IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友ゴム工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-タイヤ 図1
  • 特開-タイヤ 図2
  • 特開-タイヤ 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138729
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/00 20060101AFI20241002BHJP
   B60C 11/12 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
B60C11/00 D
B60C11/00 B
B60C11/12 A
B60C11/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049372
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 脩平
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131AA02
3D131AA39
3D131BA05
3D131BB03
3D131BC02
3D131BC12
3D131BC15
3D131BC19
3D131BC31
3D131BC33
3D131DA34
3D131DA43
3D131EA03U
3D131EA10V
3D131EA10X
3D131EB11V
3D131EB11X
3D131EB18V
3D131EB22V
3D131EB23V
3D131EB24V
3D131EB24X
3D131EB86V
3D131EB91V
3D131EB99V
(57)【要約】
【課題】転がり抵抗性能及び耐摩耗性能を向上しつつ、摩耗後期でのグリップ性能及びウェット性能の低下を抑制できるタイヤ1の提供。
【解決手段】タイヤ1は、第一キャップ層111、第二キャップ層112、ベース層113を含む層構造と、ショルダー周方向溝330、及び周方向細溝320を有するトレッドパターンと、を有するトレッド110を備える。周方向細溝320は、細幅部321、及び拡幅部322を有する。細幅部321の溝幅NWは、タイヤ1が路面に接地した際、細幅部321の側壁321a(321b)が接する幅を有している。第二キャップ層112の複素弾性率は、第一キャップ層111の複素弾性率よりも低い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッドを備えるタイヤであって、
前記トレッドは、
タイヤ径方向最内側に位置するベース層、
タイヤ径方向最外側に位置する、第一キャップ層、及び
タイヤ径方向において、前記ベース層、及び前記第一キャップ層の間に位置する、第二キャップ層を含む層構造と、
一対のショルダー周方向溝、及び
前記ショルダー周方向溝よりもタイヤ幅方向内側に位置する、少なくとも1つの周方向細溝を有するトレッドパターンと、を有し、
前記周方向細溝は、タイヤ径方向外側に位置する細幅部、及びタイヤ径方向内側に位置し、前記細幅部よりも広い溝幅を有する拡幅部を有し、
前記細幅部の溝幅は、前記タイヤが路面に接地した際、前記細幅部の側壁が接する幅を有し、
前記第二キャップ層の複素弾性率は、前記第一キャップ層の複素弾性率よりも低い、
タイヤ。
【請求項2】
前記拡幅部の最大溝幅は、前記周方向細溝の開口位置から、前記拡幅部の底部までを深さ100%として、深さ70~90%に位置する、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記拡幅部は、前記細幅部との接続位置から、前記底部に向かい、前記最大溝幅の位置まで、徐々に幅が広がるように構成され、
前記最大溝幅は、前記接続位置から、前記底部までの深さの中間位置よりも、前記底部側に位置する、請求項2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記拡幅部は、前記第二キャップ層内に配置される、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記拡幅部の最大溝幅は、前記細幅部の溝幅の3~7倍の幅である、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記第二キャップ層の損失正接は、前記第一キャップ層の損失正接よりも高い、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項7】
前記トレッドは、ショルダー周方向溝で区画されるタイヤ幅方向最外側に位置する、ショルダー陸部を有し、
前記ショルダー陸部のタイヤ幅方向の中央における前記第一キャップゴム層の厚さと、前記トレッドの赤道面における前記第一キャップゴム層の厚さとの差が、2.0mm以内である、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項8】
前記タイヤは、重荷重用タイヤである、請求項1~7のいずれか一項に記載のタイヤ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤは、走行時の陸部の変形により、転がり抵抗性能及び耐摩耗性能が低下する場合がある。トレッド剛性を高めるため、周方向細溝を有するトレッドを備えるタイヤが知られている。周方向細溝は、タイヤ接地時に、側壁が接する狭い溝幅を有する。そのため、この周方向細溝を有するタイヤでは、タイヤ接地時に、陸部同士が互いに支え合うことが可能となる。これにより、トレッド剛性が向上し、タイヤの転がり抵抗性能及び耐摩耗性能が向上する(例えば、下記の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-202956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、摩耗後期においてトレッド剛性が増加し溝容積が減少する為、濡れた路面でのグリップ性能(以下単に「ウェット性能」と称する場合がある)の面で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、転がり抵抗性能及び耐摩耗性能を向上しつつ、摩耗後期でのグリップ性能及びウェット性能の低下の抑制できるタイヤの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るタイヤは、トレッドを備えるタイヤである。上記トレッドは、タイヤ径方向最内側に位置するベース層、タイヤ径方向最外側に位置する、第一キャップ層、及びタイヤ径方向において、上記ベース層、及び上記第一キャップ層の間に位置する、第二キャップ層を含む層構造を有する。上記トレッドは、一対のショルダー周方向溝、及び上記ショルダー周方向溝よりもタイヤ幅方向内側に位置する、少なくとも1つの周方向細溝を有するトレッドパターンを有する。上記周方向細溝は、タイヤ径方向外側に位置する細幅部、及びタイヤ径方向内側に位置し、上記細幅部よりも広い溝幅を有する拡幅部を有する。上記細幅部の溝幅は、上記タイヤが路面に接地した際、上記細幅部の側壁が接する幅を有する。上記第二キャップ層の複素弾性率は、上記第一キャップ層の複素弾性率よりも低い。
【0007】
好ましくは、このタイヤでは、上記拡幅部の最大溝幅は、上記周方向細溝の開口位置から、上記拡幅部の底部までを深さ100%として、深さ70~90%に位置する。
【0008】
好ましくは、このタイヤでは、上記拡幅部は、上記細幅部との接続位置から、上記底部に向かい、上記最大溝幅の位置まで、徐々に幅が広がるように構成されている。上記最大溝幅は、上記接続位置から、上記底部までの深さの中間位置よりも、上記底部側に位置する。
【0009】
好ましくは、このタイヤでは、上記拡幅部は、上記第二キャップ層内に配置される。
【0010】
好ましくは、このタイヤでは、上記拡幅部の最大溝幅は、上記細幅部の溝幅の3~7倍の幅である。
【0011】
好ましくは、このタイヤでは、上記第二キャップ層の損失正接は、上記第一キャップ層の損失正接よりも高い。
【0012】
上記トレッドは、ショルダー周方向溝に区画されるタイヤ幅方向最外側に位置する、ショルダー陸部を有する。好ましくは、上記ショルダー陸部のタイヤ幅方向の中央における上記第一キャップゴム層の厚さと、上記トレッドの赤道面における上記第一キャップゴム層の厚さとの差が、2.0mm以内である。
【0013】
好ましくは、このタイヤは、重荷重用タイヤである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、転がり抵抗性能及び耐摩耗性能を向上しつつ、摩耗後期でのグリップ性能及びウェット性能の低下の抑制できるタイヤが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤの一部を示す断面図である。
図2図2は、図1のタイヤの一部を示す拡大断面図である。
図3図3は、図2の周方向細溝の近傍を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて、本発明が詳細に説明される。
【0017】
本発明においては、タイヤを正規リムに組み、タイヤの内圧を正規内圧に調整し、このタイヤに荷重をかけない状態は、正規状態と称される。また、特に言及がない限り、走行による摩耗が生じていない状態のタイヤを基準として、説明がなされる。
【0018】
本発明においては、特に言及がない限り、タイヤ各部の寸法及び角度は、正規状態で測定される。正規リムにタイヤを組んだ状態で測定できない、タイヤの子午線断面における各部の寸法及び角度は、回転軸を含む平面に沿ってタイヤを切断することにより得られる、タイヤの切断面において、測定される。この測定では、左右のビード間の距離が、正規リムに組んだタイヤにおけるビード間の距離に一致するように、タイヤはセットされる。なお、正規リムにタイヤを組んだ状態で確認できないタイヤの構成は、前述の切断面において確認される。
【0019】
正規リムとは、タイヤが依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。
【0020】
正規内圧とは、タイヤが依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。
【0021】
正規荷重とは、タイヤが依拠する規格において定められた荷重を意味する。JATMA規格における「最大負荷能力」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「LOAD CAPACITY」は、正規荷重である。
【0022】
本発明において、タイヤのトレッド部とは、路面と接地する面を有するトレッドを含む、タイヤの部位である。ビード部とは、リムに嵌め合わされる、タイヤの部位である。サイド部とは、トレッド部とビード部との間を架け渡す、タイヤの部位である。タイヤは、部位として、トレッド部、一対のビード部及び一対のサイド部を備える。
【0023】
本発明において、架橋ゴムとは、ゴム組成物を加圧及び加熱して得られるゴム組成物の成形体である。ゴム組成物は、バンバリーミキサー等の混錬機において、基材ゴム及び薬品を混合することにより得られる未架橋状態のゴムである。架橋ゴムは加硫ゴムとも称され、ゴム組成物は未加硫ゴムとも称される。
【0024】
基材ゴムとしては、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)及びブチルゴム(IIR)が例示される。薬品としては、カーボンブラックやシリカのような補強剤、アロマチックオイル等のような可塑剤、酸化亜鉛、ステアリン酸のような加硫助剤、老化防止剤、加工助剤、硫黄及び加硫促進剤が例示される。基材ゴム及び薬品の選定、選定した薬品の含有量等は、ゴム組成物が適用される、トレッド、サイドウォール等の各要素の仕様に応じて、適宜決められる。
【0025】
本発明において、タイヤを構成する要素のうち、架橋ゴムからなる要素の複素弾性率(以下「E*」と称する場合がある)及び損失正接(以下、単に「tanδ」と称する場合がある)は、JIS K6394の規定に準拠して測定される。測定条件は以下の通りである。
初期歪み=10%
動歪み=±1%
周波数=10Hz
モード=伸長モード
温度=0℃又は70℃
この測定では、試験片(長さ40mm×幅4mm×厚さ1mm)はタイヤからサンプリングされる。試験片の長さ方向は、タイヤの周方向と一致させる。タイヤから試験片をサンプリングできない場合には、測定対象の要素の形成に用いられるゴム組成物を170℃の温度で12分間加圧及び加熱して得られる、シート状の架橋ゴム(以下、ゴムシートとも称される。)から試験片がサンプリングされる。
本発明においてE*は、70℃でのtanδで表される。
本発明においてtanδは、0℃でのtanδで表される。
【0026】
[本発明の基礎となった知見]
トレッドの剛性が低すぎると、走行時のタイヤの変形が過大となり、路面に対して抵抗できず、グリップ力が低下する。逆に、トレッドの剛性が高すぎると、走行時のタイヤの変形が過少となり、滑りが生じ、グリップ力が低下する。そのため、タイヤが、最適なグリップ力を発揮するには、適度なトレッド剛性が求められる。
【0027】
タイヤは、走行によるトレッドの摩耗により、陸部の体積が減少し、陸部の変形が小さくなる。そのため、一般的に、摩耗後期のタイヤは、トレッド剛性が増加し、グリップ性能が低下する。また、トレッドの摩耗により、周方向溝の溝容積が減少し、ウェット性能も低下する。
【0028】
[本発明の実施形態の詳細]
図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤ1の一部を示す断面図である。タイヤ1はトラック、バス等の車両に装着される。タイヤ1は重荷重用タイヤである。
【0029】
図1には、タイヤ1の回転軸を含む平面に沿った、タイヤ1の断面の一部が示される。タイヤ1は、トレッド110、ベルト120、カーカス130、インナーライナー140、一対のサイドウォール150、一対のチェーファー160、一対のビード170、一対のクッション層180、及び一対のスチール補強層190を備える。
【0030】
図1に示される、一点鎖線は、タイヤ1の赤道面ELを示す。赤道PEは、トレッド110の外面と赤道面ELとの交点である。なお、赤道面EL上に、後述の周方向溝300が刻まれている場合、赤道PEは、周方向溝300がないと仮定して得られる、トレッド110の仮想外面に基づいて特定される。図1において、タイヤ1の幅方向(以下、単に「タイヤ幅方向」と称する場合がある)、及びタイヤ1の径方向(以下、単に「タイヤ径方向」と称する場合がある)は、両矢印で示されている。タイヤ幅方向において、一点鎖線EL側がタイヤ幅方向内側であり、サイドウォール150側がタイヤ幅方向外側である。タイヤ径方向において、回転軸側がタイヤ径方向内側であり、トレッド110側がタイヤ径方向外側である。また、図1の紙面に対して垂直な方向は、タイヤ1の周方向である。
【0031】
図1において、タイヤ1はリムRに組まれている。リムRは正規リムである。タイヤ1の内部には空気が充填され、タイヤ1の内圧が調整される。リムRに組まれたタイヤ1は、タイヤ-リム組立体とも称される。タイヤ-リム組立体は、リムRと、このリムRに組まれたタイヤ1と、を備える。
【0032】
それぞれのサイドウォール150はトレッド110の端に連なる。サイドウォール150は、トレッド110の端からタイヤ径方向内向きにのびる。サイドウォール150は耐カット性が考慮された架橋ゴムからなる。
【0033】
それぞれのチェーファー160はサイドウォール150のタイヤ径方向内側に位置する。チェーファー160は、リムRと接触する。チェーファー160は、耐摩耗性が考慮された架橋ゴムからなる。
【0034】
ビード170は、エイペックス171と、コア174とを備える。コア174は周方向にのびる。コア174は、巻き回されたスチール製のワイヤを含む。コア174は略六角形の断面形状を有する。
【0035】
エイペックス171はコア174のタイヤ径方向外側に位置する。エイペックス171は内側エイペックス173と外側エイペックス172とを備える。内側エイペックス173はコア174からタイヤ径方向外向きにのびる。外側エイペックス172は内側エイペックス173よりもタイヤ径方向外側に位置する。内側エイペックス173は硬質な架橋ゴムからなる。外側エイペックス172は内側エイペックス173よりも軟質な架橋ゴムからなる。
【0036】
カーカス130は、ベルト120、一対のサイドウォール150、及び一対のチェーファー160の内側に位置する。カーカス130は一対のビード170のうちの第一のビード170と第二のビード170との間を架け渡す。
【0037】
カーカス130は少なくとも1枚のカーカスプライ131を備える。タイヤ1のカーカス130は1枚のカーカスプライ131からなる。カーカスプライ131は、それぞれのコア174の周りにてタイヤ幅方向内側から外側に向かって折り返される。カーカスプライ131は、第一のコア174と第二のコア174との間を架け渡すプライ本体132と、このプライ本体132に連なりそれぞれのコア174の周りにてタイヤ幅方向内側から外側に向かって折り返される一対の折り返し部133とを有する。
【0038】
図示されないが、カーカスプライ131は並列された多数のカーカスコードを含む。これらカーカスコードはトッピングゴムで覆われる。それぞれのカーカスコードは赤道面ELと交差する。このカーカス130はラジアル構造を有する。タイヤ1のカーカスコードはスチールコードである。
【0039】
それぞれのクッション層180は、ベルト120の端側において、ベルト120、及びカーカス130の間に位置する。クッション層180は、軟質な架橋ゴムからなる。クッション層180はベルト120の端に生じる歪を緩和する。
【0040】
それぞれのスチール補強層190はビード部に位置する。スチール補強層190は、カーカスプライ131に沿ってコア174の周りにてタイヤ幅方向内側から外側に向かって折り返される。図示されないが、スチール補強層190は並列した多数のフィラーコードを含む。これらフィラーコードはトッピングゴムで覆われる。フィラーコードとしてスチールコードが用いられる。
【0041】
インナーライナー140はカーカス130の内側に位置する。インナーライナー140は、架橋ゴムからなるインスレーション(図示されず)を介してカーカス130の内面に接合される。インナーライナー140はタイヤ1の内面を構成する。インナーライナー140は、空気遮蔽性に優れた架橋ゴムからなる。インナーライナー140はタイヤ1の内圧を保持する。
【0042】
図2は、図1に示されたタイヤ1の一部を示す。図2には、タイヤ1のトレッド110近傍の拡大断面図が示される。図2において、タイヤ幅方向及びタイヤ径方向は、両矢印で示されている。図2の紙面に対して垂直な方向は、タイヤ1の周方向である。
【0043】
タイヤ1では、ベルト120は、複数のベルトプライを備える。ベルトプライは、第一ベルトプライ121、第二ベルトプライ122、第三ベルトプライ123、及び第四ベルトプライ124を含む(以下、「各ベルトプライ120」と称する場合がある)。各ベルトプライ120は、並列した多数のベルトコードを含む(図示せず)。ベルトコードは、金属製のコードである。具体的には、ベルトコードはスチールコードである。各ベルトプライ120におけるベルトコードの密度は、15エンズ/5cm以上30エンズ/5cm以下である。
【0044】
各ベルトプライ120の内、第一ベルトプライ121は、タイヤ径方向最内側に位置する。第二ベルトプライ122は、第一ベルトプライ121のタイヤ径方向外側に位置する。第三ベルトプライ123は、第二ベルトプライ122のタイヤ径方向外側に位置する。第四ベルトプライ124は第三ベルトプライ123のタイヤ径方向外側に位置する。第四ベルトプライ124は、タイヤ径方向最外側に位置する。
【0045】
各ベルトプライ120は、タイヤ径方向に並ぶ。各ベルトプライ120は、両端が赤道面を挟んで相対するように配置される。各ベルトプライ120は赤道面と交差する。各ベルトプライ120の端は赤道面の両側に位置する。
【0046】
ベルトプライ120の端は、架橋ゴムからなるエッジ部材125により覆われている。また、エッジ部材125は、第二ベルトプライ122の端と第三ベルトプライ123の端との間隔維持に貢献する。これにより、ベルト120の耐久性が向上する。
【0047】
[トレッドの基本構成]
トレッド110は、その外面において路面と接地する。タイヤ1では、トレッド110は、ベルト120上に形成される。タイヤ1では、トレッド110は、第一キャップ層111、第二キャップ層112、及びベース層113を備える。第一キャップ層111は、トレッド110のタイヤ径方向最外側に位置する。ベース層113は、トレッド110のタイヤ径方向最内側に位置する。第二キャップ層112は、タイヤ径方向において、トレッド110の第一キャップ層111とベース層113の間に位置する。図2に示されるように、第一キャップ層111は、第二キャップ層112に積層され、第二キャップ層112は、ベース層113に積層される。すなわち、タイヤ1のトレッド110は、第一キャップ層111、第二キャップ層112、及びベース層113を含む、層構造を有している。
【0048】
トレッド110に、周方向に連続して延びる周方向溝300が刻まれることで、トレッドパターンが構成される。タイヤ1では、4つの周方向溝300が、トレッド110に刻まれている。タイヤ1は、4つの周方向溝300で区画された、5つの陸部200を有する。トレッド110は、周方向溝300として、一対の周方向細溝320、及び一対のショルダー周方向溝330を有する。トレッド110は、陸部200として、一つの第一陸部210、一対の第二陸部220、及び一対のショルダー陸部230を有する。
【0049】
一対のショルダー周方向溝330は、トレッド110の、タイヤ幅方向最外側に刻まれている。一対の周方向細溝320は、トレッド110の、一対のショルダー周方向溝330よりタイヤ幅方向内側に刻まれている。第一陸部210は、一対の周方向細溝320で区画された領域に位置する。一対の第二陸部220は、一対の周方向細溝320及び一対のショルダー周方向溝330で区画された領域に位置する。一対のショルダー陸部230は、ショルダー周方向溝330で区画されるタイヤ幅方向最外側に位置する。
【0050】
タイヤ1は、走行によりトレッド110の第一キャップ層111が、初めに摩耗する。摩耗が進行すると、第二キャップ層112が、タイヤ1の外面に出現する。以下、走行によるトレッド110の摩耗により、第二キャップ層112が出現しはじめる時期は、「摩耗後期」と称される。また、摩耗後期より前の時期は、「摩耗前期」と称される。
【0051】
[周方向細溝の基本効果と課題]
トレッドが、タイヤ接地時に側壁が接する狭い溝幅を有する周方向細溝を有することで、タイヤの転がり抵抗性能及び耐摩耗性能が向上することが知られている。周方向細溝320は、タイヤ接地時に側壁が接する狭い溝幅を有している。これにより、タイヤ1のタイヤの転がり抵抗性能及び耐摩耗性能が向上する。
【0052】
タイヤは、走行によるトレッドの摩耗による、トレッド剛性の増加、及び周方向溝の溝容積の減少で、グリップ力、及びウェット性能が低下する。従来のトレッドに周方向細溝を有するタイヤは、走行によるトレッドの摩耗による、グリップ力、及びウェット性能の低下を十分に抑制できない。以下、転がり抵抗性能及び耐摩耗性能を向上しつつ、摩耗後期でのグリップ性能及びウェット性能の低下を抑制する、タイヤ1の構成を説明する。
【0053】
[層構造の詳細と作用効果]
摩耗後期のタイヤは、トレッド剛性の増加により、グリップ性能が低下する。一般的に、トレッドの温度70℃での複素弾性率(E*)を低くすることで、トレッド剛性を低減することができる。タイヤ1では、第二キャップ層112の温度70℃での複素弾性率(E*2)は、第一キャップ層111の温度70℃での複素弾性率(E*1)よりも低い。これにより、タイヤ1では、摩耗後期に、温度70℃において低い複素弾性率を有する、第二キャップ層112が出現する。そのため、タイヤ1では、摩耗後期における、トレッド剛性の増加が抑制され、グリップ性能が確保される。
【0054】
タイヤ1では、第一キャップ層111のE*1は、第二キャップ層112のE*2より高い。これにより、タイヤ1では、摩耗前期における、タイヤ1のトレッド剛性が維持される。そのため、タイヤ1では、摩耗前期における、転がり抵抗性能及び耐摩耗性能が確保される。
【0055】
第一キャップ層111のE*1は、5.0MPa以上、好ましくは6.5MPa以上である。E*1が、5.0MPa以上であれば、摩耗前期における、転がり抵抗性能及び耐摩耗性能が確保される。E*1が、6.5MPa以上であれば、摩耗前期において、優れた転がり抵抗性能及び耐摩耗性能が発揮される。また、トレッド剛性が高すぎると、グリップ性能が低下する。そのため、E*1は、12.0MPa以下、好ましくは10.5MPa以下である。E*1が、12.0MPa以下であれば、摩耗前期における、グリップ性能が確保される。E*1が、10.5MPa以下であれば、摩耗前期において、優れたグリップ性能が発揮される。
【0056】
第二キャップ層112のE*2は、第一キャップ層111のE*1より低い。E*2は、摩耗後期における、グリップ性能、転がり抵抗性能及び耐摩耗性能を考慮し、適宜設定される。タイヤ1では、E*2は、E*1の75~90%が好ましい。これにより、摩耗前期と摩耗後期との、グリップ性能、転がり抵抗性能及び耐摩耗性能の急激な変化が抑制される。そのため、摩耗前期から摩耗後期まで、安定してグリップ性能、転がり抵抗性能及び耐摩耗性能が発揮される。
【0057】
第二キャップ層112のE*2は、ベース層113の温度70℃での複素弾性率(E*3)より高いことが好ましい。ベース層113の温度70℃での複素弾性率(E*3)は、第二キャップ層112のE*2より低いことが好ましい。タイヤ1では、E*2は、E*3の110~125%が好ましい。これにより、摩耗前期から摩耗後期まで、安定してグリップ性能、転がり抵抗性能及び耐摩耗性能が発揮される。
【0058】
摩耗後期のタイヤは、ウェット性能が低下する。一般的に、トレッドの温度0℃での損失正接(tanδ)が高くなると、ウェット性能が向上する。タイヤ1では、第二キャップ層112の温度0℃での損失正接(tanδ2)は、第一キャップ層111の温度0℃での損失正接(tanδ1)よりも高い。そのため、タイヤ1では、摩耗後期に、温度0℃において高い損失正接を有する、第二キャップ層112が出現する。これにより、タイヤ1では、摩耗後期における、ウェット性能の低下が抑制される。
【0059】
第二キャップ層112のtanδ2は、0.17以上、好ましくは0.20以上である。tanδ2が、0.17以上であれば、摩耗後期における、ウェット性能が確保される。tanδ2が、0.20以上であれば、摩耗後期において、ウェット性能の低下が効果的に抑制される。なお、高いtanδは、走行時に発熱を招き、転がり抵抗を増加させる恐れがある。そのため、tanδ2は、0.30以下、好ましくは0.27以下である。tanδ2が、0.30以下であれば、摩耗後期における、転がり抵抗性能が確保される。tanδ2が、0.27以下であれば、摩耗後期において、転がり抵抗性能の低下が効果的に抑制される。
【0060】
第一キャップ層111のtanδ1は、第二キャップ層112のtanδ2より低い。tanδ1は、第二キャップ層112が出現する前の摩耗前期における、ウェット性能や転がり抵抗性能等を考慮し、適宜設定される。tanδ1は、tanδ2の80~90%が好ましい。これにより、摩耗前期と摩耗後期における、ウェット性能や転がり抵抗性能の急激な変化が抑制される。そのため、摩耗前期から摩耗後期まで、安定してウェット性能、及び転がり抵抗性能が発揮される。
【0061】
第一キャップ層111、第二キャップ層112及びベース層113は、周方向溝300とその底部近傍を除き、ほぼ一様な厚さを有するように構成される。タイヤ1では、トレッド110の厚さに対する、第一キャップ層111の厚さの比率は、25~45%である。トレッド110の厚さに対する、第二キャップ層112の厚さの比率は、30~50%である。トレッド110の厚さに対する、ベース層113の厚さの比率は、5~45%である。トレッド110の厚さは、15.0~25.0mmである。
【0062】
[周方向溝の詳細と作用効果]
図2に示されるHTWは、タイヤ幅方向における、赤道PEから、ショルダー陸部230の外面のタイヤ幅方向最外側の縁までの幅を示す。SMWは、ショルダー周方向溝330の最大の溝幅を示す。溝幅SMWは、後述の周方向細溝320の溝幅NWより広い幅を有している。
【0063】
溝幅SMWは、幅HTWに対する比率が、4.0%を超える。これにより、タイヤ1のウェット性能が確保される。また、溝幅SMWは、いずれも幅HTWに対する比率が、20%以下である。これにより、タイヤ1の耐摩耗性能が確保される。
【0064】
タイヤ1では、周方向溝300の底部は、第二キャップ層112内に位置する。図2に示されるように、周方向溝300の底部近傍では、ベース層113の厚さを薄くし、周方向溝300の底部近傍が、第二キャップ層112で覆われるように構成されている。
【0065】
周方向溝300の深さは、トレッド110の厚さや層構造を考慮し、適宜設定することができる。例えば、タイヤ1の周方向溝300の深さは、10~21mmである。タイヤ1が良好なウェット性能を発揮できる観点から、周方向溝300の深さは、13~18mmが好ましい。
【0066】
一般的に、タイヤが路面に接地した場合、トレッドの外面における接地圧は、タイヤ幅方向内側の方が、タイヤ幅方向外側よりも高くなる。そのため、走行時に、タイヤ幅方向内側のトレッドの方が、タイヤ幅方向外側のトレッドよりも、摩耗する(以下、単に「偏摩耗」と称する場合がある)場合がある。タイヤ1は、タイヤ幅方向内側に、周方向細溝320が刻まれている。これにより、タイヤ1では、トレッド110の各陸部200へ、上記接地圧が分散されるので、偏摩耗が抑制される。結果として、摩耗後期において、トレッド110の外面における、第二キャップ層112の出現の均一性が向上する。これにより、タイヤ1では、摩耗前期から摩耗後期まで、安定したグリップ性能及びウェット性能が確保される。
【0067】
図2に示されるH1は、赤道面ELにおける、第一キャップ層111の厚さを示す。厚さH1は、第一陸部210の外面のタイヤ幅方向中央における、第一キャップ層111の厚さでもある。H2は、ショルダー陸部230の外面のタイヤ幅方向中央における、第一キャップ層111の厚さを示す。タイヤ1では、厚さH1から厚さH2を引いた値は、-2.0~+2.0mmである。すなわち、タイヤ1は、厚さH1との厚さの差が、2.0mm以内となるように構成されている。これにより、摩耗後期における、トレッド110の外面への第二キャップ層112の出現の均一性が向上する。そのため、トレッド110の偏摩耗が抑制され、タイヤ1の耐摩耗性能が向上する。結果として、タイヤ1では、摩耗前期から摩耗後期まで、安定したグリップ性能及びウェット性能が確保される。
【0068】
図3は、図2の周方向細溝320の近傍を示す拡大断面図である。周方向細溝320は、タイヤ径方向外側に細溝部321、及びタイヤ径方向内側に拡幅部322を備える。細溝部321及び拡幅部322は、接続部323で接続している。図3に示される324は、周方向細溝320の開口部を示す。開口部324は、細溝部321の開口部でもある。図3に示される325は、周方向細溝320の底部を示す。底部325は、拡幅部322の底部でもある。図3に示される326は、拡幅部322の最大溝幅部を示す。最大溝幅部326は、周方向細溝320の最大溝幅部でもある。
【0069】
図3に示されるOBは、周方向細溝320の深さを示す。すなわち、深さOBは、タイヤ径方向における、開口部324から底部325までの深さを示す。OWは、タイヤ径方向における、開口部324から最大溝幅部326までの深さを示す。CBは、タイヤ径方向における、接続部323から底部325までの深さを示す。CWは、タイヤ径方向における、接続部323から最大溝幅部326までの深さを示す。CMは、タイヤ径方向における、接続部323から、深さCBの中間位置までの深さを示す。NWは、細溝部321の溝幅を示す。MXWは、最大溝幅部326における溝幅を示す。
【0070】
細溝部321は、開口部324から接続部323まで、ほぼ一様な溝幅NWを有している。溝幅NWは、タイヤ1が路面に接地した際、細溝部321の側壁321a及び側壁321bが、互いに接する幅に構成されている。側壁321aは、第一陸部210の側壁でもある。側壁321bは、第二陸部220の側壁でもある。すなわち、タイヤ1は、路面に接地した際、第一陸部210及び第二陸部220が互いに支え合うことが可能な構成となっている。これにより、タイヤ1では、摩耗前期における、トレッド110の剛性が向上する。そのため、タイヤ1では、転がり抵抗性能及び耐摩耗性能が向上する。
【0071】
溝幅NWは、1.0mm以上、好ましくは1.5mm以上である。溝幅NWが、1.0mm以上であれば、タイヤ1の溝容積が確保され、ウェット性能が向上する。溝幅NWが、1.5mm以上であれば、摩耗前期において、優れたウェット性能が発揮される。溝幅NWは、3.0mm以下、好ましくは2.5mm以下である。溝幅NWが、3.0mm以下であれば、タイヤ1が路面に接地した際、側壁321a及び側壁321bが、互いに十分に接することができる。そのため、トレッド110の剛性が向上する。これにより、摩耗前期における、タイヤ1の転がり抵抗性能及び耐摩耗性能が向上する。溝幅NWが、2.5mm以下であれば、摩耗前期において、優れた転がり抵抗性能及び耐摩耗性能が発揮される。
【0072】
上述のように、タイヤ1の細溝部321は、ほぼ一様な溝幅NWを有している。そのため、タイヤ1では、拡幅部322の溝幅MXWよりタイヤ径方向外側の幅が、溝幅NWと同じになる位置が、接続部323となる。なお、細溝部321の溝幅NWが、一様でない場合、拡幅部322の溝幅MXWよりタイヤ径方向外側の幅が、3.0mm以下となる位置が、接続部323となる。
【0073】
溝幅MXWは、溝幅NWの3倍以上、好ましくは4倍以上である。溝幅MXWが、溝幅NWの3倍以上であれば、摩耗後期における、トレッド110の剛性の増加が抑制される。そのため、摩耗後期における、グリップ性能が向上する。また、摩耗後期における、排水性が確保され、ウェット性能が向上する。溝幅MXWが、溝幅NWの4倍以上であれば、摩耗後期において、優れたグリップ性能及びウェット性能が発揮される。溝幅MXWは、溝幅NWの7倍以下、好ましくは6倍以下である。溝幅MXWが、溝幅NWの7倍以下であれば、摩耗前期における、トレッド110の剛性が確保され、転がり抵抗性能及び耐摩耗性能が向上する。溝幅MXWが、溝幅NWの6倍以下であれば、摩耗前期において、優れた転がり抵抗性能及び耐摩耗性能が発揮される。
【0074】
一般的に、タイヤは、トレッドの溝深さの70%を超えて摩耗すると、トレッド剛性の増加、及び周方向溝の溝容積の減少による、グリップ性能及びウェット性能の低下が顕著になる。タイヤ1では、深さCWは、深さOBの70~90%の位置になるよう構成されている。すなわち、タイヤ1では、グリップ性能及びウェット性能の低下が顕著になる摩耗後期において、最大溝幅部326が、トレッド110の外側に出現するように構成されている。これにより、タイヤ1は、摩耗後期における、グリップ性能及びウェット性能の低下を効果的に抑制することができる。
【0075】
摩耗後期における、グリップ性能及びウェット性能の低下は、徐々に進行する。そして、上述のように、トレッドの溝深さの70%を超えて摩耗した段階で、グリップ性能及びウェット性能の低下が顕著となる。タイヤ1では、接続部323から最大溝幅部326に向かい、徐々に溝幅が広がるように構成されている。さらに、深さCWは、深さCMより深い位置にある。そのため、タイヤ1では、摩耗後期における、グリップ性能及びウェット性能の急激な変化が抑制される。その結果、摩耗後期において、安定したグリップ性能及びウェット性能が発揮される。
【0076】
上述のように、第二キャップ層112は、第一キャップ層111よりも、低い複素弾性率を有している。図3に示されるように、タイヤ1では、拡幅部322が、第二キャップ層112内に配置されている。すなわち、タイヤ1では、第一キャップ層111よりも柔らかい第二キャップ層112が、拡幅部322を覆う構成となっている。これにより、摩耗後期における、トレッド110の剛性が適正化される。結果として、タイヤ1では、摩耗後期において、優れたグリップ性能が発揮される。
【0077】
[その他の変形例]
タイヤ1は、重荷重用タイヤであるが、本発明はこれに限られない。例えば、本発明は、乗用車用タイヤに適用することができる。
【0078】
タイヤ1のトレッド110は、4つの周方向溝300で区画された、5つの陸部200を有するが、本発明はこれに限られない。例えば、本発明のタイヤは、タイヤ1より多い周方向細溝320を有する構成とすることができる。
【0079】
また、細溝部321の溝幅は、1.5~3.0mmで変化する構成とすることができる。例えば、本発明のタイヤの細溝部は、開口部の溝幅を1.5mmとし、接続部の溝幅を3.0mmとし、徐々に溝幅が広がるように構成することもできる。これにより、摩耗前期から摩耗後期まで、安定したグリップ性能及びウェット性能が発揮される。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上説明された、転がり抵抗性能及び耐摩耗性能を向上しつつ、摩耗後期でのグリップ性能及びウェット性能の低下の抑制できる技術は、種々のタイヤに適用されうる。
【符号の説明】
【0081】
1 タイヤ
110 トレッド
111 第一キャップ層
112 第二キャップ層
113 ベース層
120 ベルトプライ
121 第一ベルトプライ
122 第二ベルトプライ
123 第三ベルトプライ
124 第四ベルトプライ
125 エッジ部材
130 カーカス
131 カーカスプライ
132 プライ本体
133 折り返し部
140 インナーライナー
150 サイドウォール
160 チェーファー
170 ビード
171 エイペックス
172 外側エイペックス
172a 外側エイペックスのタイヤ径方向外側の領域
173 内側エイペックス
174 コア
180 クッション層
190 スチール補強層
200 陸部
210 第一陸部
220 第二陸部
230 ショルダー陸部
300 周方向溝
320 周方向細溝
321 細溝部
321a 細溝部の側壁
321b 細溝部の側壁
322 拡幅部
323 接続部
324 開口部
325 底部
326 最大溝幅部
330 ショルダー周方向溝
R リム
EL 赤道面
PE 赤道
HTW 幅
SMW ショルダー周方向溝の最大溝幅
H1 赤道面の第一キャップ層の厚さ
H2 ショルダー陸部の第一キャップ層の厚さ
OB 周方向細溝の深さ
OW 開口部から最大溝幅部までの深さ
CB 接続部から底部までの深さ
CW 接続部から最大溝幅部までの深さ
CM 接続部から拡幅部の中間位置までの深さ
NW 細溝部の溝幅
MXW 最大溝幅部の溝幅
図1
図2
図3