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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138669
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】1極端子台の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/24 20060101AFI20241002BHJP
   H01R 9/00 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
H01R43/24
H01R9/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049260
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】大野 紘明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 徹
【テーマコード(参考)】
5E063
5E086
【Fターム(参考)】
5E063JB03
5E063JB10
5E063XA11
5E086CC46
5E086DD05
5E086LL13
(57)【要約】
【課題】金型を共用して複数種の1極端子台を製造する技術を提供する。
【解決手段】金型ユニット9は、1極端子台1Aの樹脂部4を成形するためのキャビティを構成する複数の金型91,92,93,94と、予め成形された端子2を保持し、金型91に組み込まれる駒95と、を備えている。1極端子台1Aを製造する際は、まず、金型91の凹部90に駒95を組み込み、駒95に予め成形された端子2を取り付ける。また、金型94の凸部に予め成形されたカラー3を取り付ける。次に、金型91,92,93,94を閉じ、キャビティに溶融樹脂を充填する。そして、所定の硬化時間を置いた後、金型91,92,93,94を開き、完成品の1極端子台1Aを取り出す。金型ユニット9は、駒95を別のものと入れ替えることで、複数種の1極端子台を製造することができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側に第1接続部が形成され、他端側に第2接続部が形成された端子と、前記端子を保持した樹脂部と、を備えた1極端子台の製造方法であって、
前記樹脂部を成形するためのキャビティを構成する複数の金型と、予め成形された前記端子を保持し、何れかの金型に組み込まれる駒と、を備えた金型ユニットを用い、
複数種の端子と、各端子を保持する複数種の駒と、を用意しておき、
複数種の端子及び複数種の駒から一の端子及び一の駒を選択し、選択した一の駒を前記金型に組み込み、前記キャビティに前記一の端子をセットした状態で当該キャビティに溶融樹脂を充填して、前記1極端子台を製造する
ことを特徴とする1極端子台の製造方法。
【請求項2】
前記第1接続部がボルト挿通孔を備え、前記複数種の端子は、前記ボルト挿通孔の位置又は向きが互いに異なっている
ことを特徴とする請求項1に記載の1極端子台の製造方法。
【請求項3】
前記1極端子台が、前記樹脂部に保持された円筒状のカラーを備え、
前記キャビティに前記端子及び前記カラーをセットした状態で当該キャビティに溶融樹脂を充填して、前記1極端子台を製造する
ことを特徴とする請求項1に記載の1極端子台の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
配線接続用の端子台には様々な構造のものがあるが、その一例として、図9に示すものがある(特許文献1を参照)。図9に示す端子台500は、自動車に搭載された走行用モータの筐体に固定されるものであり、3つのバスバ502と、2つのカラー503と、これらを保持したハウジング504と、を備えている。
【0003】
各バスバ502は、第1接続部521と、第2接続部522と、を備えている。第1接続部521は、例えば、走行用モータの端子と接続される。第2接続部522は、例えば、インバータの端子と接続される。
【0004】
カラー503は、金属で構成され、円筒状に形成されている。このカラー503には、端子台500を走行用モータの筐体に固定するためのボルトが通される。
【0005】
ハウジング504は、絶縁性の合成樹脂で構成されている。ハウジング504は、金型のキャビティに溶融樹脂が充填され、溶融樹脂が固化されて成形されている。また、バスバ502やカラー503は、ハウジング504が成形される際に金型のキャビティにセットされ、ハウジング504にインサート成形されている。
【0006】
上記端子台500以外にも、車両毎の搭載条件に合わせるため、様々な形状の端子台が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2022-52013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した様々な形状の端子台を製造するにあたっては、製品毎に金型を起工する必要があり、開発期間やコストがかかるという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、金型を共用して複数種の1極端子台を製造する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一端側に第1接続部が形成され、他端側に第2接続部が形成された端子と、前記端子を保持した樹脂部と、を備えた1極端子台の製造方法であって、前記樹脂部を成形するためのキャビティを構成する複数の金型と、予め成形された前記端子を保持し、何れかの金型に組み込まれる駒と、を備えた金型ユニットを用い、複数種の端子と、各端子を保持する複数種の駒と、を用意しておき、複数種の端子及び複数種の駒から一の端子及び一の駒を選択し、選択した一の駒を前記金型に組み込み、前記キャビティに前記一の端子をセットした状態で当該キャビティに溶融樹脂を充填して、前記1極端子台を製造することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、金型を共用して複数種の1極端子台を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態にかかる製造方法により製造された1極端子台の一例を示す斜視図である。
図2図1の1極端子台を別の角度からみた斜視図である。
図3】本発明の一実施形態にかかる製造方法により製造された1極端子台の他の例を示す斜視図である。
図4】本発明の一実施形態にかかる製造方法により製造された1極端子台のさらに他の例を示す斜視図である。
図5図1の1極端子台の樹脂部を成形する金型ユニットの概略図であり、金型が閉じられた状態を示す図である。
図6図5の金型ユニットの金型が開かれた状態を示す図である。
図7】本発明の一実施形態にかかる製造方法により製造された1極端子台が被取付部に取り付けられた端子台組付構造を示す図であり、(a)は背面図、(b)は平面図である。
図8】本発明の一実施形態にかかる製造方法により製造された1極端子台が被取付部に取り付けられた他の端子台組付構造を示す図であり、(a)は背面図、(b)は平面図である。
図9】従来の端子台を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態にかかる「1極端子台の製造方法」について、図1~6を参照して説明する。
【0014】
図1,2に示す1極端子台1Aは、配線同士の接続に用いられる部品である。この1極端子台1Aは、一端側に第1接続部21が形成され、他端側に第2接続部22が形成された1極の端子2と、一のカラー3と、端子2及びカラー3を保持した樹脂部4と、を備えている。
【0015】
第1接続部21は、円柱をその中心軸を通る平面で2分割した形状である半円柱状に形成されており、ボルト挿通孔23を備えている。
【0016】
第2接続部22は、円柱状に形成されており、雌ねじ部24を備えている。雌ねじ部24は、端子2の他端から凹に形成された穴と、該穴の内周面に螺旋状に切られたねじと、で構成されている。
【0017】
カラー3は、金属で構成され、円筒状に形成されている。このカラー3には、1極端子台1Aを被取付部に固定するためのボルトが通される。
【0018】
樹脂部4は、図5,6に示す金型ユニット9で成形されたものであり、絶縁性合成樹脂で構成され、円柱状の端子保持部42と、端子保持部42の外周面に連なった板状のカラー保持部43と、を備えている。端子保持部42の外周面には、環状のパッキンを取り付けるための環状のパッキン取付溝44が形成されている。
【0019】
端子2は、樹脂部4にインサート成形されており、第1接続部21が端子保持部42の一端面から突出しており、第2接続部22が端子保持部42の他端面から突出しており、中央部が端子保持部42に埋設されている。
【0020】
カラー3は、樹脂部4にインサート成形されている。カラー3の外周面はカラー保持部43で覆われている。カラー3の中心軸は、第2接続部22の中心軸と平行である。
【0021】
金型ユニット9は、樹脂部4を成形するためのキャビティを構成する複数の金型91,92,93,94と、予め成形された端子2を保持し、金型91の凹部90に組み込まれる駒95と、を備えている。駒95は、矩形状に形成されており、第1接続部21を位置付ける凹部を備えている。金型91と対向配置された金型94は、第2接続部22を位置付ける凹部と、予め成形されたカラー3を保持する凸部と、を備えている。
【0022】
1極端子台1Aは、以下の方法で製造される。まず、金型91の凹部90に駒95を組み込み、駒95に予め成形された端子2を取り付ける。また、金型94の上記凸部に予め成形されたカラー3を取り付ける。次に、図5に示すように金型91,92,93,94を閉じる。このように金型91,92,93,94を閉じることでキャビティが構成され、該キャビティに端子2とカラー3がセットされる。次に、キャビティに溶融樹脂を充填する。そして、所定の硬化時間を置いた後、金型91,92,93,94を開き、完成品の1極端子台1Aを取り出す。
【0023】
上述した金型ユニット9は、駒95を別のものと入れ替えることで、図3に示す1極端子台1Bや、図4に示す1極端子台1Cなどを製造することができる。
【0024】
1極端子台1Bは、カラー3に対する第1接続部21の向き、即ちボルト挿通孔23の向きが1極端子台1Aと異なっており、その他は1極端子台1Aと同一構成である。1極端子台1Bの端子2と1極端子台1Aの端子2は同一部品であり、金型ユニット9にセットする際の向きを駒によって90度回転させることで仕様を変えている。
【0025】
1極端子台1Cは、端子2に代えて端子102が用いられており、その他は1極端子台1Aと同一構成である。端子102の第1接続部121は、端子2の第1接続部21よりも長く、ボルト挿通孔23の位置が1極端子台1Aと異なっている。
【0026】
1極端子台1Bを製造する際は、上述した金型ユニット9を用い、1極端子台1Bの端子2に対応した駒を金型91の凹部90に組み込み、この駒に端子2を取り付け、その後は1極端子台1Aを製造する際と同様の手順で1極端子台1Bを製造する。
【0027】
1極端子台1Cを製造する際は、上述した金型ユニット9を用い、1極端子台1Cの端子102に対応した駒を金型91の凹部90に組み込み、この駒に端子102を取り付け、その後は1極端子台1Aを製造する際と同様の手順で1極端子台1Cを製造する。
【0028】
このように、本例では、金型91,92,93,94を共用し、駒やインサート部品を変更することで複数種の1極端子台1A,1B,1Cを製造することができる。
【0029】
上述した製造方法により得られた1極端子台は、例えば図7,8に示すように被取付部に取り付けられる。
【0030】
図7(a)(b)に示す端子台組付構造7は、互いに仕様が異なる3つの1極端子台1A,1D,1Eが被取付部8に取り付けられたものである。1極端子台1A,1D,1Eは、同一部品の端子2及びカラー3が用いられており、カラー3に対するボルト挿通孔23の向きが互いに異なっており、その他は同一構成である。これらは、何れも、上述した金型91,92,93,94を共用して製造したものである。
【0031】
被取付部8は、自動車に搭載されたインバータの筐体である。被取付部8には、1極端子台1A,1D,1Eの端子保持部42がそれぞれ挿通される3つの挿通孔82と、1極端子台1A,1D,1Eのカラー3を通されたボルトがそれぞれ通される3つのボルト挿通孔83と、が形成されている。
【0032】
各1極端子台1A,1D,1Eが各挿通孔82に挿通され、各カラー3及び各ボルト挿通孔83にボルトが挿通され、該ボルトにナットが螺合することで各1極端子台1A,1D,1Eが被取付部8に固定される。また、各1極端子台1A,1D,1Eのパッキン取付溝44に取り付けられたパッキンにより、挿通孔82と端子保持部42との間がシールされる。
【0033】
図7(b)に示すように、1極端子台1A,1D,1Eの第1接続部21は、被取付部8の一方側、即ち筐体の内側に位置付けられている。これら第1接続部21は、インバータの端子が重ねられ、ボルト挿通孔23に挿通されたボルトと該ボルトに螺合したナットによって共締めされる。
【0034】
図7(b)に示すように、1極端子台1A,1D,1Eの第2接続部22は、被取付部8の他方側、即ち筐体の外側に位置付けられている。これら第2接続部22は、電線の端末に接続された丸形端子が重ねられ、雌ねじ部24に螺合したボルトによって丸形端子と共締めされる。
【0035】
このような端子台組付構造7は、連結されていない1極端子台1A,1D,1Eを用いているので、被取付部8におけるボルト挿通孔83の位置の変更や、端子2間ピッチの変更や、端子2の極数の変更等にも柔軟に対応することができる。
【0036】
図8(a)(b)に示す端子台組付構造107は、同一構成の4つの1極端子台1Dが被取付部108に取り付けられたものである。この端子台組付構造107は、端子台組付構造7と同様、連結されていない1極端子台1Dを用いているので、被取付部108におけるボルト挿通孔の位置の変更や、端子2間ピッチの変更や、端子2の極数の変更等にも柔軟に対応することができる。
【0037】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0038】
1A,1B,1C,1D,1E 1極端子台
2,102 端子
3 カラー
4 樹脂部
9 金型ユニット
91,92,93,94 金型
95 駒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9