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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138722
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】炉内足場の構築方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 3/24 20060101AFI20241002BHJP
   E04G 5/14 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
E04G3/24 301D
E04G5/14 301G
E04G3/24 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049361
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000167233
【氏名又は名称】光洋機械産業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田中 圭一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 健太
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 颯太
(57)【要約】
【課題】炉内足場の組立作業及び解体作業を効率的に行い得ることのできる炉内足場の構築方法を提供する。
【解決手段】本発明の炉内足場の構築方法は、内部に空間を有する炉内において大組大払し工法によって組み立てられる方法であって、少なくとも複数スパンの長さを有しかつ略平板状の足場板11と、足場板11の両端部に設けられ上下方向に延びた一対の幅木12と、各幅木12の外側面に回動自在にそれぞれ支持された複数の支柱13と、を有し、それらが折り畳まれた状態にある複数の足場ユニット10を炉内の炉壁に形成された開口を通じて炉内に搬送する搬送工程と、搬送された各足場ユニット10を折り畳まれた状態から組立て状態にする組上げ工程と、組上げ工程において組立て状態とされた各足場ユニット10を吊り上げて炉内の所望位置にそれぞれ配置する配置工程と、配置工程において配置された各足場ユニット10同士を連結する連結工程と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空間を有する炉内において大組大払し工法によって組み立てられる炉内足場の構築方法であって、
少なくとも複数スパンの長さを有しかつ略平板状の足場板と、前記足場板の両端部に設けられ上下方向に延びた一対の幅木と、前記各幅木の外側面に回動自在にそれぞれ支持された複数の支柱と、を有し、それらが折り畳まれた状態にある複数の足場ユニットを前記炉内の炉壁に形成された開口を通じて前記炉内に搬送する搬送工程と、
前記搬送工程において搬送された前記各足場ユニットを折り畳まれた状態から組立て状態にする組上げ工程と、
前記組上げ工程において組立て状態とされた前記各足場ユニットを吊り上げて前記炉内の所望位置にそれぞれ配置する配置工程と、
前記配置工程において配置された前記各足場ユニット同士を連結する連結工程と、
を有することを特徴とする、炉内足場の構築方法。
【請求項2】
前記組上げ工程では、
前記各支柱を前記幅木の外側面に沿って回動させてそれぞれ立設させ、
前記足場板の上面に載置された手摺を取り出し、それらを前記支柱に掛止する、請求項1に記載の炉内足場の構築方法。
【請求項3】
前記配置工程では、
前記炉内の所望位置に複数のベース支柱を配置し、組立て状態とされた前記各足場ユニットを前記ベース支柱のいずれかに固定してそれぞれ配置する、請求項1に記載の炉内足場の構築方法。
【請求項4】
前記連結工程は、
複数の前記足場ユニットを左右方向に連結する左右連結工程と、
複数の前記足場ユニットを上下方向に連結する上下連結工程と、
を含む、請求項1に記載の炉内足場の構築方法。
【請求項5】
前記上下連結工程では、
上下方向に位置する前記足場ユニットの各支柱同士をそれぞれ接続することにより、前記足場ユニット同士を上下方向に連結する、請求項4に記載の炉内足場の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば火力発電所のボイラ炉の内部に設けられる炉内足場の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば火力発電所のボイラ炉は、内部が中空状とされ、その炉底部が下方に向かうほど先細りとなったホッパー構造とされている。ボイラ炉の上部は高温、高圧の蒸気を発生させるための火炉部とされ、略四角柱状に形成されている(例えば特許文献1参照)。この炉底部及び火炉部では、例えばボイラ炉内部の点検や補修等のメンテナンス時において、内部に炉内足場が組み立てられる。
【0003】
炉内足場は、例えば大組大払し式工法が用いられて組み立てられる。図13は、大組大払し式工法を用いて組み立てられた従来の炉内足場の概略構成を示す斜視図である。炉内足場31は、火炉部32のステージ33上において平面視で略四角枠状に構成されて構築される。なお、同図に示す炉内足場31は、説明の便宜上、高さ方向に3層とされているが、実際は15~20層ほどの炉内足場となる。
【0004】
大組大払し式工法では、実際に炉内足場31を設置するステージ33上の位置に例えば一層の基礎足場34が組み立てられる。その後、基礎足場34の組み立て位置とは異なる別の位置で、複数層からなる上層の足場35が組み立てられ、上層の足場35がクレーン等で吊上げられ、基礎足場34の上部に連結される。炉内足場31は、図13に示したように、連結された複数の基礎足場34及び上層の足場35が上下左右に複数連なって構築される。
【0005】
より詳細には、基礎足場34の組立手順としては、図14(a)に示すように、火炉部32のステージ33上の炉内足場31が設置される位置に複数のジャッキ36が並べられる。次いで、ジャッキ36に水平つなぎ材37と支柱38とが連結され(同図(b)参照)、その後、それらの上に水平材39、足場板40、手摺41等が連結されて基礎足場34が組み立てられる(同図(c)参照)。
【0006】
上層の足場35の組立手順としては、図15(a)に示すように、基礎足場34が組み立てられた位置とは別の位置で、ジャッキ42、水平つなぎ材43、短支柱44からなる仮組み治具45が設置される。その後、仮組み治具45の上に支柱46、足場板47、手摺48等が連結されて例えば2層構造の足場が組み立てられる(同図(b)参照)。
【0007】
組み立てられた上層の足場35にはワイヤーWが取り付けられ(同図(c)参照)、上層の足場35は、仮組み治具45から分離されてクレーン(図略)等によって吊上げられる(図16(a)参照)。吊上げられた上層の足場35は、基礎足場34の設置位置まで移動され、上層の足場35の支柱46の下端と基礎足場34の支柱38の上端とを連結することにより、上層の足場35が基礎足場34に連結される(同図(b)参照)。
【0008】
これら連結された上層の足場35及び基礎足場34からなるブロックを1単位として、その側方に他のブロックが連結され、これらのブロックの上方にさらに上層の足場35がそれぞれ連結されることにより、図13に示すような略四角枠状の炉内足場31が構築される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2012-52305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、例えば火力発電所のボイラ炉では、設備停止による機会損失をできる限り少なくするために、ボイラ炉内に構築される炉内足場31の組立作業や解体作業を短時間で実施することが要請されている。
【0011】
従来の大組大払し式工法を用いた炉内足場31の構築方法では、上層の足場35がブロック単位でワイヤーW等で吊り上げられるものの、上層の足場35は、支柱、足場板、手摺等の仮設部材をひとつひとつ連結しながら組み立てられるものである。そのため、部品点数が多いことから作業性が悪く、炉内足場31の組立作業に長時間を費やすといった問題点があった。また、炉内足場31を解体する解体作業においても、複数種類の仮設部材をひとつひとつ取り外す必要があり、同様に長時間を費やすといった問題点があった。
【0012】
さらに、炉内足場31を組立てる前の複数種類の仮設部材は、炉内のステージ33上といった限られた領域内に運搬し保管維持する必要がある。そのため、それら仮設部材の種類及び数量を管理することが非常に手間でありかつ煩わしいといった問題点もあった。
【0013】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、炉内足場の組立作業及び解体作業を効率的に行い得ることのできる炉内足場の構築方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によって提供される炉内足場の構築方法は、内部に空間を有する炉内において大組大払し工法によって組み立てられる炉内足場の構築方法であって、少なくとも複数スパンの長さを有しかつ略平板状の足場板と、前記足場板の両端部に設けられ上下方向に延びた一対の幅木と、前記各幅木の外側面に回動自在にそれぞれ支持された複数の支柱と、を有し、それらが折り畳まれた状態にある複数の足場ユニットを前記炉内の炉壁に形成された開口を通じて前記炉内に搬送する搬送工程と、前記搬送工程において搬送された前記各足場ユニットを折り畳まれた状態から組立て状態にする組上げ工程と、前記組上げ工程において組立て状態とされた前記各足場ユニットを吊り上げて前記炉内の所望位置にそれぞれ配置する配置工程と、前記配置工程において配置された前記各足場ユニット同士を連結する連結工程と、を有することを特徴としている。
【0015】
本発明の炉内足場の構築方法において、前記組上げ工程では、前記各支柱を前記幅木の外側面に沿って回動させてそれぞれ立設させ、前記足場板の上面に載置された手摺を取り出し、それらを前記支柱に掛止するとよい。
【0016】
本発明の炉内足場の構築方法において、前記配置工程では、前記炉内の所望位置に複数のベース支柱を配置し、組立て状態とされた前記各足場ユニットを前記ベース支柱のいずれかに固定してそれぞれ配置するとよい。
【0017】
本発明の炉内足場の構築方法において、前記連結工程は、複数の前記足場ユニットを左右方向に連結する左右連結工程と、複数の前記足場ユニットを上下方向に連結する上下連結工程と、を含むとよい。
【0018】
本発明の炉内足場の構築方法において、前記上下連結工程では、上下方向に位置する前記足場ユニットの各支柱同士をそれぞれ接続することにより、前記足場ユニット同士を上下方向に連結するとよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、折り畳まれた状態にある複数の足場ユニットを炉内に搬送し、搬送された各足場ユニットを折り畳まれた状態から組立て状態にし、組み立てられた複数の足場ユニットを炉内の所望位置に配置し、配置された複数の足場ユニットを連結し、炉内足場を構築する。足場ユニットは、従来の仮設足場の複数スパン相当の長さとされ、部材が一体的に構成されているので、従来のように複数種類の仮設部材を一つ一つ連結して炉内足場を組み立てる必要がなく、炉内足場を構築する際の組立及び解体の作業時間を大幅に短縮することができる。また、足場ユニットは折畳み式とされているため、例えば炉内に搬入する際にもスムーズに搬入でき、保管維持も容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態に係る炉内足場の構築方法が適用されて構築される炉内足場の概略構成を示す斜視図である。
図2】炉内足場の一側面方向から見た図である。
図3】足場ユニットの組立て状態を示す斜視図である。
図4】足場ユニットの組立て手順を説明するための図である。
図5】足場ユニットの組立て手順を説明するための図である。
図6】炉内足場の組立て手順を説明するための図である。
図7】炉内足場の組立て手順を説明するための図である。
図8】ベース支柱の斜視図である。
図9】炉内足場の組立て手順を説明するための図である。
図10】炉内足場の組立て手順を説明するための図である。
図11】足場ユニット同士の連結状態を示す斜視図であり、(a)は幅木の連結状態を示し、(b)は手摺の棒状部材(下側)の連結状態を示す。
図12】炉内足場の組立て手順を説明するための図である。
図13】従来の炉内足場の概略構成を示す斜視図である。
図14】従来の炉内足場の組立て手順を説明するための図である。
図15】従来の炉内足場の組立て手順を説明するための図である。
図16】従来の炉内足場の組立て手順を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0022】
図1は、本実施形態に係る炉内足場の構築方法が適用されて構築される炉内足場の概略構成を示す斜視図である。図2は、炉内足場の一側面方向から見た図である。本実施形態に係る炉内足場は、例えば火力発電所のボイラ炉の内部に設置される。本炉内足場の構築方法は、後述するように、大組大払し式工法が用いられる。
【0023】
火力発電所のボイラ炉1は、図1に示すように、下方に向かうほど先細りとなるホッパー構造とされた炉底部2と、その上方に形成され、全体構造が中空の略四角柱状に形成された火炉部3とによって構成されている。本実施形態に係る炉内足場4は、火炉部3のステージ5上に設置されるものであり、火炉部3内部の点検や補修等のメンテナンス時において用いられる。なお、図1に示す炉内足場4は、説明の便宜上、高さ方向に3層構造とされているが、これに限るものではない(実際は15~20層ほど設置される)。
【0024】
炉内足場4は、火炉部3の内側壁面に沿って平面視で略四角枠状になるよう構成されており(図1参照)、後述する足場ユニット10が複数組み合わされて構築される。炉内足場4は、その一側面方向から見た図2に示すように、一層の一側面当たり例えば2つの足場ユニット10が連結されるとともに、それらが高さ方向にわたって積層されている。
【0025】
なお、図2に示す炉内足場4の側面図において、左右両端にある2本の支柱6は左右方向の側面側における足場の一部を示し、奥行き方向の側面における足場は省略されている。また、炉内足場4の構成は、図1図2に示す構成に限るものではない。
【0026】
一つの足場ユニット10は、図3に示すように、作業者が点検作業等を行うための足場板11と、足場板11の長手方向両端部から上下方向に延びた一対の幅木12と、幅木12に回動自在に支持された複数の支柱13と、支柱13に掛止される一対の手摺14とが一体的に連なって構成されている。
【0027】
足場板11は、その全長(一つの足場ユニット10の全長に相当)が、従来の仮設足場の複数スパン以上(例えば3スパン以上)とされている。なお、足場板11は、複数枚の単体の板部材が並設されたものでもよい。
【0028】
一対の幅木12は、足場板11の下面側において正面視で左右方向に延びた複数本のつなぎ材(図略)によって連結されている。一対の幅木12の外側面には、それに沿って複数の支柱13が回動自在に支持されている。各支柱13は、足場ユニット10の組立て状態(図3参照)においては、略鉛直方向に延びており、下端から離れた所定位置で幅木12にボルト止めされている。各支柱13は、その下端部にほぞ15が形成されており、その上端部には他の支柱13のほぞ15が嵌合する凹部が形成されている。
【0029】
手前側の一方の幅木12に沿って長手方向に並ぶ2本の支柱13には、一方の手摺14が掛止されている。また、対向する奥行き側の他方の幅木12に沿って並ぶ2本の支柱13にも、他方の手摺14が掛止されている。
【0030】
各手摺14は、長手方向にかつ上下に平行に延びる2本の棒状部材16と、各棒状部材16を上下に結ぶ複数の連接部材17とからなる。各手摺14は、支柱13に形成された図略のポケット部に図略の係止片を嵌装させることにより支柱13に掛止される。
【0031】
図3に示す足場ユニット10は、組立て状態を示すものであるが、本足場ユニット10は、折畳み式とされている。すなわち、足場ユニット10は、図4(a)に示すように、折畳み状態では略平板状とされ、複数の支柱13は、一対の幅木12の各外側面に沿って配されている。また、手摺14は、折畳み状態では足場板11の上面に載置されている。足場板11は、この折畳み状態で搬送されたり、一時的な保管のために積層されたりする。
【0032】
足場ユニット10を図4(a)に示す折畳み状態から図3に示す組立て状態にするには、図4(b)に示すように、一方の一対の支柱13同士を幅木12に沿って回動させて立設させる(同図の矢印A参照)。次いで、他方の一対の支柱13同士を幅木12に沿って回動させて立設させる(図5の矢印B参照)。そして、足場板11の上面から手摺14を取り出し、図3に示したように、幅木12に沿って並ぶ2本の支柱13同士にそれぞれ手摺14を掛止する。このように、本実施形態においては、足場ユニット10を用いて複数スパン以上の足場を容易に組み立てることができる。
【0033】
次に、本実施形態に係る炉内足場4の構築方法について説明する。
【0034】
本構築方法では、大組大払し式工法が採用されて複数の足場ユニット10による炉内足場4が構築される。ここで、前提として、ボイラ炉1の炉底部2においては他の足場が既に組み立てられ、それらの上方であって火炉部3の下部においてステージ5が設けられているものとする。本炉内足場4は、ステージ5上において組み立てられる。
【0035】
まず、複数の足場ユニット10は、折り畳まれた状態(図4(a)参照)で火炉部3のステージ5上に搬入される。例えばボイラ炉1には、その炉壁にボイラマンホールと呼称される開口(図略)が形成されている。通常、ボイラ炉1の炉壁は、複数の壁管(図略)が直線状に延びた構成とされているが、開口の周囲ではこれらの壁管を湾曲させる必要がある。壁管が湾曲されると、蒸気の流れが妨げられるため、開口は、比較的小さい径(例えば直径600~800mm)で形成されている。
【0036】
本実施形態の足場ユニット10は、この開口を通じてボイラ炉1の内部に搬入される。この場合、足場ユニット10は、折り畳まれた状態で搬入され、この状態では略平板状にかつコンパクトに構成されているため、上記開口を通じてスムーズにボイラ炉1の内部に搬入することができる。また、足場ユニット10は、複数の部材が一体的に構成されているため、例えば従来の炉内足場のように(図13参照)、各仮設部材がばらばらに構成され、それぞれの仮設部材をボイラ炉1の内部に搬入する場合に比べ、短時間でかつ効率的に搬入することができる。
【0037】
足場ユニット10がボイラ炉1の内部に搬入されると、足場ユニット10は、折畳み状態から組立て状態に組み上げられる。この場合、図6(a)に示すように、ステージ5上であって炉内足場4の設置場所ではない場所に複数の架台20が並べられ、足場ユニット10は、架台20上に折畳み状態のままで配置される。
【0038】
次いで、各足場ユニット10は、一対の支柱13が幅木12の外側面に沿ってそれぞれ回動され(同図(b)の矢印A、B参照)、幅木12に沿う状態から幅木12の直交方向に延びる立設状態に変位される。なお、支柱13は、立設状態ではその下端が空中に浮いた状態とされる。次いで、一対の手摺14をそれぞれ足場板11の上面から取り出し、支柱13に掛止させる。これにより、各手摺14は、支柱13にそれぞれ支持され、一つの足場ユニット10が架台20上において組み上げられる。
【0039】
架台20上で組み上げられた足場ユニット10は、例えばクレーン等でワイヤーWによって吊り上げられて(同図(c)参照)、後述する所望の位置(ベース支柱21上)に移動される。なお、足場ユニット10の幅木12は、クレーン等のワイヤーWが取付け可能な形状に予め形成されている。
【0040】
一方、図7に示すように、ステージ5上であって実際に炉内足場4が設置される場所には、複数のベース支柱21が配置される。この場合、炉内足場4が火炉部3の内側壁面に沿って平面視で略四角枠状になるよう構成されるときには、この略四角枠状の領域に複数のベース支柱21が配置される。なお、ベース支柱21は、図8に示すように、ベース22と、ベース22に立設された略四角筒状の受け部23とからなる。
【0041】
ワイヤーWによって吊り上げ支持された足場ユニット10は、図9(a)に示すように、所望のベース支柱21上に移動されて降下され、複数のベース支柱21の受け部23に支柱13の下端部のほぞ15がそれぞれ嵌め込まれて固定される。
【0042】
次に、別の足場ユニット10が架台20上で折畳み状態から組立て状態に組み上げられ、図9(b)に示すように、所望のベース支柱21の設置位置まで移動され、支柱13のほぞ15がベース支柱21に嵌め込まれる。隣り合う足場ユニット10が設置されれば、図10(a)に示すように、左右方向の側面側の足場ブロック10も、同様にベース支柱21上に移動され、ベース支柱21に固定される。このようにして、ステージ5上に平面視で略四角枠状になるように複数の足場ユニット10がそれぞれ設置される。
【0043】
複数の足場ユニット10がそれぞれ設置されると、同図(b)に示すように、左右方向にある隣り合う足場ユニット10同士が連結される。具体的には、図11(a)に示すように、幅木12同士が、略板状の連結部材24及びボルト25によって連結される。また、同図(b)に示すように、手摺14同士が、蝶ネジ27によって固定される摺動部材26によって連結される。なお、同図(b)は、手摺14の棒状部材16の下側を示し、棒状部材16の上側は、蝶ネジ27が下側から取付けられる。さらに、図示していないが、各コーナー部においても幅木12同士及び手摺14同士がそれぞれ専用の部材によって連結される。このようにして、複数の足場ユニット10が左右方向に連結されることにより、一層目の炉内足場4が設けられる。
【0044】
一層目の炉内足場4が設けられると、図12(a)に示すように、一層目の足場ユニット10の上方に、他の足場ユニット10が移動され、そのまま降下されて支柱13同士が連結されることにより、足場ユニット10が上下方向に連結される。
【0045】
次いで、図12(b)に示すように、他の足場ユニット10の側方にさらに他の足場ユニット10が移動され、そのまま降下されて支柱13同士が連結されることにより、足場ユニット10が上下方向に連結される。
【0046】
その後、隣り合う他の足場ユニット10同士が左右方向にそれぞれ連結されることにより、二層目の炉内足場4が設けられる。以下、同様に、三層目以上の炉内足場4として足場ユニット10が順次設置されることにより、図1に示したような複数層の炉内足場4が構築される。
【0047】
以上のように、本実施形態によれば、複数の足場ユニット10が用いられて大組大払し式工法によって炉内足場4が構築される。一つの足場ユニット10は、複数スパン(例えば3スパン)相当の長さを有しており、かつ部材が一体的に構成されているので、従来の大組大払し式工法のように例えば複数種類の仮設部材を1スパンごとに一つ一つ連結して炉内足場4を構築する必要がない。また、足場ユニット10は、支柱13を幅木12に沿って回動し固定するだけで一層分の炉内足場4を形成することができる。したがって、炉内足場4を構築する際の作業時間を大幅に短縮することができる。同様に、炉内足場4の解体時間も大幅に短縮することができる。
【0048】
また、足場ユニット10は、折畳み状態にすることができるので、ボイラ炉1内に搬入するときにスムーズに搬入することができる。さらに、足場ユニット10は、折畳み状態では略平板状とされるので、ボイラ炉1内のステージ33上といった限られた領域内に保管維持する際にも、そのまま上に重ねるだけでよいので、省スペースで保管維持することができる。また、足場ユニット10は、部材が一体的に構成されるので、炉内足場を組立てる前に、従来のように仮設部材の種類及び数量を管理しておく必要はない。
【0049】
なお、本発明の範囲は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。例えば上記実施形態では、一つの足場ユニット10を一単位としてクレーン等で吊り上げて移動させたが、これに限らず、複数の足場ユニット10を連結したものを一単位としてクレーン等で吊り上げて移動させてもよい。また、上記足場ユニット20、足場板11、幅木12、支柱13及び手摺14等は、上記した実施形態の形状、大きさ、数量及び位置関係等に限るものではない。
【0050】
また、上記実施形態では、本足場ユニット10は、大組大払し式工法に適用したが、これに代えていわゆるリフティング式工法に適用されてもよい。あるいは、いわゆる吊下げ式工法に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 ボイラ炉
4 炉内足場
5 ステージ
10 足場ユニット
11 足場板
12 幅木
13 支柱
14 手摺
15 ほぞ
21 ベース支柱
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16