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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138667
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】1極端子台の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/24 20060101AFI20241002BHJP
   H01R 9/22 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
H01R43/24
H01R9/22
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049258
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】大野 紘明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 徹
【テーマコード(参考)】
5E063
5E086
【Fターム(参考)】
5E063JB01
5E063JB03
5E063XA11
5E086CC47
5E086DD05
5E086DD35
5E086LL04
5E086LL06
5E086LL12
5E086LL13
5E086LL14
(57)【要約】
【課題】金型を共用して複数種の1極端子台を製造する技術を提供する。
【解決手段】1極端子台1Aは、一端側に第1接続部21が形成され、他端側に第2接続部22が形成された1極の端子2と、一のカラー3と、端子2及びカラー3を保持した樹脂部4と、を備えている。1極端子台1Aは、以下の方法で製造される。まず、樹脂部4を成形するための金型ユニットのキャビティに、第2接続部22のみ形成され、第1接続部21が未形成の金属の棒材及びカラー3をセットする。次に、前記キャビティに溶融樹脂を充填して樹脂部4を成形し、金型を開いて成形品、即ち半製品を取り出す。そして、半製品の棒材に切削加工(棒材の一端側を半円柱状に削り、ボルト挿通孔23を形成する)を施して第1接続部21を成形する。このような手順で1極端子台1Aが製造される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側に第1接続部が形成され、他端側に第2接続部が形成された端子と、前記端子を保持した樹脂部と、を備えた1極端子台の製造方法であって、
前記樹脂部を成形するための金型ユニットのキャビティに、前記第1接続部又は前記第2接続部が形成される前の金属の棒材をセットし、前記キャビティに溶融樹脂を充填して前記樹脂部を成形し、
前記樹脂部が成形された後に、前記棒材に加工を施して前記第1接続部又は前記第2接続部を成形する
ことを特徴とする1極端子台の製造方法。
【請求項2】
前記第1接続部がボルト挿通孔を備え、
前記樹脂部が成形された後に、前記棒材に切削加工を施して前記ボルト挿通孔を形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の1極端子台の製造方法。
【請求項3】
前記1極端子台が、前記樹脂部に保持された円筒状のカラーを備え、
前記キャビティに前記棒材及び前記カラーをセットした状態で当該キャビティに溶融樹脂を充填して前記樹脂部を成形する
ことを特徴とする請求項1に記載の1極端子台の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
配線接続用の端子台には様々な構造のものがあるが、その一例として、図8に示すものがある(特許文献1を参照)。図8に示す端子台500は、自動車に搭載された走行用モータの筐体に固定されるものであり、3つのバスバ502と、2つのカラー503と、これらを保持したハウジング504と、を備えている。
【0003】
各バスバ502は、第1接続部521と、第2接続部522と、を備えている。第1接続部521は、例えば、走行用モータの端子と接続される。第2接続部522は、例えば、インバータの端子と接続される。
【0004】
カラー503は、金属で構成され、円筒状に形成されている。このカラー503には、端子台500を走行用モータの筐体に固定するためのボルトが通される。
【0005】
ハウジング504は、絶縁性の合成樹脂で構成されている。ハウジング504は、金型のキャビティに溶融樹脂が充填され、溶融樹脂が固化されて成形されている。また、バスバ502やカラー503は、ハウジング504が成形される際に金型のキャビティにセットされ、ハウジング504にインサート成形されている。
【0006】
上記端子台500以外にも、車両毎の搭載条件に合わせるため、様々な形状の端子台が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2022-52013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した様々な形状の端子台を製造するにあたっては、製品毎に金型を起工する必要があり、開発期間やコストがかかるという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、金型を共用して複数種の1極端子台を製造する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一端側に第1接続部が形成され、他端側に第2接続部が形成された端子と、前記端子を保持した樹脂部と、を備えた1極端子台の製造方法であって、前記樹脂部を成形するための金型ユニットのキャビティに、前記第1接続部又は前記第2接続部が形成される前の金属の棒材をセットし、前記キャビティに溶融樹脂を充填して前記樹脂部を成形し、前記樹脂部が成形された後に、前記棒材に加工を施して前記第1接続部又は前記第2接続部を成形することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、金型を共用して複数種の1極端子台を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態にかかる製造方法により製造された1極端子台の一例を示す斜視図である。
図2図1の1極端子台を別の角度からみた斜視図である。
図3】本発明の一実施形態にかかる製造方法により製造された1極端子台の他の例を示す斜視図である。
図4】本発明の一実施形態にかかる製造方法により製造された1極端子台のさらに他の例を示す斜視図である。
図5図1~4の1極端子台の製造途中の半製品を示す斜視図である。
図6】本発明の一実施形態にかかる製造方法により製造された1極端子台が被取付部に取り付けられた端子台組付構造を示す図であり、(a)は背面図、(b)は平面図である。
図7】本発明の一実施形態にかかる製造方法により製造された1極端子台が被取付部に取り付けられた他の端子台組付構造を示す図であり、(a)は背面図、(b)は平面図である。
図8】従来の端子台を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態にかかる「1極端子台の製造方法」について、図1~5を参照して説明する。
【0014】
図1,2に示す1極端子台1Aは、配線同士の接続に用いられる部品である。この1極端子台1Aは、一端側に第1接続部21が形成され、他端側に第2接続部22が形成された1極の端子2と、一のカラー3と、端子2及びカラー3を保持した樹脂部4と、を備えている。
【0015】
第1接続部21は、円柱をその中心軸を通る平面で2分割した形状である半円柱状に形成されており、ボルト挿通孔23を備えている。
【0016】
第2接続部22は、円柱状に形成されており、雌ねじ部24を備えている。雌ねじ部24は、端子2の他端から凹に形成された穴と、該穴の内周面に螺旋状に切られたねじと、で構成されている。
【0017】
カラー3は、金属で構成され、円筒状に形成されている。このカラー3には、1極端子台1Aを被取付部に固定するためのボルトが通される。
【0018】
樹脂部4は、金型ユニットで成形されたものであり、絶縁性合成樹脂で構成され、円柱状の端子保持部42と、端子保持部42の外周面に連なった板状のカラー保持部43と、を備えている。端子保持部42の外周面には、環状のパッキンを取り付けるための環状のパッキン取付溝44が形成されている。
【0019】
端子2は、樹脂部4にインサート成形されており、第1接続部21が端子保持部42の一端面から突出しており、第2接続部22が端子保持部42の他端面から突出しており、中央部が端子保持部42に埋設されている。
【0020】
カラー3は、樹脂部4にインサート成形されている。カラー3の外周面はカラー保持部43で覆われている。カラー3の中心軸は、第2接続部22の中心軸と平行である。
【0021】
1極端子台1Aは、以下の方法で製造される。まず、樹脂部4を成形するための金型ユニットのキャビティに、第2接続部22のみ形成され、第1接続部21が未形成の金属の棒材及びカラー3をセットする。次に、前記キャビティに溶融樹脂を充填して樹脂部4を成形し、金型を開いて図5に示す成形品、即ち半製品1を取り出す。符号2Zは、第2接続部22のみ形成され、第1接続部21が未形成の金属の棒材を示している。そして、半製品1の棒材2Zに切削加工(棒材2Zの一端側を半円柱状に削り、ボルト挿通孔23を形成する)を施して第1接続部21を成形する。このような手順で1極端子台1Aが製造される。
【0022】
上述した製造過程において、半製品1の棒材2Zに施す切削加工の内容を変更することで、図3に示す1極端子台1Bや、図4に示す1極端子台1Cなどを製造することができる。
【0023】
1極端子台1Bは、カラー3に対する第1接続部21の向き、即ちボルト挿通孔23の向きが1極端子台1Aと異なっており、その他は1極端子台1Aと同一構成である。
【0024】
1極端子台1Cの端子102は、1極端子台1Aの端子2の第1接続部21よりも長い第1接続部121を備えている。即ち、1極端子台1Cは、ボルト挿通孔23の位置が1極端子台1Aと異なっており、その他は1極端子台1Aと同一構成である。
【0025】
このように、本例では、金型ユニットを共用して複数種の1極端子台1A,1B,1Cを製造することができる。
【0026】
上述した製造方法により得られた1極端子台は、例えば図6,7に示すように被取付部に取り付けられる。
【0027】
図6(a)(b)に示す端子台組付構造7は、互いに仕様が異なる3つの1極端子台1A,1D,1Eが被取付部8に取り付けられたものである。1極端子台1A,1D,1Eは、同一部品のカラー3が用いられており、カラー3に対するボルト挿通孔23の向きが互いに異なっており、その他は同一構成である。これらは、何れも、金型を共用して製造したものである。
【0028】
被取付部8は、自動車に搭載されたインバータの筐体である。被取付部8には、1極端子台1A,1D,1Eの端子保持部42がそれぞれ挿通される3つの挿通孔82と、1極端子台1A,1D,1Eのカラー3を通されたボルトがそれぞれ通される3つのボルト挿通孔83と、が形成されている。
【0029】
各1極端子台1A,1D,1Eが各挿通孔82に挿通され、各カラー3及び各ボルト挿通孔83にボルトが挿通され、該ボルトにナットが螺合することで各1極端子台1A,1D,1Eが被取付部8に固定される。また、各1極端子台1A,1D,1Eのパッキン取付溝44に取り付けられたパッキンにより、挿通孔82と端子保持部42との間がシールされる。
【0030】
図6(b)に示すように、1極端子台1A,1D,1Eの第1接続部21は、被取付部8の一方側、即ち筐体の内側に位置付けられている。これら第1接続部21は、インバータの端子が重ねられ、ボルト挿通孔23に挿通されたボルトと該ボルトに螺合したナットによって共締めされる。
【0031】
図6(b)に示すように、1極端子台1A,1D,1Eの第2接続部22は、被取付部8の他方側、即ち筐体の外側に位置付けられている。これら第2接続部22は、電線の端末に接続された丸形端子が重ねられ、雌ねじ部24に螺合したボルトによって丸形端子と共締めされる。
【0032】
このような端子台組付構造7は、連結されていない1極端子台1A,1D,1Eを用いているので、被取付部8におけるボルト挿通孔83の位置の変更や、端子2間ピッチの変更や、端子2の極数の変更等にも柔軟に対応することができる。
【0033】
図7(a)(b)に示す端子台組付構造107は、同一構成の4つの1極端子台1Dが被取付部108に取り付けられたものである。この端子台組付構造107は、端子台組付構造7と同様、連結されていない1極端子台1Dを用いているので、被取付部108におけるボルト挿通孔の位置の変更や、端子2間ピッチの変更や、端子2の極数の変更等にも柔軟に対応することができる。
【0034】
上述した実施形態では、樹脂部4を成形するための金型ユニットのキャビティに、第2接続部22のみ形成され、第1接続部21が未形成の金属の棒材2Zをセットしていた。これ以外に、本発明においては、第1接続部のみ形成され、第2接続部が未形成の金属の棒材を樹脂部にインサート成形し、樹脂部成形後に第2接続部を形成してもよい。また、第1接続部及び第2接続部が未形成の金属の棒材を樹脂部にインサート成形し、樹脂部成形後に第1接続部及び第2接続部を形成してもよい。
【0035】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0036】
1A,1B,1C,1D,1E 1極端子台
2,102 端子
3 カラー
4 樹脂部
21,121 第1接続部
22 第2接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8