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特開2024-138680給電装置及びそれを有するワイヤハーネス
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  • 特開-給電装置及びそれを有するワイヤハーネス 図1
  • 特開-給電装置及びそれを有するワイヤハーネス 図2
  • 特開-給電装置及びそれを有するワイヤハーネス 図3
  • 特開-給電装置及びそれを有するワイヤハーネス 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138680
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】給電装置及びそれを有するワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 11/00 20060101AFI20241002BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
H02G11/00
B60R16/02 620C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049277
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 昇平
(72)【発明者】
【氏名】山下 隼人
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 紀夫
【テーマコード(参考)】
5G371
【Fターム(参考)】
5G371AA01
5G371CA03
(57)【要約】
【課題】ワイヤハーネスの挟み込みを防止しつつ、ワイヤハーネスをできるだけ直線的に配策することのできる給電装置を提供すること。
【解決手段】給電装置1は、一端にハーネス導入開口1Iが形成された本体筒部2と、一端が本体筒部2の他端に回転可能に取り付けられると共に他端にハーネス導出開口1Oが形成されたハーネス導出部3とを備えている。ハーネス導出部3は、本体筒部2の壁部に沿ってその回転軸に垂直な方向に突出された突起36を有すると共に、本体筒部2は、ハーネス導出部3の回転範囲の少なくとも一方の回転限界位置で突起36と当接するストッパ26を壁部に有している。突起36の壁部とは反対側の側部において突起36の基端から先端までと接し、かつ、当該側部からストッパ26が設けられている側へと延びる弧状フランジ37が、ハーネス導出部3に形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電装置であって、
一端にハーネス導入開口が形成された本体筒部と、
一端が前記本体筒部の他端に回転可能に取り付けられると共に他端にハーネス導出開口が形成されたハーネス導出部とを備えており、
前記ハーネス導出部が、前記本体筒部の壁部に沿ってその回転軸に垂直な方向に突出された突起を有すると共に、前記本体筒部が、前記ハーネス導出部の回転範囲の少なくとも一方の回転限界位置で前記突起と当接するストッパを前記壁部に有しており、
前記突起の前記壁部とは反対側の側部において前記突起の基端から先端までと接し、かつ、当該側部から前記ストッパが設けられている側へと延びる弧状フランジが、前記ハーネス導出部に形成されている、給電装置。
【請求項2】
前記ハーネス導出部の前記一端に、互いに反対方向外方に突出された一対の回転軸柱が形成されていると共に、
前記本体筒部の前記他端に、前記回転軸柱を回転可能にそれぞれ収納する一対の軸受筒部が形成されている、請求項1に記載の給電装置。
【請求項3】
前記本体筒部の前記一端から前記他端まで当該本体筒部の内部に直線状のハーネス収納室が形成されていると共に、前記ハーネス導出部の前記一端から前記他端まで当該ハーネス導出部の内部に直線状のハーネス導出室が形成されている、請求項1又は2に記載の給電装置。
【請求項4】
ワイヤハーネスであって、
当該ワイヤハーネスが内部に挿通された外装部材と、
請求項1又は2に記載の給電装置と、を備えており、
前記外装部材の一部が、前記ハーネス導出部の内部に形成されたハーネス導出室に保持されている、ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電装置及びそれを有するワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、給電具及びそれを備えたワイヤハーネスを開示している。特許文献1に開示された給電具は、本体筒部とこの本体筒部に回転可能に取り付けられたハーネス導出部とで構成されている。給電具は、車両のスライドドアやバックドアの近傍に取り付けられ、これらのドアの開閉に伴ってワイヤハーネスの導出方向を変化させる。スライドドアやバックドアが開かれると給電具に対してワイヤハーネスの導出先であるドアの位置が変わるので、給電具は、ドアの位置が変わると本体筒部に対してハーネス導出部が回転してワイヤハーネスの導出方向が変わるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-47567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
給電具のハーネス導出部からは、その回転軸に垂直な方向に突出する突起が設けられている。一方、本体筒部には、ハーネス導出部の回転範囲の両端に対応させて、上述した突起とそれぞれ当接するストッパが設けられている。突起がストッパに当接することで、ハーネス導出部の回転が規制され、ハーネス導出部の回転範囲が規定される。ここで、突起とストッパとの間にワイヤハーネスが挟み込まれると、ワイヤハーネスの破損が懸念される。
【0005】
このため、特許文献1に開示された給電装置では、ワイヤハーネスの配策経路が突起やストッパの近傍を通らないように大きなプロテクタが設けられている。しかし、プロテクタを設けることで、ワイヤハーネスの配策経路が突起やストッパの近傍を大きく迂回するため、ワイヤハーネスをできるだけ直線的に配策するという理想的な配策経路の設定上の障害となっていた。
【0006】
本発明の目的は、ワイヤハーネスの挟み込みを防止しつつ、ワイヤハーネスをできるだけ直線的に配策することのできる給電装置と、この給電装置を有するワイヤハーネスとを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る給電装置は、一端にハーネス導入開口が形成された本体筒部と、一端が前記本体筒部の他端に回転可能に取り付けられると共に他端にハーネス導出開口が形成されたハーネス導出部とを備えており、前記ハーネス導出部が、前記本体筒部の壁部に沿ってその回転軸に垂直な方向に突出された突起を有すると共に、前記本体筒部が、前記ハーネス導出部の回転範囲の少なくとも一方の回転限界位置で前記突起と当接するストッパを前記壁部に有しており、前記突起の前記壁部とは反対側の側部において前記突起の基端から先端までと接し、当該側部から前記ストッパが設けられている側へと弧状フランジが延設されている。
【0008】
本発明に係るワイヤハーネスは、当該ワイヤハーネスが内部に挿通された外装部材と、上述した給電装置と、を備えており、前記外装部材の一部が、前記ハーネス導出部の内部に形成されたハーネス導出室に保持されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る給電装置、又は、当該給電装置を有するワイヤハーネスによれば、ワイヤハーネスの挟み込みを防止しつつ、ワイヤハーネスをできるだけ直線的に配策することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る給電装置の斜視図である。
図2】上記給電装置の分解斜視図である。
図3】上記給電装置のハーネス導出部の斜視図である。
図4】上記ハーネス導出部の突起と本体筒部のストッパとが当接した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて実施形態に係る給電装置について詳細に説明する。なお、下記の説明における「上下左右」については説明のための図中の上下左右であり、給電装置を設置する向きを限定するものではない。
【0012】
図1図4を参照しつつ、実施形態に係る給電装置1について説明する。給電装置1は、後述するほぼ全ての部材が樹脂の射出成形によって形成されている。給電装置1は、ワイヤハーネスW(図1参照)を収納するために内部が空洞で、その一端にハーネス導入開口1Iが形成されていると共に、その他端にハーネス導出開口1Oが形成されている。
【0013】
本実施形態の給電装置1は、車両のスライドドア(図示せず)のために車体に取り付けられており、スライドドアに接続されるワイヤハーネスWの導出方向を変化させる。ワイヤハーネスWは、複数の電線が束ねられて構成されており、スライドドアに設けられたモータやランプへの電力供給線を含んでいる。ワイヤハーネスWは、スライドドアに設けられたスイッチやセンサの信号を車体に取り付けられたコントロールユニットとの間で送受信する信号線をさらに含んでいてもよい。ワイヤハーネスWは、コルゲートチューブなどの外装部材T(図1参照)を有している。外装部材Tは、給電装置1から導出されたワイヤハーネスWを保護する。
【0014】
給電装置1は、車体に固定される本体筒部2と、本体筒部2に回転可能に取り付けられるハーネス導出部3とを備えている。スライドドアの開閉によって車体とスライドドアとの位置関係が変わるので、ハーネス導出部3は、変化する位置関係に追従して回転することで、ワイヤハーネスWの導出方向を変える。本体筒部2の一端に上述したハーネス導入開口1Iが形成されており、他端にはハーネス延出開口20が形成されている。本体筒部2は、やや湾曲した四角形断面の筒形状を有しており、その内部にはハーネス収納室21が形成されている。
【0015】
本体筒部2は、樋状のハウジング2aとハウジング2aの上部開放部を閉じるカバー2bとで構成されている。ハウジング2aの上部開放部の四隅には係止爪22が設けられており、カバー2bの四隅には係止爪22に対応する係止孔23が形成されている。係止爪22と係止孔23とを係止することで、筒形状の本体筒部2が形成される。このように本体筒部2が二分割可能であるため、両端に既にコネクタが取り付けられているワイヤハーネスWであってもハーネス収納室21に収納させることができる。
【0016】
ハーネス収納室21は、本体筒部2の一端のハーネス導入開口1Iから他端のハーネス延出開口20まで本体筒部2の内部に直線状に形成されている。ここに言う「直線状に形成されている」とは、ハーネス導入開口1Iを通過し、ハーネス収納室21を通って、ハーネス延出開口20を通過する直線を引けることである。この直線は、本体筒部2のハウジング2aやカバー2bと干渉しない。上述したように、本体筒部2は、やや湾曲した形態であるが、上述した直線を引くことが可能であり、内部に収納されるワイヤハーネスWをほぼ直線的に収納することができる。
【0017】
また、ハウジング2aの底部外側には、本体筒部2を車体に固定するための固定孔24が設けられている。固定孔24には、ボルト締結部の補強として金属カラーが取り付けられている(又はインサート成形されている)。本体筒部2に回転可能に取り付けられるハーネス導出部3は、上述したハーネス延出開口20に取り付けられる。本体筒部2のハーネス延出開口20から延出されるワイヤハーネスWは、そのまま連続的にハーネス導出部3の内部に挿入される。ハーネス導出部3は、給電装置1からワイヤハーネスWを導出させる部分である。
【0018】
ハーネス導出部3の一端に上述したハーネス延出開口20と連通するハーネス挿入開口30が形成されており、他端には上述したハーネス導出開口1Oが形成されている。ハーネス導出部3は筒形状を有しており、その内部にはハーネス導出室31が形成されている。ハーネス導出室31の内面には、導出されるワイヤハーネスWの外装部材Tの端部を保持する複数のリブ34が形成されている。本実施形態の外装部材Tはコルゲートチューブであり、その表面には凹凸が形成されており、リブ34はこの凹部を係止することで外装部材Tの端部を保持する。
【0019】
ハーネス導出部3は、樋状の下部ハウジング3aと下部ハウジング3aの上部開放部を閉じる上部ハウジング3bとで構成されている。上部ハウジング3bの両側壁には、それぞれ係止爪32が設けられており、下部ハウジング3aには係止爪32に対応する係止孔33が形成されている。係止爪32と係止孔33とを係止することで、下部ハウジング3a及び上部ハウジング3bとによって筒形状のハーネス導出部3が形成される。このようにハーネス導出部3が二分割可能であるため、両端に既にコネクタが取り付けられているワイヤハーネスWであってもハーネス導出室31に収納させることができる。
【0020】
ハーネス導出室31は、ハーネス導出部3の一端のハーネス挿入開口30から他端のハーネス導出開口1Oまでハーネス導出部3の内部に直線状に形成されている。ここに言う「直線状に形成されている」とは、ハーネス挿入開口30を通過し、ハーネス導出室31を通って、ハーネス導出開口1Oを通過する直線を引けることである。この直線は、ハーネス導出部3の下部ハウジング3aや上部ハウジング3bと干渉しない。ハーネス導出部3では、上述した直線を引くことが可能であり、内部に収納されるワイヤハーネスWをほぼ直線的に収納することができる。
【0021】
ハーネス導出部3の一端には、互いに反対方向外方に突出された一対の回転軸柱35が形成されている。上部ハウジング3bに形成された回転軸柱35の上部は塞がれている。下部ハウジング3aに形成された回転軸柱35は環状の壁部とその内部に補強のために設けられた十字状の壁部とで構成されている。一対の回転軸柱35に対応させて、本体筒部2の他端には、回転軸柱35を回転可能にそれぞれ収納する一対の軸受筒部25が形成されている。カバー2bに形成された軸受筒部25の上部は塞がれているが、ハウジング2aに形成された軸受筒部25の底部は開放されている。
【0022】
この構造により、ハーネス導出部3の一端は、本体筒部2の他端においてハウジング2a及びカバー2bに回転可能に挟止される。ハーネス導出部3の回転軸O(図3及び図4参照)は、回転軸柱35及び軸受筒部25の中心を通る。また、このような構造とすることで、本体筒部2の他端のハーネス延出開口20とハーネス導出部3の一端のハーネス挿入開口30との間に何も介在させずに回転軸Oを設定できる。即ち、ワイヤハーネスWは、本体筒部2内のハーネス収納室21からハーネス導出部3内のハーネス導出室31へと何にも邪魔されずにほぼ直線的に延設され得る。
【0023】
なお、ハーネス導出部3の回転軸O回りの回転を許容できる程度に、ハーネス延出開口20の開口面積は大きい。一方、ハーネス挿入開口30が形成されるハーネス導出部3の一端はハーネス延出開口20よりも本体筒部2の内部に位置するため、ハーネス挿入開口30の開口面積は、ハーネス延出開口20の開口面積よりも小さくなる。
【0024】
ワイヤハーネスWを給電装置1に組み付けるには、まず、ハーネス導出部3の上部ハウジング3b及び下部ハウジング3aで挟み込み、ワイヤハーネスWをハーネス導出部3のハーネス導出室31に挿通させる。このとき、ワイヤハーネスWは、外装部材Tの端部がハーネス導出部3の内部のリブ34に係止されることで、ハーネス導出部3に保持される。このため、ハーネス導出部3のハーネス導出開口1Oから導出されたワイヤハーネスWは、その外装部材Tによって保護される。次に、ハーネス導出部3の下部ハウジング3aの回転軸柱35が本体筒部2のハウジング2aの軸受筒部25に回転可能に保持されるように、ワイヤハーネスWを本体筒部2のハーネス収納室21に収納する。ワイヤハーネスWの他端は、本体筒部2のハーネス導入開口1Iから延出される。その後、上部ハウジング3bの回転軸柱35がカバー2bの軸受筒部25に回転可能に保持されるように、本体筒部2のカバー2bがハウジング2aに取り付けられる。
【0025】
なお、ここでは、ワイヤハーネスWの外装部材Tは給電装置1から導出された部分に取り付けられると説明した。しかし、本実施形態のワイヤハーネスWは、給電装置1の内部では迂回されたりせずにほぼ直線状に延設されるので、ワイヤハーネスWは給電装置1に収納される範囲の全てに外装部材Tを有していてもよい。
【0026】
次に、ハーネス導出部3の回転範囲を規定する構造について説明する。ハーネス導出部3は、図3及び図4に示されるように、その回転軸Oに垂直な方向に突出された突起36を有している。突起36は、図4及び図1に示されるように、本体筒部2の壁部に沿って、より詳しくは、カバー2bの内面に沿って突出している。一方、本体筒部2は、ハーネス導出部3の回転範囲の少なくとも一方の回転限界位置で突起36と当接するストッパ26を有している。ストッパ26は、上述した壁部、即ち、カバー2bの内面に形成されている。
【0027】
なお、本実施形態では、図4中におけるハーネス導出部3の回転範囲、即ち、突起36の回転範囲の一方(図4中左側)の回転限界位置にのみストッパ26が設けられている。本実施形態では、車体に対してスライドドアが移動されたときのワイヤハーネスWの導出方向の変化範囲を考慮した場合に、図4中右側に回転限界位置を設ける必要がないからである。しかし、図4中の一点鎖線で示したように、他方(図4中右側)の回転限界位置にもストッパ26を設けてもよい。また、ストッパ26の形成位置を変えれば、ハーネス導出部3の回転範囲を変えることができる。
【0028】
ここで、本実施形態では、ハーネス導出部3の回転時に、突起36とストッパ26との間にワイヤハーネスWが挟み込まれないように、ハーネス導出部3に邪魔板となる一対の弧状フランジ37が形成されている。各弧状フランジ37は、突起36の上述した壁部、即ち、カバー2bとは反対側の側部(図3中における下方の側部)において、突起36の基端から先端までと接している。そして、各弧状フランジ37は、突起36の上述した側部から当該突起の両側へと延びている。
【0029】
言い換えれば、一対の弧状フランジ37は、突起36のハーネス収納室21やハーネス導出室31に面する側部から、突起36の両側に回転軸Oを囲むように弧状に延設されている。本実施形態では、各弧状フランジ37の内縁は、上部ハウジング3bの回転軸柱35や突起36の基台部分に接合されている。一対の弧状フランジ37は、突起36と一体的に形成されており、突起36を含んで三日月形に形成されているとも言える。ハーネス導出部3が本体筒部2に組み付けられた状態でストッパ26の先端は弧状フランジ37には届かず、ストッパ26と弧状フランジ37とは接触することはない。ストッパ26は、回転軸Oと平行な突起36の側部と当接する。
【0030】
弧状フランジ37によってワイヤハーネスWが突起36とストッパ26との当接部に届くことはなくなるため、ワイヤハーネスWが突起36とストッパ26との間に挟み込まれることが防止される。なお、本実施形態では、図4中左側の回転限界位置にのみストッパ26が設けられているので、少なくとも、突起36からストッパ26が設けられている図4中左側へと延びる弧状フランジ37が形成されればよい。図4中右側へと延びる弧状フランジ37は必ずしも設けられなくてもよい。図4中左側のストッパ26に加えて一点鎖線で示した右側のストッパ26も設けるような場合は、本実施形態のように右側及び左側に一対の弧状フランジ37を設けることで、ワイヤハーネスWの挟み込みを確実に防止できる。
【0031】
上記実施形態によれば、給電装置1が、一端にハーネス導入開口1Iが形成された本体筒部2と、一端が本体筒部2の他端に回転可能に取り付けられると共に他端にハーネス導出開口1Oが形成されたハーネス導出部3とを備えている。ハーネス導出部3は、本体筒部2の壁部(カバー2b)に沿ってその回転軸Oに垂直な方向に突出された突起36を有している。本体筒部2は、ハーネス導出部3の回転範囲の少なくとも一方の回転限界位置で突起36と当接するストッパ26を上述した壁部(カバー2b)に有している。突起36の壁部(カバー2b)とは反対側の側部において突起36の基端から先端までと接し、かつ、当該側部からストッパ26が設けられている側へと延びる弧状フランジ37が、ハーネス導出部3に形成されている。
【0032】
このため、弧状フランジ37によってワイヤハーネスWが突起36とストッパ26との当接部に届くことはなくなるため、ワイヤハーネスWが突起36とストッパ26との間に挟み込まれることが防止される。また、ワイヤハーネスWは、本体筒部2に対するハーネス導出部3の回転に伴う屈曲は伴うが、ハーネス導出部3の回転軸Oの近傍で迂回経路を形成することなくほぼ直線的に本体筒部2からハーネス導出部3へと配策可能である。従って、ワイヤハーネスWに不要な負荷を与えることがなく、本体筒部2に対するハーネス導出部3の回転も円滑に行われ得る。
【0033】
また、上記実施形態によれば、ハーネス導出部3の一端に、互いに反対方向外方に突出された一対の回転軸柱35が形成されると共に、本体筒部2の他端に、回転軸柱35を回転可能にそれぞれ収納する一対の軸受筒部25が形成される。このような構成とすることで、ハーネス導出部3の一端の開口(ハーネス挿入開口30)と本体筒部2の他端の開口(ハーネス延出開口20)とが連通する位置にワイヤハーネスWの配策の邪魔になるようなものを何も介在させずに回転軸Oを設定することができる。このため、ワイヤハーネスWに不要な負荷を与えることなくハーネス導出部3を本体筒部2に対してより円滑に回転させることが可能になる。
【0034】
また、上記実施形態によれば、本体筒部2の一端から他端まで当該本体筒部2の内部に直線状のハーネス収納室21が形成されると共に、ハーネス導出部3の一端から他端まで当該ハーネス導出部3の内部に直線状のハーネス導出室31が形成される。このため、回転軸Oの近傍での本体筒部2からハーネス導出部3へと移行部分だけでなく、ハーネス導入開口1Iとハーネス導出開口1Oとの間で無駄な迂回経路を形成することなくほぼ直線的に配置されるため、ワイヤハーネスWに不要な負荷を与えることがない。
【0035】
また、上記実施形態によれば、ワイヤハーネスWは、当該ワイヤハーネスWが内部に挿通された外装部材Tと、上述した給電装置1と、を備えている。そして、外装部材Tの一部が、ハーネス導出部3の内部に形成されたハーネス導出室31に保持されている。従って、ワイヤハーネスWは、弧状フランジ37によって突起36とストッパ26との間に挟み込まれることが防止される。また、ワイヤハーネスWは、本体筒部2に対するハーネス導出部3の回転に伴う屈曲は伴うが、ハーネス導出部3の回転軸Oの近傍で迂回経路を形成することなくほぼ直線的に本体筒部2からハーネス導出部3へと配策可能であり、不要な負荷を受けることがない。この結果、本体筒部2に対するハーネス導出部3の回転も円滑に行われ得るので、ワイヤハーネスWの導出方向は円滑に変更され得る。
【0036】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、給電装置は、車体に取り付けられてスライドドアに向けて導出されるワイヤハーネスWに適用された。しかし、給電装置が車体ではなくスライドドアやバックドアに取り付けられて車体に向けて導出されるワイヤハーネスに適用されてもよい。また、給電装置は、車両への搭載に限定されず、建物など、他の用途に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 給電装置
1I ハーネス導入開口
1O ハーネス導出開口
2 本体筒部
21 ハーネス収納室
25 軸受筒部
26 ストッパ
3 ハーネス導出部
31 ハーネス導出室
35 回転軸柱
36 突起
37 弧状フランジ
O 回転軸
W ワイヤハーネス
T 外装部材
図1
図2
図3
図4