特開 2024-138571 コネクタ及びソケット

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024138571

(43)【公開日】2024-10-09

(54)【発明の名称】コネクタ及びソケット

(51)【国際特許分類】

   F16L 37/133 20060101AFI20241002BHJP

   F16L 37/30 20060101ALI20241002BHJP

【ＦＩ】

F16L37/133

F16L37/30

【審査請求】未請求

【請求項の数】12

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021130150

(22)【出願日】2021-08-06

(71)【出願人】

【識別番号】390039929

【氏名又は名称】三桜工業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110001519

【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】新保 貴也

(72)【発明者】

【氏名】冨倉 康治

【テーマコード（参考）】

3J106

【Ｆターム（参考）】

3J106BA01

3J106BB01

3J106BC04

3J106BC12

3J106BD01

3J106BE32

3J106EA03

3J106ED04

3J106EF08

3J106EF15

3J106GA02

3J106GA23

3J106GA27

(57)【要約】

【課題】プラグとソケットを有するコネクタにおいて、プラグとソケットの連結に必要な部品の点数を低減する。
【解決手段】コネクタは、外周面に被係合部を有するプラグと、筒体と、前記筒体内に該筒体の軸方向に移動可能に配置され、かつ、挿入される前記プラグの前記被係合部に係合する係合部を有する保持部材と、前記筒体に設けられ、前記被係合部に係合した前記係合部の係合解除動作を阻止する阻止部と、前記筒体の前記阻止部よりも前記プラグの挿入方向側に設けられ、前記被係合部に係合した前記係合部の係合解除動作を許容する許容部と、を有するソケットと、を備える。
【選択図】図２

【特許請求の範囲】

【請求項1】

外周面に被係合部を有するプラグと、
筒体と、前記筒体内に該筒体の軸方向に移動可能に配置され、かつ、挿入される前記プラグの前記被係合部に係合する係合部を有する保持部材と、前記筒体に設けられ、前記被係合部に係合した前記係合部の係合解除動作を阻止する阻止部と、前記筒体の前記阻止部よりも前記プラグの挿入方向側に設けられ、前記被係合部に係合した前記係合部の係合解除動作を許容する許容部と、を有するソケットと、
を備えるコネクタ。

【請求項2】

前記被係合部は、前記プラグの外周面に形成された凹状部であり、
前記保持部材は、筒状に形成されており、かつ、該保持部材の軸方向に延び、前記挿入方向側の端部が自由端とされた弾性板部を有しており、
前記係合部は、前記挿入方向側の端部から前記保持部材の径方向内側に突出し、前記凹状部に挿入される突部であり、
前記許容部は、前記筒体の内周面に形成された凹部であり、前記弾性板部の弾性変形による前記挿入方向側の端部の前記径方向外側への移動を許容する、
請求項１に記載のコネクタ。

【請求項3】

前記凹部は、前記筒体の周壁を貫通する貫通孔である、請求項２に記載のコネクタ。

【請求項4】

前記弾性板部の板幅は、根元側の部分が自由端側の部分よりも狭い、請求項２又は請求項３に記載のコネクタ。

【請求項5】

前記係合部は、前記保持部材の周方向に等間隔で形成されている、請求項２～請求項４のいずれか１項に記載のコネクタ。

【請求項6】

前記保持部材は、係合爪を有し、
前記筒体は、周壁に設けられ、前記係合爪が引っ掛かることによって前記保持部材が前記筒体から抜け出すのを阻止する抜け止め部を有する、請求項１～請求項５のいずれか１項に記載のコネクタ。

【請求項7】

前記筒体の周壁には、前記抜け止め部である抜け止め孔が形成されており、
前記保持部材の前記係合部が前記筒体の前記阻止部の位置にあるときに、前記係合爪が前記抜け止め孔に引っ掛かる、請求項６に記載のコネクタ。

【請求項8】

前記筒体内には、前記保持部材を通して挿入された前記プラグを挿入方向と反対側に付勢する付勢部材が配置されており、
前記付勢部材の付勢力により前記係合爪が前記抜け止め部に引っ掛かっている、請求項７に記載のコネクタ。

【請求項9】

前記保持部材は、該保持部材を軸方向に移動させるための掴み部を有しており、
前記掴み部は、前記筒体の前記プラグが挿入される口部よりも外側に配置されている、請求項１～請求項８のいずれか１項に記載のコネクタ。

【請求項10】

前記掴み部と前記筒体との間の間隔は、前記保持部材の前記係合部が前記筒体の前記許容部の位置にあるときよりも、前記係合部が前記阻止部の位置にあるときで広い、請求項８を引用する請求項９に記載のコネクタ。

【請求項11】

前記筒体の前記プラグが挿入される口部と反対側の口部には、配管を接続するための配管接続部が着脱可能に装着されている、請求項１～請求項１０のいずれか１項に記載のコネクタ。

【請求項12】

筒体と、
前記筒体内に該筒体の軸方向に移動可能に配置され、かつ、挿入されるプラグの外周面に設けられた被係合部に係合する係合部を有する保持部材と、
前記筒体に設けられ、前記被係合部に係合した前記係合部の係合解除動作を阻止する阻止部と、
前記筒体の前記阻止部よりも前記プラグの挿入方向側に設けられ、前記被係合部に係合した前記係合部の係合解除動作を許容する許容部と、
を有するソケット。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、コネクタ及びソケットに関する。

【背景技術】

【0002】

特許文献１には、雌型管継手のボール形施錠子が雄型管継手の外周面に設けられた環状施錠凹部に嵌合し、その状態でコイルバネによって付勢された施錠スリーブがボール形施錠子を半径方向外側から押さえることによって、雌型管継手及び雄型管継手の連結施錠が行われる管継手が開示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特許第６３２８６９１号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

ところで、特許文献１に開示された管継手では、雌型管継手と雄型管継手を連結施錠するために、雌型管継手に、雄型継手の環状施錠凹部に嵌合するボール形施錠子と、施錠スリーブを付勢するコイルバネとを備えさせている。

【0005】

本発明は、プラグとソケットを有するコネクタにおいて、プラグとソケットの連結に必要な部品の点数を低減することを課題とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明の第１態様のコネクタは、外周面に被係合部を有するプラグと、筒体と、前記筒体内に該筒体の軸方向に移動可能に配置され、かつ、挿入される前記プラグの前記被係合部に係合する係合部を有する保持部材と、前記筒体に設けられ、前記被係合部に係合した前記係合部の係合解除動作を阻止する阻止部と、前記筒体の前記阻止部よりも前記プラグの挿入方向側に設けられ、前記被係合部に係合した前記係合部の係合解除動作を許容する許容部と、を有するソケットと、を備える。

【0007】

第１態様のコネクタでは、プラグを筒体内の保持部材に挿入することで、被係合部と係合部が係合する。これにより、プラグが保持部材を介して筒体、すなわち、ソケットに連結される。また、コネクタでは、保持部材の係合部が筒体の阻止部の位置にある場合、係合部の係合解除動作が阻止されるため、プラグとソケットの連結が維持される。そして、コネクタでは、保持部材の係合部が筒体の許容部の位置にある場合（例えば、保持部材の係合部を筒体の阻止部の位置から許容部の位置に移動させた場合）、係合部の係合解除動作が許容される。ここで、係合解除動作によって係合部と被係合部との係合状態を解除し、保持部材からプラグを引き抜いた場合、ソケットからプラグが外れる、すなわち、プラグとソケットの連結が解除される。
上記コネクタでは、ソケットにおいて、筒体に阻止部及び許容部を設けると共に保持部材に係合部を設けるという簡単な構成によってプラグとソケットを連結及び連結解除を行うことができる。
そして、上記コネクタでは、例えば、プラグとソケットの連結に筒体と保持部材とは別の部材を用いる構成と比べて、プラグとソケットの連結に必要な部品の点数を低減することができる。

【0008】

本発明の第２態様のコネクタは、第１態様のコネクタにおいて、前記被係合部は、前記プラグの外周面に形成された凹状部であり、前記保持部材は、筒状に形成されており、かつ、該保持部材の軸方向に延び、前記挿入方向側の端部が自由端とされた弾性板部を有しており、前記係合部は、前記挿入方向側の端部から前記保持部材の径方向内側に突出し、前記凹状部に挿入される突部であり、前記許容部は、前記筒体の内周面に形成された凹部であり、前記弾性板部の弾性変形による前記挿入方向側の端部の前記径方向外側への移動を許容する。

【0009】

第２態様のコネクタでは、被係合部としての凹状部に係合部としての突部が挿入されることによって凹状部と突部が係合し、プラグとソケットが連結される。また、コネクタでは、保持部材の突部が筒体の許容部としての凹部の位置にある場合、突部の係合解除動作が許容される。具体的には、弾性板部の弾性変形による挿入方向側の端部の径方向外側への移動が凹部によって許容される。ここで、弾性板部を弾性変形させて挿入方向側の端部を径方向外側へ移動させると、突部が凹状部から抜け出る。この状態で保持部材からプラグを引き抜くと、プラグとソケットの連結が解除される。
上記コネクタでは、プラグの被係合部を凹状部とし、ソケットの係合部及び許容部をそれぞれ突部及び凹部としていることから、簡単な構造でプラグとソケットを連結及び連結解除することができる。

【0010】

本発明の第３態様のコネクタは、第２態様のコネクタにおいて、前記凹部は、前記筒体の周壁を貫通する貫通孔である。

【0011】

第３態様のコネクタでは、ソケットの凹部を筒体の周壁を貫通する貫通孔としていることから、ソケットの外側から貫通孔を通して筒体内に配置された保持部材の位置を目視で確認することができる。

【0012】

本発明の第４態様のコネクタは、第２態様又は第３態様のコネクタにおいて、前記弾性板部の板幅は、根元側の部分が自由端側の部分よりも狭い。

【0013】

第４態様のコネクタでは、弾性板部の板幅を自由端側の部分よりも根元側の部分で狭くしていることから、例えば、弾性板部の板幅を自由端側の部分以上とする構成と比べて、弾性板部の弾性変形量をコントロールしやすい。

【0014】

本発明の第５態様のコネクタは、第２態様～第４態様のいずれか一態様のコネクタにおいて、前記係合部は、前記保持部材の周方向に等間隔で形成されている。

【0015】

第５態様のコネクタでは、係合部を保持部材の周方向に等間隔で形成していることから、例えば、係合部を保持部材の周方向に不等間隔で形成する構成と比べて、保持部材によるプラグの保持が安定する。これにより、プラグとソケットの連結及び連結解除が安定する。

【0016】

本発明の第６態様のコネクタは、第１態様～第５態様のいずれか一態様のコネクタにおいて、前記保持部材は、係合爪を有し、前記筒体は、周壁に設けられ、前記係合爪が引っ掛かることによって前記保持部材が前記筒体から抜け出すのを阻止する抜け止め部を有する。

【0017】

第６態様のコネクタでは、保持部材に係合爪が筒体の抜け止め部に引っ掛かることで保持部材が筒体から抜け出るのが阻止される。これにより、プラグを連結する前のソケットから保持部材が脱落するのを防止することができる。

【0018】

本発明の第７態様のコネクタは、第６態様のコネクタにおいて、前記筒体の周壁には、前記抜け止め部である抜け止め孔が形成されており、前記保持部材の前記係合部が前記筒体の前記阻止部の位置にあるときに、前記係合爪が前記抜け止め孔に引っ掛かる。

【0019】

第７態様のコネクタでは、係合爪が引っ掛かる抜け止め部を抜け止め孔としていることから、ソケットの外側から抜け止め孔を通して係合爪の位置を目視で確認することができる。

【0020】

本発明の第８態様のコネクタは、第７態様のコネクタにおいて、前記筒体内には、前記保持部材を通して挿入された前記プラグを挿入方向と反対側に付勢する付勢部材が配置されており、前記付勢部材の付勢力により前記係合爪が前記抜け止め部に引っ掛かっている。

【0021】

第８態様のコネクタでは、保持部材を通して挿入されたプラグが付勢部材の付勢力によって挿入方向と反対側に付勢されることで、係合爪が抜け止め部に引っ掛かっている。ここで、係合爪が抜け止め部に引っ掛かっている状態では、保持部材の係合部が筒体の阻止部の位置にあるため、係合部の係合解除動作が阻止され、プラグとソケットの連結が維持される。すなわち、コネクタでは、付勢部材の付勢力によってプラグとソケットの連結を維持することができる。

【0022】

本発明の第９態様のコネクタは、第１態様～第８態様のいずれか一態様のコネクタにおいて、前記保持部材は、該保持部材を軸方向に移動させるための掴み部を有しており、前記掴み部は、前記筒体の前記プラグが挿入される口部よりも外側に配置されている。

【0023】

第９態様のコネクタでは、保持部材の掴み部が筒体のプラグが挿入される口部よりも外側に配置されているため、ソケットの外側から掴み部を掴んで保持部材を軸方向に移動させることができる。これにより、コネクタでは、例えば、筒体内の掴み部へのアクセスに専用部品が必要な構成と比べて、安価な構造で保持部材の移動操作を行うことができる。

【0024】

本発明の第１０態様のコネクタは、第８態様を引用する第９態様のコネクタにおいて、前記掴み部と前記筒体との間の間隔は、前記保持部材の前記係合部が前記筒体の前記許容部の位置にあるときよりも、前記係合部が前記阻止部の位置にあるときで広い。

【0025】

第１０態様のコネクタでは、掴み部と筒体との間の間隔が保持部材の係合部が筒体の許容部の位置にあるときよりも、係合部が阻止部の位置にあるときで広い。このため、掴み部と筒体との間の間隔を目視することで係合部が阻止部の位置にあるか、係合部が許容部の位置にあるかを簡単に把握することができる。すなわち、コネクタでは、ソケットの掴み部を外側から目視することで、プラグとソケットの連結状態を簡単に把握することができる。

【0026】

本発明の第１１態様のコネクタは、第１態様～第１０態様のいずれか一態様のコネクタにおいて、前記筒体の前記プラグが挿入される口部と反対側の口部には、配管を接続するための配管接続部が着脱可能に装着されている。

【0027】

第１１態様のコネクタでは、筒体のプラグが挿入される口部と反対側の口部に配管接続部が着脱可能に装着されている。ここで、コネクタでは、配管の種類（例えば、材質や管径等）に応じて配管接続部を付け替えることで多様な配管を接続することができる。

【0028】

本発明の第１２態様のソケットは、筒体と、前記筒体内に該筒体の軸方向に移動可能に配置され、かつ、挿入されるプラグの外周面に設けられた被係合部に係合する係合部を有する保持部材と、前記筒体に設けられ、前記被係合部に係合した前記係合部の係合解除動作を阻止する阻止部と、前記筒体の前記阻止部よりも前記プラグの挿入方向側に設けられ、前記被係合部に係合した前記係合部の係合解除動作を許容する許容部と、を有する。

【0029】

第１２態様のソケットでは、プラグを筒体内の保持部材に挿入することで、被係合部と係合部が係合する。これにより、プラグが保持部材を介して筒体、すなわち、ソケットに連結される。また、ソケットでは、保持部材の係合部が筒体の阻止部の位置にある場合、係合部の係合解除動作が阻止されるため、プラグとの連結が維持される。そして、ソケットでは、保持部材の係合部が筒体の許容部の位置にある場合（例えば、保持部材の係合部を筒体の阻止部の位置から許容部の位置に移動させた場合）、係合部の係合解除動作が許容される。ここで、係合解除動作によって係合部と被係合部との係合状態を解除し、保持部材からプラグを引き抜いた場合、ソケットからプラグが外れる、すなわち、プラグとソケットの連結が解除される。
上記ソケットでは、筒体に阻止部及び許容部を設けると共に保持部材に係合部を設けるという簡単な構成によってプラグとの連結及び連結解除を行うことができる。
そして、上記ソケットでは、例えば、プラグとの連結に筒体と保持部材とは別の部材を用いる構成と比べて、プラグとの連結に必要な部品の点数を低減することができる。

【発明の効果】

【0030】

以上説明したように、本発明によれば、プラグとソケットを有するコネクタにおいて、プラグとソケットの連結に必要な部品の点数を低減することができる。

【図面の簡単な説明】

【0031】

【図1】本発明の一実施形態に係るコネクタの側面図である。

【図2】図１のコネクタの側断面図である。

【図3】図２のコネクタをプラグとソケットに分解した断面図である。

【図4】図３のソケットを構成部材毎に分解した断面図である。

【図5】図３のプラグを構成部材毎に分解した断面図である。

【図6】図３のソケットの挿入口部とリテーナの分解斜視図である。

【図7】本発明の一実施形態に係るコネクタを構成するプラグとソケットの連結手順を説明するための側断面図であり、プラグをソケットに挿入開始直後の状態を示している。

【図8】図７の矢印８Ｘで指し示す部分の拡大図である。

【図9】図７の側断面図において、プラグの流路とソケットの流路が連通した状態を示している。

【図10】図９の側断面図において、リテーナの内側突部がプラグの突条部を乗り越えている途中の状態を示している。

【図11】図１０の矢印１１Ｘで指し示す部分の拡大図である。

【図12】図１０の側断面図において、リテーナの内側突部がプラグの凹状部に挿入された状態を示している。

【図13】図１２の側断面図において、コイルスプリングの弾性力によってプラグと共にリテーナが押し戻された状態を示している。

【図14】図１３の矢印１４Ｘで指し示す部分の拡大図である。

【図15】図１３の側断面図において、プラグと共にリテーナをソケットに押し込んだ状態を示している。

【図16】図１５の側断面図において、リテーナを押し込んだ状態を維持しながら、プラグをリテーナから引き抜いていく状態を示している。

【図17】図１６の側断面図において、さらにプラグをリテーナから引き抜いた状態を示している。

【図18】図１３の１８Ｘ－１８Ｘ線に沿った断面の拡大図であり、ソケットの抜け止め孔にリテーナの係合爪が引っ掛かっている状態を示している。

【図19】図１７の１９Ｘ－１９Ｘ線に沿った断面の拡大図であり、ソケットの抜け止め孔にリテーナの係合爪が引っ掛かっていない状態を示している。

【発明を実施するための形態】

【0032】

以下、図面を参照しながら本発明に係る一実施形態のコネクタ及びソケットについて説明する。

【0033】

＜コネクタ２０＞
図１～図１９には、本実施形態のコネクタ２０が示されている。本実施形態のコネクタ２０は、図１及び図２に示されるように、流路の一部を構成する部材である。具体的には、図１に示されるように、配管１００と配管１０２とを接続する部材である。このコネクタ２０は、プラグ２２とソケット４０とを有しており、プラグ２２とソケット４０とを連結することで、プラグ２２に接続された配管１００とソケット４０に接続された配管１０２とを接続することができる。なお、本実施形態のコネクタ２０は、冷却流路の一部を構成しているが、本発明はこの構成に限定されるものではない。

【0034】

また、本実施形態のコネクタ２０は、ソケット４０にプラグ２２を挿入することでプラグ２２とソケット４０とが連結される。以下では、ソケット４０に対してプラグを挿入する方向を適宜「プラグ挿入方向」と記載する。また、図１～図１９ではプラグ挿入方向を矢印Ｓ方向で示している。

【0035】

（プラグ２２）
図２、図３及び図５に示されるように、プラグ２２は、外周面に凹状部３２を有している。この凹状部３２は、後述リテーナ４４の内側突部６２が係合する部分である。

【0036】

また、プラグ２２は、筒体２４と、弁体２６と、配管接続部２８と、コイルスプリング３０とを有している。

【0037】

筒体２４は、プラグ２２の本体部を構成する部材である。図２に示されるように、筒体２４の一部は、プラグ２２とソケット４０を連結した状態では、リテーナ４４の内側に挿入される。

【0038】

また、筒体２４は、略円筒状である。図２及び図５に示されるように、筒体２４のプラグ挿入方向の端部には、筒体２４の径方向内側へ張り出す円環状の張出部２４Ａが形成されている。この張出部２４Ａは、弁体２６のストッパーとして機能する。また、張出部２４Ａの内側は、プラグ２２の連通口２５を形成している。プラグ２２の連通口２５は、プラグ２２とソケット４０を連結した状態で、ソケット４０内とプラグ２２内とを連通するための部分である。

【0039】

また、図２及び図５に示されるように、筒体２４の外周面２４Ｂには、前述の凹状部３２が形成されている。この凹状部３２は、筒体２４の周方向に連続して形成されている。具体的には、筒体２４には、外周面２４Ｂから筒体２４の径方向外側へ張り出す段差面３２Ａが筒体２４の軸方向に間隔をあけて形成されている。これらの段差面３２Ａは、筒体２４の軸方向に対向して配置され、筒体２４の周方向に連続している。凹状部３２は、対向する一対の段差面３２Ａと、外周面２４Ｂにおける一対の段差面３２Ａ間の部分とで構成されている。
本実施形態では、凹状部３２が対向する一対の段差面３２Ａと、外周面２４Ｂにおける一対の段差面３２Ａ間の部分とで構成されているが本発明はこの構成に限定されない。例えば、外周面２４Ｂに筒体２４の周方向に連続する凹状部としての溝部が形成されてもよい。この場合には、溝部の対向する一対の溝壁が凹状部の一対の段差面に対応する。
なお、本実施形態の凹状部は、本発明における被係合部の一例である。

【0040】

また、図３及び図５に示されるように、筒体２４の内周面２４Ｃには、配管接続部２８の雄ねじ部２８Ａが捩じ込まれる雌ねじ部２４Ｄが形成されている。この雌ねじ部２４Ｄは、筒体２４の連通口２５と反対側の口部に形成されている。なお、雌ねじ部２４Ｄのねじ形状については図示省略している。

【0041】

弁体２６は、プラグ２２の連通口２５を開閉する部材である。この弁体２６は、図３に示されるように、筒体２４内に配置されている。また、弁体２６は、筒体２４内を筒体２４の軸方向に移動可能とされている。

【0042】

弁体２６は、プラグ挿入方向側の端部が閉塞された筒状（一例として略円筒状）とされている。図２及び図５に示されるように、弁体２６の閉塞部２６Ａには、プラグ挿入方向へ突出する円柱状の凸部２６Ｂが形成されている。この凸部２６Ｂは、コイルスプリング３０の弾性力によって張出部２４Ａの内側に配置される。また、凸部２６Ｂの外周面には凸部２６Ｂの周方向に沿って連続する環状溝２６Ｃが形成されている。この環状溝２６Ｃには、環状のシール部材２７が挿入されている。コイルスプリング３０の弾性力で弁体２６と共にシール部材２７が張出部２４Ａに押し付けられることで、連通口２５が閉塞される。また、弁体２６の内側には、コイルスプリング３０のプラグ挿入方向側の端部が挿入されている。

【0043】

配管接続部２８は、筒体２４と配管１００とを接続する部材である。この配管接続部２８は、図２及び図３に示されるように、筒体２４の連通口２５と反対側の口部に着脱可能に装着されている。

【0044】

また、配管接続部２８は、筒状（一例として略円筒状）とされている。この配管接続部２８の外周面２８Ｂにおけるプラグ挿入方向の端部側には、雄ねじ部２８Ａが形成されている。配管接続部２８の雄ねじ部２８Ａは、筒体２４の雌ねじ部２４Ｄに捩じ込まれている。なお、雄ねじ部２８Ａのねじ形状については図示省略している。

【0045】

配管接続部２８の外周面２８Ｂにおける軸方向の中間部には、配管接続部２８の径方向外側へ張り出す張出部２８Ｃが形成されている。また、配管接続部２８の外周面２８Ｂには、雄ねじ部２８Ａと張出部２８Ｃとの間に配管接続部２８の周方向に連続する環状溝２８Ｄが形成されている。この環状溝２８Ｄには、環状のシール部材２９が挿入されている。ここで、張出部２８Ｃが筒体２４のプラグ挿入方向と反対側の端部に接するまで配管接続部２８を筒体２４に捩じ込むことで、シール部材２９が筒体２４の内周面２４Ｃに接して、配管接続部２８と筒体２４との間がシールされる。

【0046】

配管接続部２８の筒体２４側と反対側の端部には、配管接続部２８の径方向内側へ張り出す張出部２８Ｅが形成されている。

【0047】

また、配管接続部２８の筒体２４側と反対側の口部には、配管１００が接続されている（図１参照）。

【0048】

コイルスプリング３０は、弾性力で筒体２４の連通口２５を閉じる部材である。具体的には、コイルスプリング３０は、弾性力で弁体２６を筒体２４の張出部２４Ａへ押し付けるようになっている。このコイルスプリング３０は、筒体２４内に配置されている。また、コイルスプリング３０のプラグ挿入方向側の端部（図２及び図３では左側の端部）は、弁体２６の内側に挿入されて、閉塞部２６Ａに接している。一方、コイルスプリング３０のプラグ挿入方向と反対側の端部（図２及び図３では右側の端部）は、配管接続部２８の内側に挿入されて、張出部２８Ｅに接している。なお、本実施形態では、コイルスプリング３０の弾性力で弁体２６を張出部２４Ａに押し付けているが、弁体２６を付勢して張出部２４Ａに押し付けられる付勢部材であれば、コイルスプリング３０に限定されない。

【0049】

（ソケット４０）
図２～図４及び図６に示されるように、ソケット４０は、筒体４２と、保持部材の一例としてのリテーナ４４と、阻止部４６と、許容部４８と、を有している。

【0050】

また、ソケット４０は、弁体５０と、配管接続部５２と、コイルスプリング５４とを有している。

【0051】

筒体４２は、ソケット４０の本体部を構成する部材である。図２に示されるように、筒体４２には、プラグ２２が挿入される。筒体４２のプラグ２２が挿入される口部を以下では、挿入口部４３と称する。

【0052】

また、筒体４２は、略円筒状である。図２及び図３に示されるように、筒体４２内には、リテーナ４４が配置されている。具体的には、リテーナ４４は、筒体４２の挿入口部４３に配置されている。筒体の４２の内周面４２Ａには、筒体４２の径方向内側へ張り出す張出部４２Ｂが形成されている。この張出部４２Ｂは、筒体４２の軸方向の中間部に形成されている。具体的には、張出部４２Ｂは、筒体４２の内周面４２Ａにおける挿入口部４３の境界に形成されている。この張出部４２Ｂは、リテーナ４４及び弁体５０のストッパーとして機能する。また、張出部４２Ｂの内側は、ソケット４０の連通口４２Ｃを形成している。ソケット４０の連通口４２Ｃは、プラグ２２とソケット４０を連結した状態で、ソケット４０内とプラグ２２内とを連通するための部分である。

【0053】

また、筒体４２には、許容部４８が形成されている。具体的には、筒体４２の内周面４２Ａにおける挿入口部４３の部分には、凹部が形成されている。より具体的には、許容部４８は、筒体４２の周壁における挿入口部４３を形成する部分を貫通する貫通孔である。貫通孔である許容部４８の大きさは、後述するリテーナ４４の外側突部６３が入る大きさである。なお、本実施形態の許容部４８は、一例として、筒体４２の外側から見た形状が略矩形状である。

【0054】

図３及び図４に示されるように、許容部４８は、筒体４２の周壁に周方向に等間隔で形成されている。本実施形態では、一例として、許容部４８は、筒体４２の周壁に一対形成されている。したがって、一対の許容部４８は、筒体４２の周壁に径方向に対向して形成されている。

【0055】

また、図３及び図４に示されるように、筒体４２には、阻止部４６が形成されている。具体的には、筒体４２の内周面４２Ａにおける挿入口部４３の部分に阻止部４６が形成されている。より具体的には、阻止部４６は、筒体４２の内周面４２Ａにおける許容部４８のプラグ挿入方向と反対側の部分である。

【0056】

また、図１及び図４に示されるように、筒体４２には、抜け止め部の一例としての抜け止め孔５６が形成されている。抜け止め孔５６は、後述するリテーナ４４の係合爪５８が引っ掛かる部分である（図１及び図１８参照）。具体的には、抜け止め孔５６は、筒体４２の周壁における挿入口部４３を形成する部分に形成された貫通孔である。この抜け止め孔５６の縁部に係合爪５８が引っ掛かることにより、リテーナ４４が筒体４２から抜け出るのが阻止される。抜け止め孔５６の大きさは、後述する係合爪５８の爪部５８Ｂが入る大きさである。なお、本実施形態の抜け止め孔５６は、一例として、筒体４２の外側から見た形状が略矩形状である。

【0057】

抜け止め孔５６は、筒体４２の周壁に周方向に等間隔で形成されている。本実施形態では、一例として、抜け止め孔５６は、筒体４２の周壁に一対形成されている。したがって、一対の抜け止め孔５６は、筒体４２の周壁に径方向に対向して形成されている。また、抜け止め孔５６は、筒体４２の周方向に隣接する許容部４８間に配置されている。

【0058】

また、図３及び図４に示されるように、筒体４２の内周面４２Ａには、配管接続部５２の雄ねじ部５２Ａが捩じ込まれる雌ねじ部４２Ｄが形成されている。この雌ねじ部４２Ｄは、筒体４２の挿入口部４３と反対側の口部に形成されている。なお、雌ねじ部４２Ｄのねじ形状については図示省略している。

【0059】

リテーナ４４は、挿入されたプラグ２２を筒体４２内に保持するための部材である。具体的には、リテーナ４４は、凹状部３２と内側突部６２とが係合することによりプラグ２２を筒体４２内に保持する。

【0060】

図６に示されるように、リテーナ４４は、筒状（一例として略円筒状）であり、筒体４２内に筒体４２の軸方向に移動可能に配置されている。具体的には、リテーナ４４は、筒体４２における挿入口部４３の内側に配置されている。

【0061】

また、リテーナ４４は、図３及び図４に示されるように、挿入されるプラグ２２の凹状部３２に係合する内側突部６２を有している。具体的には、リテーナ４４は、軸方向に延び、プラグ挿入方向側の端部６０Ａが自由端とされた弾性板部６０を有しており、内側突部６２は、弾性板部６０の端部６０Ａからリテーナ４４の径方向内側に突出している部分である。この内側突部６２は、凹状部３２に挿入されることによって凹状部３２と係合する。なお、本実施形態の内側突部６２は、本発明における突部の一例である。

【0062】

また、本実施形態の弾性板部６０は、図３及び図６に示されるように、リテーナ４４の周壁を切り欠いて形成された部分である。この弾性板部６０の板幅は、根元側の部分が自由端側の部分よりも狭い。具体的には、図６に示されるように、弾性板部６０の根元側の部分の板幅Ｗ１は、弾性板部６０の自由端側の部分の板幅Ｗ２よりも狭い。一例として、本実施形態の弾性板部６０は、リテーナ４４の径方向外側から見て略Ｔ字状とされている。なお、弾性板部６０の形状は略Ｔ字状に限定されない。

【0063】

また、弾性板部６０の端部６０Ａには、図４及び図６に示されるように、内側突部６２と反対側に突出する、すなわち、リテーナ４４の径方向外側に突出する外側突部６３が形成されている。

【0064】

内側突部６２は、リテーナ４４の周方向に等間隔で形成されている。言い換えると、内側突部６２が形成される弾性板部６０がリテーナ４４の周壁に周方向に等間隔で形成されている。本実施形態では、一例として、弾性板部６０は、リテーナ４４の周壁に一対形成されている。したがって、一対の弾性板部６０は、リテーナ４４の周壁に径方向に対向して形成されている。なお、一対の弾性板部６０に形成されるそれぞれの内側突部６２は、リテーナ４４の径方向に対向して配置されている。

【0065】

また、リテーナ４４は、図１、図６及び図１８に示されるように、筒体４２の抜け止め孔５６に引っ掛かる係合爪５８を有している。この係合爪５８は、弾性板部５８Ａと、爪部５８Ｂとを有している。弾性板部５８Ａは、リテーナ４４の周壁を切り欠いて形成されており、軸方向に延び、プラグ挿入方向側の端部が自由端とされている。また、爪部５８Ｂは、弾性板部５８Ａのプラグ挿入方向側の端部からリテーナ４４の径方向内側に突出している部分である。この爪部５８Ｂは、抜け止め孔５６に挿入され、プラグ２２がソケット４０に対してプラグ挿入方向と反対側に移動することで、抜け止め孔５６の縁部に引っ掛かる。具体的には、リテーナ４４の内側突部６２が筒体４２の阻止部４６の位置にあるときに、係合爪５８の爪部５８Ｂが抜け止め孔５６の縁部に引っ掛かる。

【0066】

係合爪５８は、リテーナ４４の周壁に周方向に等間隔で形成されている。本実施形態では、一例として、係合爪５８は、筒体４２の周壁に一対形成されている。したがって、一対の係合爪５８は、筒体４２の周壁に径方向に対向して形成されている。また、係合爪５８は、筒体４２の周方向に隣接する弾性板部６０間に配置されている。

【0067】

また、リテーナ４４は、掴み部６４を有している。この掴み部６４は、リテーナ４４を筒体４２の挿入口部４３内で軸方向に移動させる際に操作者が掴む部分である。具体的には、掴み部６４は、リテーナ４４のプラグ挿入方向と反対側の端部から径方向外側へ張り出した環状の張出部である。この掴み部６４の外径は、筒体４２の内径よりも大きい。このため、掴み部６４は、筒体４２の挿入口部４３よりも外側、すなわち、プラグ挿入方向と反対側に配置されている。具体的には、掴み部６４と筒体４２との間の間隔Ｌは、図２及び図１３に示されるように、リテーナの内側突部６２が筒体４２の許容部４８の位置にあるときよりも、内側突部６２が阻止部４６の位置にあるときで広い。

【0068】

図２に示されるように、阻止部４６は、筒体４２において、プラグ２２の凹状部３２に係合したリテーナ４４の内側突部６２の係合解除動作を阻止する部分である。具体的には、阻止部４６は、筒体４２の挿入口部４３に形成されている。そして、阻止部４６は、リテーナ４４の内側突部６２が筒体４２の阻止部４６の位置にあるときに、内側突部６２と反対側にある外側突部６３と接することで、弾性板部６０の弾性変形を阻止する。これにより、内側突部６２が凹状部３２から抜け出ることが阻止され、内側突部６２と凹状部３２との係合状態が維持される。

【0069】

図１６に示されるように、許容部４８は、筒体４２において、プラグ２２の凹状部３２に係合したリテーナ４４の内側突部６２の係合解除動作を許容する部分である。具体的には、許容部４８は、筒体４２の挿入口部４３に形成されている。そして、許容部４８は、リテーナ４４の内側突部６２が筒体４２の許容部４８の位置にあるときに、弾性板部６０の弾性変形による端部６０Ａ及び外側突部６３の径方向外側への移動を許容する。すなわち、図１６に示されるように、弾性板部６０が弾性変形することで、外側突部６３が許容部４８である貫通孔に挿入されて端部６０Ａ及び外側突部６３の径方向外側への移動が許容される。これにより、内側突部６２が凹状部３２から抜け出ることが可能となり、内側突部６２と凹状部３２との係合状態を解除することが可能となる。

【0070】

弁体５０は、ソケット４０の連通口４２Ｃを開閉する部材である。この弁体５０は、図２及び図３に示されるように、筒体４２内に配置されている。また、弁体５０は、筒体４２内を筒体４２の軸方向に移動可能とされている。

【0071】

弁体５０は、筒状（一例として略円筒状）とされている。図２及び図３に示されるように、弁体５０の内側には、後述する配管接続部５２の軸部５３が挿入されている。弁体５０は、軸部５３に沿って筒体４２内を軸方向に移動する。

【0072】

弁体５０のプラグ挿入方向と反対側の端部５０Ａは、コイルスプリング５４の弾性力で筒体４２の張出部４２Ｂに押し付けられている。また弁体５０の端部５０Ａの内側には、プラグ２２のプラグ挿入方向の端部（筒体２４のプラグ挿入方向の端部）が挿入される挿入口部５０Ｂが形成されている。また、挿入口部５０Ｂのプラグ挿入方向側の壁面には、環状のシール部材６６が配置されている。このシール部材６６には、プラグ２２のプラグ挿入方向の端部が接するようになっている。具体的には、プラグ２２とソケット４０を連結した状態では、図２に示されるように、シール部材６６にプラグ２２のプラグ挿入方向の端部が接して弁体５０と筒体２４との間がシールされる。また、弁体５０の端部５０Ａがコイルスプリング５４の弾性力で筒体４２の張出部４２Ｂに押し付けられている状態では、リテーナ４４の内側突部６２が筒体４２の阻止部４６の位置にあり、係合爪５８の爪部５８Ｂが抜け止め孔５６の縁部に引っ掛かっている。

【0073】

また、弁体５０の外周面には、弁体５０の周方向に連続する環状溝５０Ｃが形成されている。この環状溝５０Ｃには、環状のシール部材６８が挿入されている。このシール部材６８によって弁体５０と筒体４２の内周面４２Ａとの間がシールされている。

【0074】

配管接続部５２は、筒体４２と配管１０２とを接続する部材である。この配管接続部５２は、図２及び図３に示されるように、筒体４２の挿入口部４３と反対側の口部に着脱可能に装着されている。

【0075】

また、配管接続部５２は、筒状（一例として略円筒状）とされている。この配管接続部５２のプラグ挿入方向側の部分は、配管接続部５２のプラグ挿入方向側と反対側の部分よりも小径とされている。この配管接続部５２の外周面５２Ｂにおけるプラグ挿入方向と反対側の端部側には、雄ねじ部５２Ａが形成されている。配管接続部５２の雄ねじ部５２Ａは、筒体４２の雌ねじ部４２Ｄに捩じ込まれている。なお、雄ねじ部５２Ａのねじ形状については図示省略している。

【0076】

また、配管接続部５２の外周面５２Ｂには、雄ねじ部５２Ａよりもプラグ挿入方向側に配管接続部５２の周方向に連続する環状溝５２Ｃが形成されている。この環状溝５２Ｃには、環状のシール部材７０が挿入されている。ここで、配管接続部５２を筒体４２に捩じ込むことで、シール部材７０が筒体４２の内周面４２Ａに接して、配管接続部５２と筒体４２との間がシールされる。

【0077】

配管接続部５２の筒体４２側と反対側の口部には、配管１０２が接続されている。なお、配管１０２は、一例として樹脂チューブを用いてもよい。

【0078】

また、配管接続部５２は、軸部５３を有している。この軸部５３は、配管接続部５２の筒体４２側と反対側の口部から延びる筒状部であり、プラグ挿入方向と反対側の端部が閉塞されている。この軸部５３の閉塞部５３Ａには、プラグ２２の弁体２６の凸部２６Ｂに形成された窪みに嵌る凸部５３Ｂが形成されている。

【0079】

軸部５３の外周面５３Ｃにおけるプラグ挿入方向と反対側の端部側には、軸部５３の周方向に連続する環状溝５３Ｄが形成されている。この環状溝５３Ｄには、環状のシール部材７２が挿入されている。このシール部材７２によって、弁体５０の内周面と軸部５３との間がシールされる。

【0080】

また、軸部５３には、環状溝５３Ｄよりもプラグ挿入方向側に複数の貫通孔５３Ｅが形成されている。プラグ２２とソケット４０を連結した状態では、貫通孔５３Ｅは、ソケット４０の内部とプラグ２２の内部をつなぐ流路の一部を構成する。

【0081】

コイルスプリング５４は、弾性力で筒体４２の連通口４２Ｃを閉じる部材である。具体的には、コイルスプリング５４は、弾性力で弁体５０を筒体４２の張出部４２Ｂへ押し付けるようになっている。このコイルスプリング５４は、筒体４２内に配置されている。また、コイルスプリング５４のプラグ挿入方向側の端部（図２及び図３では左側の端部）は、配管接続部５２の周壁と軸部５３との間に挿入されて配管接続部５２に支持されている。一方、コイルスプリング５４のプラグ挿入方向と反対側の端部（図２及び図３では右側の端部）は、弁体５０に接している。なお、本実施形態では、コイルスプリング５４の弾性力で弁体５０を張出部４２Ｂに押し付けているが、弁体５０を付勢して張出部４２Ｂに押し付けられる付勢部材であれば、コイルスプリング５４に限定されない。

【0082】

次に、本実施形態のプラグ２２とソケット４０を連結する動作及び連結を解除する動作について説明する。

【0083】

まず、プラグ２２とソケット４０を連結する動作について説明する。
図７に示されるように、プラグ２２を筒体４２内のリテーナ４４の内側に挿入する。プラグ２２の筒体２４をリテーナ４４の内側に挿入すると、プラグ２２の弁体２６における凸部２６Ｂの窪みにソケット４０の軸部５３の凸部５３Ｂが嵌る。

【0084】

図９に示されるように、プラグ２２を筒体４２内に更に挿入すると、プラグ２２の筒体２４によって弁体５０がプラグ挿入方向に押し込まれる。このとき、ソケット４０の軸部５３によって弁体２６が筒体２４内に押し込まれる。これにより、プラグ２２の連通口２５が開放されると共にソケット４０の連通口４２Ｃが開放される。そして、軸部５３の貫通孔５３Ｅが開放されることで、プラグ２２内の流路とソケット４０内の流路が連通する。

【0085】

図１０に示されるように、プラグ２２を筒体４２内に更に挿入すると、リテーナ４４の内側突部６２が筒体２４において凹状部３２の段差面３２Ａを形成する突条部３３に接してプラグ２２と共にリテーナ４４が筒体４２の軸方向に移動する。そして、リテーナ４４が張出部４２Ｂに接すると、リテーナ４４のプラグ挿入方向の移動が阻止される。このとき、リテーナ４４の内側突部６２が筒体４２の軸方向において許容部４８の位置にある、すなわち、リテーナ４４の外側突部６３が筒体４２の軸方向において許容部４８の位置にある。ここで、内側突部６２が突条部３３を乗り越える場合、弾性板部６０が径方向外側へ弾性変形し（撓み）、外側突部６３が許容部４８である貫通孔に挿入されて端部６０Ａ及び外側突部６３の径方向外側への移動が許容される。そして、内側突部６２が突条部３３を乗り越えると（図１１参照）、弾性板部６０が復元し、内側突部６２が凹状部３２に挿入されて内側突部６２が凹状部３２に係合する（図１２参照）。

【0086】

図１２に示されるように、内側突部６２が凹状部３２に係合した状態でプラグ２２をソケット４０へ押し込むのをやめると、コイルスプリング３０とコイルスプリング５４の弾性力（復元力）によってプラグ２２がプラグ挿入方向と反対側へ押し戻される（図１３及び図１４参照）。内側突部６２が凹状部３２に係合しているため、プラグ２２とともにリテーナ４４がプラグ挿入方向と反対側に移動する。プラグ２２及びリテーナ４４の移動は、係合爪５８が抜け止め孔５６の縁部に引っ掛かることで阻止される（図１８参照）。このとき、リテーナ４４の内側突部６２が筒体４２の軸方向において阻止部４６の位置にあるため、外側突部６３が阻止部４６に接することで、弾性板部６０が径方向外側へ弾性変形するのが（撓むのが）阻止される。これにより、プラグ２２がリテーナ４４を介して筒体４２、すなわち、ソケット４０に連結される。また、リテーナ４４の内側突部６２が筒体４２の阻止部４６の位置にある場合、内側突部６２の係合解除動作が阻止されるため、プラグ２２とソケット４０の連結が維持される。

【0087】

次に、プラグ２２とソケット４０の連結を解除する動作について説明する。
まず、図１５に示されるように、プラグ２２をソケット４０に押し込む。このプラグ２２のプラグ挿入方向への押し込みにともないプラグ２２と係合状態にあるリテーナ４４もプラグ挿入方向へ押し込まれる。この押し込みにより、リテーナ４４が筒体４２の張出部４２Ｂに接する。リテーナ４４が張出部４２Ｂに接した状態では、リテーナ４４の内側突部６２が筒体４２の許容部４８の位置にあるため、弾性板部６０が弾性変形可能な状態にある。

【0088】

ここで、図１５に示されるように、リテーナ４４の掴み部６４を掴み、リテーナ４４が筒体４２に押し込まれた状態を維持しながら、プラグ２２をプラグ挿入方向と反対側に移動、すなわち、ソケット４０から引き抜き方向に移動させることで、弾性板部６０が径方向外側に弾性変形して内側突部６２が突条部３３を乗り越える（図１６参照）。

【0089】

そして、図１７に示されるように、さらにプラグ２２をソケット４０から引き抜き方向に移動させることで、プラグ２２がソケット４０から外れる、すなわち、プラグ２２とソケット４０の連結が解除される。

【0090】

次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
本実施形態のコネクタ２０では、プラグ２２をソケット４０の筒体４２内のリテーナ４４に挿入することで、凹状部３２に内側突部６２が挿入されることによってプラグ２２とソケット４０が連結される。これにより、プラグ２２がリテーナ４４を介して筒体４２、すなわち、ソケット４０に連結される。また、コネクタ２０では、リテーナ４４の内側突部６２が筒体４２の阻止部４６の位置にある場合、内側突部６２の係合解除動作が阻止されるため、プラグ２２とソケット４０の連結が維持される。

【0091】

そして、コネクタ２０では、リテーナ４４の内側突部６２が筒体４２の許容部４８の位置にある場合（例えば、リテーナ４４の内側突部６２を筒体４２の阻止部４６の位置から許容部４８の位置に移動させた場合）、内側突部６２の係合解除動作が許容される。具体的には、弾性板部６０の弾性変形によるプラグ挿入方向側の端部の径方向外側への移動が許容部４８によって許容される。ここで、弾性板部６０を弾性変形させてプラグ挿入方向側の端部を筒体４２の径方向外側へ移動させると、内側突部６２が凹状部３２から抜け出る。この状態でリテーナ４４からプラグ２２を引き抜くと、プラグ２２とソケット４０の連結が解除される。

【0092】

コネクタ２０では、ソケット４０において、筒体４２に阻止部４６及び許容部４８を設けると共にリテーナ４４に内側突部６２を設けるという簡単な構成によってプラグ２２とソケット４０の連結及び連結解除を行うことができる。
そして、コネクタ２０では、例えば、プラグとソケットの連結に筒体とリテーナとは別の部材を用いる構成と比べて、プラグ２２とソケット４０の連結に必要な部品の点数を低減することができる。

【0093】

また、コネクタ２０では、ソケット４０の許容部４８を筒体４２の周壁を貫通する貫通孔としていることから、ソケット４０の外側から貫通孔を通して筒体４２内に配置されたリテーナ４４の位置を目視で確認することができる。

【0094】

また、コネクタ２０では、弾性板部６０の板幅を自由端側の部分よりも根元側の部分で狭くしていることから、例えば、弾性板部の板幅を自由端側の部分以上とする構成と比べて、弾性板部６０の弾性変形量をコントロールしやすい。

【0095】

また、コネクタ２０では、内側突部６２をリテーナ４４の周方向に等間隔で形成していることから、例えば、内側突部をリテーナの周方向に不等間隔で形成する構成と比べて、リテーナ４４によるプラグ２２の保持が安定する。これにより、プラグ２２とソケット４０の連結及び連結解除が安定する。

【0096】

また、コネクタ２０では、リテーナ４４に係合爪５８が筒体４２の抜け止め孔５６に引っ掛かることでリテーナ４４が筒体４２から抜け出るのが阻止される。これにより、プラグ２２を連結する前のソケット４０からリテーナ４４が脱落するのを防止することができる。さらに、ソケット４０の外側から抜け止め孔５６を通して係合爪５８の位置を目視で確認することができる（図１、図１８及び図１９参照）。

【0097】

また、コネクタ２０では、リテーナ４４を通して挿入されたプラグ２２がコイルスプリング５４の弾性力（復元力）によってプラグ挿入方向と反対側に付勢されることで、係合爪５８が抜け止め孔５６に引っ掛かっている。ここで、係合爪５８が抜け止め孔５６に引っ掛かっている状態では、リテーナ４４の内側突部６２が筒体４２の阻止部４６の位置にあるため、内側突部６２の係合解除動作が阻止され、プラグ２２とソケット４０の連結が維持される。すなわち、コネクタ２０では、コイルスプリング５４の弾性力（復元力）によってプラグ２２とソケット４０の連結を維持することができる。

【0098】

また、コネクタ２０では、リテーナ４４の掴み部６４が筒体４２のプラグ２２が挿入される口部よりも外側に配置されているため、ソケット４０の外側から掴み部６４を掴んでリテーナ４４を軸方向に移動させることができる。これにより、コネクタ２０では、例えば、筒体４２内の掴み部６４へのアクセスに専用部品が必要な構成と比べて、安価な構造でリテーナ４４の移動操作を行うことができる。

【0099】

また、コネクタ２０では、掴み部６４と筒体２４との間の間隔Ｌがリテーナ４４の内側突部６２が筒体４２の許容部４８の位置にあるときよりも、内側突部６２が阻止部４６の位置にあるときで広い。このため、掴み部６４と筒体２４との間の間隔Ｌを目視することで内側突部６２が阻止部４６の位置にあるか、内側突部６２が許容部４８の位置にあるかを簡単に把握することができる。すなわち、コネクタ２０では、ソケット４０の掴み部６４を外側から目視することで、プラグ２２とソケット４０の連結状態を簡単に把握することができる。

【0100】

ソケット４０では、筒体４２の挿入口部４３と反対側の口部に配管接続部５２が着脱可能に装着されている。また、プラグ２２では、筒体２４の連通口２５と反対側の口部に配管接続部２８が着脱可能に装着されている。ここで、プラグ２２とソケット４０を有するコネクタ２０では、配管の種類（例えば、材質や管径等）に応じて配管接続部２８と配管接続部５２を付け替えることで多様な配管を接続することができる。

【0101】

前述の実施形態では、許容部４８を筒体４２の周壁を貫通する貫通孔としているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、許容部４８を筒体４２の内周面４２Ａに形成された周壁を貫通しない凹部としてもよい。

【0102】

前述の実施形態では、弾性板部６０の板幅を根元側の部分が自由端側の部分よりも狭くなるようにしているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、弾性板部６０の板幅を変えずに、弾性板部６０の板厚みを根元側の部分が自由端側の部分よりも薄くなるようにしてもよいし、弾性板部６０の板幅と板厚みの双方を根元側の部分が自由端側の部分よりも狭くかつ薄くなるようにしてもよい。

【0103】

前述の実施形態では、リテーナ４４の係合爪５８が筒体４２の抜け止め孔５６に引っ掛かる構成としているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、筒体４２の内周面４２Ａに径方向内側へ突出する抜け止め部の一例としての突起を形成し、この突起に係合爪５８の爪部５８Ｂを引っ掛ける構成としてもよい。

【0104】

前述の実施形態では、リテーナ４４に環状の掴み部６４を形成しているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、掴み部６４は、リテーナ４４のプラグ挿入方向と反対側の端部から径方向外側へ突出する１又は複数の突出部であってもよい。

【0105】

前述の実施形態では、リテーナ４４を筒状としているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、リテーナ４４を周方向の一部が分断された筒状としてもよい。一部が分断された筒状の一例として、リテーナ４４を軸方向から見た形状がＣ字状の筒状としてもよい。

【0106】

以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。

【符号の説明】

【0107】

２０ コネクタ
２２ プラグ
３２ 凹状部
４０ ソケット
４２ 筒体
４２Ａ 内周面
４３ 挿入口部
４４ リテーナ（保持部材の一例）
４６ 阻止部
４８ 許容部
５２ 配管接続部
５４ コイルスプリング（付勢部材の一例）
５６ 抜け止め孔（抜け止め部の一例）
５８ 係合爪
６０ 弾性板部
６２ 内側突部（突部の一例）
６４ 掴み部
１０２ 配管
Ｓ プラグ挿入方向

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】