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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138663
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】位置決め装置
(51)【国際特許分類】
   G05D 3/12 20060101AFI20241002BHJP
   G05B 19/19 20060101ALI20241002BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
G05D3/12 L
G05B19/19 H
H01L21/68 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049254
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】酒井 博史
【テーマコード(参考)】
3C269
5F131
5H303
【Fターム(参考)】
3C269AB17
3C269BB03
3C269CC01
3C269GG01
3C269JJ09
3C269JJ19
3C269JJ20
3C269MN07
3C269MN14
3C269MN16
3C269MN46
5F131BA12
5F131BA54
5F131CA01
5F131CA02
5F131CA18
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA02
5F131EA14
5F131EA15
5F131EA22
5F131EA23
5F131EA24
5F131FA17
5F131FA32
5F131FA33
5F131FA37
5F131KA03
5F131KA14
5F131KA16
5F131KA47
5F131KA72
5F131KB12
5F131KB32
5F131KB53
5F131KB54
5F131KB55
5F131KB56
5H303AA06
5H303BB02
5H303BB03
5H303BB07
5H303BB08
5H303CC01
5H303CC08
5H303DD04
5H303GG11
5H303GG14
5H303HH01
(57)【要約】
【課題】位置決め対象物及び前記位置決め対象物を移動させる移動部が有する外乱要因による影響を抑制し、位置決め精度を向上させた位置決め装置を提供する。
【解決手段】XY方向移動部3と、撮像装置12と、撮像装置12のX方向の位置およびY方向の位置を計測するX方向レーザ干渉計13x、Y方向レーザ干渉計13yと、XY位置制御信号SをXY方向移動部3に対して出力し、X方向レーザ干渉計13x、Y方向レーザ干渉計13yが計測した計測位置Pmを取得する制御部15と、を有する。目標位置Ptと、計測位置Pmとに基づいて、撮像装置12のX方向の位置およびY方向の位置を補正するXY位置補正制御信号ScをXY方向移動部3に対して出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
前記基部に支持され、X方向の位置および前記X方向に直交するY方向の位置を制御するXY位置制御信号に基づいて、前記基部に対して前記X方向および前記Y方向に移動可能に構成されるXY方向移動部と、
前記XY方向移動部に支持される位置決め対象物と、
前記基部に支持され、前記基部に対する前記位置決め対象物の前記X方向の位置および前記Y方向の位置を計測する対象物位置計測部と、
前記対象物を前記X方向の目標位置および前記Y方向の目標位置に移動させる前記XY位置制御信号を前記XY方向移動部に対して出力し、前記対象物位置計測部が計測した前記対象物の前記X方向の計測位置および前記Y方向の計測位置を取得する制御部と、
を有する位置決め装置であって、
前記制御部は、
前記X方向の目標位置および前記Y方向の目標位置と、前記対象物位置計測部から取得した前記X方向の計測位置および前記Y方向の計測位置とに基づいて、前記位置決め対象物の前記X方向の位置および前記Y方向の位置を補正する補正位置制御信号を前記XY方向移動部に対して出力する、
位置決め装置。
【請求項2】
請求項1に記載の位置決め装置において、
前記位置決め対象物は、
所定の方向の位置を制御する位置制御信号に基づいて、前記XY方向移動部に対して前記所定の方向に移動可能に構成される所定方向移動部を含み、
前記対象物位置計測部は、
前記所定方向移動部の移動方向の位置を計測可能に構成され、
前記制御部は、
前記所定方向移動部を所定方向の目標位置に移動させる前記位置制御信号を前記所定方向移動部に対して出力する、
位置決め装置。
【請求項3】
請求項1に記載の位置決め装置において、
前記位置決め対象物は、
前記X方向および前記Y方向にそれぞれ直交するZ方向の位置を制御するZ方向位置制御信号に基づいて、前記XY方向移動部に対して前記Z方向に移動可能に構成されるZ方向移動部を含み、
前記対象物位置計測部は、
前記Z方向の位置を制御する前記Z方向位置制御信号に基づいて、前記基部に対してZ方向に移動可能に構成される計測移動部を含み、
前記制御部は、
前記Z方向移動部をZ方向の目標位置に移動させる前記Z方向位置制御信号を前記Z方向移動部および前記計測移動部に対して出力し、前記Z方向移動部の前記Z方向の移動に応じて、前記計測移動部によって前記Z方向に移動した前記対象物位置計測部が計測した前記Z方向移動部の前記X方向の計測位置および前記Y方向の計測位置を取得する、
位置決め装置。
【請求項4】
請求項3に記載の位置決め装置において、
前記対象物位置計測部は、
前記X方向の位置および前記Y方向の位置を示すスケール部材、および前記スケール部材における座標を検出するヘッド部材を含み、
前記ヘッド部材または前記スケール部材のうちいずれか一方の部材が前記Z方向移動部に支持され、前記ヘッド部材に支持されていない他方の部材が前記計測移動部に支持され、
前記Z方向移動部の前記Z方向の位置に基づいて、前記計測移動部によって前記スケール部材と前記ヘッド部材との間隔を調整可能に構成される、
位置決め装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の位置決め装置において、
前記制御部は、
前記Z方向位置制御信号に基づく前記Z方向移動部の移動量が所定範囲内である場合、前記計測移動部の前記Z方向の位置を維持するZ方向位置維持制御信号を前記計測移動部に対して出力する、
位置決め装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の位置決め装置において、
前記対象物位置計測部は、
前記X方向および前記Y方向のうちいずれか一方の方向の位置を計測可能、且つ他方の方向の所定範囲内の位置ずれを計測可能に構成される、
位置決め装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載の位置決め装置において、
前記位置決め対象物は、
アライメントカメラを有する、
位置決め装置。
【請求項8】
請求項1または2に記載の位置決め装置において、
前記位置決め対象物は、
ボンディングヘッドを有する、
位置決め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は対象物を位置決めする位置決め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置、インクジェット塗布装置等の製造装置は、基板等を載置するステージと、前記基板等にICチップを接続するボンダ装置、インク等を塗布する塗布装置等の加工装置とを有している。前記製造装置は、ステージ上の基板等に対する加工装置の位置を相対的に位置決めする位置決め装置によってステージまたは加工装置を任意の位置に移動可能に構成されている。前記位置決め装置は、前記ステージまたは前記加工装置をそれぞれ移動させるアクチュエータと、前記アクチュエータを制御する制御装置とを有する。また、前記アクチュエータは、前記ステージまたは前記加工装置の位置を計測する計測装置を有している。前記位置決め装置は、前記計測装置からの計測信号に基づいて前記ステージまたは前記加工装置を目標位置に移動させる。
【0003】
このような位置決め装置は、数μm以下の高い位置決め精度が求められる。一方、位置決め装置は、アクチュエータの精度のばらつき、機構部分の摩耗等による経年変化、環境温度による構成部材の熱膨張または熱収縮等により目標位置に対する位置決め位置にずれが生じる。よって、前記製造装置は、前記計測装置の計測値に基づいて前記ステージまたは前記加工装置を目標位置に移動させても所定の精度で位置決めできない可能性がある。そこで、アクチュエータの精度のばらつき、機構部分の摩耗等による経年変化、環境温度による構成部材の熱膨張または熱収縮等によって生じる位置決めのずれを抑制するための位置決め装置が知られている。
【0004】
特許文献1に記載の部品実装装置は、所定位置に位置決めした基板に搭載ヘッドによってピックアップした部品を搭載する。前記部品実装装置は、校正用基板を所定位置に位置決めする位置決め手段と、前記搭載ヘッドによりピックアップした校正用部品を制御データに基づいて前記校正用基板上の目標搭載位置に搭載する校正用部品搭載手段と、前記校正用基板上に搭載された前記校正用部品の実際の搭載位置と前記目標搭載位置とのずれを検出して制御データの校正を行う校正手段とを有する。前記部品実装装置は、前記校正用基板と前記校正用部品とを用いて前記校正用基板に対する前記校正用部品の目標搭載位置と搭載位置とのずれに基づいて前記制御データを校正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-227047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の部品実装装置の位置決め精度は、制御データに基づいて前記校正用基板上の目標搭載位置に前記校正用部品を搭載する校正用部品搭載手段の構造上の誤差および制御上の誤差等の外乱要因を含んでいる。例えば、特許文献1に記載の部品実装装置は、前記校正用部品搭載手段の剛性が高くない場合、前記制御データの校正によって制御上の誤差を修正しても、搬送物の慣性モーメントの影響による前記校正用部品搭載手段の構造上の誤差が生じ、必要な位置決め精度が得られない場合があった。
【0007】
本発明の目的は、位置決め対象物および前記位置決め対象物を移動させる移動部が有する外乱要因による影響を抑制し、位置決め精度を向上させた位置決め装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、位置決め対象物および前記位置決め対象物を移動させる移動部が有する外乱要因による影響を抑制し、位置決め精度を向上させた位置決め装置の構成について検討した。鋭意検討の結果、本発明者は、以下のような構成に想到した。
【0009】
本発明の実施形態に係る位置決め装置は、基部と、前記基部に支持され、X方向の位置および前記X方向に直交するY方向の位置を制御するXY位置制御信号に基づいて、前記基部に対して前記X方向および前記Y方向に移動可能に構成されるXY方向移動部と、前記XY方向移動部に支持される位置決め対象物と、前記基部に支持され、前記基部に対する前記位置決め対象物の前記X方向の位置および前記Y方向の位置を計測する対象物位置計測部と、前記対象物を前記X方向の目標位置および前記Y方向の目標位置に移動させる前記XY位置制御信号を前記XY方向移動部に対して出力し、前記対象物位置計測部が計測した前記対象物のX方向の計測位置およびY方向の計測位置を取得する制御部と、を有する位置決め装置である。
【0010】
前記制御部は、前記X方向の目標位置および前記Y方向の目標位置と、前記対象物位置計測部から取得した前記X方向の計測位置および前記Y方向の計測位置とに基づいて、前記位置決め対象物の前記X方向の位置および前記Y方向の位置を補正するXY位置補正制御信号を前記XY方向移動部に対して出力する。
【0011】
上述の構成では、前記XY方向移動部によって移動された位置決め対象物の前記X方向の計測位置および前記Y方向の計測位置を、例えば、2Dスケール等から構成される対象物位置計測部によって取得可能である。よって、本発明の位置決め装置は、前記位置決め対象物の目標位置に対して前記XY方向移動部が有する構造上の誤差および制御上の誤差等の外乱要因を含まない前記位置決め対象物の位置を把握することができる。これにより、前記位置決め対象物の目標位置と計測位置とから、前記位置決め対象物および前記位置決め対象物を移動させる前記XY方向移動部が有する外乱要因による影響を抑制し、位置決め精度を向上させることができる。
【0012】
他の観点によれば、本発明の位置決め装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記位置決め対象物は、所定の方向の位置を制御する位置制御信号に基づいて、前記XY方向移動部に対して前記所定の方向に移動可能に構成される所定方向移動部を含む。前記対象物位置計測部は、前記所定方向移動部の移動方向の位置を計測可能に構成される。前記制御部は、前記所定方向移動部を所定方向の目標位置に移動させる前記位置制御信号を前記所定方向移動部に対して出力する。
【0013】
上述の構成では、前記位置決め装置は、前記所定方向移動部の目標位置に対して前記XY方向移動部および前記所定方向移動部が有する構造上の誤差および制御上の誤差等の外乱要因を含まない前記所定方向移動部の位置を把握することができる。これにより、前記所定方向移動部の目標位置と計測位置とから前記XY方向移動部および前記所定方向移動部が有する外乱要因による影響を抑制し、位置決め精度を向上させることができる。
【0014】
他の観点によれば、本発明の位置決め装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記位置決め対象物は、前記X方向および前記Y方向にそれぞれ直交するZ方向の位置を制御するZ方向位置制御信号に基づいて、前記XY方向移動部に対して前記Z方向に移動可能に構成されるZ方向移動部を含む。前記対象物位置計測部は、前記Z方向の位置を制御する前記Z方向位置制御信号に基づいて、前記基部に対して前記Z方向に移動可能に構成される計測移動部を含む。前記制御部は、前記Z方向移動部を前記Z方向の目標位置に移動させる前記Z方向位置制御信号を前記Z方向移動部および前記計測移動部に対して出力し、前記Z方向移動部の前記Z方向の移動に応じて、前記計測移動部によって前記Z方向に移動した前記対象物位置計測部が計測した前記Z方向移動部の前記X方向の計測位置および前記Y方向の計測位置を取得する。
【0015】
上述の構成では、前記対象物位置計測部は、前記計測移動部によって、前記位置決め対象物に含まれる前記Z方向移動部によって、Z方向に移動可能である。前記計測移動部は、前記Z方向移動部の前記Z方向の位置を制御するZ方向位置制御信号に基づいて前記Z方向に移動する。つまり、前記計測移動部は、前記Z方向移動部の動きに連動している。よって、前記対象物位置計測部は、前記Z方向移動部が前記Z方向に移動しても、前記位置決め対象物の前記X方向の位置および前記Y方向に位置を計測することができる。これにより、前記位置決め対象物の目標位置と計測位置とから前記XY方向移動部および前記Z方向移動部が有する外乱要因による影響を抑制し、位置決め精度を向上させることができる。
【0016】
他の観点によれば、本発明の位置決め装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記対象物位置計測部は、前記X方向の位置および前記Y方向の位置を示すスケール部材、および前記スケール部材の座標を検出するヘッド部材を含む。前記ヘッド部材または前記スケール部材のうちいずれか一方の部材が前記Z方向移動部に支持され、前記ヘッド部材に支持されていない他方の部材が前記計測移動部に支持され、前記Z方向移動部の前記Z方向の位置に基づいて、前記計測移動部によって前記スケール部材と前記ヘッド部材との間隔を調整可能に構成される。
【0017】
上述の構成では、対象物位置計測部は、例えば、前記Z方向移動部に支持されるヘッド部材と、前記基部に支持されるスケール部材とを含む。前記スケール部材は、前記計測移動部によってZ方向に移動可能に構成される。よって、前記対象物位置計測部は、前記Z方向移動部の前記Z方向への移動によって、前記ヘッド部材が前記Z方向に移動した場合、前記Z方向移動部の前記Z方向への移動に応じて、前記計測移動部によって前記スケール部材を前記Z方向に移動させる。つまり、前記計測移動部は、前記Z方向移動部の動きに連動している。よって、前記対象物位置計測部は、前記ヘッド部材と前記スケール部材との間隔を一定の範囲に保つので、前記Z方向移動部の前記X方向の位置および前記Y方向の位置を計測可能である。これにより、前記位置決め対象物の目標位置と計測位置とから前記XY方向移動部および前記Z方向移動部が有する外乱要因による影響を抑制し、位置決め精度を向上させることができる。
【0018】
他の観点によれば、本発明の位置決め装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記制御部は、前記Z方向位置制御信号に基づく前記Z方向移動部の移動量が所定範囲内である場合、前記計測移動部の前記Z方向の位置を維持するZ方向位置維持制御信号を前記計測移動部に対して出力する。
【0019】
上述の構成では、前記Z方向移動部の移動量が前記対象物位置計測部のZ方向の計測可能範囲内である場合、前記計測移動部の前記Z方向の位置を維持する。よって、前記対象物位置計測部は、前記Z方向移動部の移動が前記対象物位置計測部のZ方向の計測可能範囲以下の微小な調整の場合、前記Z方向移動部の移動に追従ないので、移動による計測誤差を抑制することができる。これにより、前記位置決め対象物の目標位置と計測位置とから前記XY方向移動部および前記Z方向移動部が有する外乱要因による影響を抑制し、位置決め精度を向上させることができる。
【0020】
他の観点によれば、本発明の位置決め装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記対象物位置計測部は、前記X方向および前記Y方向のうちいずれか一方の方向の位置を計測可能、且つ他方の方向の所定範囲内の位置ずれを計測可能に構成される。
【0021】
上述の構成では、前記XY方向移動部が前記X方向または前記Y方向のうちいずれか一方の方向にだけ移動する場合、前記X方向または前記Y方向のうち移動しない他方の方向における位置ズレを計測可能である。よって、前記対象物位置計測部の設置誤差を補正することができる。これにより、前記位置決め対象物の目標位置と計測位置とから前記位置決め対象物の位置決め精度を向上させることができる。
【0022】
他の観点によれば、本発明の位置決め装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記位置決め対象物は、アライメントカメラを有する。
【0023】
上述の構成では、前記制御部は、前記XY方向移動部および前記Z方向移動部によって移動されたアライメントカメラの前記X方向の計測位置および前記Y方向の計測位置を前記対象物位置計測部によって取得可能である。よって、前記位置決め装置は、前記XY方向移動部および前記位置決め対象物が有する構造上の誤差および制御上の誤差を抑制した状態で前記アライメントカメラを位置付けることができる。これにより、前記所定方向移動部の目標位置と計測位置とから前記XY方向移動部および前記所定方向移動部が有する外乱要因による影響を抑制し、前記アライメントカメラの位置決め精度を向上させることができる。
【0024】
他の観点によれば、本発明の位置決め装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記対象物位置計測部は、前記X方向および前記Y方向のうちいずれか一方の方向の位置を計測可能、且つ他方の方向の所定範囲内の位置ずれを計測可能に構成される。
【0025】
上述の構成では、前記制御部は、前記XY方向移動部およびZ方向移動部によって移動されたボンディングヘッドの前記X方向の計測位置と前記Y方向の計測位置を前記対象物位置計測部によって取得可能である。よって、前記位置決め装置は、前記XY方向移動部および前記位置決め対象物が有する構造上の誤差および制御上の誤差を抑制して前記ボンディングヘッドを位置付けることができる。これにより、前記所定方向移動部の目標位置と計測位置とから前記XY方向移動部および前記所定方向移動部が有する外乱による影響を抑制し、ボンディングヘッドの位置決め精度を向上させることができる。
【0026】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態のみを定義する目的で使用されるのであって、前記専門用語によって発明を制限する意図はない。
【0027】
本明細書において、「含む、備える(including)」「含む、備える(comprising)」または「有する(having)」およびそれらの変形の使用は、記載された特徴、工程、操作、要素、成分、および/または、それらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、および/または、それらのグループのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0028】
本明細書において、「取り付けられた」、「接続された」、「結合された」、および/または、それらの等価物は、広義の意味で使用され、“直接的および間接的な”取り付け、接続および結合の両方を包含する。さらに、「接続された」および「結合された」は、物理的または機械的な接続または結合に限定されず、直接的または間接的な電気的接続または結合を含むことができる。
【0029】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0030】
[位置決め対象物]
本明細書において、位置決め対象物とは、移動部によって位置決めされる部材を意味する。前記位置決め対象物は、例えば、基板、素子、部品、校正用の基板、カメラ、エンドエフェクタ等を含む。また、前記位置決め対象物は、アライメントカメラ等の撮像装置、エンドエフェクタ等を移動させる移動部を含む。
【0031】
[移動部]
本明細書において、移動部とは、位置決め対象物を目標位置に位置決めするために前記位置決め対象部を移動させるアクチュエータを含む移動装置である。前記移動部は、例えば、X方向およびY方向に移動させるXY方向移動部、Z方向に移動させるZ方向移動部、任意の軸回りに回転するθ方向移動部等を含む。前記移動部は、電動モータ、リニアモータ等の電動アクチュエータ、案内装置、スケール等を含む。
【0032】
[対象物位置計測部]
本明細書において、対象物位置計測部とは、位置決め対象物の任意の方向の位置を計測する計測装置を意味する。前記対象物位置計測部は、少なくとも一方向における前記位置決め対象物の位置を計測可能である。前記対象物位置計測部は、例えば、スケールに所定の間隔で刻まれた座標を検出して位置情報として出力する装置を意味する。前記対象物位置計測部は、例えば、対象物移動部に搭載されたスケールと、スケールの座標を検出するカメラと、前記カメラが撮像した画像か対象物の位置を算出する処理装置等を含む。または、前記対象物位置計測部は、例えば、前記対象物移動部に搭載された検出器と、移動しない基部に設けられた前記検出器によって座標を検出されるスケールである。前記対象物位置計測部は、例えば光学式または磁気式のリニアスケール、2Dスケール等を含む。また、前記対象物位置計測部は、前記対象物移動部に搭載されたTEG基板、TEGチップ等を含む。
【0033】
[外乱要因]
本明細書において、外乱要因とは、位置決め対象物、前記位置決め対象物を目標位置に位置付ける少なくとも1つ以上の移動部の制御上の誤差および構造上の誤差を意味する。前記外乱要因は、前記移動部の校正によって抑制できるものだけでなく、前記移動部の校正によって抑制できない非線形の誤差を含む。
【0034】
[制御上の誤差]
本明細書において、制御上の誤差とは、移動装置が制御装置からの位置制御信号と、スケールからの計測値とに基づいて目標位置に位置決め対象物を位置付けた際に、前記スケールの分解能、リニアアクチュエータのゲイン等によって生じる実位置と計測位置との誤差または目標位置と計測位置との差を意味する。
【0035】
[構造上の誤差]
本明細書において、構造上の誤差とは、移動装置が制御装置からの位置制御信号と、スケールからの計測値とに基づいて目標位置に位置決め対象物を位置付けた際に、前記移動装置の部品の加工精度、組立精度等によって生じる前記位置決め対象物の実位置と前記スケールの位置との誤差または目標位置と計測位置との差を意味する。
【発明の効果】
【0036】
本発明の一実施形態によれば、XY方向移動部と、前記XY方向移動部に支持される位置決め対象物と、前記基部に支持され、前記基部に対する前記位置決め対象物の前記X方向の位置および前記Y方向の位置を計測する対象物位置計測部と、前記対象物を前記X方向の目標位置および前記Y方向の目標位置に移動させる前記XY位置制御信号を前記XY方向移動部に対して出力し、前記対象物位置計測部が計測した前記対象物のX方向の計測位置およびY方向の計測位置を取得する制御部と、を有する位置決め装置において、前記位置決め対象物の目標位置と計測位置とから前記XY方向移動部および前記Z方向移動部が有する外乱要因による影響を抑制し、位置決め精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、本発明の実施形態1における位置決め装置のY方向に見た側面図およびZ方向下方から見た底面図である。
図2図2は、本発明の実施形態1における位置決め装置の位置決め制御における位置制御信号の伝達を示す制御ブロック図である。
図3図3は、本発明の実施形態1における位置決め装置の補正制御における位置制御信号および位置情報の伝達を示すブロック図である。
図4図4は、本発明の実施形態2における位置決め装置のY方向に見た側面図およびZ方向下方から見た底面図である。
図5図5は、本発明の実施形態2における位置決め装置の位置決め制御における位置制御信号の伝達を示す制御ブロック図である。
図6図6は、本発明の実施形態2における位置決め装置の補正制御における位置制御信号および位置情報の伝達を示すブロック図である。
図7図7は、本発明の実施形態3における位置決め装置のY方向に見た側面図およびZ方向下方から見た底面図である。
図8図8は、本発明の実施形態3における位置決め装置の位置決め制御における位置制御信号の伝達を示す制御ブロック図である。
図9図9は、本発明の実施形態3における位置決め装置のZ方向移動装置とZ方向計測移動装置の動作を示す部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下で、本発明に係る位置決め装置について図面を参照しながら説明する。各図において、同一部分には同一の符号を付して、その同一部分の説明は繰り返さない。各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法および各構成部材の寸法比率等を忠実に表していない。なお、以下の本発明の実施の形態の説明において、X方向およびY方向は、水平面上の方向であるものとする。Y方向は、X方向に対して直交する方向である。Z方向は、X方向およびY方向に対して直交する方向である。本実施形態において、Z方向を鉛直方向として規定する。ただし、この方向の定義により、各実施形態における位置決め装置の使用時の向きを限定する意図はない。
【0039】
また、以下の説明において、“固定”、“接続”、“接合”および“取り付ける”等(以下、固定等)の表現は、部材同士が直接、固定等されている場合だけでなく、他の部材を介して固定等されている場合も含む。すなわち、以下の説明において、固定等の表現には、部材同士の直接的および間接的な固定等の意味が含まれる。
【0040】
[実施形態1]
<位置決め装置1の構成>
図1から図3を用いて、本発明に係る位置決め装置の実施形態1である位置決め装置1について説明する。図1は、本発明の実施形態1における位置決め装置1のY方向に見た側面図およびZ方向下方から見た底面図である。図2は、位置決め装置1の位置決め制御S1における位置制御信号Sの伝達を示す制御ブロック図である。図3は、位置決め装置1の補正制御における位置制御信号Sおよび位置情報の伝達を示すブロック図である。以下の実施形態において、位置決め装置を作動させる際の周囲の温度である環境温度は、一定であるものとする。
【0041】
図1および図2に示すように、位置決め装置1は、位置決め対象物を位置決めする。位置決め装置1は、図示しない半導体製造装置等の製造装置に設けられる。位置決め装置1は、基部2と、XY方向移動部3を構成するX方向移動装置4およびY方向移動装置8と、と、位置決め対象物を構成する撮像装置12と、対象物位置計測部を構成するX方向レーザ干渉計13xおよびY方向レーザ干渉計13yと、制御部を構成する制御装置15とを有する。
【0042】
基部2は、XY方向移動部3を支持する。基部2は、例えば、板状部材である。基部2は、図示しない製造装置に設けられる。基部2は、最も面積が大きい面である取り付け面をZ方向下方に向けて、図示しない製造装置の上端部に固定される。
【0043】
XY方向移動部3を構成するX方向移動装置4は、位置決め対象物をX方向の任意の位置に案内する装置である。X方向移動装置4は、X方向電動アクチュエータであるX方向リニアモータ5と、X方向テーブル6と、X方向スケール7と、図示しないドライバを有している。X方向移動装置4は、X方向テーブル6の載置面を下方に向けて、基部2の取り付け面に設けられている。
【0044】
X方向リニアモータ5は、X方向テーブル6を移動させる駆動力を発生させるアクチュエータである。X方向リニアモータ5は、X方向レール5aとX方向ブロック5bと、図示しないX方向推力発生装置およびアンプ等を有する。X方向レール5aは、基部2に固定されている。X方向ブロック5bは、X方向レール5aに沿って移動可能にX方向レール5aに支持されている。
【0045】
X方向推力発生装置は、電磁力によって推力を発生する。前記X方向推力発生装置は、固定子と可動子とから構成されている。前記固定子は、X方向レール5aに固定されている。前記可動子は、X方向ブロック5bに固定されている。前記X方向推力発生装置は、前記ベースに対して、X方向ブロック5bがX方向レール5aの延伸方向に移動するように推力を発生する。
【0046】
X方向テーブル6は、X方向リニアモータ5によってX方向に移動されるテーブルである。X方向テーブル6は、十分な剛性を有する平板状の部材である。X方向テーブル6は、X方向ブロック5bに固定されている。X方向テーブル6には、Y方向移動装置8が搭載される。
【0047】
X方向スケール7は、X方向ブロック5bの位置を検出する。つまり、X方向スケール7は、前記ベースに対するX方向ブロック5bの位置を検出する。X方向スケール7は、例えば、光学式のリニアスケールである。
【0048】
このように構成されるX方向移動装置4は、X方向ブロック5bに固定されたX方向テーブル6をX方向リニアモータ5によってX方向レール5aの延伸方向における任意の位置に移動可能である。X方向移動装置4は、制御装置15から入力される位置制御信号Sに含まれるX方向位置制御信号SxとX方向スケール7の検出値とに基づいて、X方向リニアモータ5によってX方向テーブル6を移動させる。
【0049】
XY方向移動部3を構成するY方向移動装置8は、位置決め対象物をY方向の任意の位置に案内する装置である。Y方向移動装置8は、Y方向電動アクチュエータであるY方向リニアモータ9と、Y方向テーブル10と、Y方向スケール11とを有している。Y方向移動装置8は、Y方向テーブル10の載置面を下方に向けて、X方向移動装置4のX方向テーブル6に搭載されている。
【0050】
Y方向リニアモータ9は、Y方向テーブル10を移動させる駆動力を発生させるアクチュエータである。Y方向リニアモータ9は、Y方向レール9aとY方向ブロック9bと、図示しないY方向推力発生装置と、図示しないドライバを有している。Y方向レール9aは、X方向レール5aの延伸方向に直交するように、X方向テーブル6に固定されている。Y方向ブロック9bは、Y方向レール9aに沿って移動可能にY方向レール9aに支持されている。
【0051】
Y方向推力発生装置は、電磁力によって推力を発生する。前記Y方向推力発生装置は、固定子と可動子とから構成されている。前記固定子は、Y方向レール9aに固定されている。前記可動子は、Y方向ブロック9bに固定されている。前記Y方向推力発生装置は、X方向テーブル6に対して、Y方向ブロック9bがY方向レール9aの延伸方向に移動するように推力を発生する。
【0052】
Y方向テーブル10は、Y方向リニアモータ9によってY方向に移動されるテーブルである。Y方向テーブル10は、十分な剛性を有する平板状の部材である。Y方向テーブル10は、Y方向リニアモータ9のY方向ブロック9bに固定されている。Y方向テーブル10には、位置決め対象物が搭載される。
【0053】
Y方向スケール11は、Y方向推力発生装置の固定子に対する可動子の位置を検出する。つまり、Y方向スケール11は、X方向テーブル6に対するY方向ブロック9bの位置を検出する。Y方向スケール11は、例えば、光学式のリニアスケールである。
【0054】
このように構成されるY方向移動装置8は、Y方向ブロック9bに固定されたY方向テーブル10をY方向リニアモータ9によってY方向レール9aの延伸方向における任意の位置に移動可能である。Y方向移動装置8は、制御装置15から入力される位置制御信号Sに含まれるY方向位置制御信号SyとY方向スケール11の検出値に基づいて、Y方向リニアモータ9によってY方向テーブル10を移動させる。
【0055】
Y方向移動装置8のY方向テーブル10は、Y方向移動装置8のY方向リニアモータ9によってY方向の任意の位置に移動される。また、Y方向移動装置8は、X方向移動装置4のX方向リニアモータ5によってX方向の任意の位置に移動される。よって、Y方向テーブル10は、X方向リニアモータ5とY方向リニアモータ9とによってXY平面上の任意の位置に移動される。
【0056】
撮像装置12は、図示しない製造装置が製造する基板等を撮像するアライメントカメラである。撮像装置12は、例えば、CCDカメラ等から構成されている。撮像装置12は、支持部材12aを含む。支持部材12aは、例えば、手動で撮像装置12の位置を微調整可能なカエラステージである。支持部材12aの基端部は、Y方向テーブル10に固定されている。支持部材12aの先端部は、撮像装置12に固定されている。撮像装置12は、Y方向テーブル10からZ方向下方に位置する撮影対象を撮影可能に配置されている。よって、撮像装置12は、Y方向テーブル10から、支持部材12aのZ方向長さ分だけZ方向下方に離れて位置している。撮像装置12は、X方向リニアモータ5とY方向リニアモータ9との可動範囲内においてXY平面上の任意の位置に位置決めされ、Y方向テーブル10から撮像対象を撮像する。
【0057】
対象物位置計測部は、基部2に対する撮像装置12のX方向の位置およびY方向の位置を計測する。前記対象物位置計測部は、例えば、X方向レーザ干渉計13xおよび反射板14xと、Y方向レーザ干渉計13yおよび反射板14yとによって構成される。X方向レーザ干渉計13xおよびY方向レーザ干渉計13yは、支持部材等を介して基部2に固定されている。また、X方向レーザ干渉計13xの反射板14xは、撮像装置12のレンズ近傍に反射面をX方向に向けて固定されている。Y方向レーザ干渉計13yの反射板14yは、撮像装置12のレンズ近傍に反射面をY方向に向けて固定されている。
【0058】
X方向レーザ干渉計13xは、反射板14xにX方向からレーザ光を照射するように配置される。X方向レーザ干渉計13xは、反射板14xに照射したレーザ光と反射板14xに反射したレーザ光との干渉現象を利用して反射板14xのX方向の移動量を算出する。Y方向レーザ干渉計13yは、反射板14yにY方向からレーザ光を照射するように配置される。Y方向レーザ干渉計13yは、干渉現象を利用して反射板14yのY方向の移動量を算出する。
【0059】
このように、X方向レーザ干渉計13xおよびY方向レーザ干渉計13yは、XY方向移動部3によって位置決めされた撮像装置12の位置を計測する。X方向レーザ干渉計13xおよびY方向レーザ干渉計13yは、制御装置15に対して、撮像装置12の計測位置PmであるX方向計測座標PmxおよびY方向計測座標Pmyを出力する。
【0060】
図1図2とに示すように、制御部である制御装置15は、X方向移動装置4、Y方向移動装置8、撮像装置12、X方向レーザ干渉計13xおよびY方向レーザ干渉計13yを制御する。制御装置15は、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続されている。または、制御装置15は、ワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。制御装置15は、X方向移動装置4、Y方向移動装置8、撮像装置12(図1参照)、X方向レーザ干渉計13xおよびY方向レーザ干渉計13yの動作を制御するために種々のプログラムおよびデータが格納されている。
【0061】
制御装置15は、X方向移動装置4およびY方向移動装置8に対して、撮像装置12が搭載されたY方向テーブル10(図1参照)を目標位置Ptに位置付けるための位置制御信号Sを出力可能に構成される。目標位置Ptは、X方向目標座標2cおよびY方向目標座標Ptyを含む。位置制御信号Sには、目標位置PtおけるX方向目標座標Ptxに対するX方向位置制御信号Sxおよび目標位置PtおけるおよびY方向目標座標Ptyに対するY方向位置制御信号Syを含む。
【0062】
制御装置15は、X方向移動装置4のX方向リニアモータ5(図1参照)を駆動させるドライバおよびX方向スケール7と、Y方向移動装置8のY方向リニアモータ9(図1参照)を駆動させるドライバおよびY方向スケール11に電気的に接続されている。制御装置15は、X方向リニアモータ5のドライバに対して、位置制御信号SにおけるX方向位置制御信号Sxを送信する。制御装置15は、X方向スケール7からX方向テーブル6のX方向の位置についての計測値を取得する。また、制御装置15は、Y方向リニアモータ9のドライバに対して、位置制御信号SにおけるY方向位置制御信号Syを送信する。制御装置15は、Y方向スケール7からY方向テーブル10のY方向の位置についての計測値を取得する。
【0063】
制御装置15は、撮像装置12(図1参照)に電気的に接続されている。制御装置15は、撮像装置12に対して、前記撮像対象物を撮像する制御信号を出力する。
【0064】
制御装置15は、X方向レーザ干渉計13xおよびY方向レーザ干渉計13yに電気的に接続されている。制御装置15は、X方向レーザ干渉計13xおよびY方向レーザ干渉計13yに対して、撮像装置12の計測位置Pmを計測する制御信号を出力する。計測位置Pmは、撮像装置12のX方向計測座標PmxおよびY方向計測座標Pmyを含む。制御装置15は、X方向レーザ干渉計13xおよびY方向レーザ干渉計13yが計測した撮像装置12の計測位置PmにおけるX方向計測座標PmxおよびY方向計測座標Pmyを取得する。
【0065】
<位置決め制御および補正制御>
図2図3とに示すように、制御装置15は、撮像装置12(図1参照)を目標位置Ptに向かって移動させる位置決め制御S1と、目標位置Ptおよび計測位置Pmに基づいて、撮像装置12の位置を補正する補正制御S2とを実施可能である。
【0066】
図2に示すように、位置決め制御S1において、制御装置15は、XY方向移動部3に対して、撮像装置12を目標位置Ptに位置決めするための位置制御信号SであるX方向位置制御信号SxおよびY方向位置制御信号Syを出力する。
【0067】
制御装置15は、X方向スケール7の計測値に基づいて、X方向テーブル6(図1参照)の位置をX方向目標座標Ptxに一致させるように、X方向移動装置4に対して、X方向位置制御信号Sxを出力する。X方向移動装置4は、X方向位置制御信号Sxに基づいて、X方向目標座標Ptxに向かってX方向テーブル6を移動させる。この際、X方向移動装置4は、X方向の位置決め精度を低下させる外乱要因であるX方向移動装置4の構造上の誤差および制御上の誤差を含んだ状態で、X方向テーブル6を位置付けている。つまり、X方向テーブル6のX方向の位置は、X方向移動装置4の構造上の誤差および制御上の誤差を含んでいる。従って、X方向テーブル6は、外乱要因の影響によりX方向目標座標Ptxに位置していない。
【0068】
制御装置15は、Y方向スケール11の計測値に基づいて、Y方向テーブル10の位置をY方向目標座標Ptyに一致させるように、Y方向移動装置8に対して、Y方向位置制御信号Syを出力する。Y方向移動装置8は、Y方向位置制御信号Syに基づいて、Y方向目標座標Ptyに向かってY方向テーブル10(図1参照)を移動させる。この際、Y方向移動装置8は、Y方向の位置決め精度を低下させる外乱要因であるY方向移動装置8の構造上の誤差および制御上の誤差を含んだ状態で、Y方向テーブル10を位置付けている。つまり、Y方向テーブル10のY方向の位置は、Y方向移動装置8の構造上の誤差および制御上の誤差を含んでいる。従って、Y方向テーブル10は、外乱要因の影響によりY方向目標座標Ptyに位置していない。
【0069】
X方向移動装置4に搭載されているY方向移動装置8に、支持部材12a(図1参照)を介して支持されている撮像装置12は、X方向移動装置4およびY方向移動装置8によってX方向目標座標PtxおよびY方向目標座標Ptyに向かって移動される。制御装置15は、位置決め制御S1を終了し、補正制御S2に移行する。
【0070】
撮像装置12は、X方向およびY方向の位置決め精度を低下させる外乱要因であるX方向移動装置4およびY方向移動装置8の構造上の誤差および制御上の誤差と、支持部材12aの構造上の誤差とを含んだ状態で、X方向目標座標PtxおよびY方向目標座標Ptyに一致するように位置付けられている。位置決め装置1は、撮像装置12の位置ではなく、X方向テーブル6およびY方向テーブル10の移動方向における位置を制御している。従って、撮像装置12は、外乱要因の影響により目標位置Ptに位置していない。つまり、撮像装置12は、X方向移動装置4の移動方向およびY方向移動装置8の移動方向において同一線上に位置していないので、位置決め精度が低下している(アッべの原理参照)。
【0071】
図3に示すように、補正制御S2において、制御装置15は、X方向レーザ干渉計13xおよびY方向レーザ干渉計13yに対して、撮像装置12(図1参照)の位置を計測する制御信号を出力する。X方向レーザ干渉計13xは、撮像装置12に設けられた反射板14x(図1参照)に対してレーザ光を照射する。X方向レーザ干渉計13xは、反射板14xに照射したレーザ光と反射板14xに反射したレーザ光とに基づいて、撮像装置12のX方向計測座標Pmxを計測する。X方向レーザ干渉計13xは、制御装置15に対して、計測したX方向計測座標Pmxを出力する。X方向計測座標Pmxは、X方向目標座標Ptxに対して、X方向移動装置4の構造上の誤差および制御上の誤差と、支持部材12aの構造上の誤差を含んだ撮像装置12のX方向座標である。つまり、撮像装置12のX方向の位置は、X方向移動装置4の構造上の誤差および制御上の誤差を含んでいない。このように、X方向レーザ干渉計13xは、基部2に対する撮像装置12の位置を計測する。
【0072】
Y方向レーザ干渉計13yは、撮像装置12に設けられた反射板14y(図1参照)に対してレーザ光を照射する。Y方向レーザ干渉計13yは、反射板14yに照射したレーザ光と反射板14yに反射したレーザ光とに基づいて、撮像装置12のY方向計測座標Pmyを計測する。Y方向レーザ干渉計13yは、制御装置15に対して、計測したY方向計測座標Pmyを出力する。Y方向計測座標Pmyは、Y方向目標座標Ptyに対して、Y方向移動装置8の構造上の誤差および制御上の誤差と、支持部材12aの構造上の誤差を含んだ撮像装置12のY方向座標である。つまり、撮像装置12のY方向の位置は、XY方向移動装置8の構造上の誤差および制御上の誤差を含んでいない。
【0073】
制御装置15は、目標位置Ptと計測位置Pmとに基づいて、XY方向移動部3に対して、撮像装置12の位置を補正する補正位置制御信号Scを出力する。補正位置制御信号Scは、X方向移動装置4の補正位置制御信号であるX方向補正位置制御信号Sxcと、Y方向移動装置8の補正位置制御信号であるY方向補正位置制御信号Sycとを含む。
【0074】
制御装置15は、X方向目標座標PtxとX方向計測座標Pmxとに基づいて、撮像装置12の位置をX方向目標座標Ptxに一致させるように、X方向移動装置4に対して、X方向補正位置制御信号Sxcを出力する。X方向補正位置制御信号Sxcは、X方向計測座標Pmxに位置する撮像装置12をX方向目標座標Ptxに位置付けるための制御信号である。X方向移動装置4は、X方向補正位置制御信号Sxcに基づいて、X方向テーブル6の位置を移動させる。
【0075】
制御装置15は、Y方向目標座標PtyとY方向計測座標Pmyとに基づいて、撮像装置12の位置をY方向目標座標Ptyに一致させるように、Y方向移動装置8に対して、Y方向補正位置制御信号Sycを出力する。Y方向補正位置制御信号Sycは、Y方向計測座標Pmyに位置する撮像装置12をY方向目標座標Ptyに位置付けるための制御信号である。Y方向移動装置8は、Y方向補正位置制御信号Sycに基づいて、Y方向テーブル6の位置を移動させる。
【0076】
制御装置15は、目標位置Ptと計測位置Pmとの差が許容範囲内に含まれない場合、XY方向移動部3に対して、撮像装置12の位置を補正する補正位置制御信号Scを出力する。制御装置15は、目標位置Ptと計測位置Pmとの差が許容範囲内に含まれる場合、補正制御S2を終了する。
【0077】
このように構成される位置決め装置1は、撮像装置12をX方向目標座標PtxおよびY方向目標座標Ptyに位置決めするために、基部2に対する撮像装置12の位置であるX方向計測座標PmxおよびY方向計測座標Pmyに基づいて撮像装置12を位置決めする。つまり、位置決め装置1は、X方向移動装置4の構造上の誤差および制御上の誤差と支持部材12aの構造上の誤差を含んでいるX方向テーブル6の位置と、Y方向移動装置8の構造上の誤差および制御上の誤差と支持部材12aの構造上の誤差とを含んでいるY方向テーブル6の位置とに基づいて撮像装置12を位置付けるのではなく、撮像装置12の位置に基づいて撮像装置12を位置付けている。よって、位置決め装置1は、撮像装置12の目標位置Ptに対してXY方向移動部3が有する構造上の誤差および制御上の誤差等の外乱要因を含まない撮像装置12の位置を把握することができる。これにより、撮像装置12の目標位置Ptと計測位置Pmとから、撮像装置12および撮像装置12を移動させるXY方向移動部3が有する外乱要因による影響を抑制し、位置決め精度を向上させることができる。
【0078】
[実施形態2]
以下に、図4から図6を用いて、本発明に係る位置決め装置の実施形態2に係る位置決め装置1Aついて説明する。図4は、本発明の実施形態2における位置決め装置1AのY方向に見た側面図およびZ方向下方から見た底面図である。図5は、位置決め装置1Aの位置決め制御における位置制御信号Sの伝達を示す制御ブロック図である。図6は、位置決め装置1Aの補正制御における位置制御信号Sおよび位置情報の伝達を示すブロック図である。
【0079】
位置決め装置1Aは、位置決め対象物を構成する撮像装置16が、Z軸まわりの回転方向であるθzを所定方向とする所定方向移動部であるθz方向移動装置17を含む点で位置決め装置1と異なる。また、位置決め装置1Aは、対象物位置計測部が2Dスケール18である点で位置決め装置1と異なる。以下の各実施形態において、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略し、実施形態1と異なる部分についてのみ説明する。
【0080】
<位置決め装置1Aの構成>
図4図5に示すように、位置決め装置1Aは、基部2と、XY方向移動部3を構成するX方向移動装置4およびY方向移動装置8と、位置決め対象物を構成する撮像装置16と、対象物位置計測部を構成する2D計測装置18と、制御部を構成する制御装置15とを有する。
【0081】
撮像装置16は、所定方向移動部であるθz方向移動装置17を含む。θz方向移動装置17は、XY方向移動部3に対して撮像装置16をZ軸回りの回転方向であるθz方向に移動させる。θz方向移動装置17は、案内部17aと、θz方向移動部17bと、θz方向スケール17cと図示しないθz方向リニアモータおよびドライバとを有する。
【0082】
案内部17aは、θz方向にθz方向移動部17bを案内する。θz方向移動部17bは、θz方向に移動する移動対象物である撮像装置16が搭載される。θz方向移動部17bは、θz方向リニアモータ等によって、案内部17aに対してθz方向に移動される。θz方向スケール17cは、案内部17aに対するθz方向移動部17bの位置を検出する。
【0083】
θz方向移動装置17の案内部17aは、Y方向テーブル10に固定されている。θz方向移動装置17のθz方向移動部17bは、撮像装置16に固定さている。撮像装置16は、θz方向移動装置17を介してY方向テーブル10からZ方向下方に位置する撮影対象を撮影可能に配置されている。よって、撮像装置16は、Y方向テーブル10から、θz方向移動装置17のZ方向長さ分だけZ方向下方に離れて位置している。
【0084】
このように構成されるθz方向移動装置17は、θz方向移動部17bに固定された撮像装置16をリニアモータ等によってθz方向における任意の位置に移動可能である。θz方向移動装置17は、制御装置15から入力される位置制御信号Sに含まれるθz方向角度制御信号Sθzとθz方向スケール17cとの計測値に基づいて、θz方向リニアモータ等によってθz方向移動部17bを移動させる。撮像装置16は、X方向リニアモータ5とY方向リニアモータ9との可動範囲内においてXY平面上の任意の位置に位置決めされ、且つθz方向移動装置17によって任意のθz方向の位置に位置決めされる。
【0085】
対象物位置計測部は、基部2に対する撮像装置16のX方向の位置、Y方向の位置およびθz方向の位置を計測する。前記対象物位置計測部は、例えば、2D計測装置18によって構成されている。2D計測装置18は、スケール部材である2Dスケール18a、ヘッド部材である第1検出ヘッド18b、第2検出ヘッド18cおよび図示しないドライバによって構成されている。2Dスケール18aは、第1検出ヘッド18bおよび第2検出ヘッド18cの2次元座標を計測可能な平板状のスケールである。例えば、2D計測装置18は、2Dスケール18aがXY平面上に配置された場合、第1検出ヘッド18bおよび第2検出ヘッド18cのX座標およびY座標を計測可能である。本実施形態において、2Dスケール18aは、支持部材等を介して基部2に支持されている。また、2Dスケール18aは、XY方向移動部3による撮像装置16の移動面に平行なXY平面上に計測面をZ方向上方に向けて位置している。第1検出ヘッド18bおよび第2検出ヘッド18cは、撮像装置16のレンズ近傍に設けられている。
【0086】
第1検出ヘッド18bおよび第2検出ヘッド18cは、XY平面上に設けられた2Dスケール18aにそれぞれレーザ光を照射可能な姿勢で配置されている。2D計測装置18は、位置決め制御S1(図6参照)において、第1検出ヘッド18bから2Dスケール18aに対して照射したレーザ光によって第1X方向計測座標Pmx1および第1Y方向計測座標Pmy1を計測する。更に、2D計測装置18は、第2検出ヘッド18cから2Dスケール18aに対して照射したレーザ光によって第2X方向計測座標Pmx2および第2Y方向計測座標Pmy2を計測する。更に、2D計測装置18は、計測した第1X方向計測座標Pmx1および第1Y方向計測座標Pmy1と、第2X方向計測座標Pmx2および第2Y方向計測座標Pmy2とから、X方向計測座標PmxおよびY方向計測座標Pmyと、θz方向計測角度Pmθzとを算出する。
【0087】
このように、2D計測装置18は、XY方向移動部3およびθz方向移動装置17によって位置決めされた撮像装置16の位置を計測する。2D計測装置18は、制御装置15に対して、撮像装置12の計測位置PmであるX方向計測座標Pmx、Y方向計測座標Pmyおよびθz方向計測角度Pmθzを出力する。
【0088】
図4図5に示すように、制御装置15は、X方向移動装置4、Y方向移動装置8、撮像装置16(図4参照)、θz方向移動装置17、2D計測装置18を制御する。制御装置15は、X方向移動装置4、Y方向移動装置8、撮像装置16、θz方向移動装置17、2D計測装置18の動作を制御するために種々のプログラムおよびデータが格納されている。
【0089】
制御装置15は、X方向移動装置4、Y方向移動装置8およびθz方向移動装置17に対して、撮像装置16が搭載されたY方向テーブル10を目標位置Ptに位置付けるための位置制御信号Sを出力可能に構成される。目標位置Ptは、X方向目標座標Ptx、Y方向目標座標Ptyおよびθz方向目標角度Ptθzを含む。位置制御信号Sには、X方向目標座標Ptxに対するX方向位置制御信号Sx、Y方向目標座標Ptyに対するY方向位置制御信号Syおよびθz方向目標角度Ptθzに対するθz方向角度制御信号Sθzを含む。
【0090】
制御装置15は、θz方向移動装置17の図示しないθz方向リニアモータを駆動するドライバおよびθz方向スケール17cに電気的に接続されている。制御装置15は、θz方向リニアモータのドライバに対して、位置制御信号Sにおけるθz方向角度制御信号Sθzを送信する。制御装置15は、θz方向スケール17cからθz方向移動部17bのθz方向の角度についての計測値を取得する。
【0091】
制御装置15は、撮像装置16に電気的に接続されている。制御装置15は、撮像装置16に対して、前記撮像対象物を撮像する制御信号を出力する。
【0092】
制御装置15は、2D計測装置18に電気的に接続されている。制御装置15は、2D計測装置18に対して、撮像装置16の計測位置Pm(図6参照)を計測する制御信号を出力する。計測位置Pmは、撮像装置16のX方向計測座標Pmx、Y方向計測座標Pmyおよびθz方向計測角度Pmθzを含む。制御装置15は、2D計測装置18が計測した撮像装置16の計測位置PmにおけるX方向計測座標Pmx、Y方向計測座標Pmyおよびθz方向計測角度Pmθzを取得する。
【0093】
<位置決め制御および補正制御>
図5図6とに示すように、制御装置15は、撮像装置16を目標位置Ptに向かって移動させる位置決め制御S1と、目標位置Ptおよび計測位置Pmに基づいて、撮像装置16の位置を補正する補正制御S2とを実施可能である。
【0094】
図5に示すように、位置決め制御S1において、X方向移動装置4に搭載されているY方向移動装置8に、θz方向移動装置17を介して支持されている撮像装置16は、X方向移動装置4およびY方向移動装置8によってX方向目標座標PtxおよびY方向目標座標Ptyに向かって移動される。
【0095】
制御装置15は、θz方向スケール17cの計測値に基づいて、θz方向移動部17bの位置をθz方向目標角度Ptθzに一致させるように、θz方向移動装置17に対して、θz方向角度制御信号Sθzを出力する。θz方向移動装置17は、θz方向角度制御信号Sθzに基づいて、θz方向目標角度Ptθzに向かってθz方向移動部17bを移動させる。よって、θz方向移動部17bは、θz方向目標角度Ptθzに一致するように位置付けられる。
【0096】
この際、θz方向移動装置17は、θz方向の位置決め精度を低下させる外乱要因であるθz方向移動装置17の構造上の誤差および制御上の誤差を含んだ状態で、θz方向移動部17bを位置付ける。つまり、θz方向移動部17bのθz方向の位置は、θz方向移動装置17の構造上の誤差および制御上の誤差を含んでいる。従って、θz方向移動部17bは、外乱要因の影響によりθz方向目標角度Ptθzに位置していない。制御装置15は、位置決め制御S1を終了し、補正制御S2に移行する。
【0097】
位置決め装置1Aは、X方向およびY方向の位置決め精度を低下させる外乱要因であるX方向移動装置4およびY方向移動装置8の構造上の誤差および制御上の誤差と、θz方向移動装置17の位置決め精度を低下させる外乱要因であるθz方向移動装置17の構造上の誤差および制御上の誤差とを含んだ状態で、撮像装置16をX方向目標座標Ptx、Y方向目標座標Ptyおよびθz方向目標角度Ptθzに一致するように位置付ける。位置決め装置1Aは、撮像装置16の位置ではなく、X方向テーブル6、Y方向テーブル10およびθz方向移動部17bの移動方向における位置を制御している。従って、撮像装置16は、外乱要因の影響により目標位置Ptに位置していない。
【0098】
図6に示すように、補正制御S2において、制御装置15は、2D計測装置18に対して、撮像装置16の位置を計測する制御信号を出力する。撮像装置16に設けられた第1検出ヘッド18bは、2Dスケール18aに対してレーザ光を照射し、第1検出ヘッド18bが位置する第1X方向計測座標Pmx1および第1Y方向計測座標Pmy1を計測する。撮像装置16に設けられた第2検出ヘッド18cは、2Dスケール18aに対してレーザ光を照射し、第2検出ヘッド18cが位置する第2X方向計測座標Pmx2および第2Y方向計測座標Pmy2を計測する。
【0099】
2D計測装置18は、計測した第1X方向計測座標Pmx1および第1Y方向計測座標Pmy1と、第2X方向計測座標Pmx2および第2Y方向計測座標Pmy2とから、X方向計測座標Pmx、Y方向計測座標Pmyおよびθz方向計測角度Pmθzを算出する。X方向計測座標Pmxは、X方向目標座標Ptxに対して、X方向移動装置4の構造上の誤差および制御上の誤差を含んだ撮像装置16のX方向座標である。つまり、撮像装置16のX方向の位置は、X方向移動装置4の構造上の誤差および制御上の誤差を含んでいない。Y方向計測座標Pmyは、Y方向目標座標Ptyに対して、Y方向移動装置8の構造上の誤差および制御上の誤差を含んだ撮像装置16のY方向座標である。つまり、撮像装置16のY方向の位置は、XY方向移動装置8の構造上の誤差および制御上の誤差を含んでいない。θz方向計測角度Pmθzは、θz方向目標角度Ptθzに対して、θz方向移動装置17の構造上の誤差および制御上の誤差を含んだ撮像装置16のθz方向角度である。
【0100】
制御装置15は、目標位置Ptと計測位置Pmとに基づいて、XY方向移動部3およびθz方向移動装置17に対して、撮像装置16の位置を補正する補正位置制御信号Scを出力する。補正位置制御信号Scは、X方向移動装置4の補正位置制御信号であるX方向補正位置制御信号Sxcと、Y方向移動装置8の補正位置制御信号であるY方向補正位置制御信号Sycと、θz方向移動装置17の補正位置制御信号であるθz方向補正位置制御信号Sθzcと、を含む。
【0101】
制御装置15は、θz方向目標角度Ptθzとθz方向計測角度Pmθzとに基づいて、撮像装置16のθz方向角度をθz方向目標角度Ptθzに一致させるように、θz方向移動装置17に対して、θz方向補正位置制御信号Sθzcを出力する。θz方向補正位置制御信号Sθzcは、θz方向計測角度Pmθzに位置する撮像装置16をθz方向目標角度Ptθzに位置付けるための制御信号である。θz方向移動装置17は、方向補正位置制御信号Sθzcに基づいて、撮像装置16の位置を移動させる。
【0102】
制御装置15は、目標位置Ptと計測位置Pmとの差が許容範囲内に含まれない場合、XY方向移動部3に対して、撮像装置12の位置を補正する補正位置制御信号Scを出力する。制御装置15は、目標位置Ptと計測位置Pmとの差が許容範囲内に含まれる場合、補正制御S2を終了する。
【0103】
このように構成される位置決め装置1Aは、撮像装置12をX方向目標座標Ptx、Y方向目標座標Ptyおよびθz方向目標角度Ptθzに位置決めするために、基部2に対する撮像装置16の位置であるX方向計測座標Pmx、Y方向計測座標Pmyおよびθz方向計測角度Pmθzに基づいて撮像装置16を位置決めする。つまり、位置決め装置1Aは、XY方向移動部3の構造上の誤差および制御上の誤差を含んでいるY方向テーブル6の位置と、θz方向移動装置17の構造上の誤差および制御上の誤差を含んでいるθz方向移動部17bの位置とに基づいて撮像装置16を位置付けるのではなく、撮像装置16の位置に基づいて撮像装置16を位置付けている。よって、位置決め装置1Aは、θz方向移動装置17のθz方向目標角度Ptθzに対してXY方向移動部3およびθz方向移動装置17が有する構造上の誤差および制御上の誤差等の外乱要因を打ち消したθz方向移動装置17の位置を把握することができる。これにより、撮像装置16の目標位置Ptと計測位置Pmとから、撮像装置16および撮像装置16を移動させるXY方向移動部3およびθz方向移動装置17が有する外乱要因による影響を抑制し、位置決め精度を向上させることができる。
【0104】
[実施形態3]
以下に、図7から図9を用いて、本発明に係る位置決め装置の実施形態3に係る位置決め装置1Bついて説明する。位置決め装置1Bは、位置決め対象物を構成する撮像装置19が所定方向移動部であるZ方向移動装置20を含む点で位置決め装置1と異なる。また、位置決め装置1Bは、対象物位置計測部が計測移動部であるZ方向計測部移動装置21を含む2Dスケール18である点で位置決め装置1と異なる。図7は、本発明の実施形態3における位置決め装置1BのY方向に見た側面図およびZ方向下方から見た底面図である。図8は、位置決め装置1Bの位置決め制御における位置制御信号Sの伝達を示す制御ブロック図である。図9は、位置決め装置1BのZ方向移動装置20とZ方向計測部移動装置21の動作を示す部分側面図である。
【0105】
<位置決め装置1Bの構成>
図7図8とに示すように、位置決め装置1Bは、基部2と、XY方向移動部3を構成するX方向移動装置4およびY方向移動装置8と、位置決め対象物を構成する撮像装置19と、対象物位置計測部を構成する2D計測装置18と、制御部を構成する制御装置15とを有する。
【0106】
撮像装置19は、所定方向移動部であるZ方向移動装置20を含む。Z方向移動装置20は、XY方向移動部3に対して撮像装置19をZ方向に移動させる。Z方向移動装置20は、案内部20aと、Z方向移動部20bと、Z方向スケール20cと、図示しないZ方向リニアモータおよびドライバと、を有する。
【0107】
案内部20aは、Z方向にZ方向移動部20bを案内する。Z方向移動部20bは、Z方向に移動する移動対象物である撮像装置19が搭載される。Z方向移動部20bは、Z方向リニアモータ等によって、案内部20a(XY方向移動部3)に対してZ方向に移動される。Z方向スケール20cは、案内部20aに対するZ方向移動部20bの位置を検出する。
【0108】
Z方向移動装置20の案内部20aは、Y方向テーブル10に固定されている。Z方向移動装置20のZ方向移動部20bには、撮像装置19が固定さている。撮像装置19は、Z方向移動装置20を介してY方向テーブル10からZ方向下方に位置する撮影対象を撮影可能に配置されている。よって、撮像装置19は、Y方向テーブル10から、Z方向移動装置20のZ方向長さ分だけZ方向下方に離れて位置している。撮像装置19は、X方向リニアモータ5とY方向リニアモータ9との可動範囲内においてXY平面上の任意の位置に位置決めされ、且つZ方向移動装置20によって任意のZ方向の位置に位置決めされる。
【0109】
対象物位置計測部は、基部2に対する撮像装置19のX方向の位置およびY方向の位置を計測する。対象物位置計測部は、例えば、2D計測装置18と、Z方向計測部移動装置21とによって構成されている。2D計測装置18は、2Dスケール18a、第1検出ヘッド18bおよび図示しないドライバによって構成されている。2Dスケール18aは、XY方向移動部3による撮像装置16の移動面に平行なXY平面上に計測面をZ方向上方に向けて位置している。第1検出ヘッド18bは、撮像装置16のレンズ近傍に固定されている。2Dスケール18aは、Z方向計測部移動装置21に支持されている。
【0110】
Z方向計測部移動装置21は、位置決め装置1Bの基部2に対して2Dスケール18aをZ方向に移動させる。Z方向計測部移動装置21は、計測部案内部21aと、Z方向計測部移動部21bと、計測部Z方向スケール21cと、図示しないZ方向リニアモータおよびドライバを有する。計測部案内部21aは、Z方向にZ方向計測部移動部21bを案内する。Z方向計測部移動部21bは、Z方向に移動する移動対象物である撮像装置19が搭載される。Z方向計測部移動部21bは、Z方向リニアモータ等によって、計測部案内部21aに対してZ方向に移動される。計測部Z方向スケール21cは、計測部案内部21aに対するZ方向計測部移動部21bの位置を計測する。
【0111】
計測部案内部21aは、位置決め装置1Bの基部2に固定されている。Z方向計測部移動部21bは、支持部材を介して2Dスケール18aに連結されている。2Dスケール18aは、Z方向計測部移動装置21を介して基部2に支持されている。更に、2Dスケール18aは、Z方向上方に位置する第1検出ヘッド18bによって座標を検出可能な位置に配置されている。また、2Dスケール18aは、Z方向計測部移動装置21によって任意のZ方向の位置に位置決めされる。
【0112】
図7図8とに示すように、制御装置15は、X方向移動装置4、Y方向移動装置8、2D計測装置18、撮像装置19(図7参照)、Z方向移動装置20、Z方向計測部移動装置21を制御する。制御装置15は、X方向移動装置4、Y方向移動装置8、2D計測装置18、撮像装置19、Z方向移動装置20、Z方向計測部移動装置21(図7参照)の動作を制御するために種々のプログラムおよびデータが格納されている。
【0113】
制御装置15は、X方向移動装置4およびY方向移動装置8に対して、撮像装置19が搭載されたY方向テーブル10を目標位置Ptに位置付けるとともに、Z方向移動装置20に対して、撮像装置19のZ方向の位置を目標位置Ptに位置付けるための位置制御信号Sを出力可能に構成される。目標位置Ptは、X方向目標座標Ptx、Y方向目標座標PtyおよびZ方向目標座標Ptzを含む。位置制御信号Sには、X方向目標座標Ptxに対するX方向位置制御信号Sx、Y方向目標座標Ptyに対するY方向位置制御信号SyおよびZ方向目標座標Ptzに対するZ方向位置制御信号Szを含む。
【0114】
制御装置15は、Z方向移動装置20の図示しないZ方向リニアモータおよびZ方向スケール20cに電気的に接続されている。制御装置15は、Z方向リニアモータのドライバに対して、位置制御信号SにおけるZ方向位置制御信号Szを送信する。制御装置15は、Z方向スケール20cからZ方向移動部20bのZ方向の位置についての計測値を取得する。
【0115】
制御装置15は、撮像装置19に電気的に接続されている。制御装置15は、撮像装置19に対して、前記撮像対象物を撮像する制御信号を出力する。
【0116】
制御装置15は、2D計測装置18に対して、撮像装置16の計測位置Pmを計測する制御信号を出力する。計測位置Pmは、撮像装置16のX方向計測座標Pmx、Y方向計測座標PmyおよびZ方向計測座標Pmzを含む。制御装置15は、2D計測装置18が計測した撮像装置16の計測位置PmにおけるX方向計測座標Pmx、Y方向計測座標PmyおよびZ方向計測座標Pmzを取得する。
【0117】
制御装置15は、Z方向計測部移動装置21の図示しないZ方向リニアモータおよび計測部Z方向スケール21cに電気的に接続されている。制御装置15は、Z方向リニアモータのドライバに対して、位置制御信号SにおけるZ方向位置制御信号Szを送信する。制御装置15は、計測部Z方向スケール21cからZ方向計測部移動部21bのZ方向の位置についての計測値を取得する。
【0118】
<位置決め制御および補正制御>
図8に示すように、位置決め制御S1において、X方向移動装置4に搭載されているY方向移動装置8に、Z方向移動装置20を介して支持されている撮像装置19(図7参照)は、X方向移動装置4およびY方向移動装置8によってX方向目標座標PtxおよびY方向目標座標Ptyに向かって移動される。
【0119】
制御装置15は、Z方向スケール20cの計測値に基づいて、Z方向移動部20bの位置をZ方向目標座標Ptzに一致させるように、Z方向移動装置20に対して、Z方向位置制御信号Szを出力する。Z方向移動装置20は、Z方向位置制御信号Szに基づいて、Z方向目標座標Ptzに向かってZ方向移動部20bを移動させる。よって、Z方向移動部20bは、Z方向目標座標Ptzに位置付けられる。これにより、撮像装置19および第1検出ヘッド18bは、Z方向目標座標Ptzに位置付けられる。
【0120】
制御装置15は、計測部Z方向スケール21cの計測値に基づいて、Z方向計測部移動部21bの位置をZ方向目標座標Ptzに一致させるように、Z方向計測部移動装置21に対して、Z方向位置制御信号Szを出力する。
【0121】
図8図9とに示すように、Z方向計測部移動装置21(図8参照)は、Z方向位置制御信号Szに基づいて、Z方向目標座標Ptzに向かってZ方向計測部移動部21bを移動させる。よって、Z方向計測部移動部21bは、Z方向目標座標Ptzに位置付けられる。これにより、Z方向計測部移動部21bに支持されている2Dスケール18aは、Z方向目標座標Ptzに位置付けられる。つまり、2Dスケール18aは、Z方向目標座標Ptzに移動された第1検出ヘッド18bに連動してZ方向目標座標Ptzに位置付けられる。2D計測装置18は、2Dスケール18aと第1検出ヘッド18bとの間隔が所定範囲内に維持されるので、第1検出ヘッド18bによって2Dスケール18a上の座標を計測可能な状態を維持することができる。制御装置15は、位置決め制御S1を終了し、補正制御S2に移行する。
【0122】
なお、制御装置15は、Z方向位置制御信号Szに基づいたZ方向移動部20b移動量が所定の範囲内である場合、Z方向計測部移動装置21に対して、Z方向位置を維持するZ方向位置維持制御信号を出力する。または、制御装置15は、Z方向位置制御信号Szを出力しない。制御装置15は、例えば、Z方向移動部20b移動量が第1検出ヘッド18bよって2Dスケール18a上の座標を検出可能な取り付け範囲に含まれている場合、Z方向計測部移動装置21によって2Dスケール18aをZ方向に移動させない。
【0123】
このように構成される位置決め装置1Bにおいて、2D計測装置18は、撮像装置19を介してZ方向移動装置20に支持される第1検出ヘッド18bと、Z方向計測部移動装置21に支持される2Dスケール18aとを含む。2Dスケール18aは、Z方向計測部移動装置21によって、撮像装置19に含まれるZ方向移動装置20のZ方向への移動に基づいて、Z方向に移動可能である。2D計測装置18は、Z方向移動装置20のZ方向への移動によって、第1検出ヘッド18bがZ方向に移動した場合、Z方向移動装置20のZ方向への移動に追従するように、Z方向計測部移動装置21によって2Dスケール18aをZ方向に移動させる。つまり、Z方向計測部移動装置21は、Z方向移動装置20の動きに連動している。Z方向計測部移動装置21は、2Dスケール18aと第1検出ヘッド18bとの間隔を第1検出ヘッド18bによって座標を計測可能な範囲に保つ。よって、2D計測装置18は、Z方向移動装置20がZ方向に移動しても、撮像装置19のX方向の位置およびY方向に位置を計測することができる。
【0124】
また、Z方向移動装置20の移動量が2D計測装置18における2Dスケール18aと第1検出ヘッド18bとの間隔の計測可能範囲内である場合、2D計測装置18における2Dスケール18aと第1検出ヘッド18bとの間隔を維持する。よって、2Dスケール18aと第1検出ヘッド18bとの間隔がZ方向移動装置20の移動に追従しないので、2Dスケール18aの移動による計測誤差を抑制することができる。
【0125】
また、制御装置15は、XY方向移動部3およびZ方向移動装置20によって移動されたアライメントカメラである撮像装置19のX方向計測座標PmxおよびY方向計測座標Pmyを2D計測装置18によって取得可能である。よって、位置決め装置1Bは、XY方向移動部3および撮像装置19が有する構造上の誤差および制御上の誤差を抑制した状態で撮像装置19を位置付けることができる。これにより、Z方向移動装置20のZ方向目標座標PtzとZ方向計測座標Pmzとから前記XY方向移動部3およびZ方向移動装置20が有する外乱要因による影響を抑制し、撮像装置19の位置決め精度を向上させることができる。
【0126】
[その他の実施形態]
なお、上述の実施形態1において、位置決め装置1は、対象物位置計測部であるレーザ干渉計13x、13yによって、撮像装置12の位置を計測している。また、実施形態2、3において、位置決め装置1A、1Bは、2D計測装置18によって撮像装置12,19の位置を計測している。しかしながら、対象物位置計測部は、位置決め対象物の位置を計測できる装置であればよい。
【0127】
また、上述の実施形態2において、2D計測装置18は、XY方向移動部3がX方向またはY方向のうちいずれか一方の方向にだけ移動する場合、X方向またはY方向のうち移動しない他方の方向における位置ずれを計測可能な1.5D計測装置でもよい。1.5D計測装置は、2D計測装置に比べて、設置面積を小さくすることができる。
【0128】
また、上述の各実施形態において、位置決め装置1、1A、1Bは、撮像装置12、15、19を位置決め対象物として位置決めしている。しかしながら、位置決め装置が位置決めする位置決め対象物は、ボンディングヘッド等の加工装置でもよい。
【0129】
上述の構成では、制御部は、XY方向移動部等によって移動された前記ボンディングヘッドの位置を対象物位置計測部によって取得可能である。よって、前記位置決め装置は、前記XY方向移動部および前記位置決め対象物が有する構造上の誤差および制御上の誤差を抑制して前記ボンディングヘッドを位置付けることができる。これにより、前記所定方向移動部の目標位置と計測位置とから前記XY方向移動部および前記所定方向移動部が有する外乱による影響を抑制し、ボンディングヘッドの位置決め精度を向上させることができる。
【0130】
また、上述の実施形態2、3において、位置決め対象物である撮像装置12、19は、θz方向移動装置17、Z方向移動装置20を含んでいる。しかしながら、前記位置決め対象物は、X方向、Y方向およびZ方向の直動、X軸まわり、Y軸まわりおよびZ軸まわりの回転のうちすくなくとも一つの直動または回転により撮像装置を移動する移動装置を含んでいてもよい。
【0131】
また、上述の各実施形態において、位置決め対象物である撮像装置12、15、19は、XY方向移動部に搭載されている。しかしながら、前記地位決め対象物は、X方向、Y方向およびZ方向の直動、X軸まわり、Y軸まわりおよびZ軸まわりの回転のうちすくなくとも一つの直動または回転により位置決め対象物を位置決めする構成でもよい。
【0132】
また、上述の実施形態3において、2D計測装置18は、2Dスケール18aと第1検出ヘッド18bとの間隔を調整するために、Z方向計測部移動装置21によって2Dスケール18aを移動させる。しかしながら、2D計測装置は、2Dスケールと第1検出ヘッドとの間隔を調整するために、Z方向計測部移動装置によって位置決め対象物に設けられた第1検出ヘッドを移動させてもよい。
【0133】
また、上述の各実施形態において、X方向移動装置4は、X方向リニアモータ5によって駆動力を発生させる。Y方向移動装置8は、Y方向リニアモータ9によって駆動力を発生させる。しかしながら、X方向移動装置およびY方向移動装置を含む移動装置は、位置制御可能なアクチュエータを有していればよい。
【0134】
また、上述の全ての実施形態において、位置決め装置1、1A、1Bは、X方向移動装置4とY方向移動装置8とによって位置決め対象物を移動可能に構成されている。しかしながら、位置決め装置は、少なくとも1つの駆動装置を有していればよい。位置決め装置は、1つの駆動装置によって位置決め対象物を移動させる構成でも、3つ以上の駆動装置によって位置決め対象物を移動させる構成でもよい。
【0135】
また、上述の全ての実施形態において、位置決め装置1、1A、1Bは、一定の環境温度において位置決めを行う。しかしながら、位置決め装置は、位置決め対象物が移動される様々な環境温度に応じた補正式または補正テーブルを有していてもよい。位置決め装置は、環境温度の影響を考慮して基準校正値をより高精度に更新することができる。
【0136】
また、上述の全ての実施形態において、位置決め装置1のX方向移動装置4は、電動アクチュエータであるX方向リニアモータ5によって位置決め対象物を移動させている。また、Y方向移動装置8は、電動アクチュエータであるY方向リニアモータ9によって位置決め対象物を移動させている。しかしながら、X方向移動装置およびY方向移動装置は、電動アクチュエータであるサーボモータ等とボールねじ等の直動装置とから構成されていてもよい。
【0137】
また、上述の全ての実施形態において、X方向移動装置4およびY方向移動装置8は、光学式リニアスケールであるX方向スケール7およびY方向スケール11を有している。しかしながら、X方向移動装置およびY方向移動装置は、可動子の位置を計測できるものであれば、磁気式リニアスケール、光学式または磁気式のロータリエンコーダでもよい。
【0138】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0139】
1、1A、1B 位置決め装置
2 基部
3 XY方向移動部
4 X方向移動装置
5 X方向リニアモータ
5a X方向レール
5b X方向ブロック
6 X方向テーブル
7 X方向スケール
8 Y方向移動装置
9 Y方向リニアモータ
9a Y方向レール
9b Y方向ブロック
10 Y方向テーブル
11 Y方向スケール
12、16、19 撮像装置
12a 支持部材
13x X方向レーザ干渉計
13y Y方向レーザ干渉計
14x、14y 反射板
15 制御装置
17 θz方向移動装置
17a 案内部
17b θz方向移動部
17c θz方向スケール
18 2D計測装置
18a 2Dスケール
18b 第1検出ヘッド
18c 第2検出ヘッド
20 Z方向移動装置
20a 案内部
20b Z方向移動部
20c Z方向スケール
21 Z方向計測部移動装置
21a 計測部案内部
21b Z方向計測部移動部
21c 計測部Z方向スケール
S1 位置決め制御
S2 補正制御
Pt 目標位置
Ptx X方向目標座標
Pty Y方向目標座標
Ptz Z方向目標座標
Ptθz θz方向目標角度
Pmx X方向計測座標
Pmy Y方向計測座標
Pmz Z方向計測座標
Pmθz θz方向計測角度
Pmx1 第1X方向計測座標
Pmy1 第1Y方向計測座標
Pmx2 第2X方向計測座標
Pmy2 第2Y方向計測座標
S 位置制御信号
Sx X方向位置制御信号
Sy Y方向位置制御信号
Sz Z方向位置制御信号
Sxc X方向補正位置制御信号
Syc Y方向補正位置制御信号
Sθzc θz方向補正位置制御信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9