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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013854
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/06 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
B62D1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116248
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】星 維永
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DB16
(57)【要約】
【課題】 ステアリングホイールに投影表示される画像の歪みを低減することができる表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 車両100の運転者200の前方に配置され、前記車両100を操舵するステアリングホイール本体102と、前記車両100の内部に配置され、前記ステアリングホイール本体102のリム部1に画像となる表示光Lを投影する投影器104と、を備え、前記リム部1は、円周方向の断面において、前記運転者200側の内側の半径R1が外側の半径R2よりも小さく形成される拡張部E1を有する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転者の前方に配置され、前記車両を操舵するステアリングホイール本体と、
前記車両の内部に配置され、前記ステアリングホイール本体のリム部に画像となる表示光を投影する投影器と、を備え、
前記リム部は、円周方向の断面において、前記運転者側の内側の半径が外側の半径よりも小さく形成される拡張部を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記拡張部は、前記運転者側が前記ステアリングホイール本体の回転平面と略平行に形成されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記拡張部は、前記ステアリングホイール本体の正面視において左右方向よりも上側の方が大きいことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記リム部は、前記ステアリングホイール本体の正面視において下側に、前記外側の半径が前記内側の半径よりも小さく形成される下側拡張部を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両のステアリングホイールに画像を表示する表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されるように、表示装置は、車室内の天井等に設けられたプロジェクタからの表示光をステアリングホイールの円環状のリムに投影し、リムに画像(図柄)を表示するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-142271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の表示装置は、リムの円周方向の断面形状が湾曲しているため、リムの内側や外側に投影される画像が歪むといった問題点があった。
【0005】
そこで、本開示は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ステアリングホイールに投影表示される画像の歪みを低減することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の表示装置は、車両100の運転者200の前方に配置され、前記車両100を操舵するステアリングホイール本体102と、前記車両100の内部に配置され、前記ステアリングホイール本体102のリム部1に画像となる表示光Lを投影する投影器104と、を備え、前記リム部1は、円周方向の断面において、前記運転者200側の内側の半径R1が外側の半径R2よりも小さく形成される拡張部E1を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の表示装置の使用様態図。
図2】同上の表示装置の運転者側から視認したステアリングホイールの自動運転時の正面図。
図3】同上の表示装置の運転者側から視認したステアリングホイールの手動運転時の正面図。
図4図2のA-A線に沿ったリム部の断面図。
図5図2のA-A線に沿ったリム部の従来の断面図。
図6図2のB-B線に沿ったリム部の断面図。
図7図2のC-C線に沿ったリム部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示に係る表示装置の実施形態を図1乃至7に基づいて説明する。本開示の表示装置を、自動車である車両用の表示装置を用いて説明する。本開示は、車両用の表示装置にし、例えば、自動車や農業機械や建設機械を備えた移動体に搭載される車両用の表示装置に適用することができる。
【0009】
図1に示すように、車両100の運転席101に着座した運転者200の前方に配置され、車両100を操舵するステアリングホイール(ステアリングホイール本体)102が設けられる。
【0010】
以下の説明において、「前」、「後」、「上」、「下」、「右」及び「左」は、図中における定義「Fr.」、「Re.」、「To.」、「Bo.」、「R」、及び「L」に従う。尚、「前」はステアリングホイール102を運転者200から見た側であり、「後」はステアリングホイール102の運転者200から見た裏側であり、前後方向はステアリングシャフト103の軸方向となる。「上」はステアリングホイール102を見る運転者200の頭の側であり、「右」は運転者200の右手側である。
【0011】
ステアリングホイール102は、図2に示すように、回転操舵時に運転者200の把持する円環状のリム部1と、リム部1の軸心箇所に配置されステアリングシャフト103に接続されるボス部2と、リム部1とボス部2とを含む3者を一体に連結する複数(本実施形態の場合、3本)のスポーク部3と、から構成される。
【0012】
ステアリングホイール102の内部は、図4に示すように、芯金部11と、被覆層12と、表皮層13と、から構成される。
【0013】
芯金部11は、アルミニウム合金等の金属材料からなり、断面略D字形状に形成され、リム部1,ボス部2,スポーク部3を相互に連結するステアリングホイール102の芯材として構成される。被覆層12は、発泡ポリウレタン等の軟質発泡材等のクッション性を有した軟質合成樹脂からなり、芯金部11の外周側を覆うように構成される。表皮層13は、合成樹脂製のシート体や、天然皮革、合成皮革、人工皮革等の皮革からなり、表皮層13の外周側を覆いステアリングホイール102の最表面として構成される。
【0014】
リム部1は、運転者200が把持する部分であり、断面略円形状(詳細には、断面略楕円形状)に形成される。ボス部2は、内部に図示しないエアバッグ装置やクラクション装置を備える。スポーク部3は、車両100の各種設定を切り替えるスイッチ31を備える。
【0015】
車両100は、図1に示すように、内部である車室内の天井105にプロジェクタ(投影器)104が配置される。プロジェクタ104は、例えば液晶デバイス、デジタルミラーデバイス等を利用した公知のプロジェクタを用いることができる。
【0016】
プロジェクタ104は、図示しない制御装置の制御の下、車両100の車内における予め設定された所定箇所に表示光Lをプロジェクタ画像として投影し表示する。表示光Lが表示される所定箇所としては、車内の天井105、ダッシュボード106、ピラーやドアなどの内壁、窓ガラスのガラス面、シート(運転席)101、床など車内の様々な箇所が対象となる。また、必要に応じて運転者200やその他の乗員の体の表面に表示光Lを投影してもよい。
【0017】
制御装置は、プロジェクタ104の全体動作を制御するコンピュータからなり、CPU(Central Processing Unit)等から構成される制御部と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリやハードディスク(Hard Disk)から構成される記憶部とを備える。
【0018】
プロジェクタ104は、本開示では特に、表示光Lをステアリングホイール102のリム部1に投影し、リム部1の表面にプロジェクタ画像を表示する。リム部1は、図2に示すように、表示光Lの投影される領域として、ステアリングホイール102の正面視において上下左右に4分割した4つの領域を有し、上方の第1の領域Z1と、左右方向の第2の領域Z2と、下方向の第3の領域Z3を有する。
【0019】
制御部は、車両100の図示しないECU(Electronic Control Unit)から取得した情報に基づいて、処理動作に必要な情報を記憶部から取得し、出射部104aから表示光Lをリム部1に投影することでプロジェクタ画像を表示させる。
【0020】
例えば、プロジェクタ104は、車両100の設定が自動運転モードの時、図2に示すように、プロジェクタ画像として第1の領域Z1に青色の背景に「自動」という文字を表示する第1の画像V1を表示すると共に、第2の領域Z2及び第3の領域Z3に青色のスポット状の第2の画像V2及び第3の画像V3を表示する。
【0021】
このように形成されることにより、運転者200は、現在車両100が自動運転中でありステアリングホイール102を握る必要が無いことを容易に認識することができる。
【0022】
その後、車両100が数キロメート先から手動運転モードへ切り替わる必要があった場合、プロジェクタ104は、図3に示すように、第1の領域Z1に赤色の背景に「手動」という文字を表示する第4の画像V4を表示すると共に、第2の領域Z2に赤色の背景に「手」という文字を表示する第5の画像V5を表示し、更に、第3の領域Z3に赤色のスポット状の第6の画像V6を表示する。尚、この時、同時に車両100に備わる音声装置で、警告音等を発してもよい。
【0023】
このように形成されることにより、運転者200は、ステアリングホイール102を握って車両100を運転しなければことを容易に認識することができる。
【0024】
本開示では、第1の領域Z1においてリム部1の断面は、図4に示すように、円周方向の断面において、運転者200側の内側の半径R1が外側の半径R2よりも小さく形成される第1の拡張部(拡張部)E1を有する。第1の拡張部E1は、運転者200側がステアリングホイール102の回転平面S1と略平行に形成される。
【0025】
尚、ここで半径R2は、第1の拡張部E1の無い従来のリム部1の断面の外側の半径R20と同様である。
【0026】
図5に示すように、第1の拡張部E1の無い従来のリム部1の断面では、車室内の天井105から投影される表示光Lは幅W1の範囲に投影され、この幅W1の範囲内において内側は大きな半径R10で湾曲しているため、第1の画像V1の半径R10の箇所が歪むといった問題点があった。
【0027】
本開示では、表示光Lは幅W1に加え第1の拡張部E1により幅W2の範囲にも投影され、特に幅W2の範囲はステアリングホイール102の回転平面S1と略平行に形成されるため、第1の画像V1の歪みを防止することができる。
【0028】
同様に、第2の領域Z2においてリム部1の断面は、図6に示すように、円周方向の断面において、運転者200側の内側の半径R3が外側の半径R4よりも小さく形成される第2の拡張部(拡張部)E2を有する。第2の拡張部E2は、運転者200側がステアリングホイール102の回転平面S1と略平行に形成される。第2の拡張部E2は、下側に行くに従い半径R3が大きくなるように形成され、第3の領域Z3付近では、従来の半径R10で形成される。
【0029】
尚、ここで半径R4は、第2の拡張部E2の無い従来のリム部1の断面の外側の半径R20と同様である。
【0030】
本開示では、表示光Lは幅W1に加え第2の拡張部E2により幅W3の範囲にも投影され、特に幅W3の範囲はステアリングホイール102の回転平面S1と略平行に形成されるため、第2の画像V2の歪みを防止することができる。
【0031】
尚、半径R3は半径R1よりも小さく形成され、幅W3は幅W2よりも狭くなる。つまり、第1の拡張部E1は第2の拡張部E2よりも大きく形成される。これは、ステアリングホイール102の第1の領域Z1よりも第2の領域Z2の方が、プロジェクタ画像の歪みが小さいからである。
【0032】
第3の領域Z3においてリム部1の断面は、図7に示すように、円周方向の断面において、運転者200側の外側の半径R5が内側の半径R6よりも小さく形成される第3の拡張部(下側拡張部)E3を有する。第3の拡張部E3は、運転者200側がステアリングホイール102の回転平面S1と略平行に形成される。第3の拡張部E3は、上側に行くに従い半径R5が小さくなるように形成され、第2の領域Z2付近では、従来の外側の半径R20で形成される。
【0033】
尚、ここで半径R6は、第3の拡張部E3の無い従来のリム部1の断面の内側の半径R10と同様である。
【0034】
本開示では、表示光Lは幅W1に加え第3の拡張部E3により幅W4の範囲にも投影され、特に幅W4の範囲はステアリングホイール102の回転平面S1と略平行に形成されるため、第3の画像V3の歪みを防止することができる。
【0035】
(変形例)
尚、本発明の表示装置を上記した実施形態の構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構成においても、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良、並びに設計の変更が可能なことは勿論である。
【0036】
例えば、ステアリングホイール102のリム部1は、図2図3に示すように真円に近い円環状に形成されていたが、略四角状であったり、一部が切れた円環状であってもよい。
【0037】
プロジェクタ104は、プロジェクタ画像として文字を表す画像を表示していたが、例えば、図を表す静止画や動画の画像であってもよい。また、プロジェクタ104は、ステアリングホイール102の一部分にスポット状の画像を投影していたが、例えば、各領域Z1、Z2、Z3全体に画像を投影してもよい。
【0038】
プロジェクタ104は、車室内の天井105に配置されていたが、例えば、車内のピラー(A(フロント)ピラーやB(センター)ピラー)やドアの内壁など適宜の箇所に複数設置されてもよい。
【0039】
例えば、上記の実施形態の他に例えば、手動運転時において、車両100が交差点で停車した時に運転者200がステアリングホイール102から手を離す場合がある。この状態の時に、車両100が車外のサーバから後数秒で信号が青に変わることを検知した場合、プロジェクタ104は、各領域Z1、Z2、Z3に表示光Lを投影してプロジェクタ画像を表示させることで、運転者200にステアリングホイール102を握ること注意喚起してもよい。
【0040】
また、車両100の起動スイッチがON/OFFになった時に、プロジェクタ104は、各領域Z1、Z2、Z3に表示光Lを投影してプロジェクタ画像を表示させることで、運転者200にオープニング演出やエンディング演出のイルミネーションとしてもよい。
【0041】
また、車両100が駐車場で停車時に、プロジェクタ104は、各領域Z1、Z2、Z3に表示光Lを投影してプロジェクタ画像を表示させることで、運転者200にステアリンググホイール102に色を付けるイルミネーションとしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 リム部
11 芯金部
12 被覆層
13 表皮層
2 ボス部
3 スポーク部
100 車両
101 運転席
102 ステアリングホイール(ステアリングホイール本体)
103 ステアリングシャフト
104 プロジェクタ(投影器)
104a 出射部
105 天井
106 ダッシュボード
200 運転者
E1 第1の拡張部(拡張部)
E2 第2の拡張部(拡張部)
E3 第3の拡張部(下側拡張部)
L 表示光
R1 半径
R2 半径
R3 半径
R4 半径
R5 半径
R6 半径
R10 半径
R20 半径
S1 回転平面
V1 第1の画像
V2 第2の画像
V3 第3の画像
V4 第4の画像
V5 第5の画像
V6 第6の画像
W1 幅
W2 幅
W3 幅
Z1 第1の領域
Z2 第2の領域
Z3 第3の領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7