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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138755
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】エジェクタ冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20241002BHJP
   F25B 41/31 20210101ALI20241002BHJP
【FI】
F25B1/00 389A
F25B41/31
F25B1/00 304Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049422
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 健
(72)【発明者】
【氏名】吉田 時空
(72)【発明者】
【氏名】安嶋 賢哲
(57)【要約】
【課題】凝縮器の冷却水温度が大きく変化する環境であっても広い運転範囲で高い効率を得ることができるエジェクタ冷却装置を提供する。
【解決手段】液冷媒を昇圧するポンプ3と、熱源により冷媒を加熱し駆動流を発生させる蒸気生成器4と、液冷媒を減圧する膨張弁5と、膨張弁5によって減圧された冷媒により被冷却媒体を冷却する蒸発器6と、蒸気生成器4からの冷媒の駆動流によって蒸発器6により蒸発した冷媒を吸引するエジェクタ1a~1cと、エジェクタ1a~1c内への吸引後に駆動流と混合した冷媒を液化冷却する凝縮器2とを有するエジェクタ冷却装置において、エジェクタ1a~1cは、臨界背圧の設計点が異なる複数のエジェクタであり、各エジェクタ1a~1cの駆動流入口、吸引流入口及び吐出流出口が共通接続されて並列配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液冷媒を昇圧するポンプと、熱源により冷媒を加熱し駆動流を発生させる蒸気生成器と、液冷媒を減圧する膨張弁と、前記膨張弁によって減圧された冷媒により被冷却媒体を冷却する蒸発器と、前記蒸気生成器からの冷媒の駆動流によって前記蒸発器により蒸発した冷媒を吸引するエジェクタと、前記エジェクタ内への吸引後に前記駆動流と混合した冷媒を液化冷却する凝縮器とを有するエジェクタ冷却装置において、
前記エジェクタは、臨界背圧の設計点が異なる複数のエジェクタであり、各エジェクタの駆動流入口、吸引流入口及び吐出流出口が共通接続されて並列配置されることを特徴とするエジェクタ冷却装置。
【請求項2】
前記蒸発器及び前記膨張弁の対は、前記複数のエジェクタに対応して並列に複数配置され、前記蒸発器及び前記膨張弁の各対の蒸発器は、各エジェクタの吸引流入口にそれぞれ接続されることを特徴とする請求項1に記載のエジェクタ冷却装置。
【請求項3】
前記複数のエジェクタの各駆動流入口側にそれぞれ流量調整弁を設け、各流量調整弁の開度調整により、各エジェクタに対する駆動流の流量を調整することを特徴とする請求項1に記載のエジェクタ冷却装置。
【請求項4】
前記複数のエジェクタの各ノズル孔内に配置される各ニードルの進退を駆動するアクチュエータをそれぞれ設け、各アクチュエータの駆動制御による各ニードルの進退制御により、各エジェクタに対する駆動流の流量を調整することを特徴とする請求項1に記載のエジェクタ冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凝縮器の冷却水温度が大きく変化する環境であっても広い運転範囲で高い効率を得ることができるエジェクタ冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エジェクタ冷却装置としては、例えば特許文献1に記載されたものが既に提供されている。このエジェクタ冷却装置は、冷媒が循環される循環経路において冷媒加熱手段としての蒸気生成器と凝縮器との間にエジェクタが設けられ、蒸気生成器から吐出された冷媒が駆動流体としてエジェクタに供給される一方、エジェクタから吐出された冷媒が凝縮器に供給されるものである。循環経路において凝縮器からポンプまでの間に位置する部分には、分岐経路が設けられている。分岐経路は、膨張弁及び蒸発器を備え、蒸発器を通過した後の冷媒を吸引流体としてエジェクタに供給するものである。このエジェクタ冷却装置では、蒸気生成器に排温水等の熱源を供給するとともに、蒸発器に被冷却水を供給すれば、蒸発器において冷却された冷水を得ることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-190587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、エジェクタ冷却装置の凝縮器における冷却水温度が高くなると、冷媒の凝縮温度も高くして排熱する必要があり、エジェクタはこの凝縮温度に対応してエジェクタ出口圧力(背圧)を高くした設計にする。しかし、高い凝縮温度で設計したエジェクタは低い凝縮温度で設計した場合に比べて効率が低下するため、凝縮器の冷却水温度が変化する環境に適用する場合、設計点より低い凝縮温度条件では低い効率のまま使わなければならないという課題があった。
【0005】
すなわち、図2に示すように、単一設計点の各エジェクタ1a,1b,1cは、エジェクタ出口圧力(エジェクタ背圧)が、ある値(臨界背圧P1,P2,P3)よりも高くなると、性能、例えば流量比r(=吸引流量/駆動流量)が大幅に低下するという特性があり、凝縮器を流れる冷却水温度が高くなってエジェクタ背圧が上昇すると、エジェクタの性能低下に伴い、エジェクタ冷却装置としての能力が低下してしまうため、運転条件が制約されるという課題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、凝縮器の冷却水温度が大きく変化する環境であっても広い運転範囲で高い効率を得ることができるエジェクタ冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、液冷媒を昇圧するポンプと、熱源により冷媒を加熱し駆動流を発生させる蒸気生成器と、液冷媒を減圧する膨張弁と、前記膨張弁によって減圧された冷媒により被冷却媒体を冷却する蒸発器と、前記蒸気生成器からの冷媒の駆動流によって前記蒸発器により蒸発した冷媒を吸引するエジェクタと、前記エジェクタ内への吸引後に前記駆動流と混合した冷媒を液化冷却する凝縮器とを有するエジェクタ冷却装置において、前記エジェクタは、臨界背圧の設計点が異なる複数のエジェクタであり、各エジェクタの駆動流入口、吸引流入口及び吐出流出口が共通接続されて並列配置されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記蒸発器及び前記膨張弁の対は、前記複数のエジェクタに対応して並列に複数配置され、前記蒸発器及び前記膨張弁の各対の蒸発器は、各エジェクタの吸引流入口にそれぞれ接続されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記複数のエジェクタの各駆動流入口側にそれぞれ流量調整弁を設け、各流量調整弁の開度調整により、各エジェクタに対する駆動流の流量を調整することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記複数のエジェクタの各ノズル孔内に配置される各ニードルの進退を駆動するアクチュエータをそれぞれ設け、各アクチュエータの駆動制御による各ニードルの進退制御により、各エジェクタに対する駆動流の流量を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、凝縮器の冷却水温度が大きく変化する環境であっても広い運転範囲で高い効率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施の形態であるエジェクタ冷却装置の構成を示す回路図である。
図2図2は、エジェクタ背圧に対する各エジェクタの流量比の変化を示す図である。
図3図3は、エジェクタ群のエジェクタ特性を示す図である。
図4図4は、本変形例1であるエジェクタ冷却装置の構成を示す回路図である。
図5図5は、本変形例2であるエジェクタ冷却装置の構成を示す回路図である。
図6図6は、エジェクタの内部構造の一例を模式的に示した断面側面図である。
図7図7は、本変形例3であるエジェクタ冷却装置の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照してこの発明を実施するための形態について説明する。
【0014】
<全体構成>
図1は、本発明の実施の形態であるエジェクタ冷却装置の構成を示す回路図である。ここで例示するエジェクタ冷却装置は、工場排水や使用済み冷却水等の排温水から排熱を回収して被冷却媒体を冷却するものであり、エジェクタ群1、凝縮器2、ポンプ3、蒸気生成器4が順次接続されるとともに、凝縮器2と蒸気生成器4との間においてポンプ3よりも上流となる部分から分岐し、冷媒の一部を吸引流体としてエジェクタ群1に供給する膨張弁5と蒸発器6がエジェクタ群1側に順次接続される。
【0015】
エジェクタ群1は、臨界背圧の設計点が異なる複数のエジェクタ1a,1b,1cであり、各エジェクタ1a,1b,1cの駆動流入口、吸引流入口及び吐出流出口が共通接続されて並列配置される。したがって、蒸気生成器4からの冷媒は、分岐して各エジェクタ1a,1b,1cの駆動流として各エジェクタ1a,1b,1cの駆動流入口に流れる。また、蒸発器6からの冷媒は、分岐して各エジェクタ1a,1b,1cの吸引流として各エジェクタ1a,1b,1cの吸引流入口に吸引される。さらに、各エジェクタ1a,1b,1cからの吐出流は、合流して凝縮器2に吐出される。
【0016】
なお、蒸発器6に供給される被冷却媒体としては、水や油、あるいはその他の冷媒を対象とすることができる。本実施の形態では、特に、排温水から回収した排熱により、蒸発器6において被冷却水から冷水を生成するエジェクタ冷却装置を例示している。なお、凝縮器2には、凝縮器2の冷媒を冷却する冷却水が供給され、冷却水により排熱される。
【0017】
ポンプ3は、凝縮器2を流れる冷媒の一部を循環供給するものである。ポンプ3は、例えば液相の可変容量ポンプであり、冷媒を昇圧してエジェクタ群1に供給するものである。本実施の形態のポンプ3は、図示しない制御部から与えられる駆動信号に従った回転数で駆動されるものである。蒸気生成器4は、蒸気生成器4に供給される排温水などの熱源水との間で熱交換を行うことにより、ポンプ3から供給された冷媒を蒸発させるものである。各エジェクタ1a,1b,1cは、蒸気生成器4を通過した気相の冷媒である駆動流によって、蒸発器6から供給される気相の冷媒を吸引流として吸引し、混合し、昇圧して下流に吐出流として吐出するものである。凝縮器2は、エジェクタ1a,1b,1cから吐出された気相の冷媒と、凝縮器2に供給される冷却水との間で熱交換し放熱を行うことにより、冷媒を凝縮させるものである。
【0018】
膨張弁5は、凝縮器2を通過して分岐供給された冷媒を膨張させて減圧するものである。蒸発器6は、膨張弁5を通過した後の液相または気液二相の低温冷媒と、蒸発器6に供給される被冷却水との間で熱交換を行うことにより、冷媒を蒸発させるものである。そして、蒸発器6からの冷媒は、各エジェクタ1a,1b,1cの吸引流入口に接続される。なお、膨張弁5としては電子膨張弁が好適であるが、用途や構成に応じて手動膨張弁、定圧膨張弁、温度膨張弁等のその他の形式の膨張弁を適宜選択しても良い。
【0019】
<エジェクタ群>
各エジェクタ1a,1b,1cには、各エジェクタ1a,1b,1c内部に設けられたノズルの各設計点により決定される内径に応じた流路抵抗により分配された流量の駆動流が流入する。そして、加速・減圧された駆動流により各エジェクタ1a,1b,1cのエジェクタ特性に応じた吸引流が蒸発器6から吸引流として流入し、吸引流が駆動流と混合された後、各エジェクタ1a,1b,1c内部に設けられたディフューザより昇圧された吐出流としてそれぞれ吐出され、合流して凝縮器2に流入する。
【0020】
図2は、各エジェクタ1a,1b,1cの設計点を説明する図である。図2は、エジェクタ背圧Pに対する各エジェクタ1a,1b,1cの流量比r(=吸引流量/駆動流量の変化を示す図である。図2に示すように、各エジェクタ1a,1b,1cの流量比rは、臨界背圧P1,P2,P3を超えると急激に小さくなり、臨界背圧P1,P2,P3(P1<P2<P3)を超えない動作範囲OR1,OR2,OR3では、高い流量比r1,r2,r3(r1>r2>r3)を維持するが、臨界背圧P1,P2,P3を超える動作範囲OR1,OR2,OR3では、流量比が小さくなり、効率が悪くなる。なお、図2では、エジェクタ背圧Pに対する各エジェクタ1a,1b,1cの流量比rの変化を示すエジェクタ特性を、それぞれエジェクタ特性L1,L2,L3として示している。設計点は、臨界背圧P1~P3の値であり、エジェクタ特性L1~L3では、設計点であるエジェクタ背圧Pを高くして運転範囲を広げると、臨界背圧以下の流量比rが小さくなり、エジェクタ背圧Pを低くして運転範囲を狭めると、臨界背圧以下の流量比rを大きくすることができる。したがって、1つのエジェクタにより、凝縮器の冷却水温度が大きく変化する環境であっても広い運転範囲とするために、エジェクタ特性L3のように設計点を設けると、全体的な効率である流量比rが低くなってしまう。
【0021】
そこで、本実施の形態では、図1に示すように、臨界背圧の設計点が異なる複数のエジェクタ1a,1b,1cを並列配置し、各エジェクタ1a,1b,1cの駆動流入口、吸引流入口及び吐出流出口が共通接続している。図3は、エジェクタ群1のエジェクタ特性Lを示す図である。ここで、エジェクタ群1のエジェクタ特性Lは、各エジェクタ1a,1b,1cの合成特性である。図3では、比較のため、エジェクタ特性L11,L12,L13を合わせて示している。エジェクタ特性L11,L12,L13は、それぞれエジェクタ1aの3本分、エジェクタ1bの3本分、エジェクタ1cの3本に対する特性であり、エジェクタ特性Lとの比較のため、容量を合わせている。なお、エジェクタ特性L11,L12,L13は、それぞれ同一エジェクタ3本分の容量がある1つのエジェクタであっても同じである。
【0022】
エジェクタ群1の合成性能(流量比)を示すエジェクタ特性Lとエジェクタ特性L11とを比較すると、低エジェクタ背圧では、低い臨界背圧に設計したエジェクタのエジェクタ特性L11に比して約2/3程度に小さくなるが、エジェクタ特性L11のエジェクタでは運転できなかった臨界背圧P3近傍の高エジェクタ背圧まで運転可能で、運転範囲を広げることができる。
【0023】
また、エジェクタ特性Lとエジェクタ特性L13とを比較すると、高いエジェクタ背圧では、ほぼ同じ性能を有し、しかも低エジェクタ背圧では、エジェクタ特性L13よりも2倍程度、高い性能が得られる。
【0024】
これにより、本実施の形態では、設計点が異なるエジェクタを複数組み合わせることにより、単一設計点のエジェクタに対して高いエジェクタ背圧までの運転範囲を拡大することができるとともに、低いエジェクタ背圧での性能低下を抑制することができる。
【0025】
このことは、夏季等で冷却水温度(空冷の場合は風温)が高くなる条件での運転を可能にするとともに、中間期や冬季の低い冷却水温度(空冷の場合は風温)では単独のエジェクタよりも高い性能で運転ができることになる。
【0026】
<変形例1>
図4は、本変形例1であるエジェクタ冷却装置の構成を示す回路図である。図4に示すように、上記の実施の形態では、1対の蒸発器6と膨張弁5の蒸発器6に対し、3つのエジェクタ1a,1b,1cの各吸引流入口を共通接続していたが、本変形例1では、蒸発器6と膨張弁5との対を3対(蒸発器6aと膨張弁5a、蒸発器6bと膨張弁5b、蒸発器6cと膨張弁5c)を設け、各対を、エジェクタ1a,1b,1cに対応して並列に複数配置し、各対の蒸発器を、各エジェクタ1a,1b,1cの吸引流入口にそれぞれ接続している。
【0027】
蒸発器6と膨張弁5との対が1対のみの場合、エジェクタ1a,1b,1cの吸引性能の違いにより、エジェクタ1a,1b,1cへの吸引流が互いに影響を及ぼす可能性があるが、本変形例1では、各蒸発器6a,6b,6cが独立して各エジェクタ1a,1b,1cに接続されているため、吸引流が交わることがなく、各エジェクタ1a,1b,1cの性能に合わせた蒸発器6a~6cの合成蒸発機能(冷却機能)を安定かつ効率よく得ることができる。
【0028】
<変形例2>
図5は、本変形例2であるエジェクタ冷却装置の構成を示す回路図である。図5に示すように、本変形例2では、各エジェクタ1a,1b,1cの各駆動流入口側にそれぞれ流量調整弁7a,7b,7cを設け、制御部Cによる各流量調整弁7a,7b,7cの開度調整により、各エジェクタ1a,1b,1cに対する駆動流の流量を調整するようにしている。
【0029】
これにより、変形例1と同様に、各エジェクタ1a,1b,1cに対する駆動流が互いに影響を及ぼすことなく、安定した流量の駆動流を各エジェクタ1a,1b,1cに供給することができる。
【0030】
また、この各エジェクタ1a,1b,1cに対する駆動流の流量調整を積極的に行うことにより、各エジェクタ1a,1b,1cの性能に応じた最適な駆動流量に設定することができる。例えば、冬季の低エジェクタ背圧の場合、エジェクタ1aへの駆動流量を大きくし、エジェクタ1cへの駆動流量を小さくする。また、夏季の高エジェクタ背圧の場合、エジェクタ1cへの駆動流量を大きくし、エジェクタ1aに対する駆動流量を小さくする。また、中間期(春季や秋季)の中エジェクタ背圧の場合、エジェクタ1bの駆動流量を大きくし、他のエジェクタ1a,1cに対する駆動流量を小さくする。
【0031】
<変形例3>
ここで、図6は、エジェクタ1aの内部構造の一例を模式的に示した断面側面図である。図6に示したエジェクタ1aは、ノズル10により駆動流を噴出し、この噴出した駆動流により吸引流を吸引し、混合部23により駆動流と吸引流とを混合させ、ディフューザ24より昇圧された吐出流を吐出する。このエジェクタ1aでは、ノズル10のノズル孔11内にニードル20が中心軸LL方向に進退し、ニードル20の外周面とノズル孔11の内周面との間隙で決まる駆動流の通過断面積を変化させることにより、駆動流の流量を調整している。このニードル20の進退はアクチュエータ8aにより駆動される。したがって、ニードル20の進退駆動制御を行うことにより、変形例2の流量調整弁7aと同様に駆動流の流量制御を行うことができる。そこで、変形例3では、図7に示すように、図5の流量調整弁7a~7cに替えて、各エジェクタ1a,1b,1cの各ニードル40を進退駆動する各アクチュエータ8a~8cを駆動制御することにより、各エジェクタ1a,1b,1cの駆動流の流量調整を行うようにしている。
【0032】
なお、変形例2,3において、蒸発器6及び膨張弁5は、変形例1と同様に複数対を並列配置してもよい。ここで、蒸発器6及び膨張弁5を複数対、設ける場合、各蒸発器6a~6cに供給する被冷却水の水量は、各蒸発器6a~6cに対して同じであってもよいし、蒸発器6a~6cごとに異なる供給量、例えば各エジェクタ1a~1cの流量比rに合わせた流量に調整してもよい。また、各蒸発器6a~6cから得られる冷水は合流させて出力する。
【0033】
また、上記の実施の形態及び変形例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置及び構成要素の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 エジェクタ群
1a~1c エジェクタ
2 凝縮器
3 ポンプ
4 蒸気生成器
5,5a~5c 膨張弁
6,6a~6c 蒸発器
7a~7c 流量調整弁
8a~8c アクチュエータ
10 ノズル
11 ノズル孔
20 ニードル
C 制御部
L,L1~L3,L11~L13 エジェクタ特性
LL 中心軸
P エジェクタ背圧
r 流量比
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7