(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138562
(43)【公開日】2024-10-08
(54)【発明の名称】建物ユニットの柱構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/348 20060101AFI20241001BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
E04B1/348 H
E04B1/58 507F
E04B1/58 507H
E04B1/348 K
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024118655
(22)【出願日】2024-07-24
(62)【分割の表示】P 2020161879の分割
【原出願日】2020-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】余田 泰宏
(57)【要約】
【課題】柱の設定自由度を手間およびコストを抑えつつ可能とし、かつ、柱を中間壁に納めることが可能な建物ユニットの柱構造を提供すること。
【解決手段】建物ユニットU1の居室RMと車庫GAとを区画する外壁WOが、下側短尺大梁20aを壁面から突出させすることなく設けられている。中空柱40は、下側短尺大梁20aの先端部の上面と、屋根大梁10aの下面とに結合されて外壁WOの内部に設けられている。中空柱40は、上側エンドプレート41および下側エンドプレート42を備える。下側エンドプレート42は、外壁WOから車庫GA側に突出しない寸法とされ、かつ、下側短尺大梁20aの上面にボルト101、ナット102で締結されている。さらに、下側エンドプレート42を締結する挿通穴42aが、中空柱40の中空部内に設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に対向する上側大梁と下側大梁とを柱で結合して形成された建物ユニットの柱構造であって、
前記建物ユニットの中間部に、前記建物ユニットの内部を居室空間と非居室空間とに区画する中間壁が設けられ、
前記下側大梁には、前記建物ユニットの一端から前記中間壁の位置までの長さに形成された下側短尺大梁を備え、
前記柱に、前記下側短尺大梁の先端部の上面と、この上面に対向する前記上側大梁の下面とに結合されて前記中間壁の内部に設けられた中空筒状の中空柱が含まれ、
前記中空柱は、上下端部に上側エンドプレートおよび下側エンドプレートを備え、
前記上側エンドプレートは、前記上側大梁の前記下面に締結部材で締結され、
前記下側エンドプレートは、前記中間壁から前記非居室空間側に突出しない寸法とされ、かつ、前記下側短尺大梁の前記上面に締結部材で締結され、
前記下側エンドプレートの前記締結部材による締結箇所が、前記中空柱の中空部内に設けられ、
前記中空柱に、前記締結部材の差込用の穴が開口され、
前記中間壁が設置された位置の前記上側大梁のユニット内側位置には、取付用プレートが設けられ、
前記取付用プレートに、前記中間壁を取り付ける補助梁と、天井ボードを取り付ける天井材が架け渡されている建物ユニットの柱構造。
【請求項2】
請求項1に記載の建物ユニットの柱構造において、
前記下側短尺大梁の前記下側エンドプレートの結合箇所に、前記中空柱からの入力に対する応力を前記下側短尺大梁全体に伝達するスチフナを備える建物ユニットの柱構造。
【請求項3】
請求項2に記載の建物ユニットの柱構造において、
前記スチフナには、前記下側短尺大梁の前記下側エンドプレートの締結面の裏面に沿って配置された添板と、前記下側短尺大梁の先端部の開口を塞いで溶接される縦板が含まれ、
前記縦板は、前記添板の設置時に前記下側短尺大梁の前記開口を塞ぐことができるよう予め前記添板に溶接されている建物ユニットの柱構造。
【請求項4】
上下に対向する上側大梁と下側大梁とを柱で結合して形成された建物ユニットの柱構造であって、
前記建物ユニットの中間部に、前記建物ユニットの内部を居室空間と非居室空間とに区画する中間壁が設けられ、
前記下側大梁には、前記建物ユニットの一端から前記中間壁の位置までの長さに形成された下側短尺大梁を備え、
前記柱に、前記下側短尺大梁の先端部の上面と、この上面に対向する前記上側大梁の下面とに結合されて前記中間壁の内部に設けられた中空筒状の中空柱が含まれ、
前記中空柱は、上下端部に上側エンドプレートおよび下側エンドプレートを備え、
前記上側エンドプレートは、前記上側大梁の前記下面に締結部材で締結され、
前記下側エンドプレートは、前記中間壁から前記非居室空間側に突出しない寸法とされ、かつ、前記下側短尺大梁の前記上面に溶接により結合されている建物ユニットの柱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建物ユニットの柱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユニット建物を構築する建物ユニットは、矩形の四隅に起立状態で配置された4本の鋼製の柱の上端部同士および下端部同士を鋼製の梁材を溶接により結合したものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、このような従来技術では、柱と梁との結合において、柱の上端部および下端部の側面に、梁を結合させた、いわゆる柱勝ちという結合とするのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来技術では、柱の位置が、建物ユニットの4隅に固定され、居室の配置などに応じて、柱の位置を任意に設定する場合、梁の長さや形状を一定にできず、製造に手間およびコストを要する。
【0006】
また、建物ユニットの内部を中間壁により区画する場合があり、このような場合に、中間壁の剛性を確保する柱を設ける場合、専用の柱となり、手間およびコストの増加を招く。そして、このように中間壁を設ける場合に、中間壁の強度を保つ柱は、中間壁内に収まるように設けることが好ましい。さらに、中間壁の一側を外部に露出させ、床大梁の長さを中間壁の位置までしか設けない場合は、床大梁も中間壁の一側に突出させないようにするのが望ましい。
【0007】
そこで、本開示は、柱の設定自由度の向上を手間およびコストを抑えつつ可能とし、かつ、柱を中間壁に納めることが可能な建物ユニットの柱構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の建物ユニットの柱構造は、上下に対向する上側大梁と下側大梁とを柱で結合して形成された建物ユニットの柱構造であって、前記建物ユニットの中間部に、前記建物ユニットの内部を居室空間と非居室空間とに区画する中間壁が設けられ、前記下側大梁には、前記建物ユニットの一端から前記中間壁の位置までの長さに形成された下側短尺大梁を備え、前記柱に、前記下側短尺大梁の先端部の上面と、この上面に対向する前記上側大梁の下面とに結合されて前記中間壁の内部に設けられた中空筒状の中空柱が含まれ、前記中空柱は、上下端部に上側エンドプレートおよび下側エンドプレートを備え、前記上側エンドプレートは、前記上側大梁の前記下面に締結部材で締結され、前記下側エンドプレートは、前記中間壁から前記非居室空間側に突出しない寸法とされ、かつ、前記下側短尺大梁の前記上面に締結部材で締結され、前記下側エンドプレートの前記締結部材による締結箇所が、前記中空柱の中空部内に設けられ、前記中空柱に、前記締結部材の差込用の穴が開口され、前記中間壁が設置された位置の前記上側大梁のユニット内側位置には、取付用プレートが設けられ、前記取付用プレートに、前記中間壁を取り付ける補助梁と、天井ボードを取り付ける天井材が架け渡されている。
【発明の効果】
【0009】
本開示の建物ユニットの柱構造では、中空柱を、梁勝ち構造として、上側エンドプレートを、上側大梁の下面に結合し、下側エンドプレートを下側短尺大梁の上面に結合するようにしたため、柱の設定自由度を手間およびコストを抑えつつ向上可能である。また、下側エンドプレートの締結を、中空柱の中空内で行うようにしたため、下側エンドプレートを下側短尺大梁から突出させることなく、中空柱を中間壁に納めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1の建物ユニットの柱構造を適用した建物ユニットU1の概略を示す斜視図である。
【
図2】前記建物ユニットU1における中空柱30の構造を示す側面図である。
【
図3】前記中空柱30の要部の構造を示す断面図である。
【
図4】前記建物ユニットU1における中空柱40の構造を示す側面図である。
【
図5】前記中空柱40の上端部の結合構造を示す図であり、(a)はユニット短辺方向から見た側面図、(b)は(a)のSb-Sb線の位置の断面図、(c)は(a)のSc-Sc線の位置の断面図である。
【
図6】前記中空柱40の下端部の結合構造を示す図であり、(a)はユニット短辺方向から見た側面図、(b)はユニット長辺方向から見た断面図である。
【
図7】実施の形態2の建物ユニットの柱構造を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1の建物ユニットの柱構造は、
図1に示す建物ユニットU1に適用されている。
【0012】
(建物ユニットの概略)
図1に示す建物ユニットU1は、不図示のユニット建物を構築するのに用いられるもので、特に、ユニット内を居室RMと車庫GAとに区画する部分に使用するユニットである。なお、以下の説明において、図中の矢印LSの方向であって建物ユニットU1の長辺に沿う方向をユニット長辺方向、矢印SSの方向であって建物ユニットU1の短辺に沿う方向をユニット短辺方向、矢印UPの方向を上方、矢印DNの方向を下方と称する。また、ユニット建物を構築するにあたり、他の建物ユニットは、特許文献1に記載されたユニットなど、建物ユニットU1とは異なるユニットを使用することができる。
【0013】
建物ユニットU1は、上部フレーム10と下部フレーム20と、複数の中空柱30、40、50とを備える。
【0014】
上部フレーム10は、ユニット長辺方向に延在された一対の屋根大梁10a,10aと、ユニット短辺方向に延在された屋根大梁10b,10bとを溶接により接合して長方形の枠状に形成されている。なお、屋根大梁10aは、
図5(b)(c)に示すように、ウェブ12の上下に上フランジ13、下フランジ11を有した略コの字状のC型鋼材により形成されている。
【0015】
図1に戻り、下部フレーム20は、ユニット長辺方向に延在された一対の下側短尺大梁20a,20aと、ユニット短辺方向に延在された床大梁20b,20bとを溶接により接合して、長方形の枠状に形成されている。なお、建物ユニットU1は、前述のように居室RMと車庫GAとに区画するため、下側短尺大梁20a,20aは、屋根大梁10a,10aの1/2程度の長さに形成されており、下部フレーム20は、上部フレーム10の1/2程度の大きさに形成されている。また、下側短尺大梁20aは、
図3に示すように、ウェブ22の上下に上フランジ23、下フランジ21を有した略コの字状のC型鋼材により形成されている。
【0016】
図1に戻り、中空柱30,40,50は、上部フレーム10を下側から支持する金属製の長方形筒状の中空部材であり、必要強度を有する構造的な柱(構造柱)である。また、中空柱30,40は、上部フレーム10と下部フレーム20とを結合する機能を有するもので、詳細は後述するが、上部フレーム10の下面と下部フレーム20の上面とに結合された、いわゆる梁勝ちの結合構造となっている。
【0017】
各中空柱30,40,50は、その長方形筒状の短辺方向の寸法は、各大梁10a,10b,20a,20bの幅寸法よりも僅かに小さな寸法に形成されている。したがって、建物ユニットU1の各屋根大梁10a,10bと各大梁20a,20bに上下方向に跨る壁を設けた際には、各中空柱30,40は、壁内に収めることができる。
【0018】
また、各中空柱30,40,50には、それぞれ、結合用の上側エンドプレート31,41,51と下側エンドプレート32,42,52が設けられている。
【0019】
以下に、各中空柱30,40,50の結合構造について順に説明する。
(中空柱30の結合構造)
中空柱30は、
図1に示すように、ユニット長辺方向で車庫GAから遠い側のユニット端部の上部フレーム10と下部フレーム20とのコーナ部の近傍の3か所に設けられている。
【0020】
図2に示す中空柱30の上側エンドプレート31および下側エンドプレート32は、1枚の板厚が厚い(例えば、4~6mm)鋼板により形成され、ユニット長辺方向の寸法が中空柱30の同方向の寸法よりも長く、両端部が中空柱30から張り出している。
【0021】
そして、上側エンドプレート31は、屋根大梁10aの下フランジ11の下面に当接された状態で、ボルト101とナット102により下フランジ11および後述する添板61に締結されている。下側エンドプレート32は、下側短尺大梁20aの上フランジ23の上面に当接された状態で、ボルト101とナット102により上フランジ23および後述する添板71に締結されている。
【0022】
また、中空柱30の上下端部の外周には、補強ピース30a,30bが設けられている。補強ピース30a,30bは、中空柱30の上下端部を補強するC型状の鋼板により形成されており、中空柱30の外周および各エンドプレート31,32に溶接により接合されている。
【0023】
さらに、屋根大梁10aおよび下側短尺大梁20aにおいて、中空柱30の締結位置には、中空柱30から各フランジ11,23への入力に対する応力を、各大梁10a,20aの全体に伝達する上スチフナ60および下スチフナ70が設けられている。
【0024】
上スチフナ60は、1枚の添板61と、2枚の縦板62,62を備える。添板61は、上側エンドプレート31と同様の板厚および外形寸法の鋼板製のもので、上側エンドプレート31の締結位置の下フランジ11の上面に溶接により接合されている。また、縦板62,62は、薄板状の鋼板により形成され、屋根大梁10aの断面を塞ぐように、ウェブ12、上フランジ13と、添板61とに溶接により接合されている。なお、縦板62,62の間隔は、中空柱30の幅寸法と同程度の寸法となっている。
【0025】
下スチフナ70も、上スチフナ60と同様のもので、1枚の添板71と、2枚の縦板72,72を備える。添板71は、4~6mm程度の板厚の鋼板により形成され、下側エンドプレート42の締結位置の上フランジ23の下面に溶接により接合されている。また、縦板72,72は、薄板状の鋼板により形成され、下側短尺大梁20aの断面を塞ぐように、下フランジ21、ウェブ22と、添板71とに溶接により接合されている。
【0026】
なお、屋根大梁10a,10aには、天井根太14がユニット短辺方向に架け渡されている。この天井根太14は、ユニット長辺方向に間隔を空けて複数設けられ、下面側に、天井面材(不図示)が取付けられて天井面が形成される。
【0027】
また、下側短尺大梁20a,20aには、床小梁17がユニット短辺方向に架け渡されている。この床小梁17は、ブラケット17a(
図3参照)を介して取り付けられ、かつ、ユニット長辺方向に間隔を空けて複数設けられており、上面側に床面材(不図示)が取付けられて床面FL(
図4、
図6参照)が形成される。
【0028】
(中空柱40の結合構造)
次に、中空柱40の結合構造について説明する。なお、この中空柱40と、各大梁10a,20aの結合に本開示の柱構造が適用されている。
【0029】
まず、中空柱40の設置位置のユニット構造を説明する。
中空柱40は、
図4に示すように、ユニット内を、屋内側の居室RMと屋外側の車庫GAに分ける中間壁としての外壁WOを設ける位置に立設されている。そこで、下側短尺大梁20aは、この外壁WOの外壁面の内側位置に先端が配置されている(
図1参照)。すなわち、下側短尺大梁20aの先端は、車庫GAの端部で立ち上げられた基礎200と、外壁WOとが略面一となるように、外壁WOの内部に配置される。そして、一対の下側短尺大梁20a,20aの先端部どうしが床大梁20bの端部と連結されている(
図1参照)。
【0030】
次に、中空柱40について説明する。中空柱40は、中空柱30と同様に、上下端部に補強ピース40a,40bと、上側エンドプレート41および下側エンドプレート42とが設けられている。補強ピース40aは、前述した補強ピース30aと同様の構成であるので説明を省略する。
【0031】
上側エンドプレート41は、前述した中空柱30の上側エンドプレート31と同様に、
図5に示すように、屋根大梁10aの下フランジ11の下面に当接されてボルト101、ナット102により、下フランジ11および添板61に締結されている。
【0032】
なお、屋根大梁10aにおいて上側エンドプレート41を締結する位置には、上スチフナ60が設けられている。
【0033】
また、中空柱40が設置された位置の屋根大梁10a,10aには、
図4、
図5に示すように、取付用プレート500が設けられている。この取付用プレート500は、天井材510および補助梁520を、上スチフナ60や上側エンドプレート41と干渉することなく屋根大梁10aに固定するためのもので、鋼板により形成され、上下端縁部を、屋根大梁10aの上フランジ13および下フランジ11に溶接により固定されている。
【0034】
また、取付用プレート500には、天井根太14の端部を固定するための天井材用ブラケット501と、補助梁520の端部を固定するための補助梁用ブラケット502とが、設けられている。
【0035】
なお、補助梁520は、断面コの字状の溝形鋼材により形成され、外壁WOを取り付けるために用いられる。
【0036】
次に、中空柱40の下端部の結合構造について説明する。この中空柱40の下端部の結合に用いる下側エンドプレート42、下スチフナ570の構成は、中空柱30の下端部の結合に用いた下側エンドプレート32および下スチフナ70の構成と異なる。
【0037】
下側エンドプレート42は、4~6mm程度の板厚の鋼板により形成され、中空柱40の下端部に溶接されている。そして、下側エンドプレート42は、下側短尺大梁20aから突き出ることが無いように、ユニット長手方向で車庫GA側には中空柱40から張り出すことなく、車庫GAと反対方向のみ張り出して設けられている。そして、ボルト101を挿通させるための2つの挿通な42a,42bのうち、車庫GA側の挿通穴42aは、中空柱40の中空部分に配置されている。すなわち、挿通穴42aは、中空柱40の中空部に開口されている。
【0038】
なお、もう一方の挿通穴42bは、下側エンドプレート42の中空柱40から張り出した部分に形成されている。
【0039】
また、中空柱40の下端部には、円形の作業用穴43が開口されている。この作業用穴43は、ボルト101を挿通穴42aに挿通させる作業を行う際に使用する。また、中空柱40の下端部の補強ピース40bは、作業用穴43を塞がないよう上下方向で中間部から上部にかけて、開口幅を広げた幅広部40cを備える。
【0040】
次に、下スチフナ570について説明する。下スチフナ570は、添板571と縦板572と梁エンドプレート573とを備える。
【0041】
添板571は、前述した添板71と同様の板厚の鋼板により形成され、かつ、ユニット長手方向の寸法が、下側エンドプレート42と略同一の寸法に形成されている。また、ボルト101を挿通するための挿通穴571a,571bが、下側エンドプレート42の挿通穴42a,42bと同軸に配置されるよう形成されている。そして、添板571は、下側短尺大梁20aの上フランジ23の下面に溶接により接合されている。
【0042】
縦板572は、添板571の下面と、下側短尺大梁20aの下フランジ21およびウェブ22の内側面に溶接により接合されている。
【0043】
また、梁エンドプレート573は、下側短尺大梁20aの先端の開口部分を塞ぐ機能と、下スチフナ570の縦板572の対となって応力伝達機能とを有する。
【0044】
そこで、梁エンドプレート573は、下側短尺大梁20aの先端の開口部分を塞ぐことができる形状に形成されている。そして、予め添板571の一端面に突き当てた状態で溶接により接合されている。さらに、添板571には、梁エンドプレート573との溶接を強固にするための面取り部571cが形成されている。これにより、添板571と梁エンドプレート573との溶接強度を、ボルト強度以上の強度とすることができる。
【0045】
上記のように、添板571と梁エンドプレート573とを一体部品とすることで、添板571を、上フランジ23に溶接した際に、梁エンドプレート573は、下側短尺大梁20aの先端の開口部分を塞いで配置される。さらに、添板571の設置後、梁エンドプレート573は、下側短尺大梁20aのウェブ22および下フランジ21に溶接される。
【0046】
(中空柱50の構造)
図1に戻り、中空柱50について説明する。中空柱50は、中空柱30,40と比較して脚部を基礎200の高さに相当する寸法だけ下方に延長されたもので、下端の下側エンドプレート52が、基礎200に結合されている。なお、下側エンドプレート52は、中空柱30の下側エンドプレート32と同様のものである。また、中空柱50の上端には、中空柱30,40の上側エンドプレート31,41と同様の上側エンドプレート51が設けられ、屋根大梁10bの下フランジ11に不図示のボルトおよびナットにより締結されている。
【0047】
(実施の形態1の効果)
以下に、実施の形態1の効果を列挙する。
(1)実施の形態1の建物ユニットの柱構造は、上下に対向する上側大梁としての屋根大梁10a,10bと下側大梁としての下側短尺大梁20aおよび床大梁20bとを中空柱30,40,50で結合して形成されている。そして、建物ユニットU1の中間部に、建物ユニットU1の内部を区画する中間壁としての外壁WOが設けられている。下側短尺大梁20aは、建物ユニットU1の一端から外壁WOの位置までの長さに形成されている。
【0048】
中空柱30,40,50には、下側短尺大梁20aの先端部の上面と、この上面に対向する屋根大梁10aの下面とに結合されて外壁WOの内部に設けられた中空筒状の中空柱40が含まれる。中空柱40は、上下端部に上側エンドプレート41および下側エンドプレート42を備える。そして、上側エンドプレート41は、屋根大梁10aの下面に締結部材としてのボルト101、ナット102で締結されている。下側エンドプレート42は、外壁WOから突出しない寸法とされ、かつ、下側短尺大梁20aの上面にボルト101、ナット102で締結されている。さらに、下側エンドプレート42を締結する挿通穴42aが、中空柱40の中空部内に設けられている。
【0049】
したがって、下側エンドプレート42およびその締結相手の下側短尺大梁20aを、外壁の壁面から張り出さないように設けることができる。すなわち、下側短尺大梁20aの先端部の柱に中空柱30を用いた場合、下側エンドプレート32の一端、および、下側短尺大梁20aが、基礎200の立ち上がり部分および外壁WOの壁面から車庫GAの方向に突出し、外観品質および車庫GAとしての使い勝手が悪化する。
【0050】
これに対し、実施の形態1では、基礎200の立ち上がり部分および外壁WOの壁面に対して、下側エンドプレート42および下側短尺大梁20aが張り出すことが無く、高い外観品質が得られ、かつ、使い勝手もよい。
【0051】
(2)実施の形態1の建物ユニットの柱構造は、中空柱40に、ボルト101の差込用の作業用穴43が開口されている。したがって、中空柱40の内部に締結箇所を設けても、締結作業を行うことができる。
【0052】
さらに、実施の形態1では、作業用穴43を設けた位置の中空柱40の周囲を囲む補強ピース40bを設けたため、作業用穴43を設けても、中空柱40の強度を確保できる。
【0053】
(3)実施の形態1の建物ユニットの柱構造は、下側短尺大梁20aの下側エンドプレート42の結合箇所に、中空柱40からの入力に対する応力を下側短尺大梁20aの全体に伝達する下スチフナ570を備える。
【0054】
したがって、下側エンドプレート42をボルト101、ナット102により下側短尺大梁20aに締結する構造であっても、柱の結合強度を確保することができる。
【0055】
(4)実施の形態1の建物ユニットの柱構造は、下スチフナ570には、下側短尺大梁20aの下側エンドプレート42の締結面の裏面に沿って配置された添板571と、下側短尺大梁20aの先端部の開口を塞いで溶接される縦板としての梁エンドプレート573が含まれる。そして、梁エンドプレート573は、添板571の設置時に下側短尺大梁20aの開口を塞ぐことができるよう予め添板571に溶接されている。
【0056】
したがって、添板571と梁エンドプレート573とを別部品として、それぞれ独立して下側短尺大梁20aに設置するものと比較して、作業性に優れる。
加えて、実施の形態1では、添板571に、面取り部571cを設け、面取り部571cを設けない場合と比較して、梁エンドプレート573の溶接強度を確保しやすくした。これにより、高い溶接強度を確保して、中空柱40と下側短尺大梁20aとの結合強度を確保しやすくなる。
【0057】
(5)実施の形態1の建物ユニットの柱構造は、外壁WOが設置された位置の屋根大梁10aのユニット内側位置には、取付用プレート500が設けられている。そして、取付用プレート500に、外壁WOを取り付ける補助梁520と、天井ボードを取り付ける天井材510が架け渡されている。
【0058】
したがって、補助梁520や天井材510を、中空柱40や、この中空柱40の上端部を屋根大梁10aに結合させる、上側エンドプレート41や上スチフナ60と干渉することなく設置することができる。
【0059】
(他の実施の形態)
以下に、
図7、
図8に示す実施の形態2について説明する。
【0060】
この実施の形態2では、中空柱240の下端に設けられた下側エンドプレート242の下側短尺大梁20aへの結合構造が実施の形態1の中空柱40と異なる。
【0061】
下側エンドプレート242は、溶接により下側短尺大梁20aの上フランジ23の上面に接合されている。また、下側エンドプレート242を溶接により上フランジ23に結合するため、下側エンドプレート242には、ボルト101を挿通するための挿通穴42a,42bは設けられていない。
【0062】
さらに、下側エンドプレート242は、溶接するために、ボルト101、ナット102による締結よりも高い結合強度が得られるため、下側短尺大梁20aには、下スチフナ570は設けていない。したがって、梁エンドプレート573は、予め下側短尺大梁20aに溶接されている。
【0063】
この実施の形態2にあっても、中空柱240を梁勝ち構造としているため、上記(1)のように、任意の場所に設置可能であり、柱勝ち構造と比較して、高い設計自由度を得ることができる。また、下側短尺大梁20aが、外壁WOから張り出させないようにしつつ、高い結合強度を確保できる
【0064】
以上、図面を参照して、本開示の建物ユニットの柱構造の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0065】
例えば、実施の形態では、下側短尺大梁を一対設けた例を示したが、下側短尺大梁は一対の一方のみとし、他方は上側大梁と同じ長さに形成してもよい。この場合、中間壁(外壁WO)に直交する壁をユニットの全長に延ばすことができる。また、実施の形態では、柱として、同様の断面形状の中空柱30,40,50を示したが、中空柱40以外の柱には、梁勝ち構造ではない、柱勝ち構造の柱や、中空柱40とは、形状や寸法が異なる柱を用いることができる。
【符号の説明】
【0066】
10a 屋根大梁(上側大梁)
20a 下側短尺大梁
21 下フランジ
22 ウェブ
23 上フランジ
40 中空柱
41 上側エンドプレート
42 下側エンドプレート
42a 挿通穴
42b 挿通穴
43 作業用開口部
60 上スチフナ
61 添板
62 縦板
70 下スチフナ
71 添板
72 縦板
101 ボルト(締結部材)
102 ナット(締結部材)
240 中空柱
242 下側エンドプレート
500 取付用プレート
501 天井材用ブラケット
502 補助梁用ブラケット
510 天井材
520 補助梁
570 下スチフナ
571 添板
571a,571b 挿通穴
573 梁エンドプレート(縦板)
GA 車庫
RM 居室
U1 建物ユニット
WO 外壁(中間壁)