(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138547
(43)【公開日】2024-10-08
(54)【発明の名称】スピーカ用ブラケット、スピーカ用フレーム及びスピーカ
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20241001BHJP
【FI】
H04R1/02 105Z
H04R1/02 102B
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024116789
(22)【出願日】2024-07-22
(62)【分割の表示】P 2022149841の分割
【原出願日】2019-05-27
(31)【優先権主張番号】P 2018103615
(32)【優先日】2018-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000221926
【氏名又は名称】東北パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】近藤 隼美
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 辰
(72)【発明者】
【氏名】白幡 駿
(72)【発明者】
【氏名】鶴谷 理人
(72)【発明者】
【氏名】土肥 寛幸
(57)【要約】
【課題】取付板を用いてスピーカを取り付ける際の強度の確保と、取付板を用いないでスピーカを取り付ける際の取付板の折り取りにおける作業性の向上と、を両立させることが可能なスピーカ用ブラケットを提供する。
【解決手段】スピーカを支持する枠状の支持部10と、支持部10に支持されたスピーカを外部に取り付けるために用いられる取付部材20であって、支持部10に設けられた取付部材20と、取付部材20と支持部10を接続する取り付け部材20の基部に、延在方向が異なる複数の溝が連続して形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカを支持する支持部と、
当該支持部に支持された前記スピーカを外部に取り付けるために用いられる取付部材であって、前記支持部に設けられた取付部材と、を備え、
前記取付部材と前記支持部を接続する当該取付部材の基部に、延在方向が異なる複数の溝が連続して形成されており、
前記取付部材は前記支持部の外周縁部に位置することを特徴とするスピーカ用ブラケット。
【請求項2】
請求項1に記載のスピーカ用ブラケットにおいて、
前記各溝はそれぞれ直線状であることを特徴とするスピーカ用ブラケット。
【請求項3】
請求項1に記載のスピーカ用ブラケットにおいて、
前記各溝は曲線状の溝を含むことを特徴とするスピーカ用ブラケット。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のスピーカ用ブラケットにおいて、
前記各溝の断面が矩形であることを特徴とするスピーカ用ブラケット。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のスピーカ用ブラケットにおいて、
前記各溝は、前記基部における一の面にのみ形成されていることを特徴とするスピーカ用ブラケット。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のスピーカ用ブラケットにおいて、
前記支持部は肉抜き部を有することを特徴とするスピーカ用ブラケット。
【請求項7】
スピーカの振動板を支持する振動板支持部と、
当該振動板支持部を有する前記スピーカを外部に取り付けるために用いられる取付部材であって、前記振動板支持部に設けられた取付部材と、を備え、
前記取付部材と前記支持部を接続する当該取付部材の基部に、延在方向が異なる複数の溝が連続して形成されており、
前記取付部材は前記支持部の外周縁部に位置することを特徴とするスピーカ用フレーム。
【請求項8】
振動板を支持する振動板支持部と、
前記振動板支持部に設けられ、スピーカを外部に取り付けるための取付部材と、
を備え、
前記取付部材と前記支持部を接続する当該取付部材の基部に、延在方向が異なる複数の溝が連続して形成されており、
前記取付部材は前記支持部の外周縁部に位置することを特徴とするスピーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はスピーカ用ブラケット、スピーカ用フレーム及びスピーカの技術分野に属する。より詳細には、スピーカを外部(例えば車両ドアの内側等)に取り付けるための構造を含むスピーカ用ブラケット、スピーカ用フレーム及びスピーカの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車載用のスピーカとしては、車両の製造時から取り付けられているスピーカと、製造時に取り付けられていたスピーカを例えば車両の販売後に取り外して新たに取り付けられるスピーカと、がある。
【0003】
ここで後者の場合、車両においてそのスピーカが取り付けられる部分の構成又は構造は、製造時に取り付けられていたスピーカにおける取付のための構成又は構造に合わせられているため、新たに取り付けるスピーカにおける取付のための構成又は構造とは合致しない場合がある。そこでこのような場合、一般には、ブラケット(又はアタッチメント或いはアダプタ。以下、これらを代表して単に「ブラケット」という)と称される取り付け用の別部品をスピーカと車両の間に介在させた上で、新たに取り付けるスピーカが元のスピーカの位置に取り付けられる。このようなブラケットの構造に関する先行技術文献としては、例えば下記特許文献1が挙げられる。この特許文献1に記載されている技術では、スピーカのフレーム外周に水平に外方向に突出した複数の取付板と、当該複数の取付板の基端部に設けられた切断線と、を備える構成とされている。そして、新たに取り付ける部分の構造に応じて、取付板が不要な場合は上記切断線から当該取付板を折り取った後にスピーカを取り付ける構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されている切断線は、複数の切断孔が上記フレーム外周に沿った一本の線状に並んで形成されている。しかしながら、特許文献1記載の取付板を用いてスピーカを取り付ける場合、上記切断孔によって強度が不足する場合がある。従って、特許文献1記載のスピーカを他の部材(例えば車両)に取り付ける場合には、取付板を用いたスピーカの取り付け時の強度の確保と、取付板を用いないでスピーカを取り付ける際の取付板の折り取りにおける作業性の向上と、を両立させることができないという問題点があった。
【0006】
そこで本願は、上記の問題点に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、取付板を用いてスピーカを取り付ける際の強度の確保と、取付板を用いないでスピーカを取り付ける際の取付板の折り取り等における作業性の向上と、を両立させることが可能なスピーカ用ブラケット、スピーカ用フレーム及びスピーカを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、スピーカを支持する支持部と、当該支持部に支持された前記スピーカを外部に取り付けるために用いられる取付部材であって、前記支持部に設けられた取付部材と、を備え、前記取付部材と前記支持部を接続する当該取付部材の基部に、延在方向が異なる複数の溝が連続して形成されており、前記取付部材は前記支持部の外周縁部に位置するように構成される。
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項7に記載の発明は、スピーカの振動板を支持する振動板支持部と、当該振動板支持部を有する前記スピーカを外部に取り付けるために用いられる取付部材であって、前記振動板支持部に設けられた取付部材と、を備え、前記取付部材と前記支持部を接続する当該取付部材の基部に、延在方向が異なる複数の溝が連続して形成されており、前記取付部材は前記支持部の外周縁部に位置するように構成される。
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項8に記載の発明は、振動板を支持する振動板支持部と、前記振動板支持部に設けられ、スピーカを外部に取り付けるための取付部材と、を備え、前記取付部材と前記支持部を接続する当該取付部材の基部に、延在方向が異なる複数の溝が連続して形成されており、前記取付部材は前記支持部の外周縁部に位置するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態及び実施例のスピーカ用ブラケットの使用状態等を示す外観斜視図である。
【
図2】実施形態及び実施例のスピーカ用ブラケットの構成を示す正面図である。
【
図3】実施形態及び実施例のスピーカ用ブラケットの構成を示す裏面斜視図である。
【
図4】実施例のスピーカ用ブラケットの構成を示す正面斜視図である。
【
図5】実施例の取付部材の構成を示す裏面拡大図等であり、(a)は当該裏面拡大図であり、(b)は当該実施例の取付部材の構成を示す正面拡大図である。
【
図6】実施例の取付部材の構成を示す側面拡大図等であり、(a)は当該側面拡大図であり、(b)は当該取付部材の構成を示す裏面拡大斜視図である。
【
図7】実施例のスピーカ用ブラケットの使用態様を説明する正面図である。
【
図8】各変形例の取付部材の構成を示す裏面拡大図(I)であり、(a)は第1変形例の取付部材の構成を示す裏面拡大図であり、(b)は第2変形例の取付部材の構成を示す裏面拡大図である。
【
図9】各変形例の取付部材の構成を示す裏面拡大図(II)であり、(a)は第3変形例の取付部材の構成を示す裏面拡大図であり、(b)は第4変形例の取付部材の構成を示す裏面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本願を実施するための形態について、
図1乃至
図3を用いて説明する。なお、
図1は実施形態及び実施例のスピーカ用ブラケットの使用状態等を示す外観斜視図であり、
図2は当該スピーカ用ブラケットの構成を示す正面図であり、
図3は当該スピーカ用ブラケットの構成を示す裏面斜視図である。ここで、以下に説明する実施形態及び実施例では、後述するスピーカが固定されて支持されるスピーカ用ブラケットの面を正面とし、当該スピーカが固定されたスピーカ用ブラケットにおける後述の内張に固定される面を裏面としている。また
図1では、実施形態のスピーカ用ブラケットの概要のみの外観斜視図を、破線を用いて示している。
【0012】
実施形態のスピーカ用ブラケット1は、
図1に示すように、例えば車両のドアの内張BDと新たに取り付けようとするスピーカSPとの間に介在させることで、様々な車種のドアの内張BDにスピーカSPを取り付けることを可能とする部材である。より具体的には、スピーカSPの取付孔p1乃至取付孔p4を用いて当該スピーカSPを支持しつつスピーカ用ブラケット1に固定し、この状態のスピーカ用ブラケット1を、内張BDの取付孔h1及び取付孔h2を用いて内張BDのスピーカ孔BHに固定する。このためスピーカ用ブラケット1には、取付孔p1乃至取付孔p4を用いてスピーカSPを支持して固定するためのスピーカ固定孔と、スピーカSPが固定されたスピーカ用ブラケット1自体を取付孔h1及び取付孔h2を用いてスピーカ孔BHに固定するためのブラケット固定孔と、の二種類の固定孔が空けられている。このとき、スピーカ孔BHの周縁部に設けられた取付孔h1等の数及び位置は、スピーカSPが取り付けられる車種によって種々に異なることから、想定される各車種に対して一種類のスピーカ用ブラケット1を用いてそれぞれ対応可能となるように、実施形態のスピーカ用ブラケット1には複数のブラケット固定孔が空けられている。
【0013】
即ち、実施形態のスピーカ用ブラケット1は、
図1乃至
図3に示すように、スピーカSPを支持する支持部10と、当該支持部10に支持されたスピーカSPを外部に取り付けるために用いられる取付部材20であって、支持部10に設けられた取付部材20と、を備え、取付部材20と支持部10を接続する当該取付部材20の基部Bに、延在方向が異なる複数の溝201及び溝202が連続して形成されている。
【0014】
以上説明したように、実施形態のスピーカ用ブラケット1の構成によれば、スピーカSPを外部に取り付けるために用いられる取付部材20の基部に、延在方向が異なる複数の溝201及び溝202が連続して形成されている。よって、取付部材20を用いてスピーカSPを外部に取り付ける際の強度の確保と、取付部材20を用いないでスピーカSPを外部に取り付ける際の取付部材の分離における作業性の向上と、を両立させることができる。
【実施例0015】
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例について、上記
図1乃至
図3に加えて、
図4乃至
図7を用いて説明する。なお以下に説明する実施例は、元々固定されていたスピーカを取り外し、当該取り外した位置に新たなスピーカSPを固定するために用いられるスピーカ用ブラケットに対して実施形態を適用した場合の実施例である。このとき
図4乃至
図7では、
図1乃至
図3に示した実施形態のスピーカ用ブラケット1における各構成部材に対応する実施例の構成部材それぞれについて、実施形態のスピーカ用ブラケット1における各構成部材と同一の部材番号を用いている。
【0016】
初めに、実施例のスピーカ用ブラケットについて、
図4を用いてその全体構造を説明する。なお、
図4は実施例のスピーカ用ブラケットの構成を示す正面斜視図である。また、以下に説明する実施例のスピーカ用ブラケットは、例えば樹脂を材料とした一体成形により形成される。
【0017】
図4に示すように、実施形態に対応する実施例のスピーカ用ブラケット1は、スピーカSPの外形に合わせた円形枠状の支持部10の周部に、複数のスピーカ固定孔SL1乃至スピーカ固定孔SL4と、複数のブラケット固定孔HL1乃至ブラケット固定孔HL8並びにブラケット固定孔HS1乃至ブラケット固定孔HS8と、実施例の取付部材20及び取付部材21と、スピーカSPをスピーカ用ブラケット1に固定する際の位置決め用の突起25乃至突起28と、を備えて構成されている。この構成において、ブラケット固定孔HL1乃至ブラケット固定孔HL8は、支持部10の外周縁部から外側に放射状に突出した突出部11乃至突出部16に、それぞれ支持部10の半径方向に沿ってそれぞれ空けられた長孔状のブラケット固定孔である。一方ブラケット固定孔HS1乃至ブラケット固定孔HS8は、支持部10の周部に空けられた丸孔状のブラケット固定孔である。これらのブラケット固定孔HL1乃至ブラケット固定孔HL8並びにブラケット固定孔HS1乃至ブラケット固定孔HS8は、内張BDの取付孔h1等の数及び位置に応じて、内張BDのスピーカ孔BHの位置へのスピーカ用ブラケット1の固定に用いられる。これに対して、スピーカ固定孔SL1乃至スピーカ固定孔SL4は、スピーカSPとスピーカ用ブラケット1との固定に用いられるスピーカ固定孔であり、スピーカSPの取付部p1乃至取付部p4(
図1参照)の数及び位置に合わせて支持部10に空けられている。また、突起25乃至突起28は、上記位置決めが可能な位置及び形状の突起として、支持部10の周部に設けられている。
【0018】
これらに加えて、支持部10の外周縁部における突出部14の両側には、スピーカ用ブラケット1を係止して(即ち、特定の車種におけるスピーカ孔BHの内周縁部の一部にスピーカ用ブラケット1を引っ掛けて)固定するための実施例の取付部材20及び取付部材21が形成されている。これら取付部材20及び取付部材21の細部構成については、後ほど
図3並びに
図5及び
図6を用いて詳説する。
【0019】
一方、各突出部11乃至突出部16の正面側の表面には、それぞれ、スピーカ用ブラケット1が固定されることが想定される車種におけるスピーカ孔BHの取付孔h1等の数及び位置に対応した分離用溝L1乃至分離用溝L16が形成されている(即ち、当該表面に彫られている)。これら分離用溝L1乃至分離用溝L16のそれぞれは、上記想定される車種に応じて、当該分離用溝L1乃至分離用溝L16よりも外側の部分を支持部10から分離するための分離用溝である。この分離は、例えば、当該分離用溝を切断したり、当該外側の部分を折り取ったりして行われる。
【0020】
次に、実施例の取付部材20及び取付部材21の細部構成について、より具体的に、
図3並びに
図5及び
図6を用いて説明する。なお、
図5は実施例の取付部材の構成を示す裏面拡大図等であり、
図6は当該取付部材の構成を示す側面拡大図等である。このとき、
図5(a)は取付部材20を
図3のA方向から見た側面拡大図である。また
図5(b)では、取付部材20の裏面側に形成されている後述の分離用溝201及び分離用溝202並びに屈曲点IPを、破線で示している。更に取付部材20及び取付部材21は、突出部14のブラケット固定孔HL5及びブラケット固定孔HS4を通る支持部10の半径を対称軸とした線対称の位置及び形状とされている。よって以下の説明では、取付部材20及び取付部材21を代表して、取付部材20の細部構成について説明する。
【0021】
図5(a)に裏面拡大図を示し、
図5(b)に正面拡大図を示し、
図6(a)に側面拡大図を示し、
図6(b)に裏面拡大斜視図を示すように、実施例の取付部材20は、裏面に補強用のリブ203及びリブ204が設けられ、正面に補強用のリブ205及びリブ206が設けられた係止部200により構成されている。そして、当該係止部200を有する取付部材20と支持部10とを接続する当該取付部材20の基部B(即ち、支持部10の裏面側の表面と同一平面上にあり且つ支持部10と取付部材20とを接続する当該取付部材20の基部B)の裏面側には、取付部材20を支持部10から分離するための分離用溝201及び分離用溝202がその表面に形成されている(即ち、当該表面に彫られている)。この分離用溝201が実施形態の溝201の一例に相当し、分離用溝202が実施形態の溝202の一例に相当する。このとき、分離用溝201及び分離用溝202は、屈曲部IPで折れ曲がった直線状の連続した溝であり、その断面は略V字型とされている。そして取付部材20は、分離用溝201及び分離用溝202を切断したり、分離用溝201及び分離用溝202から取付部材20を折り取ることによって、必要に応じて支持部10から分離することができる。この構成により、スピーカSPを外部(例えば車のドアの内張BD)に取り付ける際に、当該外部の取付部の形状に応じてスピーカ用ブラケット1から取付部材20を分離することができる。
【0022】
なお、分離用溝201及び分離用溝202それぞれ自体の深さは、例えば取付部材20及び取付部材21を用いたスピーカSPの取付強度の観点からは、上記基部Bの厚さの1パーセント乃至30パーセント程度に相当する深さとするのが好ましい。また、分離用溝201及び分離用溝202それぞれの、長さ、幅及び屈曲部IPにおける屈曲角度は、取付部材20が分離された後の支持部10の当該取付部材20が設けられていた位置の形状が、取付部材20を用いずにスピーカ用ブラケット1が固定されるスピーカ孔BHにおける当該取付部材20が設けられていた支持部10の位置に対向する位置の内周縁の形状に沿った形状となるように設定されている。
【0023】
次に、実施例のスピーカ用ブラケット1の使用態様について、
図7を用いて具体的に説明する。なお
図7は、当該スピーカ用ブラケットの使用態様をそれぞれ説明する正面図である。
【0024】
例えば第1の車種のスピーカ孔BHにスピーカ用ブラケット1を固定する場合、スピーカ用ブラケット1は、
図7(a)にその正面図を示すように、取付部材20及び取付部材21を残したまま、当該取付部材20及び取付部材21がスピーカ用ブラケット1の中心から見て例えば鉛直方向下方に位置するように用いられる。そして、当該取付部材20及び取付部材21による係止と、例えばブラケット固定孔HL1を用いた固定と、により、スピーカ用ブラケット1がスピーカ孔BHに固定される。このとき、その他のブラケット固定孔HS2等は使用されない。
【0025】
また、例えば第2の車種のスピーカ孔BHにスピーカ用ブラケット1を固定する場合、スピーカ用ブラケット1は、
図7(b)にその正面図を示すように、分離用溝L3、分離用溝L6、分離用溝L9、分離用溝L10、分離用溝L12及び分離用溝L15のそれぞれから外側の部分が分離されたスピーカ用ブラケット1-1として用いられる。このとき、上記取付部材20及び上記取付部材21も合わせて分離されて用いられる。そして、ブラケット固定孔HS2、ブラケット固定孔HS4、ブラケット固定孔HS6及びブラケット固定孔HS8が実際のブラケット固定孔として用いられ、その他のブラケット固定孔HL1等は使用されない。
【0026】
更に、例えば第3の車種のスピーカ孔BHにスピーカ用ブラケット1を固定する場合、スピーカ用ブラケット1は、
図7(c)にその正面図を示すように、分離用溝L2、分離用溝L4、分離用溝L9及び分離用溝L12のそれぞれから外側の部分が分離されたスピーカ用ブラケット1-2として用いられる。このとき、上記取付部材20及び上記取付部材21も合わせて分離されて用いられる。そして、ブラケット固定孔HL1、ブラケット固定孔HL2、ブラケット固定孔HL5及びブラケット固定孔HL8が実際のブラケット固定孔として用いられ、その他のブラケット固定孔HS2等は使用されない。
【0027】
更にまた、例えば第4の車種のスピーカ孔BHにスピーカ用ブラケット1を固定する場合、スピーカ用ブラケット1は、
図7(d)にその正面図を示すように、分離用溝L1、分離用溝L2、分離用溝L4、分離用溝L5、分離用溝L9、分離用溝L11、分離用溝L12及び分離用溝L16のそれぞれから外側の部分が分離されたスピーカ用ブラケット1-3として用いられる。このとき、上記取付部材20及び上記取付部材21も合わせて分離されて用いられる。そして、ブラケット固定孔HL1、ブラケット固定孔HL2、ブラケット固定孔HL5及びブラケット固定孔HL8が実際のブラケット固定孔として用いられ、その他のブラケット固定孔HS2等は使用されない。
【0028】
また、例えば第5の車種のスピーカ孔BHにスピーカ用ブラケット1を固定する場合、スピーカ用ブラケット1は、
図7(e)にその正面図を示すように、分離用溝L2、分離用溝L4、分離用溝L6、分離用溝L8、分離用溝L10、分離用溝L13及び分離用溝L15のそれぞれから外側の部分が分離されたスピーカ用ブラケット1-4として用いられる。このとき、上記取付部材20及び上記取付部材21も合わせて分離されて用いられる。そして、ブラケット固定孔HL1、ブラケット固定孔HL3及びブラケット固定孔HS7が実際のブラケット固定孔として用いられ、その他のブラケット固定孔HS2等は使用されない。
【0029】
最後に、例えば第6の車種のスピーカ孔BHにスピーカ用ブラケット1を固定する場合、スピーカ用ブラケット1は、
図7(f)にその正面図を示すように、分離用溝L2、分離用溝L4、分離用溝L6、分離用溝L9、分離用溝L10、分離用溝L12及び分離用溝L15のそれぞれから外側の部分が分離されたスピーカ用ブラケット1-5として用いられる。このとき、上記取付部材20及び上記取付部材21も合わせて分離されて用いられる。そして、ブラケット固定孔HS8、ブラケット固定孔HS3及びブラケット固定孔HS5が実際のブラケット固定孔として用いられ、その他のブラケット固定孔HL1等は使用されない。
【0030】
なお、
図2及び
図4並びに
図7においては、上記分離用溝L1乃至分離用L16を直線状として説明しているが、これらが曲線状の分離溝であってもよい。
【0031】
以上説明したように、実施例のスピーカ用ブラケット1の構成によれば、スピーカSPをスピーカ孔BHに取り付けるために用いられる取付部材20の基部Bに、延在方向が異なる複数の分離用溝201及び分離用溝202が連続して形成されている。よって、取付部材20を用いてスピーカSPを内張BDに取り付ける際の強度の確保と、取付部材20を用いないでスピーカSPを内張BDに取り付ける際の取付部材の分離における作業性の向上と、を両立させることができる。
【0032】
また、分離用溝201及び分離用溝202が、一の屈曲点IPで接続された複数の直線状の溝であるので、強度維持と作業性の向上を両立させつつ、簡易な工程で分離用溝201及び分離用溝202を形成することができる。
【0033】
更に、分離用溝201及び分離用溝202の各延在方向に垂直な方向から見た当該分離用溝201及び分離用溝202全体の形状(
図5参照)が、取付部材20を分離した後のスピーカ用ブラケット1を介してスピーカSPが取り付けられるスピーカ孔BHの形状に対応した形状とされているので、当該取付部材20を分離した後のスピーカ用ブラケット1を用いて、スピーカSPを必要な領域に確実に取り付けることができる。
【0034】
更にまた、分離用溝201及び分離用溝202が、板状の基部Bにおける一の面(即ち、裏面側の表面)にのみ形成されている(
図5及び
図6参照)ので、取付部材20を用いてスピーカSPを外部に取り付ける際の強度を十分に確保することができる。
【0035】
[変形例]
次に、実施形態に対応する変形例について、
図8及び
図9を用いて説明する。なお、
図8及び
図9は各変形例の取付部材の構成を示す裏面拡大図である。また、
図8及び
図9において、実施例の取付部材20及び支持部10と同様の構成については、同一の部材番号を用いて細部の説明は省略する。
【0036】
(I)
第1変形例
先ず、第1変形例の取付部材の構成について、
図8(a)を用いて説明する。
図8(a)にその裏面拡大図を示すように、第1変形例の取付部材20-1は、実施例と同様の分離用溝202に屈曲部IPを介して連続して形成されている分離用溝が、直線状ではなく、取付部材20側に突出した曲線状の分離用溝210とされている。この分離用溝210が実施形態の溝201の他の一例に相当する。その他の第1変形例の取付部材20-1の構成は、実施例の取付部材20の構成と同様であるので、細部の説明は省略する。このような第1変形例の取付部材20-1の構成によれば、取付部材20及び取付部材21を用いたスピーカSPの取付時において、分離用溝210の中央部付近が鉛直方向下向きに突出することとなる(
図7(a)に示す使用態様参照)。これにより、取付後のスピーカSPの裏側に例えば雨が進入した場合に、当該雨による水分が分離用溝210の
図8(a)における右方から進入しても、これをその突出部に溜めておけることで、それが下方に垂れてしまう(即ち、結果的に雨漏りがしてしまう)ことを抑制することができる。なお、第1変形例乃至第4変形例の曲線状の分離用溝210等においては、当該曲線の接線の方向が分離用溝210等としての延在方向となる。
【0037】
(II)
第2変形例
次に、第2変形例の取付部材の構成について、
図8(b)を用いて説明する。
図8(b)にその裏面拡大図を示すように、第2変形例の取付部材20-2は、第1変形例と同様の曲線状の分離用溝210と、当該分離用溝210と同様に取付部材20側に突出した曲線状の分離用溝211と、が、屈曲部IPを介して連続して基部Bに形成されている。この分離用溝211が実施形態の溝202の他の一例に相当する。その他の第2変形例の取付部材20-2の構成は、第1実施例の取付部材20-1の構成と同様であるので、細部の説明は省略する。なお、第2変形例の取付部材20-2の分離用溝210によっても、上記第1変形例の分離用溝210と同様の雨漏りの抑制効果がある。
【0038】
(III)
第3変形例
次に、第3変形例の取付部材の構成について、
図9(a)を用いて説明する。
図9(a)にその裏面拡大図を示すように、第3変形例の取付部材20-3は、実施例の分離用溝201と分離用溝202が接続されていた屈曲部IPを有さず、曲線状の分離用溝212のみが形成されている。この分離用溝212が実施形態の溝201の更に他の一例及び溝202の更に他の一例にそれぞれ相当する。その他の第3変形例の取付部材20-3の構成は、実施例の取付部材20の構成と同様であるので、細部の説明は省略する。
【0039】
(IV)
第4変形例
最後に、第4変形例の取付部材の構成について、
図9(b)を用いて説明する。
図9(b)にその裏面拡大図を示すように、第4変形例の取付部材20-4は、第3実施例の取付部材20-3と同様に屈曲部IPを有さず、第3実施例の分離用溝212とは異なった形状の曲線状の分離用溝213のみが形成されている。この分離用溝213が実施形態の溝201の更に他の一例及び溝202の更に他の一例にそれぞれ相当する。その他の第4変形例の取付部材20-4の構成は、実施例の取付部材20の構成と同様であるので、細部の説明は省略する。
【0040】
以上それぞれ説明したように、各変形例の取付部材20-1等の構成によれば、分離用溝210等が曲線状の溝を含んでいるので、強度維持と作業性の向上を両立させつつ、簡易な工程で分離用溝210等を形成することができる。
【0041】
また、第2変形例の取付部材20-2、第3変形例の取付部材20-3及び第4変形例の取付部材20-4の構成によれば、分離用溝210乃至分離用溝213全体が湾曲した曲線状の溝とされているので、強度維持と作業性の向上を両立させつつ、簡易な工程で分離用溝を形成することができる。
【0042】
なお上述した実施例並びに第1変形例及び第2変形例では屈曲部IPは一箇所のみであったが、屈曲点を複数設けた直線状又は曲線状の溝により、分離用溝を構成してもよい。また、分離用溝201等の断面を略V字型としていたが、これ以外に、その延在方向に沿った底面がある断面矩形の溝や、断面半円状の溝、又は断面U字状の溝により、分離用溝201等を構成してもよい。
【0043】
また上述した実施例及び各変形例では、取付部材20の基部Bの裏面側に分離用溝201等が形成されている場合について説明したが、これ以外に、当該分離用溝201等が当該基部B或いは支持部10又は取付部材20及び取付部材21の正面側の表面に形成されていてもよい。
【0044】
更に上述した実施例及び各変形例では、スピーカSPと内張BDとの間に介在して当該スピーカSPを内張BDに固定するためのスピーカ用ブラケット1に本願を適用した場合について説明したが、これ以外に、内張BDに取り付けられるスピーカの振動板を支持する枠状のスピーカ用フレーム自体、又は当該スピーカの外周縁自体の構成を、上記実施例の取付部材20及び取付部材21、又は上記各変形例の取付部材20-1等を含むスピーカ用ブラケット1と同じ構成とすることもできる。この場合にも、上記実施例又は上記各変形例と同様の効果を奏することができる。
【0045】
更にまた上述した実施例及び各変形例では、支持部10の周部の裏面が平面状である場合について説明したが(
図3参照)、これ以外に、当該周部の裏面のブラケット固定孔HS1等の位置以外の位置に、軽量化のための肉抜き部が形成されていてもよい。
【0046】
また上述した実施例及び各変形例では、樹脂を用いた一体成形によりスピーカ用ブラケット1全体を形成したが、これ以外に、部分的に材質を異ならせてもよい。