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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138733
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】管理装置および管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241002BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049378
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤田 一郎
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】保管した機器の管理効率を高める。
【解決手段】処理部1bは、機器4aがサービス事業者に預けられて保管庫3に保管される場合に、機器4aに対応する、顧客が管理するための管理番号の入力を受け付け、入力された管理番号と機器4aを示す情報とを対応付けて管理情報2に登録する。処理部1bは、顧客から機器4aの返却が要求されると、機器4aが保管庫3に保管されているかを判定し、保管されていない場合、保管庫3に保管されている、機器4aに対応する更新版または後継機種である機器4bを、返却対象の機器に決定するとともに、管理情報2から機器4aに対応する管理番号を抽出して出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の資産である複数の顧客機器のうち、サービス事業者が前記顧客から預かっている機器を示す情報を管理する第1の管理情報を記憶する記憶部と、
前記複数の顧客機器のうち第1の機器が前記サービス事業者に預けられて保管庫に保管される場合に、前記第1の機器に対応する、前記顧客が管理するための管理番号の入力を受け付け、入力された前記管理番号と前記第1の機器を示す情報とを対応付けて前記第1の管理情報に登録し、
前記顧客から前記第1の機器の返却が要求されると、前記第1の機器が前記保管庫に保管されているかを判定し、保管されていない場合、前記保管庫に保管されている、前記第1の機器に対応する更新版または後継機種である第2の機器を、返却対象の機器に決定するとともに、前記第1の管理情報から前記第1の機器に対応する前記管理番号を抽出して出力する、処理部と、
を有する管理装置。
【請求項2】
前記管理番号の出力では、前記第1の管理情報から抽出された前記管理番号が印字され、前記第2の機器に貼付されるシールを印刷するための画像情報を出力する、
請求項1記載の管理装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記保管庫に保管されている複数の在庫機器を示す情報を管理する第2の管理情報を記憶し、
前記処理部は、
前記第1の機器が前記サービス事業者に預けられて前記保管庫に保管される場合に、前記第1の機器に対応する前記管理番号を前記第1の機器を示す情報に対応付けて前記第1の管理情報に登録するとともに、前記第1の機器を前記在庫機器の1つとして前記第2の管理情報に登録し、
前記保管庫における、前記第1の機器を含む前記在庫機器の保管状況の変化に応じて前記第2の管理情報を更新し、
前記顧客から前記第1の機器の返却が要求されると、前記第2の管理情報に基づいて前記第1の機器が前記保管庫に保管されているかを判定し、保管されていない場合に、前記保管庫に保管されている前記第2の機器を返却対象の機器に決定する、
請求項1記載の管理装置。
【請求項4】
前記処理部は、
前記第1の機器が前記サービス事業者に預けられて前記保管庫に保管される場合に、前記第1の機器に対応する更新版または後継機種を示す機種情報を、前記第1の機器を示す情報に対応付けて前記第1の管理情報に登録し、
前記顧客から前記第1の機器の返却が要求され、前記第1の機器が前記保管庫に保管されていない場合、前記機種情報に基づいて前記第2の機器を返却対象の機器に決定する、
請求項1記載の管理装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記顧客から前記第1の機器の返却が要求されたとき、前記第1の機器と前記第2の機器のいずれも前記保管庫に保管されている場合には、前記第1の機器と前記第2の機器のいずれかを選択するための選択入力を受け付け、選択された機器を返却対象の機器に決定する、
請求項1記載の管理装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記顧客から前記第1の機器の返却が要求されたとき、前記第1の機器と同一個体が前記保管庫に保管されていないが、前記第1の機器と同じ機種である第3の機器が前記保管庫に保管されている場合には、前記第3の機器を返却対象の機器に決定する、
請求項1記載の管理装置。
【請求項7】
コンピュータが、
顧客の資産である複数の顧客機器のうち第1の機器がサービス事業者に預けられて保管庫に保管される場合に、前記第1の機器に対応する、前記顧客が管理するための管理番号の入力を受け付け、入力された前記管理番号と前記第1の機器を示す情報とを対応付けて、記憶部に記憶された第1の管理情報に登録し、
前記顧客から前記第1の機器の返却が要求されると、前記第1の機器が前記保管庫に保管されているかを判定し、保管されていない場合、前記保管庫に保管されている、前記第1の機器に対応する更新版または後継機種である第2の機器を、返却対象の機器に決定するとともに、前記第1の管理情報から前記第1の機器に対応する前記管理番号を抽出して出力する、
管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置および管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の保守サービスを提供する事業者は、故障発生に伴う機器の交換のために保管庫に予備の機器を保管している。保管された機器の情報はデータベースで管理され、保管庫から顧客への機器の提供や保管庫への機器の補充の際にデータベースを操作することで、機器を効率的に管理できる。
【0003】
機器の管理に関しては、次のような提案がある。例えば、管理番号をコード化したバーコードが資産管理品に貼付され、棚卸し作業時にバーコードが読み取られることでデータベース上の棚卸し情報が更新される資産管理システムが提案されている。また、ユーザが提供可能な商品が記録された提供データベースと、ユーザが借りたい商品が記録されたリクエストデータベースとの間でマッチングを行うレンタルシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第02/008979号
【特許文献2】特開2020-161184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電子機器を用いて事業を行う企業では、保有する機器のうちの少なくない数の機器が遊休資産となり、それらが保管スペースを圧迫していることがある。このため、遊休資産を預かって保管する保管サービスに対するニーズがある。一方、このような保管サービスを提供する事業者側では、預かった機器を単に保管庫に保管しておくだけでは管理効率が悪いという問題がある。
【0006】
1つの側面では、本発明は、保管した機器の管理効率を高めることが可能な管理装置および管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの案では、記憶部と処理部とを有する管理装置が提供される。この管理装置において、記憶部は、顧客の資産である複数の顧客機器のうち、サービス事業者が顧客から預かっている機器を示す情報を管理する第1の管理情報を記憶する。処理部は、複数の顧客機器のうち第1の機器がサービス事業者に預けられて保管庫に保管される場合に、第1の機器に対応する、顧客が管理するための管理番号の入力を受け付け、入力された管理番号と第1の機器を示す情報とを対応付けて第1の管理情報に登録し、顧客から第1の機器の返却が要求されると、第1の機器が保管庫に保管されているかを判定し、保管されていない場合、保管庫に保管されている、第1の機器に対応する更新版または後継機種である第2の機器を、返却対象の機器に決定するとともに、第1の管理情報から第1の機器に対応する管理番号を抽出して出力する。
【0008】
また、1つの案では、上記の管理装置と同様の処理をコンピュータが実行する管理方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
1つの側面では、保管した機器の管理効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施の形態に係る管理装置の構成例および処理例を示す図である。
図2】第2の実施の形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
図3】事業者サーバのハードウェア構成例を示す図である。
図4】サービス提供の流れを示す第1の図である。
図5】サービス提供の流れを示す第2の図である。
図6】サービス提供の流れを示す第3の図である。
図7】事業者サーバが備える処理機能の構成例を示す図である。
図8】在庫管理データベースのデータ構成例を示す図である。
図9】顧客機器管理データベースのデータ構成例を示す図である。
図10】保守管理データベースのデータ構成例を示す図である。
図11】互換機種管理データベースのデータ構成例を示す図である。
図12】保管サービスにおける機器預かり処理の例を示すフローチャートである。
図13】保管庫からの機器搬出処理の例を示すフローチャートである。
図14】保管庫に対する機器追加処理の例を示すフローチャートである。
図15】保管サービスにおける機器提供処理の例を示すフローチャートである。
図16】機器提供処理の一部の変形例を示すフローチャートである。
図17】提供された機器に貼付されるシールの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る管理装置の構成例および処理例を示す図である。図1に示す管理装置1は、サービス事業者によって使用される情報処理装置である。サービス事業者は、顧客の資産である機器を顧客から預かって保管庫3に保管するサービスを提供する。このサービスでは、顧客は例えば、顧客が所有する機器のうち、遊休資産になっている機器をサービス事業者に預けることができる。これにより、顧客は、機器の保管に必要な保管スペースを削減できる。
【0012】
管理装置1は、記憶部1aと処理部1bを有する。記憶部1aは、管理装置1が備える図示しない記憶装置に確保される記憶領域である。記憶部1aには、顧客から預かっている機器を示す情報を管理する管理情報2が記憶される。処理部1bは、例えばプロセッサである。処理部1bは、以下のような処理を実行する。
【0013】
例えば、顧客の機器4aがサービス事業者に預けられ、保管庫3に保管されるとする。この場合、処理部1bは、機器4aに対応する、顧客が管理するための管理番号(「管理番号#1」とする)の入力を受け付ける。そして、処理部1bは、入力された管理番号#1と機器4aを示す機器情報「機器#1」とを対応付けて管理情報2に登録する。
【0014】
ここで、サービス事業者は、預かった機器4aを保管庫3に保管しておくだけでなく、預かった機器4aの有効活用や、保管庫3の保管スペースの削減などを目的として、機器4aを保管庫3から取り出すことが可能となっている。例えば、サービス事業者は、機器4aを保管庫3から取り出し、故障した他の機器の代替品として使用することができる。また、サービス事業者は、機器4aを保管庫3から取り出してアプリケーションやファームウェアを更新することができる。さらに、サービス事業者は、機器4aを保管庫3から取り出し、機器4aに対応する最新機種(例えば、機器4aの更新版、機器4aと同等機能を備える他社製の後継機種など)と入れ替えることができる。また、機器4aに対応する最新機種が保管庫3に十分な台数保管されている場合には、機器4aを廃棄したり、機器4aを分解して内部の部品を取り出し、保守用部品として利用することができる。
【0015】
次に、処理部1bは、例えば機器情報「機器#1」が指定されることで、預けられた機器4aの返却が顧客から要求されると、機器4aが保管庫3に保管されているかを判定する。ここで、機器4aが保管されていれば、その機器4aが保管庫3から取り出されて顧客に返却される。一方、図1では、機器4aが保管庫3には保管されていないとする。例えば、機器4aが、その最新機種である機器4bに入れ替えられているとする。
【0016】
この場合、処理部1bは、機器4bを顧客に返却する対象機器に決定する。これとともに、処理部1bは、管理情報2から、返却が要求された機器4aに対応する管理番号#1を抽出し、抽出された管理番号#1を出力する。この出力処理では、例えば、抽出された管理番号#1が印字されたシールを印刷するための画像情報が出力される。この場合、印刷されたシールは返却された機器4bに貼付される。
【0017】
このように、元の機器4aに対応する顧客側の管理番号#1が出力されることで、返却される機器4bが元の機器4aとは異なる個体でありながらも、機器4bを、元の機器4aと同じ管理番号#1が付与された顧客の資産として返却することが可能となる。これにより、預かった機器4aをそのまま保管し続けずに取り出して、機器4aを有効活用したり、保管庫3の保管スペースを削減することが可能となる。したがって、預かった機器の管理効率を向上させることができる。
【0018】
〔第2の実施の形態〕
図2は、第2の実施の形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。図2に示す情報処理システムは、電子機器の保守・保管サービスを提供するサービス事業者と、サービスの提供を受ける顧客(例えば顧客企業)との間で構築されるシステムである。特に、本実施の形態では、POS(Point of Sales)端末やATM(Automatic Teller Machine)端末など、店舗に設置される機器の保守や保管を行うサービスが提供される。この情報処理システムは、事業者サーバ100、ヘルプデスク端末101、CE(Customer Engineer)端末102、プリンタ103および顧客端末200を含む。
【0019】
事業者サーバ100は、サービス事業者が運用して上記サービスを管理するためのサーバコンピュータである。事業者サーバ100は、例えば、保管庫内に保守サービス用に保管している機器の管理や、機器の修理、交換、預かり、返却の進行状態を管理する。
【0020】
ヘルプデスク端末101は、顧客から機器の故障修理などを受け付けるための端末装置であり、ヘルプデスクのオペレータによって操作される。
CE端末102は、顧客の店舗に派遣されるCEが持ち運ぶ携帯型の情報処理端末である。CE端末102は、無線によって事業者サーバ100と通信可能になっている。プリンタ103は、CE端末102とともにCEが持ち運ぶ携帯型の印刷装置であり、近距離無線通信によってCE端末102と通信可能になっている。後述するように、プリンタ103は、顧客に渡す機器に貼付するためのシールを印刷可能になっている。
【0021】
顧客端末200は、顧客側の担当者が操作する端末装置であり、事業者サーバ100と通信可能になっている。担当者は、顧客端末200を用いて、サービス提供の申込などの各種の操作を行うことができる。
【0022】
図3は、事業者サーバのハードウェア構成例を示す図である。事業者サーバ100は、例えば、図3に示すようなコンピュータとして実現される。図3に示す事業者サーバ100は、プロセッサ111、RAM(Random Access Memory)112、HDD(Hard Disk Drive)113、GPU(Graphics Processing Unit)114、入力インタフェース(I/F)115、読み取り装置116およびネットワークインタフェース(I/F)117を備える。
【0023】
プロセッサ111は、事業者サーバ100全体を統括的に制御する。プロセッサ111は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはPLD(Programmable Logic Device)である。また、プロセッサ111は、CPU、MPU、DSP、ASIC、PLDのうちの2以上の要素の組み合わせであってもよい。なお、プロセッサ111は、図1に示した処理部1bの一例である。
【0024】
RAM112は、事業者サーバ100の主記憶装置として使用される。RAM112には、プロセッサ111に実行させるOS(Operating System)プログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM112には、プロセッサ111による処理に必要な各種データが格納される。
【0025】
HDD113は、事業者サーバ100の補助記憶装置として使用される。HDD113には、OSプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、補助記憶装置としては、SSD(Solid State Drive)などの他の種類の不揮発性記憶装置を使用することもできる。
【0026】
なお、RAM112またはHDD113の記憶領域は、図1に示した記憶部1aの一例である。
GPU114には、表示装置114aが接続されている。GPU114は、プロセッサ111からの命令にしたがって、画像を表示装置114aに表示させる。表示装置114aは、例えば、液晶ディスプレイまたは有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイである。
【0027】
入力インタフェース115には、入力装置115aが接続されている。入力インタフェース115は、入力装置115aから出力される信号をプロセッサ111に送信する。入力装置115aとしては、キーボードやポインティングデバイスなどを用いることができる。ポインティングデバイスとしては、マウス、タッチパネル、タブレット、タッチパッド、トラックボールなどを用いることができる。
【0028】
読み取り装置116には、可搬型記録媒体116aが脱着される。読み取り装置116は、可搬型記録媒体116aに記録されたデータを読み取ってプロセッサ111に送信する。可搬型記録媒体116aとしては、光ディスク、半導体メモリなどがある。
【0029】
ネットワークインタフェース117は、ネットワーク117aを介してヘルプデスク端末101、CE端末102、顧客端末200などの他の装置との間でデータの送受信を行う。
【0030】
以上のようなハードウェア構成によって、事業者サーバ100の処理機能を実現することができる。なお、ヘルプデスク端末101、CE端末102および顧客端末200も、図3のようなハードウェア構成によって実現することが可能である。
【0031】
次に、サービス事業者によって提供されるサービスについて説明する。まず、図4を参照して、保守サービスの流れについて説明する。
図4は、サービス提供の流れを示す第1の図である。サービス事業者は、保守サービスのために多数の機器を保管庫11に保管している。保管庫11に保管された機器は、基本的に、顧客が保有する機器が故障した場合に、その代替機器として利用される。
【0032】
保守サービスでは、基本的に、保管庫11に保管される機器はサービス事業者の資産である。このため、顧客が保有する機器が故障して保管庫11から代替機器が顧客に提供される場合、代替機器は、顧客の購入によって顧客の資産として移転されるか、またはサービス事業者側の資産のままで顧客に貸し出される。
【0033】
また、保守サービスでは、保管の効率性や保守の確実性の観点から、保管庫11にはできるだけ新しい機種の機器が保管されるように管理される。このため、保管庫11に保管されている版数の古い機器は、最新版の機器に入れ替えられる場合がある。また、版数の古い機器にメンテナンスが施されて、ハードウェアやソフトウェアが更新された状態で保管庫11に戻される場合もある。さらに、最新版の機器が十分な台数保管されている場合には、版数の古い機器が廃棄されたり、あるいは古い機種が保管庫11から搬出されて分解され、内部の部品が保守用部品として取り出されることもある。このようにして、保管庫11における機器の保管は、保管スペースの増大を抑制しつつ、有用な機器を十分な台数保管できるように管理される。
【0034】
ここで、以下の説明では、ある機器に対応する最新機種を「互換機種」と記載する。互換機種には、ある機器と同じメーカで同じ系列の機種のうちの最新版の機種が含まれる。「最新版」の意味としては、ハードウェアの少なくとも一部が新しくなっている場合や、ハードウェアが同じであるがアプリケーションやファームウェアの版数が新しくなっている場合も含まれる。また、互換機種には、異なるメーカによる後継機種も含まれる。
【0035】
次に、図4図6を用いて、顧客の機器の保管サービスについて説明する。まず、図4を参照して、機器の保管手順について説明する。
保管サービスは、顧客が保有する機器をサービス事業者が預かって保管するサービスである。保管サービスにより、顧客は例えば、遊休資産となっている機器をサービス事業者に保管してもらい、顧客側の保管スペースを削減し、保管コストを低減することができる。
【0036】
図4の例では、顧客の店舗のバックヤード21に保管されていた機器A1が、サービス事業者に預けられる。サービス事業者の事業者サーバ100は、機器A1の保管の依頼を受けた際に、機器A1に付与されていた顧客側管理番号の入力を受け付ける。顧客側管理番号は、顧客側で固有に付与される管理番号であり、例えば、顧客側で資産を管理するための通し番号である。図4の例では、機器A1に対応する顧客側管理番号は「001」となっている。事業者サーバ100は、入力された顧客側管理番号を、機器A1と対応付けてデータベース(後述する顧客機器管理データベース122)に登録する。そして、サービス事業者は、預けられた機器A1を保管庫11に保管する。
【0037】
ここで、保管庫11に保管された機器A1は、上記の保守サービスにおいて保管庫11に保管されている他の機器と同等に取り扱われる。すなわち、保管された機器A1は、互換機種に入れ替えられたり、分解されたり、廃棄されたりして、保管庫11から搬出され得る。サービス事業者にとっては、保管サービスによって顧客から機器を預かった場合でも、預かった機器の取り扱いをサービス事業者側で決定し、機器を有効活用したり、保管スペースの増大を抑止することができる。
【0038】
一方、顧客側から見ると、保管サービスを利用して1台の機器を預けた場合、以下の図5図6で説明するように、預けた機器の実体が保管庫11に保管されていない場合でも、その機器の互換機種の機器の提供を受けることが可能である。すなわち、保管サービスでは、顧客の機器が1台預けられたとき、保管庫11に保管されている機器のうちの1台が仮想的に顧客の資産となる。
【0039】
以下、一例として、サービス事業者に預けられた機器A1が、その互換機種である機器A2に入れ替えられたものとして説明を続ける。
図5は、サービス提供の流れを示す第2の図である。図5の例では、顧客側が、新たな店舗22を開設して店舗22に機器を設置するために、サービス事業者に預けていた機器A1の返却をサービス事業者に要求したとする。なお、このような返却要求は、例えば、顧客側の担当者によって顧客端末200から入力され、事業者サーバ100に送信される。あるいは、顧客側の担当者から電話などによってサービス事業者のヘルプデスクのオペレータに意向が伝えられ、オペレータの操作によってヘルプデスク端末101から事業者サーバ100に対して返却要求が送信されてもよい。
【0040】
事業者サーバ100は、返却が要求された機器A1が保管庫11に保管されているかを確認する。図5の例では、機器A1の在庫がないが、互換機種である機器A2の在庫があると判定される。この場合、例えば、次のような手順で機器A2が顧客に提供される。
【0041】
機器A2は、保管庫11から顧客の店舗22に払い出される。また、店舗22にはCEが派遣され、CEによって機器A2の設置が行われる。このとき、CEは、CE端末102とプリンタ103を携帯し、例えば機器A2の設置作業が完了した時点で、CE端末102から設置の完了を事業者サーバ100に通知する。すると、事業者サーバ100は、データベース(後述する顧客機器管理データベース122)から機器A1に対応する顧客側管理番号「001」を抽出し、抽出した顧客側管理番号「001」が印字されるシール22aを作成するためのシール画像情報をCE端末102に送信する。CE端末102は、受信したシール画像情報に基づいて、顧客側管理番号「001」が印字されたシール22aをプリンタ103から印刷する。CEは、印刷されたシール22aを設置された機器A2に貼付する。
【0042】
このような手順により、サービス事業者は、返却される機器A2が預けられた機器A1とは異なる個体でありながらも、機器A2を基の機器A1と同じ顧客側管理番号「001」が付与された顧客の資産として返却することが可能となる。このため、顧客から預かった機器を効率的に管理しつつ、機器の保管サービスを成立させることが可能となる。一方、顧客側は、預けた機器A1に対応する資産として機器A2を継続使用できるので、資産管理上で特に問題が発生することなく、遊休資産をサービス事業者に預け、その資産の保管スペースを削減できる。また、副次的な効果として、顧客側は、預けた機器に対応する最新版の機器を使用できるようになる。
【0043】
図6は、サービス提供の流れを示す第3の図である。図6の初期状態では、図4の手順により、顧客の機器A1が保管サービスによってサービス事業者に預けられているとする。また、図6の例では、顧客の店舗23に機器A1aが設置されている。機器A1aは、サービス事業者に預けた機器A1と同じ機種であるとする。そして、その機器A1aが故障したとする。
【0044】
この場合、顧客側の担当者は、サービス事業者のヘルプデスク12に問い合わせて、機器A1aが故障したことを伝える。ヘルプデスク12のオペレータは、機器A1aの交換が必要であると判断し、機器A1aに対応する交換機器を手配する。例えば、オペレータは、ヘルプデスク端末101を操作して、機器A1aの機種名を指定して、機器A1aの交換機器の提供を事業者サーバ100に要求する。
【0045】
このとき、事業者サーバ100は、指定された機種名と同じ機器A1が保管サービスによってサービス事業者に預けられていることを認識する。ただし、事業者サーバ100は、保管庫11に機器A1の在庫がない(または機種A1と同じ機種の在庫がない)が、互換機種である機器A2の在庫があると判定する。この場合、図5と同様の手順で、交換機器として機器A2が顧客に提供される。
【0046】
すなわち、機器A2が保管庫11から顧客の店舗23に払い出され、CEによって機器A2の設置が行われる。CEによるCE端末102の操作により、例えば機器A2の設置完了が事業者サーバ100に通知されると、事業者サーバ100は、データベース(後述する顧客機器管理データベース122)から機器A1に対応する顧客側管理番号「001」を抽出し、顧客側管理番号「001」が印字されるシール23aを作成するためのシール画像情報をCE端末102に送信する。CE端末102は、受信したシール画像情報に基づいて、顧客側管理番号「001」が印字されたシール23aをプリンタ103から印刷し、印刷されたシール22aがCEによって機器A2に貼付される。
【0047】
このような手順により、顧客側は、運用中の機器が故障した場合に、サービス事業者に預けている顧客の資産を取り出し、故障した機器と交換することができる。また、このようなサービスを可能にしながらも、サービス事業者は、顧客から預かった機器を必ずしもそのまま保管する必要はなく、預かった機器を有効活用したり、機器を保管せずに保管スペースを削減することが可能となる。
【0048】
次に、上記のようなサービスを実現するための事業者サーバ100の処理について説明する。
まず、図7は、事業者サーバが備える処理機能の構成例を示す図である。図7に示すように、事業者サーバ100は、記憶部120、機器預かり処理部131、在庫管理処理部132および機器提供処理部133を備える。
【0049】
記憶部120は、RAM112やHDD113など、事業者サーバ100が備える記憶装置に確保される記憶領域である。記憶部120には、在庫管理データベース(DB)121、顧客機器管理データベース(DB)122、保守管理データベース(DB)123および互換機種管理データベース(DB)124が記憶される。
【0050】
在庫管理データベース121は、保管庫11における機器の在庫を管理するためのデータベースである。顧客機器管理データベース122は、保管サービスによってサービス事業者に預けられた機器を管理するためのデータベースである。保守管理データベース123は、顧客側が保有する機器のうち、サービス事業者による保守対象の機器を管理するためのデータベースである。互換機種管理データベース124は、機種とその互換機種との対応関係を管理するためのデータである。
【0051】
機器預かり処理部131は、保管サービスにおいて顧客の機器がサービス事業者に預けられる際の処理を制御する。在庫管理処理部132は、保守サービスにおける保管庫11への機器の追加や保管庫11からの機器の搬出の際の処理を制御する。機器提供処理部133は、保管サービスによって顧客から預かっている機器を顧客に提供する際の処理を制御する。
【0052】
図8は、在庫管理データベースのデータ構成例を示す図である。在庫管理データベース121は、保管庫11における機器の在庫を管理するためのデータベースである。
図8に示すように、在庫管理データベース121には、保管庫11に保管されている機器ごとに、機器を識別するための在庫管理番号と、機器情報とが登録されている。機器情報としては、例えば、機器の種類を示す機器種類と、機器を製造したメーカと、機器の機種を識別するための機種番号、機器の機種の名称を示す機種名と、機器の製造番号であるシリアル番号と、機器に実装されたアプリケーションの版数を示すアプリ版数が登録される。
【0053】
図9は、顧客機器管理データベースのデータ構成例を示す図である。顧客機器管理データベース122は、保管サービスによってサービス事業者に預けられた機器を管理するためのデータベースである。
【0054】
図9に示すように、顧客機器管理データベース122には、例えば、サービス事業者に預けられた機器ごとに、顧客機器管理番号、顧客側管理番号、顧客番号、顧客名、機器情報および互換機種番号が登録される。顧客機器管理番号は、預けられた機器を識別するための識別番号である。顧客側管理番号は、顧客側で機器を識別するための識別番号であり、顧客側で付与される。顧客番号は、機器を保有する顧客の識別番号である。顧客名は、機器を保有する顧客の名称である。機器情報としては、図8と同様の情報が登録される。互換機種番号は、預けられた機器の機種に対応する互換機種の識別番号である。
【0055】
図10は、保守管理データベースのデータ構成例を示す図である。保守管理データベース123は、顧客側が保有する機器のうち、サービス事業者による保守対象の機器を管理するためのデータベースである。保守対象の機器は、基本的に、顧客側で使用されている機器(例えば、店舗に設置されて使用されている機器)である。
【0056】
図10に示すように、保守管理データベース123には、例えば、保守管理番号、再発行管理番号、顧客番号、顧客名、店舗番号、店舗名および機器情報が登録される。保守管理番号は、保守対象の機器を識別するための識別番号である。再発行管理番号は、保守対象の機器が交換されるたびにカウントアップされる番号である。機器に貼付されるシールには、保守管理番号と再発行管理番号とがセットで印字される。顧客番号は、機器を保有する顧客の識別番号である。顧客名は、機器を保有する顧客の名称である。店舗番号は、機器が設置されている店舗の識別番号である。店舗名は、機器が設置されている店舗の名称である。機器情報としては、図8と同様の情報が登録される。
【0057】
図11は、互換機種管理データベースのデータ構成例を示す図である。互換機種管理データベース124は、機種とその互換機種との対応関係を管理するためのデータベースである。
【0058】
図11に示すように、互換機種管理データベース124には、互換機種を示す互換機種番号ごとに、互換機種に対応する旧版の機種を示す対応機種番号が登録される。本実施の形態では例として、最新版の機種の1台目の機器が保管庫11に追加されたときに、その機種を示す互換機種番号を含む新たなレコードが互換機種管理データベース124に追加される。
【0059】
次に、事業者サーバ100の処理について、フローチャートを用いて説明する。
図12は、保管サービスにおける機器預かり処理の例を示すフローチャートである。図12の処理は、保管サービスを利用して、顧客の機器がサービス事業者に預けられ、保管庫11に保管される際に実行される。
【0060】
[ステップS11]機器預かり処理部131は、預けられる機器の機器情報の入力を受け付ける。
[ステップS12]機器預かり処理部131は、預けられる機器に付与されている顧客側管理番号の入力を受け付ける。
【0061】
上記のステップS11,S12の情報入力は、例えば、機器の保管を依頼する顧客企業の担当者が顧客端末200を操作することで行われる。あるいは、ヘルプデスクのオペレータがヘルプデスク端末101を操作することで行われてもよい。
【0062】
[ステップS13]機器預かり処理部131は、顧客機器管理データベース122に新たなレコードを追加し、そのレコードに対して、新たな顧客機器管理番号と、ステップS11で入力された機器情報と、ステップS12で入力された顧客側管理番号とを登録する。また、機器預かり処理部131は、顧客を示す顧客番号および顧客名をそのレコードに登録する。
【0063】
[ステップS14]機器預かり処理部131は、互換機種管理データベース124を参照し、ステップS11で入力された機器情報に含まれる機種番号に対応する互換機種があるかを判定する。具体的には、機器情報に含まれる機種番号が対応機種番号として登録されたレコードが互換機種管理データベース124にあった場合に、互換機種があると判定される。互換機種がある場合、処理がステップS15に進められ、互換機種がない場合、処理がステップS16に進められる。
【0064】
[ステップS15]機器預かり処理部131は、互換機種管理データベース124のレコードのうち、機器情報に含まれる機種番号が対応機種番号として登録されたレコードから互換機種番号を抽出する。機器預かり処理部131は、ステップS13で追加したレコードに、抽出された互換機種番号を登録する。
【0065】
[ステップS16]機器預かり処理部131は、在庫管理データベース121に新たなレコードを追加し、そのレコードに対して、新たな在庫管理番号と、ステップS11で入力された機器情報とを登録する。
【0066】
図13は、保管庫からの機器搬出処理の例を示すフローチャートである。図13の処理は、例えば、保管庫11に保管された機器の最新機器への入れ替え時や、保管された機器のメンテナンスや分解、廃棄のために、機器が保管庫11から搬出される際に実行される。ただし、保管サービスにおいて、サービス事業者に預けられた機器が顧客に提供される場合は、図13でなく後述する図15の処理が実行される。
【0067】
[ステップS21]在庫管理処理部132は、保管庫11から搬出される機器を識別する情報の入力を受ける。例えば、機器のシリアル番号または在庫管理番号の入力を受ける。なお、この処理では、保管サービスにおいてサービス事業者に預けられた機器も指定され得る。
【0068】
[ステップS22]在庫管理処理部132は、在庫管理データベース121から、ステップS21で入力された情報に対応するレコードを特定し、特定されたレコードから機種番号を抽出する。この機種番号は、搬出される機種の機種番号を示す。
【0069】
在庫管理処理部132は、搬出される機器に対応する互換機種が互換機種管理データベース124に登録されているかを判定する。この処理では、搬出される機器の機種番号が互換機種管理データベース124に対応機種番号として登録されている場合に、「Yes」と判定される。互換機種が登録されている場合(すなわち、搬出される機種が最新機種でない場合)、処理がステップS23に進められる。一方、互換機種が登録されていない場合には、機器の搬出が不可能と判定され、機器搬出処理が終了される。ただし、例えば、搬出される機種が最新機種である場合でも、在庫管理データベース121に基づき、同じ機種が保管庫11に所定台数以上保管されている場合には、処理がステップS23に進められてもよい。
【0070】
[ステップS23]在庫管理処理部132は、在庫管理データベース121から、搬出される機器に対応するレコード(ステップS22で特定されたレコード)を削除する。
[ステップS24]図13の処理が機器の入れ替えのために実行された場合、処理がステップS25に進められる。一方、機器の入れ替えが行われない場合、機器搬出処理が終了する。
【0071】
[ステップS25]次の図14に示す機器追加処理が実行される。
図14は、保管庫に対する機器追加処理の例を示すフローチャートである。
[ステップS31]在庫管理処理部132は、保管庫11に追加される機器の機器情報の入力を受ける。
【0072】
[ステップS32]在庫管理処理部132は、在庫管理データベース121に新たなレコードを追加し、そのレコードに対して、新たな在庫管理番号と、ステップS31で入力された機器情報とを登録する。
【0073】
[ステップS33]ステップS33の処理は、追加される機器が最新機種である場合に実行される。在庫管理処理部132は、ステップS31で入力された機器情報から機種番号を抽出する。在庫管理処理部132は、抽出された機器番号が、互換機種管理データベース124に互換機種番号として登録されているかを判定する。互換機種番号として登録されていない場合、処理がステップS34に進められ、互換機種番号として登録されている場合、機器追加処理が終了する。
【0074】
[ステップS34]在庫管理処理部132は、互換機種管理データベース124に新たなレコードを追加し、そのレコードに対して、ステップS33で抽出された機種番号を互換機種番号として登録する。また、在庫管理処理部132は、抽出された機種番号に対応する対応機種番号の入力を、例えば保管庫11の管理者による操作に応じて受け付け、入力された対応機種番号を追加されたレコードに登録する。
【0075】
[ステップS35]在庫管理処理部132は、顧客機器管理データベース122から、ステップS34で登録されたいずれかの対応機種番号が機器情報内に登録されているレコードを特定する。在庫管理処理部132は、特定されたすべてのレコードの互換機種番号の項目に、ステップS33で抽出された機種番号(ステップS34で互換機種番号として登録された機種番号)を登録する。互換機種番号の項目にすでに機種番号が登録されている場合には、その機種番号が新たな機種番号によって上書きされる。
【0076】
図15は、保管サービスにおける機器提供処理の例を示すフローチャートである。
[ステップS41]機器提供処理部133は、機器提供の要求を、機器の機種番号および顧客番号とともに受け付ける。
【0077】
例えば、図5のようなケースでは、顧客端末200またはヘルプデスク端末101から、保管サービスによってサービス事業者に預けられた機器の返却が要求される。この場合、預けられている機器の機種番号、シリアル番号、顧客機器管理番号、顧客側管理番号の少なくとも1つが指定される。
【0078】
また、図6のようなケースでは、ヘルプデスク12のオペレータによる交換機器の手配の際に、ヘルプデスク端末101から交換対象の機器提供が要求される。この場合、交換対象の機器(故障した機器)の機種番号が指定される。
【0079】
[ステップS42]機器提供処理部133は、顧客機器管理データベース122を参照し、提供が要求された機器と同じ機種を保管サービスによって預かっているかを判定する。同じ機種を預かっている場合、処理がステップS43に進められ、預かっていない場合、機器提供処理が終了する。図6のようなケースで同じ機種を預かっていないと判定された場合、例えば、交換対象の機器の購入やレンタルが検討されることになる。
【0080】
[ステップS43]機器提供処理部133は、在庫管理データベース121を参照し、預かっている機種の機器が保管庫11に保管されているかを判定する。該当機器が保管されている場合、保管されている機器が提供対象として決定され、処理がステップS45に進められる。一方、該当機器が保管されていない場合、処理がステップS44に進められる。
【0081】
ここで、ステップS42,S43の処理パターンとしては、例えば以下のパターン1~3が考えられる。
(パターン1)
図5のようなケースで、ステップS41で機器のシリアル番号、顧客機器管理番号、顧客側管理番号のいずれかが指定された場合、預けている機器の個体が指定されることになる。この場合、ステップS42では、顧客機器管理データベース122に、指定された個体を示すレコード(指定された情報を含むレコード)があるかが判定され、該当レコードがある場合に処理がステップS43に進められる。ステップS43では、在庫管理データベース121に、指定された個体を示すレコード(指定された情報を含むレコード)があるかが判定される。該当レコードがあった場合には、そのレコードが示す機器が提供対象として決定される。
【0082】
(パターン2)
図5のようなケースで、ステップS41で機器の機種番号が指定された場合、ステップS42では、機種の個体には関係なく、指定された機種と同じ機種の機器が預けられているかが判定されてもよい。この場合、ステップS42では、顧客機器管理データベース122から、指定された顧客番号および機種番号を含むレコードがあるかが判定され、該当レコードがある場合に処理がステップS43に進められる。ステップS43では、在庫管理データベース121に、指定された機種を示すレコード(指定された情報番号を含むレコード)があるかが判定される。該当レコードがあった場合には、そのレコードが示す機器が提供対象として決定される。該当レコードが複数あった場合には、その中のいずれかのレコードが示す機器が提供対象として決定される。
【0083】
上記のパターン1では、ステップS43で「Yes」と判定された場合、サービス事業者に対して預けられた機器と同じ個体の機器が提供対象に決定される。一方、パターン2では、ステップS43で「Yes」と判定された場合、サービス事業者に対して預けられた機器と同一個体であるか否かには関係なく、預けられた機器と同一機種の機器が提供対象に決定される。このように、預けられた機器と異なる個体を提供対象として許容するか否かは、保管サービスの内容として事前に決定されていてもよいし、機器を預ける時点で顧客側から選択されてもよい。
【0084】
なお、保管サービスの内容として、預けられた機器と異なる個体が提供対象として許容されている場合(すなわち、常にパターン1の処理が実行される場合)には、例えば、顧客から預かった同一機種の機器の保管数をサービス事業者が抑えた場合でも、顧客が預けた機器と同一機種の機器の提供を受けられる可能性が高まる。例えば、顧客側が最新機種でなく、預けた機器と同一機種の提供を優先する場合には、サービス事業者側の保管効率が向上するだけでなく、顧客側のメリットにもなる。
【0085】
(パターン3)
図6のようなケースでは、ステップS41で機器の機種番号が指定される。このため、上記のパターン2と同様の処理が実行される。
【0086】
[ステップS44]機器提供処理部133は、預かっている機器に対応する互換機種が保管庫11に保管されているかを判定する。この処理では、ステップS42で顧客機器管理データベース122から特定された、預けられた機器に対応するレコードから、互換機種番号が抽出される。そして、在庫管理データベース121に、抽出された互換機種番号が機種情報の機種番号として登録されているレコードが存在する場合に、互換機種が保管されていると判定される。この場合、在庫管理データベース121の当該レコードが示す機器が提供対象として決定され、処理がステップS45に進められる。一方、互換機種が保管されていなかった場合、機器提供処理が終了する。
【0087】
[ステップS45]機器提供処理部133は、派遣するCEを手配する処理を実行する。
[ステップS46]機器提供処理部133は、提供対象として決定された機器を保管庫11から払い出す処理を実行する。
【0088】
これにより、提供される機器の設置場所にCEが派遣されるとともに、その場所に機器が運搬される。CEは、機器の設置作業を行い、設定が完了すると、CE端末102を操作して、事業者サーバ100に設定完了を通知するための入力を行う。
【0089】
[ステップS47]機器提供処理部133は、CE端末102から機器の設置完了が通知されたかを判定する。設置完了が通知された場合、処理がステップS48に進められる。一方、設置完了が通知されていない場合、待ち状態になり、一定時間後にステップS47が再度実行される。
【0090】
[ステップS48]機器提供処理部133は、設置された機器に貼付するためのシールの画像情報を作成し、CE端末102に送信する。この画像情報には、顧客側管理番号が含まれる。顧客側管理番号は、ステップS42で顧客機器管理データベース122から特定された、預けられた機器に対応するレコードから抽出される。
【0091】
CEは、画像情報を受信したCE端末102を操作して、プリンタ103にシールを印刷させる。印刷が完了すると、印刷の完了通知がCE端末102から事業者サーバ100に送信される。
【0092】
[ステップS49]機器提供処理部133は、CE端末102から印刷の完了通知を受信したかを判定する。完了通知を受信した場合、機器提供処理が終了する。一方、完了通知を受信していない場合、待ち状態になり、一定時間後にステップS49の処理が再度実行される。
【0093】
ここで、図15のステップS43,S44による提供対象機器の決定処理は、次の図16のように変形されてもよい。
図16は、機器提供処理の一部の変形例を示すフローチャートである。
【0094】
図15のステップS42で「Yes」と判定されると、図16のステップS51が実行される。
[ステップS51]機器提供処理部133は、ステップS43と同様の処理により、預かっている機種の機器が保管庫11に保管されているかを確認する。
【0095】
[ステップS52]機器提供処理部133は、ステップS44と同様の処理により、預かっている機器に対応する互換機種が保管庫11に保管されているかを確認する。
[ステップS53]機器提供処理部133は、ステップS51,S52での確認結果に基づき、預かっている機種の機器(ステップS51で保管が確認された機器)と互換機種の機器(ステップS52で保管が確認された機器)の少なくとも一方が保管されているかを判定する。これらの少なくとも一方が保管されている場合、処理がステップS54に進められる。一方、これらの両方が保管されていない場合、機器提供処理が終了する。
【0096】
[ステップS54]機器提供処理部133は、ステップS51,S52での確認結果に基づき、預かっている機種の機器と互換機種の機器の両方が保管されているかを判定する。両方が保管されている場合、処理がステップS56に進められ、一方のみが保管されている場合、処理がステップS55に進められる。
【0097】
[ステップS55]このケースでは、互換機種の機器のみが保管庫11に保管されている。このため、機器提供処理部133は、保管されている互換機種の機器を提供対象に決定する。この後、処理がステップS45に進められる。
【0098】
[ステップS56]機器提供処理部133は、預かっている機種の機器と互換機種の機器のどちらの提供を希望するかを選択するための入力を受け付ける。例えば、機器提供処理部133は、ステップS41で入力が行われた端末装置に、上記機器のいずれかを選択するための選択画面を表示させる。機器提供処理部133には、この選択画面に対する操作に応じて選択結果が通知される。
【0099】
[ステップS57]機器提供処理部133は、ステップS56で選択された機器を提供対象に決定する。この後、処理がステップS45に進められる。
以上の図16の処理によれば、顧客側は、サービス事業者に預けた機器(またはそれと同じ機種の機器)と、預けた機種に対応する互換機種のいずれも在庫がある場合に、それらのどちらの提供を受けるかを選択可能になる。
【0100】
図17は、提供された機器に貼付されるシールの例を示す図である。保管サービスによって顧客に提供される機器に貼付されるシールには、少なくとも、顧客側管理番号が印字される。図17に示すシール24には、資産管理番号が印字されており、この資産管理番号が顧客側管理番号を示している。
【0101】
また、図17の例のように、シール24には、機器を特定する情報として機種番号やシリアル番号が印字されてもよい。さらに、シール24には、サービス事業者側が付与する管理番号が印字されてもよい。図17のシール24には、このような管理番号として保守管理番号が印字されている。
【0102】
ここで、シール24に印字された保守管理番号「001-1」のうち、「001」は、保守管理データベース123における該当機器に対応するレコードの保守管理番号を示し、「1」は、当該レコードの再発行管理番号を示す。再発行管理番号は、保守対象の機器が故障などによって交換された回数を示す。
【0103】
例えば、図15のステップS48でシールの画像情報が作成される際に、保守管理データベース123における、交換される機器(故障した機器)に対応するレコードの再発行管理番号がカウントアップされ、カウントアップ後の再発行管理番号が保守管理番号と組み合わされてシールに印字される。これにより、機種の交換ごとに異なる保守管理番号をシールに印字できる。なお、上記レコードにおける再発行管理番号のカウントアップの際には、このレコードの機器情報が、交換後の機器の機器情報に更新される。
【0104】
なお、以上の第2の実施の形態では、機器提供処理時における顧客側管理番号の出力処理の例として、顧客側管理番号が印字されるシールの画像情報が出力される例を示した。しかし、顧客側管理番号の出力処理は上記の例に限定されるものではなく、例えば、CE端末102に顧客側管理番号が表示されることで、CEまたは顧客側の担当者に顧客側管理番号が通知されてもよい。
【0105】
また、上記の各実施の形態に示した装置(例えば、管理装置1、事業者サーバ100など)の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、各装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供され、そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶装置、光ディスク、半導体メモリなどがある。磁気記憶装置には、ハードディスク装置(HDD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc:BD、登録商標)などがある。
【0106】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CDなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0107】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムまたはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムにしたがった処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムにしたがった処理を実行することもできる。また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムにしたがった処理を実行することもできる。
【符号の説明】
【0108】
1 管理装置
1a 記憶部
1b 処理部
2 管理情報
3 保管庫
4a,4b 機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17