IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社吉野工業所の特許一覧

<>
  • 特開-トリガー式液体噴出器 図1
  • 特開-トリガー式液体噴出器 図2
  • 特開-トリガー式液体噴出器 図3
  • 特開-トリガー式液体噴出器 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138623
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】トリガー式液体噴出器
(51)【国際特許分類】
   B05B 11/10 20230101AFI20241002BHJP
   B05B 11/00 20230101ALI20241002BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
B05B11/10 102E
B05B11/00 102E
B05B11/10 102G
B05B11/00 102G
B65D47/34 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049199
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】小賀坂 優太
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084FB01
3E084GA04
3E084GB04
3E084KB01
3E084LB02
3E084LB08
3E084LC01
3E084LD22
3E084LD26
(57)【要約】
【課題】後方移動したトリガー部に加えられる前方付勢力の大きさを長期にわたって維持する。
【解決手段】噴出器本体2は、容器体内の液体を吸い上げる縦供給筒部10と、後方に移動可能に配設されたトリガー部21を有し、トリガー部の後方への移動によって、液体を縦供給筒部内から噴出孔4側に向けて流通させるトリガー機構20と、を備え、後方移動したトリガー部を前方に向けて付勢する付勢部材5が設けられ、付勢部材は、噴出器本体を左右方向に挟む両側に設けられた主ばね部材15と、トリガー部に設けられた補助ばね部材16と、を備え、トリガー部が後方移動したときに、主ばね部材が弾性変形し、かつ補助ばね部材が主ばね部材に当接して弾性変形する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、
前記噴出器本体に装着され、液体を噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、
前記噴出器本体は、
前記容器体内の液体を吸い上げる縦供給筒部と、
後方に移動可能に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を備え、
後方移動した前記トリガー部を前方に向けて付勢する付勢部材が設けられ、
前記付勢部材は、
前記噴出器本体を左右方向に挟む両側に設けられた主ばね部材と、
前記トリガー部に設けられた補助ばね部材と、を備え、
前記トリガー部が後方移動したときに、前記主ばね部材が弾性変形し、かつ前記補助ばね部材が前記主ばね部材に当接して弾性変形する、トリガー式液体噴出器。
【請求項2】
前記補助ばね部材は、上端部および下端部のうちのいずれか一方の端部が前記トリガー部に連結され、
前記トリガー部が後方移動したときに、前記補助ばね部材は、前記主ばね部材に当接して前記一方の端部回りに前方に向けて撓み変形する、請求項1に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項3】
前記トリガー部が後方移動したときに、前記主ばね部材は、弾性変形しつつ、前記補助ばね部材を摺動する、請求項2に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項4】
前記補助ばね部材は、前記トリガー部が後方移動したときにはじめて弾性変形する、請求項1から3のいずれか1項に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項5】
前記噴出器本体は、
前記縦供給筒部から前方に向けて延びる射出筒部と、
前記射出筒部内に前後動可能に配設されるとともに、前記射出筒部内を通じた前記縦供給筒部内と前記噴出孔との連通を遮断した蓄圧部材と、を備え、
前記蓄圧部材は、前記射出筒部内の圧力上昇時に後方に移動することで、前記射出筒部内を通して前記縦供給筒部内と前記噴出孔とを連通し、
後方移動した前記蓄圧部材を前方に向けて付勢する樹脂製の弾性体が設けられ、
前記弾性体および前記主ばね部材は、一体に形成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のトリガー式液体噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、トリガー部の前後動によって容器体内から液体を吸い上げ、噴出孔を通じて液体を噴出するトリガー式液体噴出器が知られている。一般に、トリガー式液体噴出器は、後方移動したトリガー部を前方に付勢する付勢部材を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-177630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、トリガー式液体噴出器においては、環境問題に配慮して、軽量化が図られたり、容器体内に液体を詰め替えることで繰り返し使用されたりすることがあり、後方移動したトリガー部に加えられる前方付勢力の大きさを長期にわたって維持することが求められている。
【0005】
本発明は、後方移動したトリガー部に加えられる前方付勢力の大きさを長期にわたって維持することができるトリガー式液体噴出器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るトリガー式液体噴出器は、液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、前記噴出器本体に装着され、液体を噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、前記噴出器本体は、前記容器体内の液体を吸い上げる縦供給筒部と、後方に移動可能に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を備え、後方移動した前記トリガー部を前方に向けて付勢する付勢部材が設けられ、前記付勢部材は、前記噴出器本体を左右方向に挟む両側に設けられた主ばね部材と、前記トリガー部に設けられた補助ばね部材と、を備え、前記トリガー部が後方移動したときに、前記主ばね部材が弾性変形し、かつ前記補助ばね部材が前記主ばね部材に当接して弾性変形する。
【0007】
後方移動したトリガー部を前方に向けて付勢する付勢部材が、主ばね部材と補助ばね部材とを備えているので、トリガー部を後方に牽引すると、主ばね部材および補助ばね部材の双方が弾性変形することとなり、トリガー部の牽引を解除すると、トリガー部に、主ばね部材および補助ばね部材の双方から前方付勢力が加えられることとなる。
トリガー部を後方に牽引すると、補助ばね部材が主ばね部材に当接して弾性変形するので、トリガー部の牽引を解除すると、主ばね部材および補助ばね部材が、互いの復元変形を抑止し合うこととなり、トリガー部に及ぼされる前方付勢力が増幅される。
以上より、主ばね部材に大きな負荷をかけなくても、トリガー部の牽引を解除したときに、トリガー部に前方付勢力を確実に加えることが可能になり、後方移動したトリガー部に加えられる前方付勢力の大きさを長期にわたって維持することができる。
補助ばね部材を設けることによって、主ばね部材を従来よりも軽量化、小型化しても、トリガー部を前端位置に適切に復帰させること等ができる前方付勢力を容易に確保することができる。
【0008】
前記補助ばね部材は、上端部および下端部のうちのいずれか一方の端部が前記トリガー部に連結され、前記トリガー部が後方移動したときに、前記補助ばね部材は、前記主ばね部材に当接して前記一方の端部回りに前方に向けて撓み変形してもよい。
【0009】
トリガー部が後方移動したときに、補助ばね部材が、主ばね部材に当接して前記一方の端部回りに前方に向けて撓み変形するので、主ばね部材および補助ばね部材の双方を弾性変形させながら、トリガー部を円滑に後方に移動させることができる。
【0010】
前記トリガー部が後方移動したときに、前記主ばね部材は、弾性変形しつつ、前記補助ばね部材を摺動してもよい。
【0011】
トリガー部が後方移動したときに、主ばね部材が、弾性変形しつつ補助ばね部材を摺動するので、トリガー部が後方移動したときに、補助ばね部材が主ばね部材に当接して弾性変形する構成を容易に得ることができる。
【0012】
前記補助ばね部材は、前記トリガー部が後方移動したときにはじめて弾性変形してもよい。
【0013】
補助ばね部材が、トリガー部が後方移動したときにはじめて弾性変形するので、トリガー部を後方に移動させる際にトリガー部に加える牽引力が過度に大きくなるのを防ぐことができる。
【0014】
前記噴出器本体は、前記縦供給筒部から前方に向けて延びる射出筒部と、前記射出筒部内に前後動可能に配設されるとともに、前記射出筒部内を通じた前記縦供給筒部内と前記噴出孔との連通を遮断した蓄圧部材と、を備え、前記蓄圧部材は、前記射出筒部内の圧力上昇時に後方に移動することで、前記射出筒部内を通して前記縦供給筒部内と前記噴出孔とを連通し、後方移動した前記蓄圧部材を前方に向けて付勢する樹脂製の弾性体が設けられ、前記弾性体および前記主ばね部材は、一体に形成されてもよい。
【0015】
蓄圧部材および弾性体が設けられているので、射出筒部内の圧力が所定値以上になったときに、射出筒部内を通して縦供給筒部内と噴出孔とを連通させることが可能になり、液体を所期した態様で安定して噴出することができる。
蓄圧部材が射出筒部内に設けられているため、蓄圧部材をノズル部材内に設けた場合に比べて、ノズル部材を小型化することができるうえ、構造を簡略化することができる。
蓄圧部材が射出筒部内に設けられているため、部品点数を増加させずに射出筒部の内容積を減少させることができる。これにより、トリガー部を操作したときに、射出筒部内の圧力を速やかに上昇させることができ、プライミング回数を抑えることが可能である。さらに、射出筒部の内容積が減少することで、射出筒部内に空気が残存し難くなるので、空気の残存によって生じる噴出量のばらつきや噴出孔からの液だれ等を抑制することができる。
弾性体および主ばね部材部が、一体に形成されているので、部品点数の増大を抑えることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、後方移動したトリガー部に加えられる前方付勢力の大きさを長期にわたって維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態として示したトリガー式液体噴出器の縦断面図である。
図2図1に示すトリガー式液体噴出器の、斜め前方から見た一部断面を含む斜視図である。
図3図2の一部を左右方向から見た拡大図である。
図4図3において、トリガー部を後方移動させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るトリガー式液体噴出器を説明する。
本実施形態に係るトリガー式液体噴出器1は、図1に示されるように、液体を収容する容器体Aに装着される噴出器本体2と、液体を噴出する噴出孔4が形成され、噴出器本体2に装着されたノズル部材3と、付勢部材5と、を備えている。容器体A内に収容される液体としては、例えば、住居用や食器用の洗剤、空間や衣類等に用いる消臭・芳香剤、除菌用アルコール等が挙げられる。
なお、トリガー式液体噴出器1の各構成部品は、特に記載がなければ、例えば、ポリプロピレン(PP)およびポリエチレン(PE)等のオレフィン系樹脂、ポリアセタール(POM)、またはポリケトン(POK)等の合成樹脂を用いた成形品とされている。
【0019】
噴出器本体2は、縦供給筒部10と、トリガー機構20と、射出筒部30と、切替弁40と、蓄圧部材31と、を主に備えている。
【0020】
以下の説明では、縦供給筒部10の中心軸線Oに沿った容器体A側を下側、その反対側を上側といい、中心軸線Oに沿う方向を上下方向という。上下方向から見て中心軸線Oに交差する方向を径方向といい、上下方向から見て中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。径方向のうち、噴出器本体2に対してノズル部材3が設けられている側を前側といい、その逆側を後側という。径方向のうち、前後方向に直交する方向を左右方向という。
【0021】
縦供給筒部10は、上下方向に延びる有頂筒状に形成され、容器体A内の液体を吸い上げる。縦供給筒部10は、容器体Aの口部の上端開口縁上にパッキンを介して配置されるフランジ11を備えている。フランジ11は、容器体Aの口部に装着(螺着)されるキャップ12によって上方から押え付けられる。縦供給筒部10内には、上下方向に延びるとともに容器体A内から液体を吸い上げるパイプ13の上部が嵌合している。
縦供給筒部10の前側には、シリンダ用筒部14が設けられている。シリンダ用筒部14は、縦供給筒部10から前方に向けて突出するとともに、前方に向けて開口している。
【0022】
トリガー機構20は、トリガー部21と、ピストン22と、シリンダ23と、を備えている。トリガー機構20は、トリガー部21の後方への移動によって、液体を縦供給筒部10内から噴出孔4側に向けて流通させる。
【0023】
シリンダ23は、シリンダ用筒部14内に嵌合されて固定されている。シリンダ23は、前方に開口するとともに後方が閉塞された有底筒状に形成されている。シリンダ23の後壁部には、シリンダ23内と縦供給筒部10の上端部内とを前後方向に連通する横連通路18が形成されている。
トリガー部21は、縦供給筒部10の前方に後方移動可能に配置されている。トリガー部21は、射出筒部30とノズル部材3との連結部分を左右方向に挟む両側から下方に向けて延び、ピストン22およびシリンダ23の前側を上下方向に跨いでいる。トリガー部21の上端部は、左右方向に延びる軸線回りに回転可能に支持されている。
ピストン22は、シリンダ23内に前後動可能に嵌合されている。ピストン22は、トリガー部21の前後動に連動して前後方向に移動する。シリンダ23の内部は、ピストン22の前後動に伴って加圧および減圧される。ピストン22は、後方に開口するとともに前方が閉塞された有頂筒状に形成されている。
ピストン22の前端部は、トリガー部21の後部に連結されている。ピストン22は、トリガー部21の後方移動に伴って後退してシリンダ23内に押し込まれる。
【0024】
射出筒部30は、シリンダ用筒部14の上方に配置され、縦供給筒部10の上端部から前方に向けて延びている。射出筒部30は、縦供給筒部10の頂壁43と一体に形成されている。射出筒部30と、縦供給筒部10の頂壁43と、の連結部分には、射出筒部30内と縦供給筒部10の上端部内とを上下方向に連通する縦連通路19が形成されている。
【0025】
蓄圧部材31は、射出筒部30内に前後動可能に配設されるとともに、射出筒部30内を通じた縦供給筒部10内と噴出孔4との連通を遮断する。蓄圧部材31は、前後方向に延びる棒状に形成され、射出筒部30の内周面に対して前後方向に当接することで、射出筒部30内を通じた縦供給筒部10内と噴出孔4との連通を遮断する。蓄圧部材31が、射出筒部30内の圧力上昇時に後方移動することで、射出筒部30内を通して縦供給筒部10内と噴出孔4とが連通する。
【0026】
切替弁40は、縦供給筒部10の内側に設けられている。切替弁40は、シリンダ23内の加圧および減圧に応じて、縦供給筒部10内および横連通路18を通した容器体A内とシリンダ23内との連通、およびその遮断を切替える。切替弁40は、ボール弁とされ、例えば、容器体A内の液体よりも比重の重い材質で形成されている。切替弁40は、縦供給筒部10の内周面に形成された弁座41に、上方に向けて離反可能に配置されている。弁座41は、環状に形成され、中心軸線Oと同軸に配設されている。弁座41は、縦供給筒部10の内周面から径方向の内側に向かうに従い下方に向けて延びている。切替弁40および弁座41は、横連通路18より下方に位置している。
【0027】
図示の例では、縦供給筒部10の頂壁43の下面に、下方に向けて突出する複数の弾性突起44が形成されている。弾性突起44は、周方向に間隔をあけて複数設けられている。切替弁40が、弁座41から上方に離反したときに、複数の弾性突起44を径方向の外側に向けて弾性変形させながら、複数の弾性突起44で囲まれた空間を拡げる。
【0028】
ノズル部材3は、射出筒部30の前端部に装着された中継部材3aと、中継部材3aに対して、前方への抜け止めがされた状態で回転可能に装着されたノズル本体3bと、を備えている。
中継部材3aは、前後方向に延びる筒状に形成されている。中継部材3aの後部内に、射出筒部30の前部が嵌合されている。中継部材3aの前部は、射出筒部30から前方に突出している。
ノズル本体3bは、前方が閉塞された有頂筒状に形成されている。ノズル本体3bの前端部に、液体を前方に向けて噴出する噴出孔4が形成されている。
【0029】
付勢部材5は、後方移動したトリガー部21を前方に向けて付勢する。付勢部材5は、図2および図3に示されるように、主ばね部材15と、補助ばね部材16と、を備えている。主ばね部材15および補助ばね部材16は、合成樹脂で形成されている。
【0030】
主ばね部材15は、噴出器本体2を左右方向に挟む両側に設けられている。主ばね部材15は、トリガー部21が後方移動したときに弾性変形する。主ばね部材15は、トリガー部21が後方移動する前からトリガー部21を前方に付勢している。
なお、主ばね部材15は、トリガー部21が後方移動したときにはじめて弾性変形し、トリガー部21を前方に付勢してもよい。
【0031】
主ばね部材15は、前後方向に延び、かつ表裏面が左右方向を向く板状に形成されている。主ばね部材15の前端部は、トリガー部21にトリガー部21の後方から当接している。主ばね部材15の前端部は、トリガー部21のうち、後方を向く後面21bにおける左右方向の両端部に当接している。主ばね部材15のうち、上方を向く上端面15cと、前方を向く前端面15dと、の連結部分15bが、トリガー部21に当接している。
【0032】
主ばね部材15の後部は、前後方向に真直ぐ延びている。主ばね部材15の前部は、前方に向かうに従い下方に向けて延びている。主ばね部材15において、後部と前部との接続部分15aは、左右方向から見て、上方に向けて突となるように湾曲している。主ばね部材15は、噴出器本体2の上端面より下方に位置している。主ばね部材15の前端面15dは、前方を向く斜め下方を向いている。主ばね部材15の前部の上端面15cは、上方を向く斜め前方を向いている。
トリガー部21が後方移動したときに、主ばね部材15のうち、前部が、接続部分15a回りに後方に向けて撓み変形する。
【0033】
補助ばね部材16は、トリガー部21に設けられている。補助ばね部材16は、トリガー部21が後方移動したときに、主ばね部材15に当接して弾性変形する。補助ばね部材16は、トリガー部21が後方移動したときにはじめて弾性変形する。補助ばね部材16は、トリガー部21が後方移動する前には弾性変形していない。
なお、補助ばね部材16は、トリガー部21が後方移動する前から、主ばね部材15に当接して弾性変形していてもよい。
【0034】
補助ばね部材16は、表裏面が前後方向を向く板状に形成されるとともに、上端部および下端部のうちのいずれか一方の端部がトリガー部21に連結されている。補助ばね部材16および主ばね部材15は、それぞれの表裏面が互いに交差する方向に向けられた状態で設けられている。補助ばね部材16の長さは、主ばね部材15の前部の長さより短くなっている。
トリガー部21が後方移動したときに、図4に示されるように、補助ばね部材16は、主ばね部材15に当接して前記一方の端部回りに前方に向けて撓み変形する。この際、主ばね部材15は、弾性変形しつつ、補助ばね部材16を摺動する。
【0035】
ここで、トリガー部21における左右方向の両端部には、前後方向に貫く貫通孔21aが各別に形成されている。補助ばね部材16は、貫通孔21a内に設けられている。本実施形態では、補助ばね部材16の下端部が、貫通孔21aの内周面に連結されている。なお、補助ばね部材16の上端部が、貫通孔21aの内周面に連結されてもよい。
【0036】
補助ばね部材16のうちの前方を向く前面は、図3に示されるように、左右方向から見て、上方に向かうに従い、トリガー部21の後面21bから後方に離れる向きに延びている。補助ばね部材16の上端部は、貫通孔21aの上端部より下方に位置している。補助ばね部材16の上端部は、貫通孔21aの上端部より後方に位置している。トリガー部21の後面21bにおける貫通孔21aの開口周縁部の上端部に、主ばね部材15の連結部分15bが当接している。
【0037】
補助ばね部材16の上端部は、主ばね部材15の前端面15dに当接、若しくは近接している。補助ばね部材16のうちの後方を向く後面16aの上端部と、主ばね部材15の前端面15dと、は、左右方向から見て鋭角をなしている。補助ばね部材16の後面16aの上端部は、上方に向かうに従い、補助ばね部材16の厚さが薄くなる向きに延びている。補助ばね部材16の後面16aの上端部は、左右方向から見て、後方に向けて突の曲線状を呈する。補助ばね部材16の上端部は、トリガー部21とピストン22との連結部分に対して、前方で、かつ上下方向の同等の位置に位置している。
【0038】
一対の主ばね部材15の後端部同士は、閉塞部35により左右方向に連結されている。閉塞部35は、前方に開口するとともに後方が閉塞された有底筒状に形成されている。閉塞部35、および主ばね部材15の後端部それぞれの上下方向の中央部は、互いに一致している。閉塞部35は、射出筒部30の後端部内に嵌合され、射出筒部30の後端開口を閉塞している。閉塞部35の後端部には、前方に向けて突出し、後方移動した蓄圧部材31を前方に向けて付勢する樹脂製の弾性体33が設けられている。弾性体33、閉塞部35および主ばね部材15は、同一の材質(例えばポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂、ポリアセタール(POM)、またはポリケトン(POK))で一体に形成されている。
【0039】
弾性体33の前端部は、蓄圧部材31の後端部に当接している。射出筒部30のうち、縦連通路19が開口する後端部内の圧力が所定値を超えたときに、蓄圧部材31が、弾性体33を弾性変形させながら後方に移動することで、射出筒部30内を通して縦供給筒部10内と噴出孔4とが連通する。
【0040】
主ばね部材15の後部の下端面に、下方に向けて突出し、前後方向に延びるフック部34が形成されている。フック部34は、表裏面が左右方向を向く板状に形成されている。フック部34の前端部には、下方に向けて突出する爪部36が形成されている。爪部36のうち、後方を向く後端縁は、上下方向に真直ぐ延び、前方を向く前端縁36bは、下方に向かうに従い後方に向けて延びている。フック部34は、噴出器本体2の外面に設けられた係止溝2aに係止されている。係止溝2aは、上方および前後方向に開口している。係止溝2aの溝底面のうち、前部は、前後方向に真直ぐ延び、後部は、後方に向かうに従い下方に向けて延びている。爪部36は、爪部36の前端縁36bを係止溝2aの溝底面に摺接させることで、係止溝2aを前方に乗越え可能となっている。
【0041】
次に、上述のように構成されたトリガー式液体噴出器1を使用する場合について説明する。なお、前提として、トリガー式液体噴出器1の各部内に液体が充填されているものとする。
【0042】
トリガー部21を後方に牽引すると、ピストン22が後方に移動し、シリンダ23内が加圧される。この際、シリンダ23内の液体が、横連通路18を通して縦供給筒部10の上端部内に流入するとともに、この液体によって切替弁40が弁座41に押し付けられることで、横連通路18を通したシリンダ23内と容器体A内との連通が遮断される。これにより、縦供給筒部10の上端部内に流入した液体が、縦連通路19を通して射出筒部30の後端部内に供給され、この部分の内圧が上昇して所定値を超えたときに、蓄圧部材31が、弾性体33を弾性変形させながら後方に移動することで、射出筒部30内を通して縦供給筒部10内と噴出孔4とが連通し、液体が噴出孔4から噴出される。
【0043】
トリガー部21を後方に牽引したときに、図4に示されるように、主ばね部材15のうち、上方を向く上端面15cと、前方を向く前端面15dと、の連結部分15bが、補助ばね部材16の後面16aを下方に向けて摺動しつつ、主ばね部材15の前部が、後部との接続部分15a回りに後方に向けて撓む。この際、補助ばね部材16は、補助ばね部材16の下端部回りに前方に向けて撓む。これにより、主ばね部材15および補助ばね部材16には、互いに逆向きの前後方向の弾性復元力が生ずる。
【0044】
その後、トリガー部21が付勢部材5によって前方に復元移動すると、トリガー部21に連動して、ピストン22がシリンダ23内で前方に向けて復元移動する。この際、シリンダ23内が減圧され、容器体A内の圧力よりも低い圧力になり、切替弁40が弁座41から上方に離反する。これにより、容器体A内の液体が、縦供給筒部10内および横連通路18を通してシリンダ23内に供給される。
ここで、弁座41から上方に離反した切替弁40は、複数の弾性突起44を径方向の外側に向けて弾性変形させながら、複数の弾性突起44で囲まれた空間を拡げる。シリンダ23内の減圧が解除されると、切替弁40との接触によって弾性変形していた弾性突起44が復元変形し、切替弁40が下方に押し返される。これにより、切替弁40が、下方に向けて付勢され、縦供給筒部10の内面に張り付くことなく弁座41に着座する。
【0045】
以上説明したように、本実施形態によるトリガー式液体噴出器1によれば、後方移動したトリガー部21を前方に向けて付勢する付勢部材5が、主ばね部材15と補助ばね部材16とを備えているので、トリガー部21を後方に牽引すると、主ばね部材15および補助ばね部材16の双方が弾性変形することとなり、トリガー部21の牽引を解除すると、トリガー部21に、主ばね部材15および補助ばね部材16の双方から前方付勢力が加えられることとなる。
トリガー部21を後方に牽引すると、補助ばね部材16が主ばね部材15に当接して弾性変形するので、トリガー部21の牽引を解除すると、主ばね部材15および補助ばね部材16が、互いの復元変形を抑止し合うこととなり、トリガー部21に及ぼされる前方付勢力が増幅される。
【0046】
以上より、主ばね部材15に大きな負荷をかけなくても、トリガー部21の牽引を解除したときに、トリガー部21に前方付勢力を確実に加えることが可能になり、後方移動したトリガー部21に加えられる前方付勢力の大きさを長期にわたって維持することができる。
補助ばね部材16を設けることによって、主ばね部材15を従来よりも軽量化、小型化しても、トリガー部21を前端位置に適切に復帰させること等ができる前方付勢力を容易に確保することができる。
【0047】
トリガー部21が後方移動したときに、補助ばね部材16が、主ばね部材15に当接して下端部回りに前方に向けて撓み変形するので、主ばね部材15および補助ばね部材16の双方を弾性変形させながら、トリガー部21を円滑に後方に移動させることができる。
【0048】
トリガー部21が後方移動したときに、主ばね部材15が、弾性変形しつつ補助ばね部材16を摺動するので、トリガー部21が後方移動したときに、補助ばね部材16が主ばね部材15に当接して弾性変形する構成を容易に得ることができる。
【0049】
補助ばね部材16が、トリガー部21が後方移動したときにはじめて弾性変形するので、トリガー部21を後方に移動させる際にトリガー部21に加える牽引力が過度に大きくなるのを防ぐことができる。
【0050】
蓄圧部材31および弾性体33が設けられているので、射出筒部30内の圧力が所定値以上になったときに、射出筒部30内を通して縦供給筒部10内と噴出孔4とを連通させることが可能になり、液体を所期した態様で安定して噴出することができる。
蓄圧部材31が射出筒部30内に設けられているため、蓄圧部材31をノズル部材3内に設けた場合に比べて、ノズル部材3を小型化することができるうえ、構造を簡略化することができる。
蓄圧部材31が射出筒部30内に設けられているため、部品点数を増加させずに射出筒部30の内容積を減少させることができる。これにより、トリガー部21を操作したときに、射出筒部30内の圧力を速やかに上昇させることができ、プライミング回数を抑えることが可能である。さらに、射出筒部30の内容積が減少することで、射出筒部30内に空気が残存し難くなるので、空気の残存によって生じる噴出量のばらつきや噴出孔4からの液だれ等を抑制することができる。
弾性体33および主ばね部材15が、一体に形成されているので、部品点数の増大を抑えることができる。
【0051】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0052】
例えば、蓄圧部材31、弾性体33、および弾性突起44は設けなくてもよい。
【0053】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記実施形態および前記変形例を適宜組み合わせてもよい。
【0054】
本発明の態様は、例えば以下の通りである。
<1>
液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、
前記噴出器本体に装着され、液体を噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、
前記噴出器本体は、
前記容器体内の液体を吸い上げる縦供給筒部と、
後方に移動可能に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を備え、
後方移動した前記トリガー部を前方に向けて付勢する付勢部材が設けられ、
前記付勢部材は、
前記噴出器本体を左右方向に挟む両側に設けられた主ばね部材と、
前記トリガー部に設けられた補助ばね部材と、を備え、
前記トリガー部が後方移動したときに、前記主ばね部材が弾性変形し、かつ前記補助ばね部材が前記主ばね部材に当接して弾性変形する、トリガー式液体噴出器。
<2>
前記補助ばね部材は、上端部および下端部のうちのいずれか一方の端部が前記トリガー部に連結され、
前記トリガー部が後方移動したときに、前記補助ばね部材は、前記主ばね部材に当接して前記一方の端部回りに前方に向けて撓み変形する、前記<1>に記載のトリガー式液体噴出器。
<3>
前記トリガー部が後方移動したときに、前記主ばね部材は、弾性変形しつつ、前記補助ばね部材を摺動する、前記<2>に記載のトリガー式液体噴出器。
<4>
前記補助ばね部材は、前記トリガー部が後方移動したときにはじめて弾性変形する、前記<1>から<3>のいずれか1つに記載のトリガー式液体噴出器。
<5>
前記噴出器本体は、
前記縦供給筒部から前方に向けて延びる射出筒部と、
前記射出筒部内に前後動可能に配設されるとともに、前記射出筒部内を通じた前記縦供給筒部内と前記噴出孔との連通を遮断した蓄圧部材と、を備え、
前記蓄圧部材は、前記射出筒部内の圧力上昇時に後方に移動することで、前記射出筒部内を通して前記縦供給筒部内と前記噴出孔とを連通し、
後方移動した前記蓄圧部材を前方に向けて付勢する樹脂製の弾性体が設けられ、
前記弾性体および前記主ばね部材は、一体に形成されている、前記<1>から<4>のいずれか1つに記載のトリガー式液体噴出器。
【符号の説明】
【0055】
1 トリガー式液体噴出器
2 噴出器本体
3 ノズル部材
4 噴出孔
5 付勢部材
10 縦供給筒部
15 主ばね部材
16 補助ばね部材
20 トリガー機構
21 トリガー部
30 射出筒部
31 蓄圧部材
33 弾性体
A 容器体
図1
図2
図3
図4