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2024-138704クリーニング装置、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138704
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】クリーニング装置、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/34 20060101AFI20241002BHJP
   B08B 5/04 20060101ALI20241002BHJP
   B29C 43/02 20060101ALI20241002BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
B29C43/34
B08B5/04 A
B29C43/02
H01L21/56 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049317
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 光起
(72)【発明者】
【氏名】林口 慎也
(72)【発明者】
【氏名】荒木 芳文
【テーマコード(参考)】
3B116
4F204
5F061
【Fターム(参考)】
3B116AA46
3B116AB13
3B116BA02
3B116BA23
3B116BB72
3B116CD22
4F204AA36
4F204AB03
4F204AC01
4F204AD19
4F204AG03
4F204AH37
4F204AM11
4F204AM12
4F204FA01
4F204FB01
4F204FB17
4F204FF01
4F204FF23
4F204FQ38
4F204FQ40
5F061AA01
5F061DA01
5F061DC01
(57)【要約】
【課題】樹脂材料を搬送するための材料保持枠を清掃するとともに清掃により生じた塵埃を効率的に集塵する。
【解決手段】樹脂材料Jを搬送するための材料保持枠10を清掃するクリーニング装置30であって、材料保持枠10が載置されるステージ31と、ステージ31に設けられ、ステージ31に載置された材料保持枠10の内周面10aを清掃する第1清掃体32と、ステージ31に設けられ、材料保持枠10の清掃により生じた塵埃を集塵する集塵口33とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材料を搬送するための材料保持枠を清掃するクリーニング装置であって、
前記材料保持枠が載置されるステージと、
前記ステージに設けられ、前記ステージに載置された前記材料保持枠の内周面を清掃する第1清掃体と、
前記ステージに設けられ、前記材料保持枠の清掃により生じた塵埃を集塵する集塵口とを備える、クリーニング装置。
【請求項2】
前記第1清掃体は、前記ステージに載置された前記材料保持枠の内側に位置し、前記材料保持枠に対して上下移動する、請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記集塵口は、前記ステージに載置された前記材料保持枠の内側に位置し、下方に空気を吸引して集塵するものである、請求項1又は2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記第1清掃体は、前記集塵口の内側に設けられ、前記材料保持枠に対して上下移動するものである、請求項3に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記ステージに載置された前記材料保持枠の上面に配置されるカバー体をさらに備え、
前記カバー体は、前記材料保持枠の上面との間に外部から空気を吸引するための流路を形成するものである、請求項3又は4に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記材料保持枠は、平面視において矩形枠状をなすものであり、
前記カバー体は、平面視において矩形状をなすものであり、前記材料保持枠の角部に接触する凸部を有し、前記材料保持枠の4つの辺部における上面との間に前記流路を形成する、請求項5に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記ステージに設けられ、前記ステージに搬送される前記材料保持枠の下面を清掃する第2清掃体をさらに備える、請求項1乃至6の何れか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項8】
前記第2清掃体は、前記ステージに対して上下移動可能に設けられており、前記材料保持枠が前記ステージに搬送される際に上昇して前記材料保持枠の下面を清掃する、請求項7に記載のクリーニング装置。
【請求項9】
一対の成形型を有する樹脂成形モジュールと、
前記樹脂成形モジュールに樹脂材料を供給する樹脂材料供給モジュールと、
請求項1乃至8の何れか一項に記載のクリーニング装置とを備える、樹脂成形装置。
【請求項10】
請求項9に記載の樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法であって、
前記成形型に成形対象物及び樹脂材料を供給する供給工程と、
前記成形対象物に対して樹脂成形を行う樹脂成形工程と、
樹脂成形された樹脂成形品を前記成形型から搬出する搬出工程とを含む、樹脂成形品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング装置、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下型のキャビティに樹脂材料及び離型フィルムを供給する構成として、特許文献1に示すように、平面視において貫通孔を有する材料保持枠を用いたものが考えられている。
【0003】
この材料保持枠は、貫通孔を含む下面を覆うように離型フィルムを吸着し、これにより、樹脂材料を収容する樹脂材料収容部を形成するものである。そして、この樹脂材料収容部に樹脂材料が収容されて、離型フィルムとともに樹脂材料が下型のキャビティに供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-233039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、材料保持枠は、下型のキャビティに樹脂材料を供給する毎に材料保持枠を清掃する必要があるが、特許文献1では、クリーニング機構の具体的構成まで開示されていない。また、材料保持枠を清掃する際に生じる塵埃についても全く考慮していない。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、樹脂材料を搬送するための材料保持枠を清掃するとともに清掃により生じた塵埃を効率的に集塵することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係るクリーニング装置は、樹脂材料を搬送するための材料保持枠を清掃するクリーニング装置であって、前記材料保持枠が載置されるステージと、前記ステージに設けられ、前記ステージに載置された前記材料保持枠の内周面を清掃する第1清掃体と、前記ステージに設けられ、前記材料保持枠の清掃により生じた塵埃を集塵する集塵口とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように構成した本発明によれば、樹脂材料を搬送するための材料保持枠を清掃するとともに清掃により生じた塵埃を効率的に集塵することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る樹脂成形装置の構成を模式的に示す平面図である。
図2】同実施形態の材料保持枠の構成を模式的に示す(a)平面図、(b)A-A線断面図、及び、(c)樹脂材料を保持した状態のA-A線断面図である。
図3】同実施形態のクリーニング装置に材料保持枠を載置する前の状態を模式的に示す断面図である。
図4】同実施形態のクリーニング装置に材料保持枠を載置する前の状態を模式的に示す平面図である。
図5】同実施形態のクリーニング装置において(a)第1清掃体が下降した状態、及び、(b)第1清掃体が上昇した状態を模式的に示す断面図である。
図6】同実施形態のクリーニング装置のクリーニング動作を模式的に示すフロー図である。
図7】変形実施形態のクリーニング装置のクリーニング動作を模式的に示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明に係る技術について、例を挙げてさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の技術により限定されない。
【0011】
本発明に係る技術1のクリーニング装置は、樹脂材料を搬送するための材料保持枠を清掃するクリーニング装置であって、前記材料保持枠が載置されるステージと、前記ステージに設けられ、前記ステージに載置された前記材料保持枠の内周面を清掃する第1清掃体と、前記ステージに設けられ、前記材料保持枠の清掃により生じた塵埃を集塵する集塵口とを備えることを特徴とする。
【0012】
このクリーニング装置であれば、材料保持枠が載置されるステージに、材料保持枠の内周面を清掃する第1清掃体、及び、材料保持枠の清掃により生じた塵埃を集塵する集塵口を設けているので、樹脂材料を搬送するための材料保持枠を清掃するとともに清掃により生じた塵埃を効率的に集塵することができる。
【0013】
本発明に係る技術2のクリーニング装置は、上記の技術1の構成に加えて、前記第1清掃体は、前記ステージに載置された前記材料保持枠の内側に位置し、前記材料保持枠に対して上下移動するものであることが望ましい。
この構成であれば、材料保持枠の内周面を清掃する構成を簡単にすることができる。
【0014】
本発明に係る技術3のクリーニング装置は、上記の技術1又は2の構成に加えて、前記集塵口は、前記ステージに載置された前記材料保持枠の内側に位置し、下方に空気を吸引して集塵するものであることが望ましい。
この構成であれば、材料保持枠の内周面の清掃により生じた塵埃を効率的に集塵することができる。
【0015】
本発明に係る技術4のクリーニング装置は、上記の技術3の構成に加えて、前記第1清掃体は、前記集塵口の内側に設けられ、前記材料保持枠に対して上下移動するものであることが望ましい。
この構成であれば、材料保持枠の内周面の清掃により生じた塵埃を外部に漏れにくくして効率的に集塵することができる。また、第1清掃体及び集塵口を一箇所に設けることができ、ステージのフットプリントを小型化することができる。
【0016】
本発明に係る技術5のクリーニング装置は、上記の技術3又は4の構成に加えて、前記ステージに載置された前記材料保持枠の上面に配置されるカバー体をさらに備え、前記カバー体は、前記材料保持枠の上面との間に外部から空気を吸引するための流路を形成するものであることが望ましい。
この構成であれば、カバー体により材料保持枠の上面との間に流路が形成され、集塵口による集塵動作により、この流路から吸引される空気の流速を速くすることができる。その結果、材料保持枠の上面を清掃することができる。
【0017】
本発明に係る技術6のクリーニング装置は、上記の技術5の構成に加えて、前記材料保持枠は、平面視において矩形枠状をなすものであり、前記カバー体は、平面視において矩形状をなすものであり、前記材料保持枠の角部に接触する凸部を有し、前記材料保持枠の4つの辺部における上面との間に前記流路を形成することが望ましい。
この構成であれば、4つの辺部に空気を吸引するための流路が形成されるので、材料保持枠の4つの辺部の上面を清掃することができる。
【0018】
本発明に係る技術7のクリーニング装置は、前記ステージに設けられ、前記ステージに搬送される前記材料保持枠の下面を清掃する第2清掃体をさらに備えることが望ましい。
この構成であれば、材料保持枠をステージに搬送する途中で材料保持枠の下面を清掃することができる。
【0019】
本発明に係る技術7のクリーニング装置は、前記第2清掃体は、前記ステージに対して上下移動可能に設けられており、前記材料保持枠が前記ステージに搬送される際に上昇して前記材料保持枠の下面を清掃することが望ましい。
この構成であれば、材料保持枠をステージに搬送する途中で材料保持枠の下面を清掃することができ、その後、第2清掃体を下降させることにより、材料保持枠をステージに載置する際に第2清掃体が邪魔になることを防止できる。
【0020】
また、本発明に係る技術9の樹脂成形装置は、一対の成形型を有する樹脂成形モジュールと、前記樹脂成形モジュールに樹脂材料を供給する樹脂材料供給モジュールと、上記の技術1乃至8の何れか1つのクリーニング装置とを備えることを特徴とする。
この樹脂成形装置であれば、樹脂材料を搬送するための材料保持枠を清掃するとともに清掃により生じた塵埃を効率的に集塵することができるので、樹脂成形品の品質を向上することができる。
【0021】
さらに、本発明に係る技術10の樹脂成形品の製造方法は、上記の技術9の樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法であって、前記成形型に成形対象物及び樹脂材料を供給する供給工程と、前記成形対象物に対して樹脂成形を行う樹脂成形工程と、樹脂成形された樹脂成形品を前記成形型から搬出する搬出工程とを含むことを特徴とする。
この樹脂成形品の製造方法であれば、樹脂材料を搬送するための材料保持枠を清掃するとともに清掃により生じた塵埃を効率的に集塵することができるので、樹脂成形品の品質を向上することができる。
【0022】
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明に係る樹脂成形装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に示すいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0023】
<1.樹脂成形装置100の基本構成>
本実施形態の樹脂成形装置100は、成形対象物である基板Wに固定された電子部品(不図示)を、熱硬化性の樹脂材料Jを用いた樹脂成形により樹脂封止して樹脂成形品Pを製造するものである。
【0024】
ここで、基板Wとしては、例えば金属製基板、樹脂製基板、ガラス製基板、セラミックス製基板、回路基板、半導体製基板、リードフレーム、シリコンウエハ、ガラスウエハ等を挙げることができる。また、電子部品としては、例えば半導体チップ、抵抗素子、キャパシタ素子等の電子素子、又はこれら電子素子の少なくとも1つが樹脂封止された形態の電子部品を挙げることができる。さらに、樹脂材料Jは、例えば液状樹脂、顆粒状樹脂、シート状樹脂、タブレット状樹脂、粒状樹脂等を挙げることができる。なお、樹脂材料Jは、熱可塑性を有する材料であってもよい。
【0025】
この樹脂成形装置100は、図1に示すように、基板供給・収納モジュールAと、樹脂成形モジュールBと、樹脂材料供給モジュールCとを、それぞれ構成要素として備える。各構成要素(各モジュールA~C)は、それぞれの構成要素に対して着脱可能かつ交換可能である。
【0026】
基板供給・収納モジュールAは、成形前基板Wを供給する成形前基板供給部1と、成形済基板W(樹脂成形品P)を収納する成形済基板収納部2とを有する。
【0027】
樹脂成形モジュールBは、基板Wに対して樹脂材料Jを圧縮成形するものである。この樹脂成形モジュールBは、基板Wを保持する成形型である上型3と、キャビティ4Cが形成された成形型である下型4と、上型3及び下型4を型締めする型締め機構5とを有する。そして、樹脂成形モジュールBは、上型3及び下型4を型締めすることにより基板Wに固定された電子部品を、樹脂材料Jを用いた樹脂成形により樹脂封止する。
【0028】
ここで、基板供給・収納モジュールA及び樹脂成形モジュールBには、成形前基板W及び樹脂成形品Pを搬送する基板搬送機構6が設けられている。
【0029】
この基板搬送機構6は、基板供給・収納モジュールA及び樹脂成形モジュールBに亘って延びるレール(不図示)上を移動するものである。基板搬送機構6は、基板供給・収納モジュールA及び樹脂成形モジュールBにおいて少なくともX方向及びY方向に移動可能に構成されている。
【0030】
また、基板搬送機構6は、成形前基板Wを基板供給・収納モジュールAから樹脂成形モジュールBに搬送し、樹脂成形モジュールBにおいて成形前基板Wを成形型3、4に供給する。成形前基板Wの樹脂成形後に、基板搬送機構6は、樹脂成形モジュールBにおいて成形型3、4から樹脂成形品Pを受け取って、基板供給・収納モジュールAに搬送する。
【0031】
樹脂材料供給モジュールCは、樹脂材料Jを搬送するための材料保持枠10に例えば顆粒状樹脂を供給する樹脂材料供給部21を有する。樹脂材料供給部21は、先端部に顆粒状樹脂を吐出する樹脂吐出部211を有している。なお、樹脂材料供給モジュールCは、顆粒状樹脂を供給するものの他、液状樹脂、シート状樹脂、タブレット状樹脂、粒状樹脂などの他の形態の樹脂材料Jを供給するものであっても良い。
【0032】
本実施形態の材料保持枠10は、図2に示すように、平面視において下型4のキャビティ4Cに対応する開口部101を有する枠部材である。本実施形態の材料保持枠10は、平面視において矩形状の開口部101を有する矩形枠状をなしている。この材料保持枠10の下面10cには、離型フィルムFを吸着して保持するための吸着部102が設けられている。そして、材料保持枠10は、下面10cに離型フィルムFを保持することにより、下部開口が離型フィルムFで塞がれた状態となり、離型フィルムFとともに樹脂材料収容部10xを形成する。なお、本実施形態の樹脂材料供給モジュールCは、離型フィルムFを切断するフィルム切断部22と、切断した離型フィルムFを材料保持枠10に保持させるフィルム保持部23とを有する。
【0033】
ここで、樹脂材料供給モジュールC及び樹脂成形モジュールBには、材料保持枠10及び樹脂材料Jを搬送する樹脂材料搬送機構7が設けられている。
【0034】
この樹脂材料搬送機構7は、樹脂材料供給モジュールC及び樹脂成形モジュールBに亘って延びるレール(不図示)上を移動するものである。樹脂材料搬送機構7は、樹脂材料供給モジュールC及び樹脂成形モジュールBにおいて少なくともX方向及びY方向に移動可能に構成されている。
【0035】
また、樹脂材料搬送機構7は、樹脂材料供給モジュールCにおいて樹脂材料Jが供給された材料保持枠10を、樹脂材料供給モジュールCから樹脂成形モジュールBに搬送する。そして、樹脂材料搬送機構7は、樹脂成形モジュールBにおいて、離型フィルムF及び樹脂材料Jを成形型3、4に供給する。成形前基板Wの樹脂成形後に、樹脂材料搬送機構7は、樹脂成形モジュールBにおいて成形型3、4から使用済みの離型フィルムFを回収する。樹脂材料搬送機構7は、樹脂材料供給モジュールCにある廃棄部(不図示)に使用済みの離型フィルムFを廃棄することもできる。
【0036】
<2.クリーニング装置30の構成>
本実施形態の樹脂材料供給モジュールCは、樹脂材料Jを搬送するための枠部材である材料保持枠10を清掃するクリーニング装置30を備えている。このクリーニング装置30は、樹脂材料J及び離型フィルムFを搬送した後の材料保持枠10を清掃するものである。
【0037】
具体的にクリーニング装置30は、図1図3図5に示すように、材料保持枠10が載置されるステージと31、ステージ31に載置された材料保持枠10の内周面10aを清掃する第1清掃体32と、材料保持枠10の清掃により生じた塵埃を集塵する集塵口33と、ステージ31に載置された材料保持枠10の上面10bに配置されるカバー体34と、ステージ31に搬送される材料保持枠10の下面10cを清掃する第2清掃体35と、を備えている。
【0038】
ステージ31は、図3図5に示すように、上面に材料保持枠10が載置される載置面31aを有している。また、ステージ31には、集塵機(不図示)が接続される集塵配管311が接続されている。ステージ31の内部には、集塵配管311と集塵口33を連通させる内部空間31Sが形成されている。
【0039】
第1清掃体32は、ステージ31に設けられており、ステージ31に載置された材料保持枠10に対して上下移動して材料保持枠10の内周面10aを清掃する。
【0040】
具体的に第1清掃体32は、ステージ31に載置された材料保持枠10の内側に位置するように設けられている。つまり、第1清掃体32は、ステージ31における材料保持枠10が載置される載置面31aの内側に設けられている。
【0041】
第1清掃体32は、ブラシから構成されており、エアシリンダやモータ等のアクチュエータ(不図示)を用いて上下移動するように構成されている。また、第1清掃体32は、材料保持枠10の内周面10aの4つの辺部に対応して設けられている。本実施形態の第1清掃体32は、図4に示すように、平面視において内周面10aに対応した矩形状をなしている。この第1清掃体32が上下移動することにより、材料保持枠10の内周面10aの4つ辺部が一挙に清掃される。
【0042】
集塵口33は、ステージ31に設けられており、下方に空気を吸引して集塵するものである。具体的に集塵口33は、ステージ31に載置された材料保持枠10の内側に位置するように設けられている。つまり、集塵口33は、ステージ31における材料保持枠10に対応した載置面31aの内側に設けられている。
【0043】
本実施形態の集塵口33の開口サイズは、材料保持枠10の開口部101の開口サイズよりも大きく、ステージ31に材料保持枠10を載置した状態で、材料保持枠10の内側全体が集塵口33となる。
【0044】
本実施形態の集塵口33は、平面視において矩形状をなすものである。そして、第1清掃体32は、集塵口33の内側に設けられ、当該集塵口33を介して材料保持枠10に対して上下移動するように構成されている。つまり、集塵口33を形成する4つの辺部は、平面視において第1清掃体32を取り囲むように設けられている。
【0045】
カバー体34は、図3図5に示すように、材料保持枠10の上部開口を覆うとともに、材料保持枠10の上面10bとの間に外部から空気を吸引するための流路10Rを形成するものである。
【0046】
カバー体34は、図4に示すように、平面視において材料保持枠10に対応した矩形状をなすものであり、材料保持枠10の4つの角部に接触する4つの接触部341を有し、材料保持枠10の4つの辺部における上面10bとの間に流路10Rを形成する。なお、接触部341は、カバー体34の下面から下方に突出して形成されている(図3参照)。
【0047】
このカバー体34は、ステージ31に載置された材料保持枠10に対して、例えば樹脂材料搬送機構7により搬送されて、材料保持枠10の上面10bに載置される。
【0048】
カバー体34が材料保持枠10の上部開口を覆うとともに流路10Rを形成することにより、集塵口33から空気が吸引されると、流速が増した空気が材料保持枠10の上面10bを通過する。これにより、材料保持枠10の上面10bに付着した塵埃が集塵口33に集塵される。また、材料保持枠10の上部開口をカバー体34で覆うことにより、第1清掃体32により材料保持枠10の内周面10aを清掃した際に生じる塵埃が外部に飛散することを防止できる。
【0049】
第2清掃体35は、図3図5に示すように、ステージ31に設けられており、ステージ31に搬送される材料保持枠10の下面10cを清掃するものである。この第2清掃体35は、第1清掃体32に対して搬入側に設けられている。本実施形態の第2清掃体35は、平面視において概略直線状をなすものである。
【0050】
また、図4に示すように、第2清掃体35の搬送方向に直交する長さは、搬送される材料保持枠10の搬送方向に直交する長さよりも長くしてある。これにより、材料保持枠10を搬送方向に搬送するだけで、第2清掃体35が材料保持枠10の下面10c全体を清掃するように構成してある。
【0051】
この第2清掃体35は、ステージ31に対して上下移動可能に設けられており、材料保持枠10がステージ31に搬送される際に上昇して材料保持枠10の下面10cを清掃する。
【0052】
第2清掃体35は、例えばブラシから構成されており、エアシリンダやモータ等のアクチュエータ(不図示)を用いて上下移動するように構成されている。上昇した第2清掃体35が材料保持枠10の下面10cに接触し、その接触した状態で材料保持枠10が搬送に伴って、第2清掃体35に対して相対移動することで、材料保持枠10の下面10cが清掃される。
【0053】
なお、ステージ31には、第2清掃体35を昇降移動させるための開口部36が形成されており、この開口部36もステージ31の内部空間31Sに連通している。つまり、開口部36も集塵口として機能する。
【0054】
<3.材料保持枠10のクリーニング動作>
次に、本実施形態におけるクリーニング装置30による材料保持枠10のクリーニング動作について、図3図5及び図6を参照して説明する。
【0055】
まず、樹脂材料Jを下型4に搬送した後の使用済みの材料保持枠10を樹脂材料搬送機構7によりステージ31に搬送する。このとき、図3及び図6(a)に示すように、クリーニング装置30の第2清掃体35が上昇して待機している。そして、材料保持枠10が搬送されて第2清掃体35に到達すると、図6(b)に示すように、搬送される材料保持枠10の下面10cが第2清掃体35に接触しながら移動する。これにより、材料保持枠10の下面10cが第2清掃体35によって清掃される。このとき発生した塵埃は、集塵口33及び開口部36から集塵される。
【0056】
そして、材料保持枠10の下面10c全体が第2清掃体35を通過すると、図5及び図6(c)に示すように、第2清掃体35は開口部36内で下降して、ステージ31の内部に退避する。また、樹脂材料搬送機構7は、ステージ31の載置面31aに材料保持枠10を載置する。また、樹脂材料搬送機構7は、図5及び図6(d)に示すように、ステージ31に載置された材料保持枠10の上面10bにカバー体34を配置する。カバー体34を材料保持枠10の上面10bに配置することにより、流路10Rから空気が吸引されて、材料保持枠10の上面10bが清掃される。また、図5及び図6(e)、(f)に示すように、第1清掃体32を材料保持枠10に対して複数回上下移動させることにより、材料保持枠10の内周面10aが清掃される。このとき発生した塵埃は、集塵口33から集塵される。
【0057】
以上により、材料保持枠10の内周面10a、上面10b及び下面10cの清掃が完了する(図6(g)参照)。清掃された材料保持枠10は、樹脂材料搬送機構7により搬送されて、次の樹脂成形のために離型フィルムFを保持し、樹脂材料Jが収容される。
【0058】
<4.樹脂成形装置100の樹脂成形動作>
次に、樹脂成形装置100の動作の一例を、図1及び図6を参照して説明する。以下に示す動作は、例えば基板供給・収納モジュールAに設けられた制御機器CTLが樹脂成形装置100の各部を制御することにより行われる。なお、制御機器CTLは、CPU、内部メモリ、入出力インターフェース、AD変換器等を有する専用又は汎用のコンピュータである。
【0059】
(1)成形前基板供給工程
基板供給・収納モジュールAにおいて、基板搬送機構6は、成形前基板供給部1から成形前基板Wを受け取り、樹脂成形モジュールBに搬送する。そして、型開きされた上型3に成形前基板Wを受け渡す。その後、基板搬送機構6は、所定の待機位置に戻る。
【0060】
(2)樹脂材料供給工程
樹脂材料供給モジュールCにおいて、樹脂材料供給部21が材料保持枠10に保持された離型フィルムF上に樹脂材料Jを供給する。その後、樹脂材料搬送機構7は、材料保持枠10を樹脂成形モジュールBに搬送して、型開きされた下型4のキャビティ4Cに離型フィルムFとともに樹脂材料Jを供給する。そして、樹脂材料搬送機構7は、所定の待機位置に戻る。
【0061】
ここで、樹脂材料搬送機構7は、図6に示すように、樹脂材料Jを供給した後の材料保持枠10をクリーニング装置30に搬送する。そして、クリーニング装置30は、材料保持枠10の内周面10a、上面10b及び下面10cを清掃する。
【0062】
(3)樹脂成形工程
上記の工程の後、樹脂成形モジュールBにおいて、型締め機構5により上型3及び下型4は所定の型締め圧により型締めされ、加熱される。所定時間が経過した後、型締め機構5により下型4を下降させて、上型3及び下型4が型開きされる。
【0063】
(4)成形済基板搬出工程
成形済基板搬出工程において、基板搬送機構6を移動させて、型開きされた上型3から樹脂成形品Pを受け取る。そして、樹脂成形品Pを受け取った基板搬送機構6を、基板供給・収納モジュールAに移動させ、樹脂成形品Pを基板搬送機構6から成形済基板収納部2に受け渡して収納する。
【0064】
(5)使用済み離型フィルム回収工程
使用済み離型フィルム回収工程において、樹脂材料搬送機構7を移動させて、型開きされた下型4から使用済みの離型フィルムFを回収する。そして、使用済みの離型フィルムFを回収した樹脂材料搬送機構7を、樹脂材料供給モジュールCに移動させ、使用済みの離型フィルムFを廃棄部に廃棄する。
【0065】
<5.本実施形態の効果>
本実施形態の樹脂成形装置100によれば、材料保持枠10が載置されるステージ31に、材料保持枠10の内周面10aを清掃する第1清掃体32、及び、材料保持枠10の清掃により生じた塵埃を集塵する集塵口33を設けているので、樹脂材料Jを搬送するための材料保持枠10を清掃するとともに清掃により生じた塵埃を効率的に集塵することができる。その結果、樹脂成形品Pの品質を向上することができる。
【0066】
また、集塵口33がステージ31に載置された材料保持枠10の内側に位置し、下方に空気を吸引して集塵するので、材料保持枠10の内周面10aの清掃により生じた塵埃を効率的に集塵することができる。
【0067】
さらに、第1清掃体32が集塵口33の内側に設けられているので、材料保持枠10の内周面10aの清掃により生じた塵埃を外部に漏れにくくして効率的に集塵することができる。また、第1清掃体32及び集塵口33を一箇所に設けることができ、ステージ31のフットプリントを小型化することができる。
【0068】
特に本実施形態では、材料保持枠10の内周面10a、上面10b及び下面10cを清掃するので、次の樹脂成形に異物が混入することを防止でき、樹脂成形品Pの品質を向上することができる。
【0069】
また、本実施形態では、材料保持枠10をステージ31に搬送する途中で第2清掃体35が材料保持枠10の下面10cに接触して清掃するので、ステージ31への材料保持枠10の搬送工程と、材料保持枠10の下面10cの清掃工程とを同時に行うことができる。したがって、材料保持枠10の清掃時間を増加すること無く、材料保持枠10の下面10cを清掃することができる。
【0070】
<6.その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0071】
例えば、前記実施形態では、第2清掃体35を有する構成であったが、図7に示すように、第2清掃体35を有さない構成であっても良い。図7には、第2清掃体35を有さない構成におけるクリーニング動作を示しており、材料保持枠10の下面10cの清掃工程が無い点を除いて、前記実施形態のクリーニング動作を同じである。
【0072】
前記実施形態では、第2清掃体35がステージ31に上下移動可能に設けられているが、第2清掃体35が固定されていても良い。また、第2清掃体35をステージ31とは別に設けても良い。
【0073】
また、集塵口33の内部に第1清掃体32を上下移動可能に設ける構成の他、集塵口33の空間と、第1清掃体32が上下移動する空間とを別に設けても良い。
【0074】
さらに、前記実施形態の第1清掃体32は、材料保持枠10の内周面10aの4つの辺部に対応した平面視矩形状の清掃部を有する一体のものであったが、4つの辺部それぞれに対応した4つの清掃部を有する構成であっても良い。
【0075】
その上、前記実施形態では、ステージ31に設けられた第2清掃体35は1つであったが、複数の第2清掃体35を搬送方向に沿って設けても良い。
【0076】
集塵口33は、ステージ31に載置された材料保持枠10の外側に設けても良い。また、集塵口33は、ステージ31に載置された材料保持枠10の外側及び内側の両方に設けても良い。
【0077】
第1清掃体32は、材料保持枠10に対して上下移動する構成の他、材料保持枠10に対して横方向又は斜め方向に移動する構成であっても良い。
【0078】
加えて、第2清掃体35により材料保持枠10の下面10cを清掃する際には、第2清掃体35に対して材料保持枠10を複数回往復させるように移動させても良い。
【0079】
前記実施形態においては、基板供給・収納モジュールAと樹脂材料供給モジュールCとの間に、1つの樹脂成形モジュールBを接続した構成であるが、2つ以上の樹脂成形モジュールBを接続した構成としても良い。また、基板供給・収納モジュールAと樹脂材料供給モジュールCとを1つのモジュールにして、そのモジュールに樹脂成形モジュールBを接続した構成としても良い。また、樹脂材料供給モジュールCからフィルム切断モジュールを分離させてモジュール化しても良い。さらに、樹脂成形装置は、前記実施形態のように各モジュールにモジュール化されていなくても良い。
【0080】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0081】
100・・・樹脂成形装置
W・・・成形対象物
P・・・樹脂成形品
J・・・樹脂材料
B・・・樹脂成形モジュール
3、4・・・成形型
C・・・樹脂材料供給モジュール
10・・・材料保持枠
10a・・・材料保持枠の内周面
10b・・・材料保持枠の上面
10c・・・材料保持枠の下面
10R・・・流路
30・・・クリーニング装置
31・・・ステージ
32・・・第1清掃体
33・・・集塵口
34・・・カバー体
341・・・接触部
35・・・第2清掃体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-03-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材料を搬送するための材料保持枠を清掃するクリーニング装置であって、
前記材料保持枠が載置されるステージと、
前記ステージに設けられ、前記ステージに載置された前記材料保持枠の内周面を清掃する第1清掃体と、
前記ステージに設けられ、前記材料保持枠の清掃により生じた塵埃を集塵する集塵口とを備える、クリーニング装置。
【請求項2】
前記第1清掃体は、前記ステージに載置された前記材料保持枠の内側に位置し、前記材料保持枠に対して上下移動する、請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記集塵口は、前記ステージに載置された前記材料保持枠の内側に位置し、下方に空気を吸引して集塵するものである、請求項に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記第1清掃体は、前記集塵口の内側に設けられ、前記材料保持枠に対して上下移動するものである、請求項3に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記ステージに載置された前記材料保持枠の上面に配置されるカバー体をさらに備え、
前記カバー体は、前記材料保持枠の上面との間に外部から空気を吸引するための流路を形成するものである、請求項に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記材料保持枠は、平面視において矩形枠状をなすものであり、
前記カバー体は、平面視において矩形状をなすものであり、前記材料保持枠の角部に接触する凸部を有し、前記材料保持枠の4つの辺部における上面との間に前記流路を形成する、請求項5に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記ステージに設けられ、前記ステージに搬送される前記材料保持枠の下面を清掃する第2清掃体をさらに備える、請求項に記載のクリーニング装置。
【請求項8】
前記第2清掃体は、前記ステージに対して上下移動可能に設けられており、前記材料保持枠が前記ステージに搬送される際に上昇して前記材料保持枠の下面を清掃する、請求項7に記載のクリーニング装置。
【請求項9】
一対の成形型を有する樹脂成形モジュールと、
前記樹脂成形モジュールに樹脂材料を供給する樹脂材料供給モジュールと、
請求項1乃至8の何れか一項に記載のクリーニング装置とを備える、樹脂成形装置。
【請求項10】
請求項9に記載の樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法であって、
前記成形型に成形対象物及び樹脂材料を供給する供給工程と、
前記成形対象物に対して樹脂成形を行う樹脂成形工程と、
樹脂成形された樹脂成形品を前記成形型から搬出する搬出工程とを含む、樹脂成形品の製造方法。