特開 2024-138666 端子台アセンブリ及び端子台組付構造

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024138666

(43)【公開日】2024-10-09

(54)【発明の名称】端子台アセンブリ及び端子台組付構造

(51)【国際特許分類】

   H01R 9/00 20060101AFI20241002BHJP

   H01R 9/28 20060101ALI20241002BHJP

【ＦＩ】

H01R9/00 A

H01R9/28

【審査請求】有

【請求項の数】3

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023049257

(22)【出願日】2023-03-27

(71)【出願人】

【識別番号】000006895

【氏名又は名称】矢崎総業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100134832

【弁理士】

【氏名又は名称】瀧野 文雄

(74)【代理人】

【識別番号】100165308

【弁理士】

【氏名又は名称】津田 俊明

(74)【代理人】

【識別番号】100115048

【弁理士】

【氏名又は名称】福田 康弘

(72)【発明者】

【氏名】大野 紘明

(72)【発明者】

【氏名】鈴木 徹

(72)【発明者】

【氏名】山梨 大介

【テーマコード（参考）】

5E086

【Ｆターム（参考）】

5E086CC46

5E086DD05

5E086DD33

5E086HH02

5E086JJ03

5E086LL04

5E086LL06

5E086LL12

5E086LL13

5E086LL14

(57)【要約】

【課題】専用の金型を必要としない端子台アセンブリを提供する。
【解決手段】端子台アセンブリ７は、配線同士の接続に用いられるものである。端子台アセンブリ７は、例えば、自動車に搭載されたインバータのケース８に取り付けられて、ケース８と共に端子台組付構造１０を構成する。端子台アセンブリ７は、４つの１極端子台１と、１極端子台１を保持する円形の保持孔６１が４つ形成されたプレート６と、を備えており、各保持孔６１に各１極端子台１が保持されて構成されている。４つの１極端子台１は、全て同一構成である。各１極端子台１は、一端側に第１接続部２１が形成され、他端側に第２接続部２２が形成された端子２が樹脂部４で保持されて構成されている。
【選択図】図４

【特許請求の範囲】

【請求項1】

一端側に第１接続部が形成され、他端側に第２接続部が形成された端子が樹脂部で保持された１極端子台と、
前記１極端子台を保持する保持孔が複数形成されたプレートと、を備え、
前記１極端子台は、前記第１接続部が前記プレートの一方側に位置付けられかつ前記第２接続部が前記プレートの他方側に位置付けられた状態で前記保持孔に保持され、
前記プレートの各保持孔に前記１極端子台が保持されている
ことを特徴とする端子台アセンブリ。

【請求項2】

前記１極端子台が前記保持孔に保持された状態で前記１極端子台が前記プレートの面方向に移動可能となるように、前記保持孔が前記１極端子台よりも大きく形成されている
ことを特徴とする請求項１に記載の端子台アセンブリ。

【請求項3】

請求項２に記載の端子台アセンブリと、該端子台アセンブリが取り付けられる板状の被取付部と、を備え、
前記被取付部に、前記１極端子台が挿通される挿通孔が複数形成されており、
前記１極端子台が前記挿通孔に挿通された状態で、前記１極端子台が移動不能となる
ことを特徴とする端子台組付構造。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、端子台に関するものである。

【背景技術】

【0002】

配線接続用の端子台には様々な構造のものがあるが、その一例として、図７に示すものがある（特許文献１を参照）。図７に示す端子台５００は、自動車に搭載された走行用モータの筐体に固定されるものであり、３つのバスバ５０２と、２つのカラー５０３と、これらを保持したハウジング５０４と、を備えている。

【0003】

各バスバ５０２は、第１接続部５２１と、第２接続部５２２と、を備えている。第１接続部５２１は、例えば、走行用モータの端子と接続される。第２接続部５２２は、例えば、インバータの端子と接続される。

【0004】

カラー５０３は、金属で構成され、円筒状に形成されている。このカラー５０３には、端子台５００を走行用モータの筐体に固定するためのボルトが通される。

【0005】

ハウジング５０４は、絶縁性の合成樹脂で構成されている。ハウジング５０４は、金型のキャビティに溶融樹脂が充填され、溶融樹脂が固化されて成形されている。また、バスバ５０２やカラー５０３は、ハウジング５０４が成形される際に金型のキャビティにセットされ、ハウジング５０４にインサート成形されている。

【0006】

上記端子台５００以外にも、車両毎の搭載条件に合わせるため、様々な形状の端子台が存在する。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0007】

【特許文献1】特開２０２２－５２０１３号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0008】

上述した様々な形状の端子台を製造するにあたっては、製品毎に金型を起工する必要があり、開発期間やコストがかかるという問題があった。

【0009】

そこで、本発明は、専用の金型を必要としない端子台アセンブリ、及び該端子台アセンブリを用いた端子台組付構造を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0010】

本発明の端子台アセンブリは、一端側に第１接続部が形成され、他端側に第２接続部が形成された端子が樹脂部で保持された１極端子台と、前記１極端子台を保持する保持孔が複数形成されたプレートと、を備え、前記１極端子台は、前記第１接続部が前記プレートの一方側に位置付けられかつ前記第２接続部が前記プレートの他方側に位置付けられた状態で前記保持孔に保持され、前記プレートの各保持孔に前記１極端子台が保持されていることを特徴とするものである。

【0011】

本発明の端子台組付構造は、上記端子台アセンブリと、該端子台アセンブリが取り付けられる板状の被取付部と、を備え、前記被取付部に、前記１極端子台が挿通される挿通孔が複数形成されており、前記１極端子台が前記挿通孔に挿通された状態で、前記１極端子台が移動不能となることを特徴とするものである。

【発明の効果】

【0012】

本発明によれば、専用の金型を必要としない端子台アセンブリ、及び該端子台アセンブリを用いた端子台組付構造を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【0013】

【図1】本発明の第１実施形態にかかる端子台アセンブリの斜視図である。

【図2】図１の端子台アセンブリの分解図である。

【図3】図２中のＡ－Ａ線に沿った断面図である。

【図4】図１の端子台アセンブリが被取付部に取り付けられた端子台組付構造を示す断面図である。

【図5】本発明の第２実施形態にかかる端子台アセンブリの斜視図である。

【図6】本発明の第３実施形態にかかる端子台アセンブリの斜視図である。

【図7】従来の端子台を示す斜視図である。

【発明を実施するための形態】

【0014】

本発明の第１実施形態にかかる「端子台アセンブリ」及び「端子台組付構造」について、図１～４を参照して説明する。

【0015】

図１に示す端子台アセンブリ７は、配線同士の接続に用いられるものである。端子台アセンブリ７は、例えば、図４に示すケース８（「板状の被取付部」に相当）に取り付けられて、ケース８と共に端子台組付構造１０を構成する。

【0016】

端子台アセンブリ７は、４つの１極端子台１と、１極端子台１を保持する円形の保持孔６１が４つ形成されたプレート６と、を備えており、各保持孔６１に各１極端子台１が保持されて構成されている。

【0017】

４つの１極端子台１は、全て同一構成である。各１極端子台１は、図２，３に示すように、一端側に第１接続部２１が形成され、他端側に第２接続部２２が形成された１極の端子２と、この端子２を保持した樹脂部４と、環状のパッキン５１，５２と、ホルダ３と、を備えている。

【0018】

第１接続部２１は、円柱をその中心軸と平行な平面で分割した部分円柱状に形成されており、ボルト挿通孔２３を備えている。

【0019】

第２接続部２２は、円柱状に形成されており、雌ねじ部２４を備えている。雌ねじ部２４は、端子２の他端から凹に形成された穴と、該穴の内周面に螺旋状に切られたねじと、で構成されている。

【0020】

端子２の中央部には、樹脂部４の抜け止め部４５が充填された溝２５が形成されている。

【0021】

樹脂部４は、絶縁性合成樹脂で構成され、端子保持部４２と、フランジ部４６と、包囲壁４１と、ピン４７と、抜け止め部４５と、を備えている。

【0022】

端子保持部４２は、円筒状に形成されており、端子２の中央部の外周面を覆っている。抜け止め部４５は、端子保持部４２の内面から突出しており、端子２の溝２５に充填されている。端子保持部４２の外周面には、環状のパッキン５２を取り付けたパッキン取付溝４４が形成されている。

【0023】

フランジ部４６は、端子保持部４２の外周面から外方に延びている。包囲壁４１は、フランジ部４６から端子保持部４２と反対側に円筒状に延びている。包囲壁４１は、端子２の第２接続部２２を包囲している。ピン４７は、フランジ部４６から包囲壁４１と反対側に突出している。

【0024】

パッキン５１は、端子２の第２接続部２２の外周面に装着されており、第２接続部２２の外周面と端子保持部４２の内周面との間をシールしている。ホルダ３は、パッキン５１が第２接続部２２の外周面から脱落することを規制するための部品であり、包囲壁４１に係止している。

【0025】

プレート６は、図２に示すように、細長い板状に形成されており、その長手方向に４つの保持孔６１が形成されている。プレート６の長手方向両端部には、ボルト挿通孔６３が形成されている。本例のプレート６は、強度を確保するために金属で構成されているが、強度が確保できれば樹脂で構成されていてもよい。

【0026】

上述した１極端子台１は、包囲壁４１が保持孔６１内に通され、フランジ部４６がプレート６に重ねられ、第１接続部２１がプレート６の一方側に位置付けられかつ第２接続部２２がプレート６の他方側に位置付けられた状態で保持孔６１に保持されている。

【0027】

また、１極端子台１が保持孔６１に保持された状態で１極端子台１がプレート６の面方向に移動可能となるように、保持孔６１が包囲壁４１の外径よりも大きく形成されている。このような寸法にしている理由は、端子２が電気接続される配線部品に対して端子２を調芯可能とするためである。

【0028】

このような端子台アセンブリ７は、連結されていない４つの１極端子台１をプレート６で保持することで構成されているので、専用の金型が不要である。そして、端子２間ピッチの変更や、端子２の極数の変更等にも複数種のプレート６を用意しておくことで柔軟に対応することができる。このように、１極端子台１は、多様な仕様に対応することができる。

【0029】

図４に示す端子台組付構造１０は、上述した端子台アセンブリ７と、自動車に搭載されたインバータのケース８と、を備えている。ケース８には、１極端子台１の端子保持部４２が挿通される４つの挿通孔８２と、プレート６のボルト挿通孔６３を通されたボルトが通される２つのボルト挿通孔８３と、１極端子台１のピン４７が挿入される４つの穴と、が形成されている。

【0030】

端子台アセンブリ７がケース８に近付けられ、各１極端子台１の端子保持部４２が各挿通孔８２に挿通され、各ボルト挿通孔６３及び各ボルト挿通孔８３にボルトが挿通され、該ボルトにナットが螺合することで端子台アセンブリ７がケース８に固定される。また、各１極端子台１のパッキン取付溝４４に取り付けられたパッキン５２により、挿通孔８２と端子保持部４２との間がシールされる。

【0031】

また、端子台アセンブリ７がケース８に固定される前の状態では１極端子台１がプレート６の面方向に移動可能に保持孔６１に保持されていたが、１極端子台１が挿通孔８２に挿通された状態では１極端子台１が移動不能となっている。このように、１極端子台１は、ケース８の挿通孔８２に挿通されることで各極毎に調芯される。

【0032】

端子台アセンブリ７がケース８に固定された状態で、各１極端子台１の第１接続部２１は、ケース８の一方側、即ちケース８の内側に位置付けられている。これら第１接続部２１は、インバータの端子が重ねられ、ボルト挿通孔２３に挿通されたボルトと該ボルトに螺合したナットによって共締めされる。上述したように、１極端子台１は、各極毎に調芯されているので、高い位置精度でインバータの端子と重ねられる。また、端子台アセンブリ７がケース８に固定された状態で、各１極端子台１の第２接続部２２は、ケース８の他方側、即ちケース８の外側に位置付けられている。これら第２接続部２２は、電線の端末に接続された丸形端子が重ねられ、雌ねじ部２４に螺合したボルトによって丸形端子と共締めされる。

【0033】

本発明の第２実施形態にかかる「端子台アセンブリ」について、図５を参照して説明する。図５において、第１実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。

【0034】

第１実施形態の端子台アセンブリ７は、４つの１極端子台１と、プレート６と、を備えた構成であったが、本例の端子台アセンブリ１０７は、３つの１極端子台１０１と、プレート１０６と、を備えた構成である。

【0035】

１極端子台１０１の端子１０２は、角柱状の第１接続部１２１が形成されている。また、１極端子台１０１の樹脂部１０４は、角筒状の包囲壁１４１を備えている。

【0036】

プレート１０６には、３つの保持孔１６１が形成されている。保持孔１６１は、角筒状の包囲壁１４１が通されるため、矩形状に形成されている。

【0037】

本例の端子台アセンブリ１０７も、第１実施形態の端子台アセンブリ７と同様に、専用の金型が不要である。

【0038】

本発明の第３実施形態にかかる「端子台アセンブリ」について、図６を参照して説明する。図６において、第１，２実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。

【0039】

本例の端子台アセンブリ２０７は、３つの１極端子台１０１と、プレート２０６と、を備えた構成である。第２実施形態の端子台アセンブリ１０７は、３つの１極端子台１０１の端子１０２間ピッチが均等であったが、本例の端子台アセンブリ２０７は、３つの１極端子台１０１の端子１０２間ピッチが不均等である。

【0040】

本例の端子台アセンブリ２０７も、第２実施形態の端子台アセンブリ１０７と同様に、専用の金型が不要である。即ち、第２実施形態のプレート１０６を本プレート２０６に変更することで、端子１０２間ピッチの変更に対応することができる。

【0041】

なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。

【符号の説明】

【0042】

１，１０１ １極端子台
２，１０２ 端子
４，１０４ 樹脂部
６，１０６，２０６ プレート
７，１０７，２０７ 端子台アセンブリ
８ ケース（被取付部）
１０ 端子台組付構造

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】