(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138788
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】印刷装置、読取方法、及び、読取装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
B41J2/01 201
B41J2/01 209
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049469
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】五藤 敦
(72)【発明者】
【氏名】小林 崇
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EB27
2C056EB52
2C056EC75
2C056EC79
2C056HA58
(57)【要約】
【課題】テストパターンを読み取る際にモアレの影響を低減させる。
【解決手段】印刷装置は、印刷ヘッド、制御部、読取部、及び、記憶部を備え、印刷特性を補正するためのテストパターンを媒体に形成し、前記読取部による前記テストパターンの読取結果に基づいて前記印刷特性を補正する。前記読取部は、前記媒体における印刷面の濃度を、第一読取方向及び該第一読取方向と交差する第二読取方向において読取解像度の単位で読み取る。前記記憶部は、前記第一読取方向と前記第二読取方向のうち複数のノズルの並び方向と交差する走査方向からの傾きの基準とする読取方向と、前記走査方向と、の前記印刷面に沿った傾き角度θ(0°<θ<90°)を記憶する。前記制御部は、前記読取方向が前記走査方向から前記傾き角度θ、傾いた状態で前記読取部に前記テストパターンを読み取らせる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を媒体に吐出可能な複数のノズルが並べられたノズル列を有する印刷ヘッドと、
前記複数のノズルの並び方向と交差する走査方向における前記媒体と前記印刷ヘッドの少なくとも一方の移動、及び、前記印刷ヘッドからの前記液滴の吐出を制御する制御部と、
前記媒体における印刷面の濃度を、第一読取方向及び該第一読取方向と交差する第二読取方向において読取解像度の単位で読み取る読取部と、
印刷特性を補正するためのテストパターンの形成に使用されるテストパターンデータを記憶する記憶部と、を備え、
前記テストパターンを前記媒体に形成し、前記読取部による前記テストパターンの読取結果に基づいて前記印刷特性を補正する印刷装置であって、
前記記憶部は、前記第一読取方向と前記第二読取方向のうち前記走査方向からの傾きの基準とする読取方向と、前記走査方向と、の前記印刷面に沿った傾き角度θ(0°<θ<90°)を記憶し、
前記制御部は、前記読取方向が前記走査方向から前記傾き角度θ、傾いた状態で前記読取部に前記テストパターンを読み取らせる、印刷装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記読取方向が前記走査方向から前記傾き角度θ、傾いた状態で前記読取部に前記テストパターンを読み取らせるためのガイド線が前記テストパターンとともに前記媒体に形成されるように、前記移動、及び、前記液滴の吐出を制御する、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記テストパターンを有する前記媒体が前記読取部に搬送される際に前記読取方向が前記走査方向から前記傾き角度θ、傾くように前記媒体を傾ける傾き処理部を備える、請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記読取部は、
前記媒体が載置される媒体載置部と、
前記第一読取方向と前記第二読取方向の少なくとも一方へ移動しながら前記媒体における印刷面の濃度を読み取る複数の読取素子と、を備え、
前記制御部は、前記媒体載置部に載置された前記媒体にある前記テストパターンが前記複数の読取素子に読み取られる際に前記読取方向が前記走査方向から前記傾き角度θ、傾くように、前記媒体載置部に載置される前記媒体の向きを決めるガイドを備える、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
媒体と、液滴を前記媒体に吐出可能な複数のノズルが並べられたノズル列を有する印刷ヘッドと、の少なくとも一方を前記複数のノズルの並び方向と交差する走査方向に沿って移動させ、前記印刷ヘッドから前記液滴を吐出させ、印刷特性を補正するためのテストパターンを前記媒体に形成し、前記媒体における印刷面の濃度を、第一読取方向及び該第一読取方向と交差する第二読取方向において読取解像度の単位で読み取る読取部による前記テストパターンの読取結果に基づいて前記印刷特性を補正するための読取方法であって、
前記第一読取方向と前記第二読取方向のうち前記走査方向からの傾きの基準とする読取方向と、前記走査方向と、の前記印刷面に沿った傾き角度θ(0°<θ<90°)を記憶部が記憶する記憶工程と、
前記読取方向が前記走査方向から前記傾き角度θ、傾いた状態で前記読取部が前記テストパターンを読み取る読取工程と、を含む、読取方法。
【請求項6】
液滴を媒体に吐出可能な複数のノズルが並べられたノズル列を有する印刷ヘッドと、前記複数のノズルの並び方向と交差する走査方向における前記媒体と前記印刷ヘッドの少なくとも一方の移動、及び、前記印刷ヘッドからの前記液滴の吐出を制御する制御部と、を備え、印刷特性を補正するためのテストパターンを形成する印刷装置により形成される前記テストパターンを読み取る読取装置であって、
前記媒体における印刷面の濃度を、第一読取方向及び該第一読取方向と交差する第二読取方向において読取解像度の単位で読み取る読取部と、
前記テストパターンを有する前記媒体を前記読取部に搬送する搬送部と、
前記媒体が前記読取部に搬送される際に、前記第一読取方向と前記第二読取方向のうち前記走査方向からの傾きの基準とする読取方向が前記走査方向から前記印刷面に沿って傾き角度θ(0°<θ<90°)、傾くように前記媒体を傾ける傾き処理部と、を備える、読取装置。
【請求項7】
液滴を媒体に吐出可能な複数のノズルが並べられたノズル列を有する印刷ヘッドと、前記複数のノズルの並び方向と交差する走査方向における前記媒体と前記印刷ヘッドの少なくとも一方の移動、及び、前記印刷ヘッドからの前記液滴の吐出を制御する制御部と、を備え、印刷特性を補正するためのテストパターンを形成する印刷装置により形成される前記テストパターンを読み取る読取装置であって、
前記媒体が載置される媒体載置部と、
第一読取方向、及び、該第一読取方向と交差する第二読取方向の少なくとも一方へ移動しながら前記媒体における印刷面の濃度を読み取る複数の読取素子と、
前記媒体載置部に載置された前記媒体にある前記テストパターンが前記複数の読取素子に読み取られる際に、前記第一読取方向と前記第二読取方向のうち前記走査方向からの傾きの基準とする読取方向が前記走査方向から前記印刷面に沿って傾き角度θ(0°<θ<90°)、傾くように、前記媒体載置部に載置される前記媒体の向きを決めるガイドと、を備える、読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷面の濃度を読み取る読取部を備える印刷装置、読取方法、及び、読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置として、液滴を媒体に吐出可能なノズル列を有する印刷ヘッド、及び、印刷画像を読取解像度の単位で読み取る読取部を備えるインクジェット式の印刷装置が知られている。この種の印刷装置において、印刷画像の濃度を補正するためのテストパターンを媒体に印刷し、読取部によるテストパターンの読取結果に基づいて印刷画像の濃度を補正することが行われている。
【0003】
特許文献1に開示されたインクジェット記録装置は、テストチャートの濃度を読み取って得た濃度情報から濃度ムラ補正値を算出し、当該濃度ムラ補正値を基に画像データに対して補正を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
読取部によるテストパターンの読取結果にモアレと呼ばれる周期的な濃度変化が発生することがある。ここで、「周期的な濃度変化」は、テストパターンの読取結果に誤差を生じさせることを意味し、ノズルから吐出されるインク量のばらつきによる印刷画像の「濃度ムラ」とは異なる。モアレが発生すると、テストパターンの読取結果に誤差が生じ、その結果、「濃度ムラ補正値」にモアレ由来の誤差が生じる。そこで、テストパターンを読み取る際にモアレの影響を低減させることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の印刷装置は、
液滴を媒体に吐出可能な複数のノズルが並べられたノズル列を有する印刷ヘッドと、
前記複数のノズルの並び方向と交差する走査方向における前記媒体と前記印刷ヘッドの少なくとも一方の移動、及び、前記印刷ヘッドからの前記液滴の吐出を制御する制御部と、
前記媒体における印刷面の濃度を、第一読取方向及び該第一読取方向と交差する第二読取方向において読取解像度の単位で読み取る読取部と、
印刷特性を補正するためのテストパターンの形成に使用されるテストパターンデータを記憶する記憶部と、を備え、
前記テストパターンを前記媒体に形成し、前記読取部による前記テストパターンの読取結果に基づいて前記印刷特性を補正する印刷装置であって、
前記記憶部は、前記第一読取方向と前記第二読取方向のうち前記走査方向からの傾きの基準とする読取方向と、前記走査方向と、の前記印刷面に沿った傾き角度θ(0°<θ<90°)を記憶し、
前記制御部は、前記読取方向が前記走査方向から前記傾き角度θ、傾いた状態で前記読取部に前記テストパターンを読み取らせる、態様を有する。
【0007】
また、本発明の読取方法は、
媒体と、液滴を前記媒体に吐出可能な複数のノズルが並べられたノズル列を有する印刷ヘッドと、の少なくとも一方を前記複数のノズルの並び方向と交差する走査方向に沿って移動させ、前記印刷ヘッドから前記液滴を吐出させ、印刷特性を補正するためのテストパターンを前記媒体に形成し、前記媒体における印刷面の濃度を、第一読取方向及び該第一読取方向と交差する第二読取方向において読取解像度の単位で読み取る読取部による前記テストパターンの読取結果に基づいて前記印刷特性を補正するための読取方法であって、
前記第一読取方向と前記第二読取方向のうち前記走査方向からの傾きの基準とする読取方向と、前記走査方向と、の前記印刷面に沿った傾き角度θ(0°<θ<90°)を記憶部が記憶する記憶工程と、
前記読取方向が前記走査方向から前記傾き角度θ、傾いた状態で前記読取部が前記テストパターンを読み取る読取工程と、を含む、態様を有する。
【0008】
さらに、本発明の読取装置は、
液滴を媒体に吐出可能な複数のノズルが並べられたノズル列を有する印刷ヘッドと、前記複数のノズルの並び方向と交差する走査方向における前記媒体と前記印刷ヘッドの少なくとも一方の移動、及び、前記印刷ヘッドからの前記液滴の吐出を制御する制御部と、を備え、印刷特性を補正するためのテストパターンを形成する印刷装置により形成される前記テストパターンを読み取る読取装置であって、
前記媒体における印刷面の濃度を、第一読取方向及び該第一読取方向と交差する第二読取方向において読取解像度の単位で読み取る読取部と、
前記テストパターンを有する前記媒体を前記読取部に搬送する搬送部と、
前記媒体が前記読取部に搬送される際に、前記第一読取方向と前記第二読取方向のうち前記走査方向からの傾きの基準とする読取方向が前記走査方向から前記印刷面に沿って傾き角度θ(0°<θ<90°)、傾くように前記媒体を傾ける傾き処理部と、を備える、態様を有する。
【0009】
さらに、本発明の読取装置は、
液滴を媒体に吐出可能な複数のノズルが並べられたノズル列を有する印刷ヘッドと、前記複数のノズルの並び方向と交差する走査方向における前記媒体と前記印刷ヘッドの少なくとも一方の移動、及び、前記印刷ヘッドからの前記液滴の吐出を制御する制御部と、を備え、印刷特性を補正するためのテストパターンを形成する印刷装置により形成される前記テストパターンを読み取る読取装置であって、
前記媒体が載置される媒体載置部と、
前記第一読取方向と前記第二読取方向の少なくとも一方へ移動しながら前記媒体における印刷面の濃度を読み取る複数の読取素子と、
前記媒体載置部に載置された前記媒体にある前記テストパターンが前記複数の読取素子に読み取られる際に、前記第一読取方向と前記第二読取方向のうち前記走査方向からの傾きの基準とする読取方向が前記走査方向から前記印刷面に沿って傾き角度θ(0°<θ<90°)、傾くように、前記媒体載置部に載置される前記媒体の向きを決めるガイドと、を備える、態様を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】読取装置を含む印刷装置の例を模式的に示す図。
【
図2】印刷装置とテストパターンの例を模式的に示す平面図。
【
図3】印刷ヘッドのノズル面と媒体上のドットパターンの例を模式的に示す図。
【
図4】テストパターンの読取濃度値Rp(X,Y)の例を模式的に示す図。
【
図5】読取部がガイド線に合わせてテストパターンを読み取る例を模式的に示す平面図。
【
図6】ノズル単位の濃度補正の例を模式的に示す図。
【
図7】テストパターン形成処理の例を模式的に示すフローチャート。
【
図8】濃度補正処理の例を模式的に示すフローチャート。
【
図9】テストパターンを有する媒体の搬送中に読取方向が印刷時の走査方向から傾き角度θ、傾くように媒体を傾ける例を模式的に示す平面図。
【
図10】読取方向が走査方向から傾き角度θ、傾くように媒体の向きを決めるガイドを備えるフラッドベッド式の読取部の例を模式的に示す平面図。
【
図11】読取方向が走査方向から傾き角度θ、傾くように媒体の向きを決める治具を備えるフラッドベッド式の読取部の例を模式的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
【0012】
(1)本発明に含まれる技術の概要:
まず、
図1~11に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、本願の図は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。むろん、本技術の各要素は、符号で示される具体例に限定されない。「本発明に含まれる技術の概要」において、括弧内は直前の語の補足説明を意味する。
【0013】
[態様1]
本技術の一態様に係る印刷装置1は、印刷ヘッド30、制御部U1、読取部60、及び、記憶部23を備え(例えば
図1参照)、印刷特性を補正するためのテストパターンTP0を媒体ME0に形成し、前記読取部60による前記テストパターンTP0の読取結果に基づいて前記印刷特性を補正する。前記印刷ヘッド30は、液滴37を前記媒体ME0に吐出可能な複数のノズル34が並べられたノズル列33を有する。前記制御部U1は、前記複数のノズル34の並び方向D4と交差する走査方向(例えば送り方向D3)における前記媒体ME0と前記印刷ヘッド30の少なくとも一方の移動、及び、前記印刷ヘッド30からの前記液滴37の吐出を制御する。前記読取部60は、前記媒体ME0における印刷面ME0pの濃度を、第一読取方向(例えば素子並び方向D5)及び該第一読取方向(D5)と交差する第二読取方向(例えば移動方向D6)において読取解像度の単位で読み取る。前記記憶部23は、前記テストパターンTP0の形成に使用されるテストパターンデータTD1を記憶する。当該記憶部23は、前記第一読取方向(D5)と前記第二読取方向(D6)のうち前記走査方向(D3)からの傾きの基準とする読取方向D10と、前記走査方向(D3)と、の前記印刷面ME0pに沿った傾き角度θ(0°<θ<90°)を記憶する。前記制御部U1は、
図2,5,7~11に例示するように、前記読取方向D10が前記走査方向(D3)から前記傾き角度θ、傾いた状態で前記読取部60に前記テストパターンTP0を読み取らせる。
【0014】
読取部60の読取解像度に応じた向きが印刷解像度に応じた向きに一致するように設計されている場合、読取部60がテストパターンTP0を読み取る際に誤差が生じると、読み取られる画像にモアレが発生することがある。上記制御部U1は、読取方向D10を走査方向(D3)から印刷面ME0pに沿ってわざと傾き角度θ(0°<θ<90°)傾けて読取部60にテストパターンTP0を読み取らせる。これにより、読み取られるテストパターンTP0に前述のモアレが発生し難くなる。従って、上記態様は、テストパターンを読み取る際にモアレの影響を低減させることが可能な印刷装置を提供することができる。
【0015】
ここで、走査方向には、ライン式印刷装置における媒体の相対移動方向に沿った方向、シリアル式印刷装置における主走査方向、等が含まれる。
制御部は、印刷ヘッドを移動させないで媒体を走査方向に沿って移動させる制御を行ってもよいし、媒体を移動させないで印刷ヘッドを走査方向に沿って移動させる制御を行ってもよいし、媒体と印刷ヘッドの両方を走査方向に沿って移動させる制御を行ってもよい。
傾き角度θは、走査方向と直交する方向(例えば
図2に例示する幅方向D1)を基準とする角度でもよい。この場合も、読取方向と走査方向との印刷面に沿った傾き角度θに含まれる。
本願における「第一」、「第二」、…は、類似点を有する複数の構成要素に含まれる各構成要素を識別するための用語であり、順番を意味しない。
ユーザーの手元に届いた印刷装置の記憶部は、デフォルトのテストパターンデータを記憶していてもよいし、ダウンロードされたテストパターンデータを記憶してもよい。当該記憶部は、デフォルトの傾き角度θを記憶していてもよいし、ダウンロードされた傾き角度θを記憶してもよい。
【0016】
モアレは、一般に、周期的な構造を複数重ね合わせたときに発生する干渉縞を意味する。上記態様において、周期的な構造の一つは、テストパターンに含まれる複数のドットの配置を意味する。もう一つの周期的な構造は、読取解像度となる複数の読取素子の配置等といった、読取部における読取解像度を意味する。
印刷特性には、印刷画像の濃度、媒体の搬送量、シリアル式印刷装置における往路と復路の吐出タイミング、等が含まれる。従って、テストパターンには、モアレの影響を受ける様々なテストパターンが含まれる。
尚、上述した付言は、以下の態様においても適用される。
【0017】
[態様2]
図2,5,7に例示するように、前記制御部U1は、前記読取方向D10が前記走査方向(D3)から前記傾き角度θ、傾いた状態で前記読取部60に前記テストパターンTP0を読み取らせるためのガイド線GL1が前記テストパターンTP0とともに前記媒体ME0に形成されるように、前記移動、及び、前記液滴37の吐出を制御してもよい。
以上の場合、ガイド線GL1に合わせてテストパターンTP0を読取部60に読み取らせることにより、テストパターンを読み取る際にモアレの影響を容易に低減させることができる。なお、
図2において、テストパターンTP0に対してガイド線GLが送り方向D3に沿って配置されているが、ガイド線GLは幅方向D1の外側に配置されていてもよい。
図5以降のテストパターンTP0を示している図ではガイド線GLが幅方向D1の外側に配置されている例を示している。
【0018】
[態様3]
図9に例示するように、前記制御部U1は、前記テストパターンTP0を有する前記媒体ME0が前記読取部60に搬送される際に前記読取方向D10が前記走査方向(D3)から前記傾き角度θ、傾くように前記媒体ME0を傾ける傾き処理部U2を備えていてもよい。前記傾き処理部U2は、前記印刷面ME0pから前記ガイド線GL1を検出し、検出した前記ガイド線GL1に合わせて前記媒体ME0を傾けてもよい。
以上の場合、モアレの影響の少なくなるようにテストパターンTP0を有する媒体ME0が自動的に傾いて読取部60に搬送されるので、テストパターンを読み取る際にモアレの影響を容易に低減させることができる。
【0019】
[態様4]
図10,11に例示するように、前記読取部60は、前記媒体ME0が載置される媒体載置部62を備えていてもよい。当該読取部60は、前記第一読取方向(D5)と前記第二読取方向(D6)の少なくとも一方へ移動しながら前記媒体ME0における印刷面ME0pの濃度を読み取る複数の読取素子61を備えていてもよい。前記制御部U1は、前記媒体載置部62に載置された前記媒体ME0にある前記テストパターンTP0が前記複数の読取素子61に読み取られる際に前記読取方向D10が前記走査方向(D3)から前記傾き角度θ、傾くように、前記媒体載置部62に載置される前記媒体ME0の向きを決めるガイド63を備えていてもよい。
以上の場合、モアレの影響の少なくなるようにテストパターンTP0を有する媒体ME0が傾いて複数の読取素子61に読み取られるので、テストパターンを読み取る際にモアレの影響を容易に低減させることができる。
【0020】
[態様5]
また、本技術の一態様に係る読取方法は、
図7~11に例示するように、媒体ME0と、液滴37を前記媒体ME0に吐出可能な複数のノズル34が並べられたノズル列33を有する印刷ヘッド30と、の少なくとも一方を前記複数のノズル34の並び方向D4と交差する走査方向(D3)に沿って移動させ、前記印刷ヘッド30から前記液滴37を吐出させ、印刷特性を補正するためのテストパターンTP0を前記媒体ME0に形成し、前記媒体ME0における印刷面ME0pの濃度を、第一読取方向(D5)及び該第一読取方向(D5)と交差する第二読取方向(D6)において読取解像度の単位で読み取る読取部60による前記テストパターンTP0の読取結果に基づいて前記印刷特性を補正するための読取方法であって、以下の工程を含む。
(A1)前記第一読取方向(D5)と前記第二読取方向(D6)のうち前記走査方向(D3)からの傾きの基準とする読取方向D10と、前記走査方向(D3)と、の前記印刷面ME0pに沿った傾き角度θ(0°<θ<90°)を記憶部23が記憶する記憶工程ST1。
(A2)前記読取方向D10が前記走査方向(D3)から前記傾き角度θ、傾いた状態で前記読取部60が前記テストパターンTP0を読み取る読取工程ST2。
【0021】
上記態様は、印刷されたテストパターンを読み取る際にモアレの影響を低減させることが可能な読取方法を提供することができる。
【0022】
[態様6]
さらに、本技術の一態様に係る読取装置3は、前記印刷ヘッド30と前記制御部U1を備え、印刷特性を補正するためのテストパターンTP0を形成する印刷装置1により形成される前記テストパターンTP0を読み取る読取装置3であって、読取部60、搬送部50、及び、傾き処理部U2(
図9参照)を備える。前記読取部60は、前記媒体ME0における印刷面ME0pの濃度を、第一読取方向(D5)及び該第一読取方向(D5)と交差する第二読取方向(D6)において読取解像度の単位で読み取る。前記搬送部50は、前記テストパターンTP0を有する前記媒体ME0を前記読取部60に搬送する。前記傾き処理部U2は、前記媒体ME0が前記読取部60に搬送される際に、前記第一読取方向(D5)と前記第二読取方向(D6)のうち前記走査方向(D3)からの傾きの基準とする読取方向D10が前記走査方向(D3)から前記印刷面ME0pに沿って傾き角度θ(0°<θ<90°)、傾くように前記媒体ME0を傾ける。
【0023】
上記傾き処理部U2は、媒体ME0が読取部60に搬送される際に、読取方向D10が走査方向(D3)から印刷面ME0pに沿って傾き角度θ(0°<θ<90°)、傾くようにわざと媒体ME0を傾ける。これにより、読み取られるテストパターンTP0に上述のモアレが発生し難くなる。従って、上記態様は、印刷されたテストパターンを読み取る際にモアレの影響を低減させることが可能な読取装置を提供することができる。
【0024】
[態様7]
さらに、本技術の一態様に係る読取装置3は、前記印刷ヘッド30と前記制御部U1を備え、印刷特性を補正するためのテストパターンTP0を形成する印刷装置1により形成される前記テストパターンTP0を読み取る読取装置3であって、前記媒体ME0が載置される媒体載置部62、複数の読取素子61、及び、ガイド63(
図10,11参照)を備える。前記複数の読取素子61は、第一読取方向(D5)、及び、該第一読取方向(D5)と交差する第二読取方向(D6)の少なくとも一方へ移動しながら前記媒体ME0における印刷面ME0pの濃度を読み取る。前記ガイド63は、前記媒体載置部62に載置された前記媒体ME0にある前記テストパターンTP0が前記複数の読取素子61に読み取られる際に、前記第一読取方向(D5)と前記第二読取方向(D6)のうち前記走査方向(D3)からの傾きの基準とする読取方向D10が前記走査方向(D3)から前記印刷面ME0pに沿って傾き角度θ(0°<θ<90°)、傾くように、前記媒体載置部62に載置される前記媒体ME0の向きを決める。
【0025】
上記ガイド63は、媒体載置部62に載置された媒体ME0にあるテストパターンTP0が複数の読取素子61に読み取られる際に、読取方向D10が走査方向(D3)から印刷面ME0pに沿って傾き角度θ(0°<θ<90°)、傾くようにわざと媒体ME0の向きを決める。これにより、読み取られるテストパターンTP0に上述のモアレが発生し難くなる。従って、上記態様は、印刷されたテストパターンを読み取る際にモアレの影響を低減させることが可能な読取装置を提供することができる。
【0026】
さらに、本技術は、上述した印刷装置を含む印刷システム、上述した読取装置を含む読取印刷システム、上述した印刷装置の制御方法、上述した読取装置の制御方法、上述した印刷装置の制御プログラム、上述した読取装置の制御プログラム、前述のいずれかの制御プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体、等に適用可能である。また、上述した印刷装置は分散した複数の部分で構成されてもよく、上述した読取装置は分散した複数の部分で構成されてもよい。
【0027】
(2)読取装置を含む印刷装置の第一具体例:
図1は、読取装置3を含む印刷装置1を模式的に例示している。印刷装置1は、読取部60(読取装置3)を内在するプリンター2自体でもよいし、該プリンター2とホスト装置HO1との組合せでもよいし、プリンター2と読取装置3との組合せでもよいし、プリンター2と読取装置3とホスト装置HO1の組合せでもよい。
図1に示すプリンター2は、液滴37としてインク滴を吐出するインクジェットプリンターの一種であるライン式プリンターである。尚、印刷装置1は、
図1に示されていない追加要素を含んでいてもよい。
図2は、印刷装置1とテストパターンTP0を模式的に例示している。
図2に示すテストパターンTP0は、全ノズル34に対応している。
図3は、印刷ヘッド30のノズル面30aと媒体ME0上のドットパターンを模式的に例示している。
図4は、テストパターンTP0の読取濃度値Rp(X,Y)を模式的に例示している。便宜上、X方向が送り方向D3に沿った方向とされ、Y方向が幅方向D1に沿った方向とされている。
図4の左下部には、或るY位置においてX方向に沿った読取濃度値Rp(X)のモアレの例が示されている。
図4の右下部には、或るX位置においてY方向に沿った読取濃度値Rp(Y)のモアレの例が示されている。
【0028】
図1に示すプリンター2は、コントローラー10、半導体メモリーであるRAM21、通信I/F22、記憶部23、操作パネル24、印刷ヘッド30、搬送部50、読取部60、等を備える。ここで、RAMはRandom Access Memoryの略称であり、I/Fはインターフェイスの略称である。コントローラー10は制御部U1の例である。コントローラー10、RAM21、通信I/F22、記憶部23、及び、操作パネル24は、バスに接続され、互いに情報を入出力可能とされている。
【0029】
コントローラー10は、プロセッサーであるCPU11、色変換部12、ハーフトーン処理部13、駆動信号送信部15、等を備えている。ここで、CPUは、Central Processing Unitの略称である。コントローラー10は、ホスト装置HO1、不図示のメモリーカード、等のいずれかから取得した元画像データDA1に基づいて印刷画像IM0が媒体ME0の印刷面ME0pに形成されるように、搬送部50と印刷ヘッド30を制御する。元画像データDA1には、例えば、各画素にR、G、及び、Bの28階調や216階調の整数値を有するRGBデータを適用することができる。ここで、Rは赤を意味し、Gは緑を意味し、Bは青を意味する。
コントローラー10は、SoC等により構成することができる。ここで、SoCは、System on a Chipの略称である。
【0030】
CPU11は、プリンター2における情報処理や制御を中心的に行う装置である。
色変換部12は、例えば、R、G、及び、Bの階調値とC、M、Y、及び、Kの階調値との対応関係が規定された色変換LUTを参照し、RGBデータを各画素にC、M、Y、及び、Kの2
8階調や2
16階調の整数値を有するインク量データDA2に変換する。ここで、Cはシアンを意味し、Mはマゼンタを意味し、Yはイエローを意味し、Kはブラックを意味し、LUTはルックアップテーブルの略称である。インク量データDA2は、
図3に示す画素PX0の単位でC、M、Y、及び、Kの液体36の使用量を表している。また、RGBデータの解像度が印刷解像度Xp×Yp dpiとは異なる場合、色変換部12は、先にRGBデータの解像度を印刷解像度Xp×Yp dpiに変換するか、又は、インク量データDA2の解像度を印刷解像度Xp×Yp dpiに変換する。
図3には、印刷解像度がXp×Yp dpi、すなわち、送り方向D3に沿ったX方向における印刷解像度がXp dpiであって、幅方向D1に沿ったY方向における印刷解像度がYp dpiであることが示されている。
【0031】
ハーフトーン処理部13は、インク量データDA2を構成する各画素PX0の階調値に対してディザ法、誤差拡散法、等のいずれかによるハーフトーン処理を行うことにより前記階調値の階調数を減らし、ドットデータDA3を生成する。ドットデータDA3は、画素PX0の単位で液滴37のドット38の形成状態を表している。ドットデータDA3は、ドットの形成有無を表す2値データでもよいし、小中大の各ドットといった異なるサイズのドットに対応可能な3階調以上の多値データでもよい。
【0032】
駆動信号送信部15は、ドットデータDA3から駆動信号SG1を生成して印刷ヘッド30の駆動回路31に出力する。駆動信号SG1は、印刷ヘッド30の駆動素子32に印加する電圧信号に対応している。例えば、ドットデータDA3が「ドット形成」であれば、駆動信号送信部15はドット形成用の液滴を吐出させる駆動信号SG1を出力する。また、ドットデータDA3が4値データである場合、駆動信号送信部15は、ドットデータDA3が「大ドット形成」であれば大ドット用の液滴を吐出させる駆動信号SG1を出力し、ドットデータDA3が「中ドット形成」であれば中ドット用の液滴を吐出させる駆動信号SG1を出力し、ドットデータDA3が「小ドット形成」であれば小ドット用の液滴を吐出させる駆動信号SG1を出力する。
【0033】
上記各部11,12,13,15は、ASICで構成されてもよく、RAM21から処理対象のデータを直接読み込んだりRAM21に処理後のデータを直接書き込んだりしてもよい。ここで、ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略称である。
【0034】
印刷ヘッド30は、読取部60の上流側に配置されている。
図1~3に示すように、印刷ヘッド30は、液滴37を媒体ME0に吐出可能な複数のノズル34が並び方向D4へ所定のノズルピッチの間隔で並べられたノズル列33をノズル面30aに有している。ここで、ノズルは液滴が噴射する小孔を意味し、ノズル列は複数のノズルの並びを意味する。ノズル面30aは、液滴37の吐出面である。
図2に示すように、印刷ヘッド30は、媒体ME0の送り方向D3に直交する幅方向D1の全体にわたって複数のノズル34が連続するように並べられた複数のチップCH0を含んでいる。
図3に示すように、各チップCH0は、複数のノズル列33を有している。複数のノズル列33は、Cの液滴37を吐出するシアンノズル列33C、Mの液滴37を吐出するマゼンタノズル列33M、Yの液滴37を吐出するイエローノズル列33Y、及び、Kの液滴37を吐出するブラックノズル列33Kを含んでいる。各液滴37は、媒体ME0の画素PX0を目標にしてノズル34から吐出される。むろん、Cの液滴37から媒体ME0にCのドット38が形成され、Mの液滴37から媒体ME0にMのドット38が形成され、Yの液滴37から媒体ME0にYのドット38が形成され、Kの液滴37から媒体ME0にKのドット38が形成される。各ノズル列33は、液滴37を媒体ME0に向けて吐出する。各ノズル列33に含まれる複数のノズル34は、一列に並べられてもよいし、千鳥状すなわち2列に並べられてもよい。ノズル列33に含まれる複数のノズル34の並び方向D4は、幅方向D1でもよいし、送り方向D3とは異なる限り幅方向D1からずれていてもよい。
また、印刷ヘッド30は、媒体ME0の幅方向D1に沿って双方向へ移動可能であって、媒体ME0の幅方向D1と交差する向きに複数のノズル34が並んでいるノズル列33を有していてもよい。この場合、ノズル34の並び方向D4と交差する走査方向は、媒体ME0の幅方向D1となる。この際のノズル34の並び方向D4は、送り方向D3でもよいし、幅方向D1とは異なる限り送り方向D3からずれていてもよい。
【0035】
コントローラー10に制御される搬送部50は、ローラー駆動部55の駆動により媒体ME0を搬送経路59に沿って送り方向D3へ送る。
図1において、送り方向D3は右方向であり、左側を上流側と呼び、右側を下流側と呼ぶことにする。送り方向D3は、複数のノズル34の並び方向D4と交差する走査方向の例であり、例えば、並び方向D4に直交する方向である。ローラー駆動部55は、搬送ローラー対56と排出ローラー対57を含んでいる。ローラー駆動部55は、サーボモーターで構成され、コントローラー10の制御に従って、搬送ローラー対56の駆動搬送ローラーと排出ローラー対57の駆動排出ローラーを定速で回転させることにより媒体ME0を定速で送り方向D3へ送る。従って、搬送部50は送り方向D3に沿って媒体ME0と印刷ヘッド30の少なくとも一方を移動させるといえ、制御部U1は送り方向D3における媒体ME0と印刷ヘッド30の少なくとも一方の移動を制御するといえる。また、印刷ヘッド30の下流側に読取部60が配置されているので、搬送部50は媒体ME0を印刷ヘッド30に対向する位置から読取部60に対向する位置へ変えるように媒体ME0と印刷ヘッド30の少なくとも一方を移動させるといえる。
媒体ME0は、印刷画像を保持する被印刷物のことである。媒体ME0の材質は、特に限定されず、樹脂、金属、紙、等、様々な材質が考えられる。媒体ME0の形状も、特に限定されず、長方形、ロール状、等、様々な形状が考えられ、立体形状でもよい。
【0036】
プラテン58は、搬送経路59の下側にあり、搬送経路59にある媒体ME0に接することにより媒体ME0を支持する。コントローラー10に制御される印刷ヘッド30は、駆動回路31や駆動素子32等を備え、プラテン58に支持されている媒体ME0に向けて液滴37を吐出することにより媒体ME0に液体36を付着させる。従って、制御部U1は、印刷ヘッド30からの液滴37の吐出を制御するといえる。
駆動回路31は、駆動信号送信部15から入力される駆動信号SG1に従って駆動素子32に電圧信号を印加する。駆動素子32は、ノズル34に連通する圧力室内の液体36に圧力を加える圧電素子でもよいし、熱により圧力室内に気泡を発生させてノズル34から液滴37を吐出させる駆動素子等でもよい。印刷ヘッド30の圧力室には、液体カートリッジ35から液体36が供給される。圧力室内の液体36は、駆動素子32によってノズル34から媒体ME0に向かって液滴37として吐出される。これにより、媒体ME0の印刷面ME0pに液滴37のドット38が形成され、ドット38のパターンで表現される印刷画像IM0が媒体ME0の印刷面ME0pに形成される。なお、ここでの液体カートリッジ35は、圧力室に供給される液体36を保持可能な部材を指している。そのため供給されるインクが、インクカートリッジから供給されるものに限定されるわけではない。例えば、プリンター2が有するインクタンクを液体カートリッジと解釈して、インクタンクに直接インクを供給するインクタンク式であってもよい。
【0037】
RAM21は、ホスト装置HO1や不図示のメモリー等から受け入れた元画像データDA1等を格納する。通信I/F22は、ホスト装置HO1に有線又は無線で接続され、ホスト装置HO1に対して情報を入出力する。ホスト装置HO1には、パーソナルコンピューターやタブレット端末といったコンピューター、スマートフォンといった携帯電話、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、等が含まれる。記憶部23は、印刷特性を補正するためのテストパターンTP0の形成に使用されるテストパターンデータTD1、読取時のテストパターンTP0の傾き角度θ、等を記憶している。記憶部23は、フラッシュメモリーといった不揮発性半導体メモリーでもよいし、ハードディスクといった磁気記憶装置等でもよい。操作パネル24は、情報を表示する液晶パネルといった出力部25、表示画面への操作を受け付けるタッチパネルといった入力部26、等を備えている。
【0038】
コントローラー10は、テストパターンデータTD1に基づいて、印刷画像IM0の濃度を補正するためのテストパターンTP0を媒体ME0に形成するように液滴37の吐出を制御する。当該コントローラー10は、読取部60によるテストパターンTP0の読取結果に基づいて印刷画像IM0の濃度を補正する。印刷画像IM0の濃度は、印刷特性の例である。
図2に示すように、テストパターンTP0は、送り方向D3へ並べられた複数段階の濃度のパッチPA0を含んでいる。各パッチPA0は、印刷に使用される全ノズル34からの液体36の吐出量、例えば、インク吐出量を補正することができるように、長手方向が幅方向D1に向いている細長い長方形状とされている。テストパターンTP0は、無彩色といった1色でもよいし、C、M、Y、及び、Kの色別に設けられてもよい。読取部60は、媒体ME0における印刷面ME0pの濃度を読取解像度の単位で読み取る。
図4には、読取解像度がXr×Yr dpi、すなわち、送り方向D3に沿ったX方向における読取解像度がXr dpiであって、幅方向D1に沿ったY方向における読取解像度がYr dpiであることが示されている。
【0039】
読取部60は、送り方向D3と交差する素子並び方向D5に沿って読取解像度Yrとなるように並べられた複数の読取素子61を含み、印刷面ME0pの濃度を複数の読取素子61で読み取る。素子並び方向D5は、第一読取方向の例である。読取部60は、媒体ME0における印刷面ME0pの濃度を、素子並び方向D5及び該素子並び方向D5と交差する移動方向D6において読取解像度の単位で読み取る。移動方向D6は、第二読取方向の例である。
図2,4に示す素子並び方向D5は、送り方向D3に直交している。素子並び方向D5は、幅方向D1でもよいし、送り方向D3とは異なる限り幅方向D1からずれていてもよいし、ノズル34の並び方向D4でもよいし、送り方向D3とは異なる限り並び方向D4からずれていてもよい。読取部60は、印刷ヘッド30の下流側に配置されている。読取部60は、CIS方式と略されるContact Image Sensor方式やCCD方式と略されるCharge Coupled Devices方式のイメージセンサー等でもよいし、CMOSイメージセンサー、CCDで構成されるラインセンサーやエリアセンサーといった固体撮像素子、等でもよい。ここで、CMOSは、Complementary Metal-Oxide Semiconductorの略称である。近年広く使用されているCIS方式イメージセンサーは、安価で小型化可能である一方、CCDセンサーと比べて読取濃度にモアレが生じ易い。本具体例は、読取部60がCIS方式イメージセンサーである場合に好適である。
【0040】
読取部60は、CIS方式イメージセンサーである場合、発光ダイオード、レンズ、複数の読取素子61、等を備えている。発光ダイオードは、赤色の光を発する赤色発光ダイオード、緑色の光を発する緑色発光ダイオード、及び、青色の光を発する青色発光ダイオードの3種類を含んでいてもよい。発光ダイオードは、送り方向D3へ搬送される媒体ME0の印刷面ME0pに光を照射する。発光ダイオードから印刷面ME0pに照射された光は、印刷面ME0pで反射し、レンズを介して複数の読取素子61に到達し、各読取素子61で測光される。読取素子61の配置密度は、Y方向の読取解像度Yrに合わせられ、特に限定されず、例えば、300~600 dpi相当でもよい。X方向の読取解像度Xrは、各読取素子61の読み取りタイミングに応じて定まり、特に限定されず、例えば、300~600 dpi相当でもよい。本具体例の読取部60は、各読取素子61の検出電圧のアナログ量をデジタル値に変換するアナログ/デジタル変換回路を備え、各読取素子61の検出電圧に対応するアナログ濃度量をアナログ/デジタル変換回路でデジタル濃度値に変換してコントローラー10に出力するものとする。
【0041】
図3に示すように、印刷ヘッド30は、送り方向D3へ移動している媒体ME0の印刷面ME0pにテストパターンTP0が形成されるように印刷解像度Xp×Ypの単位で複数のノズル34から液滴37を吐出する。テストパターンTP0に含まれるパッチPA0は、全体にわたって一定の濃度であるため、周期的な構造のドットパターンを含んでいる。
図4に示すように、読取部60は、印刷面ME0pの濃度を読取解像度Xr×Yrの単位で読み取る。従って、読取部60は、読取解像度Xr×Yrに対応する周期的な構造を含んでいる。
印刷面ME0pに形成されるドットパターンと読取部60による読取ピッチとに誤差が生じなければ、読取濃度値Rp(X,Y)にモアレは生じない。実際には、ドットパターンと読取ピッチとに誤差が生じるため、テストパターンTP0に含まれる複数のドット38の配置と読取部60における読取解像度Xr×Yrとの干渉による読取濃度値Rp(X,Y)のモアレが生じる可能性がある。特に、印刷解像度Xpと読取解像度Xrとが1:1など整数倍の関係であったり印刷解像度Ypと読取解像度Yrとが1:1など整数倍の関係であったりすると、読取濃度値Rp(X,Y)にモアレが生じ易い。ノズル34の並び方向D4が基準から若干ずれていたり素子並び方向D5が基準から若干ずれていたりすると、読取解像度Xr×Yrの単位よりも遥かに大きい周期のモアレが読取濃度値Rp(X,Y)に生じる可能性がある。
【0042】
一定の濃度のパッチPA0が読み取られると、モアレが生じなければ、
図4の左下部及び右下部の二点鎖線に示すように、X方向に沿った読取濃度値Rp(X)、及び、Y方向に沿った読取濃度値Rp(Y)は略一定となるはずである。「略一定」と表現したのは、各読取素子61の読取値に微小のノイズが入ることがあるためである。読取濃度(Rp(X),Rp(Y))にモアレが生じると、微小のノイズよりも大きい周期的な変化が読取濃度(Rp(X),Rp(Y))に生じる。言い換えると、読取濃度(Rp(X,Y))にモアレが生じると、微小のノイズよりも大きい周期的な変化が読取濃度(Rp(X,Y))に生じる。読取濃度(Rp(X,Y))にモアレが発生すると、テストパターンTP0の読取結果に誤差が生じ、その結果、インク吐出量等といった液体吐出量の補正値にモアレ由来の誤差が生じる。そこで、テストパターンTP0を読み取る際にモアレの影響を低減させることが望まれる。
【0043】
試験を行ったところ、印刷面ME0pに沿って読取解像度Xr×Yrの向きを印刷解像度Xp×Ypの向きから大きく傾けると、読取濃度値Rp(X,Y)のモアレが抑制されることが判った。尚、本具体例では、読取解像度におけるY方向は素子並び方向D5であり、読取解像度におけるX方向は素子並び方向D5に直交する移動方向D6である。一方、印刷解像度におけるY方向はノズル34の並び方向D4であり、印刷解像度におけるX方向は並び方向D4に直交する送り方向D3である。
図2に示すように素子並び方向D5がノズル34の並び方向D4に近い場合、印刷解像度Xp×Ypに対する読取解像度Xr×Yrの印刷面ME0pに沿った傾き角度θ(0°<θ<90°)は、送り方向D3と移動方向D6とのなす角度であり、並び方向D4と素子並び方向D5とのなす角度でもある。素子並び方向D5が送り方向D3に近ければ、傾き角度θ(0°<θ<90°)は、送り方向D3と素子並び方向D5とのなす角度となり、ノズル34の並び方向D4と移動方向D6とのなす角度ともなる。いずれの場合も、傾き角度θは、素子並び方向D5がノズル34の並び方向D4と送り方向D3のいずれにも一致せず、且つ、移動方向D6がノズル34の並び方向D4と送り方向D3のいずれにも一致しないような角度である。印刷面ME0pに沿った傾き角度θは、素子並び方向D5と移動方向D6のうち送り方向D3からの傾きの基準とする読取方向D10と、送り方向D3と、のなす角度となる。読取濃度値Rp(X,Y)にモアレが生じない傾き角度θは、ドットパターンと読取ピッチとに生じ得る誤差の範囲を超える角度である。
【0044】
モアレが生じない傾き角度θは、印刷装置1の機種に依存する。そこで、本具体例では、印刷装置1の機種毎にモアレが生じない傾き角度θ(0°<θ<90°)を求めて記憶部23に記憶させ、読取解像度Xr×Yrの向きが印刷解像度Xp×Ypの向きからわざと傾き角度θ、傾くようにテストパターンTP0を読み取ることにしている。制御部U1は、テストパターンTP0に含まれる各パッチPA0の位置を傾き角度θに基づいて特定し、特定した位置の記録濃度をパッチPA0の記録濃度にする処理を行う。
【0045】
読取部60の相対的な移動方向D6を送り方向D3から傾き角度θ、傾けるためには、
図1,2に示すように、コントローラー10(
図1参照)からの指示に従って読取部駆動部68(
図2参照)が読取部60を傾き角度θに合わせて素子並び方向D5へ移動させてもよい。素子並び方向D5をノズル34の並び方向D4から傾き角度θ、傾けるためには、コントローラー10からの指示に従って読取部駆動部68が読取部60を傾き角度θに合わせて傾動させてもよい。
【0046】
コントローラー10は、読取方向D10が送り方向D3から傾き角度θ、傾いた状態で読取部60にテストパターンTP0を読み取らせるためのガイド線GL1がテストパターンTP0とともに媒体ME0に形成されるように、媒体ME0の移動、及び、液滴37の吐出を制御してもよい。
図2に示すガイド線GL1は、送り方向D3から傾き角度θ、傾いている。
以上の場合、コントローラー10は、媒体ME0の印刷面ME0pを一旦、読取部60に読み取らせて読取結果に基づいて印刷面ME0pからガイド線GL1を検出し、検出したガイド線GL1に合わせて読取部60を傾き角度θ、傾けてもよい。その後、コントローラー10は、媒体ME0をバックフィードさせ、読取部60にテストパターンTP0を読み取らせ、読取結果に基づいて各パッチPA0の読取濃度を取得してもよい。
【0047】
また、
図5に例示するように、読取部60を内在する読取装置3の媒体載置部62の縁部62aにガイド線GL1を合わせて媒体ME0を媒体載置部62に載置することにより、傾き角度θ、傾いた状態のテストパターンTP0を読取装置3が読み取ってもよい。
図5に示す読取装置3は、素子並び方向D5へ並んでいる複数の読取素子61、及び、素子並び方向D5と移動方向D6に沿った縁部62aを有する長方形状の媒体載置部62を備えている。複数の読取素子61は、素子並び方向D5に直交する移動方向D6へ移動可能である。複数の読取素子61が移動方向D6へ移動しながらテストパターンTP0を読み取ることにより、テストパターンTP0が傾き角度θ、傾いた状態で読み取られる。
【0048】
図6は、各ノズル34に対応する位置の読取濃度値Rp(X,Y)を用いてノズル単位の濃度補正を行う例を模式的に示している。
図6において、横軸はテストパターンTP0を形成するためのテストパターンデータに対応する入力濃度値G1(Y)であり、縦軸はノズル34に対応する位置の読取濃度値G2(Y)であり、曲線は入力濃度値G1(Y)と読取濃度値G2(Y)との対応関係を示している。各パッチPA0において各ノズル34に対応する位置は、媒体載置部62においてガイド線GL1に合わせられる縁部62aを基準として傾き角度θに基づいて算出される。入力濃度値G1(Y)は、例えば、パッチPA0の濃度に対応する階調値であり、例えば、0~255の階調値のうち16,32,…等といった離散的な値である。読取濃度値G2(Y)は、各ノズル34に対応する位置の読取濃度値Rp(X,Y)から求められる濃度値であり、例えば、0~255の階調値で表される。
【0049】
Np段階の入力濃度値G1(Y)のパッチPA0を含むテストパターンTP0が印刷され、各濃度のパッチPA0の読取濃度値Rp(X,Y)から傾き角度θに基づいてノズル単位の読取濃度値G2(Y)が求められると、
図6に示す曲線のような対応関係が得られる。印刷画像IM0の濃度補正は、例えば、インク量データDA2に対して読取濃度値G2(Y)が入力濃度値G1(Y)となるように行われる。印刷画像IM0の濃度の補正値は、読取濃度値G2(Y)を入力濃度値G1(Y)に補正するための値であり、入力濃度値G1(Y)と読取濃度値G2(Y)との差を表す値でもよいし、読取濃度値G2(Y)そのものでもよい。
図6に示すように、読取濃度値G2(Y)に対応する入力濃度値G1(Y)が濃度補正値G3(Y)として0~255の全階調値について求められてもよい。この場合、印刷画像IM0の濃度の補正値は、濃度補正値G3(Y)でもよい。
【0050】
次に、
図7を参照して、傾き角度θのガイド線GL1とともにテストパターンTP0を媒体ME0に形成するテストパターン形成処理の例を説明する。制御部U1としてのコントローラー10(
図1参照)は、例えば、テストパターンTP0を形成する指示をホスト装置HO1又は操作パネル24から受け付けると、テストパターン形成処理を開始させる。ここで、ステップS102の処理を行うコントローラー10は、記憶部23とともに記憶工程ST1を実施する。ステップS104~S106の処理を行うコントローラー10は、読取工程ST2の一部を実施する。以下、「ステップ」の記載を省略する。
S104~S106の処理は、S102の処理終了時点から1日以上といった長期間経過してから行われてもよい。予め記憶部23がテストパターンデータTD1と傾き角度θを記憶している場合、S102の処理は、不要である。
【0051】
テストパターン形成処理が開始すると、コントローラー10は、テストパターンデータTD1と傾き角度θを取得し、これらテストパターンデータTD1と傾き角度θを記憶部23に記憶させる(S102)。例えば、S102の処理がプリンター2のメーカーで行われる場合、オペレーターが読取濃度値Rp(X,Y)にモアレが生じない傾き角度θを求めてテストパターンデータTD1とともに傾き角度θを記憶部23に記憶させてもよい。モアレが生じない傾き角度θは、例えば、テストパターンデータTD1に基づいて形成されたテストパターンTP0の印刷物の傾きをオペレーターが複数段階に変えて読取部60に読み取らせ、読取濃度値Rp(X,Y)にモアレが生じなかった傾きの角度とすることができる。また、S102の処理は、コントローラー10がサーバーからテストパターンデータTD1と傾き角度θをダウンロードして記憶部23に記憶させる処理でもよい。
【0052】
次いで、コントローラー10は、テストパターンデータTD1と傾き角度θを記憶部23からRAM21に読み出し、傾き角度θのガイド線GL1を形成するためのガイド線データをテストパターンデータTD1に追加する(S104)。最後に、コントローラー10は、ガイド線データが追加されたテストパターンデータTD1に基づいて、ガイド線GL1がテストパターンTP0とともに媒体ME0に形成されるように、媒体ME0の移動、及び、液滴37の吐出を制御し(S106)、テストパターン形成処理を終了させる。すると、プリンター2は、
図2に示すように、テストパターンTP0とともに傾き角度θのガイド線GL1を媒体ME0の印刷面ME0pに形成する。そこで、ユーザーは、
図5に示すように媒体載置部62の縁部62aにガイド線GL1を合わせて媒体ME0を媒体載置部62に載置して読取装置3にテストパターンTP0を読み取らせる作業をすればよい。
【0053】
以下、
図8を参照して、印刷特性を補正する処理の例を説明する。
図8は、印刷画像IM0の濃度を補正する濃度補正処理を模式的に例示している。制御部U1としてのコントローラー10(
図1参照)は、例えば、テストパターンTP0を用いた濃度補正の指示をホスト装置HO1又は操作パネル24から受け付けると、濃度補正処理を開始させる。ここで、濃度補正処理を行うコントローラー10は、読取工程ST2の一部を実施する。ユーザーは、
図5に示すように媒体ME0を媒体載置部62に載置して濃度補正の指示をホスト装置HO1又は操作パネル24に行うものとする。
【0054】
濃度補正処理が開始すると、コントローラー10は、テストパターンTP0の印刷解像度Xp×Yp dpiを設定する(S202)。コントローラー10は、ホスト装置HO1又は操作パネル24から印刷解像度Xp×Ypの設定を受け付けてもよい。
次いで、コントローラー10は、テストパターンTP0の読取解像度Xr×Yr dpiを設定する(S204)。コントローラー10は、ホスト装置HO1又は操作パネル24から読取解像度Xr×Yrの設定を受け付けてもよい。読取解像度がXr×Yrが固定されている場合には、S204の処理は省略されてもよい。
【0055】
次いで、コントローラー10は、テストパターンTP0を読取部60に読取解像度Xr×Yrで読み取らせ、読取部60から読取濃度値Rp(X,Y)を取得する(S206)。上述したように、読取濃度値Rp(X,Y)にモアレが生じないように読取解像度Xr×Yrの向きが印刷解像度Xp×Ypの向きから傾き角度θ、傾いているので、テストパターンTP0を読み取る際にモアレの影響が少ない。
次いで、コントローラー10は、ガイド線データを含むテストパターンデータTD1、及び、傾き角度θに基づいて、パッチPA0毎に各ノズル34の読取濃度値Rp(X,Y)を平均した読取濃度値G2(Y)を算出する(S208)。パッチPA0毎の各ノズル34の位置は、ガイド線データを含むテストパターンデータTD1、及び、傾き角度θに基づいて特定することができる。従って、コントローラー10は、読取部60からの読取濃度値Rp(X,Y)をパッチPA0毎に各ノズル34の位置に対応する読取濃度値に分けることができ、パッチPA0毎に各ノズル34の位置に対応する読取濃度値G2(Y)を算出することができる。
【0056】
最後に、コントローラー10は、パッチPA0毎の各ノズル34の読取濃度値G2(Y)に基づいて、各ノズル34の補正値を決定する(S210)。印刷画像IM0の濃度補正は、例えば、
図6に示すように、インク量データDA2に対して読取濃度値G2(Y)が入力濃度値G1(Y)となるように行われる。コントローラー10は、読取濃度値G2(Y)に対応する入力濃度値G1(Y)を濃度補正値G3(Y)として0~255の全階調値について求めてもよい。上述したように、補正値は、入力濃度値G1(Y)と読取濃度値G2(Y)との差を表す値でもよいし、読取濃度値G2(Y)そのものでもよいし、濃度補正値G3(Y)でもよい。
S210の処理後、コントローラー10は、元画像データDA1に基づいた印刷画像IM0の形成時、読取濃度値G2(Y)が入力濃度値G1(Y)となるようにインク量データDA2を補正することにより、濃度が補正された印刷画像IM0を媒体ME0に形成させる。各ノズル34の補正値はモアレの影響が少ない読取濃度値Rp(X,Y)に基づいているので、精度よく濃度が補正された印刷画像IM0が得られる。
【0057】
以上説明したように、テストパターンTP0は、読取方向D10が送り方向D3から印刷面ME0pに沿ってわざと傾き角度θ、傾いた状態で読取部60に読み取られる。これにより、テストパターンTP0の読取濃度値Rp(X,Y)にモアレが発生し難くなる。従って、本具体例は、テストパターンTP0を読み取る際にモアレの影響を低減させることができる。
【0058】
(3)読取装置を含む印刷装置の第二具体例:
図9は、テストパターンTP0を有する媒体ME0の搬送中に読取方向D10が印刷時の送り方向D3から傾き角度θ、傾くように媒体ME0を傾ける傾き処理部U2を備える印刷装置1を模式的に例示している。コントローラー10を含む読取装置3は、読取工程ST2を実施する。読取装置3を含む印刷装置1の主な構成は、
図1に示される構成と同じであるので、説明を省略する。
図9に示す印刷装置1は、テストパターンTP0を有するカット紙のようにカット状の媒体ME0を送り方向D3へ送るローラー71~74を備えている。傾き処理部U2は、ローラー71~73を備え、テストパターンTP0を有する媒体ME0が読取部60に搬送される際に読取方向D10が印刷時の送り方向D3から傾き角度θ、傾くように媒体ME0を傾ける。
図9には、媒体ME0として、傾く前の媒体ME1、及び、傾いた媒体ME2が示されている。中央のローラー72、及び、定速送り用のローラー74は、媒体ME0を送る向きに定速で回転しているものとする。傾き処理部U2は、例えば、回転前の媒体ME1を右回りに傾き角度θ、回転させる場合、傾き角度θに応じて、幅方向D1の一端側のローラー71の回転速度を上げ、幅方向D1の他端側のローラー73の回転速度を下げる処理を行えばよい。傾き処理部U2とコントローラー10は、制御部U1を構成する。定速送り用のローラー74は、回転前の媒体ME1、及び、回転後の媒体ME2を送り方向D3へ定速で送る。
【0059】
以上により、モアレの影響の少なくなるようにテストパターンTP0を有する媒体ME0が自動的に傾いて読取部60に搬送される。従って、第二具体例は、テストパターンTP0を読み取る際にモアレの影響を容易に低減させることができる。
媒体ME0にガイド線GL1が形成される場合、コントローラー10は、媒体ME0の印刷面ME0pを一旦、読取部60に読み取らせて読取結果に基づいて印刷面ME0pからガイド線GL1を検出し、媒体ME0をバックフィードさせてもよい。その後、コントローラー10は、傾き処理部U2と協働してガイド線GL1に合わせて媒体ME0を傾き角度θ、傾ける処理を行い、読取部60にテストパターンTP0を読み取らせ、読取結果に基づいて各パッチPA0の読取濃度を取得してもよい。
【0060】
尚、傾き処理部U2には、様々な構成が考えられる。例えば、傾き処理部U2は、テストパターンTP0を有する媒体ME0が読取部60まで搬送される経路に進退可能な傾き処理部材を備え、傾き処理部材を進出させて媒体ME0に当てて媒体ME0を傾き角度θ、傾けてもよい。
また、ADFと呼ばれる自動給紙装置を読取装置3が備え、複数の読取素子61への給紙方向に沿った給紙ガイドを自動給紙装置が備えているとする。この場合、傾き処理部U2は、素子並び方向D5に直交する基準方向から給紙方向が傾き角度θ、傾くように給紙ガイド、及び、必要に応じてローラーの向きを変えてもよい。
【0061】
(4)読取装置を含む印刷装置の第三具体例:
図10は、読取方向D10が送り方向D3(
図2参照)から傾き角度θ、傾くように媒体ME0の向きを決める回転制御可能なガイド63を備えるフラッドベッド式の読取装置3を模式的に例示している。コントローラー10を含む読取装置3は、読取工程ST2を実施する。読取装置3を含む印刷装置1の主な構成は、
図1に示される構成と同じであるので、説明を省略する。
【0062】
図10に示す読取装置3に含まれる読取部60は、テストパターンTP0を有する媒体ME0が載置される媒体載置部62、及び、素子並び方向D5に沿って読取解像度Yrとなるように並べられた複数の読取素子61を備えている。複数の読取素子61は、素子並び方向D5に直交する移動方向D6へ移動しながら媒体ME0における印刷面ME0pの濃度を読み取る。読取装置3は、媒体載置部62に載置される媒体ME0の位置を合わせるための長方形状のガイド63を制御部U1として備えている。ガイド63は、媒体載置部62に載置される媒体ME0の印刷面ME0pに沿って回転制御可能である。ガイド63は、記憶部23に記憶されている傾き角度θ、傾いた状態となる。
図10の下部には、ガイド63が送り方向D3からの傾きの基準とする読取方向D10を複数の読取素子61の移動方向D6に合わせる様子が示されている。尚、ガイド63は、送り方向D3からの傾きの基準とする読取方向D10を素子並び方向D5に合わせてもよい。
【0063】
媒体ME0にガイド線GL1が形成される場合、コントローラー10は、媒体ME0の印刷面ME0pを一旦、移動方向D6へ移動する複数の読取素子61に読み取らせて読取結果に基づいて印刷面ME0pからガイド線GL1を検出し、ガイド線GL1の向きを複数の読取素子61の移動方向D6に合わせるようにガイド63を回転させてもよい。その後、コントローラー10は、再び、移動方向D6へ移動する複数の読取素子61にテストパターンTP0を読み取らせ、読取結果に基づいて各パッチPA0の読取濃度を取得してもよい。また、コントローラー10は、ガイド線GL1の向きを素子並び方向D5に合わせるようにガイド63を回転させてもよい。その後、コントローラー10は、再び、移動方向D6へ移動する複数の読取素子61にテストパターンTP0を読み取らせ、読取結果に基づいて各パッチPA0の読取濃度を取得してもよい。
【0064】
ユーザーは、ガイド63を手動で回転させてもよい。ユーザーは、ガイド線GL1の向きを複数の読取素子61の移動方向D6に合わせるようにガイド63を回転させることにより、読取方向D10を印刷時の送り方向D3から傾き角度θ、傾けることができる。この場合、送り方向D3からの傾きの基準とする読取方向D10は、移動方向D6である。また、ユーザーは、ガイド線GL1の向きを素子並び方向D5に合わせるようにガイド63を回転させることにより、読取方向D10を印刷時の送り方向D3から傾き角度θ、傾けることができる。この場合、送り方向D3からの傾きの基準とする読取方向D10は、素子並び方向D5である。
【0065】
以上説明したように、ガイド63は、媒体載置部62に載置された媒体ME0にあるテストパターンTP0が複数の読取素子61に読み取られる際に読取方向D10が送り方向D3から傾き角度θ、傾くように、媒体載置部62に載置される媒体ME0の向きを決める。これにより、モアレの影響の少なくなるようにテストパターンTP0を有する媒体ME0が傾いて複数の読取素子61に読み取られる。従って、第三具体例も、テストパターンTP0を読み取る際にモアレの影響を容易に低減させることができる。
【0066】
(5)読取装置を含む印刷装置の第四具体例:
図11は、読取方向D10が送り方向D3(
図2参照)から傾き角度θ、傾くように媒体ME0の向きを決める治具65を備えるフラッドベッド式の読取装置3を模式的に例示している。コントローラー10を含む読取装置3は、読取工程ST2を実施する。読取装置3を含む印刷装置1の主な構成は、
図1に示される構成と同じであるので、説明を省略する。
【0067】
図11に示す読取装置3に含まれる読取部60も、媒体載置部62、及び、複数の読取素子61を備えている。
図11に示す制御部U1としてのガイド63は、媒体載置部62を囲む長方形状の枠64、及び、該枠64に合わせて媒体ME0を傾き角度θ、傾いた状態にさせる1以上の治具65を含んでいる。枠64は、長方形状の媒体載置部62の縁部62aに配置されている。治具65は、直角三角形状であり、斜辺の角度が傾き角度θに合わせられている。治具65は、枠64から分離している部材であり、媒体載置部62に載置したり媒体載置部62から取り外したりすることができる。斜辺を媒体載置部62の内側に向けて枠64の角に合わせて治具65を媒体載置部62に載置し、治具65の斜辺に媒体ME0の縁部を合わせると、読取方向D10が移動方向D6又は素子並び方向D5に合わせられる。これにより、テストパターンTP0を有する媒体ME0の向きは、読取方向D10が送り方向D3から傾き角度θ、傾いた向きとなる。これにより、モアレの影響の少なくなるようにテストパターンTP0を有する媒体ME0が傾いて複数の読取素子61に読み取られる。コントローラー10は、テストパターンTP0の読取結果に基づいて、各パッチPA0の読取濃度を取得することができる。従って、第四具体例も、テストパターンTP0を読み取る際にモアレの影響を容易に低減させることができる。
【0068】
(6)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
例えば、プリンター2は、幅方向D1の全体にわたって複数のノズルが連続するように並べられたライン式プリンターに限定されず、送り方向D3と交差する主走査方向に沿って印刷ヘッド30が移動するシリアル式プリンター等でもよい。すなわち、媒体ME0と印刷ヘッド30の少なくとも一方が移動する走査方向は、送り方向D3に沿った方向に限定されず、送り方向D3と交差する幅方向D1でもよい。
搬送部50は、走査方向において、媒体ME0を移動させる代わりに印刷ヘッド30を移動させてもよく、媒体ME0と印刷ヘッド30の両方を移動させてもよい。
読取部60は、読取解像度の単位で印刷面ME0pの濃度を読み取ることができればよく、Y方向の読取解像度Yrとなるように並べられた複数の読取素子61を含む読取部に限定されない。例えば、複数の読取素子61は、X方向の読取解像度Xrとなるように並べられてもよいし、X方向及びY方向の二次元状に並べられてもよい。
【0069】
媒体ME0に印刷画像IM0を形成する色材の種類は、C、M、Y、及び、Kに限定されず、C、M、Y、及び、Kに加えて、オレンジ、グリーン、Cよりも低濃度のライトシアン、Mよりも低濃度のライトマゼンタ、Yよりも高濃度のダークイエロー、Kよりも低濃度のライトブラック、画質向上用の無着色の色材、等を含んでもよい。また、C、M、Y、及び、Kの一部の色材を使用しない場合にも、本技術を適用可能である。
【0070】
上述した処理を行う主体は、CPUに限定されず、ASIC等といったCPU以外の電子部品でもよい。むろん、複数のCPUが協働して上述した処理を行ってもよいし、CPUと他の電子部品(例えばASIC)とが協働して上述した処理を行ってもよい。
上述した処理は、順番を入れ替える等、適宜、変更可能である。例えば、
図8に示す濃度補正処理において、S104の読取解像度設定処理は、S102の印刷解像度設定処理の前に行うことが可能である。
上述した処理の一部は、ホスト装置HO1が行ってもよい。この場合、コントローラー10とホスト装置HO1の組合せが印刷装置1の例となる。
【0071】
(7)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、印刷されたテストパターンを読み取る際にモアレの影響を低減させることが可能な技術等を提供することができる。むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1…印刷装置、2…プリンター、3…読取装置、10…コントローラー、23…記憶部、24…操作パネル、30…印刷ヘッド、33…ノズル列、34…ノズル、36…液体、37…液滴、38…ドット、50…搬送部、60…読取部、61…読取素子、62…媒体載置部、62a…縁部、63…ガイド、64…枠、65…治具、68…読取部駆動部、71~74…ローラー、CH0…チップ、D1…幅方向、D3…送り方向、D4…並び方向、D5…素子並び方向、D6…移動方向、D10…読取方向、GL1…ガイド線、HO1…ホスト装置、IM0…印刷画像、ME0…媒体、ME0p…印刷面、TD1…テストパターンデータ、TP0…テストパターン、PA0…パッチ、PX0…画素、ST1…記憶工程、ST2…読取工程、U1…制御部、U2…傾き処理部。