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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138785
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】表示灯
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20241002BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20241002BHJP
   F21S 43/20 20180101ALI20241002BHJP
   F21S 43/50 20180101ALI20241002BHJP
   F21V 11/02 20060101ALI20241002BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20241002BHJP
   F21W 111/00 20180101ALN20241002BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20241002BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20241002BHJP
   F21Y 107/90 20160101ALN20241002BHJP
   F21Y 113/13 20160101ALN20241002BHJP
   F21Y 113/17 20160101ALN20241002BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241002BHJP
【FI】
F21S2/00 663
F21S43/14
F21S43/20
F21S43/50
F21V11/02
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21W111:00
F21W103:20
F21W103:35
F21Y107:90
F21Y113:13
F21Y113:17
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049464
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100081433
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 章夫
(72)【発明者】
【氏名】久保田 恭史
【テーマコード(参考)】
3K013
【Fターム(参考)】
3K013AA02
3K013BA01
3K013CA05
3K013CA16
(57)【要約】
【課題】表示形態の自由度を高めて汎用性を向上させた表示灯を提供する。
【解決手段】透光性のアウターレンズ103を備えて内部に灯室が構成されるランプケース104と、灯室内に配設された光源ユニット110を備える。光源ユニット110は灯室を複数の区分室105に区分するエクステンション130と、各区分室105に配設された複数の多色光源122を有する光源部120を備える。複数の区分室105と複数の多色光源122とでそれぞれ複数の発光部Lが形成される。複数の多色光源122はそれぞれ独立して発光が制御され、複数の発光部Lはそれぞれ所望の発光色で発光される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光部が配列され、各発光部が独立して発光される表示灯であって、前記発光部は、区分された複数の区分室にそれぞれ多色光源が配設された構成であり、各多色光源はそれぞれ所望の発光色で発光されることを特徴とする表示灯。
【請求項2】
透光性のあるアウターレンズを備えて内部に灯室が構成されるランプケースと、この灯室内に配設された光源ユニットを備える表示灯であって、前記光源ユニットは前記灯室を複数の区分室に区分するエクステンションと、前記区分室のそれぞれに配設された複数の多色光源を有する光源部を備え、前記複数の区分室と前記複数の多色光源とでそれぞれ複数の発光部が形成され、前記多色光源はそれぞれ独立して発光が制御され、前記複数の発光部Lはそれぞれ所望の発光色で発光されることを特徴とする表示灯。
【請求項3】
前記複数の多色光源はそれぞれR,G,Bの色光を発光する複数の発光素子が1つにパッケージされ、これら発光素子の発光を制御することにより前記多色光源は所要の発光色に制御される請求項2に記載の表示灯。
【請求項4】
前記ランプケースは所要の長さを有し、前記複数の発光部は当該ランプケースの長手方向に沿って配列されている請求項2に記載の表示灯。
【請求項5】
前記光源部は1つの光源基板を備え、前記複数の多色光源は前記光源基板に配列状態に搭載されている請求項2に記載の表示灯。
【請求項6】
前記エクステンションは前記区分室を区分する複数の隔壁と、これら複数の隔壁を連結する連結部材が一体に形成されている請求項2に記載の表示灯。
【請求項7】
前記複数の多色光源の発光を制御する発光制御部を備えており、当該発光制御部は前記多色光源の発光色、明るさ、または発光タイミングのうち少なくとも発光色を制御する請求項2に記載の表示灯。
【請求項8】
前記隔壁は少なくとも区分室に向けられている面が光反射面として構成されている請求項2に記載の表示灯。
【請求項9】
インジケータランプまたはコミュニケーションランプとして構成される請求項1ないし8のいずれかに記載の表示灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光部の発光色を制御して信号やメッセージを表示する表示灯に関する。
【背景技術】
【0002】
工場等においては、作業現場の稼働状態や、作業現場の正常な状態あるいは異常な状態を表示するための表示灯が備えられる。特許文献1には、それぞれ異なる色光、例えば赤色光、黄色光、青色光で発光する複数の発光部をタワー状に積層した表示灯が提案されている。この表示灯は、各発光部を選択的あるいは合一的に発光制御することにより表示灯全体としての発光形態を変化させ、この発光形態の違いにより作業現場の各種状態を表示することが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-132324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の表示灯は、複数の発光部が所定の発光色で発光するように構成されており、したがって表示灯で表示する発光色の組み合わせも固定され、ユーザにおいて発光色の組み合わせを自由に設定することは難しい。例えば、作業現場において、異常状態の程度を、赤色光で発光する発光部の数で表示しようとしたときに、赤色光を発光する発光部の数が固定されている表示灯では対応することは難しい。このように、従来の表示灯においては、表示灯における表示形態の自由度が制限され、汎用性が低いという課題が生じている。
【0005】
また、ユーザにおいて異なる発光色を組み合わせた表示灯が要求される場合には、例えば、複数の発光部を独立したユニットとして構成し、要求に応じて任意の発光色のユニットを組み合わせて表示灯を形成することが考えられる。しかし、この場合には、種々の発光色のユニットを用意する必要があり、部品点数が増大するとともに、複数のユニットを組み付けのための工数が煩雑となり、コスト高を招くという課題が生じる。
【0006】
本発明の目的は、表示形態の自由度を高めて汎用性を向上させた表示灯を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の表示灯は、複数の発光部が配列され、各発光部が独立して発光される表示灯であって、発光部は、区分された複数の区分室にそれぞれ多色光源が配設された構成であり、各多色光源はそれぞれ所望の発光色で発光される構成とされる。
【0008】
本発明の好ましい形態は、透光性のあるアウターレンズを備えて内部に灯室が構成されるランプケースと、この灯室内に配設された光源ユニットを備える表示灯であり、光源ユニットは灯室を複数の区分室に区分するエクステンションと、区分室のそれぞれに配設された複数の多色光源を有する光源部を備えており、複数の区分室と複数の多色光源とでそれぞれ複数の発光部が形成され、多色光源はそれぞれ独立して発光が制御され、複数の発光部Lはそれぞれ所望の発光色で発光される構成である。
【0009】
本発明のさらに好ましい形態は、複数の多色光源はそれぞれR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の色光を発光する複数の発光素子が1つにパッケージされ、これら発光素子の発光を制御することにより多色光源が所要の発光色に制御される。ランプケースは所要の長さを有し、前記複数の発光部は当該ランプケースの長手方向に沿って配列される。光源部は1つの基板を備え、複数の多色光源はこの光源基板に配列状態に搭載される。エクステンションは区分室を区分する複数の隔壁と、これら複数の隔壁を連結する連結部材が一体に形成される。
【0010】
本発明においては、複数の多色光源の発光を制御する発光制御部を備えてもよく、発光制御部は多色光源の発光色、明るさ、または発光タイミングのうち少なくとも発光色を制御する。また、隔壁は少なくとも区分室に向けられている面が光反射面として構成されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の発光部を所望の発光色でかつ所望の形態で発光させることができ、表示形態の自由度が高められた汎用性のある表示灯が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の表示灯をインジケータランプに適用した実施形態1の概略構成図。
図2図1のA-A線、B-B線に沿う拡大断面図。
図3】インジケータランプの概略の部分分解斜視図。
図4】多色LEDの透視図。
図5】発光制御部の概念構成図。
図6】インジケータランプの表示形態の一例を示す模式図。
図7】本発明の実施形態2,3の表示灯を適用した自動車の外観斜視図。
図8】実施形態2のコミュニケーションランプの外観図。
図9図8のC-C線に沿う拡大断面図。
図10】コミュニケーションランプの部分分解斜視図。
図11】コミュニケーションランプの表示形態の一例を示す模式図。
図12】実施形態3のバッテリーランプの一部を破断した正面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態1)
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の表示灯として、工場の作業現場の稼働状態や異常状態を表示するインジケータランプとして構成された実施形態1の外観図である。インジケータランプILは作業現場WSの所要箇所に立設された支柱101の上端部に支持されており、周面を発光面とする円筒状に形成され、その筒軸方向に複数の発光部Lが配列された積層型表示灯100として構成されている。なお、以降においては、この筒軸方向を長手方向と称する。
【0014】
このインジケータランプILは、作業現場WSにおける稼働状態に応じて異なる表示形態で発光される。例えば、作業現場に配設されたセンサーSSで異常を検知したとき、あるいは作業現場の異常を認知した作業者が制御盤CPを操作したとき等に、複数の発光部Lを正常時とは異なる所定の発色光あるいは所定の明るさで発光させ、あるいは所定のタイミングで点滅発光させることが可能に構成されている。
【0015】
図2及び図3はインジケータランプILとして構成された積層型表示灯100の詳細を表す図であり、図2(a),(b)は図1のA-A線、B-B線に沿う拡大断面図、図3は概略の部分分解斜視図である。この積層型表示灯100は、支柱101に支持されている円筒型のベース部102と、このベース部102の上側に連結状態に支持された円筒容器型の透光性のアウターレンズ103とで構成されるランプケース104を備えている。このランプケース104内には灯室が構成され、この灯室内に光源ユニット110が配設されている。また、光源ユニット110の発光を制御するための発光制御部140がベース部102の内部に配設されている。
【0016】
アウターレンズ103は、例えば無色透明な透光性樹脂により、下端部が開口された所要の筒長を有する有底円筒型に形成され、この下端部がベース部102に取り付けられ、ベース部102との間に灯室が形成されている。このアウターレンズ103の内周面には、所要のレンズステップ103aが形成され、光源ユニット110から出射された光をレンズステップ103aで屈折することにより、所要の配光で光を出射するようになっている。このレンズステップ103aはアウターレンズ103の長手方向に延びるシリンドリカルステップで構成され、複数のシリンドリカルステップが周方向に配列されている。
【0017】
光源ユニット110は、光源部120とエクステンション130を備えている。光源部120は、アウターレンズ103の筒軸近傍位置、すなわち灯室の中心近傍位置において長手方向に延長配置された細長い光源基板121と、この光源基板に搭載された複数個のLED(発光ダイオード)122を備えている。エクステンション130は、光源部120を周方向に囲むようにして配設されており、光反射を行うリフレクターとして機能するとともに、後述するようにアウターレンズ103内の灯室を長手方向に複数の室に区分している。
【0018】
すなわち、エクステンション130は、アウターレンズ103の長手方向に沿って所要の間隔で配置された複数の隔壁板131と、各隔壁板131を灯室の中心近傍位置において一体的に連結する連結ロッド132とを備えており、例えば樹脂や金属により一体に形成されている。複数の隔壁板131はそれぞれアウターレンズ103の内径寸法にほぼ等しい外径寸法をした円板板に形成されており、各隔壁板131によって灯室の内部は長手方向に配列された複数の小さい灯室105に区分されている。以降においては、この区分された小さい灯室105を区分室と称する。
【0019】
連結ロッド132は複数の隔壁板131を中心近傍位置において長手方向に連結する2本の細長い板状のロッドで形成されている。この2つの連結ロッド132の間には、長手方向に連通した状態に形成された縦溝133と、複数の区分室SLRにそれぞれ対応して開口された開口窓134が形成されている。これら隔壁板131と連結ロッド132の表面、特に隔壁板131の表面には、例えばアルミニウムが塗布あるいは蒸着されており、光反射面として構成されている。なお、エクステンション130が光反射率の高い樹脂や金属で形成されている場合には、このような光反射面としての表面処理は省略してもよい。
【0020】
光源基板121に搭載されている複数個のLED122は、白色光を含む任意の有色光を出射することが可能ないわゆるRGB構成のLEDで構成されている。ここでは、図4に内部を透視した概略斜視図で示すように、R(赤色光)、G(緑色光)、B(青色光)をそれぞれ発光する3つのチップ状のLED素子123(123r,123g,123b)が1つのパッケージ124に内装されている。そして、このLED122は、各LED素子123で発光された光を加色混合してレンズ125から出射させる多色型のLED(フルカラーLEDとも称されるが、多色LEDと称する)として構成されている。
【0021】
これらの多色LED122は、光源基板121の表面と裏面のそれぞれに長手方向に所要の間隔をおいて搭載されている。長手方向の同じ位置において光源基板121の表面と裏面に搭載された多色LED122は互いに対をなして各発光面が背反する方向に向けられている。光源基板121はエクステンション130の縦溝133に長手方向に内挿され、この内挿された状態では、複数の多色LED122は開口窓134を通して隔壁板131により区分された複数の区分室105内にそれぞれ配置される。これにより、各区分室105において、多色LED122から出射される光は、アウターレンズ103の当該区分室105に対応する部位から出射されることになり、それぞれ独立した発光部Lとして構成されることになる。したがって、この実施形態1の積層型表示灯100は上から順に6つの発光部L1~L6が多層に配置されることになる。
【0022】
光源基板121に搭載されている多色LED122は、光源基板121に設けられている図外の回路パターンに電気接続され、さらにベース部102に配設されている前記した発光制御部140に電気接続されている。そして、発光制御部140において制御された電力が光源基板121を通して多色LED122に給電され、多色LED122の発光が制御される。この発光制御により、多色LED122においては、3つのLED素子123から出射される光の明るさ(輝度,光度)が個別に制御され、これらの光が加色混合されて白色光を含む任意の有彩色光が出射される。この多色LED122は砲弾型に形成されてもよく、あるいはRGBの各色光を発光する複数のLED素子123がパッケージされることなく、個別に光源基板に搭載された構成とされてもよい。
【0023】
図5は発光制御部140の概念構成図である。発光制御部140は複数個の多色LED122を個別に駆動する複数の個別駆動部141と、これらの個別駆動部141に対して発光制御信号を出力する主制御部142を備える。主制御部142には、図1に示したセンサーSSや制御盤CPが接続されており、これらから作業現場WSの状態を示す所要の状態信号が入力される。また、主制御部142は、この状態信号が入力されたときに複数の個別駆動部141に対してそれぞれ個別にあるいは合一的に発光制御信号を出力する。実施形態1では、各個別駆動部141に対して、対応する各多色LED122の発光色、明るさ、発光タイミングを制御するための各発光制御信号を出力する。
【0024】
個別駆動部141は主制御部142からの発光制御信号を受けて多色LED122の発光を制御する。この発光制御においては、個別駆動部141は複数の発光部L1~L6の各多色LED122について、それぞれRGBのLED素子123(123r,123g,123b)に対する給電を制御する。これら3つのLED素子123に供給する電流量を個別に制御することにより各LED素子123の相対明るさを制御し、各LED素子123の色光が加算混合された発光色に制御する。また、これと同時に3つのLED素子123の絶対明るさを制御することにより、多色LED122としての明るさを制御する。さらに、個別駆動部141は、主制御部142からの発光制御信号を受けてLED素子123の発光タイミングを制御して、多色LED122を連続点灯し、あるいは所要の周期で点滅させる。
【0025】
このように複数の区分室105の各多色LED122は個別に発光が制御され、発光した多色LED122から出射された光は、直接に、あるいは光反射面として構成されているエクステンション130の隔壁板131の表面において反射された上でアウターレンズ102を透過して外部に出射される。アウターレンズ102を透過する際にはレンズステップ102aにより光が発散、拡散され、所要の配光で出射される。これにより、積層型表示灯100はアウターレンズ102の長手方向に積層状態に構成されている複数の区分室SLRと複数の多色LED122で構成される複数の発光部L1~L6が選択的に発光され、インジケータランプILとして機能することになる。
【0026】
このように、インジケータランプILは、発光制御部140での制御により複数の発光部L1~L6から出射される光の明るさと発光色と発光タイミングが制御される。各発光部L1~L6から出射される光は、隔壁板131によって長手方向の出射が制限されるため、各発光部L1~L6において同一又は異なる発光色で発光された場合でも、長手方向に隣接する発光部L1~L6の光が混合されることが防止されて発光部Lの境界が明確な外観となる。すなわち、複数の発光部L1~L6はそれぞれ独立した1つの発光部として構成されることになり、長手方向に複数の発光部Lがタワー状に積層された積層型表示灯、すなわちインジケータランプILとして構成される。
【0027】
このインジケータランプILは、図1に示したように工場の作業現場WSでの稼働状態を表示する表示灯として適用されたときに、例えば、図6(a)の模式図に示すように、発光部L1~L6を上側から2つずつ赤色光、黄色光、青色光の発光色で選択的に発光して稼働状態を表示する。例えば、正常時には発光部L5,L6を青色光で発光し、他の発光部L1~L4を消光する。また、部品不足や工具交換等の警告状態のときには発光部L3,L4を黄色光で発光し、他の発光部L1、L2,L5,L6は消光する。さらに、異常時には、発光部L1,L2を赤色光で発光し、他の発光部L3~L6は消光する。
【0028】
このように、発光部L1~L6を選択的に発光することにより、作業現場WSの稼働状態を表示することができる。前記したように従来の表示灯においても同様の表示が可能であるが、従来では赤色、黄色、青色の各発光色を発光する発光部の数や配列状態が固定されており、表示形態が固定されており、表示形態の自由度が低いものとなっている。例えば、異常時に発光部を赤色光で発光する際には、赤色光の発光部の数は2つに限定される。そのため、異常の程度は発光部が1つで発光する場合と2つで発光する場合に限られ、特に重度の異常な状態を際立って表示することが難しくなる。
【0029】
実施形態1のインジケータランプILは、ユーザにおいて、発光制御部140により各発光部L1~L6の多色LED122を任意の発光色に制御できるので、赤色、黄色、青色等の発光部を任意に変更することができる。例えば、異常の程度を軽度、中度、重度に区分けし、軽度の場合には図6(a)のように2つの発光部L1,L2のみを赤色光で発光する。異常が中度の場合には、図6(b)のように、4つの発光部L1~L4を赤色光で発光する。また、異常が重度のときには、図6(c)のように、赤色光で発光する発光部の数に制限を受けることなく、全部(6つの)発光部L1~L6を赤色光で発光する。したがって、重度の異常状態を際立った状態で表示することが可能になる。
【0030】
このように、インジケータランプILは、ユーザにおいて全ての発光部L1~L6を任意の発色光、すなわち赤色、黄色、青色に限られることなく、いわゆるフルカラーでの発色光による表示が可能となる。したがって、種々の発色光の発光部を組み合わせた形態での表示が可能となり、インジケータランプの表示形態を高めることができる。例えば、前記した作業現場の異常状態を表示する際にも、多様な形態で表示することができ、インジケータランプの有用性を高めることができる。
【0031】
また、このインジケータランプILでは、所要の発光色を組み合わせた積層型表示灯を構成する際に、従来のように異なる発光色のユニットを必要に応じて組み付ける必要がないため、ユニットを含むランプ部品点数の増大が防止でき、かつユニットの組み付けのための工数が不要になり、コストの点で有利になる。
【0032】
図示は省略するが、発光制御部140での制御により、複数の発光部L(L1~L6)の発光タイミングを変化させることにより、一部の発光部Lのみ、あるいは全ての発光部Lを点滅させてもよい。特に、異常のときには、点滅する発光部Lの数を増やすようにしてもよく、あるいは点滅周期を短くしてもよい。さらには、複数の発光部Lを順序的(シーケンシャル)に発光または点滅させてもよい。
【0033】
実施形態1では、各区分室105にそれぞれ2つの多色LED122を配設した例を示したが、アウターレンズ103のレンズステップを適宜に設計して1つの多色LEDにより好適な配光を得ることができるのであれば、各区分室SLRにそれぞれ1つの多色LEDを配設してもよい。
【0034】
(実施形態2)
図7は本発明の実施形態2の表示灯をコミュニケーションランプCoLとして搭載した自動車CARの後部の外観図である。コミュニケーションランプCoLは、自動車CARの車体後部の一部、例えばリアスポイラーに取り付けられる。図8はこのコミュニケーションランプCoLの外観図であり、車幅方向に所要の長さを有する細長い直線型の線型表示灯200として構成されている。この線型表示灯200は、細長い帯板状をしたベース部202と、このベース部202の表面を覆うように取り付けられる細長い容器状のアウターレンズ203とで構成されるランプケース204を備えている。ベース部202には自動車CARの車体に取り付けるための取付部が形成されているが、ここでは取付部の図示は省略している。
【0035】
図9及び図10は線型表示灯200の詳細を示す図であり、図9図8のC-C線拡大断面図、図10は概略の部分分解斜視図である。アウターレンズ203は無色透明な透光性樹脂で形成されており、その内面には多数のレンズステップ203aが形成されている。このレンズステップ203aは微小球面ステップがマトリクス状に配置されたフライアイレンズステップとして構成されており、透過する光を発散ないし拡散させる構成である。あるいはレンズステップに代えて表面加工されたシボ(微細凹凸)であってもよい。
【0036】
ランプケース204内に構成された灯室内には光源ユニット210が配設されており、この光源ユニット210は光源部220とエクステンション230を備えている。光源部220の光源基板221は表面がアウターレンズ203に向けた状態でベース部202に支持されており、その表面にはランプケース204の長手方向に沿って所要の間隔で複数の多色LED222が搭載されている。各多色LED222は実施形態1の多色LED122と同じであり、発光面が光源基板221の表面と同じ方向に向けられている。
【0037】
エクステンション230は、光源基板220の表面上に載置されており、長手方向に沿って延びる底板233の表面側に所要の間隔をおいて複数の隔壁板231が立設されている。これら複数の隔壁板231は、ランプケース204の内部に構成される灯室を長手方向に直線状に配列された複数の区分室205に区分している。また、エクステンション230の底板233には各区分室205に対応して複数の開口窓232が開口されており、これら複数の開口窓232には光源基板220に搭載されている多色LED222が配置され、それぞれ区分室205内に露呈されている。これにより、各区分室205は多色LED222を光源とした発光部Lとして構成されており、ここでは9個の発光部L1~L9として構成されている。
【0038】
なお、ランプケース204内には、図には表れないが、実施形態1と同様の発光制御部が配設されており、各多色LED222の発光を制御する。この発光制御部はランプケース204の外部に配設されてもよく、あるいは図5に示した複数の個別駆動部141のみがランプケース204内に配設されてもよい。
【0039】
実施形態2の線型表示灯200、すなわちコミュニケーションランプCoLは、図5を参照すると、発光制御部140の主制御部142に所要の発光プログラムが設定されている。主制御部142は、自動車のユーザの操作により出力される所定の信号、あるいは自動車に設けられた各種センサーで検知した所定の信号が入力されたときに、設定されている発光プログラムに従って個別駆動部141を制御し、多色LED222を選択的あるいは合一的に発光制御する。これにより、発光された多色LED222を含む発光部L1~L9が白色光、赤色光、黄色光、青色光等の所望の色光で発光される。
【0040】
複数の発光部L1~L9はそれぞれ独立して任意の発光色で発光することが可能であるので、発光プログラムの設定により多様な発光色の組み合わせの表示形態を実現することができる。例えば、図11(a)のように、発光部L1~L9の発光色を、青色、白色、緑色、赤色等のように任意の組み合わせにすることができる。また、各発光部L1~L9の発光色と発光タイミングが経時的に多色に変化するように発光制御することもできる。したがって、ユーザが自動車の外部からリモートキーを操作したときに、このような形態で発光させることにより、線型表示灯200をウェルカムランプとして機能させることができる。
【0041】
また、図11(b)のように、自動車CARの車体側からの操舵信号を受けて発光部L1~L9が一方向に向けてシーケンシャルに黄色光で発光制御することにより、線型表示灯200をターンシグナルランプとして機能させることができる。あるいは、図11(c)のように、自動車CARの車体側からの減速信号を受けて全ての発光部L1~L9を赤色で発光制御することにより、線型表示灯200をハイマウントストップランプとして機能させることもできる。
【0042】
実施形態2においても、長手方向に配列された複数の発光部L(L1~L9)を構成している区分室205は、エクステンション230の隔壁板231によって区分されているので、各多色LED222から出射される光が隣接する発光部Lの光と混合されることが防止される。これにより、複数の発光部Lが同一又は異なる発光色で発光された場合でも、長手方向に隣接する発光部Lの境界が明確な外観となり、各発光部Lでの発光状態を正確に確認することができ好適な表示形態が得られる。
【0043】
また、実施形態2のコミュニケーションランプCoLは、発光色が固定された複数の発光部が配列されている従来のコミュニケーションランプに比較すると、複数の発光部の発光色や発光タイミングを任意に設定できる点で有利となる。したがって、ユーザは異なる発光色を組み合わせた多様な表示を行うコミュニケーションランプとして構成することが可能になり、場合によってはコミュニケーション以外の用途のランプとしても構成することができ、汎用性の高いコミュニケーションランプを得ることができる。
【0044】
(実施形態3)
図12は本発明の表示灯を、車両におけるインジケータランプの一つとして、バッテリー容量を表示するバッテリーランプBLとして構成した実施形態3の一部を破断した正面図である。このバッテリーランプBLは、図7に示した自動車CARの後部フェンダーの一部に配設されている充電口BOを囲む円環型の環型表示灯300として構成されている。この充電口BOは自動車CARに搭載されているバッテリーを充電するために、図外の充電ステーションに装備されている充電コネクタが接続される開口である。バッテリーランプBLは、全体形状が円環状に形成されている点で実施形態2のコミュニケーションランプCoLと相違するが、基本的な構成は同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0045】
バッテリーランプBLとして構成されている環型表示灯300は、図12のように、円環状をしたベース部302と、このベース部302の正面を覆うように円環樋状をしたアウターレンズ303を備え、これらでランプケース304が構成されている。このランプケース304には、光源ユニット310が内装されており、この光源ユニット310のエクステンションに設けられている複数の隔壁板331により、ランプケース304の円環状をした灯室が円周方向に配列された複数の区分室305に区分されている。
【0046】
光源ユニット310の円環状をした光源基板321には、円周方向に区分された区分室305にそれぞれ対応して複数の多色LED322が搭載されている。複数の区分灯室305はそれぞれ多色LED322を光源とする発光部Lとして構成されており、これにより環型表示灯300は複数の発光部L(L1~)が円環状に配置されたバッテリーランプBLとして構成される。このバッテリーランプBLではランプの長手方向は円周方向となり、本発明において長手方向に配列される多色LEDと区分室は円周方向に配列されることになる。
【0047】
この光源ユニット310は、実施形態1と同様の発光制御部に電気接続されており、各多色LED322の発光が制御される。この発光制御部は自動車CARの車体側に配設されている。
【0048】
この環型表示灯300、すなわちバッテリーランプBLは、自動車CARのバッテリーの充電状態に応じて発光部Lの発光色を変化させることができる。図示は省略するが、例えば、フル充電量のときには全ての発光部Lを青色光で発光させ、充電量が低減すると赤色光で発光する発光部Lの数を増やすようにする。したがって、発光部Lの発光色の変化によってバッテリーの充電状態が確認できる。また、充電中は発光部Lを点滅させ、充電が完了したときに発光部Lを連続発光状態とするようにしてもよい。
【0049】
実施形態3においては、円周方向、すなわち長手方向に配列された発光部Lは、エクステンションの隔壁板331によって区分されるので、多色LED322から出射される光が隣接する発光部Lの光と混合されることが防止される。これにより、複数の発光部Lにおいて同一又は異なる発光色で発光された場合でも、長手方向に隣接する発光部Lの境界が明確な外観となり、各発光部Lでの発光状態を正確に確認することができ好適な表示形態が得られる。
【0050】
実施形態3のバッテリーランプBLは、発光色が固定された複数の発光部を配列した構成の表示灯に比較すると、充電量の変化に応じて発光する発光部の色や発光タイミングを任意に設定することができる。また、ユーザにおいて異なる発光色を組み合わせたバッテリーランプとして自由に設定することも可能であり、表示を多様化した汎用性の高い表示灯を得ることができる。
【0051】
本発明は、実施形態1~3のランプ構成に限られるものではない。特に、実施形態2の線型表示灯は曲線、あるいは複数の並列された線型に構成されてもよい。また、実施形態3の環型表示灯は矩形、多角形の環型ランプとして構成されてもよい。
【0052】
本発明の表示灯においては、発光制御部の個別駆動部をIC(集積回路)で構成し、このICを実施形態1~3の多色LEDと一体に構成してもよい。すなわち、いわゆるIC内蔵型多色LEDとして構成してもよい。この場合には発光制御部は主制御部のみを独立した簡易な構成とすることができる。
【0053】
実施形態1では、多色光源として1つの発光部に2つの多色LEDを配設しているが、必要とされる配光が得られるのであれば多色LEDの個数は1つに限定されるものではない。また、多色光源として、多色LEDに代えて有機ELを利用してもよい。
【0054】
本発明の表示灯は、実施形態1~3に記載したインジケータランプ、コミュニケーションランプ、バッテリーランプに限られるものではなく、複数の発光部を多色で発光させ、かつその発光色を変化させることにより表示を行うようにした種々の表示灯に適用できる。
【符号の説明】
【0055】
100 積層型表示灯
103 アウターレンズ
105 区分室(発光部)
110 光源ユニット
120 光源部
121 光源基板
122 多色LED(多色光源)
130 エクステンション
131 隔壁板
140 発光制御部
141 区分制御部
142 主制御部
200 線型表示灯(直線型表示灯)
205 区分室(発光部)
210 光源ユニット
221 光源基板
222 多色LED(多色光源)
230 エクステンション
231 隔壁板
300 環型表示灯(円環型表示灯)
305 区分室(発光部)
310 光源ユニット
321 光源基板
322 多色LED(多色光源)
330 エクステンション
331 隔壁板
IL インジケータランプ
CoL コミュニケーションランプ
BL バッテリーランプ
L(L1~) 発光部
WS 作業現場
SS センサー
CP 制御盤


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12