(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138617
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】大口径比ズームレンズ
(51)【国際特許分類】
G02B 15/20 20060101AFI20241002BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
G02B15/20
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049181
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000131326
【氏名又は名称】株式会社シグマ
(72)【発明者】
【氏名】山本 幸広
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087LA01
2H087MA12
2H087MA18
2H087NA07
2H087PA14
2H087PA15
2H087PA16
2H087PB18
2H087PB19
2H087PB20
2H087QA02
2H087QA06
2H087QA17
2H087QA21
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA26
2H087QA32
2H087QA37
2H087QA39
2H087QA41
2H087QA42
2H087QA45
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA21
2H087RA32
2H087RA44
2H087RA46
2H087SA44
2H087SA46
2H087SA50
2H087SA52
2H087SA56
2H087SA62
2H087SA63
2H087SA64
2H087SA65
2H087SA72
2H087SA76
2H087SB05
2H087SB06
2H087SB15
2H087SB16
2H087SB24
2H087SB26
2H087SB32
2H087SB35
2H087SB44
2H087SB45
2H087UA06
(57)【要約】
【課題】大型撮像素子に対応しフォーカシング時の画角変化を抑え大口径比化を行いつつ大型化を抑えた大口径比ズームレンズを提供する。
【解決手段】大口径比ズームレンズは、負の第1レンズ群G1、正の第2レンズ群G2、複数レンズ群の中間レンズ群GM、負の最終レンズ群GLからなり、ズーミング時、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔は減少し、第2レンズ群G2と中間レンズ群GMの間隔は変化し、中間レンズ群GMと最終レンズ群GLの間隔は変化し、中間レンズ群GMは、負のM1レンズ群GM1、正のM2レンズ群GM2を有し、ズーミング時、M1レンズ群GM1とM2レンズ群GM2の間隔は変化し、開口絞りは中間レンズ群GMに隣接もしくは中間レンズ群GM内に有し、第1レンズ群G1は負の第1aレンズ群G1a、負の第1bレンズ群G1bを有し、フォーカシング時、第1bレンズ群G1bが物体側に移動し、所定の条件式を満たす。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、負の屈折力の第1レンズ群G1、正の屈折力の第2レンズ群G2、複数のレンズ群を有する中間レンズ群GM、負の屈折力を有する最終レンズ群GLからなり、
広角端から望遠端へのズーミング時には、前記第1レンズ群G1と前記第2レンズ群G2の間隔は減少し、前記第2レンズ群G2と前記中間レンズ群GMの間隔は変化し、前記中間レンズ群GMと前記最終レンズ群GLの間隔は変化し、
前記中間レンズ群GMは物体側から順に、負の屈折力のM1レンズ群GM1、正の屈折力のM2レンズ群GM2を有し、
広角端から望遠端へのズーミング時には前記M1レンズ群GM1と前記M2レンズ群GM2の間隔は変化し、
開口絞りは前記中間レンズ群GMに隣接、もしくは前記中間レンズ群GM内に有し、
前記第1レンズ群G1は物体側から順に、負の屈折力の第1aレンズ群G1a、負の屈折力の第1bレンズ群G1bを有し、
無限遠から近距離へのフォーカシング時には、前記第1bレンズ群G1bが物体側に移動し、
以下の条件式を満たすことを特徴とする大口径比ズームレンズ。
(1)0.10 < Δ1ab/SD1 < 0.90
Δ1ab:無限遠合焦時の前記第1aレンズ群G1aの最も像側の面の最大有効光線高の位置と前記第1bレンズ群G1bの最も物体側の面の最大有効光線高での位置において光軸に平行な距離
SD1:前記第1レンズ群G1の最大有効光線高
【請求項2】
無限遠から近距離へのフォーカシング時には、前記第1bレンズ群G1b群以外は像面に対して固定であることを特徴とする請求項1記載の大口径比ズームレンズ。
【請求項3】
広角端から望遠端へのズーミング時には、前記最終レンズ群GLは像面に対して固定であることを特徴とする請求項1記載の大口径比ズームレンズ。
【請求項4】
前記第1aレンズ群G1aは、少なくとも1枚の正の屈折力のレンズL1apを有し、前記第1bレンズ群G1bは、物体側に凹面を向けた負の屈折力のレンズL1bmを有することを特徴とする請求項1記載の大口径比ズームレンズ。
【請求項5】
以下の条件式を満たすことを特徴とする請求項1記載の大口径比ズームレンズ。
(2)0.10 < d12W/LTW < 0.30
d12W:広角端、無限遠合焦時の前記第1レンズ群G1の最も像側の面と前記第2レンズ群G2の最も物体側の面の光軸上の距離
LTW:広角端、無限遠合焦時の最も物体側の面から像面までの光軸上の距離
【請求項6】
以下の条件式を満たすことを特徴とする請求項1記載の大口径比ズームレンズ。
(3)0.05 < d2MT/LTT < 0.35
d2MT:望遠端、無限遠合焦時の前記第2レンズ群G2の最も像側の面と前記中間レンズ群GMの最も物体側の面の光軸上の距離
LTT:望遠端、無限遠合焦時の最も物体側の面から像面までの光軸上の距離
【請求項7】
以下の条件式を満たすことを特徴とする請求項1記載の大口径比ズームレンズ。
(4)4.50 < (LTW*SD1)/(Ymax^2) < 60.0
LTW:広角端、無限遠合焦時の最も物体側の面から像面までの光軸上の距離
SD1:前記第1レンズ群G1の最大有効光線高
Ymax:最大像高
【請求項8】
以下の条件式を満たすことを特徴とする請求項1記載の大口径比ズームレンズ。
(5)0.01 < f1b/f1a < 4.50
f1b:前記第1bレンズ群G1bの焦点距離
f1a:前記第1aレンズ群G1aの焦点距離
【請求項9】
以下の条件式を満たすことを特徴とする請求項1記載の大口径比ズームレンズ。
(6)0.25 < FnohT/Ymax < 1.40
FnohT:望遠端、無限遠合焦時の開口絞りの高さ
Ymax:最大像高
【請求項10】
以下の条件式を満たすことを特徴とする請求項1記載の大口径比ズームレンズ。
(7)0.05 < f1b/f1 < 5.70
(8)-10.0 < f1/fW < -0.50
(9)0.20 < f2/fT < 1.30
(10)0.10 < fMLT/fT < 9.50
(11)-50.0 < fL/fT < -0.01
f1b:前記第1bレンズ群G1bの焦点距離
f1:無限遠合焦時の前記第1レンズ群G1の焦点距離
fW:広角端、無限遠合焦時の全レンズ系の焦点距離
f2:前記第2レンズ群G2の焦点距離
fT:望遠端、無限遠合焦時の全レンズ系の焦点距離
fMLT:望遠端での前記中間レンズ群GMから前記最終レンズ群GLまでの合成焦点距離
fL:前記最終レンズ群GLの焦点距離
【請求項11】
以下の条件式を満たすことを特徴とする請求項1記載の大口径比ズームレンズ。
(12)55.0 < vd2p
(13)0.005 < ΔPgF2p
(14)60.0 < vdM2p
(15)0.015 < ΔPgFM2p
vd2p:前記第2レンズ群G2内の最も大きいアッベ数を有する正レンズLvd2pのアッベ数
ΔPgF2P:前記第2レンズ群G2内の前記正レンズLvd2pのΔPgF
ここで、
ΔPgF:g、F線間での異常分散性であり、以下の式で表される。
ΔPgF=PgF-0.64833+0.00180νd
PgF=(ng-nF)/(nF-nC):g、F線間における部分分散比
ng:g線(波長λ=435.84nm)に対する屈折率
nF:F線(波長λ=486.13nm)に対する屈折率
nC:C線(波長λ=656.27nm)に対する屈折率
vdMp:中間レンズ群GM内の最も大きいアッベ数を有する正レンズLvdMpのアッベ数
ΔPgFMP:前記中間レンズレンズ群GM内の正レンズLvdMpのΔPgF
【請求項12】
以下の条件式を満たすことを特徴とする請求項1記載の大口径比ズームレンズ。
(16)1.10 < βLW < 3.00
βLW:広角端、無限遠合焦時の前記最終レンズ群GLの横倍率
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスチルカメラ、ビデオカメラなどの撮像装置に用いる撮影レンズに好適な大口径比ズームレンズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、映画撮影用カメラなどにおいて大型の撮像素子を採用したカメラが普及している。そこで用いられるレンズとしてはフォーカシング時の画角変化を避ける傾向がありフォーカスレンズをズーム機構よりも物体側に配置するなどの工夫がなされている。しかし大型の撮像素子に対応しつつレンズの大口径比化を行うと製品サイズの小型化が課題になる。大型の撮像素子に対応し、フォーカシング時の画角変化が少なく、比較的大口径比となるズームレンズとして例えば特許文献1乃至特許文献3が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-028172 号公報
【特許文献2】特開2020-160265 号公報
【特許文献3】特開2022-123454 号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1と2は、大型の撮像素子への配慮がなされているが更なる大口径比化には課題がある。特許文献3は、大口径比化がなされているが更なる大型の撮像素子への対応には課題がある。特許文献1と2と3よりも更に大口径比化をなそうとすると光学系が大型化してしまう課題がある。
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、大型の撮像素子に対応し、フォーカシング時の画角変化を抑え、大口径比化を行いつつ、光学系の大型化を抑えた、大口径比ズームレンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明を実施の大口径比ズームレンズは、物体側から順に、負の屈折力の第1レンズ群G1、正の屈折力の第2レンズ群G2、複数のレンズ群を有する中間レンズ群GM、負の屈折力を有する最終レンズ群GLからなり、広角端から望遠端へのズーミング時には、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔は減少し、第2レンズ群G2と中間レンズ群GMの間隔は変化し、中間レンズ群GMと最終レンズ群GLの間隔は変化し、中間レンズ群GMは物体側から順に、負の屈折力のM1レンズ群GM1、正の屈折力のM2レンズ群GM2を有し、広角端から望遠端へのズーミング時にはM1レンズ群GM1とM2レンズ群GM2の間隔は変化し、開口絞りは中間レンズ群GMに隣接、もしくは中間レンズ群GM内に有し、第1レンズ群G1は物体側から順に、負の屈折力の第1aレンズ群G1a、負の屈折力の第1bレンズ群G1bを有し、無限遠から近距離へのフォーカシング時には、第1bレンズ群G1bが物体側に移動し、以下の条件式を満たすことを特徴とする。
(1)0.10 < Δ1ab/SD1 < 0.90
Δ1ab:無限遠合焦時の第1aレンズ群G1aの最も像側の面の最大有効光線高の位置と第1bレンズ群G1bの最も物体側の面の最大有効光線高での位置において光軸に平行な距離
SD1:第1レンズ群G1の最大有効光線高
【0007】
また、本発明を実施の大口径比ズームレンズでは、無限遠から近距離へのフォーカシング時には、第1bレンズ群G1b群以外は像面に対して固定としてもよい。
【0008】
また、本発明を実施の大口径比ズームレンズでは、広角端から望遠端へのズーミング時には、最終レンズ群GLは像面に対して固定としてもよい。
【0009】
また、本発明を実施の大口径比ズームレンズでは、第1aレンズ群G1aは、少なくとも1枚の正の屈折力のレンズL1apを有し、第1bレンズ群G1bは、物体側に凹面を向けた負の屈折力のレンズL1bmを有してもよい。
【0010】
また、本発明を実施の大口径比ズームレンズでは、以下の条件式を満たしてもよい。
(2)0.10 < d12W/LTW < 0.30
d12W:広角端、無限遠合焦時の第1レンズ群G1の最も像側の面と第2レンズ群G2の最も物体側の面の光軸上の距離
LTW:広角端、無限遠合焦時の最も物体側の面から像面までの光軸上の距離
【0011】
また、本発明を実施の大口径比ズームレンズでは、以下の条件式を満たしてもよい。
(3)0.05 < d2MT/LTT < 0.35
d2MT:望遠端、無限遠合焦時の第2レンズ群G2の最も像側の面と中間レンズ群GMの最も物体側の面の光軸上の距離
LTT:望遠端、無限遠合焦時の最も物体側の面から像面までの光軸上の距離
【0012】
また、本発明を実施の大口径比ズームレンズでは、以下の条件式を満たしてもよい。
(4)4.50 < (LTW*SD1)/(Ymax^2) < 60.0
LTW:広角端、無限遠合焦時の最も物体側の面から像面までの光軸上の距離
SD1:第1レンズ群G1の最大有効光線高
Ymax:最大像高
【0013】
また、本発明を実施の大口径比ズームレンズでは、以下の条件式を満たしてもよい。
(5)0.01 < f1b/f1a < 4.50
f1b:第1bレンズ群G1bの焦点距離
f1a:第1aレンズ群G1aの焦点距離
【0014】
また、本発明を実施の大口径比ズームレンズでは、以下の条件式を満たしてもよい。
(6)0.25 < FnohT/Ymax < 1.40
FnohT:望遠端、無限遠合焦時の開口絞りの高さ
Ymax:最大像高
【0015】
また、本発明を実施の大口径比ズームレンズでは、以下の条件式を満たしてもよい。
(7)0.05 < f1b/f1 < 5.70
(8)-10.0 < f1/fW < -0.50
(9)0.20 < f2/fT < 1.30
(10)0.10 < fMLT/fT < 9.50
(11)-50.0 < fL/fT < -0.01
f1b:第1bレンズ群G1bの焦点距離
f1:無限遠合焦時の第1レンズ群G1の焦点距離
fW:広角端、無限遠合焦時の全レンズ系の焦点距離
f2:第2レンズ群G2の焦点距離
fT:望遠端、無限遠合焦時の全レンズ系の焦点距離
fMLT:望遠端での中間レンズ群GMから最終レンズ群GLまでの合成焦点距離
fL:最終レンズ群GLの焦点距離
【0016】
また、本発明を実施の大口径比ズームレンズでは、以下の条件式を満たしてもよい。
(12)55.0 < vd2p
(13)0.005 < ΔPgF2p
(14)60.0 < vdM2p
(15)0.015 < ΔPgFM2p
vd2p:第2レンズ群G2内の最も大きいアッベ数を有する正レンズLvd2pのアッベ数
ΔPgF2P:第2レンズ群G2内の正レンズLvd2pのΔPgF
ここで、
ΔPgF:g、F線間での異常分散性であり、以下の式で表される。
ΔPgF=PgF-0.64833+0.00180νd
PgF=(ng-nF)/(nF-nC):g、F線間における部分分散比
ng:g線(波長λ=435.84nm)に対する屈折率
nF:F線(波長λ=486.13nm)に対する屈折率
nC:C線(波長λ=656.27nm)に対する屈折率
vdMp:中間レンズ群GM内の最も大きいアッベ数を有する正レンズLvdMpのアッベ数
ΔPgFMP:中間レンズレンズ群GM内の正レンズLvdMpのΔPgF
【0017】
また、本発明を実施の大口径比ズームレンズでは、以下の条件式を満たしてもよい。
(16)1.10 < βLW < 3.00
βLW:広角端、無限遠合焦時の最終レンズ群GLの横倍率
【発明の効果】
【0018】
本発明を実施の大口径比ズームレンズによれば、大型の撮像素子に対応し、フォーカシング時の画角変化を抑え、大口径比化を行いつつ、光学系の大型化を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の大口径比ズームレンズの実施例1に係るレンズ構成図である。
【
図2】実施例1の大口径比ズームレンズの広角端、撮影距離無限遠における縦収差図である。
【
図3】実施例1の大口径比ズームレンズの望遠端、撮影距離無限遠における縦収差図である。
【
図4】実施例1の大口径比ズームレンズの広角端、撮影距離無限遠における横収差図である。
【
図5】実施例1の大口径比ズームレンズの望遠端、撮影距離無限遠における横収差図である。
【
図6】本発明の大口径比ズームレンズの実施例2に係るレンズ構成図である。
【
図7】実施例2の大口径比ズームレンズの広角端、撮影距離無限遠における縦収差図である。
【
図8】実施例2の大口径比ズームレンズの望遠端、撮影距離無限遠における縦収差図である。
【
図9】実施例2の大口径比ズームレンズの広角端、撮影距離無限遠における横収差図である。
【
図10】実施例2の大口径比ズームレンズの望遠端、撮影距離無限遠における横収差図である。
【
図11】本発明の大口径比ズームレンズの実施例3に係るレンズ構成図である。
【
図12】実施例3の大口径比ズームレンズの広角端、撮影距離無限遠における縦収差図である。
【
図13】実施例3の大口径比ズームレンズの望遠端、撮影距離無限遠における縦収差図である。
【
図14】実施例3の大口径比ズームレンズの広角端、撮影距離無限遠における横収差図である。
【
図15】実施例3の大口径比ズームレンズの望遠端、撮影距離無限遠における横収差図である。
【
図16】本発明の大口径比ズームレンズの実施例4に係るレンズ構成図である。
【
図17】実施例4の大口径比ズームレンズの広角端、撮影距離無限遠における縦収差図である。
【
図18】実施例4の大口径比ズームレンズの望遠端、撮影距離無限遠における縦収差図である。
【
図19】実施例4の大口径比ズームレンズの広角端、撮影距離無限遠における横収差図である。
【
図20】実施例4の大口径比ズームレンズの望遠端、撮影距離無限遠における横収差図である。
【
図21】本発明の大口径比ズームレンズの実施例5に係るレンズ構成図である。
【
図22】実施例5の大口径比ズームレンズの広角端、撮影距離無限遠における縦収差図である。
【
図23】実施例5の大口径比ズームレンズの望遠端、撮影距離無限遠における縦収差図である。
【
図24】実施例5の大口径比ズームレンズの広角端、撮影距離無限遠における横収差図である。
【
図25】実施例5の大口径比ズームレンズの望遠端、撮影距離無限遠における横収差図である。
【
図26】本発明6大口径比ズームレンズの実施例6に係るレンズ構成図である。
【
図27】実施例6の大口径比ズームレンズの広角端、撮影距離無限遠における縦収差図である。
【
図28】実施例6の大口径比ズームレンズの望遠端、撮影距離無限遠における縦収差図である。
【
図29】実施例6の大口径比ズームレンズの広角端、撮影距離無限遠における横収差図である。
【
図30】実施例6の大口径比ズームレンズの望遠端、撮影距離無限遠における横収差図である。
【
図31】本発明の大口径比ズームレンズの実施例7に係るレンズ構成図である。
【
図32】実施例7の大口径比ズームレンズの広角端、撮影距離無限遠における縦収差図である。
【
図33】実施例7の大口径比ズームレンズの望遠端、撮影距離無限遠における縦収差図である。
【
図34】実施例7の大口径比ズームレンズの広角端、撮影距離無限遠における横収差図である。
【
図35】実施例7の大口径比ズームレンズの望遠端、撮影距離無限遠における横収差図である。
【
図36】条件式(1)に関するΔ1abについての模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の大口径比ズームレンズは、
図1、
図6、
図11、
図16、
図21、
図26、
図31に示すレンズ構成図からわかるように、物体側から順に、負の屈折力の第1レンズ群G1、正の屈折力の第2レンズ群G2、複数のレンズ群を有する中間レンズ群GM、負の屈折力を有する最終レンズ群GLからなり、広角端から望遠端へのズーミング時には、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔は減少し、第2レンズ群G2と中間レンズ群GMの間隔は変化し、中間レンズ群GMと最終レンズ群GLの間隔は変化し、中間レンズ群GMは物体側から順に、負の屈折力のM1レンズ群GM1、正の屈折力のM2レンズ群GM2を有し、広角端から望遠端へのズーミング時にはM1レンズ群GM1とM2レンズ群GM2の間隔は変化し、開口絞りは中間レンズ群GMに隣接、もしくは中間レンズ群GM内に有し、第1レンズ群G1は物体側から順に、負の屈折力の第1aレンズ群G1a、負の屈折力の第1bレンズ群G1bを有し、無限遠から近距離へのフォーカシング時には、第1bレンズ群G1bが物体側に移動する構成となっている。
【0021】
前述する構成をとる理由を記載する。全系の収差補正を良好に行うためにレンズを適切に配置する必要がある。物体側から順に、前述のレンズ構成をとることによってズーミングを含めたレンズ全系の大型化を抑制することができる。
【0022】
また、第1レンズ群G1から中間レンズ群GMにかけてのレンズ配置とズーミングの構成は大口径比化と収差補正の両立を担い、負の屈折力を有する最終レンズ群GLは大型の撮像素子に対応するためのイメージサークルを大きくする作用を担う。
【0023】
また、広角端では特にレトロフォーカスタイプのパワー配置のレンズ構成であり最も物体側のレンズ面から像面までの長さである光学全長が長くなりがちであるが最終レンズ群GLは負の屈折力を持つことにより光学全長を短縮する作用を担う。
【0024】
また、無限遠から近距離へのフォーカシング時には、第1bレンズ群G1b以外は像面に対して固定とすることで、フォーカシングの機構の簡略化、それに伴う製品の軽量化を行うことができる。
【0025】
また、第1bレンズ群G1bは開口絞りから離れた位置に配置されフォーカシング時の主光線の高さの変化が小さい構成をとれる事により、フォーカシング時の画角変化を少なくできる。
【0026】
また、広角端から望遠端へのズーミング時には、最終レンズ群GLは像面に対して固定とすることで、ズーミング機構の簡略化ができ、さらに製造誤差の要因を減らことができ、さらに鏡筒内へのゴミの流入防止の作用を持たせることができる。
【0027】
また、第1aレンズ群G1aは、少なくとも1枚の正の屈折力を有するレンズL1apを有することで軸外光線の色収差補正を良好にし、第1bレンズ群G1bは、物体側に凹面を向けた負レンズL1bmを有することでフォーカシング時の収差補正を良好にすることができる。
【0028】
本発明の大口径比ズームレンズは以下の条件式を満たすことが望ましい。
(1) 0.10 < Δ1ab/SD1 < 0.90
Δ1ab:無限遠合焦時の第1aレンズ群G1aの最も像側の面の最大有効光線高の位置と第1bレンズ群G1bの最も物体側の面の最大有効光線高での位置において光軸に平行な距離
SD1:第1レンズ群G1の最大有効光線高
【0029】
条件式(1)はレンズ全系の大型化の抑制とフォーカシングの好ましい条件を規定するものである。Δ1abについては
図36を参照。条件式(1)の上限を超え1a群G1aと1b群G1bのレンズ間隔が大きくなるとレンズ全系の全長の大型化の抑制が難しくなる。条件式(1)の下限を超え1a群G1aと1b群G1bのレンズ間隔が小さくなるとフォーカシングに必要な間隔が少ないため好ましくない。
【0030】
なお、上述した条件式(1)について、その下限値を0.15に、上限値を0.40に限定することがより好ましい。またさらに、その下限値を0.20に、上限値を0.35に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0031】
(2)0.10 < d12W/LTW < 0.30
d12W:広角端、無限遠合焦時の第1レンズ群G1の最も像側の面と第2レンズ群G2の最も物体側の面の光軸上の距離
LTW:広角端、無限遠合焦時の最も物体側の面から像面までの光軸上の距離
【0032】
条件式(2)はレンズ全系の大型化の抑制とズーミングの好ましい条件を規定するものである。条件式(2)の上限を超え第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔が大きくなるとレンズ全系の全長の大型化の抑制が難しくなる。条件式(2)の下限を超え第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔が小さくなると必要なズーム比を確保するための間隔が小さくなるため好ましくない。またズーム比を確保する場合は各群の屈折力を強くする必要があり収差補正が難しくなるため好ましくない。
【0033】
なお、上述した条件式(2)について、その下限値を0.14に、上限値を0.25に限定することがより好ましい。またさらに、その下限値を0.16に、上限値を0.23に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0034】
(3)0.05 < d2MT/LTT < 0.35
d2MT:望遠端、無限遠合焦時の第2レンズ群G2の最も像側の面と中間レンズ群GMの最も物体側の面の光軸上の距離
LTT:望遠端、無限遠合焦時の最も物体側の面から像面までの光軸上の距離
【0035】
条件式(3)はレンズ全系の大型化の抑制とズーミングの好ましい条件を規定するものである。条件式(3)の上限を超え第2レンズ群G2と中間レンズ群GMの間隔が大きくなるとレンズ全系の全長の大型化の抑制が難しくなる。条件式(3)の下限を超え第2レンズ群G2と中間レンズ群GMの間隔が小さくなると必要なズーム比を確保するための間隔が小さくなるため好ましくない。またズーム比を確保する場合は各群の屈折力を強くする必要があり収差補正が難しくなるため好ましくない。
【0036】
なお、上述した条件式(3)について、その下限値を0.10に、上限値を0.30に限定することがより好ましい。またさらに、その下限値を0.14に、上限値を0.26に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0037】
(4)4.50 < (LTW*SD1)/(Ymax^2) < 60.0
LTW:広角端、無限遠合焦時の最も物体側の面から像面までの光軸上の距離
SD1:第1レンズ群G1の最大有効光線高
Ymax:最大像高
【0038】
条件式(4)はレンズ全系の大型化の抑制と移動群の配置の好ましい条件を規定するものである。条件式(4)の上限を超え第1レンズ群G1のレンズ径と光学全長の積が大きくなるとレンズ全系の大型化し製品重量の軽減が難しくなる。条件式(4)の下限を超え第1レンズ群G1のレンズ径と光学全長の積が小さくなると大口径比化に必要なレンズ径の確保が難しくなり、必要なズーム比を確保するための間隔が小さくなるため好ましくない。また大口径比化やズーム比を確保する場合は各群の屈折力を強くする必要があり収差補正が難しくなるため好ましくない。
【0039】
なお、上述した条件式(4)について、その下限値を10.0に、上限値を30.0に限定することがより好ましい。またさらに、その下限値を13.0に、上限値を25.0に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0040】
(5)0.01 < f1b/f1a < 4.50
f1b:第1bレンズ群G1bの焦点距離
f1a:第1aレンズ群G1aの焦点距離
【0041】
条件式(5)はフォーカシングに関しての好ましい条件を規定するものである。条件式(5)の上限を超え第1bレンズ群G1bの屈折力が弱くなるとフォーカシングに必要な移動量が長くなりレンズ全系が大型化するため好ましくない。条件式(5)の下限を超え第1bレンズ群G1bの屈折力が強くなるとフォーカシング時の収差補正が難しくなるため好ましくない。
【0042】
なお、上述した条件式(5)について、その下限値を0.05に、上限値を3.50に限定することがより好ましい。またさらに、その下限値を0.10に、上限値を1.00に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0043】
(6)0.25 < FnohT/Ymax < 1.40
FnohT:望遠端、無限遠合焦時の開口絞り面上でのFナンバー光線の高さ
【0044】
条件式(6)は製品径に関しての好ましい条件を規定するものである。条件式(6)の上限を超え開口絞り面上でのFナンバー光線の高さが大きくなると開口絞り自身が大きくなり製品径が大型化するので好ましくない。条件式(6)の下限を超え開口絞り面上でのFナンバー光線の高さが小さくなると特に第2レンズ群G2の屈折力が強くなり球面収差をはじめとする諸収差の補正が難しくなるため好ましくない。
【0045】
なお、上述した条件式(6)について、その下限値を0.50に、上限値を1.10に限定することがより好ましい。またさらに、その下限値を0.65に、上限値を1.00に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0046】
(7)0.05 < f1b/f1 < 5.70
(8)-10.0 < f1/fW < -0.50
(9)0.20 < f2/fT < 1.30
(10)0.10 < fMLT/fT < 9.50
(11)-50.0 < fL/fT < -0.01
f1b:第1bレンズ群G1bの焦点距離
f1:無限遠合焦時の第1レンズ群G1の焦点距離
fW:広角端、無限遠合焦時の全レンズ系の焦点距離
f2:第2レンズ群G2の焦点距離
fT:望遠端、無限遠合焦時の全レンズ系の焦点距離
fMLT:望遠端、中間レンズ群GMから最終レンズ群GLまでの合成焦点距離
fL:最終レンズ群GLの焦点距離
【0047】
条件式(7)は第1bレンズ群、第1レンズ群の適切なパワー配置に関しての好ましい条件を規定するものである。条件式(7)の上限を超え第1bレンズ群G1bの屈折力が弱くなるとフォーカシングに必要な移動量が長くなりレンズ全系が大型化するため好ましくない。条件式(7)の下限を超え第1bレンズ群G1bの屈折力が強くなるとフォーカシング時の収差補正が難しくなるため好ましくない。
【0048】
なお、上述した条件式(7)について、その下限値を0.50に、上限値を3.50に限定することがより好ましい。またさらに、その下限値を1.00に、上限値を1.60に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0049】
条件式(8)は第1レンズ群G1の適切なパワー配置に関しての好ましい条件を規定するものである。条件式(8)の上限を超え第1レンズ群G1の屈折力が強くなるとFナンバー光線の跳ね上げが強くなり特に望遠端での第2レンズ群G2の大型化や、小型にするためには第2レンズ群G2の屈折力を強くすることになり球面収差をはじめとする諸収差の補正が難しなるため好ましくない。条件式(8)の下限を超え第1レンズ群G1の屈折力が弱くなるとレトロフォーカスタイプに似た作用が弱くなり第1レンズ群G1の有効光線高を下げることと軸外光線の収差補正の両立が難しく、特に非点収差の補正が難しくなるため好ましくない。また製品径を小型化しようとする場合には第1レンズ群G1での軸外マージナル光線がカットされ口径食が大きくなるため好ましくない。
【0050】
なお、上述した条件式(8)について、その下限値を-4.00に、上限値を-0.80に限定することがより好ましい。またさらに、その下限値を-2.20に、上限値を-1.10に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0051】
条件式(9)は第2レンズ群G2の適切なパワー配置に関しての好ましい条件を規定するものである。条件式(9)の上限を超え第2レンズ群G2の屈折力が弱くなるとズーミング時の移動量が増加し、中間レンズ群GMのレンズ径が大きくなり、レンズ全系の小型化が難しくなるため好ましくない。条件式(9)の下限を超え第2レンズ群G2の屈折力が強くなると球面収差をはじめとする諸収差の補正が難しくなり大口径比化と良好な収差補正の両立が難しくなる。
【0052】
なお、上述した条件式(9)について、その下限値を0.30に、上限値を1.10に限定することがより好ましい。またさらに、その下限値を0.40に、上限値を0.90に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0053】
条件式(10)は中間レンズ群GMから最終レンズ群GLまでの屈折力は大口径比化とレンズ全系の小型化のために正の屈折力を有することが望ましく、その好ましい条件を規定するものである。条件式(10)の上限を超え中間レンズ群GMから最終レンズ群GLまでの屈折力が弱くなると軸上マージナル光線の高さを下げる事が難しくなり大口径比化が難しくなるため好ましくない。条件式(10)の下限を超え中間レンズ群GMから最終レンズ群GLまでの屈折力が強くなると軸外光線が下がるためイメージサークルが狭くなり大型の撮像素子に対応できなくなるため好ましくない。
【0054】
なお、上述した条件式(10)について、その下限値を0.70に、上限値を6.00に限定することがより好ましい。またさらに、その下限値を1.20に、上限値を3.00に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0055】
条件式(11)は最終レンズ群GLの屈折力に関しての好ましい条件を規定するものである。条件式(11)の上限を超え最終レンズ群GLの屈折力が強くなると群の横倍率が強くなる。そのため収差の拡大作用が強くなり良好な収差補正が難しくなるため好ましくない。また、バックフォーカスが短くなりやすくフランジバックの確保が難しくなるため好ましくない。条件式(11)の下限を超え最終レンズ群GLの屈折力が弱くなると群の横倍率が弱くなる。そのため軸外光線が下がりイメージサークルが狭くなることで大型の撮像素子に対応できなくなるため好ましくない。また、テレフォトタイプの作用が弱くなることでレンズ全長の短縮が難しくなるため好ましくない。
【0056】
なお、上述した条件式(11)について、その下限値を-5.00に、上限値を-0.15に限定することがより好ましい。またさらに、その下限値を-1.50に、上限値を-0.30に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0057】
(12)55.0 < vd2p
(13)0.005 < ΔPgF2p
(14)60.0 < vdM2p
(15)0.015 < ΔPgFM2p
vd2p:第2レンズ群G2内の最も大きいアッベ数を有する正レンズLvd2pのアッベ数
ΔPgF2P:第2レンズ群G2内の正レンズLvd2pのΔPgF
ここで、
ΔPgFはg、F線間での異常分散性であり、以下の式で表される。
ΔPgF=PgF-0.64833+0.00180νd
PgF=(ng-nF)/(nF-nC):g、F線間における部分分散比
ng:g線(波長λ=435.84nm)に対する屈折率
nF:F線(波長λ=486.13nm)に対する屈折率
nC:C線(波長λ=656.27nm)に対する屈折率
vdMp:中間レンズ群GM内の最も大きいアッベ数を有する正レンズLvdMpのアッベ数
ΔPgFMP:中間レンズ群GM内の正レンズLvdMpのΔPgF
【0058】
条件式(12)は第2レンズ群G2内の最も大きいアッベ数を有する正レンズLvd2pのアッベ数に関して色収差補正の好ましい条件を規定するものである。条件式(12)の下限を超えアッベ数が小さくなるとズーム全域の軸上色収差の補正が難しくなるため好ましくない。
【0059】
なお、上述した条件式(12)について、その下限値を60.0に限定することがより好ましい。またさらに、その下限値を65.0に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。また、硝材の選択肢としてはアッベ数が大きいものは屈折率が低い傾向にあり、屈折率が低いと色の球面収差の補正が難しくなるため、上限値を88.0に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0060】
条件式(13)は第2レンズ群G2内の最も大きいアッベ数を有する正レンズLvd2pの異常分散性ΔPgF数に関して色収差補正の好ましい条件を規定するものである。条件式(13)の下限を超え異常分散性が小さくなるとズーム全域の軸上色収差の2次スペクトルが補正不足となり、また望遠側の倍率色収差の2次スペクトルが補正不足となるため好ましくない。
【0061】
なお、上述した条件式(13)について、その下限値を0.015に限定することがより好ましい。またさらに、その下限値を0.018に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。また、硝材の選択肢としてはΔPgFが大きいものは屈折率が低い傾向にあり、屈折率が低いと色の球面収差の補正が難しくなるため、上限値として0.045を設けることで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0062】
条件式(14)は中間レンズ群GM内の最も大きいアッベ数を有する正レンズLvdMpのアッベ数に関して色収差補正の好ましい条件を規定するものである。条件式(14)の下限を超えアッベ数が小さくなるとズーム全域の軸上色収差の補正が難しくなるため好ましくない。
【0063】
なお、上述した条件式(14)について、その下限値を65.0に限定することがより好ましい。またさらに、その下限値を70.0に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0064】
条件式(15)は中間レンズ群GM内の最も大きいアッベ数を有する正レンズLvdMpの異常分散性ΔPgF数に関して色収差補正の好ましい条件を規定するものである。条件式(15)の下限を超え異常分散性が小さくなるとズーム全域の軸上色収差と倍率色収差の2次スペクトルが補正不足となるため好ましくない。
【0065】
(16)1.10 < βLW < 3.00
βLW:広角端、無限遠合焦時の最終レンズ群GLの横倍率
【0066】
条件式(16)は最終レンズ群GLの横倍率に関しての好ましい条件を規定するものである。条件式(16)の上限を超え最終レンズ群GLの横倍率が大きくなると収差の拡大率が大きくなる、また大口径比化のためには最終レンズ群GLよりも物体側のレンズ系の更なる大口径比化を行う必要があり、良好な収差補正と全レンズ系の小型化の両立が難しくなるため好ましくない。条件式(16)の下限を超え最終レンズ群GLの横倍率が小さくなると軸外光線が下がるためイメージサークルが狭くなり大型の撮像素子に対応できなくなるため好ましくない。また光学全長を短縮する作用が弱くなるため全レンズ系の小型が難しくなる。
【0067】
なお、上述した条件式(16)について、その下限値を1.20に、上限値を2.80に限定することがより好ましい。またさらに、その下限値を1.30に、上限値を2.50に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0068】
次に、本発明の大口径比ズームレンズに係る実施例のレンズ構成について説明する。なお、以下の説明ではレンズ構成を物体側から像側の順番で記載する。
【実施例0069】
図1は、本発明の実施例1のレンズ構成図である。物体側から順に、レンズ1枚目から4枚目までが第1レンズ群G1、レンズ5枚目から9枚目が第2レンズ群G2、レンズ10枚目から15枚目が中間レンズ群GM、レンズ16枚目から18枚目までが最終レンズ群GLである。第1レンズ群G1内は、レンズ1枚目から2枚目までが第1aレンズ群G1a、レンズ3枚目から4枚目までが第1bレンズ群G1bであり、中間レンズ群GM内は、レンズ10枚目から14枚目までがM1レンズ群GM1、レンズ15枚目がM2レンズ群GM2である。
【0070】
負の屈折力の第1レンズ群G1、正の屈折力の第2レンズ群G2、中間レンズ群GM、負の屈折力を有する最終レンズ群GLからなり、広角端から望遠端へのズームジング時には、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔は減少し、第2レンズ群G2と中間レンズ群GMの間隔は増大し、中間レンズ群GMと最終レンズ群GLの間隔は増大し、中間レンズ群GMは物体側から順に、負の屈折力のM1レンズ群GM1、正の屈折力のM2レンズ群GM2を有し、広角端から望遠端へのズーミング時にはM1レンズ群GM1とM2レンズ群GM2の間隔は増大した後に減少し、最終レンズ群GLは像面に対して固定であり、開口絞りは中間レンズ群GMの物体側に隣接しズーミング時には一体で移動する。
【0071】
第1レンズ群G1は物体側から順に、負の屈折力の第1aレンズ群G1a、負の屈折力の第1bレンズ群G1bからなり、無限遠から近距離へのフォーカシング時には、第1bレンズ群G1bが物体側に移動し、第1bレンズ群G1b群以外は像面に対して固定である。
【0072】
第1aレンズ群G1aは、物体側の面が非球面であり物体側に凸面を向けた凹メニスカスレンズ、物体側に凸面を向けた凸メニスカスレンズL1apからなり、第1bレンズ群G1bは、両凹レンズL1bmと物体側に凸面を向けた凸メニスカスレンズの接合レンズからなり、第2レンズ群G2は、物体側に凸面を向けた凸メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凸レンズと両凹レンズの負の屈折力の接合レンズ、両面非球面である両凸レンズからなり、M1レンズ群GM1は両凹レンズ、両凹レンズと両凸レンズの負の屈折力の接合レンズ、物体側に凸面を向けた凹メニスカスと両凸レンズの正の屈折力の接合レンズ、からなり、M2レンズ群GM2は両面非球面であり物体側に凸面を向けた凸メニスカスレンズ、からなり最終レンズ群GLは物体側に凸面を向けた凸メニスカスレンズ、物体側に凸面を向けた凹メニスカスレンズ、像側が非球面であり物体側に凸面を向けた凹メニスカスレンズ、からなり、前記条件式において、Lvd2pは物体側から7番目のレンズであり、LvdMpは物体側から14番目のレンズである。
負の屈折力の第1レンズ群G1、正の屈折力の第2レンズ群G2、中間レンズ群GM、負の屈折力を有する最終レンズ群GLからなり、広角端から望遠端へのズームジング時には、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔は減少し、第2レンズ群G2と中間レンズ群GMの間隔は増大し、中間レンズ群GMと最終レンズ群GLの間隔は増大し、中間レンズ群GMは物体側から順に、負の屈折力のM1レンズ群GM1、正の屈折力のM2レンズ群GM2を有し、広角端から望遠端へのズーミング時にはM1レンズ群GM1とM2レンズ群GM2の間隔は減少し、最終レンズ群GLは像面に対して固定であり、開口絞りは中間レンズ群GMの物体側に隣接しズーミング時には一体で移動する。
第1レンズ群G1は物体側から順に、負の屈折力の第1aレンズ群G1a、負の屈折力の第1bレンズ群G1bからなり、無限遠から近距離へのフォーカシング時には、第1bレンズ群G1bが物体側に移動し、第1bレンズ群G1b群以外は像面に対して固定である。
第1aレンズ群G1aは、両面非球面であり物体側に凸面を向けた凹メニスカスレンズ、物体側に凸面を向けた凹メニスカスレンズと物体側に凸面を向けた凸メニスカスレンズL1apの正の屈折力の接合レンズからなり、第1bレンズ群G1bは、両凹レンズL1bmと物体側に凸を向けた凸メニスカスレンズの接合レンズからなり、第2レンズ群G2は、両面非球面である両凸レンズ、物体側に凸面を向けた凸メニスカスレンズ、両物体側に凸面を向けた凹メニスカスレンズ、両凸レンズからなり、M1レンズ群GM1は、物体側に凸面を向けた凹メニスカスレンズ、両凹レンズと両凸レンズの負の屈折力の接合レンズからなり、M2レンズ群GM2は、物体側に凹面を向けた凸メニスカスレンズと物体側に凹面を向けた凹メニスカスレンズで正の屈折力の接合レンズ、両凸レンズ、両面非球面である両凸レンズ、からなり最終レンズ群GLは、物体側に凸面を向けた凹メニスカスレンズ、物体側に凸面を向けた凸メニスカスレンズと物体側に凸面を向けた凹メニスカスレンズで負の屈折力の接合レンズ、物体側に凸面を向けた凸メニスカスレンズ、からなり、前記条件式において、Lvd2pは物体側から9番目のレンズであり、LvdMpは物体側から15番目のレンズである。