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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138695
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】冷却庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 21/14 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
F25D21/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049300
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 世子
(72)【発明者】
【氏名】山地 亮
(72)【発明者】
【氏名】山岸 達矢
【テーマコード(参考)】
3L048
【Fターム(参考)】
3L048AA01
3L048AA06
3L048CA02
3L048CB03
3L048DA03
3L048DB06
3L048GA02
(57)【要約】
【課題】より確実に庫内の負圧を軽減することのできる冷却庫を提供する。
【解決手段】冷却庫1は、冷却室20と、冷却室20内に配置されている冷却器21と、冷却室20の底部に配置され、結露水を排出する排出口43を有する水受トレイ41とを備えている。水受トレイ41の下面と冷却室20の底面20aとの間には、庫内外の空気の通り道となる隙間Gが設けられている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却室と、
前記冷却室内に配置されている冷却器と、
前記冷却室の底部に配置され、結露水を排出する排出口を有する水受トレイと
を備え、
前記水受トレイの下面と前記冷却室の底面との間には、庫内外の空気の通り道となる隙間が設けられている、冷却庫。
【請求項2】
前記水受トレイは、前記冷却室の底面から浮いた状態で配置されており、
前記水受トレイには、空気の通り道となる穴が設けられている、
請求項1に記載の冷却庫。
【請求項3】
前記水受トレイの下面側には、空気の通り道となる溝が設けられており、
前記溝は、前記水受トレイの端部にまで延びている、
請求項1または2に記載の冷却庫。
【請求項4】
前記穴の周縁の少なくとも一部には、上方側に突出する壁部が設けられている、
請求項2に記載の冷却庫。
【請求項5】
前記冷却器には、複数の放熱フィンが設けられており、
前記穴の少なくとも一つは、上面視で、前記放熱フィンの配置領域の外側に位置している、
請求項2に記載の冷却庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結露水の排水機構を備えている冷却庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫などの冷却庫に設けられている貯蔵室は、パッキンが取り付けられた扉によって内部を密閉した状態にすることができる。扉を閉じた直後の貯蔵室内は、内部の空気が冷やされて収縮することで負圧状態となる。この負圧により貯蔵室と扉のパッキンとの密着が強くなり、扉を開放するときに大きな力が必要となる。
【0003】
そこで、貯蔵室内の負圧を開放するための構成が検討されている。例えば、特許文献1には、庫内に配されたドレンパンで受けられた結露水を排出する排水装置が開示されている。この排水装置に備えられた排水管は、開閉弁を有している。開閉弁は、揺動開閉可能に支持されたフラップを有しており、庫内が負圧になると、フラップを内側に揺動させて外気が庫内に導入されることで、庫内の負圧を解消するような構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-257045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、結露水が排水管の周壁に残留した場合は、その残留水が冷却器の冷熱で凍結して排水管の流路を狭くしたり塞いでしまうことがある。その場合は外気が庫内に導入されにくくなり、庫内の負圧が解消されないことがある。また、開閉弁を排水管内へ倒れるように構成すると、開閉弁自体に結露水が付着して残留しやすくなり、外気の庫内への導入を妨げてしまうおそれもある。
【0006】
そこで、本発明では、より確実に庫内の負圧を軽減することのできる冷却庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面にかかる冷却庫は、冷却室と、前記冷却室内に配置されている冷却器と、前記冷却室の底部に配置され、結露水を排出する排出口を有する水受トレイとを備えている。前記水受トレイの下面と前記冷却室の底面との間には、庫内外の空気の通り道となる隙間が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一局面によれば、より確実に庫内の負圧を軽減することのできる冷却庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態にかかる冷却庫の断面模式図である。
図2図1に示す冷却庫の冷却室内の構成を示す断面図である。
図3】第1の実施形態にかかる冷却庫に備えられているドリップトレイの外観を示す斜視図である。
図4図3に示すドリップトレイを別の方向から見た外観を示す斜視図である。
図5図3に示すドリップトレイが配置された冷却室の底面部の構成を示す断面図である。
図6図5に示す冷却室の底面部における空気の流れを示す模式図である。
図7】ドリップトレイに設けられている通気穴の例を示す断面模式図である。
図8】冷却室内に配置されている冷却器の放熱フィンと、ドリップトレイに設けられている通気穴との位置関係の例を示す上面図である。
図9】第2の実施形態にかかる冷却庫に備えられているドリップトレイの外観を示す斜視図である。
図10図3に示すドリップトレイを下面側から見たときの外観を示す斜視図である。
図11図3に示すドリップトレイを側面側から見たときの外観を示す斜視図である。
図12】第3の実施形態にかかる冷却庫の断熱箱体の外観を示す斜視図である。
図13図12に示す断熱箱体の水平断面図である。
図14図13に示す断熱箱体のA-A線部分の断面模式図である。
図15】第4の実施形態にかかる冷却庫の断熱箱体の水平断面図である。
図16図15に示す断熱箱体のB-B線部分の断面模式図である。
図17図15に示す冷却室の底面上にドリップトレイを配置した状態を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0011】
<第1の実施形態>
本実施形態では、冷却庫の一例として、一つの貯蔵室を備えている小型の冷却庫1を例に挙げて説明する。本実施形態にかかる冷却庫1は、貯蔵室10を備えている。貯蔵室10内の温度は、冷蔵温度帯の温度だけでなく、冷凍温度帯の温度にも設定可能となっている。すなわち、冷却庫1は、冷蔵庫としても冷凍庫としても利用することができる。なお、本発明にかかる冷却庫は、冷蔵機能のみを有する冷蔵庫、あるいは、冷凍機能のみを有する冷凍庫にも適用することできる。また、本発明は、例えば、冷蔵室および冷凍室を備える冷蔵庫のように複数の貯蔵室を備える冷蔵庫に適用することもできる。
【0012】
(冷蔵庫の全体構成)
先ず、第1の実施形態にかかる冷却庫1の全体構成を説明する。図1には、冷却庫1の概略的な構成を示す。また、図2には、冷却庫1の後方部分の内部構成を示す。
【0013】
冷却庫1の外形は、主として、断熱箱体50と、扉11とで形成されている。断熱箱体50は、主として、外箱51と、内箱52と、断熱材53とを備えている。内箱52は、フードライナーとも呼ばれる。
【0014】
本実施形態では、扉11が設けられている面を冷却庫の正面または前面と呼ぶ。そして、前面を基準にして、冷却庫1を通常の状態で設置した場合に存在する位置に基づいて、冷却庫1の各面を、上面、側面、背面、及び底面とする。
【0015】
断熱箱体50内には、食品などを収容するための貯蔵室10、および冷却室20などが設けられている。冷却室20は、貯蔵室10の背面側に配置されている。
【0016】
冷却庫1の内部には、冷凍サイクルが設けられている。冷凍サイクルは、冷媒が流通する冷媒管(冷媒流路)を介して、圧縮機31、凝縮器、膨張器、及び、冷却器(蒸発器)21が接続されて構成されている。
【0017】
冷却器21は、冷却室20内に配置されている。冷却器21は、主として、冷媒管で構成されており、この冷媒管は凝縮器および膨張器と接続されている。冷却器21の冷媒管の周囲には、放熱フィン25が設けられている。放熱フィン25は、複数の板状の部材で構成されている。放熱フィン25は、熱伝導性の高い素材で形成されており、冷却器21の冷媒管内を通る冷媒の冷熱が放熱フィン25に伝達される。
【0018】
冷却室20内には、冷却器21の他に、例えば、冷却ファン22、イオン発生器23、除霜ヒータ24、およびドリップトレイ41(水受トレイ)などが配置されている。
【0019】
圧縮機31は、冷却庫1の底部の背面側に設けられた機械室30内に配置されている。機械室30には、圧縮機31の他に、蒸発皿33などが配置されている。蒸発皿33は、圧縮機31の上方に配置されている。蒸発皿33には、冷却室20内で発生した結露水(ドレン水とも呼ばれる)が排出される。
【0020】
(冷却室内の構成)
冷却ファン22は、冷却器21の上方に配置されている。冷却ファン22は、冷却室20と貯蔵室10との間で空気を循環させるために設けられている。例えば、冷却器21によって冷やされた空気(冷気)は、冷却室20と貯蔵室10との間に設けられている吐出口27から貯蔵室10へ流入する。また、貯蔵室10内を循環した空気は、冷却室20と貯蔵室10との間に設けられている戻り口28から冷却室20へ流入する。
【0021】
冷却ファン22の上には、イオン発生器23が設けられている。イオン発生器23は、正(+)イオンおよび負(-)イオンの少なくとも何れかを発生し、吐出口27から貯蔵室10へ送出される冷気にイオンを含ませる。
【0022】
除霜ヒータ24は、冷却器21の下方に配置されている。除霜ヒータ24は、除霜運転時に電源が入り、冷却器21に付着した霜を溶解する。ドリップトレイ41は、除霜ヒータ24の下方、すなわち、冷却室20の底部に配置されている。ドリップトレイ41は、冷却室20の底面20aに沿うように設けられている。
【0023】
冷却室20の底面20aには、開口部55が形成されている。開口部55は、ドレンパイプ32と連結されている。ドレンパイプ32は、冷却室20と機械室30との間の断熱材53を貫通するように設けられている。ドレンパイプ32の下方、すなわち、圧縮機31の上方には、蒸発皿33が配置されている。除霜運転によって融解した結露水は、冷却室20の底面20aに設けられた開口部55からドレンパイプ32をつたって蒸発皿33に排出される。冷却室20内で発生する結露水には、例えば、冷却器21を除霜したときに発生する除霜水などが含まれる。蒸発皿33に排出された結露水は、圧縮機31の熱によって温められ、蒸発する。
【0024】
(ドリップトレイの構成)
続いて、冷却室20の底部に設けられているドリップトレイ41のより具体的な構成について説明する。図3および図4には、ドリップトレイ41の外観を示す。図5には、冷却室20内を冷却庫1の前面と平行な面で切断したときの底面20a周辺の構成を示す。図6には、図5に示す冷却室20の底面部における空気の流れを示す模式的に示す。
【0025】
ドリップトレイ41は、冷却室20の底面20aと除霜ヒータ24との間に配置されている。ドリップトレイ41は、アルミなどの熱伝導率の比較的高い金属板で形成されている。ドリップトレイ41は、除霜運転時に除霜ヒータ24からの熱が伝わり、この熱を周囲へ放射熱として伝達させる。冷却室20の底面20aは、樹脂製の内箱52で形成されているのに対して、ドリップトレイ41は樹脂よりも熱伝導性の高い金属で形成されている。底面20aの上にドリップトレイ41が備えられていることで、除霜ヒータ24からの光および熱が樹脂製の底面20aに直接当たらず、冷却室20に形成された霜や氷などを安全に加熱することができる。
【0026】
ドリップトレイ41は、金属製の板状部材を所定形状に成形して形成されている。例えば、ドリップトレイ41は、冷却室20の底面部の形状に概ね沿った形状に成形されている(図5参照)。ドリップトレイ41は、底面部42a、前壁部42b、左右両側の側壁部42c、および後壁部42dを有している。
【0027】
底面部42aは、左右方向の中央部が最下方に位置するように左右両側から中央へ向かって下方に傾斜した形状を有している(図5参照)。底面部42aには、排水口(排出口)43、通気穴44、および凹み部45などが設けられている。排水口43、通気穴44、および凹み部45のそれぞれの個数は特に限定はされないが、本実施形態では、それぞれ複数個設けられている。
【0028】
排水口43は、底面部42aの左右方向の略中央部に設けられている。冷却室20の底面20a上にドリップトレイ41を配置したときに、排水口43は、底面20aに設けられている開口部55と対応する位置(すなわち、開口部55の上方)に設けられている。
【0029】
例えば、除霜運転時などに生成された除霜水などの結露水Wは、ドリップトレイ41上に落下し、底面部42aの最下方に位置する排水口43へ向けて流れる。排水口43に到達した結露水Wは、その下方に位置する開口部55からドレンパイプ32をつたって蒸発皿33に排出される。
【0030】
通気穴44は、底面部42aの左右両側の端部側(例えば、側壁部42cの近傍)に設けられている。本実施形態では、正面から見て左側に、4個の通気穴44が前後方向に一例に並んで配置されており、正面から見て右側に、4個の通気穴44が前後方向に一例に並んで配置されている。通気穴44の直径は特に限定はされないが、例えば、3mm以上10mm以下とすることが好ましい。この通気穴44は、庫内外の空気の通り道となる。通気穴44は、例えば、貯蔵室10の扉11を閉めた直後に起こり得る貯蔵室10内の負圧状態を解消するための空気の通り道となる。
【0031】
凹み部45は、底面部42aの複数個設けられている。凹み部45は、底面部42aの一部を下方側に凹ませた形状を有している。本実施形態では、正面から見て左側の通気穴44と排水口43との間に、2個の凹み部45が設けられており、正面から見て右側の通気穴44と排水口43との間に、2個の凹み部45が設けられている。凹み部45の深さは特に限定はされないが、例えば、1mm以上5mm以下とすることが好ましい。
【0032】
このような凹み部45が設けられていることで、ドリップトレイ41を、冷却室20の底面20aから浮いた状態で配置することができる。これにより、ドリップトレイ41の下面と冷却室20の底面20aとの間に、庫内外の空気の通り道となる隙間Gを形成することができる(図5参照)。
【0033】
ここで、ドリップトレイ41を冷却室20の底面20aから浮いた状態で配置するとは、ドリップトレイ41の大部分が底面20aから離れた状態で配置されることを意味する。例えば、ドリップトレイ41の下面に複数の支持部を配置し、この支持部の上にドリップトレイ41を配置することで、ドリップトレイ41を冷却室20の底面20aから浮かせた状態で配置することができる。本実施形態では、ドリップトレイ41の底面部42aの一部を下方側に凹ませた凹み部45が支持部としての役割を果たしている。
【0034】
冷却庫1においては、ドレンパイプ32を介して機械室30と連通している冷却室20の底面20aから、庫外の空気が冷却室20内に流入可能な構成となっている。上記の構成によれば、冷却室20へ流入した空気は、ドリップトレイ41と底面20aとの間に設けられている隙間Gを通って、図6において破線の矢印で示すように、ドリップトレイ41の通気穴44から上方へと流れ、冷気の吐出口27または戻り口28から貯蔵室10内へ流入する。これにより、扉11を閉じた直後に貯蔵室10内の空気が冷やされて収縮することで起こり得る庫内の負圧状態を速くに解消することができる。
【0035】
なお、ドリップトレイ41に設けられている排水口43には、中央へ向かって下方に傾斜した底面部42aの中央部に配置されているため、結露水や結露水中に含まれる塵芥などが溜まりやすい。除霜運転が終わった後に冷凍サイクルが運転を開始すると、排水口43周辺で滞留した結露水が凍結し、排水口43が塞がれてしまう可能性がある。排水口43の開口面積を大きくすれば結露水の残留は抑制できるが、機械室30と冷却室20との通気量が増大するため、貯蔵室10の密閉性が低下してしまい、冷却効率が悪化してしまう。したがって、排水口43の開口面積を大きくできない。一方で、通気穴44は開口部55に対向しておらず、隙間Gによって形成された空気の通り道を介するため、通気穴44による機械室30と冷却室20との通気量を制限できる。したがって、庫内の負圧状態を速やかに解消できる程度の通気量に設定することで、貯蔵室10の密閉性と庫内の負圧状態の解消とを両立できる。
【0036】
通気穴44は、結露水によって塞がれることなく解放された状態となっていることが望ましい。そのため、通気穴44の開口面積を排水口43の開口面積よりも大きくしてもよい。また、通気穴44の周縁の少なくとも一部には、上方側に突出する壁部が設けられていることが好ましい。
【0037】
図7には、通気穴44の周縁に壁部が設けられている構成例を示す。通気穴44Aには、通気穴44の周縁全体に、底面部42aから略垂直に立設する壁部47Aが設けられている。このような壁部47Aが設けられていることで、ドリップトレイ41に落下した結露水が底面部42a上を流れる際に、通気穴44の上方を通過することを回避することができる。そのため、水の表面張力によって通気穴44が塞がれる可能性を低減させることができる。
【0038】
また、通気穴44Bには、穴の周縁の一部に、底面部42aから傾斜して上方へ延びる壁部47Bが設けられている。壁部47は、通気穴44Bの周縁の排水口43が位置する側に形成されていることが好ましい。このような壁部47Bが設けられていることで、ドリップトレイ41に落下した結露水が通気穴44の上方を通過することを回避することができる。
【0039】
また、図8に示すように、底面部42aに複数個設けられている通気穴44の少なくとも一部は、上面視で、放熱フィン25の配置領域(図8におて破線で囲んだ部分)の外側に位置していることが好ましい。この構成によれば、放熱フィン25の配置領域の外側に位置する通気穴44には、放熱フィン25に付着した霜が溶解して生成される除霜水が落下する可能性を低減させることができる。
【0040】
(第1の実施形態のまとめ)
以上のように、本実施形態にかかる冷却庫1は、冷却室20と、冷却室20内に配置されている冷却器21と、冷却室20の底部に配置され、結露水を排出する排水口43を有するドリップトレイ41とを備えている。ドリップトレイ41の下面と冷却室20の底面20aとの間には、庫内外の空気の通り道となる隙間Gが設けられている。具体的には、ドリップトレイ41の底面部42aに、下方側に窪んだ凹み部45が設けられていることで、底面20a上にドリップトレイ41を置くと、ドリップトレイ41の底面部42aの大部分が底面20aから浮いた状態となり、隙間Gが形成される。また、ドリップトレイ41には、排水口43とは別に、空気の通り道となる通気穴44が設けられている、
【0041】
冷蔵庫などの冷却庫に設けられている貯蔵室は、パッキンが取り付けられた扉によって内部を密閉した状態にすることができる。扉を閉じた直後の貯蔵室内は、内部の空気が冷やされて収縮することで負圧状態となる。この負圧により貯蔵室と扉のパッキンとの密着が強くなり、扉を開放するときに大きな力が必要となる。特に、小型の冷却庫では、冷却庫本体の重量が比較的軽いため、庫内が負圧状態となった状態で扉を開けようとして大きな力で扉を手前に引くことで扉とともに本体も前方へ移動してしまう可能性がある。
【0042】
上記の構成によれば、仮にドリップトレイ41の排水口43が結露水の凍結などで塞がれたとしても、ドレンパイプ32を介して冷却室20へ流入した庫外の空気は、ドリップトレイ41と底面20aとの間に設けられている隙間Gを通って、ドリップトレイ41の通気穴44から上方へと流れ、冷気の吐出口27および戻り口28などから貯蔵室10内へ流入することができる。これにより、扉11を閉じた直後に貯蔵室10内の空気が冷やされて収縮することで起こり得る庫内の負圧状態を速くに解消することができる。そのため、例えば、扉を閉めた直後に再度扉を開ける際の扉11の開け難さを軽減させることができる。
【0043】
以上のように、本実施形態にかかる冷却庫1では、ドリップトレイ41の構造に工夫を施すことで、扉11を閉じた直後の庫内の負圧状態を軽減させることができる。すなわち、開閉弁などの複雑な構造を用いることなく、より簡易な構成で庫内の負圧を軽減することのできる冷却庫を提供することができる。
【0044】
<第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、ドリップトレイ41の底面部42aに通気穴44が形成されている構成例について説明したが、本実施形態では、ドリップトレイに通気用の溝を形成した構成例について説明する。
【0045】
図9から図11には、第2の実施形態にかかるドリップトレイ141の外観を示す。第1の実施形態にかかるドリップトレイ41と同様に、ドリップトレイ141は、底面部42a、前壁部42b、左右両側の側壁部42c、および後壁部42dを有している。
【0046】
底面部42aは、左右方向の中央部が最下方に位置するように左右両側から中央へ向かって下方に傾斜した形状を有している。底面部42aには、排水口(排出口)43、および通気用の溝144などが設けられている。第1の実施形態と同様に排水口43は、底面部42aの左右方向の略中央部に設けられている。
【0047】
溝144は、ドリップトレイ141の底面部42aの一部を盛り上げることによって、底面部42aの下面側に形成されている。本実施形態では、溝144は、ドリップトレイ141を左右方向に横切るように設けられている。より具体的には、正面から見て左側の溝144は、ドリップトレイ141の左側の側壁部42cの外面から底面部42aの下面へと延び、底面部42aの下面を左右方向に延びて、排水口43の一つと連通している。また、正面から見て右側の溝144は、ドリップトレイ141の右側の側壁部42cの外面から底面部42aの下面へと延び、底面部42aの下面を左右方向に延びて、排水口43の一つと連通している。
【0048】
図11に示すように、溝144は、ドリップトレイ141の側壁部42cの上端にまで延びている。これにより、ドリップトレイ141の下面と冷却室20の底面20aとの間に、庫内外の空気の通り道となる隙間Gを形成することができる。すなわち、溝144によって形成された隙間Gが、庫内外の空気の通り道となる。溝144は、例えば、貯蔵室10の扉11を閉めた直後に起こり得る貯蔵室10内の負圧状態を解消するための空気の通り道となる。
【0049】
上記の構成によれば、ドリップトレイ141の排水口43とは別に、庫内外の空気の通り道となる溝144が設けられていることで、万一、排水口43の周辺で結露水が凍結して排水口43が塞がれてしまった場合にも、溝144を介して庫内外の空気を連通させて庫内の負圧状態を速くに解消することができる。また、溝144はドリップトレイ41の外側に形成されるため、ドリップトレイ141の内側に滴下する除霜水が溝144を塞ぐことを防止でき、確実に空気の通り道を確保することができる。
【0050】
<第3の実施形態>
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。上述の各実施形態では、ドリップトレイ側に凹みや溝を形成してトレイの下面と冷却室の底面との間に空気の通り道となる隙間を形成する構成例について説明したが、別の実施形態では冷却室の底面側に凹凸形状や溝などの構造を設けてもよい。本実施形態では、冷却室の底面に凸形状を形成した構成例について説明する。
【0051】
図12には、第3の実施形態にかかる冷却庫1の断熱箱体50の外観を示す。図13は、断熱箱体50の水平断面図であって、冷却室20の底面20aの構成を示す図である。図14には、冷却室20の底面20a上にドリップトレイ241を配置した状態の断面構成を示す。
【0052】
第1の実施形態と同様に、断熱箱体50は、主として、外箱51と、内箱52と、断熱材53とを備えている。断熱箱体50内には、食品などを収容するための貯蔵室10、および冷却室20などが設けられている。冷却室20は、貯蔵室10の背面側に配置されている。図14に示すように、冷却室20の底面20a上には、ドリップトレイ241(水受トレイ)が配置される。
【0053】
冷却室20の底面20aには、底面20aを構成している内箱52の一部を盛り上げることによって形成された凸部245が形成されている。本実施形態では、凸部245は、冷却室20の底面20aを左右方向に横切るように設けられている。一例では、凸部245は、複数個設けられている。より具体的には、正面から見て開口部55の左側に、3本の凸部245が左右方向に延伸しており、正面から見て開口部55の右側に、3本の凸部245が左右方向に延伸している(図13参照)。
【0054】
このような凸部245を有する底面20a上に、ドリップトレイ241が配置される。ドリップトレイ241は、第1の実施形態で説明したドリップトレイ41と同様に、少なくとも一つの通気穴44を有している、または、第2の実施形態で説明したドリップトレイ141の側壁部に形成された溝144と同様に、側壁部の外面に溝144を有している。本実施形態のドリップトレイ241は、第1の実施形態のドリップトレイ41と同様の構成を有していてもよい。なおドリップトレイ241には、凹み部45が形成されていなくてもよい。
【0055】
凸部245を有する底面20a上に、上記のような構成のドリップトレイ241を配置すると、ドリップトレイ241を、冷却室20の底面20aから浮いた状態で配置することができる。これにより、ドリップトレイ241の下面と冷却室20の底面20aとの間に、庫内外の空気の通り道となる隙間Gを形成することができる(図14参照)。
【0056】
以上のように、冷却室20の底面20aの一部を盛り上げて凸部245を形成することで、底面上に配置されるドリップトレイ241を冷却室20の底面20aから浮かせた状態で配置することができる。
【0057】
上記の構成によれば、ドレンパイプ32を介して冷却室20へ流入した庫外の空気は、ドリップトレイ241と底面20aとの間に設けられている隙間Gを通って、ドリップトレイ241の通気穴44から冷却室20の上方へと流れ、冷気の吐出口27および戻り口28などから貯蔵室10内へ流入する。これにより、扉11を閉じた直後に貯蔵室10内の空気が冷やされて収縮することで起こり得る庫内の負圧状態を速くに解消することができる。
【0058】
<第4の実施形態>
続いて、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態では、冷却室の底面に凹形状を形成した構成例について説明する。
【0059】
図15には、第4の実施形態にかかる冷却庫1の断熱箱体50を示す。図15は、断熱箱体50の水平断面図であって、冷却室20の底面20aの構成を示す図である。図16には、図15に示す断熱箱体50のB-B線部分の断面構成を示す。図17には、冷却室20の底面20a上にドリップトレイ341を配置した状態の断面構成を示す。
【0060】
第1の実施形態と同様に、断熱箱体50は、主として、外箱51と、内箱52と、断熱材53とを備えている。断熱箱体50内には、食品などを収容するための貯蔵室10、および冷却室20などが設けられている。冷却室20は、貯蔵室10の背面側に配置されている。図17に示すように、冷却室20の底面20a上には、ドリップトレイ341(水受トレイ)が配置される。
【0061】
冷却室20の底面20aには、底面20aを構成している内箱52の一部を凹ませることによって形成された溝344が形成されている。本実施形態では、溝344は、冷却室20の底面20aを左右方向に横切るように設けられている。一例では、溝344は、複数個設けられている。より具体的には、正面から見て開口部55の左側に、3本の溝344が左右方向に延伸しており、正面から見て開口部55の右側に、3本の溝344が左右方向に延伸している(図15参照)。
【0062】
なお、図16に示すように、溝344の一部は、冷却室20の側面20bにも形成されている。すなわち、溝344は、冷却室20の底面20aから側面20bにまで延びている。
【0063】
このような溝344を有する底面20a上に、ドリップトレイ341が配置される。ドリップトレイ341は、従来のドリップトレイのように、通気穴を有していなくてもよいし、第1の実施形態で説明したドリップトレイ41などと同様に、少なくとも一つの通気穴44を有していてもよい。なお、ドリップトレイ341には、凹み部45が形成されていなくてもよい。
【0064】
側面20bに形成されている溝344は、ドリップトレイ341の側壁部42cの上端と同じ位置、あるいは、それよりも高い位置にまで延びている。これにより、ドリップトレイ341の下面と冷却室20の底面20aとの間に、庫内外の空気の通り道となる隙間を形成することができる。すなわち、溝344によって形成された隙間が、庫内外の空気の通り道となる。溝344は、例えば、貯蔵室10の扉11を閉めた直後に起こり得る貯蔵室10内の負圧状態を解消するための空気の通り道となる。
【0065】
上記の構成によれば、ドリップトレイ341の排水口43とは別に、庫内外の空気の通り道となる溝344が設けられていることで、万一、排水口43の周辺で結露水が凍結して排水口43塞がれてしまった場合にも、溝344を介して庫内外の空気を連通させて庫内の負圧状態を速くに解消することができる。
【0066】
(まとめ)
本発明の一局面にかかる冷却庫(例えば、冷却庫1)は、冷却室(例えば、冷却室20)と、前記冷却室内に配置されている冷却器(例えば、冷却器21)と、前記冷却室の底部に配置され、結露水を排出する排出口(例えば、排水口43)を有する水受トレイ(例えば、ドリップトレイ41,141,241,341)とを備えている。前記水受トレイの下面と前記冷却室の底面(例えば、底面20a)との間には、庫内外の空気の通り道となる隙間(例えば、隙間G)が設けられている。
【0067】
上記の本発明の一局面にかかる冷却庫(例えば、冷却庫1)において、前記水受トレイ(例えば、ドリップトレイ41,241)は、前記冷却室(例えば、冷却室20)の底面(例えば、底面20a)から浮いた状態で配置されており、前記水受トレイには、空気の通り道となる少なくとも一つの穴(例えば、通気穴44)が設けられていてもよい。
【0068】
上記の本発明の一局面にかかる冷却庫(例えば、冷却庫1)において、前記水受トレイ(例えば、ドリップトレイ141,341)の下面側には、空気の通り道となる少なくとも一つの溝(例えば、溝144,344)が設けられており、前記溝は、前記水受トレイの端部にまで延びていてもよい。
【0069】
上記の本発明の一局面にかかる冷却庫(例えば、冷却庫1)において、前記穴(例えば、通気穴44A,44B)の周縁の少なくとも一部には、上方側に突出する壁部(例えば、47A,47B)が設けられていてもよい。
【0070】
上記の本発明の一局面にかかる冷却庫(例えば、冷却庫1)において、前記冷却器(例えば、冷却器21)には、複数の放熱フィン(例えば、放熱フィン25)が設けられており、前記穴(例えば、通気穴44)の少なくとも一つは、上面視で、前記放熱フィンの配置領域の外側に位置していてもよい。
【0071】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1:冷却庫
10:貯蔵室
11:扉
20:冷却室
20a:(冷却室の)底面
21:冷却器(蒸発器)
25:放熱フィン
30:機械室
31:圧縮機
32:ドレンパイプ
33:蒸発皿
41:ドリップトレイ(水受トレイ)
42a:(ドリップトレイの)底面部
43:排水口(排出口)
44:通気穴
45:凹み部
47A:(通気穴の周縁の)壁部
47B:(通気穴の周縁の)壁部
50:断熱箱体
141:ドリップトレイ
144:溝
241:ドリップトレイ
245:凸部
341:ドリップトレイ
344:溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17