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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138779
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】紙幣処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/14 20190101AFI20241002BHJP
   G07D 11/12 20190101ALI20241002BHJP
【FI】
G07D11/14
G07D11/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049453
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大澤 隆広
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141BA20
3E141FA01
3E141FC02
3E141FG04
3E141FL01
(57)【要約】
【課題】紙幣挿入口の位置ずれを防止すること。
【解決手段】紙幣挿入口31aを有する紙幣挿入部31、紙幣挿入口31aを通じて挿入された紙幣が受付可能な紙幣であるか否かを鑑別する鑑別部32並びに鑑別部32にて受付可能と鑑別された紙幣を搬送する搬送機構33を備えたユニット本体30と、紙幣を収納する収納庫40が設けられたユニットベース20とを備え、ユニット本体30は、紙幣挿入部31が設けられた前方側が開閉可能となる態様で後方側がユニットベース20に回動自在に連結されるとともに、係合片352がユニットベース20に形成された係合溝237に係合することにより閉状態となる紙幣処理装置10であって、収納庫40は、ユニットベース20に対し、予め決められた範囲内で前後方向及び上下方向に変位可能に設けられ、かつバネ部材45により上方に付勢されている。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣挿入口を有する紙幣挿入部、前記紙幣挿入口を通じて挿入された紙幣が受付可能な紙幣であるか否かを鑑別する鑑別部並びに前記鑑別部にて受付可能と鑑別された紙幣を搬送する搬送機構を備えたユニット本体と、
紙幣を収納する収納庫が設けられたユニットベースと
を備え、前記ユニット本体は、前記紙幣挿入部が設けられた手前側が開閉可能となる態様で奥側が前記ユニットベースに回動自在に連結されるとともに、自身に形成された係合部が該ユニットベースに形成された被係合部に係合することにより閉状態となる紙幣処理装置であって、
前記収納庫は、前記ユニットベースに対し、予め決められた範囲内で該ユニットベースの奥行方向及び該ユニットベースに近接離反する方向に変位可能に設けられ、かつ付勢手段により前記ユニットベースから離隔する方向に付勢されていることを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項2】
前記収納庫は、紙幣を上下方向に沿って積層した状態で収納することを特徴とする請求項1に記載の紙幣処理装置。
【請求項3】
前記ユニット本体は、前記ユニットベースに対して上下方向に回動するものであり、
前記ユニット本体が下方に回動して前記閉状態に保持するとともに、前記ユニット本体が上方に回動して開状態に保持するロック手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載の紙幣処理装置。
【請求項4】
前記ロック手段は、前記開状態から前記閉状態に向けての前記ユニット本体の下方への回動を規制することを特徴とする請求項3に記載の紙幣処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入された紙幣の金種を鑑別し、鑑別した紙幣を収納する紙幣処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、紙幣挿入口を有する紙幣挿入部、紙幣挿入口を通じて挿入された紙幣が受付可能な紙幣であるか否かを鑑別する鑑別部、鑑別部にて受付可能と鑑別された紙幣を搬送する搬送機構を備えたユニットカバーが、紙幣を収納する収納庫を備えた本体部に回動自在となる態様で連結され、係合部が本体部に形成された被係合部に係合することにより閉状態となる紙幣処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-92689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の紙幣処理装置では、収納庫が本体部に固定されていたので、寸法誤差等を考慮してユニットカバーに遊びを持たせるようにしていた。そのため、ユニットカバーが本体部に対して開閉する度に、収納庫に対して搬送機構が適切に配置されるようユニットカバーのセット位置が変更されていた。このようなユニットカバーのセット位置の変更は、該ユニットカバーには紙幣挿入口が設けられていたために、当該紙幣処理装置を筐体に設置する際に紙幣挿入口の位置ずれを有するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、紙幣挿入口の位置ずれを防止することができる紙幣処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る紙幣処理装置は、紙幣挿入口を有する紙幣挿入部、前記紙幣挿入口を通じて挿入された紙幣が受付可能な紙幣であるか否かを鑑別する鑑別部並びに前記鑑別部にて受付可能と鑑別された紙幣を搬送する搬送機構を備えたユニット本体と、紙幣を収納する収納庫が設けられたユニットベースとを備え、前記ユニット本体は、前記紙幣挿入部が設けられた手前側が開閉可能となる態様で奥側が前記ユニットベースに回動自在に連結されるとともに、自身に形成された係合部が該ユニットベースに形成された被係合部に係合することにより閉状態となる紙幣処理装置であって、前記収納庫は、前記ユニットベースに対し、予め決められた範囲内で該ユニットベースの奥行方向及び該ユニットベースに近接離反する方向に変位可能に設けられ、かつ付勢手段により前記ユニットベースから離隔する方向に付勢されていることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記紙幣処理装置において、前記収納庫は、紙幣を上下方向に沿って積層した状態で収納することを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記紙幣処理装置において、前記ユニット本体は、前記ユニットベースに対して上下方向に回動するものであり、前記ユニット本体が下方に回動して前記閉状態に保持するとともに、前記ユニット本体が上方に回動して開状態に保持するロック手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記紙幣処理装置において、前記ロック手段は、前記開状態から前記閉状態に向けての前記ユニット本体の下方への回動を規制することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、収納庫は、ユニットベースに対し、予め決められた範囲内で該ユニットベースの奥行方向及び該ユニットベースに近接離反する方向に変位可能に設けられ、かつ付勢手段によりユニットベースから離隔する方向に付勢されているので、ユニットベースとユニット本体との寸法誤差を吸収し、収納庫をユニット本体に押し付けることができ、閉状態となるユニット本体の姿勢を変形させることがない。これにより、紙幣挿入口の位置ずれを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施の形態である紙幣処理装置が適用された電子マネーチャージ機の外観構成を示す斜視図である。
図2図2は、本発明の実施の形態である紙幣処理装置が適用された電子マネーチャージ機の内部構成を示す斜視図である。
図3図3は、本発明の実施の形態である紙幣処理装置の外観構成を示す斜視図である。
図4図4は、本発明の実施の形態である紙幣処理装置の分解斜視図である。
図5図5は、本発明の実施の形態である紙幣処理装置の分解斜視図である。
図6図6は、図4及び図5に示したユニットベース及び収納庫の分解斜視図である。
図7図7は、図4及び図5に示したユニットベース及び収納庫の分解斜視図である。
図8図8は、図6及び図7に示したガイド孔の形状を説明するための側面図である。
図9図9は、収納庫とユニットベース(ユニットベース補強部)との係止状態を示す説明図である。
図10図10は、本発明の実施の形態である紙幣処理装置の外観構成を示す斜視図である。
図11図11は、本発明の実施の形態である紙幣処理装置が適用された電子マネーチャージ機の内部構成を示す斜視図である。
図12図12は、図4及び図5に示したユニット本体の縦断面図である。
図13図13は、本発明の実施の形態である紙幣処理装置の内部構造を示す縦断面図である。
図14図14は、紙幣処理装置の動作を説明するための斜視図である。
図15図15は、紙幣処理装置の動作を説明するための斜視図である。
図16図16は、紙幣処理装置の動作を説明するための斜視図である。
図17図17は、紙幣処理装置の動作を説明するための斜視図である。
図18図18は、紙幣処理装置の動作を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る紙幣処理装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
図1及び図2は、それぞれ本発明の実施の形態である紙幣処理装置が適用された電子マネーチャージ機を示すもので、図1は、外観構成を示す斜視図であり、図2は、内部構成を示す斜視図である。
【0014】
ここで例示する電子マネーチャージ機1は、前面に開口(以下、前面開口ともいう)2aを有する箱状の筐体2と、前面開口2aを開閉する態様で筐体2に揺動可能に設けられた前面扉3とを備えている。
【0015】
図1及び図2に示したように、前面扉3には、ICカードアクセス部4が設けられるとともに操作ボタン5が配設されており、内部に配設された紙幣処理装置10の一部が前面扉3に形成された矩形状貫通孔6を通じて露出するようになっている。
【0016】
ICカードアクセス部4は、電子マネーのチャージ媒体となるICカードの他、電子マネーのチャージ媒体となる携帯端末機器が載置可能となっている。操作ボタン5は、入金ボタン、取消ボタン及びレシートボタンを備えて構成されている。入金ボタンは、電子マネーのチャージを確定するための入力手段である。取消ボタンは、チャージを取り消すための入力手段である。レシートボタンは、レシートの発行処理を指示するための入力手段である。
【0017】
図3は、本発明の実施の形態である紙幣処理装置10の外観構成を示す斜視図であり、図4及び図5は、それぞれ紙幣処理装置10の分解斜視図である。以下においては、図3に付した方向に沿って紙幣処理装置10の構成を説明する。
【0018】
これら図3図5に示すように、紙幣処理装置10は、ユニットベース20とユニット本体30とを備えて構成されている。
【0019】
図6及び図7は、それぞれ図3図5に示したユニットベース20の分解斜視図である。これら図6及び図7にも示すように、ユニットベース20には収納庫40が設けられている。
【0020】
ユニットベース20は、例えば板金を加工して形成されており、ユニットベース基部21と、ユニットベース左側部22と、ユニットベース右側部23とが一体的に成形されて構成されている。ユニットベース基部21は、前後方向が長手方向となる矩形状の平板状部分である。
【0021】
ユニットベース左側部22は、ユニットベース基部21の左端部分より上方に向けて延在する第1左側上延部221と、この第1左側上延部221の上端部分の一部より左方に向けて延在する左側左延部222と、この左側左延部222の左端部分より上方に向けて延在する第2左側上延部223とを有している。
【0022】
第1左側上延部221は、後端部がユニットベース基部21の後端部よりも後方に突出しており、左側ユニットローラ224が回転可能に設けられている。第2左側上延部223は、前後方向の中間部から後端部にかけての後方領域の上下寸法がその他の領域の上下寸法よりも大きくなるように形成されている。また、第2左側上延部223の後端部は、左側左延部222の後端部よりも後方に突出しており、左側連結孔225が形成されている。
【0023】
ユニットベース右側部23は、ユニットベース基部21の右端部分より上方に向けて延在する第1右側上延部231と、この第1右側上延部231の上端部分の一部より右方に向けて延在する右側右延部232と、この右側右延部232の右端部分より上方に向けて延在する第2右側上延部233とを有している。
【0024】
第1右側上延部231は、後端部がユニットベース基部21の後端部よりも後方に突出しており、上記左側ユニットローラ224と左右一対となる態様で右側ユニットローラ234が回転可能に設けられている。第2右側上延部233は、後端部の上下寸法がその他の領域の上下寸法よりも大きくなるように形成されており、その上下寸法は、第2左側上延部223の後方領域の上下寸法よりも大きい。
【0025】
また、第2右側上延部233の後端部は、右側右延部232の後端部よりも後方に突出しており、上記左側連結孔225と左右一対となる態様で右側連結孔235が形成されている。すなわち、右側連結孔235は、左側連結孔225の右方側に形成されており、中心軸が左側連結孔225の中心軸に一致しており、内径も一致している。
【0026】
更に、第2右側上延部233の後端部には、右側連結孔235よりも前方側上部となる個所に異形状のガイド孔236が形成されている。
【0027】
ガイド孔236は、図8に示すように、全体として右側連結孔235の中心部分を基準として円弧状に延在した長孔であり、第1ロック縁部236a、第2ロック縁部236b及び第3ロック縁部236cを有している。第1ロック縁部236aは、ガイド孔236の下方部分より後方に突出する縁部である。第2ロック縁部236bは、ガイド孔236の上方部分より後方に突出する縁部である。第3ロック縁部236cは、第1ロック部と第2ロック部との間に後方に突出する縁部である。この第3ロック縁部236cと第2ロック縁部236bとは、円弧状のガイド縁部236dで連結されている。
【0028】
上記第2右側上延部233の前端部には、切欠が形成されており、その切欠の後方縁部には係合溝(被係合部)237が形成されている。
【0029】
そのようなユニットベース20には、例えば板金等により形成されたユニットベース補強部50が設けられている。ユニットベース補強部50は、左右一対となる左側ユニットベース補強部51と右側ユニットベース補強部52とを備えている。
【0030】
左側ユニットベース補強部51は、左側ベース補強基部511と、左側ベース上延部512とを有している。左側ベース補強基部511は、前後方向が長手方向となる長尺平板状部分であり、ユニットベース基部21の下面の左側部に接合されている。この左側ベース補強基部511の左端部分は、ユニットベース基部21の左端部分よりも左方に突出している。左側ベース上延部512は、左側ベース補強基部511の前後方向の中間部分の一部が切り欠かれることにより形成された舌片状部分を上方に屈曲させることにより形成されている。この左側ベース上延部512は、ユニットベース基部21の左端部分に形成されたスリット211を下方より貫通して、ユニットベース基部21の上面よりも上方に突出している。かかる左側ベース上延部512には、矩形状の左側係止孔513が形成されている。
【0031】
右側ユニットベース補強部52は、右側ベース補強基部521と、右側ベース上延部522とを有している。右側ベース補強基部521は、前後方向が長手方向となる長尺平板状部分であり、ユニットベース基部21の下面の右側部に接合されている。この右側ベース補強基部521の右端部分は、ユニットベース基部21の右端部分よりも右方に突出している。右側ベース上延部522は、右側ベース補強基部521の前後方向の中間部分の一部が切り欠かれることにより形成された舌片状部分を上方に屈曲させることにより形成されている。この右側ベース上延部522は、ユニットベース基部21の右端部分に形成されたスリット212を下方より貫通して、ユニットベース基部21の上面よりも上方に突出している。かかる右側ベース上延部522には、矩形状の右側係止孔523が形成されている。
【0032】
収納庫40は、前壁部及び天壁部が開口した箱状を成している。この収納庫40は、紙幣を長手方向が前後方向となる水平姿勢で上下に積層して内部に収納するもので、押えバネ41により上方に付勢された紙幣押え部材42を有している。
【0033】
そのような収納庫40の左側壁部及び右側壁部には、それぞれ左側係止片43及び右側係止片44が左右一対となる態様で形成されている。左側係止片43は、下方に向けて延在する舌片状部分の下端に左側に突出する左側係止突起43aが形成されて構成されている。この左側係止片43は、左右方向に沿って弾性変形可能である。右側係止片44は、下方に向けて延在する舌片状部分の下端に右側に突出する右側係止突起44aが形成されて構成されている。この右側係止片44は、左右方向に沿って弾性変形可能である。
【0034】
そのような収納庫40は、左側係止片43の左側係止突起43aが左側係止孔513に進入するとともに、右側係止片44の右側係止突起44aが右側係止孔523に進入することにより、ユニットベース基部21の上面に載置される態様でユニットベース20に設けられている。ここで、左側係止突起43aは左側係止孔513の開口面積よりも十分に小さく、右側係止突起44aは右側係止孔523の開口面積より十分に小さい。
【0035】
この収納庫40の前端部とユニットベース20との間には、バネ部材45が設けられている。バネ部材45は、収納庫40を上方に付勢する付勢手段である。
【0036】
これにより、収納庫40は、図9に示すように右側係止突起44aと右側係止孔523の縁部との隙間の分(図には明示していないが、左側係止突起43aと左側係止孔513の縁部との隙間の分)だけ前後方向及び上下方向に変位可能である。しかも、収納庫40は、バネ部材45により上方に付勢されている。
【0037】
つまり、収納庫40は、ユニットベース20に対し、予め決められた範囲内で該ユニットベース20の前後方向(奥行方向)及び上下方向(ユニットベース20に近接離反する方向)に変位可能に設けられ、かつバネ部材45により上方向(ユニットベース20から離隔する方向)に付勢されている。
【0038】
そのような構成を有するユニットベース20は、取付ベース60に取り付けられている。取付ベース60は、図4及び図5に示したように、例えば板金を加工して形成されており、取付ベース基部61と、取付ベース左側部62と、取付ベース右側部63とが一体的に成形されて構成されている。取付ベース基部61は、前後方向が長手方向となる矩形状の平板状部分であり、左右方向の寸法は、ユニットベース基部21の左右方向の寸法よりも大きい。
【0039】
取付ベース左側部62は、取付ベース基部61の左端部分より上方に向けて延在する左方上延部621と、この左方上延部621の上端部分の一部より右方に向けて延在する左方右延部622とを有している。
【0040】
左方上延部621は、前方部分に切欠が形成されており、切欠よりも前方側の部分に左方取付ローラ623が回転可能に設けられている。また、左方上延部621の後端部分は、舌片状部分を右方に屈曲することにより左方後端ストッパ624が形成されている。左方右延部622は、左方上延部621における切欠よりも後方側の部分の上端部分より右方に向けて延在している。
【0041】
取付ベース右側部63は、取付ベース基部61の右端部分より上方に向けて延在する右方上延部631と、この右方上延部631の上端部分の一部より左方に向けて延在する右方左延部632とを有している。
【0042】
右方上延部631は、前方部分に切欠が形成されており、切欠よりも前方側の部分には、左方取付ローラ623と左右一対となる態様で右方取付ローラ633が回転可能に設けられている。また、右方上延部631の後端部分は、舌片状部分を左方に屈曲することにより右方後端ストッパ634が形成されている。更に、右方上延部631の切欠の近傍には、舌片状部分を左方に屈曲することにより右方前端ストッパ635が形成されている。右方左延部632は、右方上延部631における切欠よりも後方側の部分の上端部分より左方に向けて延在している。
【0043】
そのような取付ベース60は、図2に示すように、筐体2を構成する部材に取付ネジN等により取り付けられている。そして、かかる取付ベース60に対し、左側ユニットローラ224が左方右延部622の下方に進入しつつ左側左延部222が左方取付ローラ623に載置され、かつ右側ユニットローラ234が右方左延部632の下方に進入しつつ右側右延部232が右方取付ローラ633に載置することにより、ユニットベース20が前後方向に沿ってスライド可能に取り付けられている。
【0044】
これにより、紙幣処理装置10(ユニットベース20)は、取付ベース60に対し、図3に示すように左側ユニットローラ224が左方後端ストッパ624に当接するとともに右側ユニットローラ234が右方後端ストッパ634に当接する後端位置と、図10に示すように右側ユニットローラ234が右方前端ストッパ635に当接する前端位置との間でスライド可能である。このように紙幣処理装置10が、ユニットベース20が前端位置に配置されるまでスライドすることにより、図11に示すように前面開口2aが開放された筐体2から紙幣処理装置10の略全体を露出させることができる。そして、ユニットベース20が前端位置に配置される場合、右側ユニットローラ234が右方前端ストッパ635に当接しつつ取付ベース基部61、右方上延部631及び右方左延部632に囲繞されることにより、紙幣処理装置10は、取付ベース60から離脱することが規制されている。つまり、紙幣処理装置10は、ユニットベース20が前端位置に配置される場合、筐体2から取り外されないように設置されている。
【0045】
ユニット本体30は、例えば板金等を加工して形成された箱体であり、図12にも示すように、紙幣挿入部31、鑑別部32及び搬送機構33が設けられている。
【0046】
紙幣挿入部31は、ユニット本体30の前方上部に設けられている。この紙幣挿入部31は、長手方向を挿入方向とした紙幣が挿入される部分であり、水平方向に延在され、前方から奥方に向けて漸次狭くなる態様で形成された紙幣挿入口31aを有している。この紙幣挿入部31は、前面扉3が前面開口2aを閉塞した場合に矩形状貫通孔6から露出するようになっている。
【0047】
鑑別部32は、紙幣挿入部31の下方にて該紙幣挿入部31に連設されており、紙幣挿入口31aから挿入された紙幣を奥方に搬送しながら紙幣が受付可能な紙幣であるか否かを鑑別するようになっている。
【0048】
搬送機構33は、複数の搬送ローラ等により構成されている。この搬送機構33は、鑑別部32にて紙幣が鑑別できなかった場合、当該紙幣を反対方向に搬送することにより、紙幣挿入口31aから返却するものである。また搬送機構33は、鑑別部32にて紙幣が受付可能な紙幣であると鑑別できた場合には、当該紙幣を鑑別部32から後方に搬送するものである。
【0049】
そのようなユニット本体30には、図4及び図5に示したように、左側連結軸状部341、右側連結軸状部342及び操作部材35が設けられている。
【0050】
左側連結軸状部341は、ユニット本体30の左側部の後端部分より左方に突出する態様で設けられている。右側連結軸状部342は、ユニット本体30の右側部の後端部分より右方に突出する態様で設けられている。これら左側連結軸状部341及び右側連結軸状部342は、左右一対となるものであり、互いの中心軸が一致するするとともに外径寸法等も一致している。
【0051】
操作部材35は、例えば板金等を加工して形成されたものであり、前後方向が長手方向となる長尺状部材である。この操作部材35は、ユニット本体30の内部であって右側部の近傍に前後方向に沿って延在する態様で配設されている。
【0052】
かかる操作部材35の前端部分は、ユニット本体30から前方に突出しており、一部が右方に屈曲された操作部351を構成している。そのような操作部材35は、ユニット本体30の内部にて前後方向に沿ってスライド可能であり、図示せぬ操作スプリングにより常時後方に向けて付勢されている。
【0053】
また、操作部材35の前端部、すなわち操作部351よりも後方側の下方には、係合片(係合部)352が設けられている。係合片352は、操作部材35の前端部の下方において、下方に向けて突出する舌片状部分を右方に屈曲することにより形成されている。
【0054】
更に、操作部材35の後端部分には、ユニット本体30の右側部の切欠部分から露出する態様でガイド軸部353が設けられている。
【0055】
そのような構成を有するユニット本体30は、左側連結軸状部341が左側連結孔225を右方から挿通するとともに右側連結軸状部342が右側連結孔235を左方から挿通することにより、ユニットベース20に取り付けられている。これら左側連結軸状部341及び右側連結軸状部342には、それぞれ左側連結孔225及び右側連結孔235から離脱することを防止するための複数の抜止部材361,362が設けられている。また、ガイド軸部353は、ガイド孔236を左方から挿通して抜止部材363が設けられている。
【0056】
つまり、ユニット本体30は、紙幣挿入部31が設けられた前方側(手前側)が開閉可能となる態様で後方側(奥側)がユニットベース20に回動自在に連結されている。そして、ユニット本体30は、操作部材35に形成された係合片352がユニットベース20に形成された係合溝237に進入して係合することにより、図3に示したように閉状態となるものである。ここで、ユニット本体30が閉状態となる場合、ガイド軸部353は、ガイド孔236における第1ロック縁部236aに当接している。
【0057】
ユニット本体30が閉状態となる紙幣処理装置10においては、収納庫40が、ユニットベース20に対して、予め決められた範囲内で前後方向及び上下方向に変位可能に設けられ、かつバネ部材45により上方向に付勢されているので、図13に示すように、ユニットベース20とユニット本体30との寸法誤差を吸収し、収納庫40をユニット本体30に押し付けることができ、閉状態となるユニット本体30の姿勢を変形させることがない。
【0058】
そのようなユニット本体30が閉状態となる紙幣処理装置10は、ユニットベース20が後端位置に配置されるまでスライドすることにより、筐体2の内部に配設され、紙幣挿入口31aを通じて挿入された紙幣の金種等を鑑別し、鑑別した紙幣を収納庫40に上下に積層した状態で収納している。
【0059】
そして、紙幣処理装置10においては、収納庫40に収納された紙幣を取り出す場合には、次のように動作する。
【0060】
前面扉3を開く方向に揺動させて前面開口2aを開閉させ、紙幣処理装置10は、ユニットベース20が前端位置に配置されるまでスライドする(図11参照)。かかる状態にて、図14に示すように、操作部351が把持されて操作力が付与されることにより操作部材35が操作スプリングの付勢力に抗してスライドし、これにより、係合片352が係合溝237から離脱して係合状態が解除される。このとき、ガイド軸部353も前方にスライドし、第1ロック縁部236aから離脱する。
【0061】
そして、図15に示すように、ユニット本体30が上方に向けて回動し、ガイド孔236を下方から上方に向けて変位するガイド軸部353が操作スプリングの付勢力により第2ロック縁部236bに当接することにより、ユニット本体30が開状態に保持される。これにより収納庫40が露出され、該収納庫40に収納された紙幣を取り出すことができる。
【0062】
そのようにして収納庫40から紙幣が取り出された紙幣処理装置10は、次のようにしてユニット本体30が閉状態になる。
【0063】
すなわち、図16に示すように、操作部351が把持されて操作力が付与されることにより操作部材35が操作スプリングの付勢力に抗してスライドし、これにより、ガイド軸部353も前方にスライドし、第2ロック縁部236bから離脱する。この結果、ユニット本体30の開状態のロック姿勢が解除される。
【0064】
そして、ユニット本体30を下方に向けて回動する。この場合において、操作部351がフリーな状態となって操作部材35に対する操作力の付与が解除されており、操作部材35は、操作スプリングの付勢力によって後方にスライドする結果、ガイド軸部353はガイド縁部236dに摺接する。
【0065】
その後、図17に示すように、ガイド軸部353が第3ロック縁部236cに当接することにより、ユニット本体30の下方への回動が規制される。そして、図18に示すように、操作部351が把持されて操作力が付与されることにより操作部材35が操作スプリングの付勢力に抗してスライドし、これにより、ガイド軸部353も前方にスライドし、第3ロック縁部236cから離脱する。この結果、ユニット本体30の下方への回動が規制された状態が解除される。その後、ガイド軸部353が第1ロック縁部236aに当接するとともに、係合片352が係合溝237に進入して係合することにより、ユニット本体30が閉状態となる。
【0066】
このようにしてユニット本体30が閉状態となった紙幣処理装置10は、ユニットベース20が後端位置に配置されるまでスライドすることで筐体2に収納される。
【0067】
上記紙幣処理装置10においては、ガイド孔236及び操作部材35(ガイド軸部353)が、ユニット本体30が下方に回動して閉状態に保持するとともに、ユニット本体30が上方に回動して開状態に保持するロック手段を構成している。
【0068】
以上説明したように、本発明の実施の形態である紙幣処理装置10によれば、収納庫40は、ユニットベース20に対し、予め決められた範囲内で前後方向及び上下方向に変位可能に設けられ、かつバネ部材45により上方に付勢されていたので、ユニットベース20とユニット本体30との寸法誤差を吸収し、収納庫40をユニット本体30に押し付けることができ、閉状態となるユニット本体30の姿勢を変形させることがない。これにより、紙幣挿入口31aの位置ずれを防止することができる。
【0069】
上記紙幣処理装置10によれば、ロック手段を構成するガイド孔236及び操作部材35が、ユニット本体30が開状態から下方に向けて回動する場合に、ガイド軸部353を第3ロック縁部236cに当接させてユニット本体30の下方への回動を規制するので、作業者の手指がユニットベース20とユニット本体30との間に挟まってしまうことを回避することができる。
【0070】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0071】
上述した実施の形態では、ユニットベース20に形成されたガイド孔236と、ユニット本体30にスライド可能に設けられた操作部材35のガイド軸部353とにより、ロック手段を構成していたが、本発明においては、ユニットベースにガイド軸部が設けられ、ユニット本体にガイド孔が設けられてロック手段を構成してもよい。またロック手段として、異形状のガイド孔とガイド軸部とに限られず、ユニット本体を閉状態や開状態に保持することができれば種々の構成を採用することができる。
【符号の説明】
【0072】
1…電子マネーチャージ機、2…筐体、3…前面扉、10…紙幣処理装置、20…ユニットベース、225…左側連結孔、235…右側連結孔、236…ガイド孔、237…係合溝、30…ユニット本体、31…紙幣挿入部、32…鑑別部、33…搬送機構、341…左側連結軸状部、342…右側連結軸状部、35…操作部材、351…操作部、352…係合片、353…ガイド軸部、40…収納庫、43…左側係止片、44…右側係止片、45…バネ部材、513…左側係止孔、523…右側係止孔。
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