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特開2024-138640光硬化性樹脂組成物及びそれを用いたハードコートフィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138640
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】光硬化性樹脂組成物及びそれを用いたハードコートフィルム
(51)【国際特許分類】
   C08F 299/08 20060101AFI20241002BHJP
   C08J 7/046 20200101ALI20241002BHJP
   C09D 133/04 20060101ALI20241002BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20241002BHJP
【FI】
C08F299/08
C08J7/046 B
C09D133/04
C09D7/63
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049229
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000100698
【氏名又は名称】アイカ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】加藤 拓
【テーマコード(参考)】
4F006
4J038
4J127
【Fターム(参考)】
4F006AA22
4F006AB39
4F006AB43
4F006BA02
4F006CA08
4F006EA03
4J038CG141
4J038DL102
4J038GA01
4J038MA06
4J038NA03
4J038PA17
4J038PB05
4J038PB06
4J038PC08
4J127AA03
4J127AA04
4J127BA01
4J127BB041
4J127BB042
4J127BB071
4J127BB072
4J127BB221
4J127BB222
4J127BC021
4J127BC032
4J127BC042
4J127BC151
4J127BD061
4J127BD102
4J127BG171
4J127BG172
4J127BG17Y
4J127BG382
4J127BG38Y
4J127FA08
(57)【要約】
【課題】耐候性に優れるアクリル(メタ)アクリレート系樹脂を主要バインダーとし、高い成形性と共に十分な耐摩耗性及び耐薬品性を有する光硬化性樹脂組成物、及びこれを塗工したハードコートフィルムを提供する。
【解決手段】二重結合当量が700~5000g/molであるアクリル(メタ)アクリレート重合体と、官能基を有するシリコーン(メタ)アクリレート共重合体と、光重合開始剤と、を含み、前記シリコーン(メタ)アクリレート共重合体の配合量が固形分全量に対し0.5~15重量%であることを特徴とする光硬化性樹脂組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重結合当量が700~5000g/molであるアクリル(メタ)アクリレート重合体(A)(但し(B)を除く)と、官能基を有するシリコーン(メタ)アクリレート共重合体(B)と、光重合開始剤(C)と、を含み、前記(B)の配合量が固形分全量に対し0.5~15重量%であることを特徴とする光硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(B)が、アクリル主鎖にシリコーン側鎖と反応性官能基側鎖を有する共重合体であることを特徴とする請求項1記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
プラスチック基材の少なくとも片面に、請求項1又は2いずれか記載の光硬化性樹脂組成物の硬化層が形成されたハードコートフィルム。
【請求項4】
成形用フィルムであることを特徴とする請求項3記載のハードコートフィルム。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光硬化性の樹脂組成物、及びその樹脂硬化層を有するハードコートフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
アクリル系の光硬化性樹脂は、プラスチックフィルムやプラスチック成形物表面に特別な性能を付与するために多くの分野で用いられており、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に塗布して高硬度を付与したハードコートフィルムは、タッチパネル用フィルムや成形用フィルムとして大量に使用されている。
【0003】
これらのなかで特に成形用としては、フィルム表面に絵柄を印刷後、加熱により軟化させた状態で3次元成形を行う成形用フィルムが良く知られているが、フィルムに塗布されたハードコート樹脂層を硬くすると、立体形状に加工する際に曲面においてマイクロクラックが入りやすくなり、加工形状には制約があった。そのため過去に出願人は、立体成形加工に適したシートを成形するための光硬化性樹脂組成物として、(ポリ)エチレングリコールと脂肪族環式ジイソシアネートとヒドロキシル(メタ)アクリレートとの反応で得られる2官能ウレタンアクリレートと、MMAを含む反応性希釈剤からなる組成物を発明している(特許文献1)。この樹脂組成物の硬化物は、良好な成形性と共に耐薬品性を有する優れるものであった。
【0004】
こうした成形用途に適したハードコート剤を選定することで、加工面での制約はある程度緩和されてはきたが、インサート成形品の用途が広がるにつれて、従来から求められる成形性や耐摩耗性に加え、屋外でも使用できる良好な耐候性を求められるようになってきた。特に、樹脂自体が耐候性に優れるという点で、アクリル(メタ)アクリレート系のような分子内にウレタン結合を持たないような樹脂を主要バインダーとして求められる場合も増えてきている。一方で、こうした樹脂を使用する場合でも、十分な成形性と共に耐摩耗性や耐薬品性といった、成形フィルムに求められる物性を同時に満たすためには改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6865645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、耐候性に優れるアクリル(メタ)アクリレート系樹脂を主要バインダーとし、高い成形性と共に十分な耐摩耗性及び耐薬品性を有する光硬化性樹脂組成物、及びこれを塗工したハードコートフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、二重結合当量が700~5000g/molであるアクリル(メタ)アクリレート重合体(A)(但し(B)を除く)と、官能基を有するシリコーン(メタ)アクリレート共重合体(B)と、光重合開始剤(C)と、を含み、前記(B)の配合量が固形分全量に対し0.5~15重量%であることを特徴とする光硬化性樹脂組成物を提供する。
【0008】
請求項2の発明は、前記(B)が、アクリル主鎖にシリコーン側鎖と反応性官能基側鎖を有する共重合体であることを特徴とする請求項1記載の光硬化性樹脂組成物を提供する。
【0009】
請求項3の発明は、プラスチック基材の少なくとも片面に、請求項1又は2いずれか記載の光硬化性樹脂組成物の硬化層が形成されたハードコートフィルムを提供する。
【0010】
請求項4の発明は、成形用フィルムであることを特徴とする請求項3記載のハードコートフィルムを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光硬化性樹脂組成物(以下本組成物という)及びその樹脂硬化層を有するハードコートフィルム(以下HCフィルムという)は、破断伸度が高く成形性が良好であると共に耐摩耗性や耐薬品性を有し、耐候性にも優れるため、屋外で使用するようなインサート成形品やアウトモールド成形品に用いる材料として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本組成物の構成は、アクリル(メタ)アクリレート重合体(A)と、官能基を有するシリコーン(メタ)アクリレート共重合体(B)と、光重合開始剤(C)である。なお、本明細書において(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートとの双方を包含する。
【0013】
本発明に使用されるアクリル(メタ)アクリレート共重合体(A)は、硬化皮膜を構成する主要バインダーであり、アクリル主鎖に(メタ)アクリロイル基がぶら下った構造を有する。ウレタンアクリレートのように分子骨格内にウレタン結合を含まないため、樹脂自体で非常に良好な耐候性を有している光硬化性のバインダーである。
【0014】
前記(A)の二重結合当量は700~5000g/molであり、800~3000g/molが好ましく、900~2500g/molが更に好ましい。700g/mol未満では破断伸度が低くなる傾向があり、5000g/mol超では耐摩耗性が低下する傾向がある。
【0015】
前記(A)の重量平均分子量(以下Mwという)は20,000~200,000が好ましく、30,000~150,000が更に好ましく、40,000~100,000が特に好ましい。20,000以上とすることで十分な伸び率を確保することができ、200,000以下とすることで十分な硬化性を確保できると共に、作業性の良い粘度に調整しやすくなる。
【0016】
前記(A)の配合量は、固形分全量に対し80~98重量%が好ましく、85~96重量%が更に好ましく、88~95重量%が特に好ましい。80重量%以上とすることで十分な破断強度と耐薬品性を確保することができ、98重量%以下とすることで十分な耐摩耗性を確保することができる。
【0017】
本発明に使用される官能基を有するシリコーン(メタ)アクリレート共重合体(B)は、硬化物表面の滑り性を良好にして耐摩耗性を向上させると共に、耐久性に優れた塗膜を形成させる目的で添加される。例えばアクリル主鎖に、シリコーン側鎖と(メタ)アクリロイル基等の反応性官能基側鎖を併せ持つアクリル共重合体等を挙げることができる。(メタ)アクリロイル基等の反応性官能基側鎖を分子内に有することで、(A)と強固に結合することができる。結果として、経時的なブリードアウト発生を抑制して、長期間にわたり硬化物表面に良好な滑り性や耐摩耗性を付与することができる。
【0018】
前記(B)のMwは3,000~50,000が好ましく、5,000~30,000が更に好ましい。この範囲とすることで十分な耐摩耗性を確保することができる。また二重結合当量は100~1000g/molが好ましく、200~800g/molが更に好ましい。この範囲とすることで十分な反応性と耐摩耗性を確保することができる。
【0019】
前記(B)の配合量は、固形分全量に対しては0.5~15重量%であり、0.6~12重量%が好ましく、0.7~10重量%が更に好ましく、0.8~4重量%が特に好ましい。0.5重量%未満の場合は耐摩耗性が十分でなくなる場合があり、15重量%超の場合は破断伸度が低くなり成形性が低下する場合がある。また、(A)100重量部に対する配合量は0.5~18重量部が好ましく、0.7~15重量部が更に好ましく、0.8~10重量部が特に好ましく、0.9~3.0重量部がとりわけ好ましい。(B)の市販品としては8SS-723(商品名:大成ファインケミカル社製)等が挙げられる。
【0020】
本発明に使用される光重合開始剤(C)は、紫外線や電子線などの照射でラジカルを生じ、そのラジカルが重合反応のきっかけとなるもので、ベンジルケタール系、アセトフェノン系、フォスフィンオキサイド系等汎用の光重合開始剤が使用できる。重合開始剤の光吸収波長を任意に選択することによって、紫外線領域から可視光領域にいたる広い波長範囲にわたって硬化性を付与することができる。具体的にはベンジルケタール系として2.2-ジメトキシ-1.2-ジフェニルエタン-1-オンが、α-ヒドロキシアセトフェノン系として1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン及び1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オンが、α-アミノアセトフェノン系として2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オンが、アシルフォスフィンオキサイド系として2.4.6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド及びビス(2.4.6‐トリメチルベンゾイル)‐フェニルフォスフィンオキサイド等があり、単独または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0021】
これらの中では、黄変しにくいα-ヒドロキシアセトフェノン系を含むことが好ましく、市販品としてはOmnirad127D、184及び2959(商品名:IGM Resins社製)などが挙げられる。前記(C)のラジカル重合性分100重量部に対する配合は2~12重量部が好ましく、3~10重量部が更に好ましい。
【0022】
本組成物には、性能を損なわない範囲で必要に応じて酸化防止剤、ブルーイング剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈澱防止剤、帯電防止剤、防曇剤、抗菌剤、ワックス、つや消し剤、親水剤、撥水剤、無機フィラー、有機微粒子等を添加してもよい。
【0023】
本組成物をプラスチック基材に塗工する際には、塗工特性を向上させるため溶剤で希釈してもよい。例えばエタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン(以下MEKという)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下PGMという),ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素系溶媒等があげられ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用できる。希釈する場合の固形分としては10~70%が例示されるが、特に指定は無く、塗工しやすい粘度となるように適宜設定可能である。
【0024】
本組成物が塗布されるプラスチック基材としては、ポリエステルフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、ポリカーボネート(以下PCという)フィルム、ポリスルフォンフィルム、ナイロンフィルム、シクロオレフィンフィルム、アクリル(以下PMMAという)フィルム、ポリイミドフィルム、ABSフィルム、ポリオレフィンフィルム、PVCフィルム、PVAフィルム等を挙げることができる。なかでも耐候性、加工性、寸法安定性などの点から二軸延伸処理されたポリエステルフィルムが好ましく用いられる。その他、PMMAフィルムやPCフィルムも好ましく用いられ、またそれらの積層フィルムでも良い。フィルムの厚みは概ね25μm~500μmであればよい。
【0025】
前記プラスチック基材は、本組成物との密着性を向上させる目的で、プライマー処理やサンドブラスト法、溶剤処理法などによる表面の凹凸化処理、あるいはコロナ放電処理、クロム酸処理、オゾン・紫外線照射処理などの表面の酸化処理などの表面処理を施すことができる。
【0026】
本組成物を塗布する方法は、特に制限はなく、公知のスプレーコート、ロールコート、ダイコート、エアナイフコート、ブレードコート、スピンコート、リバースコート、グラビアコート、ワイヤーバーなどの塗工法またはグラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷などの印刷法により形成できる。塗工する膜厚は乾燥時で1μm~10μmが例示できるが、これに限定されるものではない。
【0027】
本組成物を硬化させる際に用いる紫外線照射の光源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、カーボンアーク灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、LEDランプ、無電極紫外線ランプなどがあり、また照射する雰囲気は空気中でもよいし、窒素、アルゴンなどの不活性ガス中でもよい。また紫外線照射時にバックロールの加温や、IRヒーターなどにより塗膜を加熱することで、より硬化性を上げることができる。照射条件としては照射強度500mW/cm~3000mW/cm、露光量50~400mJ/cmが例示されるが、これに限定されるものではない。
【0028】
本組成物をプラスチック基材に塗工し硬化させたHCフィルム(以下本HCフィルムという)は、130℃雰囲気下での破断伸度が100%以上であることが好ましく、150%超であることが更に好ましい。破断伸度を100%以上とすることで十分な成形性が期待でき、150%超とすることで深絞り加工でも安定した成形性が期待できる。
【0029】
本HCフィルムには、必要に応じ加飾層を設けることができる。加飾する方法としては、例えば印刷や金属蒸着等が挙げられ、またこれら両方を用いて加飾しても良い。また更に射出成形樹脂との密着性を向上させるため、接着層やプライマー層を設けても良い。
【0030】
本HCフィルムには本組成物が塗布された面の保護のため、保護フィルムを貼り合わせても良い。保護フィルムを用いることで、インサート成形やアウトモールド成形プロセスでの傷つき防止ができ、歩留まり向上が期待できる。
【0031】
本HCフィルムをインサート成形で用いる方法としては、例えば本組成物が塗布された面を金型の内壁面に向かうよう(本組成物硬化層の反対面が成形樹脂と接するよう)に配置し、必要に応じて本HCフィルムを金型形状に追従させ予備成形し、次に金型を閉じてキャビティ―内に溶融状態の成形樹脂を射出させ、樹脂を固化させることにより樹脂成形品を形成することができる。
【0032】
上記予備成形を行う方法としては、本HCフィルムを軟化点以上に予備加熱して金型に配置し、金型に設けられた吸引孔を通じて真空吸引する方法や、射出成形用金型とは別の成形用金型を用い、真空成形や圧空成形、プレス成形等の公知の成形方法を用いることができる。またこれらの予備成形を行わず、成形樹脂による射出圧により、成形と射出樹脂との一体成形を同時に行うことも可能である。
【0033】
更に本HCフィルムは、アウトモールド成形にも用いることができる。例えば、TOM(Three-Dimensional Overlay Method)成形に用いても良い。TOM成形は、気密ボックス内にて予め成形された基材に、真空・圧空成形にて3次元表面加飾を行うフィルム成形方法であり、本HCフィルムを用いることで基材の材質を問わず、3次元の大型製品にも対応可能である。
【0034】
以下、本発明について実施例、比較例を挙げて詳細に説明するが、具体例を示すものであって、特にこれらに限定するものではない。なお表記が無い場合は、室温は25℃相対湿度65%の条件下で測定を行った。また配合量は重量部を示す。
【0035】
実施例1~5
前記(A)として8KX-281(商品名:大成ファインケミカル社製、二重結合当量1000g/mol、Mw65,000、固形分35%)及び8KX-278(商品名:大成ファインケミカル社製、二重結合当量1500g/mol、Mw60,000、固形分35%)及び8KX-279(商品名:大成ファインケミカル社製、二重結合当量2000g/mol、Mw60,000、固形分35%)を、(B)として8SS-723(商品名:大成ファインケミカル社製、二重結合当量340g/mol、Mw10,000、固形分35%)を、(D)としてOmnirad2959(商品名:IGM Resins社製、α-ヒドロキシアセトフェノン系)を、表1記載の配合で均一に溶解・分散するまで撹拌し、更に固形分が30%となるようにPGMを加えて希釈撹拌し、実施例1~5の光硬化性樹脂組成物を得た。
【0036】
比較例1~2
実施例で用いた材料の他、オリゴマーとして8KX-280(商品名:大成ファインケミカル社製、二重結合当量500g/mol、Mw65,000、固形分35%)を、表1記載の配合で均一に溶解・分散するまで撹拌し、更に固形分が30%となるようにPGMを加えて希釈撹拌し、比較例1~2の光硬化性樹脂組成物を得た。
【0037】
表1
【0038】
評価方法は以下の通りとした。
【0039】
HCフィルムの調製
実施例及び比較例で作成した光硬化性樹脂組成物を、アクリプレンHBA007P(商品名:三菱ガス化学社製、厚み75μm、PMMAフィルム)を用い、PMMA面側に乾燥膜厚で3μmとなるように光硬化性樹脂を塗布し、恒温槽で80℃×1分乾燥後、高圧水銀ランプで出力1300mW/cm2、積算光量が200mJとなる様に紫外線照射し、評価用フィルムを調製した。
【0040】
硬化性:HCフィルムを用い、塗膜表面の指触でもタック感を確認し、タック無しの場合を〇、タック有りの場合を×とした。
【0041】
密着性:JIS K 5600-5-6のクロスカット法に準拠し、塗工面に1mm間隔で10×10にマス目を作成し、セロハンテープCT-24(商品名:ニチバン社製)を貼り、上方に引っ張り剥離状況を確認し、剥離無しの場合を〇、剥離有りの場合を×とした。
剥離無し:100/100、剥離有り:0/100~99/100
【0042】
耐摩耗性:スガ試験機製の摩擦試験機FR-IBSを用い、ハードコートフィルムの樹脂組成物塗布面を、試験用白綿布(カナキン3号)を取り付けた摩擦子(直径16mm)で9Nの荷重をかけて1往復/1秒の速さで100mm往復させ、200往復後の傷の有無を確認し、傷無しを◎、わずかな擦れがみられる場合を〇、傷有りを×とした。
【0043】
耐薬品性:硬化皮膜にIPAを滴下した後、30分放置させ、その後室温に戻して拭き取ったのち表面を観察した。塗布の跡なしを○、跡ありを×とした。
【0044】
破断伸度:HCフィルムを横25mm×縦100mmにカットし、Minebia製TechnoGraph TGI-1KNを用い、チャック間距離50mmで雰囲気温度130℃、引っ張り速度300mm/分で引っ張り試験を行った。評価は目視で割れを確認し、伸び率が150%超を◎、100~150%を〇、100%未満を×とした。
計算式:50mmを基準として何mm伸びたかで計算。
伸びた長さ(mm)/50mm×100=伸び率%
【0045】
成形性:成形フィルムを基材温度180℃まで加熱後、真空成型機で直径30mm×Hmmの円柱型を用いて真空成形し、白化やクラックがなく完全に賦形できた深さ(H)を測定した。評価は7mm超を◎、5~7mmを〇、5mm未満を×とした。
【0046】
実施例評価結果
表2
【0047】
実施例は硬化性、密着性、耐摩耗性、耐薬品性、破断伸度、成型性、全ての面で問題はなく良好であった。
【0048】
一方、二重結合当量が小さい比較例1は破断伸度及び成形性が劣り、(B)を含まない比較例2は耐摩耗性が劣り、いずれも本願発明に適さないものであった。