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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138535
(43)【公開日】2024-10-08
(54)【発明の名称】磁気コンポーネント
(51)【国際特許分類】
   H01F 37/00 20060101AFI20241001BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20241001BHJP
   H01F 27/40 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H01F37/00 E
H01F37/00 A
H01F37/00 M
H01F27/32 150
H01F27/40 120
H01F37/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024115068
(22)【出願日】2024-07-18
(62)【分割の表示】P 2022042001の分割
【原出願日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】63/162,562
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/691,081
(32)【優先日】2022-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501231543
【氏名又は名称】乾坤科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】張 韶▲うえい▼
(72)【発明者】
【氏名】林 楚耿
(72)【発明者】
【氏名】林 鴻志
(72)【発明者】
【氏名】謝 協伸
(57)【要約】      (修正有)
【課題】組み立て精度を高めることが可能な、射出成形を利用して作成する磁気コンポーネントを提供する。
【解決手段】磁気コンポーネントは、第1コアコンポーネント10と、第2コアコンポーネント12と、少なくとも1つのコイルとを含む。第1コアコンポーネントは、射出成形プロセスによってコアセット26の第1部分26aをカバーする第1成形ボビン100を含む。第2コアコンポーネントは、射出成形プロセスによってコアセットの第2部分26bをカバーする第2成形ボビン120を含む。第1コアコンポーネントは、第2コアコンポーネントと組み合わされて、第1ピラーと第2ピラーとを形成する。第1ピラーと第2ピラーとのそれぞれは、磁気コンポーネントの外側又は内側への方向に互いに積層された複数のコア260を含む。少なくとも1つのコイルは、第1ピラーと第2ピラーとのうちの少なくとも1つに巻かれる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコアを備えるコアセットと、
前記コアセットの少なくとも一部をカバーして第1ピラーと第2ピラーを形成するボビンと、
前記第1ピラーと前記第2ピラーとのうちの少なくとも1つに巻かれている少なくとも1つのコイルと、
前記ボビンの前記第1ピラーと前記第2ピラーとの少なくとも1つの内面に形成され、少なくとも1つの前記コイルの少なくとも一部を収容するように構成されている少なくとも1つの凹部と、
少なくとも1つの前記凹部に対応する位置に配置され、少なくとも1つの前記コイルに隣接する温度センサと
を備える磁気コンポーネント。
【請求項2】
射出成形プロセスによって前記コアセットの第1部分をカバーする前記ボビンの第1成形ボビンを含む、第1コアコンポーネントと、
射出成形プロセスによって前記コアセットの第2部分をカバーする前記ボビンの第2成形ボビンを含む、第2コアコンポーネントであり、
前記第1コアコンポーネントは、前記第2コアコンポーネントに組み付けられて、前記第1ピラーと前記第2ピラーとを形成し、前記第1ピラーと前記第2ピラーとのそれぞれは、磁気コンポーネントの外側への方向に互いに積み重ねられた複数のコアを含み、
前記第1ピラーのジョイントは第1ギャップを有し、前記第2ピラーのジョイントは第2ギャップを有し、前記第1ギャップは前記第2ギャップよりも大きい、
前記第1ピラーの長さは前記第2ピラーの長さよりも大きい、第2コアコンポーネントと、
を備える磁気コンポーネントであり、
前記第1成形ボビンまたは/および前記第2成形ボビンの一部が、第1外部構造と第2外部構造に形成され、
前記第1外部構造は、前記第1コアコンポーネントまたは前記第2コアコンポーネントの前記第1ピラーの前記ジョイントにあり、前記複数のコアの間に設けられ、複数の前記コアの公差を吸収する第1厚みを有し、
前記第2外部構造は、前記第1コアコンポーネントまたは前記第2コアコンポーネントの前記第2ピラーの前記ジョイントにあり、前記複数のコアの間に設けられ、複数の前記コアの公差を吸収する第2厚みを有し、
前記第1外部構造の第1厚みは、前記第2外部構造の第2厚みよりも大きく、
前記第1外部構造と前記第2外部構造とは、複数の前記コアの公差が前記第1コアコンポーネントと前記第2コアコンポーネントとの形状に影響を与えることを防止するように構成されている、請求項1に記載の磁気コンポーネント。
【請求項3】
前記第1コアコンポーネントの形状は、前記第2コアコンポーネントの形状と同一である、請求項1に記載の磁気コンポーネント。
【請求項4】
前記第1ピラーと前記第2ピラーとの前記ジョイントのそれぞれは、開口を有し、前記コアのうちの1つは前記開口から露出される、請求項1に記載の磁気コンポーネント。
【請求項5】
さらに、
基部と、
前記第1コアコンポーネントを前記基部に固定するように構成されている第1固定コンポーネントと、
前記第2コアコンポーネントを前記基部に固定するように構成されている第2固定コンポーネントとを備え、
前記第1コアコンポーネントと前記第2コアコンポーネントとのジョイントは、固定されずに互いに対面している、請求項1記載の磁気コンポーネント。
【請求項6】
前記第2ピラーの前記ジョイントにある2つの隣接するコアが、前記第2ギャップがゼロとなるように互いに接触する、請求項1記載の磁気コンポーネント。
【請求項7】
さらに、
前記第1ギャップの中に配置されている第1スペーサ構造と、
前記第2ギャップの中に配置されている第2スペーサ構造であり、前記第1スペーサ構造の厚みは、第2スペーサ構造の厚みよりも大きい、第2スペーサ構造とを備えている、請求項1記載の磁気コンポーネント。
【請求項8】
前記第1スペーサ構造と前記第2スペーサ構造とが、射出成形プロセスによって形成される射出成形材料である、請求項7記載の磁気コンポーネント。
【請求項9】
前記第1スペーサ構造と前記第2スペーサ構造とが、スペーサシートである、請求項7に記載の磁気コンポーネント。
【請求項10】
前記コアセットは、巻線部と非巻線部とを有し、前記巻線部の第1幅は、前記非巻線部の第2幅よりも大きく、前記巻線部の第3幅は、前記非巻線部の第4幅よりも小さく、前記第1幅と前記第3幅との積は、前記第2幅と前記第4幅との積に等しい、請求項1記載の磁気コンポーネント。
【請求項11】
さらに、複数のスペーサシートをさらに備え、各スペーサシートは、前記コアのうちの2つの間に位置する、請求項1記載の磁気コンポーネント。
【請求項12】
前記コアと前記スペーサシートとが、接着剤によって接続されるか、又は射出成形プロセスによって接続される、請求項11に記載の磁気コンポーネント。
【請求項13】
前記コアと前記スペーサシートの凹み構造との間に充填空間が存在し、射出成形材料が射出成形プロセスによって前記充填空間に充填される、請求項11に記載の磁気コンポーネント。
【請求項14】
さらに、
少なくとも1つの前記コイルに隣接して配置されているホルダと、
前記ホルダに配置されている熱伝導部材であって、前記温度センサは熱伝導部材に配置されている、熱伝導部材とを備えている、請求項1に記載の磁気コンポーネント。
【請求項15】
射出成形プロセスによって前記コアセットの第1部分をカバーする前記ボビンの第1成形ボビンを含む、第1コアコンポーネントと、
射出成形プロセスによって前記コアセットの第2部分をカバーする前記ボビンの第2成形ボビンを含む、第2コアコンポーネントであり、
前記第1コアコンポーネントは、前記第2コアコンポーネントに組み付けられて、前記第1ピラーと前記第2ピラーとを形成し、前記第1ピラーと前記第2ピラーとのそれぞれは、磁気コンポーネントの内側への方向に互いに積み重ねられた複数のコアを含み、
前記第1ピラーは少なくとも1つの第1ギャップを有し、前記第2ピラーは少なくとも1つの第2ギャップを有し、少なくとも1つの前記第1ギャップの合計は、少なくとも1つの前記第2ギャップの合計と同じ大きさであり、
前記第1ピラーの長さは前記第2ピラーの長さよりも大きい、第2コアコンポーネントと、
を備える磁気コンポーネントであり、
前記第1成形ボビンまたは/および前記第2成形ボビンの一部が、第1外部構造と第2外部構造に形成され、
前記第1外部構造は、前記第1コアコンポーネントまたは前記第2コアコンポーネントの前記第1ピラーの前記ジョイントにあり、前記複数のコアの間に設けられ、複数の前記コアの公差を吸収する第1厚みを有し、
前記第2外部構造は、前記第1コアコンポーネントまたは前記第2コアコンポーネントの前記第2ピラーの前記ジョイントにあり、前記複数のコアの間に設けられ、複数の前記コアの公差を吸収する第2厚みを有し、
前記第1外部構造と前記第2外部構造とは、複数の前記コアの公差が前記第1コアコンポーネントと前記第2コアコンポーネントとの形状に影響を与えることを防止するように構成されている、請求項1に記載の磁気コンポーネント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気コンポーネントに関し、さらに詳細には、コアセットをカバーする成形ボビンを形成するのに射出成形プロセスを利用する、磁気コンポーネントに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気コンポーネントは、エネルギーを蓄え、エネルギーを変換し、電気をアイソレートするために使用される重要な電気コンポーネントである。ほとんどの回路では、常に磁気コンポーネントが取り付けられている。一般に、磁気コンポーネントは、主にリアクトルと、変圧器と、インダクタとを備えている。従来の磁気コンポーネントでは、ボビンと、コアと、スペーサとが接着によって組み付けられる。しかし、組み立て工程は、コンポーネントの数が多すぎるため複雑である。コンポーネントの公差の累積は、アセンブリの全体的な公差を過度に大きくしてしまう。従って、ネジ締め位置の制御が困難であり、電気的特性が悪く、外観が斜めになり、サイズが小型化できず、ポッティング接着剤の量が増加し、プロセス時間が増加してしまう。その結果、コスト又はサイズの無駄が生じる。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、上記問題を解決するために、コアセットをカバーする成形ボビンを形成するのに射出成形プロセスを利用する、磁気コンポーネントを提供する。
【0004】
本発明の一実施形態によれば、磁気コンポーネントは、第1コアコンポーネントと、第2コアコンポーネントと、少なくとも1つのコイルとを備えている。第1コアコンポーネントは、射出成形プロセスによってコアセットの第1部分をカバーする第1成形ボビンを含む。第2コアコンポーネントは、射出成形プロセスによってコアセットの第2部分をカバーする第2成形ボビンを含む。第1コアコンポーネントは、第2コアコンポーネントに組み付けられて、第1ピラーと第2ピラーとを形成し、第1ピラーと第2ピラーとのそれぞれは、磁気コンポーネントの外側への方向に互いに積み重ねられた複数のコアを含み、第1ピラーのジョイントは第1ギャップを有し、第2ピラーのジョイントは第2ギャップを有し、第1ギャップは第2ギャップよりも大きい。少なくとも1つのコイルは、第1ピラーと第2ピラーとのうちの少なくとも1つに巻かれている。
【0005】
本発明の他の実施形態によれば、磁気コンポーネントは、第1コアコンポーネントと、第2コアコンポーネントと、少なくとも1つのコイルとを備えている。第1コアコンポーネントは、射出成形プロセスによってコアセットの第1部分をカバーする第1成形ボビンを含む。第2コアコンポーネントは、射出成形プロセスによってコアセットの第2部分をカバーする第2成形ボビンを含む。第1コアコンポーネントは、第2コアコンポーネントに組み付けられて、第1ピラーと第2ピラーとを形成し、第1ピラーと第2ピラーとのそれぞれは、磁気コンポーネントの内側への方向に互いに積み重ねられた複数のコアを含み、第1ピラーの長さは第2ピラーの長さよりも大きい。少なくとも1つのコイルは、第1ピラーと第2ピラーとのうちの少なくとも1つに巻かれている。
【0006】
上述したように、本発明は、射出成形プロセスを利用して、コアセットをカバーする第1成形ボビンと第2成形ボビンとを形成し、次いで、第1コアコンポーネントを第2コアコンポーネントに組み付けて、第1ピラーと第2ピラーとを形成する。一実施形態では、本発明は、第1ギャップと第2ギャップとを第1ピラーと第2ピラーとのジョイントに形成するように、磁気コンポーネントの外側への方向に互いにコアを積み重ねてよい。この第1ギャップは第2ギャップよりも大きい。第1ギャップと第2ギャップとは、第1ピラーと第2ピラーとの間の長さの差を減少させるために、コア及び/又はスペーサシートの公差を吸収するために使用されてよい。従って、第1ピラーと第2ピラーとの長さは、組み立て後に実質的に同じになる。さらに、組み立て後のコアセット及び/又はスペーサシートセットの形状公差が小さいため、成形ボビンを一層薄くして、磁気コンポーネントの高さ又は幅を減少させることができる。別の実施形態では、本発明は、第1ピラーの長さを第2ピラーの長さよりも大きくするように、磁気コンポーネントの内側への方向に互いにコアを積み重ねてよい。それによって、第1ピラーと第2ピラーとの中のギャップの公差を減少させるか、及び/又は磁路の公差を減少させるようにする。この実施形態では、成形ボビンは、磁気コンポーネントの形状を維持するために一層厚くてよく、その結果、磁気コンポーネントは、組み立て後のコアセット及び/又はスペーサシートセットの形状公差に影響されなくなる。
【0007】
本発明のこれら及び他の目的は、種々の図及び図面に示される好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後に、当業者には疑いなく明らかになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態による磁気コンポーネントを示す斜視図である。
図2図1に示す第1コアコンポーネントと第2コアコンポーネントとを示す組み立て図である。
図3図2に示す第1コアコンポーネントと第2コアコンポーネントとを示す分解図である。
図4図3に示すコアセットを示す正面図である。
図5図4に示すコアセットを示す組み立て図である。
図6図5に示すコアセットを示す側面図である。
図7】本発明の他の実施形態による磁気コンポーネントを示す断面図である。
図8】本発明の他の実施形態による磁気コンポーネントを示す正面図である。
図9】コイルを有さない図8に示される磁気コンポーネントを示す正面図である。
図10】ホルダ上に配置された温度センサを示す斜視図である。
図11】温度センサと、ホルダと、熱伝導部材とを示す分解図である。
図12】本発明の他の実施形態による第1コアコンポーネントと第2コアコンポーネントとを示す組み立て図である。
図13図12に示す第1コアコンポーネントと第2コアコンポーネントとのコアセットを示す正面図である。
図14図13に示すコアセットを示す組み立て図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1ないし図6を参照すると、図1は、本発明の一実施形態による磁気コンポーネント1を示す斜視図であり、図2は、図1に示す第1コアコンポーネント10と第2コアコンポーネント12とを示す組み立て図であり、図3は、図2に示す第1コアコンポーネント10と第2コアコンポーネント12とを示す分解図であり、図4は、図3に示すコアセット26を示す正面図であり、図5は、図4に示すコアセット26を示す組み立て図であり、図6は、図5に示すコアセット26を示す側面図である。
【0010】
本発明の磁気コンポーネント1は、リアクトル、変圧器、インダクタ、又は他の磁気コンポーネントであってよい。図1から図3に示すように、磁気コンポーネント1は、第1コアコンポーネント10と、第2コアコンポーネント12と、少なくとも1つのコイル14と、基部16と、第1固定コンポーネント18と、第2固定コンポーネント20とを備えている。第1コアコンポーネント10は、第2コアコンポーネント12に組み付けられ、第1ピラー(柱)22と第2ピラー24とを形成する。第1固定コンポーネント18は、第1コアコンポーネント10を基部16に固定するように構成され、第2固定コンポーネント20は、第2コアコンポーネント12を基部16に固定するように構成されている。第1固定コンポーネント18及び第2固定コンポーネント20は、ネジ又はボルトであってよいが、これらに限定されない。この実施形態では、第1コアコンポーネント10と第2コアコンポーネント12とのジョイントは、固定されずに互いに対面してよく、その結果、第1コアコンポーネント10と第2コアコンポーネント12との間の空間を使用して、温度変動に起因する第1コアコンポーネント10と第2コアコンポーネント12との体積膨張を吸収することができる。コイル14は、第1ピラー22と第2ピラー24との少なくとも1つに巻かれる。この実施形態では、それぞれ第1ピラー22と第2ピラー24とに2つのコイルが巻かれる。
【0011】
図3に示すように、第1コアコンポーネント10は、第1成形ボビン(巻枠)100と、コアセット26の第1部分26aとを含み、第2コアコンポーネント12は、第2成形ボビン120と、コアセット26の第2部分26bとを含む。この実施形態では、コアセット26は、複数のコア260を備え、コア260は、第1コアコンポーネント10の第1部分26aと、第2コアコンポーネント12の第2部分26bとに分けられてよい。
【0012】
図1及び図2に示すように、第1固定コンポーネント18は、第1成形ボビン100の固定孔102を介して、第1コアコンポーネント10を基部16に固定してよい。第2固定コンポーネント20は、第2成形ボビン120の固定孔122を介して、第2コアコンポーネント12を基部16に固定してよい。この実施形態では、固定孔102、122は、円形の孔又は規則的な多角形の孔であってよい。これにより、第1固定コンポーネント18と第2固定コンポーネント20とが固定孔102、122を通って基部16に固定された後、第1成形ボビン100と第2成形ボビン120とが固定されて不動にされる。
【0013】
本発明は、射出成形プロセスを利用して、コアセット26の第1部分26aをカバーする第1成形ボビン100を形成し、コアセット26の第2部分26bをカバーする第2成形ボビン120を形成する。図4に示すように、本発明は、コアセット26の第1部分26aを金型(図示せず)に配置してよい。金型内では、突き出しピン(ejector pin)28がコア260に当接し、コア260が磁気コンポーネント1の外側への方向D1に互いに積み重ねられる。次に、本発明は、射出成形プロセスを実行して、コアセット26の第1部分26aをカバーする第1成形ボビン100を形成する。同様に、図4に示すように、本発明は、コアセット26の第2部分26bを別の金型(図示せず)に配置してよい。金型内では、突き出しピン28がコア260に当接し、コア260が磁気コンポーネント1の外側への方向D1に互いに積み重ねられる。次に、本発明は、射出成形プロセスを実行して、コアセット26の第2部分26bをカバーする第2成形ボビン120を形成する。従って、第1コアコンポーネント10が第2コアコンポーネント12に組み付けられた後、第1ピラー22と第2ピラー24とのそれぞれが、磁気コンポーネント1の外側への方向D1に互いに積み重ねられた複数のコア260を含む。
【0014】
第1ピラー22と第2ピラー24とは、複数の小さなコア260を積み重ねることによって形成されるので、本発明は、コア260を製造する金型コストを低減し、金型の寿命を延ばすことができ、これによりコア260のコストを低減し、歩留まりを上げる。しかしながら、コア260又はスペーサシートのそれぞれが、個別の公差を有する。第1コアコンポーネント10が第2コアコンポーネント12に組み付けられた後、コア及び/又はスペーサシートの個々の公差が累積され、第1ピラー22と第2ピラー24との長さが異なる可能性がある。この問題を解決するために、図5に示すように、第1ピラー22のジョイント220に第1ギャップG1を形成し、第2ピラー24のジョイント240に第2ギャップG2を形成するように、磁気コンポーネント1の外側への方向D1にコア260を積み重ねる。従って、第1コアコンポーネント10が第2コアコンポーネント12に組み付けられた後、第1ピラー22のジョイント220は第1ギャップG1を有し、第2ピラー24のジョイント240は第2ギャップG2を有する。コア260及び/又はスペーサシートの公差が異なるため、第1ギャップG1は第2ギャップG2よりも大きい。第1ギャップG1及び第2ギャップG2は、コア260及び/又はスペーサシートの公差を吸収するために使用でき、これにより、第1ピラー22と第2ピラー24との間の長さの差を減少させる。従って、第1ピラー22と第2ピラー24との長さは、組み立て後に実質的に同じになる。さらに、組み立て後のコアセット26の形状公差が小さいため、磁気コンポーネント1の高さ又は幅を減少させるために、第1及び第2成形ボビン100、120を一層薄くすることができる。
【0015】
第1成形ボビン100と第2成形ボビン120とは、射出成形プロセスによってギャップなしでコア260に緊密に取り付けることができるため、磁気コンポーネント1の全体構造の剛性が相対的に高くなり、さらに、機械的衝撃又は振動のような信頼性試験の不具合のリスクが低減される。さらに、各コンポーネントの公差は、射出成形後に吸収が完了している。磁気コンポーネント1の外観寸法は安定的及び精密であり、第1コアコンポーネント10と、第2コアコンポーネント12と、基部16との間のギャップも相対的に安定しているので、本発明は、ポッティング接着剤の量を効果的に制御することができる。もし接着剤の量が制御されるならば、ポッティング時間もまた安定的であることができ、それによって接着剤を添加する時間を節約することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、第2ギャップG2がゼロとなれるように、第2ピラー24のジョイント240における2つの隣接するコア260が互いに接触してよいことに留意するものとする。
【0017】
この実施形態では、磁気コンポーネント1はさらに、第1スペーサ構造32と第2スペーサ構造34とを含んでよい。図5に示すように、第1スペーサ構造32は第1ギャップG1の中に配置され、第2スペーサ構造34は第2ギャップG2の中に配置される。第1ギャップG1は、第2ギャップG2よりも大きいので、第1スペーサ構造32の厚みは、第2スペーサ構造34の厚みよりも大きい。この実施形態では、第1スペーサ構造32と第2スペーサ構造34とは、射出成形プロセスによって形成される射出成形材料であってよい。別の実施形態では、第1スペーサ構造32と第2スペーサ構造34とはスペーサシートであってよい。第1スペーサ構造32と第2スペーサ構造34とがスペーサシートである場合に、第1スペーサ構造32と第2スペーサ構造34とは、まず、金型内のコア260と共に積み重ねられ、その後、射出成形プロセスが実施されて、第1及び第2成形ボビン100、120が形成される。
【0018】
この実施形態では、第1コアコンポーネント10と第2コアコンポーネント12との形状は、コア260の数に応じて決定してよい。例えば、第1コアコンポーネント10と第2コアコンポーネント12との形状は、U字形、J字形、L字形、I字形又は他の形状であってよい。好ましくは、第1コアコンポーネント10の形状は、第2コアコンポーネント12の形状(例えば、U字形又はJ字形)と同一であってよく、第1コアコンポーネント10と第2コアコンポーネント12とは、他の金型のコストを節約するために、1つの単一の金型を共有してよい。この実施形態では、磁気コンポーネント1は、複数のスペーサシート30をさらに備えてよく、スペーサシート30のそれぞれが、コア260の2つの間に位置する。スペーサシート30は、非磁性材料で作られてよいし、又はコアセット26よりも低い透磁率を有する磁性材料で作られてよい。コア260とスペーサシート30とは、接着剤によって接続されてよく、又は実際の用途に従って射出成形プロセスによって接続されてよい。一実施形態によれば、第1スペーサ構造32と第2スペーサ構造34とは、ジョイント220、240から省略してよい。
【0019】
図5及び図6に示すように、コアセット26は、巻線部262と非巻線部264とを有する。この実施形態では、巻線部262の第1幅W1は、非巻線部264の第2幅W2よりも大きく、巻線部262の第3幅W3は、非巻線部264の第4幅W4よりも小さく、第1幅W1と第3幅W3との積は、第2幅W2と第4幅W4との積に等しい(即ち、W1*W3=W2*W4)。この実施形態では、第4幅W4は、第3幅W3よりも大きい。第4幅W4が増加すると、第2幅W2が減少し、その結果、磁気コンポーネント1の全体の高さが減少できる。
【0020】
図7を参照すると、図7は、本発明の別の実施形態による磁気コンポーネント1を示す断面図である。
【0021】
図7に示すように、第1ピラー22と第2ピラー24とのジョイント220、240のそれぞれが、開口36を有する。開口36の位置は、図4に示す突き出しピン28の位置に対応する。開口36は射出成形プロセスの間に形成される。射出成形プロセスの後、コア260の1つが開口36から露出される。本発明は、一層多くの突き出しピンを金型内の他の位置に配置してよく、射出成形プロセス後にコア260の一部を露出させて放熱の効率を向上させるようにできることに留意するものとする。さらに、充填空間38が、コア260とスペーサシート30の凹み構造との間に存在してよく、射出成形プロセスによって充填空間38に射出成形材料が充填される。従って、コア260とスペーサシート30とは、射出成形プロセスによって接続されてよい。なお、スペーサシート30の形状は、実際の用途に応じて決定してよいので、本発明は、図示した実施形態に限定されないことに留意するものとする。さらに、第1成形ボビン100と第2成形ボビン120とは、射出成形プロセス中に第1スペーサ構造32と第2スペーサ構造34とをさらに形成する。第1成形ボビン100と第2成形ボビン120とは、射出成形材料(例えば、プラスチック)でコア260を完全にカバーすることができるので、安全規制の沿面距離は完全に無視できる。
【0022】
図8及び図9を参照すると、図8は、本発明の別の実施形態による磁気コンポーネント1を示す正面図であり、図9は、コイル14を有さない図8に示される磁気コンポーネント1を示す正面図である。
【0023】
図8及び9に示すように、磁気コンポーネント1は、温度センサ40とホルダ42とをさらに含んでよい。温度センサ40は、ホルダ42上に配置され、温度センサ40がコイル14の一方に隣接して配置されるように、ホルダ42は、コイル14の間に配置される。さらに、少なくとも1つの凹部44が、第1成形ボビン100と第2成形ボビン120との少なくとも1つの内面に形成され、温度センサ40は、少なくとも1つの凹部44に対応する位置に配置される。この実施形態では、第1成形ボビン100と第2成形ボビン120との対向する内面に2つの凹部44が形成されるが、本発明はそれに限定されない。好ましくは、温度センサ40はコイル14と干渉し(介在し)、温度センサ40が磁気コンポーネント1の温度を正確に測定することを確実にする。凹部44は、コイル14の少なくとも一部を収容するように構成されている。熱又は公差のために全コンポーネントの体積が増加した場合に、コイル14の少なくとも一部が凹部44まで延びることができ、これにより、凹部44が全コンポーネントの公差及び熱膨張を吸収し、温度センサ40が損傷するのを防止するようにする。なお、第1及び第2成形ボビン100、120に加えて、凹部44をさらに組立体タイプのボビンに適用してよいことに留意するものとする。
【0024】
図10及び図11を参照すると、図10は、ホルダ42上に配置された温度センサ40を示す斜視図であり、図11は、温度センサ40と、ホルダ42と、熱伝導部材46とを示す分解図である。
【0025】
図11に示すように、磁気コンポーネント1はさらに、熱伝導部材46を含んでよい。熱伝導部材46は、セラミック板であってよいが、これに限定されない。図10に示すように、熱伝導部材46は、ホルダ42に配置され、温度センサ40は、熱伝導部材46に配置される。従って、磁気コンポーネント1の最高温度を効果的に測定するために、磁気コンポーネント1の温度は、熱伝導部材46を介して温度センサ40に効果的に伝導できる。
【0026】
図12ないし図14を参照すると、図12は、本発明の別の実施形態による第1コアコンポーネント10と第2コアコンポーネント12とを示す組み立て図であり、図13は、図12に示す第1コアコンポーネント10と第2コアコンポーネント12とのコアセット26を示す正面図であり、図14は、図13に示すコアセット26を示す組み立て図である。
【0027】
本発明では、前述の磁気コンポーネント1の第1コアコンポーネント10と第2コアコンポーネント12とを、図12に示す第1コアコンポーネント10と第2コアコンポーネント12とに置き換えてよい。図12及び13に示すように、本発明は、射出成形プロセスを利用して、コアセット26の第1部分26aをカバーする第1成形ボビン100を形成し、コアセット26の第2部分26bをカバーする第2成形ボビン120を形成する。図13に示すように、本発明は、コアセット26の第1部分26aを金型(図示せず)に配置してよい。金型内では、突き出しピン28がコア260に当接し、コア260が磁気コンポーネント1の内側への方向D2に互いに積み重ねられる。次に、本発明は、射出成形プロセスを実行して、コアセット26の第1部分26aをカバーする第1成形ボビン100を形成する。同様に、図13に示すように、本発明は、コアセット26の第2部分26bを別の金型(図示せず)に配置してよい。金型内では、突き出しピン28がコア260に当接し、コア260が磁気コンポーネント1の内側への方向D2に互いに積み重ねられる。次に、本発明は、射出成形プロセスを実行して、コアセット26の第2部分26bをカバーする第2成形ボビン120を形成する。従って、第1コアコンポーネント10が第2コアコンポーネント12に組み付けられた後、第1ピラー22と第2ピラー24とのそれぞれが、磁気コンポーネント1の内側への方向D2に互いに積み重ねられた複数のコア260を含む。図14に示すように、第1ピラー22の長さL1は、第2ピラー24の長さL2よりも大きい。
【0028】
この実施形態では、本発明は、第1ピラー22の長さL1を第2ピラー24の長さL2よりも大きくするように、磁気コンポーネント1の内側への方向D2に互いにコア260を積み重ね、それによって、第1ピラー22と第2ピラー24との内部のギャップの公差を減少させるか、及び/又は磁路の公差を減少させる。この実施形態では、第1及び第2成形ボビン100、120は、磁気コンポーネント1の形状を維持するために一層厚くしてよく、組み立て後のコアセット26の形状公差によって磁気コンポーネント1が影響を受けないようにしてよい。組み立て後、第1ピラー22と第2ピラー24との中にギャップが存在するかどうかにかかわらず、磁路の公差は小さくなる。別の実施形態では、第1ピラー22は、少なくとも1つの第1ギャップG1を有してよく、及び/又は第2ピラー24は、少なくとも1つの第2ギャップG2を有してよい。少なくとも1つの第1ギャップG1の合計は、少なくとも1つの第2ギャップG2の合計と同じ大きさである。図12ないし14及び図1ないし11中の同じ要素は、同じ符号で示されることに留意するものとする。従って、ここでは説明を繰り返すことは再び示さない。
【0029】
図14に示すように、第1ピラー22は3つの第1ギャップG1を有してよく、第2ピラー24は3つの第2ギャップG2を有してよく、3つの第1ギャップG1は第1ピラー22に分布し、3つの第2ギャップG2は第2ピラー24に分布し、3つの第1ギャップG1の合計は、3つの第2ギャップG2の合計と同じ大きさである。いくつかの実施形態では、第1ピラー22は単一の第1ギャップG1を有してよく、第2ピラー24は単一の第2ギャップG2を有してよく、単一の第1ギャップG1は単一の第2ギャップG2と同じ大きさである。いくつかの実施形態では、第1ギャップG1及び/又は第2ギャップG2に配置されたスペーサシート30があってよい。いくつかの実施形態では、第1成形ボビン100と第2成形ボビン120とは、(図12に示されるように)磁性粉でドープされてよい。いくつかの実施形態では、第1ギャップG1と第2ギャップG2とは省略することができ、その結果、本発明は、コア260の公差のために、磁路の公差を減少させることができる。
【0030】
図12及び14に示すように、第1成形ボビン100は、第1ピラー22と第2ピラー24とのジョイント220、240のそれぞれから離れた側にある開口36を有し、コア260のうちの1つが開口36から露出される。第1成形ボビン100の開口36と同様に、第2成形ボビン120もまた、第1ピラー22と第2ピラー24とのジョイント220、240のそれぞれから離れた側にある開口(図示せず)を有し、コア260のうちの1つが開口36から露出される。開口36の位置は、図13に示される突き出しピン28の位置に対応する。開口36は射出成形プロセスの間に形成される。射出成形プロセスの後、コア260の1つが開口36から露出される。本発明は、一層多くの突き出しピンを金型内の他の位置に配置してよく、射出成形プロセス後にコア260の一部を露出させて放熱の効率を向上させるようにできることに留意するものとする。
【0031】
上述したように、本発明は、射出成形プロセスを利用して、コアセットをカバーする第1成形ボビンと第2成形ボビンとを形成し、次いで、第1コアコンポーネントを第2コアコンポーネントに組み付けて、第1ピラーと第2ピラーとを形成する。一実施形態では、本発明は、第1ギャップと第2ギャップとを第1ピラーと第2ピラーとのジョイントに形成するように、磁気コンポーネントの外側への方向にコアを互いに積み重ねることができる。この第1ギャップは第2ギャップよりも大きい。第1ギャップと第2ギャップとは、第1ピラーと第2ピラーとの間の長さの差を減少させるために、コア及び/又はスペーサシートの公差を吸収するために使用されてよい。従って、第1ピラーと第2ピラーとの長さは、組み立て後に実質的に同じになる。さらに、組み立て後のコアセット及び/又はスペーサシートセットの形状公差が小さいため、成形ボビンを一層薄くしてよく、磁気コンポーネントの高さ又は幅を減少させるようにする。別の実施形態では、本発明は、第1ピラーの長さを第2ピラーの長さよりも大きくするように、磁気コンポーネントの内側への方向に互いにコアを積み重ねてよい。それによって、第1ピラーと第2ピラーとの中のギャップの公差を減少させるか、及び/又は磁路の公差を減少させる。この実施形態では、成形ボビンは、磁気コンポーネントの形状を維持するために一層厚くすることができ、その結果、磁気コンポーネントは、組み立て後のコアセット及び/又はスペーサシートセットの形状公差に影響されない。
【0032】
当業者は、本発明の教示を保持しつつ、装置及び方法の多くの修正及び変更が行えることを容易に理解するものである。従って、上記の開示は、添付の請求項の範囲によってのみ限定されると解釈されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14