(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138784
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】光画像形成装置、光画像形成装置の制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 3/10 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
A61B3/10 100
A61B3/10 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049463
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100124626
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 智和
(72)【発明者】
【氏名】三輪 珠美
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA09
4C316AB03
4C316AB06
4C316AB12
4C316FB29
4C316FY04
4C316FZ01
(57)【要約】
【課題】装置の大型化を最小限に抑えつつ、OCT画像とSLO画像とを取得するための新たな技術を提供する。
【解決手段】光画像形成装置は、干渉光学系と、遮蔽部材と、分光部材と、イメージセンサと、断層画像形成部と、正面画像形成部とを含む。干渉光学系は、光スキャナにより偏向された測定光を被測定物に照射し、参照光路を経由した参照光と被測定物からの測定光の戻り光とを干渉させる。分光部材は、参照光路から遮蔽部材が退避された状態で参照光と戻り光との干渉光を分光し、又は、参照光路に遮蔽部材が配置された状態で戻り光を分光する。イメージセンサは、分光部材により分光された光を受光する。断層画像形成部は、干渉光を分光した光の受光結果に基づいて被測定物の断層画像を形成する。正面画像形成部は、戻り光を分光した光の受光結果に基づいて被測定物の正面画像を形成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光スキャナを含み、光源からの低コヒーレンス光を測定光と参照光とに分割し、前記光スキャナにより偏向された前記測定光を被測定物に照射し、参照光路を経由した前記参照光と前記被測定物からの前記測定光の戻り光とを干渉させる干渉光学系と、
前記参照光路に対して挿脱可能な遮蔽部材と、
前記参照光路から前記遮蔽部材が退避された状態で前記干渉光学系により生成された前記参照光と前記戻り光との干渉光を分光し、又は、前記参照光路に前記遮蔽部材が配置された状態で前記干渉光学系から出力された前記戻り光を分光する分光部材と、
前記分光部材により分光された光を受光するイメージセンサと、
前記イメージセンサにより得られた、前記干渉光を分光した光の受光結果に基づいて、前記被測定物の断層画像を形成する断層画像形成部と、
前記イメージセンサにより得られた、前記戻り光を分光した光の受光結果に基づいて前記被測定物の正面画像を形成する正面画像形成部と、
を含む、光画像形成装置。
【請求項2】
前記分光部材は、回折格子であり、
前記イメージセンサは、前記回折格子に形成された格子パターンの配列方向に対応した方向に2以上の受光素子が配列されたラインセンサである
ことを特徴とする請求項1に記載の光画像形成装置。
【請求項3】
前記断層画像形成部は、前記2以上の受光素子における2以上の受光結果に基づいて前記断層画像を形成し、
前記正面画像形成部は、各正面画像の画素毎に前記2以上の受光結果のそれぞれに対応した画素情報が割り当てられた2以上の前記正面画像を形成する
ことを特徴とする請求項2に記載の光画像形成装置。
【請求項4】
前記断層画像形成部は、前記2以上の受光素子における2以上の受光結果に基づいて前記断層画像を形成し、
前記正面画像形成部は、前記2以上の受光素子における複数の受光結果に対するビニング処理結果に対応した画素情報を各正面画像の画素毎に割り当てることで2以上の前記正面画像を形成する
ことを特徴とする請求項2に記載の光画像形成装置。
【請求項5】
前記正面画像形成部は、前記2以上の受光素子における全受光結果に対するビニング処理結果に対応した画素情報を画素毎に割り当てることで単一の前記正面画像を形成する
ことを特徴とする請求項4に記載の光画像形成装置。
【請求項6】
前記正面画像形成部は、前記2以上の受光素子を複数の受光素子群に分割し、前記複数の受光素子群毎に受光素子の受光結果に対してビニング処理を行い、ビニング処理結果に対応した画素情報を画素毎に割り当てることで、2以上の分光画像としての2以上の前記正面画像を形成する
ことを特徴とする請求項4に記載の光画像形成装置。
【請求項7】
光スキャナを含み、光源からの低コヒーレンス光を測定光と参照光とに分割し、前記光スキャナにより偏向された前記測定光を被測定物に照射し、参照光路を経由した前記参照光と前記被測定物からの前記測定光の戻り光とを干渉させる干渉光学系と、
前記参照光路に対して挿脱可能な遮蔽部材と、
前記干渉光学系により生成された前記戻り光と前記参照光との干渉光、又は、前記干渉光学系から出力された前記戻り光を分光する分光部材と、
前記分光部材により分光された光を受光するイメージセンサと、
を含む、光画像形成装置の制御方法であって、
前記参照光路から前記遮蔽部材を退避することにより前記干渉光学系に前記干渉光を生成させる第1干渉光学系制御ステップと、
前記イメージセンサにより前記干渉光を分光した光を受光することにより得られた受光結果に基づいて、前記被測定物の断層画像を形成する断層画像形成ステップと、
前記参照光路に前記遮蔽部材を挿入することにより前記干渉光学系から前記戻り光を出力させる第2干渉光学系制御ステップと、
前記イメージセンサにより前記戻り光を分光した光を受光することにより得られた受光結果に基づいて、前記被測定物の正面画像を形成する正面画像形成ステップと、
を含む、光画像形成装置の制御方法。
【請求項8】
前記分光部材は、回折格子であり、
前記イメージセンサは、前記回折格子に形成された格子パターンの配列方向に対応した方向に2以上の受光素子が配列されたラインセンサである
ことを特徴とする請求項7に記載の光画像形成装置の制御方法。
【請求項9】
前記断層画像形成ステップは、前記2以上の受光素子における2以上の受光結果に基づいて前記断層画像を形成し、
前記正面画像形成ステップは、各正面画像の画素毎に前記2以上の受光結果のそれぞれに対応した画素情報が割り当てられた2以上の前記正面画像を形成する
ことを特徴とする請求項8に記載の光画像形成装置の制御方法。
【請求項10】
前記断層画像形成ステップは、前記2以上の受光素子における2以上の受光結果に基づいて前記断層画像を形成し、
前記正面画像形成ステップは、前記2以上の受光素子における複数の受光結果に対するビニング処理結果に対応した画素情報を各正面画像の画素毎に割り当てることで2以上の前記正面画像を形成する
ことを特徴とする請求項8に記載の光画像形成装置の制御方法。
【請求項11】
前記正面画像形成ステップは、前記2以上の受光素子における全受光結果に対するビニング処理結果に対応した画素情報を画素毎に割り当てることで単一の前記正面画像を形成する
ことを特徴とする請求項10に記載の光画像形成装置の制御方法。
【請求項12】
前記正面画像形成ステップは、前記2以上の受光素子を複数の受光素子群に分割し、前記複数の受光素子群毎に受光素子の受光結果に対してビニング処理を行い、ビニング処理結果に対応した画素情報を画素毎に割り当てることで、2以上の分光画像としての2以上の前記正面画像を形成する
ことを特徴とする請求項9に記載の光画像形成装置の制御方法。
【請求項13】
コンピュータに、請求項7~請求項12のいずれか一項に記載の光画像形成装置の制御方法の各ステップを実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光画像形成装置、光画像形成装置の制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
光画像を取得するための手法の1つとして、光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography:OCT)が知られている。OCTは、光の干渉性を利用してサンプル内部を画像化する技術であり、医用イメージングや非破壊検査を含む様々な分野において実用化されている。
【0003】
一方、レーザー光でサンプルを2次元的に走査することでサンプルの正面画像を光画像として取得する手法も知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、OCT光学系と、SLO(Scanning Laser Ophthalmoscope)光学系とを備えた眼科撮影装置が開示されている。OCT光学系は、サンプルとしての被検眼に対してOCTスキャンを実行してOCT画像を取得するように構成される。SLO光学系は、サンプルとしての被検眼に対してレーザー光を照射してその戻り光を検出することでSLO画像を取得するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された手法では、OCT光学系とSLO光学系とで共用される光学要素が少なく、コスト高や装置の大型化を招く。
【0007】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、装置の大型化を最小限に抑えつつ、OCT画像とSLO画像とを取得するための新たな技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
いくつかの実施形態の1つの態様は、光スキャナを含み、光源からの低コヒーレンス光を測定光と参照光とに分割し、前記光スキャナにより偏向された前記測定光を被測定物に照射し、参照光路を経由した前記参照光と前記被測定物からの前記測定光の戻り光とを干渉させる干渉光学系と、前記参照光路に対して挿脱可能な遮蔽部材と、前記参照光路から前記遮蔽部材が退避された状態で前記干渉光学系により生成された前記参照光と前記戻り光との干渉光を分光し、又は、前記参照光路に前記遮蔽部材が配置された状態で前記干渉光学系から出力された前記戻り光を分光する分光部材と、前記分光部材により分光された光を受光するイメージセンサと、前記イメージセンサにより得られた、前記干渉光を分光した光の受光結果に基づいて、前記被測定物の断層画像を形成する断層画像形成部と、前記イメージセンサにより得られた、前記戻り光を分光した光の受光結果に基づいて前記被測定物の正面画像を形成する正面画像形成部と、を含む、光画像形成装置である。
【0009】
いくつかの実施形態の別の態様は、光スキャナを含み、光源からの低コヒーレンス光を測定光と参照光とに分割し、前記光スキャナにより偏向された前記測定光を被測定物に照射し、参照光路を経由した前記参照光と前記被測定物からの前記測定光の戻り光とを干渉させる干渉光学系と、前記参照光路に対して挿脱可能な遮蔽部材と、前記干渉光学系により生成された前記戻り光と前記参照光との干渉光、又は、前記干渉光学系から出力された前記戻り光を分光する分光部材と、前記分光部材により分光された光を受光するイメージセンサと、を含む、光画像形成装置の制御方法である。光画像形成装置の制御方法は、前記参照光路から前記遮蔽部材を退避することにより前記干渉光学系に前記干渉光を生成させる第1干渉光学系制御ステップと、前記イメージセンサにより前記干渉光を分光した光を受光することにより得られた受光結果に基づいて、前記被測定物の断層画像を形成する断層画像形成ステップと、前記参照光路に前記遮蔽部材を挿入することにより前記干渉光学系から前記戻り光を出力させる第2干渉光学系制御ステップと、前記イメージセンサにより前記戻り光を分光した光を受光することにより得られた受光結果に基づいて、前記被測定物の正面画像を形成する正面画像形成ステップと、を含む。
【0010】
いくつかの実施形態の更に別の態様は、コンピュータに、上記の光画像形成装置の制御方法の各ステップを実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、装置の大型化を最小限に抑えつつ、OCT画像とSLO画像とを取得するための新たな技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る眼科装置の光学系の構成の一例を表す概略図である。
【
図2】実施形態に係る眼科装置の光学系の構成の一例を表す概略図である。
【
図3】実施形態に眼科装置の制御系の構成の一例を表す概略図である。
【
図4】実施形態に眼科装置の制御系の構成の一例を表す概略図である。
【
図5】実施形態に眼科装置の動作を説明するための概略図である。
【
図6】実施形態に眼科装置の動作を説明するための概略図である。
【
図7】実施形態に眼科装置の動作を説明するための概略図である。
【
図8】実施形態に眼科装置の動作を説明するための概略図である。
【
図9】実施形態に眼科装置の動作を説明するための概略図である。
【
図10】実施形態に眼科装置の動作の一例を表すフローチャートである。
【
図11】実施形態に眼科装置の動作の一例を表すフローチャートである。
【
図12】実施形態に眼科装置の動作を説明するための概略図である。
【
図13】実施形態に眼科装置の動作を説明するための概略図である。
【
図14】実施形態に眼科装置の動作を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明に係る光画像形成装置、光画像形成装置の制御方法、及び、プログラムの実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態において、この明細書において引用されている文献に記載された技術を任意に援用することが可能である。
【0014】
実施形態に係る光画像形成装置は、干渉光学系と、遮蔽部材と、分光部材と、イメージセンサと、断層画像形成部と、正面画像形成部とを含む。干渉光学系は、光スキャナを含み、光源からの低コヒーレンス光を測定光と参照光とに分割し、光スキャナにより偏向された測定光を被測定物に照射し、参照光路を経由した参照光と被測定物からの測定光の戻り光とを干渉させる。遮蔽部材は、参照光路に対して挿脱可能である。分光部材は、参照光路から遮蔽部材が退避された状態で干渉光学系により生成された参照光と戻り光との干渉光を分光し、又は、参照光路に遮蔽部材が配置された状態で干渉光学系から出力された戻り光を分光する。イメージセンサは、分光部材により分光された光(上記の干渉光又は測定光の戻り光)を受光する。断層画像形成部は、イメージセンサにより得られた、干渉光を分光した光の受光結果に基づいて、被測定物の断層画像(OCT画像)を形成する。正面画像形成部は、イメージセンサにより得られた、戻り光を分光した光の受光結果に基づいて被測定物の正面画像(SLO画像)を形成する。
【0015】
ここで、干渉光学系は、参照光路に対して挿脱される遮蔽部材により、参照光と被測定物からの測定光の戻り光との干渉光、又は被測定物からの測定光の戻り光を出力するように構成される。具体的には、参照光路から遮蔽部材が退避された状態では、参照光と被測定物からの測定光の戻り光とを干渉させる干渉手段(例えば、ファイバカプラ)は参照光と戻り光との干渉光を出力する。一方、参照光路に遮蔽部材が配置された状態では、干渉させる参照光の光量がなく、干渉手段は参照光と戻り光とを干渉させることなく測定光の戻り光をそのまま出力する。すなわち、干渉光学系の出力光は、干渉光、又は、測定光の戻り光である。
【0016】
これにより、遮蔽部材の挿脱により、OCT光学系とSLO光学系とで干渉光学系の少なくとも一部を共用することができる。従って、装置の大型化を最小限に抑えつつ、断層画像と正面画像とを取得するための光画像形成装置を提供することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、分光部材は、回折格子であり、イメージセンサは、回折格子に形成された格子パターンの配列方向に対応した方向に2以上の受光素子が配列されたラインセンサである。いくつかの実施形態では、正面画像形成部は、2以上の受光素子のそれぞれに対応した画素情報を各正面画像の画素ごとに割り当てることで、分光画像として2以上の正面画像を形成する。いくつかの実施形態では、正面画像形成部は、2以上の受光素子における複数の受光結果に対するビニング(binning)処理結果に対応した画素情報を各正面画像の画素ごとに割り当てることで、分光画像として2以上の正面画像を形成する。分光画像には、ハイパースペクトル画像、マルチスペクトル画像などがある。
【0018】
ここで、ビニング処理は、ピクセルビニング処理、又はデータビニング処理であってよい。ピクセルビニング処理は、イメージセンサの内部で、2以上の受光素子により得られた2以上の検出結果を合成する処理である。データビニング処理は、イメージセンサの外部で、2以上の受光素子により得られた2以上の検出結果を合成する処理である。
【0019】
いくつかの実施形態では、正面画像形成部は、2以上の受光素子における全受光結果に対するビニング処理結果に対応した画素情報を画素ごとに割り当てることで単一の正面画像を形成する。
【0020】
被測定物の例として、眼、皮膚などの生体組織、歯などの組織、非破壊検査や非接触検査の検査対象物、又は、非侵襲測定の測定物などがある。断層画像形成部は、断層画像以外のOCT画像(例えば、C-スキャン画像、プロジェクション画像などのen-face画像)を形成するようにしてもよい。
【0021】
実施形態に係る情報処理装置は、上記の光画像形成装置の制御方法をソフトウェア処理により実現する。実施形態に係る情報処理方法は、上記の情報処理装置により実行される1以上のステップを含む。実施形態に係るプログラムは、実施形態に係る光画像形成装置の制御方法の各ステップをコンピュータ(プロセッサ)に実行させる。実施形態に係る記録媒体は、実施形態に係るプログラムが記録(記憶)されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体(記憶媒体)である。
【0022】
本明細書において、プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))等の回路を含む。プロセッサは、例えば、記憶回路又は記憶装置に格納されているプログラムを読み出し実行することで、実施形態に係る機能を実現する。記憶回路又は記憶装置がプロセッサに含まれていてよい。また、記憶回路又は記憶装置がプロセッサの外部に設けられていてよい。
【0023】
以下の実施形態では、被測定物は眼であり、実施形態に係る光画像形成装置は、眼に対してOCT撮影とSLO撮影と実行可能な眼科装置であるものとする。しかしながら、実施形態に係る光画像形成装置は、眼科装置に限定されるものではない。
【0024】
実施形態に係る眼科装置は、更に、眼底カメラ、スリットランプ検眼鏡、手術用顕微鏡等のうちのいずれか1つ以上の機能を有していてもよい。実施形態に係る眼科装置は、更に、眼科測定装置及び眼科治療装置のうちのいずれか1つ以上を含んでいてもよい。眼科測定装置は、例えば、眼屈折検査装置、眼圧計、スペキュラーマイクロスコープ、ウェーブフロントアナライザ、視野計、マイクロペリメータ等のうちのいずれか1つ以上である。眼科治療装置は、例えば、レーザー治療装置、手術装置、手術用顕微鏡等のうちのいずれか1つ以上である。
【0025】
以下の実施形態では、眼科装置は、OCT撮影とSLO撮影とで共用される干渉光学系と、眼底カメラとを含む。このOCT撮影は、スペクトラルドメインOCTにより実現される。
【0026】
以下、x方向は、対物レンズの光軸方向に直交する方向(左右方向、水平方向)であり、y方向は、対物レンズの光軸方向に直交する方向(上下方向、垂直方向)であるものとする。z方向は、対物レンズの光軸方向であるものとする。
【0027】
<構成>
〔光学系〕
図1に示すように、眼科装置1は、眼底カメラユニット2、光画像形成ユニット100及び演算制御ユニット200を含む。眼底カメラユニット2には、被検眼Eの正面画像(後述のSLO画像と異なる正面画像)を取得するための光学系や機構が設けられている。光画像形成ユニット100には、OCTを実行するための光学系や機構の一部が設けられている。OCTを実行するための光学系や機構の他の一部は、眼底カメラユニット2に設けられている。演算制御ユニット200は、各種の演算や制御を実行する1以上のプロセッサを含む。これらに加え、被検者の顔を支持するための部材(顎受け、額当て等)や、OCTの対象部位を切り替えるためのレンズユニット(例えば、前眼部OCT用アタッチメント)等の任意の要素やユニットが眼科装置1に設けられてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、眼科装置1は、表示装置3を含む。表示装置3は、演算制御ユニット200による処理結果(例えば、OCT画像等)や、眼底カメラユニット2により得られた画像や、眼科装置1を操作するための操作ガイダンス情報などを表示する。
【0029】
[眼底カメラユニット2]
眼底カメラユニット2には、被検眼Eの眼底Efを撮影するための光学系が設けられている。取得される眼底Efの画像(眼底画像、眼底写真等と呼ばれる)は、観察画像、撮影画像等の正面画像である。観察画像は、近赤外光を用いた動画撮影により得られる。撮影画像は、フラッシュ光を用いた静止画像である。更に、眼底カメラユニット2は、被検眼Eの前眼部Eaを撮影して正面画像(前眼部画像)を取得することができる。
【0030】
眼底カメラユニット2は、照明光学系10と撮影光学系30とを含む。照明光学系10は被検眼Eに照明光を照射する。撮影光学系30は、被検眼Eからの戻り光を検出する。被検眼Eからの戻り光は、被検眼Eに入射した照明光の散乱光(反射光)である。いくつかの実施形態では、被検眼Eからの戻り光には、被検眼Eに入射した照明光の散乱光(反射光)、及び、被検眼Eに入射した照明光を励起光とする蛍光及びその散乱光が含まれる。
【0031】
光画像形成ユニット100からの測定光は、眼底カメラユニット2内の光路を通じて被検眼Eに導かれ、その戻り光は、同じ光路を通じて光画像形成ユニット100に導かれる。
【0032】
照明光学系10の観察光源11から出力された光(観察照明光)は、曲面状の反射面を有する反射ミラー12により反射され、集光レンズ13を経由し、可視カットフィルタ14を透過して近赤外光となる。更に、観察照明光は、撮影光源15の近傍にて一旦集束し、ミラー16により反射され、リレーレンズ17、18、絞り19及びリレーレンズ20を経由する。そして、観察照明光は、孔開きミラー21の周辺部(孔部の周囲の領域)にて反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて被検眼E(眼底Ef又は前眼部Ea)を照明する。被検眼Eからの戻り光は、対物レンズ22により屈折され、ダイクロイックミラー46を透過し、孔開きミラー21の中心領域に形成された孔部を通過し、ダイクロイックミラー55を透過し、撮影合焦レンズ31を経由し、ミラー32により反射される。更に、この戻り光は、ハーフミラー33Aを透過し、ダイクロイックミラー33により反射され、結像レンズ34によりイメージセンサ35の受光面に結像する。イメージセンサ35は、所定のフレームレートで戻り光を検出する。表示装置3には、イメージセンサ35からの出力に基づく画像(例えば、前眼部観察画像又は眼底観察画像)が表示される。なお、撮影光学系30のフォーカスは、眼底Ef又は前眼部Eaに合致するように調整される。
【0033】
撮影光源15から出力された光(撮影照明光)は、観察照明光と同様の経路を通って眼底Efに照射される。被検眼Eからの戻り光は、観察照明光の場合と同じ経路を通ってダイクロイックミラー33まで導かれ、ダイクロイックミラー33を透過し、ミラー36により反射され、集光レンズ37によりイメージセンサ38の受光面に結像する。
【0034】
表示装置3には、イメージセンサ35により検出された眼底反射光に基づく画像(観察画像)が表示される。なお、撮影光学系30のピントが前眼部に合わせられている場合、被検眼Eの前眼部の観察画像が表示される。また、表示装置3には、イメージセンサ38により検出された眼底反射光に基づく画像(撮影画像)が表示される。なお、観察画像を表示する表示装置3と撮影画像を表示する表示装置3は、同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。被検眼Eを赤外光で照明して同様の撮影を行う場合には、赤外の撮影画像が表示される。
【0035】
LCD(Liquid Crystal Display)39は固視標や視力測定用視標を表示する。LCD39から出力された光束は、その一部がハーフミラー33Aにて反射され、ミラー32に反射され、撮影合焦レンズ31を経由し、ダイクロイックミラー55を透過し、孔開きミラー21の孔部を通過する。孔開きミラー21の孔部を通過した光束は、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投射される。
【0036】
LCD39の画面上における固視標の表示位置を変更することにより、被検眼Eの固視位置を変更できる。固視位置の例として、黄斑を中心とする画像を取得するための固視位置や、視神経乳頭を中心とする画像を取得するための固視位置や、黄斑と視神経乳頭との間の眼底中心を中心とする画像を取得するための固視位置や、黄斑から大きく離れた部位(眼底周辺部)の画像を取得するための固視位置などがある。いくつかの実施形態では、眼科装置1は、このような固視位置の少なくとも1つを指定するためのGUI(Graphical User Interface)等を含む。いくつかの実施形態では、眼科装置1は、固視位置(固視標の表示位置)をマニュアルで移動するためのGUI等を含む。
【0037】
移動可能な固視標を被検眼Eに提示するための構成はLCD等の表示装置には限定されない。例えば、光源アレイ(発光ダイオード(LED)アレイ等)における複数の光源を選択的に点灯させることにより、移動可能な固視標を生成することができる。また、移動可能な1以上の光源により、移動可能な固視標を生成することができる。
【0038】
眼底カメラユニット2には、アライメント光学系50とフォーカス光学系60とが設けられている。アライメント光学系50は、被検眼Eに対する装置光学系の位置合わせ(アライメント)を行うための指標(アライメント指標)を生成する。フォーカス光学系60は、被検眼Eに対してフォーカス(ピント)を合わせるための指標(スプリット指標)を生成する。
【0039】
アライメント光学系50のLED51から出力された光(アライメント光)は、絞り52、絞り53、及びリレーレンズ54を経由し、ダイクロイックミラー55により反射される。ダイクロイックミラー55により反射された光は、孔開きミラー21の孔部を通過し、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22によって被検眼Eに投射される。アライメント光の戻り光(例えば、角膜反射光又は眼底反射光)は、対物レンズ22、ダイクロイックミラー46、及び孔開きミラー21の孔部を経由し、ダイクロイックミラー55を透過する。ダイクロイックミラー55を透過した戻り光は、撮影合焦レンズ31を通過し、ミラー32により反射され、ハーフミラー33Aを透過し、ダイクロイックミラー33により反射され、結像レンズ34によってイメージセンサ35の受光面に結像する。イメージセンサ35による受光像(アライメント指標)は、観察画像とともに表示装置3に表示される。アライメント指標に基づいてマニュアルアライメント又はオートアライメントが実行される。
【0040】
フォーカス光学系60は、被検眼Eに対するフォーカス調整に用いられるスプリット指標を生成する。フォーカス光学系60は、撮影光学系30の光路(撮影光路)に沿った撮影合焦レンズ31の移動に連動して、照明光学系10の光路(照明光路)に沿って移動される。反射棒67は、照明光路に対して挿脱可能である。フォーカス調整を行う際には、反射棒67の反射面が照明光路に傾斜配置される。LED61から出力されたフォーカス光は、リレーレンズ62を通過し、スプリット指標板63により2つの光束に分離され、二孔絞り64を通過し、ミラー65により反射され、集光レンズ66により反射棒67の反射面に一旦結像されて反射される。更に、フォーカス光は、リレーレンズ20を経由し、孔開きミラー21に反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投射される。フォーカス光の眼底反射光は、観察照明光の戻り光と同じ経路を通ってイメージセンサ35に導かれる。その受光像(スプリット指標像)に基づいてマニュアルフォーカスやオートフォーカスを実行できる。
【0041】
イメージセンサ35では、フォーカス光学系60により形成された2つのスプリット指標像が取得される。マニュアルフォーカス又はオートフォーカスでは、2つのスプリット指標像が所定の位置関係になるように撮影合焦レンズ31の位置が移動される。いくつかの実施形態では、OCT合焦レンズ43は、撮影光学系30における撮影合焦レンズ31の光路上の位置に対応した位置に移動される。いくつかの実施形態では、撮影合焦レンズ31の移動に連動して、OCT合焦レンズ43は光軸方向に移動される。
【0042】
ダイクロイックミラー46は、眼底撮影用光路とOCT用光路とを合成する。ダイクロイックミラー46は、OCTに用いられる波長帯の光を反射し、眼底撮影用の光を透過させる。OCT用光路(測定光の光路)には、光画像形成ユニット100側からダイクロイックミラー46側に向かって順に、コリメートレンズユニット40、光路長変更部41、光スキャナ42、OCT合焦レンズ43、ミラー44、及びリレーレンズ45が設けられている。
【0043】
光路長変更部41は、
図1に示す矢印の方向に移動可能とされ、OCT用光路の長さを変更する。この光路長の変更は、眼軸長に応じた光路長補正や、干渉状態の調整などに利用される。光路長変更部41は、コーナーキューブと、これを移動する機構とを含む。
【0044】
光スキャナ42は、アライメントにより、被検眼Eの瞳孔と光学的に共役な位置又はその近傍に配置される。光スキャナ42は、OCT用光路を通過する測定光LSを偏向する。光スキャナ42は、例えば、1次元走査又は2次元走査が可能なガルバノスキャナである。
【0045】
OCT合焦レンズ43は、OCT用の光学系のフォーカス調整を行うために、測定光LSの光路に沿って移動される。撮影合焦レンズ31の移動、フォーカス光学系60の移動、及びOCT合焦レンズ43の移動を連係的に制御することができる。
【0046】
[光画像形成ユニット100]
図2に、
図1の光画像形成ユニット100の光学系の構成例を示す。
図2において、
図1と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0047】
光画像形成ユニット100には、スペクトラルドメインOCTを実行するための光学系が設けられている。この光学系は、干渉光学系を含む。この干渉光学系は、広帯域光源(低コヒーレンス光源)からの光(低コヒーレンス光)を測定光と参照光とに分割する機能と、被検眼Eからの測定光の戻り光と参照光路を経由した参照光とを重ね合わせる機能とを備える。干渉光学系からの出力光の検出結果(検出信号)は、出力光のスペクトルを示す信号であり、演算制御ユニット200に送られる。なお、本例の光画像形成ユニット100に含まれる干渉計はマイケルソン型であるが、別のタイプの干渉計(例えば、マッハツェンダー型干渉計)を用いてもよい。
【0048】
光源ユニット101は広帯域光源を含み、広帯域の低コヒーレンス光L0を出力する。低コヒーレンス光L0は、例えば、近赤外領域の波長帯(約800nm~900nm程度)を含み、数十マイクロメートル程度の時間的コヒーレンス長を有する。なお、人眼では視認できない波長帯、例えば1040~1060nm程度の中心波長を有する近赤外光を低コヒーレンス光L0として用いてもよい。光源ユニット101は、任意の光出力デバイスを含んでおり、例えば、スーパールミネセントダイオード(SLD)、LED、及び半導体光増幅器(SOA)のいずれかを含む。また、低コヒーレンス光L0は、中心波長が488nm、514nm、633nm、780nm等のSLO撮影に好適な波長帯を含む光であってもよい。
【0049】
光源ユニット101から出力された低コヒーレンス光L0は、光ファイバ102によりファイバカプラ103に導かれて測定光LSと参照光LRとに分割される。
【0050】
ファイバカプラ103により生成された参照光LRは、光ファイバ104を通じてアッテネータ105に導かれてその光量が調整され、偏波コントローラ106に導かれてその偏波状態が調整されてコリメートレンズユニット107に導かれる。アッテネータ105は、後述の演算制御ユニット200からの制御を受け、参照光LRの光量を調整する。偏波コントローラ106は、後述の演算制御ユニット200からの制御を受け、参照光LRの偏波状態を調整する。
【0051】
コリメートレンズユニット107により平行光束に変換された参照光LRは、必要に応じてミラー等を経由して、参照ミラー108に導かれる。参照ミラー108は、参照光LRの光路に沿って移動可能に構成される。例えば、参照ミラー108は、後述の演算制御ユニット200からの制御を受けた参照駆動部(図示せず)により駆動される。これにより、参照光LRの光路長が変更される。参照ミラー108により反射された参照光LRは、コリメートレンズユニット107に入射し、偏波コントローラ106、及びアッテネータ105を経由してファイバカプラ103に導かれる。ファイバカプラ103から参照ミラー108までの参照光LRの光路は、参照光路(参照アーム)に相当する。
【0052】
この実施形態では、コリメートレンズユニット107と参照ミラー108との間で遮蔽部材130が挿脱可能である。遮蔽部材130は、後述の演算制御ユニット200からの制御を受けた遮蔽機構(図示せず)が参照光LRの光路に対して挿脱される。
【0053】
一方、ファイバカプラ103により生成された測定光LSは、光ファイバ109を通じてコリメートレンズユニット40に導かれて平行光として出射される。コリメートレンズユニット40に接続される光ファイバ109の出射端(入射端)は、アライメントにより、被検眼Eの測定部位(例えば、眼底Ef)と光学的に共役な位置又はその近傍に配置される。コリメートレンズユニット40の出射端から出射された平行光は、光路長変更部41、光スキャナ42、OCT合焦レンズ43、ミラー44、及びリレーレンズ45を経由してダイクロイックミラー46に導かれる。ダイクロイックミラー46に導かれてきた平行光は、ダイクロイックミラー46により反射され、対物レンズ22により屈折されて被検眼Eに投射される。測定光LSは、被検眼E(特に眼底Ef)の様々な深さ位置において散乱及び反射されて後方散乱光を生じる。被検眼Eからの測定光LSの戻り光は、往路と同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ103に導かれる。
【0054】
参照光LRの光路に遮蔽部材130が配置されたとき、参照光LRが遮蔽部材130により遮断される。このとき、コリメートレンズユニット107からの参照光LRがファイバカプラ103に到達せず、コリメートレンズユニット40からの測定光LSの戻り光がファイバカプラ103からそのまま光ファイバ110を通じて出射端111から出射される。出射端111から出射された測定光LSの戻り光は、コリメートレンズ112により平行光に変換される。
【0055】
参照光LRの光路から遮蔽部材130が退避されたとき、参照光LRが参照ミラー108に導かれる。このとき、参照光LRは、参照ミラー108により反射され、コリメートレンズユニット107に入射し、偏波コントローラ106、及びアッテネータ105を経由して、光ファイバ104を通じてファイバカプラ103に導かれる。ファイバカプラ103は、参照ミラー108により反射されて参照光路を経由した参照光LRと測定光LSの戻り光とを重ね合わせて干渉光LCを生成する。干渉光LCは、光ファイバ110の出射端111から出射され、コリメートレンズ112により平行光に変換される。
【0056】
すなわち、光ファイバ110の出射端111から、干渉光学系の出力光として、被検眼Eからの測定光LSの戻り光、又は、干渉光LCが出射される。
【0057】
コリメートレンズ112により平行光に変換された出力光の光路に、回折格子113が配置されている。回折格子113は、コリメートレンズ112により平行光に変換された干渉光LC又は測定光LSの戻り光を分光する。回折格子113により分光された光は、集光レンズ114によりイメージセンサ115の受光面に結像する。
【0058】
イメージセンサ115は、光検出器である。この実施形態では、イメージセンサ115は、例えば、回折格子113に形成された格子パターンの配列方向に対応した方向に2以上の受光素子が配列されたラインセンサである。いくつかの実施形態では、イメージセンサ115は、エリアセンサである。イメージセンサ115は、干渉光LC又は測定光LSの戻り光の複数のスペクトル成分(波長成分)を受光素子アレイにより別々に検出して検出信号(検出データ)を生成する。生成された検出信号は演算制御ユニット200に送られる。演算制御ユニット200は、後述のように、イメージセンサ115により取得された検出信号に基づいて、被検眼Eの断層画像などのOCT画像、又は、正面画像などのSLO画像を形成し、表示装置3に表示させる。
【0059】
この実施形態では、眼科装置1は、光画像形成ユニット100を用いた複数の動作モードで動作する。複数の動作モードは、断層画像などのOCT画像を取得するOCT画像取得モードと、正面画像などのSLO画像を取得するSLO画像取得モードとを含む。
【0060】
本例では、光路長変更部41により測定光LSの光路(測定光路、測定アーム)の長さを変更すると共に、参照ミラー108により参照光LRの光路(参照光路、参照アーム)の長さを変更することが可能に構成される場合について説明した。しかしながら、実施形態に係る構成はこれに限定されるものではない。例えば、測定光LSの光路及び参照光LRの光路の一方の長さを変更するようにしてもよい。また、これら以外の光学部材を用いて、測定光路長と参照光路長との差を変更することも可能である。
【0061】
〔制御系〕
図3、及び
図4に、眼科装置1の制御系(処理系)の構成例を示す。
図3、及び
図4において、眼科装置1に含まれる構成要素の一部が省略されている。
図3は、眼科装置1の制御系の機能ブロック図の一例を表す。
図3において、
図1~
図2と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図4は、
図3の画像形成部220の機能ブロック図の一例を表す。
【0062】
制御部210、画像形成部220及びデータ処理部230は、例えば、演算制御ユニット200に設けられる。
【0063】
(制御部210)
制御部210は、各種の制御を実行する。制御部210は、主制御部211と記憶部212とを含む。
【0064】
(主制御部211)
主制御部211は、プロセッサ(例えば、制御プロセッサ)を含み、眼科装置1の各部(
図1~
図2に示された各要素を含む)を制御する。例えば、主制御部211は、
図1~
図2に示す眼底カメラユニット2の光学系の各部、光画像形成ユニット100の光学系の各部、上記の光学系を移動する移動機構170、画像形成部220、データ処理部230、及びユーザーインターフェイス(User Interface:UI)240を制御する。
【0065】
眼底カメラユニット2に対する制御には、合焦駆動部31A、43Aに対する制御、イメージセンサ35、38に対する制御、LCD39に対する制御、光路長変更部41に対する制御、及び光スキャナ42に対する制御が含まれる。
【0066】
合焦駆動部31Aに対する制御には、撮影合焦レンズ31を光軸方向に移動する制御が含まれる。合焦駆動部43Aに対する制御には、OCT合焦レンズ43を光軸方向に移動する制御が含まれる。
【0067】
イメージセンサ35、38に対する制御には、撮像素子に対する受光感度の制御、フレームレート(受光タイミング、露光時間)の制御、受光領域(位置、大きさ、サイズ)の制御、撮像素子に対する受光結果の読み出し制御などがある。
【0068】
LCD39に対する制御には、固視位置の制御が含まれる。例えば、主制御部211は、手動又は自動で設定された固視位置に対応するLCD39の画面上の位置に固視標を表示する。また、主制御部211は、LCD39に表示されている固視標の表示位置を(連続的に又は段階的に)変更することができる。それにより、固視標を移動することができる(つまり、固視位置を変更することができる)。固視標の表示位置や移動態様は、マニュアルで又は自動的に設定される。マニュアルでの設定は、例えばGUIを用いて行われる。自動的な設定は、例えば、データ処理部230により行われる。
【0069】
光路長変更部41に対する制御には、測定光LSの光路長を変更する制御が含まれる。主制御部211は、光路長変更部41のコーナーキューブを駆動する駆動部を制御することで測定光LSの光路に沿って光路長変更部41を移動し、測定光LSの光路長を変更する。
【0070】
光スキャナ42に対する制御には、スキャンモード、スキャン範囲(スキャン開始位置、スキャン終了位置)、スキャン速度などの制御がある。主制御部211は、光スキャナ42に対する制御を行うことで、計測部位(撮影部位)における所望の領域に対して測定光LSでOCTスキャンを実行することができる。
【0071】
また、主制御部211は、観察光源11、撮影光源15、アライメント光学系50、フォーカス光学系60などを制御することが可能である。
【0072】
光画像形成ユニット100に対する制御には、光源ユニット101に対する制御、アッテネータ105に対する制御、偏波コントローラ106に対する制御、参照駆動部108Aに対する制御、遮蔽機構130Aに対する制御、イメージセンサ115に対する制御などが含まれる。
【0073】
光源ユニット101に対する制御には、光源ユニット101に含まれる広帯域光源のオン及びオフの制御、広帯域光源から出射される光の光量の制御、広帯域光源から出射される光の中心波長の制御などがある。
【0074】
アッテネータ105は、主制御部211の制御の下に、参照光LRの光量の調整を行う。
【0075】
偏波コントローラ106は、主制御部211の制御の下に、参照光LRの偏波状態の調整を行う。
【0076】
参照駆動部108Aは、主制御部211からの制御の下に、参照光LRの光路に沿って参照ミラー108を移動する。
【0077】
遮蔽機構130Aは、主制御部211からの制御の下に、コリメートレンズユニット107と参照ミラー108との間の参照光LRの光路に対して遮蔽部材130を挿脱させる。遮蔽機構130Aは、OCT画像取得モードにおいて参照光LRの光路から遮蔽部材130を退避させ、SLO画像取得モードにおいて参照光LRの光路に遮蔽部材130を配置させる。
【0078】
イメージセンサ115に対する制御には、受光素子に対する受光感度の制御、フレームレート(受光タイミング)の制御、受光領域(位置、大きさ、サイズ)の制御、受光素子に対する受光結果の読み出し制御などがある。受光素子に対する受光結果の読み出し制御には、受光結果が読み出される受光素子の選択制御が含まれる。
【0079】
移動機構170は、例えば、少なくとも眼底カメラユニット2(光学系)を3次元的に移動する。典型的な例において、移動機構170は、少なくとも眼底カメラユニット2をx方向(左右方向)に移動するための機構と、y方向(上下方向)に移動するための機構と、z方向(奥行き方向、前後方向)に移動するための機構とを含む。x方向に移動するための機構は、例えば、x方向に移動可能なxステージと、xステージを移動するx移動機構とを含む。y方向に移動するための機構は、例えば、例えば、y方向に移動可能なyステージと、yステージを移動するy移動機構とを含む。z方向に移動するための機構は、例えば、z方向に移動可能なzステージと、zステージを移動するz移動機構とを含む。各移動機構は、アクチュエータとしてのパルスモータを含み、主制御部211からの制御を受けて動作する。
【0080】
移動機構170に対する制御は、アライメントやトラッキングにおいて用いられる。トラッキングとは、被検眼Eの眼球運動に合わせて装置光学系を移動させるものである。トラッキングを行う場合には、事前にアライメントとフォーカス調整が実行される。トラッキングは、装置光学系の位置を眼球運動に追従させることにより、アライメントとピントが合った好適な位置関係を維持する機能である。いくつかの実施形態では、参照光の光路長(よって、測定光の光路と参照光の光路との間の光路長差)を変更するために移動機構170の制御を行うように構成される。
【0081】
マニュアルアライメントの場合、光学系に対する被検眼Eの変位がキャンセルされるように検者等のユーザーがユーザーインターフェイス240に対して操作することにより光学系と被検眼Eとを相対移動させる。例えば、主制御部211は、ユーザーインターフェイス240に対する操作内容に対応した制御信号を移動機構170に出力することにより移動機構170を制御して被検眼Eに対して光学系を相対移動させる。
【0082】
オートアライメントの場合、光学系に対する被検眼Eの変位がキャンセルされるように主制御部211が移動機構170を制御することにより被検眼Eに対して光学系を相対移動させる。具体的には、主制御部211は、アライメント光学系50のLED51から出力された光(アライメント光)を被検眼Eに投影することにより形成された受光像の位置を特定する。主制御部211は、所定のアライメント基準位置(例えば、光学系の光軸の相当する位置)に対する受光像の変位をキャンセルし、光学系に対する被検眼Eの位置関係が所定の位置関係になるように移動機構170を制御する。いくつかの実施形態では、主制御部211は、光学系の光軸が被検眼Eの軸に略一致し、且つ、被検眼Eに対する光学系の距離が所定の作動距離になるように制御信号を移動機構170に出力することにより移動機構170を制御して被検眼Eに対して光学系を相対移動させる。ここで、作動距離とは、対物レンズ22のワーキングディスタンスとも呼ばれる既定値であり、光学系を用いた測定時(撮影時)における被検眼Eと光学系との間の距離に相当する。
【0083】
また、主制御部211は、表示制御部として、各種情報を表示部241に表示させることが可能である。例えば、主制御部211は、眼底カメラユニット2を用いて取得された眼底画像又は前眼部画像、光画像形成ユニット100を用いて取得された画像、又は後述のデータ処理部230により得られたデータ処理結果(解析処理結果)を表示部241に表示させる。ここで、光画像形成ユニット100を用いて取得された画像には、断層画像と正面画像とが含まれる。断層画像は、被検眼Eの深さ方向の形態を表すOCT画像である。正面画像には、OCT画像取得モードにおいて取得されるen-face画像などのOCT画像の他に、SLO画像取得モードにおいて取得されるSLO画像が含まれる。いくつかの実施形態では、主制御部211は、眼底画像(又は前眼部画像)、OCT画像、及びSLO画像の少なくとも1つに、データ処理結果を対応付けて表示部241に表示させる。
【0084】
(記憶部212)
記憶部212は各種のデータを記憶する。記憶部212の機能は、メモリ又は記憶装置等の記憶デバイスにより実現される。記憶部212に記憶されるデータとしては、例えば、眼底画像の画像データ、前眼部画像の画像データ、OCTデータ(OCT画像を含む)、SLOデータ(光画像形成ユニット100を用いて取得された正面画像を含む)被検眼情報などがある。被検眼情報は、患者IDや氏名などの被検者に関する情報や、左眼/右眼の識別情報、電子カルテ情報などの被検眼に関する情報を含む。記憶部212には、各種のプロセッサ(制御プロセッサ、画像形成プロセッサ、データ処理プロセッサ)を実行させるためのプログラムが記憶される。
【0085】
(画像形成部220)
画像形成部220は、プロセッサ(例えば、画像形成プロセッサ)を含み、イメージセンサ115からの出力(検出データ)に基づいて、被検眼Eの断層画像と正面画像とを形成する。
【0086】
図4に、実施形態に係る画像形成部220の構成例のブロック図を示す。
【0087】
画像形成部220は、OCT画像形成部221と、SLO画像形成部222とを含む。
【0088】
OCT画像形成部221は、イメージセンサ115により得られた検出データに基づいて、OCT画像を形成する。OCT画像には、断層画像、en-face画像などが含まれる。SLO画像形成部222は、イメージセンサ115により得られた検出データに基づいて、SLO画像を形成する。SLO画像は、正面画像を含む。
【0089】
例えば、OCT画像形成部221は、従来のスペクトラルドメインOCTと同様に、AラインごとのOCTデータに基づくスペクトル分布に信号処理を施してAラインごとの反射強度プロファイル(Aラインプロファイル)を生成する。具体的には、イメージセンサ115は、回折格子113により分光された光を受光することで、Aラインごとに、等波長間隔の検出データを検出する。OCT画像形成部221は、Aラインごとに、イメージセンサ115から等波長間隔の検出データを取得し、取得された検出データに対して等波数間隔の検出データに変換するリスケーリング処理を施す。OCT画像形成部221は、更に、等波数間隔に変換された検出データに対してフーリエ変換処理を施すことにより、被検眼Eの測定光LSの入射位置における戻り光(後方散乱光)の強度プロファイル(反射強度プロファイル)を生成する。Aラインプロファイルを生成するための信号処理には、上記のフーリエ変換を行うための高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:FFT)の他に、ノイズリダクション(デノイジング)、フィルタリングなどが含まれる。更に、OCT画像形成部221は、生成された各Aラインプロファイルを画像化して複数のAスキャン画像データを生成し、これらAスキャン画像データをスキャンパターン(複数のスキャン点の配置)にしたがって配列する。
【0090】
例えば、SLO画像形成部222は、光スキャナ42により測定光LSを偏向することで被検眼Eにおける測定光のLSの照射位置を移動しつつ、各照射位置からの測定光LSの戻り光を受光したイメージセンサ115からの検出データを順次に取得するように構成される。SLO画像形成部222は、各画素にイメージセンサ115からの検出データに対応した画素値を割り当てることで、測定光LSを用いたスキャン範囲に対応するSLO画像を形成する。
【0091】
このようなSLO画像形成部222は、
図4に示すように、ビニング処理部222Aを含む。すなわち、この実施形態では、データビニング処理が実行される。しかしながら、実施形態に係る構成において、ピクセルビニング処理が実行されてもよい。
【0092】
ビニング処理部222Aは、イメージセンサ115からの検出データに対してビニング処理を施す。ここで、ビニング処理は、2以上の受光素子により得られた2以上の受光結果を合成する処理である。2以上の受光結果を合成する処理の例として、加算処理、重み付け加算処理などがある。例えば、2以上の受光結果に対して重み付け加算処理を行うことで、重み付け係数によりビニング処理対象の受光結果を選択するようにしてもよい。
【0093】
ビニング処理部222Aは、イメージセンサ115に含まれる2以上の受光素子の受光結果(検出データ)の一部又全部に対してビニング処理を施すことが可能である。例えば、ビニング処理部222Aは、イメージセンサ115に含まれる2以上の受光素子の中から選択された2以上の受光素子の受光結果に対してビニング処理を施すことが可能である。
【0094】
図5に、実施形態に係るSLO画像形成部222の第1動作例を説明するための図を模式的に示す。
図5では、イメージセンサ115はn(nは、2以上の整数)個の受光素子が配列されたラインセンサであり、n個の受光素子により検出データDT(受光結果d
1~d
n)が取得されたものとする。
【0095】
SLO画像形成部222は、イメージセンサ115におけるn個の受光素子(2以上の受光素子)における全受光結果d1~dnに対するビニング処理結果に対応した画素情報を画素ごとに割り当てることで単一のSLO画像SIMGを形成することが可能である。
【0096】
具体的には、ビニング処理部222Aは、画素ごとに、イメージセンサ115のn個の受光素子において取得された取得された受光結果d1~dnのそれぞれを加算するビニング処理を実行する。SLO画像形成部222は、画像内の開始位置(x,y)=(0,0)から順次に、ビニング処理結果に対応した画素情報(画素値、輝度値)を画素ごとに割り当てることで、SLO画像SIMGを形成する。
【0097】
図6に、実施形態に係るSLO画像形成部222の第2動作例を説明するための図を模式的に示す。
図6において、
図5と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明する。
【0098】
SLO画像形成部222は、イメージセンサ115におけるn個の受光素子のn個の受光結果d1~dnに対応した画素情報を互いに異なるSLO画像の画素ごとに割り当てることでn枚のSLO画像SIMG1~SIMGnを形成することが可能である。SLO画像SIMG1~SIMGnは、各波長成分に対応したn枚の分光画像からなるハイパースペクトル画像である。
【0099】
具体的には、SLO画像形成部222は、各画像内の開始位置(x,y)=(0,0)の画素に、検出データDTにおける受光結果d1に対応した画素情報をSLO画像SIMG1に割り当て、受光結果d2に対応した画素情報をSLO画像SIMG2に割り当て、・・・、受光結果dnに対応した画素情報をSLO画像SIMGnに割り当てる。続いて、SLO画像形成部222は、各画像内の次の画素に、検出データDTにおける受光結果d1に対応した画素情報をSLO画像SIMG1に割り当て、受光結果d2に対応した画素情報をSLO画像SIMG2に割り当て、・・・、受光結果dnに対応した画素情報をSLO画像SIMGnに割り当てる。このように、各SLO画像内の画素ごとに、順次に、2以上の受光結果のそれぞれに対応した画素情報を割り当てることで、2以上のSLO画像を形成することができる。これにより、回折格子113により分光された波長成分に対応したハイパースペクトル画像が形成される。
【0100】
図7に、実施形態に係るSLO画像形成部222の第3動作例を説明するための図を模式的に示す。
図7において、
図5と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明する。
【0101】
SLO画像形成部222は、イメージセンサ115におけるn個の受光素子を、互いに隣接する2以上の受光素子により構成される複数の受光素子群に分割し、複数の受光素子群毎に受光素子の受光結果に対してビニング処理を行い、ビニング処理結果に対応した画素情報を画素ごとに割り当てることで、2以上の分光画像としての2以上のSLO画像を形成する。
図7は、説明の便宜上、3個の受光素子により構成される複数の受光素子群に分割する例を表す。
【0102】
具体的には、SLO画像形成部222は、検出データDTにおける受光結果d1~d3のそれぞれを加算することでビニング処理を実行し、受光結果d4~d6のそれぞれを加算することでビニング処理を実行し、・・・、受光結果dn-2~dnのそれぞれを加算することでビニング処理を実行する。SLO画像形成部222は、各画像内の開始位置(x,y)=(0,0)から順次に、受光結果d1~d3のビニング処理結果に対応した画素情報をSLO画像SIMG1に割り当て、受光結果d4~d6のビニング処理結果に対応した画素情報をSLO画像SIMG2に割り当て、・・・、受光結果dn-2~dnのビニング処理結果に対応した画素情報をSLO画像SIMGm(2≦m<n、mは整数)に割り当てる。
【0103】
これにより、複数の波長成分群ごとに2以上の分光画像を形成することができる。
【0104】
図8に、実施形態に係るSLO画像形成部222の第4動作例を説明するための図を模式的に示す。
図8において、
図5と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明する。
【0105】
SLO画像形成部222は、イメージセンサ115におけるn個の受光素子の中から選択された2以上の受光素子の受光結果に対してビニング処理を行い、ビニング処理結果に対応した画素情報を画素ごとに割り当てることで単一のSLO画像を形成する。選択される2以上の受光素子は、あらかじめ決められてもよいし、主制御部211により事後的に決められてもよい。
図8は、説明の便宜上、受光結果d
p~d
q(1≦p,q≦n、p<q、p、qは整数)が選択されているものとする。
【0106】
具体的には、ビニング処理部222Aは、画素ごとに、イメージセンサ115のn個の受光素子において取得された受光結果d1~dnのうち受光結果dp~dqのそれぞれを加算することでビニング処理を実行する。SLO画像形成部222は、受光結果dp~dqに対するビニング処理結果に対応した画素情報を画素ごとに割り当てることで単一のSLO画像SIMGを形成することが可能である。
【0107】
図9に、実施形態に係るSLO画像形成部222の第5動作例を説明するための図を模式的に示す。
図9において、
図5と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明する。
【0108】
SLO画像形成部222は、イメージセンサ115におけるn個の受光素子の中から選択された2以上の受光素子の受光結果に対してビニング処理を行い、ビニング処理結果に対応した画素情報を画素ごとに割り当てることで単一のSLO画像を形成する。選択される2以上の受光素子は、あらかじめ決められた互いに隣接していない2以上の受光素子であってもよい。また、2以上の受光素子は、主制御部211により事後的に決められてもよい。
図9は、説明の便宜上、受光結果d
1~d
nのうち受光結果d
p~d
qを除く受光結果d
1~d
p-1、d
q+1~d
nが選択されているものとする。
【0109】
具体的には、ビニング処理部222Aは、イメージセンサ115のn個の受光素子において取得された受光結果d1~dnのうち受光結果d1~dp-1、dq+1~dnのそれぞれを加算することでビニング処理を実行する。SLO画像形成部222は、受光結果d1~dp-1、dq+1~dnに対するビニング処理結果に対応した画素情報を画素ごとに割り当てることで単一のSLO画像SIMGを形成することが可能である。
【0110】
(データ処理部230)
データ処理部230は、プロセッサ(例えば、データ処理プロセッサ)を含み、画像形成部220により形成された画像に対して画像処理や解析処理を施す。主制御部211に含まれるプロセッサ、データ処理部230に含まれるプロセッサ、及び画像形成部220に含まれるプロセッサの少なくとも2つは、単一のプロセッサにより構成されていてもよい。
【0111】
データ処理部230は、断層画像の間の画素を補間する補間処理などの公知の画像処理を実行して、眼底Ef又は前眼部Eaの3次元画像の画像データを形成する。なお、3次元画像の画像データとは、3次元座標系により画素の位置が定義された画像データを意味する。3次元画像の画像データとしては、3次元的に配列されたボクセルからなる画像データがある。この画像データは、ボリュームデータ或いはボクセルデータなどと呼ばれる。ボリュームデータに基づく画像を表示させる場合、データ処理部230は、このボリュームデータに対してレンダリング処理(ボリュームレンダリングやMIP(Maximum Intensity Projection:最大値投影)など)を施して、特定の視線方向から見たときの擬似的な3次元画像の画像データを形成する。表示部241等の表示デバイスには、この擬似的な3次元画像が表示される。
【0112】
また、3次元画像の画像データとして、複数の断層画像のスタックデータを形成することも可能である。スタックデータは、複数のスキャンラインに沿って得られた複数の断層画像を、スキャンラインの位置関係に基づいて3次元的に配列させることで得られる画像データである。すなわち、スタックデータは、元々個別の2次元座標系により定義されていた複数の断層画像を、1つの3次元座標系により表現する(つまり1つの3次元空間に埋め込む)ことにより得られる画像データである。
【0113】
いくつかの実施形態では、データ処理部230は、Aスキャン画像をBスキャン方向に配列することによりBスキャン画像を生成する。いくつかの実施形態では、データ処理部230は、取得された3次元データセット(ボリュームデータ、スタックデータ等)に各種のレンダリングを施すことで、任意断面におけるBモード画像(Bスキャン画像)(縦断面像、軸方向断面像)、任意断面におけるCモード画像(Cスキャン画像)(横断面像、水平断面像)、プロジェクション画像、シャドウグラムなどを形成することができる。Bスキャン画像やCスキャン画像のような任意断面の画像は、指定された断面上の画素(ピクセル、ボクセル)を3次元データセットから選択することにより形成される。プロジェクション画像は、3次元データセットを所定方向(z方向、深さ方向、軸方向)に投影することによって形成される。シャドウグラムは、3次元データセットの一部(たとえば特定層に相当する部分データ)を所定方向に投影することによって形成される。積分する層方向の深さ範囲を変更することで、互いに異なる2以上のシャドウグラムを形成することが可能である。Cスキャン画像、プロジェクション画像、シャドウグラムのような、被検眼の正面側を視点とする画像を正面画像(en-face画像)と呼ぶ。
【0114】
データ処理部230は、OCTにより時系列に収集されたデータ(例えば、Bスキャン画像データ)に基づいて、網膜血管や脈絡膜血管が強調されたBスキャン画像や正面画像(血管強調画像、アンギオグラム)を構築することができる。例えば、被検眼Eの略同一部位を反復的にスキャンすることにより、時系列のOCTデータを収集することができる。
【0115】
いくつかの実施形態では、データ処理部230は、略同一部位に対するBスキャンにより得られた時系列のBスキャン画像を比較し、信号強度の変化部分の画素値を変化分に対応した画素値に変換することにより当該変化部分が強調された強調画像を構築する。更に、データ処理部230は、構築された複数の強調画像から所望の部位における所定の厚さ分の情報を抽出してen-face画像として構築することでOCTA(アンギオグラフィ)像を形成する。
【0116】
いくつかの実施形態では、データ処理部230は、解析部として、断層画像における所定の層領域を特定する。所定の層領域の例として、内境界膜、神経繊維層、神経節細胞層、内網状層、内顆粒層、外網状層、外顆粒層、外境界膜、視細胞層、網膜色素上皮層、ブルッフ膜、脈絡膜、強膜がある。
【0117】
いくつかの実施形態では、データ処理部230は、イメージセンサ115により得られた干渉信号(分光された光の検出信号)の強度に基づいて所定の層領域を特定する。例えば、データ処理部230は、干渉信号の強度の極値(極大値)を示す位置を層領域の境界位置に相当する位置として特定し、干渉信号の強度の最大値を示す位置を基準に上記の層領域を特定する。
【0118】
いくつかの実施形態では、データ処理部230は、断層画像における各画素の輝度値に基づきセグメンテーション処理を行う。すなわち、眼底Efのそれぞれの層領域は特徴的な反射率を有し、これら層領域に相当する画像領域もそれぞれ特徴的な輝度値を有する。データ処理部230は、これら特徴的な輝度値に基づきセグメンテーション処理を実行することにより、目的の画像領域(層領域)を特定することができる。
【0119】
(ユーザーインターフェイス240)
ユーザーインターフェイス240は、ユーザーからの眼科装置1に対する入力を受け付けたり、ユーザーに対して眼科装置1からの情報を出力したりする。このようなユーザーインターフェイス240は、表示部241と、操作部242とを含む。
【0120】
表示部241は、制御部210による制御を受けて情報を表示する。表示部241は、
図1に示す表示装置3を含む。
【0121】
操作部242は、眼科装置1を操作するために使用される。操作部242は、眼科装置1に設けられた各種のハードウェアキー(ジョイスティック、ボタン、スイッチなど)を含む。また、操作部242は、タッチパネル式の表示画面に表示される各種のソフトウェアキー(ボタン、アイコン、メニューなど)を含んでもよい。
【0122】
表示部241及び操作部242の少なくとも一部が一体的に構成されていてもよい。その典型例として、タッチパネル式の表示画面がある。
【0123】
また、眼科装置1は、図示しない外部装置と通信するための通信部を含んでいてもよい。通信部は、外部装置との接続形態に応じた通信インターフェイスを備える。外部装置の例として、屈折力測定が可能な屈折力測定装置、又は、レンズの光学特性を測定するための眼鏡レンズ測定装置がある。屈折力測定装置は、被検眼の眼底に光を投影し、被検眼からの戻り光を受光することによりリング像を取得し、取得されたリング像から被検眼の屈折力値を算出することができる。眼鏡レンズ測定装置は、被検者が装用する眼鏡レンズの度数などを測定し、この測定データを眼科装置1に入力する。また、外部装置は、任意の眼科装置、記録媒体から情報を読み取る装置(リーダ)や、記録媒体に情報を書き込む装置(ライタ)などでもよい。更に、外部装置は、病院情報システム(HIS)サーバ、DICOM(Digital Imaging and COmmunication in Medicine)サーバ、医師端末、モバイル端末、個人端末、クラウドサーバなどでもよい。
【0124】
被検眼Eは、実施形態に係る「被測定物」の一例である。光画像形成ユニット100に含まれる光学系と光スキャナ42とは、実施形態に係る「干渉光学系」の一例である。回折格子113は、実施形態に係る「分光部材」の一例である。OCT画像形成部221は、実施形態に係る「断層画像形成部」の一例である。SLO画像形成部222は、実施形態に係る「正面画像形成部」の一例である。
【0125】
<動作例>
実施形態に係る眼科装置1の動作例について説明する。
【0126】
図10、及び
図11に、眼科装置1の動作の一例を示す。
図10は、眼科装置1の動作例のフロー図を表す。
図11は、ステップS11の動作例のフロー図を表す。
図12、
図13、及び
図14に、ステップS12の動作説明図を示す。記憶部212には、
図10、及び
図11に示す処理を実現するためのコンピュータプログラムが記憶されている。主制御部211は、このコンピュータプログラムに従って動作することにより、
図10、及び
図11に示す処理を実行する。
【0127】
(S1:動作モードを設定)
まず、ユーザーは、操作部242を用いて、OCT画像取得モード、及びSLO画像取得モードのいずれかを指定する。主制御部211は、操作部242に対するユーザーの操作内容に対応した操作制御信号を受け、動作モードを設定する。
【0128】
(S2:スキャン条件を設定)
続いて、主制御部211は、スキャン条件を設定する。例えば、ユーザーは、操作部242を用いて、スキャン条件を指定する。主制御部211は、操作部242に対するユーザーの操作内容に対応した操作制御信号を受け、スキャン条件を設定する。スキャン条件には、スキャン範囲、スキャンモード、スキャン速度などがある。
【0129】
(S3:アライメント)
次に、図示しない顔受け部に被検者の顔が固定された状態で、検者が操作部242に対して所定の操作を行うことで、眼科装置1は、被検眼Eに対して固視標の提示を開始する。
【0130】
具体的には、主制御部211は、LCD39を制御することにより、あらかじめ決められた固視標を表す固視標パターンをLCDパネル39のスクリーン上の所定の位置に表示させる。
【0131】
また、ユーザーが操作部242に対して所定の操作を行うことで、眼科装置1は、アライメントを実行する。
【0132】
具体的には、主制御部211は、アライメント光学系50を制御することにより、被検眼Eにアライメント光を投射させ、イメージセンサ35により取得された受光像に基づいて、上記のようにマニュアルアライメント又はオートアライメントを実行する。これにより、
図1に示す光学系が被検眼Eの検査位置に移動される。検査位置とは、被検眼Eの検査を十分な精度内で行うことが可能な位置である。
【0133】
主制御部211からの指示、又は操作部242に対するユーザーの操作若しくは指示により、眼科装置1の動作はステップS4に移行する。
【0134】
(S4:フォーカス調整)
続いて、主制御部211は、フォーカス調整を実行する。
【0135】
具体的には、主制御部211は、フォーカス光学系60を制御することにより、被検眼Eにスプリット指標を投射させ、マニュアルフォーカス又はオートフォーカスを実行する。
【0136】
マニュアルフォーカスの場合、被検者による操作部242に対する操作を受け、主制御部211が合焦駆動部31Aを制御して、2つのスプリット指標像が所定の位置関係になるように撮影合焦レンズ31を光軸方向に移動させる。OCT合焦レンズ43は、撮影合焦レンズ31の移動に連動して光軸方向に移動する。
【0137】
オートフォーカスの場合、主制御部211は、イメージセンサ35により得られた2つのスプリット指標像が所定の位置関係になるように合焦駆動部31Aを制御する。そして、主制御部211は、2つのスプリット指標像が所定の位置関係になるように撮影合焦レンズ31を光軸方向に移動させる。OCT合焦レンズ43は、撮影合焦レンズ31の移動に連動して光軸方向に移動する。
【0138】
(S5:OCT画像取得モード?)
次に、主制御部211は、ステップS1において設定された動作モードがOCT画像取得モードであるか否かを判定する。
【0139】
ステップS1において設定された動作モードがOCT画像であると判定されたとき(ステップS5:Y)、眼科装置1の動作はステップS6に移行する。一方、ステップS1において設定された動作モードがOCT画像取得モードではないと判定されたとき(ステップS5:N)、眼科装置1の動作はステップS9に移行する。
【0140】
(S6:遮蔽部材を退避)
ステップS1において設定された動作モードがOCT画像であると判定されたとき(ステップS5:Y)、主制御部211は、遮蔽機構130Aを制御して、参照ミラー108とコリメートレンズユニット107との間の参照光LRの光路から遮蔽部材130を退避させる。
【0141】
(S7:スキャン)
続いて、主制御部211は、ステップS2において設定されたスキャン条件に従って光スキャナ42を制御することにより、測定光LSでスキャン範囲をスキャンさせる。
【0142】
ステップS7では、被検眼Eにおける各スキャン位置において、光スキャナ42により偏向された測定光LSが被検眼Eに入射する。被検眼Eにおける入射位置から測定光LSの戻り光が光画像形成ユニット100に戻り、参照光路を経由した参照光LRと測定光LSの戻り光との干渉光LCが回折格子113により分光される。回折格子113により分光された光は、イメージセンサ115により順次に受光される。
【0143】
(S8:OCT画像形成処理)
続いて、主制御部211は、OCT画像形成部221を制御して、ステップS7において実行されたスキャンにより取得されたイメージセンサ115の受光結果に基づいて、OCT画像としての断層画像を形成させる。
【0144】
OCT画像形成部221は、上記のように、OCT画像としての断層画像を形成する。
【0145】
(S9:遮蔽部材を配置)
一方、ステップS5において、ステップS1において設定された動作モードがOCT画像ではないと判定されたとき(ステップS5:N)、主制御部211は、動作モードがSLO画像取得モードであると判断して、遮蔽機構130Aを制御して、参照ミラー108とコリメートレンズユニット107との間の参照光LRの光路から遮蔽部材130を配置させる。
【0146】
(S10:スキャン)
続いて、主制御部211は、ステップS2において設定されたスキャン条件に従って光スキャナ42を制御することにより、測定光LSでスキャン範囲をスキャンさせる。
【0147】
ステップS10では、被検眼Eにおける各スキャン位置において、光スキャナ42により偏向された測定光LSが被検眼Eに入射する。被検眼Eにおける入射位置から測定光LSの戻り光が光画像形成ユニット100に戻り、ファイバカプラ103から測定光LSの戻り光が出射し、回折格子113により分光される。回折格子113により分光された光は、イメージセンサ115により順次に受光される。
【0148】
(S11:SLO画像形成処理)
続いて、主制御部211は、SLO画像形成部222を制御して、ステップS10において実行されたスキャンにより取得されたイメージセンサ115の受光結果に基づいて、SLO画像としての正面画像を形成させる。
【0149】
ステップS11の詳細は、後述する。
【0150】
(S12:表示)
ステップS8、又は、ステップS11に続いて、主制御部211は、ステップS8において形成された断層画像、又は、ステップS11において形成された正面画像(分光画像、ハイパースペクトル画像を含む)を表示部241(又は表示装置3)に表示させる。
【0151】
いくつかの実施形態では、主制御部211は、断層画像、及び正面画像を表示部241の同一画面に表示させる。いくつかの実施形態では、主制御部211は、各画像において描出された同一の特徴部位に相当する位置が対応付けられるように断層画像、及び正面画像を位置合わせして表示部241に表示させる。
【0152】
以上で、眼科装置1の動作は終了である(エンド)。
【0153】
ステップS11の処理は、
図11に示すフローに従って実行される。
図11では、あらかじめ決められた、
図5~
図9のいずれかの態様の正面画像が形成されるものとする
【0154】
(S21:検出データを取得)
ステップS11では、まず、SLO画像形成部222は、イメージセンサ115において取得された検出データを取得する。
【0155】
(S22:ビニング処理?)
ステップS21において取得された検出データに対してビニング処理を実行するとき(ステップS22:Y)、SLO画像形成部222の動作はステップS23に移行する。一方、ステップS21において取得された検出データに対してビニング処理を実行しないとき(ステップS22:N)、SLO画像形成部222の動作はステップS24に移行する。
【0156】
(S23:ビニング処理)
ステップS21において取得された検出データに対してビニング処理を実行するとき(ステップS22:Y)、SLO画像形成部222は、ステップS21において取得された検出データのうち、あらかじめ決められた受光結果に対してビニング処理を実行する。これにより、
図5、
図7~
図9のいずれかのビニング処理結果が得られる。
【0157】
(S24:画素に割り当てて保存)
続いて、SLO画像形成部222は、ステップS21において取得された検出データの1つ、又は、ステップS23において得られたビニング処理結果に対応した画素情報を画像内の画素に割り当てて保存する。
【0158】
(S25:次の画像?)
次に、SLO画像形成部222は、次の画像の画素に検出データ又はビニング処理結果を割り当てるか否かを判定する。
【0159】
次の画像の画素に検出データ等を割り当てると判定されたとき(ステップS25:Y)、SLO画像形成部222の動作はステップS24に移行する。これにより、ハイパースペクトル画像のような2以上の分光画像が形成される。
【0160】
一方、次の画像の画素に検出データ等を割り当てないと判定されたとき(ステップS25:N)、SLO画像形成部222の動作はステップS26に移行する。
【0161】
(S26:次の画素?)
次に、SLO画像形成部222は、画像内の次の画素に検出データ又はビニング処理結果を割り当てるか否かを判定する。
【0162】
画像内の次の画素に検出データ等を割り当てると判定されたとき(ステップS26:Y)、SLO画像形成部222の動作はステップS21に移行する。
【0163】
一方、画像内の次の画素に検出データ等を割り当てないと判定されたとき(ステップS26:N)、ステップS11の処理は終了である(エンド)。
【0164】
なお、眼科装置1は、遮蔽部材130の挿脱を繰り返すことで、ステップS7のスキャンとステップS10のスキャンとを時分割で実行することが可能である。
【0165】
以上のように、ステップS12では、
図12に示すように、主制御部211は、ステップS8においてOCT画像形成部221により形成された断層画像IMG1を表示部241に表示させること可能である。また、
図13又は
図14に示すように、主制御部211は、ステップS11においてSLO画像形成部222により形成された正面画像IMG2、又は複数の分光画像IMG2
1~IMG2
N(Nは、2以上の整数)(又は、ハイパースペクトル画像)を表示部241に表示させることが可能である。
【0166】
以上説明したように、実施形態によれば、参照光LRの光路に対する遮蔽部材130の挿脱により、OCT光学系とSLO光学系とで干渉光学系の少なくとも一部を共用することができるようになる。従って、装置の大型化を最小限に抑えつつ、断層画像と正面画像とを取得するための光画像形成装置としての眼科装置1を提供することができる。
【0167】
なお、回折格子113は、グレーティングミラー、プリズム、音響光学素子などの反射型の回折格子であってもよい。
【0168】
[作用]
実施形態に係る光画像形成装置、光画像形成装置の制御方法、及びプログラムについて説明する。
【0169】
いくつかの実施形態の第1態様は、光スキャナ(42)を含む干渉光学系(光画像形成ユニット100に含まれる光学系と光スキャナ42)と、遮蔽部材(130)と、分光部材(回折格子113)と、イメージセンサ(イメージセンサ115)と、断層画像形成部(OCT画像形成部221)と、正面画像形成部(SLO画像形成部222)とを含む光画像形成装置(眼科装置1)である。干渉光学系は、光源(光源ユニット101)からの低コヒーレンス光(L0)を測定光(LS)と参照光(LR)とに分割し、光スキャナにより偏向された測定光を被測定物(被検眼E)に照射し、参照光路を経由した参照光と被測定物からの測定光の戻り光とを干渉させる。遮蔽部材は、参照光路に対して挿脱可能である。分光部材は、参照光路から遮蔽部材が退避された状態で干渉光学系により生成された参照光と戻り光との干渉光を分光し、又は、参照光路に遮蔽部材が配置された状態で干渉光学系から出力された戻り光を分光する。イメージセンサは、分光部材により分光された光を受光する。断層画像形成部は、イメージセンサにより得られた、干渉光を分光した光の受光結果に基づいて、被測定物の断層画像(OCT画像)を形成する。正面画像形成部は、イメージセンサにより得られた、戻り光を分光した光の受光結果に基づいて被測定物の正面画像(SLO画像)を形成する。
【0170】
このような態様によれば、参照光路に対する遮蔽部材の挿脱により、断層画像を取得するための光学系と正面画像を取得するための光学系とで干渉光学系の少なくとも一部を共用することができるようになる。従って、装置の大型化を最小限に抑えつつ、断層画像と正面画像とを取得するための光画像形成装置を提供することができる。
【0171】
いくつかの実施形態の第2態様では、第1態様において、分光部材は、回折格子(113)である。イメージセンサは、回折格子に形成された格子パターンの配列方向に対応した方向に2以上の受光素子が配列されたラインセンサである。
【0172】
このような態様によれば、回折格子とラインセンサとを含む分光器を用いて、装置の大型化を最小限に抑えつつ、断層画像と正面画像とを取得するための光画像形成装置を提供することができる。
【0173】
いくつかの実施形態の第3態様では、第2態様において、断層画像形成部は、2以上の受光素子における2以上の受光結果に基づいて断層画像を形成し、正面画像形成部は、各正面画像の画素ごとに2以上の受光結果のそれぞれに対応した画素情報が割り当てられた2以上の正面画像を形成する。
【0174】
このような態様によれば、装置の大型化を最小限に抑えつつ、断層画像とハイパースペクトル画像としての2以上の正面画像とを取得するための光画像形成装置を提供することができる。
【0175】
いくつかの実施形態の第4態様では、第2態様において、断層画像形成部は、2以上の受光素子における2以上の受光結果に基づいて断層画像を形成し、正面画像形成部は、2以上の受光素子における複数の受光結果に対するビニング処理結果に対応した画素情報を各正面画像の画素ごとに割り当てることで2以上の正面画像を形成する。
【0176】
このような態様によれば、ビニング処理を行うことで、装置の大型化を最小限に抑えつつ、断層画像と分光画像としての2以上の正面画像とを取得するための光画像形成装置を提供することができる。
【0177】
いくつかの実施形態の第5態様では、第4態様において、正面画像形成部は、2以上の受光素子における全受光結果に対するビニング処理結果に対応した画素情報を画素ごとに割り当てることで単一の正面画像を形成する。
【0178】
このような態様によれば、2以上の受光素子における全受光結果に対してビニング処理を行うことで、装置の大型化を最小限に抑えつつ、断層画像と単一の正面画像とを取得するための光画像形成装置を提供することができる。
【0179】
いくつかの実施形態の第6態様では、第4態様において、正面画像形成部は、2以上の受光素子を複数の受光素子群に分割し、複数の受光素子群毎に受光素子の受光結果に対してビニング処理を行い、ビニング処理結果に対応した画素情報を画素ごとに割り当てることで、2以上の分光画像としての2以上の正面画像を形成する。
【0180】
このような態様によれば、装置の大型化を最小限に抑えつつ、断層画像と所望の波長範囲の分光画像としての2以上の正面画像とを取得するための光画像形成装置を提供することができる。
【0181】
いくつかの実施形態の第7態様は、光スキャナ(42)を含む干渉光学系(光画像形成ユニット100に含まれる光学系と光スキャナ42)と、遮蔽部材(130)と、分光部材(回折格子113)と、イメージセンサ(イメージセンサ115)と、とを含む光画像形成装置(眼科装置1)の制御方法である。光画像形成装置の制御方法は、第1干渉光学系制御ステップと、断層画像生成ステップと、第2干渉光学系制御ステップと、正面画像形成ステップとを含む。第1干渉光学系制御ステップは、参照光路から遮蔽部材を退避することにより干渉光学系に干渉光を生成させる。断層画像形成ステップは、イメージセンサにより干渉光を分光した光を受光することにより得られた受光結果に基づいて、被測定物の断層画像を形成する。第2干渉光学系制御ステップは、参照光路に遮蔽部材を挿入することにより干渉光学系から戻り光を出力させる。正面画像形成ステップは、イメージセンサにより戻り光を分光した光を受光することにより得られた受光結果に基づいて、被測定物の正面画像を形成する。
【0182】
このような方法によれば、参照光路に対する遮蔽部材の挿脱により、断層画像を取得するための光学系と正面画像を取得するための光学系とで干渉光学系の少なくとも一部を共用することができるようになる。従って、装置の大型化を最小限に抑えつつ、断層画像と正面画像とを取得することが可能になる。
【0183】
いくつかの実施形態の第8態様では、第7態様において、分光部材は、回折格子(113)である。イメージセンサは、回折格子に形成された格子パターンの配列方向に対応した方向に2以上の受光素子が配列されたラインセンサである。
【0184】
このような方法によれば、回折格子とラインセンサとを含む分光器を用いて、装置の大型化を最小限に抑えつつ、断層画像と正面画像とを取得することが可能になる。
【0185】
いくつかの実施形態の第9態様では、第8態様において、断層画像形成ステップは、2以上の受光素子における2以上の受光結果に基づいて断層画像を形成し、正面画像形成ステップは、各正面画像の画素ごとに2以上の受光結果のそれぞれに対応した画素情報が割り当てられた2以上の正面画像を形成する。
【0186】
このような方法によれば、装置の大型化を最小限に抑えつつ、断層画像とハイパースペクトル画像としての2以上の正面画像とを取得することが可能になる。
【0187】
いくつかの実施形態の第10態様では、第8態様において、断層画像形成ステップは、2以上の受光素子における2以上の受光結果に基づいて断層画像を形成し、正面画像形成ステップは、2以上の受光素子における複数の受光結果に対するビニング処理結果に対応した画素情報を各正面画像の画素ごとに割り当てることで2以上の正面画像を形成する。
【0188】
このような方法によれば、ビニング処理を行うことで、装置の大型化を最小限に抑えつつ、断層画像と分光画像としての2以上の正面画像とを取得することが可能になる。
【0189】
いくつかの実施形態の第11態様では、第10態様において、正面画像形成ステップは、2以上の受光素子における全受光結果に対するビニング処理結果に対応した画素情報を画素ごとに割り当てることで単一の正面画像を形成する。
【0190】
このような方法によれば、2以上の受光素子における全受光結果に対してビニング処理を行うことで、装置の大型化を最小限に抑えつつ、断層画像と単一の正面画像とを取得することが可能になる。
【0191】
いくつかの実施形態の第12態様では、第9態様において、正面画像形成ステップは、2以上の受光素子を複数の受光素子群に分割し、複数の受光素子群毎に受光素子の受光結果に対してビニング処理を行い、ビニング処理結果に対応した画素情報を画素ごとに割り当てることで、2以上の分光画像としての2以上の正面画像を形成する。
【0192】
このような方法によれば、装置の大型化を最小限に抑えつつ、断層画像と所望の波長範囲の分光画像としての2以上の正面画像とを取得することが可能になる。
【0193】
いくつかの実施形態の第13態様は、コンピュータに、第7態様~第12態様のいずれかに記載の光画像形成装置の制御方法の各ステップを実行させるプログラムである。
【0194】
このようなプログラムによれば、参照光路に対する遮蔽部材の挿脱により、断層画像を取得するための光学系と正面画像を取得するための光学系とで干渉光学系の少なくとも一部を共用することができるようになる。従って、装置の大型化を最小限に抑えつつ、断層画像と正面画像とを取得するための光画像形成装置を提供することができる。
【0195】
<その他>
以上に示された実施形態は、この発明を実施するための一例に過ぎない。この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内において任意の変形、省略、追加等を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0196】
1 眼科装置
42 光スキャナ
100 光画像形成ユニット
101 光源ユニット
113 回折格子
115 イメージセンサ
130 遮蔽部材
210 制御部
211 主制御部
220 画像形成部
221 OCT画像形成部
222 SLO画像形成部
E 被検眼
LR 参照光
LS 測定光
LC 干渉光