(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138711
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】配線部材
(51)【国際特許分類】
H02G 3/30 20060101AFI20241002BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
H02G3/30
H02G3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049341
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】前田 浩樹
(72)【発明者】
【氏名】田口 欣司
(72)【発明者】
【氏名】上柿 亮真
【テーマコード(参考)】
5G357
5G363
【Fターム(参考)】
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD01
5G357DD14
5G363AA16
5G363BA02
5G363DA13
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】差動信号を伝送する複数の絶縁電線が互いに撚り合わされずにベース部材上に配置された場合でも、当該複数の絶縁電線の間隔を一定により保ちやすくすることを目的とする。
【解決手段】配線部材10は、差動信号伝送用の第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bと、前記第1絶縁電線20A及び前記第2絶縁電線20Bが互いに接触しつつ平行に配置されたベース部材30と、前記ベース部材30上の前記第1絶縁電線20A及び前記第2絶縁電線20Bを覆いつつ、前記第1絶縁電線20A及び前記第2絶縁電線20Bを互いに接触する向きに押さえる保持シート40と、前記第1絶縁電線20A及び前記第2絶縁電線20Bを前記ベース部材30に固定する固定部50と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動信号伝送用の第1絶縁電線及び第2絶縁電線と、
前記第1絶縁電線及び前記第2絶縁電線が互いに接触しつつ平行に配置されたベース部材と、
前記ベース部材上の前記第1絶縁電線及び前記第2絶縁電線を覆いつつ、前記第1絶縁電線及び前記第2絶縁電線を互いに接触する向きに押さえる保持シートと、
前記第1絶縁電線及び前記第2絶縁電線を前記ベース部材に固定する固定部と、
を備える、配線部材。
【請求項2】
請求項1に記載の配線部材であって、
前記保持シートが前記第1絶縁電線及び前記第2絶縁電線の周囲に巻かれたシート巻配線体が、前記ベース部材上に配置されており、
前記第1絶縁電線及び前記第2絶縁電線と前記ベース部材との間にも前記保持シートが介在する、配線部材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の配線部材であって、
前記保持シートは粘着テープであり、
前記粘着テープが前記第1絶縁電線及び前記第2絶縁電線に貼付いている、配線部材。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の配線部材であって、
前記保持シートはシールド層を有する、配線部材。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の配線部材であって、
前記保持シートはシールド層を有しない、配線部材。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の配線部材であって、
前記保持シートの厚み寸法は、前記第1絶縁電線の直径よりも小さい、配線部材。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載の配線部材であって、
前記固定部は、前記第1絶縁電線及び前記第2絶縁電線が前記保持シートに固定された第1固定部と、前記保持シートが前記ベース部材に固定された第2固定部とを含む、配線部材。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載の配線部材であって、
前記ベース部材上に配置された線状伝送部材をさらに備え、
前記保持シートは、前記線状伝送部材を覆っていない、配線部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ツイスト線がベース部材の主面上に固定された配線部材を開示している。特許文献1に記載の配線部材において、ツイスト線がベース部材に固定されることによって、ツイスト線を構成する複数の絶縁電線の間隔が一定に保たれやすい。
【0003】
特許文献2は、シート材の主面上に複数の絶縁電線が配置された配線部材を開示している。特許文献2に記載の配線部材において、複数の絶縁電線がシート材に保持されることによって複数の絶縁電線の間隔が一定に保たれやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-036523号公報
【特許文献2】特開2019-204743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
差動信号を伝送する複数の絶縁電線が互いに撚り合わされずにベース部材上に配置された場合でも、当該複数の絶縁電線の間隔を一定により保ちやすいことが望まれている。
【0006】
そこで、差動信号を伝送する複数の絶縁電線が互いに撚り合わされずにベース部材上に配置された場合でも、当該複数の絶縁電線の間隔を一定により保ちやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の配線部材は、差動信号伝送用の第1絶縁電線及び第2絶縁電線と、前記第1絶縁電線及び前記第2絶縁電線が互いに接触しつつ平行に配置されたベース部材と、前記ベース部材上の前記第1絶縁電線及び前記第2絶縁電線を覆いつつ、前記第1絶縁電線及び前記第2絶縁電線を互いに接触する向きに押さえる保持シートと、前記第1絶縁電線及び前記第2絶縁電線を前記ベース部材に固定する固定部と、を備える、配線部材である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、差動信号を伝送する複数の絶縁電線が互いに撚り合わされずにベース部材上に配置された場合でも、当該複数の絶縁電線の間隔を一定により保ちやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は実施形態1にかかる配線部材を示す平面図である。
【
図5】
図5は配線部材の別の配置例を示す図である。
【
図6】
図6は配線部材の変形例を示す断面図である。
【
図7】
図7は保持シートの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0011】
本開示の配線部材は、次の通りである。
【0012】
(1)差動信号伝送用の第1絶縁電線及び第2絶縁電線と、前記第1絶縁電線及び前記第2絶縁電線が互いに接触しつつ平行に配置されたベース部材と、前記ベース部材上の前記第1絶縁電線及び前記第2絶縁電線を覆いつつ、前記第1絶縁電線及び前記第2絶縁電線を互いに接触する向きに押さえる保持シートと、前記第1絶縁電線及び前記第2絶縁電線を前記ベース部材に固定する固定部と、を備える、配線部材である。
【0013】
(1)のように構成された配線部材によると、ベース部材上に平行に配置された第1絶縁電線と第2絶縁電線とが、保持シートによって互いに接触した状態に保たれやすくなる。これにより、第1絶縁電線と第2絶縁電線とが互いに撚り合わされずにベース部材上に配置された場合でも、第1絶縁電線及び第2絶縁電線の間隔が一定により保たれやすくなる。
【0014】
(2)(1)の配線部材において、前記保持シートが前記第1絶縁電線及び前記第2絶縁電線の周囲に巻かれたシート巻配線体が、前記ベース部材上に配置されており、前記第1絶縁電線及び前記第2絶縁電線と前記ベース部材との間にも前記保持シートが介在してもよい。シート巻配線体において、ベース部材が巻かれる際の巻圧によって第1絶縁電線と第2絶縁電線との接触状態が保たれやすい。また、シート巻配線体とされた状態でベース部材に配置されることができることによって、ベース部材への配置時に第1絶縁電線と第2絶縁電線との位置ずれが生じにくい。これらより、ベース部材上での第1絶縁電線及び第2絶縁電線の間隔が一定により保たれやすくなる。
【0015】
(3)(1)又は(2)の配線部材において、前記保持シートは粘着テープであり、前記粘着テープが前記第1絶縁電線及び前記第2絶縁電線に貼付いていてもよい。これにより、第1絶縁電線及び第2絶縁電線が保持シートである粘着テープに対して固定されることができることによって、ベース部材上での第1絶縁電線及び第2絶縁電線の間隔が一定により保たれやすくなる。
【0016】
(4)(1)から(3)のいずれか1つの配線部材において、前記保持シートはシールド層を有してもよい。これにより、保持シートに第1絶縁電線及び第2絶縁電線のシールド機能を持たせることができる。
【0017】
(5)(1)から(3)のいずれか1つの配線部材において、前記保持シートはシールド層を有しなくてもよい。これにより、保持シートのコスト上昇を抑制できる。
【0018】
(6)(1)から(5)のいずれか1つの配線部材において、前記保持シートの厚み寸法は、前記第1絶縁電線の直径よりも小さくてもよい。これにより、第1絶縁電線及び第2絶縁電線が互いに撚り合わされたツイスト線を配置する場合と比べて、配線部材の厚みを小さくできる。さらにツイスト線がシース付きである場合と比べると、シースがない分、配線部材の厚みを小さくできる。
【0019】
(7)(1)から(6)のいずれか1つの配線部材において、前記固定部は、前記第1絶縁電線及び前記第2絶縁電線が前記保持シートに固定された第1固定部と、前記保持シートが前記ベース部材に固定された第2固定部とを有してもよい。これにより、保持シートを介して第1絶縁電線及び第2絶縁電線をベース部材に固定できる。
【0020】
(8)(1)から(7)のいずれか1つの配線部材において、前記ベース部材上に配置された線状伝送部材をさらに備え、前記保持シートは、前記線状伝送部材を覆っていなくてもよい。これにより、保持シートの大型化を抑制できる。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の配線部材の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0022】
[実施形態1]
以下、実施形態1にかかる配線部材10について説明する。
図1は実施形態1にかかる配線部材10を示す平面図である。
図2は
図1のII-II線に沿った断面図である。
図3は
図2の領域A1の拡大図である。
【0023】
配線部材10は、第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bと、線状伝送部材24と、ベース部材30と、保持シート40と、固定部50とを備える。第1絶縁電線20A、第2絶縁電線20B及び線状伝送部材24が、ベース部材30上に配置される。保持シート40は、第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bを覆っている。固定部50は第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bをベース部材30に固定している。
【0024】
第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bは差動信号の伝送に用いられる。第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bは車載高速通信用の通信線である。第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bは1組以上設けられる。
図1に示す例では、第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bは2組設けられている。各絶縁電線20A、20Bは、導体芯線21と絶縁被覆層22とを含む。導体芯線21は、1本又は複数本の導体製の素線を有する。複数本の素線は、撚線であるとよい。絶縁被覆層22は、導体芯線21の周囲を覆う。例えば、絶縁被覆層22は、導体芯線21の周囲に樹脂が押出成形されて形成される。各絶縁電線20A、20Bは導電路が1つの単線である。第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bは、ベース部材30上において、互いに接触しつつ平行に配置されている。
【0025】
線状伝送部材24は、電気又は光等を伝送する線状の部材である。例えば、線状伝送部材24は、電気を伝送する電線であってもよいし、光を伝送する光ファイバ等であってもよい。線状伝送部材24は、電気又は光等を伝送する伝送線本体25と、伝送線本体25を覆う被覆層26とを有していてもよい。線状伝送部材24が電線の場合、導体芯線が伝送線本体25に相当し、線状伝送部材24が光ファイバの場合、コア及びクラッドが伝送線本体25に相当する。線状伝送部材24が電線の場合、かかる電線は、電力供給用の電源線であってもよいし、電気信号を送る信号線であってもよい。線状伝送部材24が信号線の場合、線状伝送部材24は第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bよりも低速の通信線であってもよい。線状伝送部材24は、絶縁電線20A、20Bより太くてもよいし、細くてもよい。線状伝送部材24の太さは、絶縁電線20A、20Bの太さと同じであってもよい。線状伝送部材24が複数設けられる場合、互いに太さの異なる線状伝送部材24が設けられてもよい。
【0026】
絶縁電線20A、20B及び線状伝送部材24は、車両における部品同士を接続する。絶縁電線20A、20B及び線状伝送部材24の端部には、例えばコネクタが設けられる。絶縁電線20A、20B及び線状伝送部材24は、同じコネクタに接続されてもよいし、互いに異なるコネクタに接続されてもよい。当該コネクタが接続相手に設けられたコネクタと接続されることで、絶縁電線20A、20B及び線状伝送部材24が接続相手に接続される。つまり、本配線部材10は、車両等において各種部品同士を電気的に接続する配線部材10として用いられる。
図1に示す例では、絶縁電線20A、20B及び線状伝送部材24の端部は、ベース部材30の外に延び出ている。絶縁電線20A、20B及び線状伝送部材24の端部は、ベース部材30上に配置されてもよい。コネクタは、ベース部材30に固定されていてもよい。
【0027】
絶縁電線20A、20B及び線状伝送部材24の経路は、接続先となる部品の位置等に応じて設定される。絶縁電線20A、20B及び線状伝送部材24がベース部材30に固定されることによって、絶縁電線20A、20B及び線状伝送部材24がそれぞれの接続先となる部品の位置等に応じた配線経路に沿った状態に保たれる。
【0028】
ベース部材30は、シート状に形成されている。ベース部材30は、複数の絶縁電線20A、20B及び複数の線状伝送部材24を並んだ状態に保つ。ベース部材30は、全体として扁平な形状に形成されている。複数の絶縁電線20A、20B及び複数の線状伝送部材24がベース部材30に固定されることによって、配線部材10が扁平な形態に保たれる。
【0029】
ベース部材30を構成する材料に関し、ここでは、ベース部材30は樹脂材料によって形成されている。ベース部材30を構成する材料は、金属、無機物等、樹脂以外の材料が用いられてもよい。
【0030】
ベース部材30の構造は、1層構造であってもよいし、2層以上の多層構造であってもよい。ベース部材30における層の構造は特に限定されるものではない。例えばベース部材30は、一様充実断面を有するシート(非発泡シート又はソリッドシートなどとも呼ばれる)によって構成される層を有していてもよい。また例えば、ベース部材30は、発泡シート等によって構成される層を有していてもよい。また例えば、ベース部材30は、編布、織布又は不織布等の繊維材シートによって構成される層を有していてもよい。
【0031】
ベース部材30は柔らかい部材であってもよい。例えば、ベース部材30は電線及び線状伝送部材24の曲げに追従可能な可撓性を有してもよい。配線部材10は厚み方向への曲げ(折目がベース部材30の主面に沿うような曲げ)が可能とされてもよい。
【0032】
線状伝送部材24は、ベース部材30に固定されればよく、ベース部材30に対する線状伝送部材24の固定構造は特に限定されない。例えば、線状伝送部材24はベース部材30に対して固定されている。かかる固定態様としては、接触部位固定であってもよいし、非接触部位固定であってもよいし、両者が併用されていてもよい。ここで接触部位固定とは、線状伝送部材24とベース部材30とが接触する部分がくっついて固定されているものである。また、非接触部位固定とは、接触部位固定でない固定態様であり、例えば、縫糸、カバー、粘着テープなどが、線状伝送部材24をベース部材30に向けて押え込んだり、線状伝送部材24とベース部材30とを挟み込んだりして、その状態に維持するものである。以下では、線状伝送部材24とベース部材30とが、接触部位固定の状態にあるものとして説明する。
【0033】
係る接触部位固定の態様として、接触部位間接固定であってもよいし、接触部位直接固定であってもよいし、異なる領域で両者が併用されていてもよい。ここで接触部位間接固定とは、線状伝送部材24とベース部材30とが、その間に設けられた接着剤、粘着剤、両面粘着テープなどを介して間接的にくっついて固定されているものである。また接触部位直接固定とは、線状伝送部材24とベース部材30とが別に設けられた接着剤等を介さずに直接くっついて固定されているものである。接触部位直接固定では、例えば線状伝送部材24とベース部材30とのうち少なくとも一方に含まれる樹脂が溶かされることによってくっついて固定されることが考えられる。
【0034】
係る接触部位直接固定の状態が形成されるに当たり、樹脂は、例えば、熱によって溶かされることも考えられるし、溶剤によって溶かされることも考えられる。つまり、接触部位直接固定の状態としては、熱による接触部位直接固定の状態であってもよいし、溶剤による接触部位直接固定の状態であってもよい。好ましくは、熱による接触部位直接固定の状態であるとよい。
【0035】
このとき接触部位直接固定の状態を形成する手段は特に限定されるものではなく、溶着、融着、溶接等の公知の手段を用いることができる。例えば、溶着によって熱による接触部位直接固定の状態を形成する場合、超音波溶着、加熱加圧溶着、熱風溶着、高周波溶着など種々の溶着手段を採用することができる。またこれらの手段によって接触部位直接固定の状態が形成されると、線状伝送部材24とベース部材30とは、その手段による接触部位直接固定の状態とされる。具体的には、例えば、超音波溶着によって接触部位直接固定の状態が形成されると、線状伝送部材24とベース部材30とは、超音波溶着による接触部位直接固定の状態とされる。
【0036】
以下では、線状伝送部材24とベース部材30とが、接触部位直接固定の状態にあるものとして説明する。
【0037】
線状伝送部材24とベース部材30とが、接触部位直接固定の状態にある場合、ベース部材30は第1層及び第2層を含む2層構造であってもよい。第1層は固定層である。固定層には線状伝送部材24の被覆層26が接触部位直接固定される。固定層は樹脂材料、好ましくは熱可塑性樹脂材料を含む。固定層の樹脂材料が軟化して固定相手に接触部位直接固定される。かかる樹脂材料の種類は特に限定されるものではなく、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を採用することができる。被覆層26も固定層と同じ樹脂材料を有していると良い。第1層の一方の表面がベース部材30の一方主面とされる。
【0038】
第2層は付加層である。第2層は固定層とは異なる材料で形成されたり、異なる構造を有したりする。第2層は固定層にある機能を高めたり、固定層にない機能をベース部材30に追加したりする。第2層を構成する材料は、上記固定層で説明された材料のほか、金属、無機物等などであってもよい。第2層の一方の表面がベース部材30の他方主面とされる。
【0039】
第1層の他方の表面と第2層の他方の表面とが接触しつつ、第1層と第2層とが固定されている。第1層と第2層との固定態様は特に限定されるものではないが、接触部位直接固定又は接触部位間接固定により固定されているとよい。例えば、第1層及び第2層の少なくとも一方が、繊維材シート又は発泡シートのように表面に空隙があるシートであると、空隙に樹脂材料又は接着剤が入り込んで固定されることができる。これによりいわゆるアンカー効果が発揮されて、第1層及び第2層が強固に固定される。
【0040】
ここでは第1層が樹脂製のソリッドシートであり、第2層が繊維材シートであるものとして説明される。ここでは第1層と第2層とが接触部位直接固定されているものとして説明される。つまり、第1層の樹脂が流動性を有する状態で第2層の繊維の間に入り込んだ後に硬化される。これにより、第1層の樹脂が第2層における繊維の間に入り込んだ状態が維持され、第1層と第2層とが強固に固定される。
【0041】
第1層及び第2層は同じ大きさ(同じ平面形状)に形成されてもよい。第1層及び第2層は一方が他方よりも大きく形成されていてもよい。第1層及び第2層は接触する領域が全体的に固定されている。第1層及び第2層は接触する領域の一部のみが固定されていてもよい。例えば、第1層が軟質PVCなど軟質な樹脂を材料とするソリッドシートであり、第2層がPETを材料とする不織布であるなどして、ベース部材30が柔らかい部材とされてもよい。
【0042】
複数の線状伝送部材24それぞれは、ベース部材30と長手方向に沿って間隔をあけた複数箇所で固定されている。
図1及び
図2では、複数の線状伝送部材24それぞれとベース部材30との固定箇所FPが二点鎖線によって示されている。
【0043】
配線部材10において複数の線状伝送部材24は長手方向に沿った同じ位置でベース部材30と固定されている。配線部材10において複数の線状伝送部材24は長手方向に沿った異なる位置でベース部材30と固定されていてもよい。1つの線状伝送部材24において、複数の固定箇所FPの間隔は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0044】
保持シート40は、ベース部材30上の第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bを覆いつつ、第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bを互いに接触する向きに押さえる。第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bのうち互いに接触している部分は、接触部位固定されていない。第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bは、保持シート40によって、互いに離れる向きへの移動が規制される。
【0045】
ベース部材30が、
図2に示すように、平面に沿って広がる平坦な状態であって、第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bに外力がかかっていない状態を基準状態とする。基準状態において、第1絶縁電線20Aの中心よりも第2絶縁電線20Bとは反対側の半分の部分に、保持シート40から第2絶縁電線20B側へ向かう力がかかっていてもよい。基準状態において、第1絶縁電線20Aの外面のうち第2絶縁電線20Bと接触する部分とは反対側の外面に、保持シート40から第2絶縁電線20B側へ向かう力がかかっていてもよい。基準状態において、第1絶縁電線20Aには保持シート40からの力がかかっておらず、ベース部材30が曲ったり、第1絶縁電線20Aに外力がかかったりして、第1絶縁電線20Aが第2絶縁電線20Bから離れる向きに移動しようとしたときに、保持シート40が第1絶縁電線20Aの移動を規制してもよい。
【0046】
基準状態において、第2絶縁電線20Bの中心よりも第1絶縁電線20Aとは反対側の半分の部分に、保持シート40から第1絶縁電線20A側へ向かう力がかかっていてもよい。基準状態において、第2絶縁電線20Bの外面のうち第1絶縁電線20Aと接触する部分とは反対側の外面に、保持シート40から第1絶縁電線20A側へ向かう力がかかっていてもよい。基準状態において、第2絶縁電線20Bには保持シート40からの力がかかっておらず、ベース部材30が曲ったり、第2絶縁電線20Bに外力がかかったりして、第2絶縁電線20Bが第1絶縁電線20Aから離れる向きに移動しようとしたときに、保持シート40が第2絶縁電線20Bの移動を規制してもよい。
【0047】
保持シート40が第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bの周囲に巻かれたシート巻配線体12が、ベース部材30上に配置されている。保持シート40が第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bの周方向に沿って周囲全体を覆っている。従って、第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bとベース部材30との間にも保持シート40が介在する。
【0048】
2組の第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bには、それぞれ別の保持シート40が巻かれている。従って、2つのシート巻配線体12がベース部材30上に配置されている。2つのシート巻配線体12は互いに間隔をあけて配置されている。2つのシート巻配線体12は互いの保持シート40同士が接するように配置されていてもよい。2つのシート巻配線体12の間に線状伝送部材24は配置されていない。2つのシート巻配線体12の間に線状伝送部材24が配置されていてもよい。
【0049】
保持シート40は第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bのベース部材30上における区間の全長にわたって設けられている。この場合、第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bが保持シート40の間から露出しないように設けられていると良い。例えば、長尺帯状の保持シート40が、絶縁電線20A、20Bに対して巻かれていてもよい。かかる巻き方は、例えば、保持シート40の長手方向に沿う縁部が絶縁電線20A、20Bの長手方向に沿うような巻き方(縦添えなどともいう)であってもよい。また例えば、かかる巻き方は、保持シート40の長手方向に沿う縁部が絶縁電線20A、20Bの周囲にらせん状に延在するような巻き方(らせん巻きなどともいう)であってもよい。らせん巻きの場合、保持シート40同士が重なるような巻き方(ラップ巻きなどとも言う)であってもよい。
【0050】
保持シート40は第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bのベース部材30上における区間の長手方向に沿って間隔をあけた複数箇所に設けられてもよい。第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bが保持シート40の間から露出していてもよい。この場合、例えば、保持シート40の巻き方は、保持シート40の長手方向に沿う縁部が絶縁電線20A、20Bの周方向に沿うような巻き方であってもよい。また例えば、らせん巻きのうち保持シート40同士が重ならないような巻き方(荒巻きなどとも言う)であってもよい。
【0051】
シート巻配線体12は、ベース部材30の外に延び出ている。第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bのうちベース部材30の縁部から外に延び出た部分の周囲にも保持シート40が巻かれている。シート巻配線体12は、ベース部材30の外に延び出ていなくてもよい。第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bのうちベース部材30上に位置する部分の周囲のみに保持シート40が巻かれていてもよい。
【0052】
ここでは、保持シート40は粘着テープ40である。粘着テープ40が第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bに貼付いている。粘着テープ40は基材層41及び粘着層42を有する。ここでは、保持シート40はシールド層を有しない。粘着層42が第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bに貼付いている。基材層41がシート巻配線体12の外面に表れる。
【0053】
保持シート40の厚み寸法は、特に限定されるものでは適宜設定可能である。例えば、保持シート40の厚み寸法は、第1絶縁電線20Aの直径よりも小さくてもよいし、ベース部材30の厚み寸法よりも小さくてもよい。例えば、各絶縁電線20A、20Bの直径は、0.1mmから2.0mm程度であり、保持シート40の厚み寸法は、それよりも小さくてもよい。保持シート40が第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bの周囲全体に巻かれてシート巻配線体12とされる場合、保持シート40の厚み寸法は、第1絶縁電線20Aの半径よりも小さい。シート巻配線体12の厚み寸法(
図2における上下方向の寸法)は、第1絶縁電線20Aの直径と第2絶縁電線20Bの直径との和よりも小さい。
【0054】
また本実施形態では、保持シート40は、線状伝送部材24を覆っていない。線状伝送部材24のうちベース部材30とは反対側を向く面が露出している。
【0055】
固定部50は、第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bをベース部材30に固定する。ここでは固定部50は、第1固定部51と第2固定部52とを含む。第1固定部51は、第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bが保持シート40に固定された部分である。第2固定部52は、保持シート40がベース部材30に固定された部分である。従って、第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bは、保持シート40を介してベース部材30に固定される。第1固定部51によって、絶縁電線20A、20B及び保持シート40がシート巻配線体12とされている。第2固定部52によって、シート巻配線体12がベース部材30に固定されている。ここでは第1固定部51は、粘着テープ40が第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bに貼り付けられた部分である。またここでは、第2固定部52は、粘着テープ40とベース部材30との間に設けられた接着剤である。
【0056】
もっとも、第1固定部51及び第2固定部52としては、上記したものに限られない。第1固定部51の固定態様及び第2固定部52の固定態様としては、ベース部材30と線状伝送部材24との上記固定態様から適宜設定可能である。例えば、保持シート40とベース部材30とが接触部位直接固定されていてもよい。保持シート40が粘着テープ40の場合、基材層41とベース部材30とが接触部位直接固定されていてもよい。粘着テープ40のうち絶縁電線20A、20Bとベース部材30との間の部分が、ベース部材30に接触部位直接固定されていてもよい。
図2に示す粘着テープ40とは別の粘着テープが
図2に示すシート巻配線体12を挟むように設けられて、当該粘着テープ40のうちシート巻配線体12の側方に突出する部分がベース部材30に接触部位直接固定されていてもよい。
【0057】
固定部50は、絶縁電線20A、20Bの長手方向に沿って間隔をあけた複数箇所に設けられている。固定部50は、絶縁電線20A、20Bの長手方向に沿って一連に全長にわたって設けられていてもよい。固定部50は、固定箇所の側方に設けられている。固定部50及び固定箇所はベース部材30の長手方向に沿って互いに離れた位置に設けられていてもよい。
【0058】
第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bが保持シート40によって押さえられることによって、第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bの接触状態が良好に保たれている。第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bは、直線区間において、ベース部材30の厚み方向に重ならずにそれぞれベース部材30上に広がった状態を保って延びる。
【0059】
ベース部材30上において、絶縁電線20A、20Bと線状伝送部材24とは間隔をあけて配置されている。
図2に示す間隔D1は、ベース部材30上における第1絶縁電線20Aと線状伝送部材24との間隔、及び、第2絶縁電線20Bと線状伝送部材24との間隔のうち小さい方の間隔D1が示されている。
【0060】
ベース部材30上において、線状伝送部材24同士は、間隔をあけて配置されている。
図2に示す間隔D2は、ベース部材30上における線状伝送部材24同士の間隔D2の一例が示されている。当該間隔D2は、例えば、上記間隔D1よりも小さくてもよい。
【0061】
図4は配線部材10が配置対象80に配置された例を示す図である。
図5は配線部材10が配置対象80とは別の配置対象82に配置された例を示す図である。
図5では、シート巻配線体12と線状伝送部材24とがそれぞれ1本の線で示されている。
【0062】
配線部材10は曲げられて配置対象80、82に配置される場合がある。配置対象80、82は、車両における各種部材である。例えば、配置対象80、82は、外装パネル、車体フレーム、内装部材などであってもよい。外装パネルは、例えばドアパネル、ルーフパネルなど車両の外観をなす部材である。車体フレームは、車両の骨格をなす部材である。車体フレームにはリインフォースメントなども含まれる。内装部材は、例えば、インストルメントパネル、ドアトリム、ルーフトリムなど車両の内観をなす部材である。配置対象80、82の形状は、各種部材に応じた形状に形成される。配置対象80、82は、例えば、棒状又は板状などに形成されてもよい。
【0063】
ここでは配置対象80、82は、配置面81、83を有している。配置面81、83に沿って配線部材10が配置される。配置面81、83は曲面を有する。かかる曲面は、湾曲面でもよいし、屈曲面でもよい。配線部材10は、曲面に沿うように曲がって配置されうる。
【0064】
図4に示す例では、配線部材10は、長手方向に沿う軸回りに曲がって配置面81に配置されている。ベース部材30において絶縁電線20A、20B及び線状伝送部材24が配置される面が、外周側に位置する。この場合、
図4に示すように、ベース部材30の曲げに伴い、線状伝送部材24同士の間隔D2Aが、基準状態の線状伝送部材24同士の間隔D2よりも大きくなり得る。これに対して、第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bは、保持シート40によって押さえられていることによって、第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bが互いに離れる向きへの移動が規制され、接触状態が保たれる。
【0065】
また、
図5に示す例では、配線部材10は、幅方向に沿う軸回りに曲がって配置面83に配置されている。配置面83に段差が生じており、配線部材10は当該段差を乗り越えているととらえることもできる。配線部材10では、絶縁電線20A、20B及び線状伝送部材24は長手方向に間隔をあけてベース部材30に固定されている。この場合、線状伝送部材24のうち固定箇所の間の区間において、個々の線状伝送部材24が、ベース部材30の曲げに沿う曲げ範囲の中で、互いに自由に曲ることができる。このため、線状伝送部材24のうち固定箇所の間の区間は、ベース部材30の曲げに伴い概ねベース部材30の曲げと同様に曲るものの、全く同じ曲げ形状を取らない場合が生じうる。この場合、線状伝送部材24同士の間隔が変わり得る。これに対して、第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bは、保持シート40によって押さえられていることによって、固定部50の間の区間においても同じ曲げ形状を取ることができる。これにより、固定部50の間の区間においても第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bの接触状態が保たれる。
【0066】
<効果等>
以上のように構成された配線部材10によると、ベース部材30上に平行に配置された第1絶縁電線20Aと第2絶縁電線20Bとが、保持シート40によって互いに接触した状態に保たれやすくなる。これにより、第1絶縁電線20Aと第2絶縁電線20Bとが互いに撚り合わされずにベース部材30上に配置された場合でも、第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bの間隔が一定により保たれやすくなる。また、
図4又は
図5に示すように、配線部材10が曲げて配置される場合にも、保持シート40によって、第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bの接触状態が保たれやすい。第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bの接触状態がベース部材30上において全長にわたって保たれることによって、第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bの特性インピーダンスが安定するとともに、第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bに経路長の差が生じにくくなる。これにより、差動伝送用の第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bにおいて、より安定した高速通信が可能となる。
【0067】
ここで、車両において、伝送データ量の増加などに伴い、車載通信の高速化が望まれている。高速伝送が可能な車載通信規格のひとつに、車載Ethernet(登録商標)がある。Open AllianceのTC2(Technical Committees 2)は、車載Ethernet(登録商標)規格の一つである100BASE-T1を達成するために電線などが満たすべき伝送特性を示している。本開示の配線部材10における第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bによる高速通信線は、第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bがツイスト線とされずとも上記のように保持シート40を用いてベース部材30に配置されることによって、上記Open AllianceのTC2における伝送特性を満たしている。つまり、本開示の配線部材10における第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bによる高速通信線は、100BASE-T1相当の高速通信性能を有している。
【0068】
また、シート巻配線体12がベース部材30上に配置されている。シート巻配線体12において、ベース部材30が巻かれる際の巻圧によって第1絶縁電線20Aと第2絶縁電線20Bとの接触状態が保たれやすい。また、シート巻配線体12とされた状態でベース部材30に配置されることができることによって、ベース部材30への配置時に第1絶縁電線20Aと第2絶縁電線20Bとの位置ずれが生じにくい。これらより、ベース部材30上での第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bの間隔が一定により保たれやすくなる。
【0069】
また、保持シート40としての粘着テープ40が第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bに貼付いている。これにより、第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bが保持シート40である粘着テープ40に対して固定されることができることによって、ベース部材30上での第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bの間隔が一定により保たれやすくなる。
【0070】
また、保持シート40はシールド層243を有しない。これにより、保持シート40のコスト上昇を抑制できる。
【0071】
また、保持シート40の厚み寸法は、第1絶縁電線20Aの直径よりも小さい。これにより、第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bが互いに撚り合わされたツイスト線を配置する場合と比べて、配線部材10の厚みを小さくできる。さらにツイスト線がシース付きである場合と比べると、シースがない分、配線部材10の厚みを小さくできる。
【0072】
また、固定部50は、第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bが保持シート40に固定された第1固定部51と、保持シート40がベース部材30に固定された第2固定部52とを含む。これにより、保持シート40を介して第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bをベース部材30に固定できる。
【0073】
また、保持シート40は、線状伝送部材24を覆っていない。これにより、保持シート40の大型化を抑制できる。
【0074】
[付記]
図6は配線部材10の変形例を示す断面図である。
【0075】
図6に示す配線部材110において、保持シート140が第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bの周囲に巻かれていない。第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bが保持シート140とは反対側でベース部材30に接している。この場合でも、保持シート140が第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bを互いに接する向きに押さえていれば、第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bの接触状態を保つことができる。
【0076】
配線部材110における固定部150は第1固定部151及び第2固定部152を有する。第1固定部151は、上記配線部材10の第1固定部51と同様に、粘着テープ140が第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bに貼り付けられた部分である。第2固定部152は、上記配線部材10の第2固定部52とは異なり、粘着テープ140がベース部材30に貼り付けられた部分である。この場合、1つの保持シート140によって第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bをベース部材30に固定することができる。
【0077】
粘着テープ140のうち第2固定部152を構成する部分は、第1固定部151を構成する部分から側方に延びる。このため、粘着テープ140のうち第1固定部151を構成する部分は、上記粘着テープ40のうち第1固定部51を構成する部分よりも、第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bへ貼り付けられる範囲が小さい。この場合、粘着テープ140のうち第1固定部151を構成する部分は、各絶縁電線20A、20Bの中心よりも下側領域まで貼り付けられていると良い。これにより、粘着テープ140が第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bを互いに接触する向きによりしっかりと抑えることができる。
【0078】
【0079】
図7に示す保持シート240はシールド層243を有する。これにより、保持シート240に第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bのシールド機能を持たせることができる。例えば、保持シート240は基材層41及び粘着層42に加えてシールド層243を有する粘着テープ240である。シールド層243は、例えば、導体からなる層であってもよいし、導電性樹脂層であってもよい。導体からなる層としては、導体箔が基材層41に貼られた層であってもよいし、導体が基材層41に蒸着された層であってもよい。粘着テープ240において、基材層41が省略されて、シールド層243に粘着層42が設けられていてもよい。保持シート240は、粘着テープ240以外のシートであって、シールド層243を有するシートであってもよい。
【0080】
このほか、これまで保持シート40は粘着テープ40であるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。保持シートとしては、粘着テープ40以外のシートであってもよく、ベース部材30の上記層構造で説明した各種シートであってもよい。また保持シートとしては、自己融着テープなどであってもよい。
【0081】
またこれまで、固定部50は、第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bが保持シート40に固定された第1固定部51と、保持シート40がベース部材30に固定された第2固定部52とを含むものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bが保持シート40とは別にベース部材30に固定されていてもよい。また保持シート40がベース部材30に直接的には固定されておらず、第1絶縁電線20A及び第2絶縁電線20Bを介してベース部材30に固定されていてもよい。
【0082】
またこれまで、保持シート40が線状伝送部材24を覆っていないものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。線状伝送部材24も保持シート40に覆われていてもよい。またこれまで、配線部材10が線状伝送部材24を備えるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。配線部材10は線状伝送部材24を備えていなくてもよい。
【0083】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0084】
10 配線部材
12 シート巻配線体
20A 第1絶縁電線
20B 第2絶縁電線
21 導体芯線
22 絶縁被覆層
24 線状伝送部材
25 伝送線本体
26 被覆層
30 ベース部材
40、140、240 粘着テープ(保持シート)
41 基材層
42 粘着層
50、150 固定部
51、151 第1固定部
52、152 第2固定部
80、82 配置対象
81、83 配置面
243 シールド層
D1、D2 間隔
FP 固定箇所