(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138709
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】ヒューズユニットのカバーおよびヒューズユニット
(51)【国際特許分類】
H01H 85/20 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
H01H85/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049336
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】板垣 辰昌
(72)【発明者】
【氏名】岡田 隆
【テーマコード(参考)】
5G502
【Fターム(参考)】
5G502AA14
5G502BB05
5G502CC17
5G502CC60
5G502FF08
(57)【要約】
【課題】バッテリの上面とカバー本体の先端部との間の隙間から水等が侵入することを抑制できるヒューズユニットのカバーおよびヒューズユニットを提供することを目的とする。
【解決手段】カバー1(ヒューズユニットのカバー)は、バッテリ2の上面2a1に露出して設けられたバッテリポスト4と、バッテリポスト4と接続されるヒューズユニット本体3と、を一体に覆うカバー本体10と、カバー本体10の先端部10aに設けられ、止水部分21と、止水部分21をバッテリ2の上面2a1側に押し付けた状態で当該上面2a1と先端部10aとの間の隙間5を覆うばね部分22と、を有した遮蔽部20と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリの上面に露出して設けられたバッテリポストと、前記バッテリポストと接続されるヒューズユニット本体と、を一体に覆うカバー本体と、
前記カバー本体の先端部に設けられ、止水部分と、前記止水部分を前記バッテリの前記上面側に押し付けた状態で当該上面と前記先端部との間の隙間を覆うばね部分と、を有した遮蔽部と、
を備えた、ヒューズユニットのカバー。
【請求項2】
前記バッテリポストおよび前記ヒューズユニット本体は、前記バッテリの前記上面に形成された矩形凹部の底部に設けられ、
前記遮蔽部は、前記カバー本体が前記ヒューズユニット本体および前記バッテリポストに組み付けられた状態で前記バッテリの前記上面における前記矩形凹部の周縁部を覆うL字状に形成される、
請求項1に記載のヒューズユニットのカバー。
【請求項3】
前記ばね部分は、前記バッテリの上下方向と交差する方向に沿って延びる回転中心回りに回転可能なヒンジばねによって構成され、当該ヒンジばねの弾性復元力によって前記止水部分を前記バッテリの前記上面側に押し付ける、
請求項1または2に記載のヒューズユニットのカバー。
【請求項4】
前記ばね部分は、前記バッテリの上下方向に沿って圧縮可能な圧縮部材によって構成され、当該圧縮部材の弾性復元力によって前記止水部分を前記バッテリの前記上面側に押し付ける、
請求項1または2に記載のヒューズユニットのカバー。
【請求項5】
バッテリの上面に露出して設けられたバッテリポストと接続されるヒューズユニット本体と、
前記ヒューズユニット本体を覆うヒューズユニットのカバーと、を備え、
前記ヒューズユニットのカバーは、
前記バッテリポストと、前記ヒューズユニット本体と、を一体に覆うカバー本体と、
前記カバー本体の先端部に設けられ、止水部分と、前記止水部分を前記バッテリの前記上面側に押し付けた状態で当該上面と前記先端部との間の隙間を覆うばね部分と、を有した遮蔽部と、
を備えた、ヒューズユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒューズユニットのカバーおよびヒューズユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のヒューズユニットのカバーに関する技術として、例えば、特許文献1には、バッテリの上面に露出して設けられたバッテリポストと、バッテリポストと接続されるヒューズユニット本体と、を一体に覆うカバー本体を備えたヒューズユニットのカバーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に記載のヒューズユニットのカバーでは、例えば、バッテリの上面においてバッテリポストの突出量にバラツキが生じる場合があり、この場合、バッテリの上面とカバー本体の先端部との間に隙間が生じて当該隙間からバッテリポスト側に水等が侵入してしまう虞があった。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、バッテリの上面とカバー本体の先端部との間の隙間から水等が侵入することを抑制できるヒューズユニットのカバーおよびヒューズユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るヒューズユニットのカバーは、バッテリの上面に露出して設けられたバッテリポストと、前記バッテリポストと接続されるヒューズユニット本体と、を一体に覆うカバー本体と、前記カバー本体の先端部に設けられ、止水部分と、前記止水部分を前記バッテリの前記上面側に押し付けた状態で当該上面と前記先端部との間の隙間を覆うばね部分と、を有した遮蔽部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るヒューズユニットのカバーおよびヒューズユニットは、カバー本体の先端部には、止水部分と、止水部分をバッテリの上面側に押し付けた状態で当該上面と先端部との間の隙間を覆うばね部分と、を有した遮蔽部が設けられる。この構成により、ヒューズユニットのカバーおよびヒューズユニットは、例えば、遮蔽部のばね部分によってバッテリの上面におけるバッテリポストの突出量のバラツキや、当該突出量のバラツキに伴うバッテリの上面とカバー本体の先端部との間の隙間の高さのバラツキを吸収することができる。この結果、ヒューズユニットのカバーおよびヒューズユニットは、バッテリの上面とカバー本体の先端部との間に隙間が生じて当該隙間から水等が侵入することを抑制できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るヒューズユニットのカバーが適用されるヒューズユニットの例示的な斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るヒューズユニットのカバーが適用されるヒューズユニットの例示的な分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るヒューズユニットのカバーの例示的な斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るヒューズユニットの例示的な断面図であって、バッテリの上面とカバー本体の先端部との間の最大隙間状態を示した図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るヒューズユニットの例示的な断面図であって、バッテリの上面とカバー本体の先端部との間の最小隙間状態を示した図である。
【
図6】
図6は、変形例に係るヒューズユニットのカバーの例示的な斜視図である。
【
図7】
図7は、変形例に係るヒューズユニットの例示的な断面図であって、バッテリの上面とカバー本体の先端部との間の最大隙間状態を示した図である。
【
図8】
図8は、変形例に係るヒューズユニットの例示的な断面図であって、バッテリの上面とカバー本体の先端部との間の最小隙間状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態および変形例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、下記実施形態および変形例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態および変形例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
また、以下に開示される実施形態および変形例には、同様の構成要素が含まれる。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される。なお、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0011】
[実施形態]
図1は、実施形態に係るヒューズユニットのカバー1(以下、単に「カバー1」という場合がある。)が適用されるヒューズユニットFUの斜視図である。
図1に示される本実施形態のカバー1およびヒューズユニットFUは、自動車等の車両に搭載されるバッテリ2に組み込まれるものである。ここで、ヒューズユニットFUは、ヒューズユニット本体3(
図2参照)と、ヒューズユニット本体3を覆うカバー1と、を備えている。カバー1は、例えば、バッテリ2の上面2a1に露出して設けられたバッテリポスト4(
図2参照)と、バッテリポスト4と接続されるヒューズユニット本体3と、を一体に覆うようにして組み付けられる。
【0012】
なお、以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、および第3方向のうち、第1方向を「延在方向X」といい、第2方向を「幅方向Y」といい、第3方向を「上下方向Z」という。ここでは、延在方向Xと幅方向Yと上下方向Zとは、相互に略直交する。延在方向Xは、典型的には、バッテリ2の延在方向(長手方向)、カバー1の延在方向(長手方向)に相当する。幅方向Yは、典型的には、バッテリ2の幅方向(短手方向)、カバー1の幅方向に相当する。上下方向Zは、典型的には、バッテリ2の上下方向(高さ方向)、カバー1の上下方向(高さ方向)に相当する。また、以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、カバー1(ヒューズユニットFU)がバッテリ2に組み付けられた状態での方向として説明する。
【0013】
図2は、ヒューズユニットFUの分解斜視図である。
図2に示されるように、ヒューズユニットFUのヒューズユニット本体3およびカバー1は、バッテリ2の上面2a1に取り付けられている。バッテリ2は、例えば、延在方向Xに横長な直方体状の箱型に構成される。バッテリ2は、上下方向Zの上方側に位置される上壁2aと、上下方向Zの下方側に位置される下壁2bと、幅方向Yの両側に位置される一対の側壁2cと、延在方向Xの両側に位置される一対の端壁2dと、を有している。上壁2aの上面2a1には、上述したヒューズユニット本体3と接続されるバッテリポスト4が露出して設けられている。
【0014】
また、上壁2aにおける隅部には、矩形凹部2eが設けられている。矩形凹部2eは、上壁2aの上面2a1から上下方向Zに沿って下方側に凹み、上方側に向けて開放されている。矩形凹部2eの底部2e1には、バッテリポスト4が上下方向Zに沿って上方側に突出した状態で設けられている。バッテリポスト4には、後述するヒューズユニット本体3に組み付けられたバッテリ端子3bの接続部3cが締結されて取り付けられる。また、矩形凹部2eは、例えば、上壁2aにおける隅部をL字状に切り欠くことによって形成される。すなわち、矩形凹部2eは、上下方向Zから見た場合にL字状に形成される側面2e2を有しており、上壁2aにおける隅部の対角方向(延在方向Xと幅方向Yとの間の傾斜方向)の外方に向けて開放されている。
【0015】
ヒューズユニット本体3は、例えば、本体部3aと、バッテリ端子3bと、を有している。本体部3aは、ヒューズユニット本体3のうち矩形凹部2eの底部2e1とバッテリ2の端壁2dとの間の角部を覆うようにL字状に形成された部分である。すなわち、本体部3aは、矩形凹部2eの底部2e1に沿って延在方向Xに延びた横壁部3a1と、端壁2dに沿って上下方向Zに延びた縦壁部3a2と、を有している。縦壁部3a2は、例えば、端壁2dに対して延在方向Xに間隔をあけた状態で対向している。また、本体部3aにおける横壁部3a1と縦壁部3a2との間の角部には、後述するカバー1が係止される被係止部3dが設けられている。
【0016】
バッテリ端子3bは、本体部3aおよびバッテリポスト4と導通接続される部分である。バッテリ端子3bは、本体部3aの横壁部3a1から矩形凹部2eの底部2e1に沿って延在方向Xに延びており、例えば、スタッドボルト6やナット7等の結合具を介して横壁部3a1に固定され、かつ本体部3aと導通接続される。また、バッテリ端子3bには、バッテリポスト4と接続される接続部3cが設けられている。接続部3cは、例えば、バッテリポスト4の外周面に沿った円筒状に形成される。バッテリ端子3bは、接続部3cにバッテリポスト4を挿通させるようにして組み付けられ、この状態でバッテリポスト4に対してバッテリ端子3bが締結部材8(ボルト、ナット)によって締結される。
【0017】
なお、ヒューズユニット本体3は、例えば、上述した本体部3aとバッテリ端子3bとが一体化された状態でバッテリポスト4に対して組み付けられる構成でもよいし、バッテリポスト4に組み付けられたバッテリ端子3bに対して本体部3aが組み付けられる構成でもよい。ここで、本体部3aにおける縦壁部3a2の内部には、例えば、ヒューズユニットFUの可溶体が収容されている。また、縦壁部3a2には、例えば、スタッドボルト9やナット等の締結具を介して配索材が接続される。そして、ヒューズユニットFUには、バッテリ2、バッテリポスト4、バッテリ端子3b、スタッドボルト6、ヒューズユニットFUの可溶体、スタッドボルト9、不図示の配索材、および負荷装置に渡った回路が形成され、この回路においてヒューズユニットFUの可溶体に過電流が流れたときに可溶体が溶断することで回路を保護する。
【0018】
図3は、カバー1の斜視図であり、
図4は、ヒューズユニットFUの断面図であって、バッテリ2の上面2a1とカバー本体10の先端部10aとの間の最大隙間状態を示した図である。
図3、4に示されるように、カバー1は、例えば、カバー本体10と、後述する遮蔽部20と、を有している。カバー本体10は、カバー1のうち上述したバッテリポスト4とヒューズユニット本体3とを一体に覆う部分である。カバー本体10は、例えば、ヒューズユニット本体3に固定される固定部11と、固定部11に対してヒンジ部13を介して幅方向Yに沿って延びる回転中心Ax1回りに回転可能に支持される開閉部12と、を有している。
【0019】
固定部11は、カバー本体10のうち上述したヒューズユニット本体3における縦壁部3a2を覆う部分である。固定部11は、例えば、縦壁部3a2側に向けて開放される略U字状の断面を有しており、縦壁部3a2に沿って上下方向Zに延びている。また、固定部11の内面には、上述したヒューズユニット本体3の被係止部3dと係止される係止部14(
図4参照)が設けられている。係止部14は、例えば、固定部11の延在方向Xの一方側(バッテリポスト4とは反対側)の後壁から延在方向Xの他方側かつ上下方向Zの上方側に向けて板バネ状に突出している。そして、係止部14の先端部には、延在方向Xの他方側に突出した爪部14aが設けられている。
【0020】
被係止部3dは、例えば、延在方向Xに沿って爪部14aが挿入される開口部3d1を有した筒状に形成される。被係止部3dは、ヒューズユニット本体3における横壁部3a1と縦壁部3a2との間の角部に設けられており、開口部3d1内に爪部14aが挿入および係止される。開口部3d1の縁部は、爪部14aと上下方向Zに対向し、開口部3d1の縁部と爪部14aとが係止されることで、固定部11のヒューズユニット本体3に対する上下方向Zの上方側への移動(抜け)が制限される。これにより、カバー1は、ヒューズユニット本体3に対して固定される。
【0021】
開閉部12は、カバー本体10のうち上述したヒューズユニット本体3における横壁部3a1や、バッテリ端子3b、バッテリポスト4等を一体に覆う部分である。開閉部12は、例えば、バッテリポスト4側に向けて開放される略U字状の断面を有しており、横壁部3a1に沿って延在方向Xに延びている。また、開閉部12は、固定部11に対してヒンジ部13(
図3参照)を介して回転可能に支持されている。ヒンジ部13は、例えば、幅方向Yに沿って延びる回転中心Ax1を有している。開閉部12は、ヒンジ部13の回転中心Ax1回りの回転により、バッテリポスト4を覆う閉位置(
図4参照)と、バッテリポスト4を上下方向Zに沿って上方側に露出させる不図示の開位置と、の間で開閉可能である。
【0022】
なお、開閉部12は、例えば、固定部11に対してヒンジ部13を介して幅方向Yに沿って延びる回転中心Ax1回りに回転可能に支持されない構成でもよい。本実施形態では、カバー1は、例えば、ヒューズユニット本体3に装着された状態、すなわちカバー本体10によって上述したヒューズユニット本体3における横壁部3a1や、バッテリ端子3b、バッテリポスト4等を一体に覆った状態で、開閉部12を閉位置(
図4参照)に固定(係止、保持)する構造を有している。これにより、後述する遮蔽部20のばね部分22の反力による開閉部12の浮き上がりが抑制される。なお、ヒューズユニット本体3が開閉部12の内側に対して圧入されて取り付けられることにより、開閉部12の浮き上がりが抑制されてもよい。
【0023】
遮蔽部20は、カバー1のうち上述したカバー本体10(開閉部12)の先端部10aとバッテリ2の上面2a1との間の隙間5を覆う部分である。遮蔽部20は、例えば、止水部分21と、ばね部分22と、を有している。止水部分21は、遮蔽部20のうちバッテリ2の上面2a1と当接した状態に設けられ、当該上面2a1との間を止水する部分である。本実施形態では、止水部分21は、ばね部分22の下端部によって構成される。
【0024】
ばね部分22は、遮蔽部20のうち止水部分21をバッテリ2の上面2a1側に押し付けた状態で当該上面2a1とカバー本体10の先端部10aとの間の隙間5を覆う部分である。本実施形態では、ばね部分22は、例えば、幅方向Yに沿って延びる回転中心Ax2回りに回転可能なヒンジばね22Aによって構成される。ヒンジばね22Aは、例えば、回転中心Ax2となるヒンジ部分の板厚が、止水部分21の板厚や、カバー本体10(開閉部12)の先端部10aの板厚よりも薄く設定される。遮蔽部20は、例えば、合成樹脂等のカバー本体10と同様の熱に強く伸縮性が失われることの無い材質によって構成される。
【0025】
ばね部分22は、例えば、カバー1がヒューズユニット本体3およびバッテリポスト4に組み付けられた状態において、自由状態よりもヒンジばね22Aの角度が開くように構成される。これにより、ヒンジばね22Aに弾性復元力Fp1が生じ、当該弾性復元力Fp1によって止水部分21をバッテリ2の上面2a1に突き当てるような押し付け力を作用させることができる。この結果、止水部分21とバッテリ2の上面2a1との間の面圧が増大し、これらの位置でのシール性を高めることができる。
【0026】
また、遮蔽部20は、例えば、上述した矩形凹部2eにおけるL字状の側面2e2(
図2参照)の周縁部を覆う(囲う)ようなL字型に形成される。すなわち、遮蔽部20は、幅方向Yに沿って延びる第1部分23(
図3参照)と、延在方向Xに沿って延びる第2部分24と、を有している。第1部分23および第2部分24は、それぞれ別々の上述した止水部分21と、ばね部分22と、を含んで構成される。第1部分23のばね部分22は、上述した幅方向Yに沿って延びる回転中心Ax2回りに回転可能なヒンジばね22Aによって構成される。一方、第2部分24のばね部分22は、延在方向Xに沿って延びる回転中心Ax3回りに回転可能なヒンジばね22Aによって構成される。
【0027】
図5は、ヒューズユニットFUの断面図であって、バッテリ2の上面2a1とカバー本体10の先端部10aとの間の最小隙間状態を示した図である。
図4、5に示されるように、本実施形態では、遮蔽部20は、
図4に示される最大隙間状態と、
図5に示される最小隙間状態と、の範囲内で隙間5を遮蔽可能(閉塞可能)に構成される。これにより、遮蔽部20は、例えば、バッテリ2の上面2a1におけるバッテリポスト4の突出量のバラツキや、当該突出量のバラツキに伴うバッテリ2の上面2a1とカバー本体10の先端部10aとの間の隙間5の高さのバラツキを吸収することができる。
【0028】
また、遮蔽部20は、例えば、
図4に示される最大隙間状態と、
図5に示される最小隙間状態と、のいずれの状態でも、自由状態よりもヒンジばね22Aの角度が開いた状態でヒューズユニット本体3に組み付けられる。これにより、ヒンジばね22Aに弾性復元力Fp1が生じ、当該ヒンジばね22Aの弾性復元力Fp1を利用して止水部分21をバッテリ2の上面2a1側に押し付けることができる。
【0029】
以上のように、本実施形態のカバー1(ヒューズユニットのカバー)およびヒューズユニットFUでは、カバー本体10の先端部10aには、止水部分21と、止水部分21をバッテリ2の上面2a1側に押し付けた状態で当該上面2a1と先端部10aとの間の隙間5を覆うばね部分22と、を有した遮蔽部20が設けられる。この構成により、カバー1およびヒューズユニットFUは、例えば、遮蔽部20のばね部分22によってバッテリ2の上面2a1におけるバッテリポスト4の突出量のバラツキや、当該突出量のバラツキに伴うバッテリ2の上面2a1とカバー本体10の先端部10aとの間の隙間5の高さのバラツキを吸収することができる。この結果、カバー1およびヒューズユニットFUは、バッテリ2の上面2a1とカバー本体10の先端部10aとの間に隙間5が生じて当該隙間5から水等が侵入することを抑制できる。
【0030】
また、本実施形態のカバー1およびヒューズユニットFUでは、バッテリポスト4およびヒューズユニット本体3は、バッテリ2の上面2a1に形成された矩形凹部2eの底部2e1に設けられ、遮蔽部20は、カバー本体10がヒューズユニット本体3およびバッテリポスト4に組み付けられた状態でバッテリ2の上面2a1における矩形凹部2eの周縁部を覆うようなL字状に形成される。この構成により、カバー1およびヒューズユニットFUは、例えば、L字状の遮蔽部20によって矩形凹部2eの周縁部におけるバッテリ2の上面2a1とカバー本体10の先端部10aとの間に隙間5が生じて当該隙間5からバッテリポスト4側に水等が侵入することをより確実に抑制できる。
【0031】
また、本実施形態のカバー1およびヒューズユニットFUでは、ばね部分22は、バッテリ2の上下方向Zと交差する幅方向Yおよび延在方向Xに沿って延びる回転中心Ax2、Ax3回りに回転可能なヒンジばね22Aによって構成され、当該ヒンジばね22Aの弾性復元力Fp1によって止水部分21をバッテリ2の上面2a1側に押し付ける。この構成により、カバー1およびヒューズユニットFUは、例えば、ヒンジばね22Aによってバッテリ2の上面2a1におけるバッテリポスト4の突出量のバラツキや、当該突出量のバラツキに伴うバッテリ2の上面2a1とカバー本体10の先端部10aとの間の隙間5の高さのバラツキを吸収する構成を、比較的容易に得ることができる。
【0032】
[変形例]
図6は、変形例に係るカバー1A(ヒューズユニットのカバー)の斜視図であり、
図7は、変形例に係るヒューズユニットFUの断面図であって、バッテリ2の上面2a1とカバー本体10の先端部10aとの間の最大隙間状態を示した図である。
図6、7に示されるカバー1Aは、上記実施形態のカバー1と同様の構成を備えている。よって、カバー1Aは、当該同様の構成に基づく上記実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0033】
ただし、本変形例では、
図6、7に示されるように、遮蔽部20のばね部分22が圧縮部材22Bによって構成されている点が上記実施形態と相違している。すなわち、本変形例では、ばね部分22は、例えば、バッテリ2の上下方向Zに沿って圧縮可能な圧縮部材22Bによって構成される。止水部分21は、圧縮部材22Bの下端部によって構成され、ばね部分22よりも延在方向Xおよび幅方向Yに張り出している。また、圧縮部材22Bの上端部には、湾曲部25が設けられている。湾曲部25は、例えば、上下方向Zの上方側に凸の状態で円弧状(半円状)に湾曲しており、カバー本体10の先端部10aと連結されている。
【0034】
ばね部分22は、例えば、カバー1Aがヒューズユニット本体3およびバッテリポスト4に組み付けられた状態において、自由状態よりも圧縮部材22Bが上下方向Zに沿って圧縮されるように構成される。これにより、圧縮部材22Bに弾性復元力Fp2が生じ、当該弾性復元力Fp2によって止水部分21をバッテリ2の上面2a1に突き当てるような押し付け力を作用させることができる。この結果、止水部分21とバッテリ2の上面2a1との間の面圧が増大し、これらの位置でのシール性を高めることができる。
【0035】
また、遮蔽部20は、例えば、上記実施形態と同様に、矩形凹部2eにおけるL字状の側面2e2(
図2参照)の周縁部を覆う(囲う)ようなL字型に形成される。すなわち、遮蔽部20は、幅方向Yに沿って延びる第1部分23と、延在方向Xに沿って延びる第2部分24と、を有している。第1部分23および第2部分24は、それぞれ上述した止水部分21と、ばね部分22と、を含んで構成される。第1部分23のばね部分22および止水部分21は、例えば、第2部分24のばね部分22および止水部分21と一体に上下方向Zに沿って圧縮可能に構成される。
【0036】
図8は、変形例のヒューズユニットFUの断面図であって、バッテリ2の上面2a1とカバー本体10の先端部10aとの間の最小隙間状態を示した図である。
図7、8に示されるように、本変形例では、遮蔽部20は、
図7に示される最大隙間状態と、
図8に示される最小隙間状態と、の範囲内で隙間5を遮蔽可能(閉塞可能)に構成される。これにより、遮蔽部20は、例えば、バッテリ2の上面2a1におけるバッテリポスト4の突出量のバラツキや、当該突出量のバラツキに伴うバッテリ2の上面2a1とカバー本体10の先端部10aとの間の隙間5の高さのバラツキを吸収することができる。
【0037】
また、遮蔽部20は、例えば、
図7に示される最大隙間状態と、
図8に示される最小隙間状態と、のいずれの状態でも、自由状態よりも圧縮部材22Bが上下方向Zに沿って圧縮された状態でヒューズユニット本体3に組み付けられる。これにより、圧縮部材22Bに弾性復元力Fp2が生じ、当該圧縮部材22Bの弾性復元力Fp2を利用して止水部分21をバッテリ2の上面2a1側に押し付けることができる。
【0038】
すなわち、本変形例では、圧縮部材22Bにおける湾曲部25の一端から上下方向Zに沿って延びている部分がばね部分22として機能し、
図7に示される最大隙間状態でもバッテリ2の上面2a1と止水部分21とが若干干渉するように構成されているため、遮蔽部20は、常に上下方向Zの下方側に押し付けられた状態が保たれる。また、
図8に示される最小隙間状態では、
図7に示される最大隙間状態に対して、バッテリ2の上面2a1とカバー本体10の先端部10aとが互いに上下方向Zに接近する配置となっている。この場合、湾曲部25を起点に当該湾曲部25の一端から止水部分21に渡って上下方向Zに延びているばね部分22が短くなり、逆に湾曲部25の他端からカバー本体10の先端部10aに渡って上下方向Zに延びている部分が長くなるように変形するが、遮蔽部20は、常に上下方向Zの下方側に押し付けられた状態が保たれる。
【0039】
以上のように、本変形例のカバー1A(ヒューズユニットのカバー)およびヒューズユニットFUでは、ばね部分22は、バッテリ2の上下方向Zに沿って圧縮可能な圧縮部材22Bによって構成され、当該圧縮部材22Bの弾性復元力Fp2によって止水部分21をバッテリ2の上面2a1側に押し付ける。この構成により、カバー1AおよびヒューズユニットFUは、例えば、圧縮部材22Bによってバッテリ2の上面2a1におけるバッテリポスト4の突出量のバラツキや、当該突出量のバラツキに伴うバッテリ2の上面2a1とカバー本体10の先端部10aとの間の隙間5の高さのバラツキを吸収する構成を、比較的容易に得ることができる。
【0040】
なお、本実施形態では、遮蔽部20は、矩形凹部2eの周縁部を覆う(囲う)ようなL字状に形成された場合が例示されたが、この例には限定されず、例えば、I字状や、U字状、四角形状、円弧状等、矩形凹部2eの周縁部の形状に合わせて種々に変更可能である。また、本実施形態では、遮蔽部20のばね部分22は、ヒンジばね22Aや圧縮部材22Bによって構成された場合が例示されたが、この例には限定されず、止水部分21をバッテリ2の上面2a1側に押し付けることが可能な構成であればよい。
【0041】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0042】
1、1A カバー(ヒューズユニットのカバー)
2 バッテリ
2a1 上面
2e 矩形凹部
2e1 底部
2e2 側面
3 ヒューズユニット本体
4 バッテリポスト
5 隙間
10 カバー本体
10a 先端部
20 遮蔽部
21 止水部分
22 ばね部分
22A ヒンジばね
22B 圧縮部材
Ax2、Ax3 回転中心
FU ヒューズユニット
Fp1 弾性復元力
Fp2 弾性復元力
X 延在方向(上下方向と交差する方向)
Y 幅方向(上下方向と交差する方向)
Z 上下方向