(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138782
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】固体撮像装置およびその製造方法、並びに電子機器
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20241002BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
H01L27/146 F
H01L29/78 301J
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049458
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】君塚 直彦
【テーマコード(参考)】
4M118
5F140
【Fターム(参考)】
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA19
4M118CA03
4M118CA05
4M118FA27
4M118FA28
4M118GA02
4M118GB04
4M118GB07
4M118GB11
4M118GC07
4M118GD07
5F140AC10
5F140BA01
5F140BG08
5F140BH15
5F140BH43
5F140BK13
5F140BK20
5F140CC02
5F140CC03
5F140CC08
5F140CC09
(57)【要約】
【課題】配線設計の自由度をより高めることが可能な固体撮像装置を提供できるようにする。
【解決手段】固体撮像装置は、光電変換部及び光電変換部で発生した信号電荷が蓄積される電荷蓄積部を有する第1半導体層と、電荷蓄積部の信号電荷を読み出す画素トランジスタを含む複数のトランジスタが形成され、第1半導体層に積層された第2半導体層とを備え、複数のトランジスタのうちの少なくとも1つの特定トランジスタは、ウェル領域、ソース電極、または、ドレイン電極に接続する少なくとも1つの配線が第2半導体層のゲート電極側と反対側の層から接続する構成であり、配線が接続されたウェル領域、ソース電極、または、ドレイン電極の底面が絶縁膜と接する構成である。本開示は、例えば、固体撮像装置等に適用できる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換部及び前記光電変換部で発生した信号電荷が蓄積される電荷蓄積部を有する第1半導体層と、
前記電荷蓄積部の前記信号電荷を読み出す画素トランジスタを含む複数のトランジスタが形成され、前記第1半導体層に積層された第2半導体層と
を備え、
前記複数のトランジスタのうちの少なくとも1つの特定トランジスタは、ウェル領域、ソース電極、または、ドレイン電極に接続する少なくとも1つの配線が前記第2半導体層のゲート電極側と反対側の層から接続する構成であり、前記配線が接続された前記ウェル領域、前記ソース電極、または、前記ドレイン電極の底面が絶縁膜と接する構成である
固体撮像装置。
【請求項2】
前記第1半導体層と、第1配線層とを含む第1基板と、
前記第2半導体層と、第2配線層とを含む第2基板とを積層して構成され、
前記特定トランジスタは、前記ウェル領域、前記ソース電極、または、前記ドレイン電極に接続する少なくとも1つの配線が、前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に配置された前記第1配線層から接続する構成である
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記特定トランジスタは、前記ウェル領域、前記ソース電極、または、前記ドレイン電極に接続する少なくとも1つの配線が前記第1半導体層上面に形成された配線から接続する構成である
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記特定トランジスタは、前記第1半導体層上面に形成された配線から前記ウェル領域に接続する構成である
請求項3に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記特定トランジスタの前記ウェル領域に、前記ゲート電極に供給する電位と同一の電位が供給されるように構成される
請求項4に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記第1半導体層上面に形成された配線は、ポリシリコン、または、高融点金属材料で構成される
請求項4に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記特定トランジスタは、前記ウェル領域、前記ソース電極、または、前記ドレイン電極に接続する少なくとも1つの配線が前記第1半導体層に形成された半導体領域から接続する構成である
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記特定トランジスタは、前記第1半導体層に形成された半導体領域から前記ウェル領域に接続する構成である
請求項7に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記特定トランジスタの前記ウェル領域に、基準電位が供給されるように構成される
請求項8に記載の固体撮像装置。
【請求項10】
前記特定トランジスタは、前記第1半導体層に形成された半導体領域から前記ソース電極または前記ドレイン電極に接続する構成である
請求項7に記載の固体撮像装置。
【請求項11】
前記特定トランジスタは、素子分離領域で他の素子と分離されて構成される
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項12】
前記第1半導体層と、第1配線層とを含む第1基板と、
前記第2半導体層と、第2配線層とを含む第2基板と、
第3半導体層と、第3配線層とを含む第3基板とを有し、
前記第1基板と前記第3基板との間に、前記第2基板が配置される
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項13】
光電変換部及び前記光電変換部で発生した信号電荷が蓄積される電荷蓄積部を有する第1半導体層と、
前記電荷蓄積部の前記信号電荷を読み出す画素トランジスタを含む複数のトランジスタが形成される第2半導体層とを積層し、
前記複数のトランジスタのうちの少なくとも1つの特定トランジスタを、ウェル領域、ソース電極、または、ドレイン電極に接続する少なくとも1つの配線が前記第2半導体層のゲート電極側と反対側の層から接続するとともに、前記配線が接続された前記ウェル領域、前記ソース電極、または、前記ドレイン電極の底面が絶縁膜と接するように形成する
固体撮像装置の製造方法。
【請求項14】
光電変換部及び前記光電変換部で発生した信号電荷が蓄積される電荷蓄積部を有する第1半導体層と、
前記電荷蓄積部の前記信号電荷を読み出す画素トランジスタを含む複数のトランジスタが形成され、前記第1半導体層に積層された第2半導体層と
を備え、
前記複数のトランジスタのうちの少なくとも1つの特定トランジスタは、ウェル領域、ソース電極、または、ドレイン電極に接続する少なくとも1つの配線が前記第2半導体層のゲート電極側と反対側の層から接続する構成であり、前記配線が接続された前記ウェル領域、前記ソース電極、または、前記ドレイン電極の底面が絶縁膜と接する構成である
固体撮像装置
を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体撮像装置およびその製造方法、並びに電子機器に関し、特に、配線設計の自由度をより高めることが可能な固体撮像装置を提供できるようにした固体撮像装置およびその製造方法、並びに電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、特許文献1において、フォトダイオードが画素毎に形成された第1基板と、フォトダイオードで生成された電荷に基づく画素信号を読み出す回路を有する第2基板と、画素信号を処理するロジック回路を有する第3基板とを積層した固体撮像装置を提案している。特許文献1で提案した固体撮像装置では、フォトダイオードの電荷を転送する転送トランジスタとフローティングディフュージョンは第1基板に形成され、増幅トランジスタ、リセットトランジスタ、選択トランジスタ等は第2基板に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような固体撮像装置では、配線設計の自由度をより高めることが望ましい。
【0005】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、配線設計の自由度をより高めることが可能な固体撮像装置を提供できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の側面の固体撮像装置は、
光電変換部及び前記光電変換部で発生した信号電荷が蓄積される電荷蓄積部を有する第1半導体層と、
前記電荷蓄積部の前記信号電荷を読み出す画素トランジスタを含む複数のトランジスタが形成され、前記第1半導体層に積層された第2半導体層と
を備え、
前記複数のトランジスタのうちの少なくとも1つの特定トランジスタは、ウェル領域、ソース電極、または、ドレイン電極に接続する少なくとも1つの配線が前記第2半導体層のゲート電極側と反対側の層から接続する構成であり、前記配線が接続された前記ウェル領域、前記ソース電極、または、前記ドレイン電極の底面が絶縁膜と接する構成である。
【0007】
本開示の第2の側面の固体撮像装置の製造方法は、
光電変換部及び前記光電変換部で発生した信号電荷が蓄積される電荷蓄積部を有する第1半導体層と、
前記電荷蓄積部の前記信号電荷を読み出す画素トランジスタを含む複数のトランジスタが形成される第2半導体層とを積層し、
前記複数のトランジスタのうちの少なくとも1つの特定トランジスタを、ウェル領域、ソース電極、または、ドレイン電極に接続する少なくとも1つの配線が前記第2半導体層のゲート電極側と反対側の層から接続するとともに、前記配線が接続された前記ウェル領域、前記ソース電極、または、前記ドレイン電極の底面が絶縁膜と接するように形成する。
【0008】
本開示の第3の側面の電子機器は、
光電変換部及び前記光電変換部で発生した信号電荷が蓄積される電荷蓄積部を有する第1半導体層と、
前記電荷蓄積部の前記信号電荷を読み出す画素トランジスタを含む複数のトランジスタが形成され、前記第1半導体層に積層された第2半導体層と
を備え、
前記複数のトランジスタのうちの少なくとも1つの特定トランジスタは、ウェル領域、ソース電極、または、ドレイン電極に接続する少なくとも1つの配線が前記第2半導体層のゲート電極側と反対側の層から接続する構成であり、前記配線が接続された前記ウェル領域、前記ソース電極、または、前記ドレイン電極の底面が絶縁膜と接する構成である
固体撮像装置
を備える。
【0009】
本開示の第1ないし第3の側面においては、光電変換部及び前記光電変換部で発生した信号電荷が蓄積される電荷蓄積部を有する第1半導体層と、前記電荷蓄積部の前記信号電荷を読み出す画素トランジスタを含む複数のトランジスタが形成される第2半導体層とが積層される。前記複数のトランジスタのうちの少なくとも1つの特定トランジスタが、ウェル領域、ソース電極、または、ドレイン電極に接続する少なくとも1つの配線が前記第2半導体層のゲート電極側と反対側の層から接続する構成であり、前記配線が接続された前記ウェル領域、前記ソース電極、または、前記ドレイン電極の底面が絶縁膜と接するように形成される。
【0010】
固体撮像装置及び電子機器は、独立した装置であっても良いし、他の装置に組み込まれるモジュールであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施の形態に係る固体撮像装置の機能構成の一例を表すブロック図である。
【
図2】固体撮像装置の概略構成例を示す平面図である。
【
図3】画素共有ユニットの構成例を表す等価回路図である。
【
図4】第1基板および第2基板の画素共有ユニット部分の構成例を示す断面図である。
【
図5】
図4と異なる部分の第1基板および第2基板の構成例を示す断面図である。
【
図6】
図5のトランジスタの効果を説明する図である。
【
図7】
図5のトランジスタの製造方法を説明する図である。
【
図8】
図5のトランジスタの製造方法を説明する図である。
【
図9】
図5のトランジスタの第1変形例を示す断面図である。
【
図10】
図5のトランジスタの第2変形例を示す断面図である。
【
図11】画素共有ユニット部分の3つの基板の積層構成例を示す断面図である。
【
図12】本開示の技術を適用した電子機器としての撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【
図13】イメージセンサの使用例を説明する図である。
【
図14】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図15】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の技術を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。説明は以下の順序で行う。
1.固体撮像装置の機能構成ブロック図
2.固体撮像装置の概略構成
3.画素共有ユニットの等価回路図
4.画素共有ユニットの構成例
5.DTMOSの構成例
6.DTMOSの製造方法
7.変形例
8.固体撮像装置の3枚積層構成例
9.電子機器への適用例
10.移動体への応用例
【0013】
なお、以下の説明で参照する図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付すことにより重複説明を適宜省略する。図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は実際のものとは異なる。また、図面相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0014】
また、以下の説明における上下等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本開示の技術的思想を限定するものではない。例えば、対象を90°回転して観察すれば上下は左右に変換して読まれ、180°回転して観察すれば上下は反転して読まれる。
【0015】
<1.固体撮像装置の機能構成ブロック図>
図1は、本開示の一実施の形態に係る固体撮像装置の機能構成例を示すブロック図である。
【0016】
図1に示される固体撮像装置1は、例えば、入力部21A、行駆動部22、タイミング制御部23、画素アレイ部24、列信号処理部25、画像信号処理部26、及び、出力部21Bを含んでいる。
【0017】
画素アレイ部24には、画素31がアレイ状に繰り返し配置されている。より具体的には、複数の画素31を含んだ画素共有ユニット32が、繰り返し単位となり、行方向と列方向とからなるアレイ状に繰り返し配置されている。
図1の例において、1つの画素共有ユニット32は、4つの画素31で構成され、これら4つの画素31を区別する場合、画素31A、31B、31C、及び31Dと称する。画素31A、31B、31C、及び31Dからなる画素共有ユニット32は、例えば2行×2列で配置されている。なお、本明細書では、便宜上、行方向をH方向、行方向と直交する列方向をV方向、と呼ぶ場合がある。画素アレイ部24には、複数の画素31とともに、複数の行駆動信号線33および複数の垂直信号線(列読出し線)34が設けられている。行駆動信号線33は、画素アレイ部24において行方向に並んで配列された各画素31を駆動する。後に
図3を参照して詳しく説明するが、画素共有ユニット32には、複数のトランジスタが設けられている。これら複数のトランジスタをそれぞれ駆動するために、1つの画素共有ユニット32には複数の行駆動信号線33が接続されている。垂直信号線34には、画素共有ユニット32が接続されている。画素共有ユニット32に含まれる画素31A、31B、31C、及び31D各々から、垂直信号線34を介して画素信号が読み出される。
【0018】
行駆動部22は、例えば、画素駆動するための行の位置を決める行アドレス制御部、言い換えれば、行デコーダ部と、画素31を駆動するための信号を発生させる行駆動回路部を備える。
【0019】
タイミング制御部23は、装置へ入力された基準クロック信号やタイミング制御信号を基にして、行駆動部22と列信号処理部25へ、タイミングを制御する信号を供給する。以後、本開示においては、行駆動部22、列信号処理部25、及びタイミング制御部23の全部もしくは一部を、単に画素周辺回路部、周辺回路部、または、制御回路部と呼ぶ場合がある。
【0020】
列信号処理部25は、例えば、垂直信号線34に接続され、画素31とソースフォロア回路を形成する負荷回路部を備える。また、列信号処理部25は、垂直信号線34を介して画素31から読み出された信号を増幅する増幅回路部を備えていても良い。さらに、列信号処理部25は、光電変換の結果として画素31から読み出された信号から、系のノイズレベルを取り除くための、ノイズ処理部をさらに備えても良い。
【0021】
列信号処理部25は、画素31から読み出された信号もしくは上記ノイズ処理されたアナログ信号を、デジタル信号へと変換するための、アナログデジタルコンバータ(ADC)を備える。ADCは、変換対象となるアナログ信号と、これと比較対象となる参照掃引信号とを比較するためのコンパレータ部、および、コンパレータ部での比較結果が反転するまでの時間を計測するカウンタ部を備える。列信号処理部25は、読出し列を走査する制御を行う水平走査回路部をさらに備えても良い。
【0022】
画像信号処理部26は、光電変換の結果得られたデータ、言い換えれば、固体撮像装置1における撮像動作の結果得られたデータに対して、各種の信号処理を施す回路である。画像信号処理部26は、例えば、画像信号処理回路部と、データ保持部とを含んで構成される。画像信号処理部26は、更にプロセッサ部を備えても良い。
【0023】
画像信号処理部26において実行される信号処理の一例は、AD変換された撮像データが、暗い被写体を撮影したデータである場合には階調を多く持たせ、明るい被写体を撮影したデータである場合には階調を少なくするトーンカーブ補正処理である。この場合、撮像データの階調をどのようなトーンカーブに基づいて補正するか、トーンカーブの特性データを予め画像信号処理部26のデータ保持部に記憶させておくことが望ましい。
【0024】
入力部21Aは、例えば、上記基準クロック信号や、垂直同期信号および水平同期信号などのタイミング制御信号や、画像信号処理部26のデータ保持部へ記憶させる特性データなどを、装置外部から固体撮像装置1へ入力する回路である。入力部21Aは、例えば、入力端子41、入力回路部42、入力振幅変更部43、入力データ変換回路部44、及び、電源供給部(不図示)を含んでいる。
【0025】
入力端子41は、固体撮像装置1へデータを入力するための外部端子である。入力回路部42は、入力端子41へ入力された信号を固体撮像装置1の内部へと取り込む。入力振幅変更部43は、入力回路部42で取り込まれた信号の振幅を、固体撮像装置1の内部で利用しやすい振幅へと変更する。入力データ変換回路部44は、入力データのデータ列の並びを変更する。入力データ変換回路部44は、例えば、入力データとしてシリアル信号を受け取って、これをパラレル信号へと変換するシリアルパラレル変換回路である。なお、入力振幅変更部43と入力データ変換回路部44は、省略される場合もある。電源供給部は、外部から固体撮像装置1へ供給された電源をもとにして、固体撮像装置1の内部で必要となる各種の電圧に設定された電源を供給する。
【0026】
固体撮像装置1がフラッシュメモリやSRAM、DRAMと言った外部のメモリデバイスと接続される場合には、入力部21Aは、これら外部のメモリデバイスからのデータを受け取るメモリインタフェース回路をさらに備えることができる。
【0027】
出力部21Bは、固体撮像装置1で撮影された画像データや、画像信号処理部26で信号処理された画像データを、固体撮像装置1から装置外部へと出力する回路である。出力部21Bは、例えば、出力データ変換回路部45、出力振幅変更部46、出力回路部47、及び、出力端子48を含んでいる。
【0028】
出力データ変換回路部45は、出力データのデータ列の並びを変更する。出力データ変換回路部45は、例えば、固体撮像装置1内部で使用したパラレル信号を、シリアル信号へと変換するパラレルシリアル変換回路である。出力振幅変更部46は、固体撮像装置1の内部で用いた信号の振幅を、固体撮像装置1の外部に接続された外部デバイスで利用しやすい振幅へと変更する。出力回路部47は、出力端子48と接続された固体撮像装置1外部の外部配線を駆動する回路である。出力端子48は、固体撮像装置1から装置外部へとデータを出力するための外部端子である。出力データ変換回路部45と出力振幅変更部46は、省略される場合もある。
【0029】
固体撮像装置1がフラッシュメモリやSRAM、DRAMと言った外部のメモリデバイスと接続される場合には、出力部21Bは、これら外部のメモリデバイスへとデータを出力するメモリインタフェース回路をさらに備えることができる。
【0030】
<2.固体撮像装置の概略構成>
図2は、固体撮像装置1の概略構成例を示す平面図である。
【0031】
固体撮像装置1は、第1基板100、第2基板200、及び、第3基板300を貼り合わせた3次元構造となっている。第1基板100、第2基板200、及び、第3基板300は、この順に積層されており、第1基板100と第3基板300との間に、第2基板200が配置されている。
図2は、第1基板100、第2基板200、第3基板300各々の平面構成を模式的に表している。
【0032】
画素アレイ部24および画素アレイ部24に含まれる画素共有ユニット32は、ともに、第1基板100および第2基板200の双方を用いて構成されている。第1基板100には、画素共有ユニット32が有する複数の画素31A、31B、31C、及び31Dが設けられている。これらの画素31のそれぞれが、フォトダイオードPD(
図3)および転送トランジスタTR(
図3)を有している。第2基板200には、画素共有ユニット32が有する画素回路210(
図3)が設けられている。画素回路210は、画素31A、31B、31C、及び31D各々のフォトダイオードPDから転送トランジスタTRを介して転送された画素信号を読み出し、あるいは、フォトダイオードPDをリセットする。この第2基板200は、このような画素回路に加えて、行方向に延在する複数の行駆動信号線33および列方向に延在する複数の垂直信号線34を有している。第2基板200は、更に、行方向に延在する電源線35を有している。
【0033】
第3基板300は、例えば、入力部21A、行駆動部22、タイミング制御部23、列信号処理部25、画像信号処理部26、及び、出力部21Bを有している。行駆動部22は、例えば、第1基板100、第2基板200および第3基板300の積層方向(以下、単に積層方向という)において、一部が画素アレイ部24に重なる領域に設けられている。より具体的には、行駆動部22は、積層方向において、画素アレイ部24のH方向の端部近傍に重なる領域に設けられている。列信号処理部25は、例えば、積層方向において、一部が画素アレイ部24に重なる領域に設けられている。より具体的には、列信号処理部25は、積層方向において、画素アレイ部24のV方向の端部近傍に重なる領域に設けられている。図示は省略するが、入力部21A、行駆動部22、タイミング制御部23、列信号処理部25、画像信号処理部26、及び、出力部21Bは、第3基板300以外の部分に配置されていてもよく、例えば、第2基板200に配置されていてもよい。入力部21Aおよび出力部21Bは、第1基板100の裏面(光入射面)側に設けるようにしてもよい。なお、上記第2基板200に設けられた画素回路210は、別の呼称として、画素トランジスタ回路、画素トランジスタ群、画素読み出し回路または読出回路と呼ばれることもある。本明細書では、画素回路との呼称を用いる。
【0034】
第1基板100と第2基板200とは、例えば、貫通電極(不図示)により電気的に接続されている。第2基板200と第3基板300とは、例えば、コンタクト部201、202、301、及び、302を介して電気的に接続されている。第2基板200にコンタクト部201及び202が設けられ、第3基板300にコンタクト部301及び302が設けられている。第2基板200のコンタクト部201が第3基板300のコンタクト部301に接し、第2基板200のコンタクト部202が第3基板300のコンタクト部302に接している。第2基板200は、複数のコンタクト部201が設けられたコンタクト領域201Rと、複数のコンタクト部202が設けられたコンタクト領域202Rとを有している。第3基板300は、複数のコンタクト部301が設けられたコンタクト領域301Rと、複数のコンタクト部302が設けられたコンタクト領域302Rとを有している。コンタクト領域201R、301Rは、積層方向において、画素アレイ部24と行駆動部22との間に設けられている。換言すれば、コンタクト領域201R、301Rは、例えば、行駆動部22(第3基板300)と、画素アレイ部24(第2基板200)とが積層方向に重なる領域、もしくはこの近傍領域に設けられている。コンタクト領域201R、301Rは、例えば、このような領域のうち、H方向の端部に配置されている。第3基板300では、例えば、行駆動部22の一部、具体的には行駆動部22のH方向の端部に重なる位置にコンタクト領域301Rが設けられている。コンタクト部201、301は、例えば、第3基板300に設けられた行駆動部22と、第2基板200に設けられた行駆動信号線33とを接続するものである。コンタクト部201、301は、例えば、第3基板300に設けられた入力部21Aと電源線35および基準電位線(後述の基準電位線VSS)とを接続していてもよい。コンタクト領域202R、302Rは、積層方向において、画素アレイ部24と列信号処理部25との間に設けられている。換言すれば、コンタクト領域202R、302Rは、例えば、列信号処理部25(第3基板300)と画素アレイ部24(第2基板200)とが積層方向に重なる領域、もしくはこの近傍領域に設けられている。コンタクト領域202R、302Rは、例えば、このような領域のうち、V方向の端部に配置されている。第3基板300では、例えば、列信号処理部25の一部、具体的には列信号処理部25のV方向の端部に重なる位置にコンタクト領域302Rが設けられている。コンタクト部202、302は、例えば、画素アレイ部24が有する複数の画素共有ユニット32各々から出力された画素信号(フォトダイオードでの光電変換の結果発生した電荷の量に対応した信号)を、第3基板300に設けられた列信号処理部25へと接続する。画素信号は、第2基板200から第3基板300に送られるように構成されている。
【0035】
第1基板100および第2基板200には、例えば、接続孔部H1、H2が設けられている。接続孔部H1、H2は、第1基板100および第2基板200を貫通して、開口されている。接続孔部H1、H2は、画素アレイ部24(または画素アレイ部24に重なる部分)の外側に設けられている。例えば、接続孔部H1は、H方向において画素アレイ部24より外側に配置されており、接続孔部H2は、V方向において画素アレイ部24よりも外側に配置されている。例えば、接続孔部H1は、第3基板300に設けられた入力部21Aに達しており、接続孔部H2は、第3基板300に設けられた出力部21Bに達している。接続孔部H1、H2は、空洞でもよく、少なくとも一部に導電材料を含んでいても良い。例えば、入力部21A及び/又は出力部21Bとして形成された電極に、ボンディングワイヤを接続する構成がある。または、入力部21A及び/又は出力部21Bとして形成された電極と、接続孔部H1、H2に設けられた導電材料とを接続する構成がある。接続孔部H1、H2に設けられた導電材料は、接続孔部H1、H2の一部または全部に埋め込まれていても良く、導電材料が接続孔部H1、H2の側壁に形成されていても良い。
【0036】
<3.画素共有ユニットの等価回路>
図3は、画素共有ユニット32の構成例を表す等価回路図である。
【0037】
画素共有ユニット32は、画素31A、31B、31C、及び31Dの4つの画素31と、この4つの画素31に接続された1の画素回路210とを含んでいる。画素31A、31B、31C、及び31Dは、第1基板100に形成されており、画素回路210は、第2基板200に形成されている。画素回路210は、例えば、4つの画素トランジスタ、具体的には、増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSEL、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGを含んでいる。画素共有ユニット32は、1の画素回路210を時分割で動作させることにより、画素共有ユニット32に含まれる4つの画素31A、31B、31C、及び31Dそれぞれの画素信号を順次垂直信号線34へ出力する。複数の画素31に1の画素回路210が接続されており、この複数の画素31の画素信号が、1の画素回路210により時分割で出力される態様を、「複数の画素31が1の画素回路210を共有する」という。
【0038】
画素31A、31B、31C、及び31Dは、互いに共通の構成要素を有している。以降、画素31A、31B、31C、及び31Dの構成要素を互いに区別する場合、画素31Aの構成要素の符号の末尾には“a”、画素31Bの構成要素の符号の末尾には“b”、画素31Cの構成要素の符号の末尾には“c”、画素31Dの構成要素の符号の末尾には“d”を付する。画素31A、31B、31C、及び31Dの構成要素を互いに区別する必要のない場合には、画素31A、31B、31C、及び31Dの構成要素の符号の末尾の識別符号“a”、“b”、“c”、“d”を省略する。
【0039】
画素31は、例えば、光電変換部としてのフォトダイオードPDと、フォトダイオードPDと電気的に接続された転送トランジスタTRと、転送トランジスタTRに電気的に接続されたフローティングディフュージョンFDとを有している。フォトダイオードPD(PDa、PDb、PDc、PDd)では、カソードが転送トランジスタTR(TRa、TRb、TRc、TRd)のソースに電気的に接続されており、アノードが基準電位線(例えばグラウンド)に電気的に接続されている。フォトダイオードPDは、入射した光を光電変換し、その受光量に応じた信号電荷を発生する。転送トランジスタTRは、例えば、N型のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)トランジスタである。転送トランジスタTRでは、ドレインがフローティングディフュージョンFD(FDa、FDb、FDc、FDd)に電気的に接続され、ゲートが駆動信号線に電気的に接続されている。この駆動信号線は、1の画素共有ユニット32に接続された複数の行駆動信号線33(
図1)のうちの一部である。転送トランジスタTRは、フォトダイオードPDで発生した電荷をフローティングディフュージョンFDへと転送する。フローティングディフュージョンFDは、例えばp型半導体層中に形成されたn型拡散層領域で構成される。フローティングディフュージョンFDは、フォトダイオードPDから転送された信号電荷を一時的に保持する電荷保持部であり、かつ、その電荷量に応じた電圧を発生させる電荷電圧変換部である。
【0040】
1の画素共有ユニット32に含まれる4つのフローティングディフュージョンFDa、FDb、FDc、及びFDdは、互いに電気的に接続されるとともに、増幅トランジスタAMPのゲートおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGのソースに電気的に接続されている。FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのドレインはリセットトランジスタRSTのソースに接続され、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのゲートは駆動信号線に接続されている。この駆動信号線は、1の画素共有ユニット32に接続された複数の行駆動信号線33のうちの一部である。リセットトランジスタRSTのドレインは電源線VDDに接続され、リセットトランジスタRSTのゲートは駆動信号線に接続されている。この駆動信号線は、1の画素共有ユニット32に接続された複数の行駆動信号線33のうちの一部である。増幅トランジスタAMPのゲートはフローティングディフュージョンFDa、FDb、FDc、及びFDdに接続され、増幅トランジスタAMPのドレインは電源線VDDに接続され、増幅トランジスタAMPのソースは選択トランジスタSELのドレインに接続されている。選択トランジスタSELのソースは垂直信号線34に接続され、選択トランジスタSELのゲートは駆動信号線に接続されている。この駆動信号線は、1の画素共有ユニット32に接続された複数の行駆動信号線33のうちの一部である。
【0041】
転送トランジスタTRは、転送トランジスタTRがオン状態となると、フォトダイオードPDの電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する。リセットトランジスタRSTは、フローティングディフュージョンFDの電位を所定の電位にリセットする。リセットトランジスタRSTがオン状態となると、フローティングディフュージョンFDの電位を電源線VDDの電位にリセットする。選択トランジスタSELは、画素回路210からの画素信号の出力タイミングを制御する。増幅トランジスタAMPは、画素信号として、フローティングディフュージョンFDに保持された電荷のレベルに応じた電圧の信号を生成する。増幅トランジスタAMPは、選択トランジスタSELを介して垂直信号線34に接続されている。この増幅トランジスタAMPは、列信号処理部25において、垂直信号線34に接続された負荷回路部(
図1)とともにソースフォロアを構成している。増幅トランジスタAMPは、選択トランジスタSELがオン状態となると、フローティングディフュージョンFDの電圧を、垂直信号線34を介して列信号処理部25に出力する。リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMP、及び、選択トランジスタSELは、例えば、N型のMOSトランジスタである。
【0042】
FD変換ゲイン切替トランジスタFDGは、フローティングディフュージョンFDでの電荷-電圧変換のゲインを変更する際に用いられる。一般に、暗い場所での撮影時には画素信号が小さい。Q=CVに基づき、電荷電圧変換を行う際に、フローティングディフュージョンFDの容量(FD容量C)が大きければ、増幅トランジスタAMPで電圧に変換した際のVが小さくなってしまう。一方、明るい場所では、画素信号が大きくなるので、FD容量Cが大きくなければ、フローティングディフュージョンFDで、フォトダイオードPDの電荷を受けきれない。さらに、増幅トランジスタAMPで電圧に変換した際のVが大きくなりすぎないように(言い換えると、小さくなるように)、FD容量Cが大きくなっている必要がある。これらを踏まえると、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGをオンにしたときには、FD変換ゲイン切替トランジスタFDG分のゲート容量が増えるので、全体のFD容量Cが大きくなる。一方、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGをオフにしたときには、全体のFD容量Cが小さくなる。このように、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGをオンオフ切り替えることで、FD容量Cを可変にし、変換効率を切り替えることができる。FD変換ゲイン切替トランジスタFDGは、例えば、N型のMOSトランジスタである。
【0043】
なお、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGを設けない構成も可能である。このとき、例えば、画素回路210は、例えば増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSEL、及び、リセットトランジスタRSTの3つの画素トランジスタで構成される。
【0044】
選択トランジスタSELは、電源線VDDと増幅トランジスタAMPとの間に設けられていてもよい。この場合、リセットトランジスタRSTのドレインが電源線VDDおよび選択トランジスタSELのドレインに電気的に接続される。選択トランジスタSELのソースが増幅トランジスタAMPのドレインに電気的に接続され、選択トランジスタSELのゲートが行駆動信号線33(
図1)に電気的に接続される。増幅トランジスタAMPのソース(画素回路210の出力端)が垂直信号線34に電気的に接続され、増幅トランジスタAMPのゲートがリセットトランジスタRSTのソースに電気的に接続される。
【0045】
なお、図示は省略するが、1の画素回路210を共有する画素31の数は、4以外であってもよい。例えば、2つまたは8つの画素31が1の画素回路210を共有してもよい。あるいはまた、画素回路210が複数の画素31で共有される構成ではなく、1画素毎に画素回路210が設けられてもよい。
【0046】
<4.画素共有ユニットの構成例>
図4は、第1基板100および第2基板200の画素共有ユニット32部分の構成例を模式的に示した断面図である。より具体的には、
図4は、画素共有ユニット32に含まれる画素31A、31B、31C、及び31DのうちのV方向またはH方向の2画素相当の断面図である。
【0047】
図4では、第1基板100と第2基板200が、この順に積層されている。第1基板100は、第1半導体層である半導体層100Sと、第1配線層である配線層100Tを含む。第2基板200は、第2半導体層である半導体層200Sと、第2配線層である配線層200Tを含む。第1基板100の裏面側(光入射面側)には受光レンズ401が形成されている。受光レンズ401と第1基板100との間に、カラーフィルタ層(図示せず)が設けられていてもよい。受光レンズ401は画素31毎に設けられている。
【0048】
本明細書では、便宜上、以降の断面図で、固体撮像装置1における光入射側を「下」「下側」「下方」「下層」、光入射側と反対側を「上」「上側」「上方」「上層」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、便宜上、半導体層と配線層を備えた基板に関して、配線層の側をおもて面、半導体層の側を裏面と呼ぶ場合がある。
【0049】
第1基板100は、受光レンズ401側から順に、絶縁膜111、固定電荷膜112、半導体層100Sおよび配線層100Tを有している。半導体層100Sは、例えばシリコン基板により構成されている。半導体層100Sは、例えば、配線層100T側のおもて面の一部およびその近傍に、pウェル層115を有しており、pウェル層115よりも深い領域にn型半導体領域114を有している。pウェル層115はp型半導体領域であり、このn型半導体領域114およびpウェル層115によりpn接合型のフォトダイオードPDが構成されている。受光レンズ401は、例えば、固定電荷膜112および絶縁膜111を間にして半導体層100Sに対向して形成されている。受光レンズ401は、例えば画素31のフォトダイオードPDに対向する位置に設けられている。固体撮像装置1は、フォトダイオードPDを有する第1基板100の裏面側から光が入射する、裏面照射型の固体撮像装置となっている。
【0050】
第2基板200は、第1基板100側から、半導体層200Sおよび配線層200Tをこの順に有している。半導体層200Sは、例えば、シリコン基板で構成されている。半導体層200Sでは、厚み方向にわたってウェル領域211が設けられている。ウェル領域211は、例えば、p型半導体領域である。第2基板200には、半導体層200Sを分断する絶縁領域212と、半導体層200Sの厚み方向の一部に設けられた素子分離領域213とが設けられている。絶縁領域212は、例えば酸化シリコンにより構成されている。配線層200Tは、層間絶縁膜222と、その間に積層される複数の金属配線Wを含んでいる。
図4では、層間絶縁膜222に積層される複数の金属配線Wのうち、第1の金属配線W1のみが示されている。層間絶縁膜222は、例えば、酸化シリコンにより構成されている。
【0051】
第2基板200には、画素共有ユニット32毎に配置された画素回路210の一部である増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSELが設けられている。この増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSELは、例えば、半導体層200Sのおもて面側(配線層200T側)に設けられている。固体撮像装置1では、第1基板100のおもて面側(配線層100T側)に第2基板200の裏面側(半導体層200S側)が向かうようにして、第2基板200が第1基板100に貼り合わされている。つまり、第2基板200は、第1基板100にフェイストゥーバックで貼り合わされている。
【0052】
半導体層100Sのおもて面近傍には、フローティングディフュージョンFDおよびVSSコンタクト領域118が設けられている。フローティングディフュージョンFDは、pウェル層115内に設けられたn型半導体領域により構成されている。画素31A、31B、31C、及び31D各々のフローティングディフュージョンFD(FDa、FDb、FDc、FDd)は、例えば、画素共有ユニット32の中央部に互いに近接して設けられている。この画素共有ユニット32に含まれる4つのフローティングディフュージョンFD(FDa、FDb、FDc、FDd)は、第1基板100内(より具体的には配線層100T内)のパッド部120を介して互いに電気的に接続されている。更に、フローティングディフュージョンFDは、貫通電極120Eを介して、第1基板100の配線層100Tから第2基板200の配線層200Tへと接続されている。第2基板200の配線層200Tの内部では、この貫通電極120Eにより、フローティングディフュージョンFDが、増幅トランジスタAMPのゲートおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDG(不図示)のソースに電気的に接続されている。VSSコンタクト領域118は、基準電位線VSSに電気的に接続される領域であり、フローティングディフュージョンFDと離間して配置されている。例えば、各画素31のV方向の一端にフローティングディフュージョンFDが配置され、他端にVSSコンタクト領域118が配置される。VSSコンタクト領域118は、例えば、p型半導体領域により構成されている。VSSコンタクト領域118は、例えば接地電位や固定電位に接続されている。これにより、半導体層100Sに基準電位が供給される。
【0053】
第1基板100には、フォトダイオードPD、フローティングディフュージョンFD、およびVSSコンタクト領域118とともに、転送トランジスタTRが設けられている。このフォトダイオードPD、フローティングディフュージョンFD、VSSコンタクト領域118および転送トランジスタTRは、画素31A、31B、31C、及び31D各々に設けられている。転送トランジスタTRは、半導体層100Sのおもて面側(光入射面側とは反対側、第2基板200側)に設けられている。転送トランジスタTRは、転送ゲートTGを有している。
図4の例では、転送トランジスタTRは、転送ゲートTGが半導体層100Sのおもて面上に形成された平面型トランジスタで構成されているが、転送ゲートTGの一部が半導体層100S内に掘り込まれた縦型トランジスタで構成してもよい。転送ゲートTGの側面は、サイドウォールSWで覆われている。サイドウォールSWは、例えば窒化シリコン(SiN)を含んでいる。半導体層100Sと転送ゲートTGとの間には、ゲート絶縁膜(不図示)が設けられている。画素31A、31B、31C、及び31D各々の転送ゲートTGは、例えば、平面視でフローティングディフュージョンFDを囲むように設けられている。
【0054】
半導体層100Sには、画素31A、31B、31C、及び31Dを互いに分離する画素分離部117が設けられている。画素分離部117は、半導体層100Sの法線方向(半導体層100Sのおもて面に対して垂直な方向)に延在して形成されている。画素分離部117は、画素31A、31B、31C、及び31Dを互いに仕切るように設けられており、例えば平面視で格子状を有している。画素分離部117は、例えば、画素31A、31B、31C、及び31Dを互いに電気的および光学的に分離する。画素分離部117は、例えば、遮光膜117Aおよび絶縁膜117Bを有する。遮光膜117Aには、例えば、タングステン(W)等が用いられる。絶縁膜117Bは、遮光膜117Aと、pウェル層115またはn型半導体領域114との間に設けられている。絶縁膜117Bは、例えば、酸化シリコン(SiO)によって構成されている。画素分離部117は、半導体層100Sを貫通するFTI(Full Trench Isolation)構造を有している。画素分離部117はFTI構造に限定されない。例えば、半導体層100Sを貫通しないDTI(Deep Trench Isolation)構造であっても良い。画素分離部117は、半導体層100Sの法線方向に延在して、半導体層100Sの一部の領域に形成される。
【0055】
半導体層100Sには、例えば、第1ピニング領域113および第2ピニング領域116が設けられている。第1ピニング領域113は、半導体層100Sの裏面近傍に設けられており、n型半導体領域114と固定電荷膜112との間に配置されている。第2ピニング領域116は、画素分離部117の側面、具体的には、画素分離部117とn型半導体領域114との間に設けられている。第1ピニング領域113および第2ピニング領域116は、例えば、p型半導体領域により構成されている。
【0056】
半導体層100Sと絶縁膜111との間には、負の固定電荷を有する固定電荷膜112が設けられている。固定電荷膜112が誘起する電界により、半導体層100Sの受光面(裏面)側の界面に、ホール蓄積層の第1ピニング領域113が形成される。これにより、半導体層100Sの受光面側の界面準位に起因した暗電流の発生が抑えられる。固定電荷膜112は、例えば、負の固定電荷を有する絶縁膜によって形成されている。この負の固定電荷を有する絶縁膜の材料としては、例えば、酸化ハフニウム、酸化ジルコン、酸化アルミニウム、酸化チタンまたは酸化タンタルが挙げられる。遮光膜117Aは、固定電荷膜112より受光レンズ401側において、半導体層100S内部の幅よりも広く形成されて固定電荷膜112の一部を覆うように設けられている。絶縁膜111は、この遮光膜117Aと固定電荷膜112を覆うように設けられている。絶縁膜111は、例えば、酸化シリコンにより構成されている。
【0057】
半導体層100Sと第2基板200との間に設けられた配線層100Tは、層間絶縁膜123、パッド部120及び121、並びに、転送ゲートTGを有している。層間絶縁膜123は、半導体層100Sのおもて面全面にわたって設けられており、半導体層100Sに接している。層間絶縁膜123は、例えば酸化シリコン膜により構成されている。なお、配線層100Tの構成は上述の限りでなく、金属配線と絶縁膜とを有する構成であれば良い。パッド部120及び121は、半導体層100S上の選択的な領域に設けられている。パッド部120は、画素31A、31B、31C、及び31D各々のフローティングディフュージョンFD(FDa、FDb、FDc、FDd)を互いに接続する。パッド部120は、例えば、画素共有ユニット32毎に、平面視で画素共有ユニット32の中央部に配置されている。このパッド部120は、画素分離部117を跨ぐように設けられており、フローティングディフュージョンFDa、FDb、FDc、FDd各々の少なくとも一部に重畳して配置されている。具体的には、パッド部120は、画素回路210を共有する複数のフローティングディフュージョンFD(FDa、FDb、FDc、FDd)各々の少なくとも一部と、その画素回路210を共有する複数のフォトダイオードPD(PDa、PDb、PDc、PDd)の間に形成された画素分離部117の少なくとも一部とに対して、半導体層100Sのおもて面に対して垂直な方向に重なる領域に形成される。パッド部121は、複数のVSSコンタクト領域118を互いに接続する。例えば、画素共有ユニット32のV方向に隣り合う画素31B、31Dに設けられたVSSコンタクト領域118と、隣りの画素共有ユニット32のV方向に隣り合う画素31A、31Cに設けられたVSSコンタクト領域118とがパッド部121により電気的に接続されている。パッド部121は、例えば、画素分離部117を跨ぐように設けられており、これら4つのVSSコンタクト領域118各々の少なくとも一部に重畳して配置されている。具体的には、パッド部121は、複数のVSSコンタクト領域118各々の少なくとも一部と、その複数のVSSコンタクト領域118の間に形成された画素分離部117の少なくとも一部とに対して、半導体層100Sのおもて面に対して垂直な方向に重なる領域に形成される。パッド部120を設けることで、チップ全体において、各フローティングディフュージョンFDから画素回路210(例えば増幅トランジスタAMPのゲート電極)へ接続するための配線を減らすことができる。同様に、パッド部121を設けることで、チップ全体において、各VSSコンタクト領域118への電位を供給する配線を減らすことができる。これにより、チップ全体の面積の縮小、微細化された画素における配線間の電気的干渉の抑制、及び/又は部品点数の削減によるコスト削減などが可能になる。パッド部120及び121は、第1基板100または第2基板200の所望の位置に設けることができる。具体的には、パッド部120及び121を、配線層100T、または、半導体層200Sの絶縁領域212のいずれかに設けることができる。特に、パッド部120及び121を配線層100Tに設ける場合には、半導体層200Sの絶縁領域212におけるフローティングディフュージョンFD及び/又はVSSコンタクト領域118に接続される配線を減らすことができる。これにより、画素回路210を形成する第2基板200のうち、フローティングディフュージョンFDから画素回路210に接続するための貫通配線を形成するための絶縁領域212の面積を削減することができる。よって、画素回路210を形成する第2基板200の面積を大きく確保することができる。画素回路210の面積を確保することで、画素トランジスタを大きく形成することができ、ノイズ低減などによる画質向上に寄与することができる。特に、画素分離部117にFTI構造を用いた場合、フローティングディフュージョンFD及び/又はVSSコンタクト領域118は、各画素31に設けることが好ましいため、パッド部120及び121の構成を用いることで、第1基板100と第2基板200とを接続する配線を大幅に削減することができる。パッド部120及び121は、例えば、ポリシリコン(Poly Si)、より具体的には、不純物が添加されたドープドポリシリコンにより構成されている。パッド部120及び121は、例えば、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)等の高融点金属材料により形成してもよい。パッド部120及び121を、ポリシリコン、タングステン(W)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)等の耐熱性の高い導電性材料により形成することにより、第1基板100に第2基板200の半導体層200Sを貼り合わせた後に、画素回路210を形成することが可能となる。以下、この理由について説明する。なお、以下の説明において、第1基板100と第2基板200の半導体層200Sを貼り合わせた後に、画素回路210を形成する方法を、第1の製造方法と呼ぶ。一方、第2基板200に画素回路210を形成した後に、第2基板200を第1基板100に貼り合わせる方法を、第2の製造方法と呼ぶ。
【0058】
第2の製造方法では、第1基板100と第2基板200それぞれの接合面に電気的接続用の電極を予め形成しておく。第1基板100と第2基板200を貼り合わせると、これと同時に、第1基板100と第2基板200それぞれに形成された電気的接続用の電極同士が接触する。これにより、第1基板100に含まれる配線と第2基板200に含まれる配線との間で電気的接続が形成される。よって、第2の製造方法を用いた固体撮像装置1の構成とすることで、例えば第1基板100と第2基板200の各々の構成に応じて適切なプロセスを用いて製造することができ、高品質、高性能な撮像装置を製造することができる。このような第2の製造方法では、第1基板100と第2基板200とを貼り合わせる際に、貼り合せ用の製造装置に起因して、位置合わせの誤差が生じることがある。また、第1基板100および第2基板200は、例えば、直径数十cm程度の大きさを有するが、第1基板100と第2基板200とを貼り合わせる際に、この第1基板100、第2基板200各部の微視的領域で、基板の伸び縮みが発生するおそれがある。この基板の伸び縮みは、基板同士が接触するタイミングが多少ずれることに起因する。このような第1基板100および第2基板200の伸び縮みに起因して、第1基板100および第2基板200それぞれに形成された電気的接続用の電極の位置に、誤差が生じることがある。第2の製造方法では、このような誤差が生じても、第1基板100および第2基板200それぞれの電極同士が接触するように対処しておくことが好ましい。具体的には、第1基板100および第2基板200の電極の少なくとも一方、好ましくは両方を、上記誤差を考慮して大きくしておく。このため、第2の製造方法を用いると、例えば、第1基板100または第2基板200に形成された電極の大きさ(基板平面方向の大きさ)が、第1基板100または第2基板200の内部から表面に厚み方向へ延在する内部電極の大きさよりも大きくなる。
【0059】
一方、パッド部120及び121を耐熱性の導電材料により構成することで、上記第1の製造方法を用いることが可能となる。第1の製造方法では、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTRなどを含む第1基板100を形成した後、この第1基板100と第2基板200(半導体層200S)とが貼り合わされる。このとき、第2基板200は、画素回路210を構成する能動素子および配線層などのパターンは未形成の状態である。第2基板200はパターンを形成する前の状態であるため、仮に、第1基板100と第2基板200を貼り合わせる際、その貼り合せ位置に誤差が生じたとしても、この貼り合せ誤差によって、第1基板100のパターンと第2基板200のパターンとの間の位置合わせに誤差が生じることはない。なぜならば、第2基板200のパターンは、第1基板100と第2基板200を貼り合わせた後に形成するからである。なお、第2基板200にパターンを形成する際には、例えば、パターン形成のための露光装置において、第1基板に形成されたパターンを位置合わせの対象としながらパターンが形成される。上記理由により、第1基板100と第2基板200との貼り合せ位置の誤差は、第1の製造方法においては、固体撮像装置1を製造する上で問題とならない。同様の理由で、第2の製造方法で生じる基板の伸び縮みに起因した誤差も、第1の製造方法においては、固体撮像装置1を製造する上で問題とならない。
【0060】
第1の製造方法では、このようにして第1基板100と第2基板200(の半導体層200S)とを貼り合せた後、第2基板200上に能動素子が形成される。この後、貫通電極120E、121E等が形成される。この貫通電極120E、121Eの形成では、例えば、第2基板200の上方から、露光装置による縮小投影露光を用いて貫通電極のパターンが形成される。縮小露光投影を用いるため、仮に、第2基板200と露光装置との位置合わせに誤差が生じても、その誤差の大きさは、第2基板200においては、上記第2の製造方法の誤差の数分の一(縮小露光投影倍率の逆数)にしかならない。よって、第1の製造方法を用いた固体撮像装置1の構成とすることで、第1基板100と第2基板200の各々に形成される素子同士の位置合わせが容易になり、高品質、高性能な撮像装置を製造することができる。
【0061】
このような第1の製造方法を用いて製造された固体撮像装置1は、第2の製造方法で製造された固体撮像装置1と異なる特徴を有する。具体的には、第1の製造方法により製造された固体撮像装置1では、例えば、貫通電極120E、121Eが、第2基板200から第1基板100に至るまで、略一定の太さ(基板平面方向の大きさ)となっている。あるいは、貫通電極120E、121Eがテーパー形状を有するときには、一定の傾きのテーパー形状を有している。このような貫通電極120E、121Eを有する固体撮像装置1は、画素31を微細化しやすい。
【0062】
ここで、第1の製造方法により固体撮像装置1を製造すると、第1基板100と第2基板200(の半導体層200S)とを貼り合わせた後に、第2基板200に能動素子を形成するので、第1基板100にも、能動素子の形成の際に必要な加熱処理の影響が及ぶことになる。このため、上記のように、第1基板100に設けられたパッド部120及び121には、耐熱性の高い導電材料を用いることが好ましい。例えば、パッド部120及び121には、第2基板200の配線層200Tに含まれる配線材の少なくとも一部よりも、融点の高い(すなわち耐熱性の高い)材料を用いることが好ましい。例えば、パッド部120及び121に、ドープトポリシリコン、タングステン、チタンあるいは窒化チタン等の耐熱性の高い導電材料が用いられる。これにより、上記第1の製造方法を用いて固体撮像装置1を製造することが可能となる。パッド部120及び121は、窒化タンタル(TaN)、アルミニウム(Al)および銅(Cu)等の金属材料により構成されていてもよい。
【0063】
<5.DTMOSの構成例>
図5は、
図4と異なる部分の第1基板100および第2基板200の構成例を模式的に示した断面図である。
【0064】
図5には、第1基板100の第2基板200の積層方向の一部が図示されており、特に、第2基板200に形成されたトランジスタTRX近傍の断面構成が示されている。トランジスタTRXは、例えば、入力部21A、行駆動部22、タイミング制御部23、列信号処理部25、画像信号処理部26、及び、出力部21Bのいずれか1つ以上の回路に設けられた特定のトランジスタ(特定トランジスタ)である。トランジスタTRXは、ゲート電極とウェル領域を電気的に短絡させたDTMOS(Dynamic Threshold-voltage MOS)で構成されている。
【0065】
トランジスタTRXは、半導体層200Sのおもて面上に形成されたゲート電極TGXと、半導体層200S内に形成されたウェル領域211、ソース電極251、及び、ドレイン電極252を有している。ゲート電極TGXの側面は、サイドウォールSWXにより覆われている。ソース電極251及びドレイン電極252は、半導体層200Sの厚み方向全体にわたって形成されており、ソース電極251及びドレイン電極252の底面は、配線層100Tの層間絶縁膜123に接している。ソース電極251及びドレイン電極252の外側の領域は絶縁領域212で素子分離されている。ゲート電極TGXは、例えば、ポリシリコン(Poly Si)、より具体的には、不純物が添加されたドープドポリシリコンにより構成されている。ソース電極251及びドレイン電極252は、n型半導体領域で構成されている。サイドウォールSWXは、例えば窒化シリコン(SiN)を含んでいる。
【0066】
第2基板200の配線層200Tは、コンタクト配線261、262、及び263と、貫通電極142を有している。コンタクト配線261はゲート電極TGXと接続され、ゲート電極TGXに所定の電圧Vg(ゲート電圧Vg)を供給する。コンタクト配線262はソース電極251に接続され、コンタクト配線263はドレイン電極252に接続されている。コンタクト配線261、262、263、及び、貫通電極142と、層間絶縁膜222との間には、それぞれ、バリアメタル271、272、273、及び、144が形成されている。コンタクト配線261、262、及び263と、貫通電極142は、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)および銅(Cu)等の金属材料により構成される。バリアメタル271、272、273、及び、144は、例えば、Ti、TiN、Ta、TaN等で構成される。
【0067】
第1基板100の半導体層100Sには、複数のアクティブ領域171(171A、171B)が設けられており、各アクティブ領域171は素子分離領域172で分離されている。アクティブ領域171は、例えばp型半導体領域である。素子分離領域172は、例えば酸化シリコンにより構成されている。半導体層100Sのおもて面近傍のアクティブ領域171Aには、コンタクト領域173が設けられている。コンタクト領域173は、例えば、アクティブ領域171より高濃度のp型半導体領域により構成されている。コンタクト領域173は、例えば接地電位や固定電位に接続されている。これにより、半導体層100Sに基準電位が供給されている。
【0068】
配線層100Tは、配線151、コンタクト配線141、及び、貫通電極142を有している。配線151は、半導体層100Sのおもて面上に、例えば、ポリシリコン、より具体的には、不純物が添加されたドープドポリシリコンにより構成されている。配線151は、高融点金属材料で形成されてもよい。高融点金属材料としては、例えば、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)等を用いることができる。配線151は、コンタクト配線141を介してトランジスタTRXのボティであるウェル領域211に接続されており、トランジスタTRXのウェル領域211にボティ電位を供給する。ウェル領域211とコンタクト配線141との接続部には、シリサイド152が形成されている。配線151からコンタクト配線141を介してウェル領域211に供給されるボティ電位は、コンタクト配線261がゲート電極TGXに供給する電位と同一である。つまり、ウェル領域211とゲート電極TGXが電気的に短絡されている。
【0069】
配線層100Tのコンタクト配線141及び貫通電極142と、層間絶縁膜123との間には、それぞれ、バリアメタル143及び144が形成されている。コンタクト配線141及び貫通電極142は、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)および銅(Cu)等の金属材料により構成される。バリアメタル143及び144は、例えば、Ti、TiN、Ta、TaN等で構成される。
【0070】
以上のように、トランジスタTRXは、ウェル領域211、ソース電極251、及び、ドレイン電極252の底面が、絶縁膜(層間絶縁膜123)に接するSOI(Silicon On Insulator)構造を有する。トランジスタTRXは、ウェル領域211が絶縁領域(層間絶縁膜123及び絶縁領域212)により他のトランジスタと完全に分離され、ゲート電極TGXに供給する電位(ゲート電圧Vg)と同一の電位が、ボティ電位としてウェル領域211に供給されるDTMOSである。DTMOSは、オフ時(Vg=0V)は基板バイアスは印加されず、閾値電圧Vthが高い。一方、オン時は基板バイアス効果が発生するので、閾値電圧Vthが低下し、高いオン電流が得られる。従って、トランジスタTRXをDTMOSとして動作させることで、オフリークの増大を抑制しながら、オン電流を増大させることができる。トランジスタTRXの電気特性を向上させることができる。
【0071】
トランジスタTRXは、ソース電極251の底面が絶縁膜(層間絶縁膜123)と接する構造であるため、ボティとソース電極の間の接触面積を最小化し、順方向バイアスに伴う電流を最小化することができる。
【0072】
トランジスタTRXにおいては、ウェル領域211の底面にコンタクト配線141が接続され、ボティ電位が、半導体層200Sの下方の配線層100Tに形成された配線151から供給される。ここで仮に、ボティ電位を、半導体層200Sのおもて面側の配線層200Tからウェル領域211に供給する構成とした場合、半導体層200Sのおもて面側の配線層200Tに形成したコンタクト配線をウェル領域211に接続するための領域が必要となることから、
図6に示されるようにウェル領域211が平面方向に突き出るように平面積を大きくする必要があり、トランジスタが専有する面積が大きくなる。トランジスタTRXでは、半導体層200Sのおもて面側の配線層200Tからウェル領域211に接続するのではなく、半導体層200Sの裏面側の配線層100Tからウェル領域211に接続することにより、トランジスタが専有する面積を縮小することができ、面積ペナルティを抑制することができる。ウェル領域211の底面に接続する構成とすることで、コンタクト配線141の設計の自由度が増し、配線間容量を低減させることができる。
【0073】
固体撮像装置1においては、第2基板200に形成された入力部21A、行駆動部22、タイミング制御部23、列信号処理部25、画像信号処理部26、及び、出力部21Bのいずれか1つ以上の回路のうち、on/off比などの特性がクリティカルとなるトランジスタに対して、上述したDTMOS構造のトランジスタTRXを適用することができる。DTMOS構造のトランジスタTRXとするか、通常のトランジスタとするかは、ソース-ドレイン間の電流とソース-ウェル間に流れる電流の大小関係、または、ゲート電極(及びボディ)に印加される最大電圧を基準に判断することができる。例えばN型のMOSトランジスタの場合、ゲート電極に印加される電圧の最大値が0.8V程度であれば、ソース-ボティ間の順方向電流は影響が小さい。従って、ゲート電極に印加される電圧の最大値が0.8V以下の場合に、DTMOS構造のトランジスタTRXを採用することができる。DTMOS構造のトランジスタTRXを採用することで、トランジスタ特性を向上させることができる。ソース電極の底面が絶縁膜に接している構造の場合、順方向電流が低減されるため、さらに有利である。
【0074】
なお、トランジスタTRXは、入力部21A、行駆動部22、タイミング制御部23、列信号処理部25、画像信号処理部26、及び、出力部21Bのいずれか1つ以上の回路に設けられたトランジスタであると説明したが、画素アレイ部24に設けられるトランジスタであってもよい。例えば、複数の画素31で共有される画素回路210または画素毎に設けられた画素回路210を構成する画素トランジスタの少なくとも1つをDTMOS構造のトランジスタTRXとしてもよい。また、画素回路210とは別に画素毎に設けられたトランジスタが存在する場合、そのトランジスタをDTMOS構造のトランジスタTRXとしてもよい。
【0075】
<6.DTMOSの製造方法>
次に、
図7及び
図8を参照して、
図5に示したトランジスタTRXの製造方法について説明する。
【0076】
初めに、
図7のAに示されるように、第1基板100となる半導体層100Sに、アクティブ領域171(171A、171B)と素子分離領域172が形成される。アクティブ領域171は、例えばp型半導体領域である。素子分離領域172は、例えば酸化シリコンにより構成されている。半導体層100Sのアクティブ領域171Aのおもて面近傍に、コンタクト領域173が形成される。コンタクト領域173は、例えば、アクティブ領域171より高濃度のp型半導体領域により構成されている。不図示のアクティブ領域171には、MOSトランジスタ(MOSFET)等の素子が形成される。
【0077】
次に、
図7のBに示されるように、半導体層100Sのおもて面上の所定の領域に、配線151が形成される。配線151は、例えば、ポリシリコンやタングステンの耐熱性の高い導電性材料で形成される。
【0078】
次に、
図7のCに示されるように、配線151が形成された半導体層100S上面に、例えばCVD法(Chemical Vapor Deposition)を用いて、配線層100Tの層間絶縁膜123が形成された後、層間絶縁膜123の上面が、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)により平坦化される。層間絶縁膜123は、例えばSiO2、SiN、SION、SiCNなどで構成することができる。半導体層100Sと配線層100Tにより、第1基板100が構成される。
【0079】
次に、
図7のDに示されるように、配線151が形成された領域の層間絶縁膜123の一部分をエッチングにより開口し、バリアメタル143を形成した後に、例えば、タングステン等の金属材料を埋め込み、平坦化することにより、コンタクト配線141が形成される。
【0080】
次に、
図7のEに示されるように、コンタクト配線141として埋め込んだ金属材料の一部をエッチバック法により除去し、半導体層200S(
図8)のシリコンとシリサイドを形成するための金属材料152’が埋め込まれ、平坦化される。金属材料152’は、例えばチタンで構成される。
【0081】
次に、
図8のAに示されるように、第1基板100の配線層100Tの層間絶縁膜123に、第2基板200となる半導体層200Sが、例えば、プラズマ接合等により貼り合わされる。半導体層200Sは、例えばシリコン基板により構成される。
【0082】
次に、
図8のBに示されるように、半導体層200Sに対して、アクティブ領域であるウェル領域211と、素子分離領域である絶縁領域212が形成される。ウェル領域211は、例えばp型半導体領域とされる。絶縁領域212は、例えば酸化シリコンにより構成される。
【0083】
次に、
図8のCに示されるように、トランジスタTRXのゲート電極TGXとサイドウォールSWXがウェル領域211上に形成されるとともに、ウェル領域211内にソース電極251及びドレイン電極252が形成される。これにより、トランジスタTRXが完成する。ソース電極251及びドレイン電極252は、n型半導体領域であり、リン、ヒ素等のn型不純物のイオン注入と活性化アニール処理を行うことにより形成される。ソース電極251及びドレイン電極252のうち、サイドウォールSWX下のn型半導体領域は、不純物濃度が低く形成されたたLDD(Lightly Doped Drain)領域であってもよい。
図8のCの工程における熱履歴により、コンタクト配線141の金属材料152’と接続するウェル領域211がシリサイド化し、シリサイド152が形成されている。
【0084】
次に、
図8のDに示されるように、トランジスタTRXが形成された半導体層200S上面に、例えばCVD法を用いて、配線層200Tの層間絶縁膜222が形成された後、層間絶縁膜222の上面が、例えばCMPにより平坦化される。層間絶縁膜222は、例えばSiO2、SiN、SION、SiCNなどで構成することができる。半導体層200Sと配線層200Tにより、第2基板200が構成される。
【0085】
次に、
図8のEに示されるように、ゲート電極TGXに接続するコンタクト配線261、ソース電極251に接続するコンタクト配線262、ドレイン電極252に接続するコンタクト配線263、及び、第1基板100のコンタクト領域173に接続する貫通電極142が形成される。より具体的には、まず、第2基板200のゲート電極TGX、ソース電極251、及び、ドレイン電極252と、第1基板100のコンタクト領域173に接続する領域に、配線層200Tの層間絶縁膜222を貫通する貫通孔が形成されて開口される。貫通電極142に対応する領域については、コンタクト領域173に到達する貫通孔が形成される。そして貫通孔の内周面(側壁)に、バリアメタル271、272、273、及び、144が形成された後に、例えばタングステン等の金属材料が埋め込まれることにより、コンタクト配線261、262、及び263と、貫通電極142が形成される。以上により、
図5に示したトランジスタTRX周辺の構造が完成する。
【0086】
以上のようにして、第1基板100及び第2基板200にトランジスタTRXを形成することができる。
【0087】
<7.変形例>
図9及び
図10は、トランジスタTRXの変形例を示す断面図である。
図9及び
図10において、
図5と対応する部分については同一の符号を付してあり、その部分の説明は適宜省略する。
【0088】
図9は、トランジスタTRXの第1変形例を示している。
【0089】
図5のトランジスタTRXは、ゲート電極TGXに供給する電位(ゲート電圧Vg)と同一の電位をウェル領域211(ボティ)に供給するDTMOS構造とされていた。換言すれば、
図5のトランジスタTRXでは、ウェル領域211(ボティ)の電位が、ゲート電極TGXと同じに制御された。
【0090】
これに対して、第1変形例に係るトランジスタTRXは、ゲート電極TGXの電圧制御とは独立して、固定の電位がウェル領域211(ボティ)に印加される構造とされている。具体的には、
図5のトランジスタTRXにおいて半導体層100Sのおもて面上に形成された配線151は省略されており、
図9の第1変形例では、半導体層100Sのアクティブ領域171Cにコンタクト領域174が形成されている。コンタクト領域174は、p型半導体領域またはn型半導体領域で構成される。アクティブ領域171A及び171Cは、素子分離領域172で分離されている。ウェル領域211(ボティ)に接続されたコンタクト配線141は、コンタクト領域174に接続されている。ウェル領域211には、コンタクト領域174からコンタクト配線141を介して、例えば接地電位や固定電位等の基準電位が供給される。
【0091】
なお、
図5のトランジスタTRXにおいて、半導体層100Sのおもて面上に形成された配線151からウェル領域211(ボティ)に、ゲート電圧Vgと同一電位ではなく、接地電位や固定電位等の基準電位が供給される構成としてもよい。
【0092】
図10は、トランジスタTRXの第2変形例を示している。
【0093】
第2変形例では、第1基板100の半導体層100Sに、アクティブ領域171Aと171Dが設けられており、それらは素子分離領域172で分離されている。また、
図5のトランジスタTRXにおいてウェル領域211(ボティ)にゲート電圧Vgと同一の電位を供給するための配線151と、コンタクト配線141及びバリアメタル143が省略されている。
【0094】
さらに、第2変形例では、トランジスタTRXのソース電極251に接続されているコンタクト配線262と、その外周のバリアメタル272が、第2基板200の配線層200Tではなく、第1基板100の配線層100Tに形成されている。換言すれば、ソース電極251に接続するコンタクト配線262が、ソース電極251の上側からではなく、ソース電極251の下側から接続するように構成されている。ソース電極251とコンタクト配線262との接続部には、シリサイド153が形成されている。コンタクト配線262は、ソース電極251と、アクティブ領域171Dのコンタクト領域175とを接続している。
【0095】
図10の第2変形例は、ソース電極251に接続するコンタクト配線262を、ソース電極251の上側からではなく、下側から接続した構成である。同様に、ドレイン電極252に接続するコンタクト配線263を、ドレイン電極252の上側からではなく、下側から接続するようにしてもよい。あるいはまた、ソース電極251に接続するコンタクト配線262と、ドレイン電極252に接続するコンタクト配線263の両方を、上側からではなく、下側から接続するようにしてもよい。さらに、
図9の第1変形例と、
図10の第2変形例とを組み合わせた構造でもよい。
【0096】
以上のように、固体撮像装置1において、第2基板200に形成されるトランジスタTRXは、ウェル領域211、ソース電極251、または、ドレイン電極252に接続する少なくとも1つの配線(コンタクト配線141、262、263)が、ウェル領域211、ソース電極251、及び、ドレイン電極252が形成された半導体層200Sの上側からでなく下側から、換言すれば、半導体層200Sのゲート電極側と反対側の配線層100Tから接続する構成であり、下側から接続する配線が接続されたウェル領域211、ソース電極251、または、ドレイン電極252の底面が絶縁膜123と接続する構成を採用することができる。これにより、コンタクト配線のレイアウトに自由度が増すので、配線設計の自由度が高まり、配線間容量を低減することが可能となる。また、トランジスタが専有する面積を縮小することができ、面積ペナルティを抑制することができる。
【0097】
<8.固体撮像装置の3枚積層構成例>
図11は、
図4で示した画素共有ユニット32部分の3つの基板の積層構成例を示す断面図である。
【0098】
図11において、第1基板100と、第2基板200の半導体層200Sの構成は、
図4と基本的に同様であるので、
図4と異なる部分について説明する。
【0099】
第2基板200の配線層200Tは、第1の金属配線W1の上層に、第2の金属配線W2及び第3の金属配線W3を有している。配線層200Tは、さらに、第3基板300の配線層300Tとの接合面に、複数の接合電極241を有している。接合電極241は、例えば、Cu(銅)、Al(アルミニウム)などの金属で形成されている。各接合電極241は、第2基板200と第3基板300との電気的な接続と、第2基板200と第3基板300との貼り合わせに用いられる。
【0100】
第3基板300は、第3半導体層である半導体層300Sと、第3配線層である配線層300Tと有し、第2基板200のおもて面側に半導体層300Sのおもて面を向けて第2基板200に貼り合わされている。つまり、第3基板300は、第2基板200にフェイストゥーフェイスで貼り合わされている。半導体層300Sには、例えば画像信号処理部26の一部であるトランジスタ311が形成されている。配線層300Tは、例えば、層間絶縁膜321と、その間に積層される複数の金属配線Wを含んでいる。
図4では、第1の金属配線W11と第2の金属配線W12の2層の金属配線Wが形成されているが、金属配線Wの積層数は問わない。金属配線Wは、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)および銅(Cu)等により構成される。層間絶縁膜321は、例えば、酸化シリコンにより構成されている。配線層300Tは、さらに、第2基板200の配線層200Tとの接合面に、複数の接合電極341を有している。接合電極341は、例えば、Cu(銅)、Al(アルミニウム)などの金属で形成されている。各接合電極341は、第2基板200と第3基板300との電気的な接続と、第2基板200と第3基板300との貼り合わせに用いられる。
【0101】
以上のように3枚の基板を積層して構成することにより、画素数または画素回路が増大した場合でも、今までと同等のチップサイズで固体撮像装置1を形成することができる。あるいはまた、今までと同等の画素数または画素回路の場合には、チップサイズをより縮小した固体撮像装置1を提供することができる。
【0102】
<9.電子機器への適用例>
本開示の技術は、固体撮像装置への適用に限られるものではない。即ち、本開示の技術は、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置や、撮像機能を有する携帯端末装置や、画像読取部に固体撮像装置を用いる複写機など、画像取込部(光電変換部)に固体撮像装置を用いる電子機器全般に対して適用可能である。固体撮像装置は、ワンチップとして形成された形態であってもよいし、撮像部と信号処理部または光学系とがまとめてパッケージングされた撮像機能を有するモジュール形態であってもよい。
【0103】
図12は、本開示の技術を適用した電子機器としての、撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【0104】
図12の撮像装置600は、レンズ群などからなる光学部601、
図1の固体撮像装置1の構成が採用される固体撮像装置(撮像デバイス)602、およびカメラ信号処理回路であるDSP(Digital Signal Processor)回路603を備える。また、撮像装置600は、フレームメモリ604、表示部605、記録部606、操作部607、および電源部608も備える。DSP回路603、フレームメモリ604、表示部605、記録部606、操作部607および電源部608は、バスライン609を介して相互に接続されている。
【0105】
光学部601は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで固体撮像装置602の撮像面上に結像する。固体撮像装置602は、光学部601によって撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する。この固体撮像装置602として、
図1の固体撮像装置1、即ち、第1基板100と第2基板200の少なくとも2枚の基板を積層して構成され、第2基板200の半導体層200Sのウェル領域211(ボティ)、ソース電極251、または、ドレイン電極252のいずれかに接続する配線を半導体層200Sの下側から接続したトランジスタTRXを備える固体撮像装置を用いることができる。
【0106】
表示部605は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の薄型ディスプレイで構成され、固体撮像装置602で撮像された動画または静止画を表示する。記録部606は、固体撮像装置602で撮像された動画または静止画を、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録する。
【0107】
操作部607は、ユーザによる操作の下に、撮像装置600が持つ様々な機能について操作指令を発する。電源部608は、DSP回路603、フレームメモリ604、表示部605、記録部606および操作部607の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
【0108】
上述したように、固体撮像装置602として、上述したトランジスタTRXを備えた固体撮像装置1を用いることで、特性がクリティカルなトランジスタの性能向上を実現することができる。また、配線の自由度が増し、配線間容量を低減することが可能となり、画素の微細化と高画質化を実現することができる。従って、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ、さらには携帯電話機等のモバイル機器向けカメラモジュールなどの撮像装置600においても、小型化と撮像画像の高画質化を図ることができる。
【0109】
<イメージセンサの使用例>
図13は、上述の固体撮像装置1を用いたイメージセンサの使用例を示す図である。
【0110】
上述の固体撮像装置1は、イメージセンサとして、例えば、以下のように、可視光や、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々なケースに使用することができる。
【0111】
・ディジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、TVや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供される装置
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置
【0112】
<10.移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0113】
図14は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0114】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図14に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0115】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0116】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0117】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0118】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0119】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0120】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0121】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0122】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0123】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図14の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0124】
図15は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0125】
図15では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0126】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0127】
なお、
図15には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0128】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0129】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0130】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0131】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0132】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。具体的には、撮像部12031として、上述した固体撮像装置1を適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、小型化と撮像画像の高画質化を実現することができる。また、得られた撮影画像を用いて、ドライバの疲労を軽減したり、ドライバや車両の安全度を高めることが可能になる。
【0133】
上述した例では、第1導電型をp型、第2導電型をn型として、電子を信号電荷とした固体撮像装置について説明したが、本開示は正孔を信号電荷とする固体撮像装置にも適用することができる。すなわち、第1導電型をn型とし、第2導電型をp型として、前述の各半導体領域を逆の導電型の半導体領域で構成することができる。
【0134】
また、本開示は、可視光の入射光量の分布を検知して画像として撮像する固体撮像装置への適用に限らず、赤外線やX線、あるいは粒子等の入射量の分布を画像として撮像する固体撮像装置や、広義の意味として、圧力や静電容量など、他の物理量の分布を検知して画像として撮像する指紋検出センサ等の固体撮像装置(物理量分布検知装置)全般に対して適用可能である。
【0135】
また、本開示の技術は、固体撮像装置に限らず、他の半導体集積回路を有する半導体装置全般に対して適用可能である。
【0136】
本開示の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、上述した各構成例の全てまたは一部を適宜組み合わせた形態を採用することができる。
【0137】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、本明細書に記載されたもの以外の効果があってもよい。
【0138】
なお、本開示の技術は、以下の構成を取ることができる。
(1)
光電変換部及び前記光電変換部で発生した信号電荷が蓄積される電荷蓄積部を有する第1半導体層と、
前記電荷蓄積部の前記信号電荷を読み出す画素トランジスタを含む複数のトランジスタが形成され、前記第1半導体層に積層された第2半導体層と
を備え、
前記複数のトランジスタのうちの少なくとも1つの特定トランジスタは、ウェル領域、ソース電極、または、ドレイン電極に接続する少なくとも1つの配線が前記第2半導体層のゲート電極側と反対側の層から接続する構成であり、前記配線が接続された前記ウェル領域、前記ソース電極、または、前記ドレイン電極の底面が絶縁膜と接する構成である
固体撮像装置。
(2)
前記第1半導体層と、第1配線層とを含む第1基板と、
前記第2半導体層と、第2配線層とを含む第2基板とを積層して構成され、
前記特定トランジスタは、前記ウェル領域、前記ソース電極、または、前記ドレイン電極に接続する少なくとも1つの配線が、前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に配置された前記第1配線層から接続する構成である
前記(1)に記載の固体撮像装置。
(3)
前記特定トランジスタは、前記ウェル領域、前記ソース電極、または、前記ドレイン電極に接続する少なくとも1つの配線が前記第1半導体層上面に形成された配線から接続する構成である
前記(1)または(2)に記載の固体撮像装置。
(4)
前記特定トランジスタは、前記第1半導体層上面に形成された配線から前記ウェル領域に接続する構成である
前記(3)に記載の固体撮像装置。
(5)
前記特定トランジスタの前記ウェル領域に、前記ゲート電極に供給する電位と同一の電位が供給されるように構成される
前記(4)に記載の固体撮像装置。
(6)
前記第1半導体層上面に形成された配線は、ポリシリコン、または、高融点金属材料で構成される
前記(4)または(5)に記載の固体撮像装置。
(7)
前記特定トランジスタは、前記ウェル領域、前記ソース電極、または、前記ドレイン電極に接続する少なくとも1つの配線が前記第1半導体層に形成された半導体領域から接続する構成である
前記(1)または(2)に記載の固体撮像装置。
(8)
前記特定トランジスタは、前記第1半導体層に形成された半導体領域から前記ウェル領域に接続する構成である
前記(7)に記載の固体撮像装置。
(9)
前記特定トランジスタの前記ウェル領域に、基準電位が供給されるように構成される
前記(8)に記載の固体撮像装置。
(10)
前記特定トランジスタは、前記第1半導体層に形成された半導体領域から前記ソース電極または前記ドレイン電極に接続する構成である
前記(7)に記載の固体撮像装置。
(11)
前記特定トランジスタは、素子分離領域で他の素子と分離されて構成される
前記(1)ないし(10)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(12)
前記第1半導体層と、第1配線層とを含む第1基板と、
前記第2半導体層と、第2配線層とを含む第2基板と、
第3半導体層と、第3配線層とを含む第3基板とを有し、
前記第1基板と前記第3基板との間に、前記第2基板が配置される
前記(1)ないし(11)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(13)
光電変換部及び前記光電変換部で発生した信号電荷が蓄積される電荷蓄積部を有する第1半導体層と、
前記電荷蓄積部の前記信号電荷を読み出す画素トランジスタを含む複数のトランジスタが形成される第2半導体層とを積層し、
前記複数のトランジスタのうちの少なくとも1つの特定トランジスタを、ウェル領域、ソース電極、または、ドレイン電極に接続する少なくとも1つの配線が前記第2半導体層のゲート電極側と反対側の層から接続するとともに、前記配線が接続された前記ウェル領域、前記ソース電極、または、前記ドレイン電極の底面が絶縁膜と接するように形成する
固体撮像装置の製造方法。
(14)
光電変換部及び前記光電変換部で発生した信号電荷が蓄積される電荷蓄積部を有する第1半導体層と、
前記電荷蓄積部の前記信号電荷を読み出す画素トランジスタを含む複数のトランジスタが形成され、前記第1半導体層に積層された第2半導体層と
を備え、
前記複数のトランジスタのうちの少なくとも1つの特定トランジスタは、ウェル領域、ソース電極、または、ドレイン電極に接続する少なくとも1つの配線が前記第2半導体層のゲート電極側と反対側の層から接続する構成であり、前記配線が接続された前記ウェル領域、前記ソース電極、または、前記ドレイン電極の底面が絶縁膜と接する構成である
固体撮像装置
を備える電子機器。
【符号の説明】
【0139】
1 固体撮像装置, 24 画素アレイ部, 31 画素, 32 画素共有ユニット, PD フォトダイオード, TR 転送トランジスタ, TG 転送ゲート, FD フローティングディフュージョン, FDG FD変換ゲイン切替トランジスタ, AMP 増幅トランジスタ, RST リセットトランジスタ, SEL 選択トランジスタ, W 金属配線, SW サイドウォール, TRX トランジスタ, TGX ゲート電極, SWX サイドウォール, 100 第1基板, 100S 半導体層, 100T 配線層, 111 絶縁膜, 117 画素分離部, 117A 遮光膜, 117B 絶縁膜, 120 パッド部, 120E 貫通電極, 121 パッド部, 121E 貫通電極, 123 層間絶縁膜, 141 コンタクト配線, 142 貫通電極, 143 バリアメタル, 151 配線, 152 シリサイド, 153 シリサイド, 171 アクティブ領域, 172 素子分離領域, 173 コンタクト領域, 174 コンタクト領域, 175 コンタクト領域, 200 第2基板, 200S 半導体層, 200T 配線層, 210 画素回路, 211 ウェル領域, 212 絶縁領域, 213 素子分離領域, 222 層間絶縁膜, 251 ソース電極, 252 ドレイン電極, 261 コンタクト配線, 262 コンタクト配線, 263 コンタクト配線, 300 第3基板, 300S 半導体層, 300T 配線層, 401 受光レンズ, 600 撮像装置, 602 固体撮像装置