(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138633
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】シート処理装置、および該装置を備えた画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 37/04 20060101AFI20241002BHJP
B65H 31/30 20060101ALI20241002BHJP
B65H 31/02 20060101ALI20241002BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20241002BHJP
B65H 43/00 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
B65H37/04 D
B65H31/30
B65H31/02
G03G15/00 460
B65H43/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】34
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049217
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】雨宮 咲耶香
(72)【発明者】
【氏名】坂本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】萱森 修
【テーマコード(参考)】
2H072
3F048
3F054
3F108
【Fターム(参考)】
2H072AA09
2H072AA17
2H072GA07
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA23
3F048BB02
3F048BB08
3F048CC01
3F048EA01
3F048EB38
3F048EB40
3F054AA01
3F054AC01
3F054BA04
3F054BB01
3F054BH03
3F054BH04
3F054BJ04
3F054CA03
3F054CA05
3F054CA06
3F054DA01
3F054DA16
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA11
3F108HA32
(57)【要約】
【課題】綴じ処理やシフト処理を施されたシート束を積載部に向けて排出する際に生じ得るシート束の排出不良によるシート束に混入を未然に防止する。
【解決手段】束排出ローラを正転させて、シート束が処理トレイから下排出トレイに排出される目論見時間の経過後、束排出ローラを逆転させ、シート束の排出に失敗した場合には、処理トレイ内に再度送り込まれたシート束を検出する。これにより、次シートが処理トレイに搬入されるまでに、先行するシート束の排出成否を検出することで、シートの乱丁や落丁、混入等のシート束形成不良等の発生可能性を低下させる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが搬送される搬送経路と、
前記搬送経路に沿った搬送方向に前記シートを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送されるシートを集積してシート束を形成する集積部と、
前記集積部で形成される前記シート束の前記搬送方向における上流端と当接することにより、前記シート束の前記上流端を揃える当接部と、
前記当接部により前記上流端を揃えられたシート束に綴じ処理を施す処理手段と、
前記処理手段により前記綴じ処理を施された処理済シート束を前記集積部から排出する排出方向と、前記上流端を揃えられたシート束を形成するために前記搬送手段により前記集積部に搬送されたシートを前記当接部へと掻き込む掻き込み方向と、に駆動される排出手段と、
前記排出手段により前記集積部から排出される前記処理済シート束を受けて積載する積載部と、
前記排出手段を前記排出方向または前記掻き込み方向に駆動する駆動手段と、
前記処理済シート束が前記集積部に存在することを検知する検知手段と、
前記処理済シート束を前記集積部から排出するのに要する以上に前記駆動手段が前記排出手段を前記排出方向に駆動した後、前記駆動手段が前記排出手段を前記掻き込み方向に駆動するシート束掻き込み処理を実施することにより、前記検知手段が前記処理済シート束を検知しない無検知状態から、前記処理済シート束を検知する検知状態になった場合、前記処理手段は、前記検知状態となった後の前記綴じ処理を禁止するシート処理装置。
【請求項2】
前記シート束掻き込み処理を実施するか否かを選択する選択手段を備える、請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施するか否かを決定するために、前記処理済シート束を構成するシートの枚数が基準枚数以上であるか否かを認識する基準枚数認識手段、を更に備え、
前記処理済シート束を構成するシートの枚数が前記基準枚数以上であることを前記基準枚数認識手段が認識した場合、前記排出手段は、前記シート束掻き込み処理を実施する、請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施するか否かを決定するために、前記処理済シート束を構成するシートの坪量が基準値以上であるか否かを認識する坪量認識手段を更に備え、
前記処理済シート束を構成するシートの坪量が前記基準値以上であることを前記坪量認識手段が認識した場合、前記排出手段は、前記シート束掻き込み処理を実施する、請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項5】
前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施するか否かを決定するために、前記処理済シート束を構成するシートの中にコート紙が表紙として使用されているか否かを認識するコート紙認識手段、を更に備え、
前記処理済シート束を構成するシートの中にコート紙が表紙として使用されていることを前記コート紙認識手段が認識した場合、前記排出手段は、前記シート束掻き込み処理を実施する、請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項6】
前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施するか否かを決定するために、前記排出手段が前記処理済シート束を排出した距離若しくは前記排出手段が前記処理済シート束を排出した回数が基準値以上であるか否かを認識する劣化認識手段、を更に備え、
前記排出手段が前記処理済シート束を排出した距離若しくは前記排出手段が前記処理済シート束を排出した回数が前記基準値以上であることを前記劣化認識手段が認識した場合、前記排出手段は、前記シート束掻き込み処理を実施する、請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項7】
前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する処理時間を調整するために、前記処理済シート束を構成するシートの枚数が調整枚数以上であるか否かを認識する調整枚数認識手段を、更に備え、
前記処理済シート束を構成するシートの枚数が前記調整枚数以上であることを前記調整枚数認識手段が認識した場合、前記処理済シート束を構成するシートの枚数が前記調整枚数未満であることを前記調整枚数認識手段が認識した場合よりも、前記排出手段は、前記シート束掻き込み処理を実施する処理時間を長くする、請求項1乃至請求項6の何れかの項に記載のシート処理装置。
【請求項8】
前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する処理時間を調整するために、前記処理済シート束を構成するシートの坪量が調整値以上であるか否かを認識する調整坪量認識手段、を更に備え、
前記処理済シート束を構成するシートの坪量が前記調整値以上であることを前記調整坪量認識手段が認識した場合、前記処理済シート束を構成するシートの坪量が前記調整値未満であることを前記調整坪量認識手段が認識した場合よりも、前記排出手段は、前記シート束掻き込み処理を実施する処理時間を長くする、請求項1乃至請求項6の何れかの項に記載のシート処理装置。
【請求項9】
前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する処理時間を調整するために、前記処理済シート束を構成するシートの前記搬送方向における長さが調整値以上であるか否かを認識するシート長認識手段、を更に備え、
前記処理済シート束を構成するシートの前記搬送方向における長さが前記調整値以上であることを前記シート長認識手段が認識した場合、前記処理済シート束を構成するシートの前記搬送方向における長さが前記調整値未満であることを前記シート長認識手段が認識した場合よりも、前記排出手段は、前記シート束掻き込み処理を実施する処理時間を長くする、請求項1乃至請求項6の何れかの項に記載のシート処理装置。
【請求項10】
前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する処理時間を調整するために、前記処理済シート束を構成するシートの中にコート紙が表紙として使用されているか否かを認識するコート紙認識手段、を更に備え、
前記処理済シート束を構成するシートの中にコート紙が表紙として使用されていることを前記コート紙認識手段が認識した場合、前記処理済シート束を構成するシートの中にコート紙が表紙として使用されていることを前記コート紙認識手段が認識しない場合よりも、前記排出手段は、前記シート束掻き込み処理を実施する処理時間を長くする、請求項1乃至請求項4及び請求項6の何れかの項に記載のシート処理装置。
【請求項11】
前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施するか否かを決定するために、前記排出手段が前記処理済シート束を排出した距離若しくは前記排出手段が前記処理済シート束を排出した回数が調整値以上であるか否かを認識する劣化認識手段、を更に備え、
前記排出手段が前記処理済シート束を排出した距離若しくは前記排出手段が前記処理済シート束を排出した回数が前記調整値以上であることを前記劣化認識手段が認識した場合においては、前記排出手段が前記処理済シート束を排出した距離若しくは前記排出手段が前記処理済シート束を排出した回数が前記調整値未満であることを前記劣化認識手段が認識した場合よりも、前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する処理時間を長くする、請求項1乃至請求項5の何れかの項に記載のシート処理装置。
【請求項12】
前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する際の掻き込み速度を調整するために、前記処理済シート束を構成するシートの枚数が調整枚数以上であるか否かを認識する調整枚数認識手段、を更に備え、
前記処理済シート束を構成するシートの枚数が前記調整枚数未満であることを前記調整枚数認識手段が認識した場合においては、前記処理済シート束を構成するシートの枚数が前記調整枚数以上であることを前記調整枚数認識手段が認識した場合よりも、前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する際の掻き込み速度を高くする、請求項1乃至請求項6の何れかの項に記載のシート処理装置。
【請求項13】
前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する際の掻き込み速度を調整するために、前記処理済シート束を構成するシートの坪量が調整値以上であるか否かを認識する調整坪量認識手段、を更に備え、
前記処理済シート束を構成するシートの坪量が前記調整値未満であることを前記調整坪量認識手段が認識した場合においては、前記処理済シート束を構成するシートの坪量が前記調整値以上であることを前記調整坪量認識手段が認識した場合よりも、前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する際の掻き込み速度を高くする、請求項1乃至請求項6の何れかの項に記載のシート処理装置。
【請求項14】
前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する処理時間を調整するために、前記処理済シート束を構成するシートの前記搬送方向における長さが調整値以上であるか否かを認識するシート長認識手段、を更に備え、
前記処理済シート束を構成するシートの前記搬送方向における長さが前記調整値未満であることを前記シート長認識手段が認識した場合においては、前記処理済シート束を構成するシートの前記搬送方向における長さが前記調整値以上であることを前記シート長認識手段が認識した場合よりも、前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する際の掻き込み速度を高くする、請求項1乃至請求項6の何れかの項に記載のシート処理装置。
【請求項15】
前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する際の掻き込み速度を調整するために、前記処理済シート束を構成するシートの中にコート紙が表紙として使用されているか否かを認識するコート紙認識手段、を更に備え、
前記処理済シート束を構成するシートの中にコート紙が表紙として使用されていることを前記コート紙認識手段が認識しない場合においては、前記処理済シート束を構成するシートの中にコート紙が表紙として使用されていることを前記コート紙認識手段が認識した場合よりも、前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する際の掻き込み速度を高くする、請求項1乃至請求項4及び請求項6の何れかの項に記載のシート処理装置。
【請求項16】
前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施するか否かを決定するために、前記排出手段が前記処理済シート束を排出した距離若しくは前記排出手段が前記処理済シート束を排出した回数が基準値以上であるか否かを認識する劣化認識手段、を更に備え、
前記排出手段が前記処理済シート束を排出した距離若しくは前記排出手段が前記処理済シート束を排出した回数が前記基準値未満であることを前記劣化認識手段が認識した場合においては、前記排出手段が前記処理済シート束を排出した距離若しくは前記排出手段が前記処理済シート束を排出した回数が前記基準値以上であることを前記劣化認識手段が認識した場合よりも、前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する際の掻き込み速度を高くする、請求項1乃至請求項5の何れかの項に記載のシート処理装置。
【請求項17】
シートに画像を形成する画像形成装置と、
前記請求項1乃至6の何れかの項に記載のシート処理装置と、
を備えた画像形成システム。
【請求項18】
シートが搬送される搬送経路と、
前記搬送経路に沿った搬送方向に前記シートを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送されるシートを集積してシート束を形成する集積部と、
前記集積部で形成される前記シート束の前記搬送方向における上流端と当接することにより、前記シート束の前記上流端を揃える上流端当接部と、
前記集積部で形成される前記シート束の前記搬送方向に沿った側端と当接することにより、前記搬送方向と直交し且つ前記シート束を構成するシートの面に沿った幅方向における第1位置と、前記幅方向において前記第1位置とは異なる第2の位置において前記シート束の上記側端を揃える側端当接部と、
前記上流端当接部及び前記側端当接部により、前記第1位置において前記上流端及び前記側端を揃えられた第1シート束と、前記上流端当接部及び前記側端当接部により、前記第2の位置において前記上流端及び前記側端を揃えられた第2シート束とを交互に前記集積部から排出する仕分け処理を実施すると共に、前記仕分け処理において前記第1シート束と前記第2シート束を前記集積部から排出する排出方向と、前記第1シート束と前記第2シート束を形成するために前記搬送手段により前記集積部に搬送された各シートを前記上流端当接部へと掻き込む掻き込み方向と、に駆動される排出手段と、
前記排出手段により前記仕分け処理された前記第1シート束と前記第2シート束を受け、前記幅方向において位置が異なる前記第1シート束と前記第2シート束を交互に積載する積載部と、
前記排出手段を前記排出方向及び前記掻き込み方向に駆動する駆動手段と、
前記第1シート束が前記集積部に存在すること及び前記第2シート束が前記集積部に存在することを各々検知する検知手段と、
前記第1シート束と前記第2シート束を各々前記集積部から前記積載部に排出するのに要する以上に前記駆動手段が前記排出手段を前記排出方向に駆動した後、前記駆動手段が前記排出手段を前記掻き込み方向に駆動するシート束掻き込み処理を実施することにより、前記検知手段が前記第1シート束と前記第2シート束を各々検知していない無検知状態から、前記第1シート束と前記第2シート束を各々検知する検知状態になった場合、前記排出手段は前記検知状態となった後の前記仕分け処理を禁止するシート処理装置。
【請求項19】
前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施するか否かを決定するために、前記シート束掻き込み処理を実施する第1モードと、前記シート束掻き込み処理を実施しない第2モードのいずれかを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択されたモードを認識するモード認識手段を更に備え、
前記第1モードが選択されたと前記モード認識手段が認識した場合、前記排出手段は、前記シート束掻き込み処理を実施する請求項18に記載のシート処理装置。
【請求項20】
前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施するか否かを決定するために、前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの枚数が基準枚数以上であるか否かを認識する基準枚数認識手段、を更に備え、
前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの枚数が前記基準枚数以上であることを前記基準枚数認識手段が認識した場合、前記排出手段は、前記シート束掻き込み処理を実施する、請求項18に記載のシート処理装置。
【請求項21】
前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施するか否かを決定するために、前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの坪量が基準値以上であるか否かを認識する坪量認識手段を更に備え、
前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの坪量が前記基準値以上であることを前記坪量認識手段が認識した場合、前記排出手段は、前記シート束掻き込み処理を実施する、請求項18に記載のシート処理装置。
【請求項22】
前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施するか否かを決定するために、前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの中にコート紙が表紙として使用されているか否かを認識するコート紙認識手段、を更に備え、
前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの中にコート紙が表紙として使用されていることを前記コート紙認識手段が認識した場合、前記排出手段は、前記シート束掻き込み処理を実施する、請求項18に記載のシート処理装置。
【請求項23】
前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施するか否かを決定するために、前記排出手段が前記第1シート束及び前記第2シート束を排出した距離若しくは前記排出手段が前記第1シート束及び前記第2シート束を排出した回数が基準値以上であるか否かを認識する劣化認識手段、を更に備え、
前記排出手段が前記第1シート束及び前記第2シート束を排出した距離若しくは前記排出手段が前記第1シート束及び前記第2シート束を排出した回数が前記基準値以上であることを前記劣化認識手段が認識した場合、前記排出手段は、前記シート束掻き込み処理を実施する、請求項18に記載のシート処理装置。
【請求項24】
前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する処理時間を調整するために、前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの枚数が調整枚数以上であるか否かを認識する調整枚数認識手段、を更に備え、
前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの枚数が前記調整枚数以上であることを前記調整枚数認識手段が認識した場合においては、前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの枚数が前記調整枚数未満であることを前記調整枚数認識手段が認識した場合よりも、前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する処理時間を長くする、請求項18乃至請求項23の何れかの項に記載のシート処理装置。
【請求項25】
前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する処理時間を調整するために、前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの坪量が調整値以上であるか否かを認識する調整坪量認識手段、を更に備え、
前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの坪量が前記調整値以上であることを前記調整坪量認識手段が認識した場合においては、前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの坪量が前記調整値未満であることを前記調整坪量認識手段が認識した場合よりも、前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する処理時間を長くする、請求項18乃至請求項23の何れかの項に記載のシート処理装置。
【請求項26】
前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する処理時間を調整するために、前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの前記搬送方向における長さが調整値以上であるか否かを認識するシート長認識手段、を更に備え、
前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの前記搬送方向における長さが前記調整値以上であることを前記シート長認識手段が認識した場合においては、前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの前記搬送方向における長さが前記調整値未満であることを前記シート長認識手段が認識した場合よりも、前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する処理時間を長くする、請求項18乃至請求項23の何れかの項に記載のシート処理装置。
【請求項27】
前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する処理時間を調整するために、前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの中にコート紙が表紙として使用されているか否かを認識するコート紙認識手段、を更に備え、
前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの中にコート紙が表紙として使用されていることを前記コート紙認識手段が認識した場合においては、前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの中にコート紙が表紙として使用されていることを前記コート紙認識手段が認識しない場合よりも、前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する処理時間を長くする、請求項18乃至請求項21及び請求項23の何れかの項に記載のシート処理装置。
【請求項28】
前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する処理時間を調整するために、前記排出手段が前記第1シート束及び前記第2シート束を排出した距離若しくは前記排出手段が前記第1シート束及び前記第2シート束を排出した回数が調整値以上であるか否かを認識する劣化認識手段、を更に備え、
前記排出手段が前記第1シート束及び前記第2シート束を排出した距離若しくは前記排出手段が前記第1シート束及び前記第2シート束を排出した回数が前記調整値以上であることを前記劣化認識手段が認識した場合においては、前記排出手段が前記第1シート束及び前記第2シート束を排出した距離若しくは前記排出手段が前記第1シート束及び前記第2シート束を排出した回数が前記調整値未満であることを前記劣化認識手段が認識した場合よりも、前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する処理時間を長くする、請求項18乃至請求項22の何れかの項に記載のシート処理装置。
【請求項29】
前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する際の掻き込み速度を調整するために、前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの枚数が調整枚数以上であるか否かを認識する調整枚数認識手段、を更に備え、
前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの枚数が前記調整枚数未満であることを前記調整枚数認識手段が認識した場合においては、前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの枚数が前記調整枚数以上であることを前記調整枚数認識手段が認識した場合よりも、前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する際の掻き込み速度を高くする、請求項18乃至請求項23の何れかの項に記載のシート処理装置。
【請求項30】
前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する際の掻き込み速度を調整するために、前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの坪量が調整値以上であるか否かを認識する調整坪量認識手段、を更に備え、
前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの坪量が前記調整値未満であることを前記調整坪量認識手段が認識した場合においては、前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの坪量が前記調整値以上であることを前記調整坪量認識手段が認識した場合よりも、前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する際の掻き込み速度を高くする、請求項18乃至請求項23の何れかの項に記載のシート処理装置。
【請求項31】
前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する際の掻き込み速度を調整するために、前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの前記搬送方向における長さが調整値以上であるか否かを認識するシート長認識手段、を更に備え、
前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの前記搬送方向における長さが前記調整値未満であることを前記シート長認識手段が認識した場合においては、前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの前記搬送方向における長さが前記調整値以上であることを前記シート長認識手段が認識した場合よりも、前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する際の掻き込み速度を高くする、請求項18乃至請求項23の何れかの項に記載のシート処理装置。
【請求項32】
前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する際の掻き込み速度を調整するために、前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの中にコート紙が表紙として使用されているか否かを認識するコート紙認識手段、を更に備え、
前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの中にコート紙が表紙として使用されていることを前記コート紙認識手段が認識しない場合においては、前記第1シート束及び前記第2シート束を構成するシートの中にコート紙が表紙として使用されていることを前記コート紙認識手段が認識した場合よりも、前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する際の掻き込み速度を高くする、請求項18乃至請求項21及び請求項23の何れかの項に記載のシート処理装置。
【請求項33】
前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する際の掻き込み速度を調整するために、前記排出手段が前記第1シート束及び前記第2シート束を排出した距離若しくは前記排出手段が前記第1シート束及び前記第2シート束を排出した回数が基準値以上であるか否かを認識する劣化認識手段、を更に備え、
前記排出手段が前記第1シート束及び前記第2シート束を排出した距離若しくは前記排出手段が前記第1シート束及び前記第2シート束を排出した回数が前記基準値未満であることを前記劣化認識手段が認識した場合においては、前記排出手段が前記第1シート束及び前記第2シート束を排出した距離若しくは前記排出手段が前記第1シート束及び前記第2シート束を排出した回数が前記基準値以上であることを前記劣化認識手段が認識した場合よりも、前記排出手段による前記シート束掻き込み処理を実施する際の掻き込み速度を高くする、請求項18乃至請求項22の何れかの項に記載のシート処理装置。
【請求項34】
シートに画像を形成する画像形成装置と、
請求項18乃至請求項23の何れかの項に記載のシート処理装置と、
を備えた画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート処理装置およびシート処理装置を備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷後の複数枚のシートを綴じる綴じ処理を行う綴じ処理装置、あるいは、複数枚のシートで構成されるシート束を、1部毎に幅方向の位置を異ならせるシフト処理が可能なシート処理装置と、このようなシート処理装置を備えた画像形成システムが知られている(特許文献1参照)。綴じ処理やシフト処理を施されたシート束は積載部に向けて排出するが、様々な要因によりシート束の排出に失敗する事が稀に起こりうることが知られている。(特許文献2参照)。
【0003】
先述のようにシート束の排出を失敗した場合、綴じ処理を施したシート束やシフト処理したシート束が、後続の異なる部を形成するシート束に混入してしまうおそれや、異なる操作者が出力した後続のシート束に混入してしまうおそれが生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-189475号公報
【特許文献2】特開2021-084733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来の技術に存在する課題に鑑みてなされたものであり、シート束の乱丁や落丁、混入等のシート束形成不良が発生するおそれを低下させたシート処理装置、および、これを備えた画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のシート処理装置は、シートが搬送される搬送経路と、前記搬送経路に沿った搬送方向に前記シートを搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送されるシートを集積してシート束を形成する集積部と、前記集積部で形成される前記シート束の前記搬送方向における上流端と当接することにより、前記シート束の前記上流端を揃える当接部と、前記当接部により前記上流端を揃えられたシート束に綴じ処理を施す処理手段と、前記処理手段により前記綴じ処理を施された処理済シート束を前記集積部から排出する排出方向と、前記上流端を揃えられたシート束を形成するために前記搬送手段により前記集積部に搬送されたシートを前記当接部へと掻き込む掻き込み方向と、に駆動される排出手段と、前記排出手段により前記集積部から排出される前記処理済シート束を受けて積載する積載部と、前記排出手段を前記排出方向または前記掻き込み方向に駆動する駆動手段と、前記処理済シート束が前記集積部に存在することを検知する検知手段と、前記処理済シート束を前記集積部から排出するのに要する以上に前記駆動手段が前記排出手段を前記排出方向に駆動した後、前記駆動手段が前記排出手段を前記掻き込み方向に駆動するシート束掻き込み処理を実施することにより、前記検知手段が前記処理済シート束を検知しない無検知状態から、前記処理済シート束を検知する検知状態になった場合、前記処理手段は前記検知状態となった後の前記綴じ処理を禁止する。
【0007】
また、上記課題を解決するため、本発明のシート処理装置は、シートが搬送される搬送経路と、前記搬送経路に沿った搬送方向に前記シートを搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送されるシートを集積してシート束を形成する集積部と、前記集積部で形成される前記シート束の前記搬送方向における上流端と当接することにより、前記シート束の前記上流端を揃える上流端当接部と、前記集積部で形成される前記シート束の前記搬送方向に沿った側端と当接することにより、前記搬送方向と直交し且つ前記シート束を構成するシートの面に沿った幅方向における第1位置と、前記幅方向において前記第1位置とは異なる第2の位置において前記シート束の上記側端を揃える側端当接部と、前記上流端当接部及び前記側端当接部により、前記第1位置において前記上流端及び前記側端を揃えられた第1シート束と、前記上流端当接部及び前記側端当接部により、前記第2の位置において前記上流端及び前記側端を揃えられた第2シート束とを交互に前記集積部から排出する仕分け処理を実施すると共に、前記仕分け処理において前記第1シート束と前記第2シート束を前記集積部から排出する排出方向と、前記第1シート束と前記第2シート束を形成するために前記搬送手段により前記集積部に搬送された各シートを前記上流端当接部へと掻き込む掻き込み方向と、に駆動される排出手段と、前記排出手段により前記仕分け処理された前記第1シート束と前記第2シート束を受け、前記幅方向において位置が異なる前記第1シート束と前記第2シート束を交互に積載する積載部と、前記排出手段を前記排出方向及び前記掻き込み方向に駆動する駆動手段と、前記第1シート束が前記集積部に存在すること及び前記第2シート束が前記集積部に存在することを各々検知する検知手段と、前記第1シート束と前記第2シート束を各々前記集積部から前記積載部に排出するのに要する以上に前記駆動手段が前記排出手段を前記排出方向に駆動した後、前記駆動手段が前記排出手段を前記掻き込み方向に駆動するシート束掻き込み処理を実施することにより、前記検知手段が前記第1シート束と前記第2シート束を各々検知していない無検知状態から、前記第1シート束と前記第2シート束を各々検知する検知状態になった場合、前記排出手段は前記検知状態となった後の前記仕分け処理を禁止する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、束排出の成否を確実に検出することで、乱丁や落丁、混入等のシート束形成不良が発生するおそれを低下させたシート処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態に係る画像形成システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図1におけるシート処理装置(フィニッシャ)の概略構成を示す図である。
【
図3】
図1の画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。
【
図4】
図3におけるフィニッシャ制御部の制御構成を示すブロック図である。
【
図5】
図2におけるシート処理部の概略構成を示す図である。
【
図8】束逆転・シート有無判定処理を示すフローチャートである。
【
図9】逆転速度決定処理を示すフローチャートである。
【
図10】逆転時間決定処理を示すフローチャートである。
【
図11】操作表示装置における操作パネルの表示例を示す図である。
【
図12】シート束を処理トレイから下排出トレイへ排出する様子を示す図である。
【
図13】シート有無検知センサがON/OFFのときの処理トレイの状態を示す図である。
【
図14】束枚数によるシート束の排出しやすさの違いを示す図である。
【
図15】シートサイズによる、シート束の排出しやすさの違いを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳しく説明する。
【実施例0011】
図1は、実施の形態に係る画像形成システムの概略構成を示す図である。
図1において、画像形成システム1000は、主に画像形成装置100、原稿画像を読み取る原稿読取装置200、操作画面を表示する操作表示装置600、シートに処理を施し排出するシート処理装置(以下、フィニッシャと称す)500から構成されている。
【0012】
原稿読取装置200は、原稿給送部と原稿読取部とを有する。原稿給送部は、原稿トレイ201にセットされた原稿を1枚ずつ
図1の左方向へ給紙し、湾曲パスを経てプラテンガラス202上の読み取り位置を経て右方向へ搬送し、排出トレイ203上に排出する。原稿読取部は、プラテンガラス202の下方の所定位置である読み取り位置に対応した位置に設けられたスキャナユニット204と、イメージセンサ205を備えている。原稿がプラテンガラス202上の読み取り位置を通過する際、原稿の読取面がスキャナユニット204の光源によって照射され、反射光が、例えばミラーおよびレンズ206を経てイメージセンサ205に到達し、該イメージセンサ205の撮像面に結像する。
【0013】
光学的に読み取られた画像は、イメージセンサ205によって画像データに変換されて出力される。イメージセンサ205から出力された画像データは、画像形成装置100の露光器103に画像信号として入力される。
【0014】
画像形成装置100は、画像形成部と給紙部とを有する。画像形成部は、主に、感光ドラム101、帯電器102、露光器103、現像器104から構成されている。給紙部は、給紙カセット111、112、該給紙カセットから感光ドラム101近傍の転写部105および定着器106を経て排出ローラ116に到る搬送路110を備えている。また、給紙部は、感光ドラム101の下流側の搬送路110を分岐した反転パス119、該反転パス119に接続され、一端が転写部105の上流側の搬送路110に接続された両面搬送パス120を備えている。搬送路110には、給紙カセット111、112の出口部にそれぞれ配置されたピックアップローラ127、128と、ピックアップされたシートを転写部105まで搬送する搬送ローラ129、130が設けられている。搬送路110には、また、転写部105の上流側に配置されたレジストレーションローラ(以下、「レジストローラ」と称す。)114が設けられている。定着器106の下流側の搬送路110には、搬送ローラ115、フラッパ118および排出ローラ116が設けられている。フラッパ118は、搬送路110を搬送されるシートの搬送方向を反転パス119に切り替える。
【0015】
このような構成の画像形成装置100において、露光器103は、原稿読取装置200から入力された画像信号に基づいてレーザ光を変調して出力する。出力されたレーザ光は、ポリゴンミラー107により走査されながら感光ドラム101に照射される。レーザ光が照射された感光ドラム101表面には、走査されたレーザ光に応じた静電潜像が形成される。感光ドラム101上の静電潜像は、現像器104から供給される現像剤によって可視化されてトナー像となる。
【0016】
一方、ピックアップローラ127または128によって上カセット111または下カセット112から給紙されたシートは、給紙ローラ129および130によって搬送され、その先端部が回転停止状態のレジストローラ114まで達したところで停止する。次いで、レジストローラ114が所定のタイミングで駆動し、レーザ光の照射開始と同期したタイミングで、シートを感光ドラム101と転写部105との間に搬送する。次いで、転写部105によって感光ドラム101に形成されたトナー像が給紙されたシート上に転写される。トナー像が転写されたシートは下流の定着部106に搬送され、定着部106によってシートを加熱および加圧することによってトナー像がシートに定着する。トナー像が定着されたシートは、フラッパ118および排出ローラ116を経て画像形成装置100から、後述するフィニッシャ500に向けて排出される。
【0017】
次いで、フィニッシャ500の構成について説明する。
図2は、
図1のフィニッシャ500の概略構成を示す図である。
【0018】
図2において、フィニッシャ500には、画像形成装置100から排出されたシートに各種処理を施して上排出トレイ595または下排出トレイ596まで搬送する搬送パスが設けられている。すなわち、フィニッシャ500には、画像形成装置100から受け取ったシートを、穿孔手段としてのパンチャ581を経て上排出トレイ595の上流側の搬送ローラ514まで搬送する搬送パス520が設けられている。フィニッシャ500にはまた、搬送ローラ514まで搬送されたシートを上排出トレイ595まで搬送する上排出パス521および処理トレイ590まで搬送する下排出パス522が設けられている。
【0019】
搬送パス520には、シートの搬送方向に沿って搬送センサ570、搬送ローラ511、パンチャ581、横位置検知センサ577、およびシフトユニット580が設けられている。シフトユニット580の上流側に設けられた横位置検知センサ577は、搬送方向に直交する幅方向におけるシートの側端の位置である横位置を検出し、シフトユニット580は、シートの横位置を補正する。シフトユニット580には、第1および第2の搬送ローラ512が設けられており、第1および第2の搬送ローラの間には搬送センサ571が配置されている。搬送パス520におけるシフトユニット580の下流側には、搬送センサ572および搬送ローラ513が配置されており、搬送ローラ513の下流側で、搬送ローラ519を備えたバッファパス523が分岐されている。分岐点には、フラッパ550が設けられている。
【0020】
搬送パス520は、バッファパス523の分岐点の下流側で上排出パス521と下排出パス522とに分岐している。上排出パス521と下排出パス522の分岐点には、フラッパ551が設けられている。フラッパ551から上排出トレイ595に到る上搬送パス521には、搬送センサ574および搬送ローラ515が設けられている。フラッパ551から処理トレイ590に到る下排出パス522には、シートの搬送方向に沿って搬送ローラ516、517、518および搬送センサ575、576が設けられている。処理トレイ590には、ステイプラ591および整合部材592が設けられており、処理トレイ590の下流側の搬送パスは、排出トレイ596まで延びている。処理トレイ590の下流側の搬送パスには、束排出ローラ593が設けられている。
【0021】
このような構成において、フィニッシャ500は、画像形成装置100から排出されたシートを順に取り込み、必要に応じて取り込んだシートにパンチ穴をあけるパンチ処理を施す。フィニッシャ500は、また、複数のシートを整合して束ねる処理、束ねたシート束をステイプラで綴じる綴じ処理などの各種処理を行う。すなわち、画像形成装置100から排出されたシートは、搬送センサ570によって検出され、搬送ローラ511により搬送パス520に取り込まれる。搬送パス520に取り込まれたシートは、搬送ローラ511によってさらに搬送され、パンチャ581の下流側の横位置検知センサ577によって、その側端部位置が検出される。これによって、搬送パス520の搬送幅のセンター(中央)位置に対するシートの幅方向の位置(横位置)のずれが検出される。横位置ずれが検出されたシートは、シフトユニット580の第1および第2の搬送ローラ512によって搬送方向に搬送されると共に、シフトモータによってシフトユニット580を、搬送方向に直交する幅方向に移動することによって横位置ずれが補正される。
【0022】
横ずれが補正されたシートは、第1および第2の搬送ローラ512を逆回転させることによって所定量だけ逆送され、その後端部をパンチャ581の上流側に配置された図示省略したストッパ部材に当接させ、これによって後端部の斜行が補正される。このようにして斜行が補正されたシートの後端部に対し、パンチャ851によって穿孔処理が施されて所定のパンチ孔が形成される。
【0023】
パンチ孔が形成されたシートは、搬送ローラ512、513、514によって搬送方向に搬送され、例えば、フラッパ551によって切り替えられた上排出パス521を経て上排出トレイ595上に排出される。なお、シフトユニット580の搬送センサ571によってシートがシフトユニット580を通過したことを検知した後、後述するシフトモータM17が駆動され、これによって、シフトユニット580は搬送パス520のセンター位置に戻される。
【0024】
一方、シートに対して、束ね処理または綴じ処理を施す必要がある場合は、フラッパ551によって搬送路を、搬送パス520から下排出パス522に切り替える。そして、シートを、搬送ローラ516、517等によってシート処理部400の処理トレイ590まで搬送し、処理トレイ590に設けられた整合部材592によって複数枚整合させてシート束を形成する。形成されたシート束は、必要に応じてステイプラ591に搬入されて、綴じ処理が施される。このように束ね処理または綴じ処理が施されたシート束は、束排出ローラ593によって、下排出トレイ596上に排出される。なお、シート処理部400については後に詳しく説明する。
【0025】
上排出トレイ595および下排出トレイ596には、それぞれ紙面検知センサ540および541が設けられている。紙面検知センサ540および541は、それぞれ上排出トレイ595および下排出トレイ596に排出されたシートまたはシート束の最上面を検出する。紙面検知センサ540および541からの出力に応じて、後述するトレイ昇降モータM15、16を駆動することによって、常に上排出トレイ595および下排出トレイ596上のシート最上面が一定の位置になるように制御される。
【0026】
次に、画像形成システム1000全体の制御を司るコントローラをはじめとする画像形成システム1000全体の制御構成について説明する。
図3は、
図1の画像形成システム1000の制御構成を示すブロック図である。
【0027】
図3において、画像形成システム1000は、制御部としてのコントローラCPU回路部900を有し、コントローラCPU回路部900は、CPU901、ROM902、RAM903を内蔵する。CPU901は画像形成システム1000全体の基本制御を行うCPUであり、制御プログラムが書き込まれたROM902、および処理を行うためのRAM903と、図示省略したデータバスにより接続されている。CPU901は、各制御部911、921、922、923、904、931、941、951、と通信可能に接続されており、これらをROM902に格納されている制御プログラムによって総括的に制御する。各制御部としては、原稿給送装置制御部911、原稿読取装置制御部921、画像生成制御部922、画像信号制御部923、外部I/F904、プリンタ制御部931、操作表示装置制御部941、およびフィニッシャ制御部951が挙げられる。RAM903は、制御データを一時的に保持し、また制御に伴う演算処理の作業領域として用いられる。
【0028】
原稿給送装置制御部911は、原稿読取装置200の原稿給送部をコントローラCPU回路部900からの指示に基づき駆動制御する。原稿読取装置制御部921は、先述のスキャナユニット204、イメージセンサ205などに対する駆動制御を行い、イメージセンサ205から出力された画像信号を画像信号制御部923に転送する。画像生成制御部922は、コンピュータ905から外部I/F904を介して入力されたデジタル画像信号基に画像データを生成し画像信号制御部923に転送する。
【0029】
画像信号制御部923は、イメージセンサ205からのアナログ画像信号をデジタル信号に変換した後に各処理を施し、このデジタル信号を画像信号に変換してプリンタ制御部931に出力する。また、画像信号制御部923は、コンピュータ905から外部I/F904を介して入力されたデジタル画像信号に各種処理を施し、このデジタル画像信号を画像(ビデオ)信号に変換してプリンタ制御部931に出力する。画像信号制御部923による処理動作は、コントローラCPU回路部900により制御される。プリンタ制御部931は、入力された画像信号に基づき画像形成装置100を制御し、画像形成およびシート搬送を行う。
【0030】
フィニッシャ制御部951はフィニッシャ500に搭載され、コントローラCPU回路部900と情報のやり取りを行うことによってフィニッシャ500全体の駆動制御を行う。この制御内容については後述する。
【0031】
操作表示装置制御部941は、操作表示装置600とコントローラCPU回路部900との間で情報のやり取りを行う。操作表示装置600は、画像形成に関する各種機能を設定する複数のキー、設定状態を示す情報を表示するための表示部などを有する。各キーの操作に対応するキー信号をコントローラCPU回路部900に出力するとともに、コントローラCPU回路部900からの信号に基づき対応する情報を操作表示装置600に表示する。
【0032】
ここで、操作表示装置制御部941は、シート束に対する処理方法と、逆流検知の有無を設定する処理トレイ動作モード設定画面を操作表示装置600に表示させる。具体的には、操作表示装置制御部941は、操作表示装置600の表示部に、
図11に示すような画面を表示させ、綴じ処理を実施するモードの設定(以下、綴じモードと称す)や、シート束を1部ごとシート幅方向にずらして仕分けるモードの設定(以下、仕分けモードと称す)を可能にする。また、束排出ローラ593を逆転させてシート束が確実に下排出トレイ596に排出されたことを確認するモードの設定(以下、逆流検知モードと称す)を可能にする。逆流検知モードは、綴じモード若しくは仕分けモード、若しくはその両方の設定がなされた場合に選択することが可能である。なお、ユーザーが常に逆流検知モードを設定して動作させることを望む場合には、フィニッシャ制御部951の基板上にディップスイッチ等を設け、モードを選択させることもできる。
【0033】
次いで、フィニッシャ500の制御構成について説明する。
図4は、
図3におけるフィニッシャ制御部の構成を示すブロック図である。
【0034】
図4において、フィニッシャ制御部951は、CPU952、ROM953、RAM954などで構成されている。フィニッシャ制御部951は、通信ICを介して画像形成装置100に設けられたコントローラCPU回路部900と通信して、ジョブの情報やシートの受け渡し通知などのデータ交換を行う。
【0035】
フィニッシャ制御部951は、シートを搬送するための搬送ローラ511~513を駆動する入口モータM1、バッファモータM2、排紙モータM3、シフト搬送モータM5、ソレノイドSL1、SL2、搬送センサ570~576と接続されている。フィニッシャ制御部951は、また、搬送されたシートの搬送中心位置とのずれ量を補正するシフトモータM17、横レジ検知センサ577と接続されている。更にまた、フィニッシャ制御部951は、シート処理部400の各種部材を駆動する手段としての束排出モータM4、整合モータM6およびM7、揺動ガイドモータM8とも接続されている。束排出モータM4は束排出ローラ593を駆動し、整合モータM6およびM7は整合部材592を駆動し、揺動ガイドモータM8は、図示省略した揺動ガイドを昇降駆動する。また、フィニッシャ制御部951は、シート束が処理トレイ590からの排出を検出するためのシート有無検知センサ418と接続されている。また、フィニッシャ制御部951は、上排出トレイ595および下排出トレイ596を昇降させるための入出力としてのトレイ昇降モータM15およびM16、紙面検知センサ540および541と接続されている。
【0036】
そして、フィニッシャ制御部951は、コントローラCPU回路部900からの指示に基づいてROM953に格納された各種プログラムを実行してフィニッシャ500を駆動制御する。このとき、フィニッシャ制御部951は、各種モータに対して、例えば、駆動信号を出力し、各センサから検知信号を受信する。
【0037】
次に、フィニッシャ500のシート処理部400について、
図5を用いて説明する。
図5は、本実施形態に係るシート処理部400を示す断面図である。
【0038】
図5において、処理トレイ590は、シート排出方向下流側( 以下、単に「下流側」という)を上方に、シート排出方向上流側(以下、単に「上流側」という)を下方に傾斜して配置されており、シートを集積可能に形成されている。また、処理トレイ590の中間部には、集積されたシートの幅方向の両側端位置を整合する不図示の整合部材が設けられており、整合部材は、処理トレイ590上に集積されたシートの両側端に当接してシートを幅方向に整合する。更に、処理トレイ590には、下流に処理トレイ590のシート集積面に沿わせながら束排出ローラ593に向けて移動するシート束を束排出ローラ593のニップに案内する案内部としてのガイド部409が設けられている。更に、処理トレイ590には、処理トレイ590からのシート束の排出を検出可能とするためのシート有無検知センサ418が設けられている。シート有無検知センサ418は、例えば、処理トレイ590におけるシート集積面に設けられた反射型の光センサである。
【0039】
また、処理トレイ590の上流側の下方端部には後端ストッパ417が設けられており 、下流側の上方端部には、束排出ローラ593及び揺動ガイド401が配置されている。下部束排出ローラ593aは、処理トレイ590の下流側の端部に回転自在に支持されている。揺動ガイド401は、支持軸401aを中心に回動自在に支持されており、処理トレイ590に対向した上側の搬送ガイドとして機能している。また、揺動ガイド401は、処理トレイ590の下流端部に設けられた束排出ローラ593aと共に束排出ローラ対593を構成する一方のローラとしての上部束排出ローラ593bを回転自在に支持している。つまり、上部束排出ローラ593bは、揺動ガイド401の回動に伴って下部束排出ローラ593aに対して接離可能となる。そして、揺動ガイド401は、上部束排出ローラ593bを下部束排出ローラ593aに対して接離して、シート束等を機外に排出可能に束排出ローラ対593を開閉する。
【0040】
このような構成において、シートが処理トレイ590上に集積されるときは、通常、揺動ガイド401は上方へ回動し、これに伴い上部束排出ローラ593bが下部束排出ローラ593aから離間した開口状態となっている。そして、処理トレイ590上でのシートの処理が終了したとき、揺動ガイドモータM8の駆動により、揺動ガイド401は下方に回動し、上部束排出ローラ593bと下部束排出ローラ593aとでシート束を挟むようになっている。本実施形態においては、束排出ローラ対593は、束排出モータM4によって正逆回転するようになっている。
【0041】
また、シート処理部400は、シートの排出方向後端の位置を整合する後端整合部を備 えており、後端整合部は、押下げ部材としての後端落とし部材412と、引込パドル414と、ベルトローラ416と、後端ストッパ417と、により構成されている。
【0042】
引込パドル414は、処理トレイ590の上方でパドル駆動軸413を中心に回転自在 に設けられており、不図示のモータにより、適切なタイミングで
図5における反時計方向 に回転する。ベルトローラ416は、処理トレイ590の上方、且つ引込パドル414の上流に回転自在に設けられており、不図示のモータにより、適切なタイミングで
図5における反時計方向に回転する。後端ストッパ417は、処理トレイ590の上流側の端部に 設けられており、処理トレイ590に集積されたシートの後端を突き当ててシートを排出方向に整合する。
【0043】
処理トレイ590上へ搬送されたシートは、束排出ローラ対593のニップを後端が抜けると、後端落とし部材412が下方に移動して、シートの後端側の上面を処理トレイ590のシート集積面に向けて押し下げる。そして、引込パドル414及びベルトローラ416の反時計方向の回転によって、後端ストッパ417にシートの排出方向上流端が突き当てられ、シートの排出方向の後端位置が整合される。
【0044】
処理トレイ590で所定の処理が行われたシート束は、束排出ローラ対593によりシート積載部としての下排出トレイ596に排出される。この時、シート束が束排出ローラ対593により処理トレイ590から下排出トレイ596に排出されたことを、シート有無検知センサ418によって検出する。束排出ローラ593によるシート束の排出後に、シート有無センサ418によって処理トレイ590上に残存するシート束が検出される場合は、排出失敗を検出する。一方、処理トレイ590で所定の処理を施さない場合は、後端押さえ部材412は、下排出ローラ対593からシートの先端が排出されるまで、
図5に示すように、排出経路から上方に退避した退避位置に位置する。そして、シートの先端が下排出ローラ対593のニップを通過すると、シートの先端が束排出ローラ対593に到達する前に、後端落とし部材412がシートを押し下げる押下げ位置へと移動する。そして、シートの先端側の上面を処理トレイ590のシート集積面に向けて押し下げて、処理トレイ590のシート集積面に沿わせながら束排出ローラ対593に向かって移動させ、束排出ローラ対593へと受け渡し、直接下排出トレイ596へと排出される。
【0045】
[印刷処理]
次いで、
図1の画像形成システム1000で実行される印刷処理について、フィニッシャ500の処理トレイ590のシート有無検知センサ418で束排出の成否を判定する場合の印刷処理を説明する。
【0046】
図6は、画像形成装置100で画像形成したシートを処理トレイ590へ格納し、処理を施し排出した後、束排出ローラ593を逆転させることで束排出が確実に行われたかを検出するまでの一連の動作について示すフローチャートである。
【0047】
印刷処理は、画像形成装置100において、コントローラCPU回路部900のCPU901がROM902に格納されたプログラムを、必要に応じてRAM903に読み出して実行し、フィニッシャ500において、フィニッシャ制御部951のCPU952がROM953に格納されたプログラムを、必要に応じてRAM954に読み出して実行する。
【0048】
図6において、印刷処理が開始されると、コントローラCPU回路部900のCPU901は、投入されたプリントジョブを受信する(ステップS101)。
【0049】
投入されたプリントジョブを受信すると、CPU901は、先述したように、転写部105、および定着部106によって、受信したプリントジョブをもとに画像形成し(ステップS102)、画像形成したシートを画像形成装置100からフィニッシャ500に向けて排出する(ステップS103)。
【0050】
排出されたシートをフィニッシャ500が受け入れると、フィニッシャ制御部951のCPU952は、シートを処理トレイ590へ排出し(ステップS104)、整合部材592により整合処理を行う(ステップS105)。
【0051】
処理トレイ590に排出されたシートを整合部材592により整合すると、フィニッシャ制御部951のCPU952は当該シートが部最終シートであるか否かを判定する(ステップS106)。
【0052】
ステップS106の判定の結果、当該シートが部最終シートでないと判定した場合(ステップS106で「No」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、印刷処理を終了する。
【0053】
ステップS106の判定の結果、当該シートが部最終シートであると判定した場合(ステップS106で「Yes」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、
図11に示すような操作表示装置600の処理トレイ動作モード設定画面において選択された処理が、綴じモードか否かを判定する(ステップS107)。
【0054】
ステップS107の判定の結果、選択された処理が、綴じモードであると判定された場合(ステップS107で「Yes」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、処理トレイ590でステイプラ591により綴じ処理を施し(ステップS108)、綴じ処理を施したシート束を束排出ローラ593でニップし(ステップS109)、束排出ローラ593を正転させる(ステップS110)。
【0055】
束排出ローラ593を正転させると、フィニッシャ制御部951のCPU952は、束排出ローラ593が所定距離正転したか否かを判定する(ステップS111)。
【0056】
ステップS111で束排出ローラ593が所定距離正転していないと判定された場合(ステップS111で「No」)、束排出ローラ593が所定距離正転するまで、ステップS111の判定を繰り返す。
【0057】
ここで、束排出ローラ593を正転させる所定距離について、
図12を用いて説明する。
図12はシート束Pをフィニッシャ500の処理トレイ590から下排出トレイ596へ排出する様子を示した図である。本実施例では、フィニッシャ500の処理トレイ590の搬送方向における長さは166mm(
図12中のL)である。
【0058】
図12に示すように、シート束を処理トレイ590から下排出トレイ596へ排出する場合、束排出ローラ593を処理トレイ590の搬送方向における長さ以上正転させることで、シート束の排出動作を行っている。具体的には、処理トレイ590の搬送方向における長さを、束排出モータM4のパルス数に換算し、束排出モータM4を、換算したパルス数以上駆動させることで距離を管理して、シート束の排出動作を行っている。よって、束排出ローラ593を正転させる所定距離とは、処理トレイ590から下排出トレイ596に排出する目論見距離のことであり、本実施例では、処理トレイ590の搬送方向における長さに50mm足した値(216mm)とする。
【0059】
ステップS111で束排出ローラ593が所定距離正転したと判定された場合(ステップS111で「Yes」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、束排出ローラ593を停止させ(ステップS112)、処理トレイ590のシート有無検知センサ418の状態がONであるか否かを判定する(ステップS113)。
【0060】
ステップS113で、シート有無検知センサ418がONであると判定された場合(ステップS113で「No」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、画像形成装置100に紙詰まり(ジャム)を通知し、(ステップS115)印刷処理を終了する。
【0061】
ここで、シート有無検知センサ418がONの場合とは、
図13の(A)に示すように、処理トレイ590のシート有無検知センサ418上にシート束PAが残留しており、処理トレイ590内にシート束PAが存在することを検出している状態を意味する。
【0062】
ステップS113で、シート有無検知センサ418がOFFであると判定された場合(ステップS113で「Yes」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、後述する逆流検知処理を実施し(ステップS114)、印刷処理を終了する。
【0063】
ここでシート有無検知センサ418がOFFの場合について、
図13の(B)、(C)を用いて説明する。
図13の(B)では、処理トレイ590のシート有無検知センサ418上にシート束PBはないが、シート束PBを下排出トレイ596に排出しきれていない状態(排出失敗状態)を示しており、
図13の(C)では、処理トレイ590から下排出トレイ596に正常に排出できている状態を示している。このように、シート有無検知センサ418がOFFの場合とは、
図13の(B)、(C)に示すように、処理トレイ590のシート有無検知センサ418上にシート束PB、PCが存在しない状態を意味する。
【0064】
ステップS107の判定の結果、選択された処理が綴じモードでないと判定された場合(ステップS107で「No」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、
図11に示すような操作表示装置600の設定画面において選択された処理が、仕分けモードか否かを判定する(ステップS116)。
【0065】
ステップS116で、選択された処理が仕分けモードであると判定された場合(ステップS116で「Yes」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、処理トレイ590に格納したシート束を束排出ローラ593でニップし(ステップS117)、束排出ローラ593を正転させる(ステップS118)。
【0066】
束排出ローラ593を正転させると、フィニッシャ制御部951のCPU952は、束排出ローラ593が所定距離正転したか否かを判定する(ステップS119)。
【0067】
ステップS119で束排出ローラ593が所定距離正転していないと判定された場合(ステップS119で「No」)、束排出ローラ593が所定距離正転するまで、ステップS119の判定を繰り返す。
【0068】
ステップS119で束排出ローラ593が所定距離正転したと判定された場合(ステップS119で「Yes」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、束排出ローラ593を停止させ(ステップS120)、処理トレイ590のシート有無検知センサ418の状態がOFFであるか否かを判定する(ステップS121)。
【0069】
ステップS121で、シート有無検知センサ418がONであると判定された場合(ステップS121で「No」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、画像形成装置100にジャムを通知し、(ステップS123)印刷処理を終了する。
【0070】
ステップS121で、シート有無検知センサ418がOFFであると判定された場合(ステップS121で「Yes」)、後述する逆流検知処理を実施し(ステップS122)、印刷処理を終了する。
【0071】
ステップS116により、選択された処理が仕分けモードでないと判定された場合(ステップS116で「No」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、処理トレイ590に格納したシート束を束排出ローラ593でニップし(ステップS124)、束排出ローラ593を正転させる(ステップS125)。
【0072】
束排出ローラ593を正転させると、フィニッシャ制御部951のCPU952は、束排出ローラ593が所定距離正転したか否かを判定する(ステップS126)。
【0073】
ステップS126で束排出ローラ593が所定距離正転していないと判定された場合(ステップS126で「No」)、束排出ローラ593が所定距離正転するまで、ステップS126の判定を繰り返す。
【0074】
ステップS126で束排出ローラ593が所定距離正転したと判定された場合(ステップS126で「Yes」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、束排出ローラ593を停止させ(ステップSS127)、処理トレイ590のシート有無検知センサ418の状態がONであるか否かを判定する(ステップS128)。
【0075】
ステップS128で、シート有無検知センサ418がONであると判定された場合(ステップS128で「No」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、画像形成装置100に紙詰まりジャムを通知し、(ステップS129)印刷処理を終了する。
【0076】
ステップS128で、シート有無検知センサ418がOFFであると判定された場合、(ステップS128で「Yes」)、印刷処理を終了する。
【0077】
[逆流検知処理]
次いで、画像形成システム1000で実行される逆流検知処理について、操作表示装置600の処理トレイ動作モードにより、逆流検知モードが選択され、フィニッシャ500の処理トレイ590のシート有無検知センサ418で束排出の成否を判定する場合の逆流検知処理を説明する。
【0078】
図7は、逆流検知処理の手順を示すフローチャートである。逆流検知処理は、フィニッシャ500において、フィニッシャ制御部951のCPU952がROM953に格納されたプログラムを、必要に応じてRAM954に読み出して実行する。
【0079】
図7において、先述した印刷処理で逆流検知処理が開始されると、フィニッシャ制御部951のCPU952は、
図11に示すような操作表示装置600の処理トレイ動作モード設定画面において、逆流検知モードが選択されたか否かを判定する(ステップS201)。
【0080】
ステップS201で、逆流検知モードが設定されていないと判定された場合(ステップS201で「No」)、逆流検知処理を終了する。
【0081】
ステップS201で、逆流検知モードが設定されたと判定された場合(ステップS201で「Yes」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、画像形成装置100からジョブ情報を取得する(ステップS202)。
【0082】
ジョブ情報を取得すると、フィニッシャ制御部951のCPU952は、束枚数が基準枚数以上であるか否かを判定する(ステップS203)。
【0083】
ステップS203で、束枚数が基準枚数以上であると判定された場合(ステップS203で「Yes」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、後述する束逆転・シート有無判定処理を実施し(ステップS204)、逆流検知処理を終了する。
【0084】
ここで、束枚数が基準枚数以上である場合について、
図14を用いて説明する。
図14は、束枚数による束排出の違いを示す図である。
【0085】
シート束を束排出ローラ593で排出する際、束を構成するシートの内直接ローラと接さないシート(以下、中紙と称す)が存在する。
図14の(D)に示すように、束枚数が少ない場合は、中紙が少なく、処理トレイ590から下排出トレイ596にシート束PDを排出する際、束排出ローラ593の駆動力がシート束PDに伝わりやすいが、
図14の(E)に示すように、束枚数が多い場合は、中紙が多く、処理トレイ590から下排出トレイ596にシート束PEを排出する際、より強い搬送力が必要であるため、束排出に失敗する可能性が高くなる。よって、束枚数が基準枚数以上である場合とは、束枚数が多いことによって束排出に失敗する可能性が高い場合であり、本実施例では30枚以上のシートで構成されるシート束とする。
【0086】
ステップS203で、束枚数が基準枚数未満であると判定された場合(ステップS203で「No」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、シート束の総坪量が基準値以上であるか否かを判定する(ステップS205)。
【0087】
ステップS205で、シート束の総坪量が基準値以上であると判定された場合(ステップS205で「Yes」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、後述する束逆転・シート有無判定処理を実施し(ステップS206)、逆流検知処理を終了する。
【0088】
ここで坪量の基準値以上である場合について説明する。シート束を処理トレイ590から下排出トレイ596に排出する際、シート束の総坪量が重い場合、シート束の総坪量が軽い場合よりも、束排出に必要なローラの搬送力が強いため、束排出に失敗する可能性が高くなる。よって、坪量が基準値以上である場合とは、シート束の総坪量が重いことによって、束排出に失敗する可能性が高い場合であり、本実施例では、総坪量が100g以上のシート束とする。
【0089】
ステップS205で、シート束の総坪量が基準値未満であると判定された場合(ステップS205で「No」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、シート束の表紙、若しくは裏表紙、若しくはその両方がコート紙であるか否かを判定する(ステップS207)。
【0090】
ステップS207で、シート束の表紙、若しくは裏表紙、若しくはその両方がコート紙であると判定された場合(ステップS207で「Yes」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、後述する束逆転・シート有無判定処理を実施し(ステップS208)、逆流検知処理を終了する。
【0091】
ここで、シート束の表紙、若しくは裏表紙、若しくはその両方がコート紙であると判定された場合について説明する。表紙若しくは裏表紙、若しくはその両方がコート紙である場合とは、束排出ローラ593と直接触れるシートの少なくとも1枚はコート紙であることを意味する。束排出ローラ593と直接触れるシートの少なくとも1枚がコート紙である場合、表紙および裏表紙がコート紙でない場合よりも、束排出ローラ593と直接触れるシートの表面と束排出ローラ593の間にかかる摩擦が小さいため、束排出ローラ593が空回りし、束排出に失敗する可能性が高くなる。よって、表紙若しくは裏表紙、若しくはその両方がコート紙である場合、後述する束逆転・シート有無判定処理を実施し、束排出の成否を検出する。
【0092】
ステップS207で、シート束の表紙、裏表紙がともにコート紙でないと判定された場合(ステップS207で「No」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、束排出ローラ593が摩耗しているか否かを判定する(ステップS209)。
【0093】
ステップS209で束排出ローラ593が摩耗していると判定された場合(ステップS209で「Yes」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、後述する束逆転・シート有無判定処理を実施し(ステップS210)、逆流検知処理を終了する。
【0094】
ここで、束排出ローラ593が摩耗している場合について説明する。束排出ローラ593が摩耗している場合とは、束排出ローラ593の搬送距離が長い場合や、通紙回数が多い場合を意味する。搬送距離が長い場合や、通紙回数が多い場合は、束排出ローラ593の表面が摩耗し、シートの表面と束排出ローラ593の間にかかる摩擦力が低下することにより、搬送力が低下するため、束排出に失敗する可能性が高くなる。よって束排出ローラ593が摩耗している場合、後述する束逆転・シート有無判定処理を実施し、束排出の成否を検出する。本実施例では、束排出ローラ593の通紙回数が、300万回以上とする。
【0095】
ステップS209で、束排出ローラ593が摩耗していないと判定された場合(ステップS209で「No」)、逆流検知処理を終了する。
【0096】
[束逆転・シート有無判定処理]
次いで、画像形成システム1000で実行される束逆転・シート有無判定処理について、フローチャートを用いて説明する。
【0097】
図8は、束逆転・シート有無判定処理の手順を示すフローチャートである。束逆転・シート有無判定処理は、フィニッシャ500において、フィニッシャ制御部951のCPU952がROM953に格納されたプログラムを、必要に応じてRAM954に読み出して実行する。
【0098】
図8において、先述した逆流検知処理で束逆転・シート有無判定処理が開始されると、フィニッシャ制御部951のCPU952は、束排出ローラ593の基本逆転速度・逆転時間を設定する(ステップS301)。
【0099】
ここで、束排出ローラ593の基本逆転速度・逆転時間について説明する。束逆転・シート有無判定処理において設定される逆転速度および逆転時間は、シート束を処理トレイ590から下排出トレイ596に排出した後、排出に失敗したシート束を検出するために、束排出ローラ593を逆転させる際の速度と時間となる。よって、基本の逆転速度、逆転時間は、シート束を確実に処理トレイ590のシート有無検知センサ418の位置まで掻き込むことができる速度と時間であり、本実施例では逆転速度(300mm/s)、逆転時間(1s)とする。
【0100】
束排出ローラ593の基本逆転速度・逆転時間を設定すると、フィニッシャ制御部951のCPU952は、後述する逆転速度決定処理を実施し(ステップS302)、さらに、後述する逆転時間決定処理を実施する(ステップS303)。
【0101】
逆転時間決定処理を実施すると、フィニッシャ制御部951のCPU952は、束排出ローラ593の逆転を開始させ(ステップS304)、ステップS303で決定した逆転時間経過したか否かを判定する(ステップS305)。
【0102】
ステップS305で、束排出ローラ593の逆転を開始してから、ステップS303で決定した逆転時間経過していないと判定された場合(ステップS305で「No」)、逆転時間経過したと判定されるまで、ステップS305の判定を繰り返す。
【0103】
ステップS305で、束排出ローラ593の逆転を開始してから、ステップS303で決定した逆転時間経過したと判定された場合(ステップS305で「Yes」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、処理トレイ590のシート有無検知センサ418の状態がONであるか否かを判定する(ステップS306)。
【0104】
ステップ306で、シート有無検知センサ418がOFFであると判定された場合(ステップS306で「No」)、束逆転・紙有無判定処理を終了する。
【0105】
ステップ306で、シート有無検知センサ418がONであると判定された場合(ステップS306で「Yes」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、束排出ローラ593を停止させ(ステップS307)、画像形成装置100にジャムを通知した後(ステップS308)、束逆転・紙有無判定処理を終了する。
【0106】
[逆転速度決定処理]
次いで、画像形成システム1000で実行される逆転速度決定処理について、フローチャートを用いて説明する。
【0107】
図9は、逆転速度決定処理の手順を示すフローチャートである。逆転速度決定処理は、フィニッシャ500において、フィニッシャ制御部951のCPU952がROM953に格納されたプログラムを、必要に応じてRAM954に読み出して実行する。
【0108】
図9において、逆転速度決定処理が開始されると、フィニッシャ制御部951のCPU952は、束を構成するシートの搬送方向における長さ(以下、シート長と称す)が、調整値より短いか否かを判定する(ステップS401)。
【0109】
ステップS401の判定の結果、シート長が調整値より短いと判定された場合(ステップS401で「Yes」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、束排出ローラ593の逆転速度を速くする(ステップS402)。
【0110】
ここで、シート長が調整値より短い場合について、
図15を用いて説明する。
図15の(F)に示すように、束を構成するシート束PFのシート長が短く、処理トレイ590から下排出トレイ596にシート先端がもたれない場合、
図15の(G)に示すように、束を構成するシート束PGのシート長が長く、処理トレイ590から下排出トレイ596にもたれている場合よりも、少ない搬送力でシート束を掻き込むことが可能である。そのため、束排出ローラ593の逆転速度を速くしても束排出ローラ593が空回りすることなく、シート束を処理トレイ590に掻き込むことができる。よって、シート長が調整値より短い場合、調整値以上である場合よりも束排出ローラ593の速度を速くすることで、生産性の低下を抑制しつつ、束排出の成否を検出することが可能となる。本実施例では、シート長が217mm未満(LTRサイズのシート長以下)の場合、束排出ローラ593の逆転速度を50mm/s速くすることとする。
【0111】
束排出ローラ593の逆転速度を速くすると、フィニッシャ制御部951のCPU952は、シート束の坪量が調整値より軽いか否かを判定する(ステップS403)。
【0112】
ステップS401の判定の結果、シート長が調整値以上であると判定された場合(ステップS401で「No」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、シート束の坪量が調整値より軽いか否かを判定する(ステップS403)。
【0113】
ステップS403で、シート束の坪量が調整値より軽いと判定された場合(ステップS403で「Yes」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、束排出ローラ593の逆転速度を速くする(ステップS404)。
【0114】
ここでシート束の坪量が調整値より軽い場合について説明する。先述したように、シート束の総坪量が軽い場合、総坪量が重い場合よりも少ない搬送力で束排出することが可能である。そのため、束排出ローラ593の逆転速度を速くしても束排出ローラ593が空回りすることなく、シート束を処理トレイ590に掻き込むことができる。よって、束の総坪量が、先述した基準値以上であり、かつ調整値より軽い場合、束の総坪量が調整値以上である場合よりも束排出ローラ593を速くすることで、生産性の低下を抑制しつつ、束排出の成否を検出することが可能となる。本実施例では、100g以上200g未満の場合、束排出ローラ593の逆転速度を50mm/s速くすることとする。
【0115】
束排出ローラ593の逆転速度を速くすると、フィニッシャ制御部951のCPU952は、シート束の表紙、および裏表紙がコート紙でないか否かを判定する(ステップS405)。
【0116】
ステップS403で、シート束の坪量が調整値より軽くないと判定された場合(ステップS403で「No」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、シート束の表紙、および裏表紙がコート紙でないか否かを判定する(ステップS405)。
【0117】
ステップS405で、シート束の表紙、および裏表紙がコート紙でないと判定された場合(ステップS405で「Yes」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、束排出ローラ593の逆転速度を速くする(ステップS406)。
【0118】
ここで、シート束の表紙、および裏表紙がコート紙でないと判定された場合について説明する。先述したように、表紙および裏表紙コート紙でない場合、表紙若しくは裏表紙、若しくはその両方がコート紙である場合より、直接触れるシートの表面と束排出ローラ593の間にかかる摩擦力が大きいため、少ない搬送力でシート束を搬送することができる。そのため、束排出ローラ593の逆転速度を速くしても束排出ローラ593が空回りすることなく、シート束を処理トレイ590に掻き込むことができる。よって、表紙および裏表紙がコート紙でない場合、表紙若しくは裏表紙、若しくはその両方がコート紙である場合よりも束排出ローラ593の速度を速くすることで、生産性の低下を抑制しつつ、束排出の成否を検出することが可能となる。本実施例では、シート束の表紙および裏表紙がコート紙でないと判定された場合、束排出ローラ593の逆転速度を50mm/s速くすることとする。
【0119】
束排出ローラ593の逆転速度を速くすると、フィニッシャ制御部951のCPU952は、シート束の束枚数が調整値より少ないか否かを判定する(ステップS407)。
【0120】
ステップS405で、シート束の表紙、および裏表紙がコート紙であると判定された場合(ステップS405で「No」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、シート束の束枚数が調整値より少ないか否かを判定する(ステップS407)。
【0121】
ステップS407で、シート束の束枚数が調整値より少ないと判定された場合(ステップS407で「Yes」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、束排出ローラ593の逆転速度を速くする(ステップS408)。
【0122】
ここで、束枚数が調整値より少ない場合について説明する。先述したように、シート束の束枚数が少ない場合、束枚数が多い場合よりも少ない搬送力で束排出することが可能である。そのため、束排出ローラ593の逆転速度を速くしても、束排出ローラ593が空回りすることなく、シート束を処理トレイ590に掻き込むことができる。よって、束枚数が先述した基準枚数以上であり、かつ調整値より少ない場合、束枚数が調整値以上である場合よりも束排出ローラ593の速度を速くすることで、生産性の低下を抑制しつつ、束排出の成否を検出することが可能となる。本実施例では、30枚以上50枚未満である場合、束排出ローラ593の逆転速度を50mm/s速くすることとする。
【0123】
束排出ローラ593の逆転速度を速くすると、フィニッシャ制御部951のCPU952は、束排出ローラ593が基準値より摩耗していないか否かを判定する(ステップS409)。
【0124】
ステップS407で、シート束の束枚数が調整値より多いと判定された場合(ステップS407で「No」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、束排出ローラ593が調整値より摩耗していないか否かを判定する(ステップS409)。
【0125】
ステップS409で、束排出ローラ593が調整値より摩耗していないと判定された場合(ステップS409で「Yes」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、束排出ローラ593の逆転速度を速くし(ステップS410)、逆転速度決定処理を終了する。
【0126】
ここで、束排出ローラ593が調整値より摩耗していない場合について説明する。先述したように、束排出ローラ593は、搬送距離が短い場合や、通紙回数が少ない場合、束排出ローラ593の表面が摩耗していないため、少ない搬送力でシート束を搬送することが可能である。そのため、束排出ローラ593の逆転速度を速くしても、束排出ローラ593が空回りすることなく、シート束を処理トレイ590に掻き込むことができる。よって、束排出ローラ593が先述した摩耗度合いが、基準値以上であり、かつ調整値より摩耗していない場合、束排出ローラ593の速度を速くすることで、生産性の低下を抑制しつつ、束排出の成否を検出することが可能となる。本実施例では、束排出ローラ593の通紙回数が、300万回以上800万回未満である場合、束排出ローラ593の逆転速度を50mm/s速くすることとする。
【0127】
ステップS409で、束排出ローラ593が調整値より摩耗していると判定された場合(ステップS409で「No」)、逆転速度決定処理を終了する。
【0128】
[逆転時間決定処理]
次いで、画像形成システム1000で実行される逆転時間決定処理について、フローチャートを用いて説明する。
【0129】
図10は、逆転時間決定処理の手順を示すフローチャートである。逆転時間決定処理は、フィニッシャ500において、フィニッシャ制御部951のCPU952がROM953に格納されたプログラムを、必要に応じてRAM954に読み出して実行する。
【0130】
図10において、逆転時間決定処理が開始されると、フィニッシャ制御部951のCPU952は、シート長が、調整値以上であるか否かを判定する(ステップS501)。
【0131】
ステップS501の判定の結果、シート長が調整値以上であると判定された場合(ステップS501で「Yes」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、束排出ローラ593の逆転時間を長くする(ステップS502)。
【0132】
ここで、シート長が調整値以上である場合について、説明する。先述したように、束を構成するシートのシート長が長い場合、シート長が短い場合よりも大きい搬送力が必要である。そのため、束排出に失敗したシート束を確実に束排出ローラ593により処理トレイ590に掻き込むために、束排出ローラ593の逆転時間を長くする必要がある。よって、シート長が調整値以上である場合、シート長が調整値より短い場合より束排出ローラ593の逆転時間を長くすることで、より確実に束排出の成否を確実に検出する。本実施例では、217mm以上(LTRサイズより大きいサイズ)の場合、束排出ローラ593の逆転時間を500ms長くすることとする。
【0133】
束排出ローラ593の逆転時間を長くすると、フィニッシャ制御部951のCPU952は、シート束の坪量が調整値以上であるか否かを判定する(ステップS503)。
【0134】
ステップS501の判定の結果、シート長が調整値より短いと判定された場合(ステップS501で「No」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、シート束の坪量が調整値以上であるか否かを判定する(ステップS503)。
【0135】
ステップS503で、シート束の坪量が調整値以上であると判定された場合(ステップS503で「Yes」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、束排出ローラ593の逆転時間を長くする(ステップS504)。
【0136】
ここでシート束の坪量が調整値以上である場合について、説明する。先述したように、シート束の総坪量が重い場合、総坪量が軽い場合よりも大きい搬送力が必要である。そのため、束排出に失敗したシート束を確実に束排出ローラ593により処理トレイ590に格納するために、束排出ローラ593の逆転時間を長くする必要がある。よって、シート束の総坪量が調整値以上である場合、シート束の総坪量が調整値より軽い場合よりも束排出ローラ593の逆転時間を長くすることで、より確実に束排出の成否を確実に検出する。本実施例では、シート束の総坪量が200g以上の場合、束排出ローラ593の逆転時間を500ms長くすることとする。
【0137】
排出ローラ593の逆転時間を長くすると、フィニッシャ制御部951のCPU952は、シート束の表紙、若しくは裏表紙、若しくはその両方がコート紙であるか否かを判定する(ステップS505)。
【0138】
ステップS503で、シート束の坪量が調整値より軽いと判定された場合(ステップS503で「No」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、シート束の表紙、若しくは裏表紙、若しくはその両方がコート紙であるか否かを判定する(ステップS505)。
【0139】
ステップS505で、シート束の表紙、若しくは裏表紙、若しくはその両方がコート紙であると判定された場合(ステップS505で「Yes」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、束排出ローラ593の逆転時間を長くする(ステップS506)。
【0140】
ここで、シート束の表紙若しくは裏表紙、若しくはその両方がコート紙であると判定された場合について説明する。先述したように、シート束の表紙若しくは裏表紙、若しくはその両方がコート紙である場合、表紙および裏表紙がコート紙でない場合より、束排出ローラ593に直接触れるシートの表面と束排出ローラ593の間にかかる摩擦力が小さいため、大きい搬送力が必要である。そのため、束排出に失敗したシート束を確実に束排出ローラ593により処理トレイ590に掻き込むために、束排出ローラ593の逆転時間を長くする必要がある。よって、シート束の表紙若しくは裏表紙、若しくはその両方がコート紙である場合、シート束の表紙及び裏表紙がコート紙でない場合よりも束排出ローラ593の逆転時間を長くすることで、より確実に束排出の成否を検出する。本実施例では、シート束の表紙若しくは裏表紙、若しくはその両方がコート紙であると判定された場合、束排出ローラ593の逆転時間を500ms長くすることとする。
【0141】
排出ローラ593の逆転時間を長くすると、フィニッシャ制御部951のCPU952は、シート束の束枚数が調整値より多いか否かを判定する(ステップS507)。
【0142】
ステップS505でシート束の表紙および裏表紙がコート紙でないと判定された場合(ステップS505で「No」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、シート束の束枚数が調整値より多いか否かを判定する(ステップS507)。
【0143】
ステップS507で、シート束の束枚数が調整値以上であると判定された場合(ステップS507で「Yes」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、束排出ローラ593の逆転時間を長くする(ステップS508)。
【0144】
ここで、束枚数が調整値以上である場合について説明する。先述したように、シート束の束枚数が多い場合、束枚数が少ない場合よりも大きい搬送力が必要である。そのため、束排出に失敗したシート束を確実に束排出ローラ593により処理トレイ590に格納するためには、束排出ローラ593の逆転時間を長くする必要がある。よって、束枚数が調整値以上である場合、束枚数が調整値より少ない場合よりも束排出ローラ593の逆転時間を長くすることで、より確実に束排出の成否を検出する。本実施例では、束枚数が50枚以上の場合、束排出ローラ593の逆転時間を500ms長くすることとする。
【0145】
排出ローラ593の逆転時間を長くすると、フィニッシャ制御部951のCPU952は、束排出ローラ593の摩耗度合いが調整値以上か否かを判定する(ステップS509)。
【0146】
ステップS507で、シート束の束枚数が調整値より少ないと判定された場合(ステップS507で「No」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、束排出ローラ593の摩耗度合いが調整値以上か否かを判定する(ステップS509)。
【0147】
ステップS509で、束排出ローラ593の摩耗度合いが調整値以上であると判定された場合(ステップS509で「Yes」)、フィニッシャ制御部951のCPU952は、束排出ローラ593の逆転時間を長くし(ステップS510)、逆転時間決定処理を終了する。
【0148】
ここで、束排出ローラ593の摩耗度合いが調整値以上である場合について説明する。束排出ローラ593は、先述したように、搬送距離が長い場合や通紙回数が多い場合、束排出ローラ593の表面が摩耗しているため、大きい搬送力が必要である。そのため、束排出に失敗したシート束を確実に束排出ローラ593により処理トレイ590に格納するためには、束排出ローラ593の逆転時間を長くする必要がある。よって、束排出ローラ593の摩耗度合いが調整値以上である場合、束排出ローラ593の摩耗度合いが調整値より低い場合よりも束排出ローラ593の逆転時間を長くすることで、より確実に束排出の成否を検出することが可能となる。本実施例では、束排出ローラ593の通紙回数が、800万回以上の場合、束排出ローラ593の逆転時間を500ms長くすることとする。
【0149】
ステップS509で、束排出ローラ593の摩耗度合いが調整値より低いと判定された場合(ステップS509で「No」)、逆転時間決定処理を終了する。
【0150】
本実施形態では、束排出が完了したことを、束排出ローラ593の正転距離で判定する例について説明したが、束排出の完了は、束排出ローラ593の正転時間によって判定しても良い。
【0151】
本実施形態では、シート束を束排出した後、処理トレイ590内にシート束が残留していることを、処理トレイ590内に配置されたシート有無検知センサ418で検出する例について説明したが、処理トレイ590内にシート束が残留しているか否かは、他の検出手段を用いても良い。
【0152】
本実施形態では、操作表示装置600の設定により、本発明を実施するか否かを判定する例について説明したが、操作表示装置600の設定によらず実施しても良い。
【0153】
以上のように、先述した各実施態様によれば、束排出ローラ593を正転させて、シート束を処理トレイ590から下排出トレイ596に排出した後、束排出ローラ593を逆転させ、次シートが処理トレイ590に搬入されるまでに、束排出の成否を検出することで、シートの乱丁や落丁、混入等のシート束形成不良が発生する可能性を低下させることが可能になる。
【0154】
なお、本発明は前述した実施の形態に限定されず、本発明を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。これまでの実施の形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0155】
100 画像形成装置
418 シート有無検知センサ
500 フィニッシャ
590 処理トレイ(集積部)
591 シート処理装置
593 束排出ローラ
593a 下部束排出ローラ
593b 上部束排出ローラ
596 積載トレイ(載置部)