(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138737
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】仕切体
(51)【国際特許分類】
B65D 5/495 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
B65D5/495
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049390
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】500399862
【氏名又は名称】株式会社グリーンパッケージ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】西滝 祐光
(72)【発明者】
【氏名】大岡 幸平
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA03
3E060BB03
3E060BC02
3E060CC14
3E060CC17
3E060CC34
3E060CC45
3E060DA17
3E060DA23
(57)【要約】
【課題】簡便な構成で仕切体の上部の形状を維持することができ、ライントラブルの発生を未然に防止できる仕切体を提供する。
【解決手段】外箱に挿入し、複数のシート状の仕切板部材Aを格子状に組み合わせて被収容物の複数の収納区画を画成する仕切体であって、段ボール製である仕切板部材Aは、その一辺から対向する方向に切り欠き、他の仕切板部材と篏合可能な少なくとも1つのスリットSと、当該スリットSで分断された複数の小仕切り部20と、複数の小仕切り部20と接続する大仕切り部10と、を備え、外箱に仕切体を挿入した姿勢において、仕切板部材Aにおける下側に位置する大仕切り部10のスリットSに対向する対向辺11の側に、上方からの荷重に対して座屈を誘導する座屈誘導部30を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱に挿入し、複数のシート状の仕切板部材を格子状に組み合わせて被収容物の複数の収納区画を画成する仕切体であって、
段ボール製である前記仕切板部材は、その一辺から対向する方向に切り欠き、他の仕切板部材と篏合可能な少なくとも1つのスリットと、当該スリットで分断された複数の小仕切り部と、複数の前記小仕切り部と接続する大仕切り部と、を備え、
前記外箱に仕切体を挿入した姿勢において、前記仕切板部材における下側に位置する前記大仕切り部の前記スリットに対向する対向辺の側に、上方からの荷重に対して座屈を誘導する座屈誘導部を備えた仕切体。
【請求項2】
前記座屈誘導部は、前記スリットから前記対向辺の側に延長する何れかの位置に備えてある請求項1に記載の仕切体。
【請求項3】
前記座屈誘導部が線状の切れ込みまたは折曲線である請求項1または2に記載の仕切体。
【請求項4】
前記座屈誘導部が、前記対向辺の一部を切り欠いた切り欠きとしてある請求項1または2に記載の仕切体。
【請求項5】
平面視が長方形の前記外箱に仕切体を挿入した姿勢において、
幅寸法が大きい方の前記仕切板部材における上側に位置する前記小仕切り部の上下方向の高さを、他の仕切板部材の大仕切り部の上下方向の高さより低くしてある請求項1または2に記載の仕切体。
【請求項6】
前記外箱が、二組の対向した側壁をそれぞれ有する筒状の胴部と、前記胴部の少なくとも一方の開口部を閉塞する閉塞面部と、を備え、当該閉塞面部は、
一方の対向した前記側壁の各縁部にそれぞれ連接された一対の内フラップと、他方の対向した前記側壁の各縁部にそれぞれ連接されて前記一対の内フラップの各外側面にそれぞれ重ねられる一対の外フラップと、を備え、
複数の仕切板部材を格子状に組み合わせた前記仕切体を前記外箱に挿入し、前記内フラップを前記仕切体の上部に折り重ねたときに、前記一対の内フラップの間から露出する前記仕切板部材の一部が、前記一対の外フラップの各内側面との隙間を埋める方向に突出するように構成してある請求項1または2に記載の仕切体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外箱に挿入し、複数のシート状の仕切板部材を格子状に組み合わせて被収容物の複数の収納区画を画成する仕切体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のシート状の仕切板部材を格子状に組み合わせて被収容物の複数の収納区画を画成する仕切体を段ボール箱に収容し、複数の被収容物を各別に収納区画に収容していた。
【0003】
当該仕切体は、他の仕切板部材と篏合可能な少なくとも1つのスリットと、当該スリットで分断された複数の小仕切り部と、複数の前記小仕切り部と接続する大仕切り部と、を備えていた。
【0004】
仕切体は、スリットによって小仕切り部を形成してあるため、大仕切り部の強度と比べて小仕切り部の上側の強度が弱い構造となっていた。そのため、段ボール箱を重ねる等の荷重により仕切体に荷重がかかったときに、外箱に仕切体を挿入した姿勢において上側に位置する小仕切り部の上部の形状に変形が生じる虞があった。
【0005】
例えば段ボール箱を重ねて倉庫に保管しているときに小仕切り部の上部が上記の変形により折れてしまうと、収納区画の形状が崩れ、インケース(箱に被収容物を収納する)・アンケース(箱から被収容物を取り出す)の際に被収容物が仕切体に接触し、ライントラブルが発生する虞があった。
【0006】
例えば特許文献1には、仕切体を外箱に収容する際に仕切体に緩衝シートを重ね、仕切体の縦仕切り板及び横仕切り板に沿って緩衝シートの外周部に切込み溝を形成し、緩衝シートの外周部を複数の分割片に分割し、各分割片を仕切体の外周部の各ポケット(収納区画)に折り込むことが記載してある。
【0007】
特許文献1では、緩衝シート外周部の各分割片を中仕切り体外周部の各収納区画に折り込むことによって、仕切体の縦仕切り板及び横仕切り板の端部が分割片によって両側から支えられるため、仕切体の外周部の収納区画が崩れない構成となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1では、収納区画が崩れない構成とするためには、仕切体に上記の緩衝シートを追加して重ねた構成とする必要があった。また、被収容物を段ボール箱等に収容する際には、緩衝シートの分割片を仕切体の外周部の各収納区画に折り込む煩雑な作業が発生していた。
【0010】
被収容物を段ボール箱等に収容する際には、緩衝シートなどの追加部材を使用せず、前記作業の手間を省けるほうが望ましい。
【0011】
従って、本発明の目的は、簡便な構成で仕切体の上部の形状を維持することができ、ライントラブルの発生を未然に防止できる仕切体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明に係る仕切体は、外箱に挿入し、複数のシート状の仕切板部材を格子状に組み合わせて被収容物の複数の収納区画を画成する仕切体であって、その特徴構成は、段ボール製である前記仕切板部材は、その一辺から対向する方向に切り欠き、他の仕切板部材と篏合可能な少なくとも1つのスリットと、当該スリットで分断された複数の小仕切り部と、複数の前記小仕切り部と接続する大仕切り部と、を備え、前記外箱に仕切体を挿入した姿勢において、前記仕切板部材における下側に位置する前記大仕切り部の前記スリットに対向する対向辺の側に、上方からの荷重に対して座屈を誘導する座屈誘導部を備えた点にある。
【0013】
座屈誘導部は、仕切板部材において強度を弱くした部位であり、特に上方からの荷重に対して座屈し易くなる領域である。即ち、当該座屈誘導部は、仕切板部材の座屈誘導部以外の他の部位より上方からの荷重に対して弱い領域とすることができる。そのため、外箱を閉塞した状態で仕切体の上方から荷重が掛かった場合、座屈誘導部は、座屈誘導部以外の他の部位より座屈(変形)し易くなる。このとき、座屈誘導部には当該荷重が集中し易くなり、仕切板部材の座屈誘導部以外の他の部位は変形し難くなる。座屈誘導部はスリットに対向する対向辺の側に備えてあるため、座屈は仕切体の上部から離れた部位で発生している。よって、本構成により、仕切体の上方から荷重が掛かった場合であっても、仕切体の上部の形状の変形を未然に防止してその形状を維持し易くすることができる。そのため、本発明の仕切体であれば、ライントラブルの発生を未然に防止することができる。
【0014】
本発明に係る仕切体の更なる特徴構成は、前記座屈誘導部を、前記スリットから前記対向辺の側に延長する何れかの位置に備えた点にある。
【0015】
本構成によれば、座屈誘導部は、スリットの下方に位置することとなり、スリットの下端に掛かった荷重を受け易くなる。そのため、座屈誘導部は、座屈誘導部以外の他の部位より確実に座屈(変形)し易くなる。このとき、座屈誘導部には当該荷重が集中し易くなり、仕切板部材の座屈誘導部以外の他の部位はより変形し難くなる。
【0016】
本発明に係る仕切体の更なる特徴構成は、前記座屈誘導部を線状の切れ込みまたは折曲線とした点にある。
【0017】
本構成によれば、線状の切れ込みの場合は、仕切板部材に切り込みを入れるだけで座屈誘導部を容易に形成することができる。また、折曲線の場合は、仕切板部材に例えば凹状の線を形成するだけで座屈誘導部を容易に形成することができる。
【0018】
本発明に係る仕切体の更なる特徴構成は、前記座屈誘導部を、前記対向辺の一部を切り欠いた切り欠きとした点にある。
【0019】
本構成によれば、仕切板部材に対向辺から切り込みを入れるだけで座屈誘導部を容易に形成することができる。
【0020】
本発明に係る仕切体の更なる特徴構成は、平面視が長方形の前記外箱に仕切体を挿入した姿勢において、幅寸法が大きい方の前記仕切板部材における上側に位置する前記小仕切り部の上下方向の高さを、他の仕切板部材の大仕切り部の上下方向の高さより低くした点にある。
【0021】
本構成によれば、外箱の開口部を閉塞した閉塞面部を介して仕切体の上方から荷重が掛かった場合、当該上下方向の高さを低くした分だけ閉塞面部が小仕切り部に接触し難くなる。そのため、当該荷重が小仕切り部に掛かりにくくなるため、小仕切り部の変形を未然に防止することができる。仮に閉塞面部が小仕切り部に接触して当該荷重が小仕切り部に掛かったとしても、小仕切り部の変形量を最小限に留めることができる。
【0022】
本発明に係る仕切体の更なる特徴構成は、前記外箱が、二組の対向した側壁をそれぞれ有する筒状の胴部と、前記胴部の少なくとも一方の開口部を閉塞する閉塞面部と、を備え、当該閉塞面部は、一方の対向した前記側壁の各縁部にそれぞれ連接された一対の内フラップと、他方の対向した前記側壁の各縁部にそれぞれ連接されて前記一対の内フラップの各外側面にそれぞれ重ねられる一対の外フラップと、を備え、複数の仕切板部材を格子状に組み合わせた前記仕切体を前記外箱に挿入し、前記内フラップを前記仕切体の上部に折り重ねたときに、前記一対の内フラップの間から露出する前記仕切板部材の一部が、前記一対の外フラップの各内側面との隙間を埋める方向に突出するように構成した点にある。
【0023】
本構成によれば、外箱を閉塞したときに、仕切板部材の一部を一対の外フラップの各内側面に接触または近接させることができる。この場合、突出する仕切板部材の上端が外フラップの内側面と接触している状態または直ちに接触する状態とすることができるため、外箱の開口部を閉塞した閉塞面部を介して仕切体の上方から荷重が掛かった場合、一部の仕切板部材に偏ることなく当該荷重を受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図5】座屈誘導部(線状の切れ込み)の別の態様を示す平面図である。
【
図6】座屈誘導部(線状の切れ込み)の別の態様を示す平面図である。
【
図7】座屈誘導部(線状の切れ込み)の別の態様を示す平面図である。
【
図8】座屈誘導部(線状の切れ込み)の別の態様を示す平面図である。
【
図9】別実施形態の座屈誘導部(切り欠き)の態様を示す平面図である。
【
図10】別実施形態の座屈誘導部(切り欠き)の別の態様を示す平面図である。
【
図11】別実施形態の仕切板部材を示す平面図である。
【
図12】別実施形態の仕切板部材を示す要部概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1~4に示したように、本発明の仕切体Xは、外箱Yに挿入し、複数のシート状の仕切板部材A,A’を格子状に組み合わせて被収容物の複数の収納区画aを画成する仕切体Xであって、
段ボール製である仕切板部材Aは、その一辺から対向する方向に切り欠き、他の仕切板部材A’と篏合可能な少なくとも1つのスリットSと、当該スリットSで分断された複数の小仕切り部20と、複数の小仕切り部20と接続する大仕切り部10と、を備え、
外箱Yに仕切体Xを挿入した姿勢において、仕切板部材Aにおける下側に位置する大仕切り部10のスリットSに対向する対向辺11の側に、上方からの荷重に対して座屈を誘導する座屈誘導部30を備える。
【0026】
仕切体Xは、複数のシート状の仕切板部材Aを格子状に組み合わせて複数の収納区画aを画成する。複数の仕切板部材Aは、同じ種類(形状)の仕切板部材Aを複数枚使用することができるが、これに限らず、例えば長さ(幅寸法)の異なる二種類の仕切板部材Aをそれぞれ複数枚使用する態様としてもよい。
【0027】
同じ種類の仕切板部材Aを複数枚使用する場合、格子状に組み合わせた仕切体Xは、上面視で縦横の寸法が略同じとなるため、上面視で正方形の外箱Yに挿入して使用することができる。
【0028】
一方、長さ(幅寸法)の異なる二種類の仕切板部材Aをそれぞれ複数枚使用する場合、格子状に組み合わせた仕切体Xは、上面視で縦横の寸法が異なるため、上面視で長方形の外箱Yに挿入して使用することができる。
【0029】
本発明では、仕切板部材Aは段ボールを使用する。当該段ボールは、波状に成形した板紙(中芯)の片面又は両面に板紙(ライナー)を貼り合わせたものであれば、その態様は特に限定されるものではない。前記板紙は、段ボール原紙とするのがよい。
【0030】
外箱Yは、被収容物を収容できる箱状の態様、例えば上面視で矩形の態様であれば、公知の箱を使用することができる。外箱Yは、段ボール、厚紙等の紙製、木製等とするのがよいが、これに限定されるものではない。
【0031】
本実施形態では、外箱Yを段ボール箱とした場合について説明する。即ち、外箱Yである段ボール箱は、二組の対向した側壁41,42をそれぞれ有する筒状の胴部43と、胴部43の少なくとも一方の開口部44を閉塞する閉塞面部45と、を備える。当該閉塞面部45は、一方の対向した側壁41の各縁部にそれぞれ連接された一対の内フラップ45Aと、他方の対向した側壁42の各縁部にそれぞれ連接されて一対の内フラップ45Aの各外側面45A1にそれぞれ重ねられる一対の外フラップ45Bと、を備える。
【0032】
本実施形態の外箱Yは、一対の内フラップ45Aを仕切体Xの上部に折り重ねたときに、一対の内フラップ45Aの間から仕切体Xの一部が露出する態様となっており、この状態で一対の外フラップ45Bを内フラップ45Aの各外側面45A1にそれぞれ重ねることで、仕切体Xを覆い隠して外箱Yを閉塞する場合を例示する。
【0033】
また、本実施形態では、上面視で長方形の外箱Yである段ボール箱を使用する場合について説明する。このとき、仕切体Xは、長さ(幅寸法)の異なる二種類の仕切板部材A(第1仕切板部材A1,第2仕切板部材A2)をそれぞれ複数枚使用して構成することができる。本実施形態では、幅寸法が大きい第1仕切板部材A1を三枚、幅寸法が小さい第2仕切板部材A2を四枚使用する場合について説明するが、このような態様に限定されるものではない。
【0034】
仕切板部材A,A’は、少なくとも1つのスリットSと、当該スリットSで分断された複数の小仕切り部20と、複数の小仕切り部20と接続する大仕切り部10と、を備える(
図3,4)。本実施形態で使用する第1仕切板部材A1および第2仕切板部材A2について、以下に詳述する。
【0035】
第1仕切板部材A1には、四本のスリットS(第1スリットSa)と、当該第1スリットSaで分断された五つの小仕切り部20(第1小仕切り部20a)と、五つの第1小仕切り部20aと接続する大仕切り部10(第1大仕切り部10a)と、が備えてある(
図3)。
【0036】
第2仕切板部材A2には、三本のスリットS(第2スリットSb)と、当該第2スリットSbで分断された四つの小仕切り部20(第2小仕切り部20b)と、四つの第2小仕切り部20bと接続する大仕切り部10(第2大仕切り部10b)と、が備えてある(
図4)。
【0037】
仕切体Xは、例えば、三枚の第1仕切板部材A1を載置した状態で、上方から四枚の第2仕切板部材A2を格子状に組み合わせることができる。
【0038】
この場合、三枚の第1仕切板部材A1を、第1小仕切り部20aが上側、第1大仕切り部10aが下側の姿勢となる状態(第1スリットSaが上向き)とし、四枚の第2仕切板部材A2を、第2小仕切り部20bが下側、第2大仕切り部10bが上側の姿勢となる状態(第2スリットSbが下向き)とし、第1スリットSaおよび第2スリットSbを互いに嵌合させることで、格子状に組み合わせることができる。
【0039】
このように第1仕切板部材A1および第2仕切板部材A2を組み合わせて形成した仕切体Xを外箱Yに挿入することで、第1仕切板部材A1および第2仕切板部材A2で囲まれた収納区画a、および、第1仕切板部材A1と第2仕切板部材A2と外箱Yの内面とで囲まれた収納区画aをそれぞれ画成することができる。本実施形態では、20個の収納区画aを画成することができる場合を例示する。
【0040】
第1仕切板部材A1および第2仕切板部材A2の高さ寸法は同じ(L)となるように構成してある。第1スリットSaおよび第2スリットSbの長さは、それぞれ第1仕切板部材A1および第2仕切板部材A2の高さ寸法の半分程度とすればよい。或いは、第1スリットSaの長さLa=L-第2スリットSbの長さLbとなるようにしてもよい。上記の場合、仕切体Xの高さ寸法は、第1仕切板部材A1および第2仕切板部材A2の高さ寸法(L)と同じとなる。
【0041】
大仕切り部10には、上方からの荷重に対して座屈を誘導する座屈誘導部30を備えてある。
【0042】
座屈誘導部30は、仕切板部材Aにおいて他の部位より強度を弱くした部位であり、特に上方からの荷重に対して座屈し易くなる領域である。即ち、当該座屈誘導部30は、仕切板部材Aの座屈誘導部30以外の他の部位より上方からの荷重に対して弱い領域とすることができる。そのため、外箱Yの開口部44を閉塞した閉塞面部45を介して仕切体Xの上方から荷重が掛かった場合、座屈誘導部30は、座屈誘導部30以外の他の部位より座屈(変形)し易くなる。このとき、座屈誘導部30には当該荷重が集中し易くなり、仕切板部材Aの座屈誘導部30以外の他の部位は変形し難くなる。座屈誘導部30はスリットSに対向する対向辺11の側に備えてあるため、座屈は仕切体Xの上部から離れた部位で発生している。よって、本構成により、仕切体Xの上方から荷重が掛かった場合であっても、仕切体Xの上部の形状の変形を未然に防止してその形状を維持し易くすることができる。そのため、本発明の仕切体Xであれば、ライントラブルの発生を未然に防止することができる。
【0043】
本実施形態では、外箱Yに仕切体Xを挿入した姿勢において、幅寸法が大きい方の第1仕切板部材A1における下側に位置する第1大仕切り部10aに座屈誘導部30aを備える場合について説明する。本態様では、一枚の第1仕切板部材A1につき、四つの座屈誘導部30aを備えることとなる。
【0044】
座屈誘導部30aは、第1スリットSaから対向辺11aの側に延長する何れかの位置に備えるとよい。
【0045】
本構成では、外箱Yの開口部44を閉塞した閉塞面部45を介して仕切体Xの上方から荷重が掛かった場合、外箱Yに仕切体Xを挿入した姿勢における第1仕切板部材A1の上端(第1小仕切り部20aの端部)および第2仕切板部材A2の上端(対向辺11b)に当該荷重が掛かる。このとき、第1仕切板部材A1の第1スリットSaおよび第2仕切板部材A2の第2スリットSbは互いに嵌合しているため、第1スリットSaの下端S1に荷重が掛かり易くなる。
【0046】
座屈誘導部30は、第1スリットSaから対向辺11aの側に延長する何れかの位置に備えてあるため、第1スリットSaの下方に位置することとなり、第1スリットSaの下端S1に掛かった荷重を受け易くなる。そのため、座屈誘導部30は、座屈誘導部30以外の他の部位より確実に座屈(変形)し易くなる。このとき、座屈誘導部30には当該荷重が集中し易くなり、仕切板部材Aの座屈誘導部30以外の他の部位はより変形し難くなる。
【0047】
よって、仕切体Xの上方から荷重が掛かった場合であっても、外箱Yに仕切体Xを挿入した姿勢における第1仕切板部材A1の上端(第1小仕切り部20aの端部)および第2仕切板部材A2の上端(対向辺11b)の形状の変形を未然に防止してその形状をより維持し易くすることができる。
【0048】
座屈誘導部30aの態様は、特に限定されるものではないが、線状の切れ込みまたは折曲線の態様とすることができる。
【0049】
座屈誘導部30aを線状の切れ込みとすれば、仕切板部材Aに切り込みを入れるだけで座屈誘導部30aを容易に形成することができる。座屈誘導部30aを折曲線とすれば、仕切板部材Aに例えば凹状の線を形成するだけで座屈誘導部30aを容易に形成することができる。この場合、仕切体Xの上方から荷重が掛かったときに折曲線の部位から折れ曲がり易い態様とすることができる。本実施形態では、座屈誘導部30aを線状の切れ込みとする場合について説明する。
【0050】
図3には、二本の山形の線状の切れ込みを備えた座屈誘導部30aの態様を示した。二本の山形の線状の切れ込みについて、上側の切れ込みの幅より下側の切れ込みの幅を大きく設定した場合を例示するが、これに限定されるものではない。
【0051】
座屈誘導部30の線状の切れ込みの態様について、切れ込み線の数や形状については上記の態様に限定されるものではない。例えば三本の斜線(
図5)、5つのv字状(上段二つ、下段三つ:
図6)、三本の逆「く」の字状(
図7)、上下二段の波線状(
図8)等が挙げられる。
【0052】
上記のように、例えば切れ込み線の数を複数設けることで、座屈誘導部30の領域を広く設定することができるため、上方から荷重を座屈誘導部30に集中させ易くなる。
【0053】
また、第1仕切板部材A1には、対向辺11の両端に切り欠き部12を形成してあり、小仕切り部20の先端に切り欠き部13を形成してある。
【実施例0054】
本発明の仕切体Xについて、公知の手法で圧縮試験を行った。
第1仕切板部材A1および第2仕切板部材A2を格子状に組み合わせた仕切体Xについて上方から荷重をかけたところ、約290kgfの荷重量で応力歪曲線の降伏点(座屈点)が確認された。
【0055】
一方、従来の仕切体について上方から荷重をかけたところ、約260kgfの荷重量で応力歪曲線の降伏点(座屈点)が確認された。
【0056】
以上より、本発明の仕切体Xは、従来の仕切体より約1.1倍(290/260)の座屈強度が得られたと認められた。
【0057】
〔別実施例1〕
上述した実施形態では、第1仕切板部材A1を載置した状態で、上方から第2仕切板部材A2を格子状に組み合わせる場合について説明したが、この態様に限定されるものではない。即ち、四枚の第2仕切板部材A2を載置した状態で、上方から三枚の第1仕切板部材A1を格子状に組み合わせることができる(図外)。
【0058】
この場合、四枚の第2仕切板部材A2を、第2小仕切り部20bが上側、第2大仕切り部10bが下側の姿勢となる状態(第2スリットSbが上向き)とし、三枚の第1仕切板部材A1を、第1小仕切り部20aが下側、第1大仕切り部10aが上側の姿勢となる状態(第1スリットSaが下向き)とし、第1スリットSaおよび第2スリットSbを嵌合させることで、格子状に組み合わせることができる。
【0059】
本態様では、仕切体Xを外箱Yに挿入した姿勢において、幅寸法が小さい方の第2小仕切り部20bにおける下側に位置する第2大仕切り部10bに座屈誘導部30を備えることとなる。この場合、座屈誘導部30は、一枚の第2小仕切り部20bにつき、三つの座屈誘導部30を備える。
【0060】
〔別実施例2〕
上述した実施形態では、座屈誘導部30aの態様は、線状の切れ込みまたは折曲線とした場合について説明したが、これに限定されず、座屈誘導部30aが、対向辺11aの一部を切り欠いた切り欠きとしてもよい。
【0061】
このような態様として、例えばスリット状(凹状)の切り欠き(
図9)、曲線状の切り欠き(
図10)等が挙げられる。
【0062】
本構成においても、座屈誘導部30aは、仕切板部材Aの座屈誘導部30a以外の他の部位より上方からの荷重に対して弱い領域とすることができるため、外箱Yの開口部44を閉塞した閉塞面部45を介して仕切体Xの上方から荷重が掛かった場合、座屈誘導部30aは、座屈誘導部30a以外の他の部位より座屈(変形)し易くなる。
【0063】
〔別実施例3〕
上述した実施形態では、第1仕切板部材A1および第2仕切板部材A2の高さ寸法は同じとなるように構成した場合について説明した。しかし、このような態様に限定されず、以下のように構成してもよい。
【0064】
即ち、平面視が長方形の外箱Yに仕切体Xを挿入した姿勢において、幅寸法が大きい方の仕切板部材A1における上側に位置する第1小仕切り部20aの上下方向の高さを、第2仕切板部材A2の第2大仕切り部10bの上下方向の高さより低くしてある。
【0065】
本構成により、外箱Yの開口部44を閉塞した閉塞面部45を介して仕切体Xの上方から荷重が掛かった場合、当該上下方向の高さを低くした分だけ閉塞面部45が第1小仕切り部20aに接触し難くなる。そのため、当該荷重を第2仕切板部材A2の第2大仕切り部10b(対向辺11b)の全体で受けることができ、当該荷重が第1小仕切り部20aに掛かりにくくなるため、第1小仕切り部20aの変形を未然に防止することができる。仮に閉塞面部45が第1小仕切り部20aに接触して当該荷重が第1小仕切り部20aに掛かったとしても、第1小仕切り部20aの変形量を最小限に留めることができる。
【0066】
〔別実施例4〕
上述した実施形態では、第1仕切板部材A1および第2仕切板部材A2の高さ寸法は同じとした場合について説明した。
【0067】
この場合、外箱Yを閉塞する際、一対の内フラップ45Aを仕切体Xの上部に折り重ねたときに、一対の内フラップ45Aの間から仕切体Xの一部が露出する態様となっており、この状態で一対の外フラップ45Bを内フラップ45Aの各外側面45A1にそれぞれ重ねている。この態様では、一対の内フラップ45Aの間から仕切体Xの一部が露出する部分は、外フラップ45Bを折り重ねたときに、一対の外フラップ45Bの各内側面45B1は内フラップ45Aの厚みのために仕切体Xとは接触していない。
【0068】
本態様では、第1仕切板部材A1および第2仕切板部材A2の何れか一方の一部の高さ寸法が異なるように構成する場合について説明する。
【0069】
即ち、複数の仕切板部材Aを格子状に組み合わせた仕切体Xを外箱Yに挿入し、内フラップ45Aを仕切体Xの上部に折り重ねたときに、一対の内フラップ45Aの間から露出する仕切板部材Aの一部(延伸部50)が、一対の外フラップ45Bの各内側面45B1との隙間を埋める方向に突出するように構成してもよい(
図11,12)。本構成によれば、外箱Yを閉塞したときに、仕切板部材Aの一部を外フラップ45Bの内側面45B1に接触または近接させることができる。この場合、突出する仕切板部材Aの上端が外フラップの内側面45B1と接触している状態または直ちに接触する状態とすることができる。本実施例では、延伸部50が外フラップ45Bの内側面45B1と接触している状態とする場合について説明する。
【0070】
具体的には、仕切体Xは、三枚の第1仕切板部材A1を載置した状態で、上方から四枚の第2仕切板部材A2を格子状に組み合わせた場合において、一対の内フラップ45Aの間から露出する第1仕切板部材A1における中央の第1小仕切り部20aのみの上下方向の高さを内フラップ45Aの厚みの分だけ高く設定した延伸部50を備える。これにより、外箱Yを閉塞したときに、延伸部50を一対の外フラップ45Bの各内側面45B1に接触させることができる。
【0071】
従って、外箱Yの開口部44を閉塞した閉塞面部45を介して仕切体Xの上方から荷重が掛かった場合、一部の第1仕切板部材A1に偏ることなく当該荷重を受けることができる。
【0072】
〔別実施例5〕
別実施例4で説明した第1仕切板部材A1において、対向辺11aにおいて、中央の第1小仕切り部20aに備えた延伸部50に対応する位置を突出させた突出部51を備えてもよい。
【0073】
突出部51を備えることで、外箱Yの底側においても、突出部51を一対の外フラップの各内側面に接触させることができる。