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  • 特開-溶接表示装置 図1
  • 特開-溶接表示装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138614
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】溶接表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/133 20060101AFI20241002BHJP
   B23K 9/10 20060101ALI20241002BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
G02F1/133 580
B23K9/10 Z
G02F1/1333
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049174
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(72)【発明者】
【氏名】下菊 秀記
【テーマコード(参考)】
2H189
2H193
4E082
【Fターム(参考)】
2H189AA18
2H189HA06
2H189HA16
2H193ZH18
2H193ZH34
2H193ZH35
2H193ZH62
2H193ZH65
2H193ZH69
4E082FA11
(57)【要約】
【課題】液晶素子のガラス面裏側にヒータ層を設ける方式では、ヒータ層による透光度の低下により表示の明るさが低下や、ガラス面裏側にヒータ層を印刷する工程増加に伴い部品単価が増加する課題がある。
【解決手段】溶接電源PMの表示パネルPAに溶接電流・溶接電圧、溶接設定条件を表示する表示装置LCDと、電流が流れることにより発熱する抵抗Rと、抵抗Rに流れる電流をオン/オフするスイッチSWと、温度センサを内蔵するマイクロプロセッサMPUとを備えており、マイクロプロセッサMPUに内蔵された温度センサの検知した温度が第1の所定温度以下の場合はスイッチSWをオンして抵抗Rを発熱させて表示装置LCDを加熱し、前記第1の所定温度より高い第2の所定温度以上の場合はスイッチSWをオフする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接電源の表示パネルに溶接電流、溶接電圧及び溶接設定条件を表示する液晶素子を用いた表示装置と、
前記表示装置を加熱する抵抗と、
前記抵抗に流れる電流をオン/オフするスイッチと、
温度センサを内蔵するマイクロプロセッサと、
を備えており、
前記マイクロプロセッサに内蔵された温度センサの検知温度が第1の所定温度以下の場合は前記スイッチをオンして前記抵抗を発熱させて前記表示装置を加熱し、前記第1の所定温度より高い第2の所定温度以上の場合は前記スイッチをオフすること、
を特徴とする溶接表示装置。
【請求項2】
前記表示装置と前記抵抗は、同一プリント板の同一実装面に搭載され、前記抵抗は前記表示装置の近傍下側に配置されていること、
を特徴とする請求項1に記載の溶接表示装置。
【請求項3】
前記抵抗は、複数直列接続された抵抗で構成され、前記表示装置の幅と同程度又はそれ以上の長さを有すること、
を特徴とする請求項2に記載の溶接表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶素子の低温時、表示速度が低下するのを防止するため、液晶セルの裏側に電熱線を設け加熱する従来方法や、液晶素子のガラス面裏側にヒータ層を設ける方法が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62-92990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液晶素子のガラス面裏側にヒータ層を設ける方式では、ヒータ層による透光度の低下により表示の明るさ低下や、ガラス面裏側へのヒータ層印刷工程増加に伴い液晶素子単価増加が課題となる。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、安価で簡単な方式で液晶素子の低温時の表示速度低下を防止するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、
溶接電源の表示パネルに溶接電流、溶接電圧及び溶接設定条件を表示する液晶素子を用いた表示装置と、
前記表示装置を加熱する抵抗と、
前記抵抗に流れる電流をオン/オフするスイッチと、
温度センサを内蔵するマイクロプロセッサと、
を備えており、
前記マイクロプロセッサに内蔵された温度センサの検知温度が第1の所定温度以下の場合は前記スイッチをオンして前記抵抗を発熱させて前記表示装置を加熱し、前記第1の所定温度より高い第2の所定温度以上の場合は前記スイッチをオフすること、
を特徴とする溶接表示装置である。
【0007】
請求項2の発明は、
前記表示装置と前記抵抗は、同一プリント板の同一実装面に搭載され、前記抵抗は前記表示装置の近傍下側に配置されていること、
を特徴とする請求項1に記載の溶接表示装置である。
【0008】
請求項3の発明は、
前記抵抗は、複数直列接続された抵抗で構成され、前記表示装置の幅と同程度又はそれ以上の長さを有すること、
を特徴とする請求項2に記載の溶接表示装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、安価で簡単な方式で液晶素子の低温時の表示速度低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態1及び2に係る表示装置の接続図および各機能のブロック図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る表示装置周辺の部品配置図である。
図3】本発明の実施の形態2に係る表示装置周辺の部品配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
〔実施の形態1〕
図1は、本発明の実施の形態1及び2に係る溶接電源の表示部のブロック図である。以下、同図を参照して各ブロックについて説明する。
【0013】
表示パネルPAは、溶接電源PMに設けられた溶接電流・溶接電圧、溶接条件設定を表示して、溶接作業者に通知するためのものである。表示は、表示装置LCDが行い、表示装置LCDには制御電源5Vが供給され、後述するマイクロプロセッサMPUの表示指令Dpにより、溶接電流、溶接電圧及び溶接条件設定を表示する。
【0014】
抵抗Rは、後述するスイッチSWがオンすると制御電源5Vからの給電により電流が流れ発熱し、表示装置LCDを加熱する。
【0015】
スイッチSWは、後述するマイクロプロセッサMPUからの駆動信号VgがHighの時オンし、Lowの時オフする。スイッチSWには、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体スイッチング素子などを用いれば良い。
【0016】
マイクロプロセッサMPUは、溶接電源PM内部に搭載され、溶接電源PMの図示しない動作シーケンス処理や、溶接電源PMに接続された図示しない外部機器との入出力信号の送受信や外部機器のコントロールを行うとともに、溶接電流・溶接電圧、溶接条件設定を表示装置LCDに表示させるための表示指令Dpを表示装置LCDに出力する。また、マイクロプロセッサMPUは、図示しない温度センサを内蔵しており、温度センサの検知温度によりスイッチSWをオン/オフするための駆動信号Vgを次のとおり出力する。
1)検知温度が第1の所定温度以下の場合:駆動信号VgはHIghとし、スイッチSWをオンする。
2)検知温度が第1の所定温度より高い第2の所定温度以上の場合:駆動信号VgはLowとし、スイッチSWをオフする。
【0017】
プリント板PCBは、表示装置LCD、抵抗R及びスイッチSWを実装したプリント板であり、表示パネルPAの所定位置に表示装置LCDを表示するため、溶接電源PMの表示パネルPA又は溶接電源PMの図示しない固定板に取り付けられている。なお、プリント板PCBには、表示装置LCD及び抵抗Rが実装されていれば良く、スイッチSWはプリント板PCB外に配置されても良いし、逆にマイクロプロセッサMPUがプリント板PCBに実装されていても良い。
【0018】
図2(a)は、実施の形態1における溶接電源PMの表示パネルPAの正面図であり、同図(b)は、側面図である。図2(a)及び(b)を用いて、本発明の実施の形態1に係る表示装置LCDの動作を説明する。
【0019】
溶接電源PMの機内温度が低い場合は、当然表示装置LCDの温度も低く、液晶素子の粘度が増加し、表示切替え速度が低下する。この対策として、溶接電源PMの機内温度が低い場合は、表示装置LCDの液晶素子を加熱して液晶粘度を抑える必要がある。
【0020】
マイクロプロセッサMPUは溶接電源PM内にあるので、マイクロプロセッサMPUに搭載された温度センサの検出した温度は溶接電源PMの機内温度であり、同じく溶接電源PM内にある表示装置LCDの温度とほぼ同じである。従って、マイクロプロセッサMPUに搭載された温度センサの検知温度が第1の所定温度以下である場合は、マイクロプロセッサMPUは駆動信号VgをHighにし、スイッチSWをオンし、抵抗Rを発熱させる。すると、図2(b)示すとおり、液晶装置LCDとプリント板PCB間の隙間を通して、上昇する熱対流Htが起こり、液晶装置LCDを下方から上へ徐々に加熱する。熱対流Htにより、表示装置LCDのプリント板PCBの実装面近くにある液晶素子を効率的に加熱するためには、抵抗Rの実装位置は、次であることが望ましい。
1)抵抗Rは、表示装置LCDの同一搭載面であり、近傍下側である。
【0021】
溶接電源PMの機内温度が高く、マイクロプロセッサMPUに搭載された温度センサの検知温度が第1の所定温度より高い第2の所定温度以上である場合には、表示装置LCDの液晶素子の温度が表示速度を低下させない程の粘度であるので、無駄に抵抗Rに発熱させる必要はないので、マイクロプロセッサMPUは駆動信号VgをLowにして、スイッチSWをオフする。第1の所定温度は5℃程度、第2の所定温度は10℃程度に設定される。
【0022】
〔実施の形態2〕
図3(a)は、実施の形態2における溶接電源PMの表示パネルPAの正面図であり、同図(b)は、側面図である。図3(a)及び(b)を用いて、本発明の実施の形態2に係る溶接表示装置の動作を説明する。
【0023】
実施の形態1よりもさらに、熱対流Htにより、表示装置LCDのプリント板PCBの実装面近くにある液晶素子を効率的に加熱するため、抵抗Rの形状は、次であることが望ましい。
1)抵抗Rは、表示装置LCDとプリント板PCB実装面の隙間近くとなるよう、実装高さが低いもの。
2)抵抗Rは、表示装置LCDの幅と同程度又はそれ以上の長さを有していること。
【0024】
実施の形態1では、抵抗Rは1つであったが、複数の小型の抵抗器を複数直列接続して使用したのが、実施の形態2である。図3(a)では、抵抗Ra~Rcを直列に接続配置して表示装置LCDの幅と等しいかそれ以上の長さに抵抗を配置している。小型の抵抗器を使用することで、図3(b)に示す通り、表示装置LCDとプリント板PCB実装面の隙間近くに抵抗Rを配置できる。なお、直列接続する抵抗は、3ケに限らず複数であれば良いし、図3(b)では抵抗Ra~Rcが1列であるが、複数列から構成しても良い。
【0025】
以上のとおり、実施の形態1及び実施の形態2にて、ガラス面にヒート層を設ける高価な表示装置を用いることなく、安価で簡単な方式で表示装置の低温時の表示速度低下を防止することが出来る。
【符号の説明】
【0026】
Dp 表示指令
Ht 熱対流
LCD 表示装置
MPU マイクロプロセッサ
PA 操作パネル
PCB プリント板
PM 溶接電源
R 抵抗
Ra~Rc 抵抗
SW スイッチ
Vg 駆動信号
図1
図2
図3