油脂A1の含有量が多いと、SUS型トリグリセリドの量が一定程度含まれていても、べたついてしまった。また、油脂A1が含まれていないと、チーズの原料由来の乳脂が多くしても接着しなかった。
比較例2は、パーム分別中融点を用いて油脂A1を含有せずに、SUS型トリグリセリド及びSU2型とU3型トリグリセリドの合計量を近づけたものである。しかし、油脂A1を含まずに設計すると製造後のべたつき及び保存時のべたつきが確認された。
【0040】
実験(2)
次に、実験(1)と同様の方法で、表3に記載の内容に変更したものを調製して、プレート状油性食品の機能を評価した。
結果を表3に示した。
【0041】
【表3】
【0042】
実験(1)の結果と同様に、油脂A1の含有量によって、べたつき、保形性及び接着性に差が生じた。油脂A1の含有量が多いと、SUS型トリグリセリドの量が一定程度含まれていても、べたついてしまった。また、油脂A1が含まれていないと、接着しなかった。
【0043】
実験(3)
次に、実験(1)と同様の方法で、油脂の一部を表4に記載の内容に変更したものを調製して、プレート状油性食品の機能を評価した。
結果を表4に示した。
【0044】
【表4】
【0045】
油脂によって接着性に差があった。SU2とU3型トリグリセリドが含まれないと、油脂Xのような口溶けの良い油脂でも接着性が得られなかった。また、油脂A1の要件を満たさない油脂Yを用いた場合も、接着性が悪かった。
【0046】
実験(4)
実験(1)で用いた実施例4と同じ組成の油性食品を、テンパリング操作を行わず冷却のみでカット成形したもの、温度調整をするいわゆるハンドテンパリング操作をおこなってカット成形したものを、シード剤でテンパリングした実施例4と比較した。それぞれ縦44mm、横44mm、厚さ2mmの形状にカット成形し、それらを用いて同様にプレート状油性食品の機能を評価した。結果を表5に示した。
【0047】
【表5】
【0048】
テンパリング操作を行えば、シード剤によるテンパリングと温調操作によるハンドテンパリングに関わらず同様の効果を得られた。一方でテンパリングを行わないと、接着性はあるが、べたつきや保存性に問題があった。比較例9の食感※1は、ざらつきが発生しており、油性食品として品質が劣るものであった。
【0049】
実験(5)
実験(1)と同様の方法で、表6に記載の配合によって油脂成分量の異なるプレート状油性食品を調製した。それらを用いて同様にプレート状油性食品の機能を評価した。結果を表6に示した。
【0050】
【表6】
【0051】
油性食品の油脂成分を24.0重量%で調製しようとしたが、生地がまとまらず厚さ2mmのプレート状にすることができなかった。
油脂成分が多くなるにつれて、接着性に問題はないが、風味が薄くなっていき、ラングドシャとともに食したときに風味を感じにくくなる傾向があった。
【0052】
実験(6)
実験(1)と同様の方法を用いるが、原料として全粉乳以外にも、果汁粉末や抹茶、キャラメル粉末を用いた、いわゆるカラーチョコとしてプレート状油性食品を調製した。配合は表7にしたす。
果汁粉末として、市販の抹茶及びフリーズドライのイチゴ果汁粉末を用いた。キャラメル粉末も同様に市販の粉末を用いた。キャラメル粉末は油脂成分が12.6重量%のものを用いた。
同様にプレート状油性食品の機能を評価した。結果を表7に示した。
【0053】
【表7】
【0054】
抹茶あるいは果汁の粉末、キャラメル粉末などをプレート状油性食品に用いた場合でも、接着性やべたつきなどに差がなく、良好であった。
【0055】
実験(7)
実験(1)と同様に、表面温度が約50℃(個々の実測で47℃~49℃)のラングドシャ2枚で、調製したプレート状油性食品を挟む場合と、20℃の室温に一晩以上静置した表面温度約20℃のラングドシャ2枚で、プレート状油性食品を挟む場合を比較した。
20℃のラングドシャは、プレート状油性食品だけでは接着、結合させられないため、プレート状油性食品とラングドシャの間に、融解状態の油性食品を塗布してから挟んだ。
表面温度が約50℃のラングドシャ2枚で挟むプレート状油性食品としては、実施例4を用いた。
表面温度約20℃のラングドシャ2枚で挟むプレート状油性食品は、比較例4と同じ組成の油性食品を用いて比較例11及び比較例12を調製した。融解状態の油性食品は、比較例4と同じ組成の油性食品を50℃にて液状にしたものを用いた。
比較例11では、プレート状油性食品の中央及び四隅の計5カ所に融解状態の油性食品を約0.1gずつ塗布した。
そこにラングドシャを置くことで接着させた。
比較例12では、プレート状油性食品の中央部に約1gの融解状態の油性食品を置き、それを薄く塗り広げた。
そこにラングドシャを置くことで接着させた。同様にそれらのプレート状油性食品の機能を評価した。
結果を表8に示した。
【0056】
【表8】
【0057】
比較例11では、プレート状油性食品が接着の効果を発揮せず、融解状態で塗布した油性食品が焼き菓子を接着させているため、外力を加えるとすぐにはがれてしまうものがあった。
比較例12では、比較例11と同様にプレート状油性食品自体は接着の効果を発揮していない。塗布する面積が増えた分、比較例11よりは接着性が増しているが実施例4と比較すると、その接着性は弱かった。また、表中※2を記した保存性について、油染みなどは無かったが、静置保存ではがれたサンプルが一部発生した。
本発明のプレート状油性食品を用いて焼き菓子を接着する方法は、従来の接着方法よりも、作業が簡便でありながら、焼き菓子と油性食品間でのはがれが少ないという利点もあることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0058】
焼き菓子と焼き菓子の間に用いるプレート状油性食品であって、容易に焼き菓子を接着させ、べたつきやはがれ、ズレが起こりにくい複合菓子を提供することができる。接着後もプレート状を維持することができ、食感及び風味が良好である、焼き菓子の接着に用いることができるプレート状油性食品を提供することができる。