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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138793
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】液滴吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
B41J2/01 205
B41J2/01 207
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049480
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 慎吾
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EA23
2C056EB07
2C056EB39
2C056EB40
2C056EC72
2C056ED01
2C056EE17
2C056EE18
2C056FA10
2C056HA22
(57)【要約】
【課題】大型化させることなく、補完による画質の低下を抑制することができる液滴吐出装置を提供する。
【解決手段】液滴吐出装置は、第1方向に複数並んで配置されて液滴を吐出するノズルを含むノズル列が第2方向に複数並んで配置され且つ一のノズル列における各ノズルの第1方向における位置と他のノズル列における各ノズルの第1方向における位置とが同じである吐出ヘッドと、各ノズルについて液滴の吐出異常を検知する検知部と、制御装置とを備え、吐出ヘッドは各ノズル列において第1方向における位置が同じである複数のノズルを含むノズル群を複数含み、制御装置は、印刷ジョブに基づきノズルによる液滴の吐出を指示するための吐出データを生成する処理と、検知部により吐出異常が検知された場合に、吐出ヘッドにおける全てのノズル群について液滴の吐出動作の変更を指示するように吐出データを変更する変更処理とを実行する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に複数並んで配置されて液滴を吐出するノズルを含むノズル列が前記第1方向に交差する第2方向に複数並んで配置され、且つ、一の前記ノズル列における各前記ノズルの前記第1方向における位置と他の前記ノズル列における各前記ノズルの前記第1方向における位置とが同じである吐出ヘッドと、
各前記ノズルについて前記液滴の吐出異常を検知する検知部と、
制御装置と、を備え、
前記吐出ヘッドは、各前記ノズル列において前記第1方向における位置が同じである複数の前記ノズルを含むノズル群を複数含み、
前記制御装置は、
印刷ジョブに基づき、前記ノズルによる前記液滴の吐出を指示するための吐出データを生成する処理と、
前記検知部により前記吐出異常が検知された場合に、前記吐出ヘッドにおける全ての前記ノズル群について前記液滴の吐出動作の変更を指示するように前記吐出データを変更する変更処理と、を実行する、液滴吐出装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
複数の前記ノズル群の各々において前記吐出異常が検知された前記ノズルの数を前記ノズル群ごとに取得し、
前記複数のノズル群のうち、前記吐出異常が検知された前記ノズルの最大数を取得し、
前記最大数に応じて前記変更処理を実行する、請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記吐出異常が検知された前記ノズルの前記第2方向における位置に応じて前記変更処理を実行する、請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
第1方向に複数並んで配置されて液滴を吐出するノズルを含むノズル列が前記第1方向に交差する第2方向に複数並んで配置され、且つ、一の前記ノズル列における各前記ノズルの前記第1方向における位置と他の前記ノズル列における各前記ノズルの前記第1方向における位置とが同じである吐出ヘッドと、
各前記ノズルについて前記液滴の吐出異常を検知する検知部と、
制御装置と、を備え、
前記吐出ヘッドは、各前記ノズル列において前記第1方向における位置が同じである複数の前記ノズルを含むノズル群を複数含み、
前記制御装置は、
印刷ジョブに基づき、前記ノズルによる前記液滴の吐出を指示するための吐出データを生成する処理と、
前記検知部により前記吐出異常が検知された場合に、前記吐出異常が検知された前記ノズルと同じ前記ノズル群に含まれる他の1又は複数の前記ノズルについて前記液滴の吐出動作の変更を指示するように前記吐出データを変更する変更処理と、を実行する、液滴吐出装置。
【請求項5】
前記変更処理は、1又は複数の前記ノズルにより吐出すべき1画素当たりの液滴量を変更する処理である、請求項1又は4に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
表示又は音声により報知を行う報知部をさらに備え、
前記制御装置は、一の前記ノズル群に含まれる全ての前記ノズルについて前記吐出異常が検知された場合、印刷不可である旨を前記報知部に報知させる、請求項1又は4に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
前記制御装置は、一の前記ノズル群に含まれる全ての前記ノズルについて前記吐出異常が検知された場合、前記変更処理を行う前の前記吐出データに基づき前記ノズルに前記液滴を吐出させる、請求項1又は4に記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
前記吐出ヘッドは金属製であり、
前記検知部は、前記吐出ヘッドと対向配置された電極、前記吐出ヘッドと前記電極との間に電位差を生じさせる電圧源、および、前記吐出ヘッドと前記電極との間を流れる電流を検出する電流検出部を有し、かつ、前記電圧源により前記吐出ヘッドと前記電極との間に電位差を生じさせたときに前記電流検出部により検出された電流値に基づき前記吐出異常を検知する、請求項1又は4に記載の液滴吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばインクジェットプリンタ等の印刷装置に用いられる液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吐出異常が生じた際に当該吐出異常が生じたノズルを補完して印刷を行う印刷装置が知られている。例えば、特許文献1には、ブラックのインクを吐出するノズルに吐出異常が生じたときに、当該ノズルによりドットを形成する代わりに、黒色を表現するべくシアン、マゼンタおよびイエローのインクを吐出する各ノズルによりドットを形成する印刷装置が開示されている。また、特許文献2には、固定された第1ラインヘッドにおいて吐出異常が生じたノズルと、走査方向に移動可能な第2ラインヘッドにおいて吐出異常が生じたノズルとが、当該走査方向において同位置に位置しないように上記第2ラインヘッドを走査方向に所定量移動させる印刷装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-007824号公報
【特許文献2】特開2010-069872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の印刷装置では黒色を他色で補完するためユーザによっては画質の低下を感じる恐れがある。また、特許文献2の印刷装置では第2ラインヘッドを走査方向に移動させるための移動機構が必要であるため装置が大型化する。
【0005】
そこで、本発明は、大型化させることなく、補完による画質の低下を抑制することができる液滴吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液滴吐出装置は、第1方向に複数並んで配置されて液滴を吐出するノズルを含むノズル列が前記第1方向に交差する第2方向に複数並んで配置され、且つ、一の前記ノズル列における各前記ノズルの前記第1方向における位置と他の前記ノズル列における各前記ノズルの前記第1方向における位置とが同じである吐出ヘッドと、各前記ノズルについて前記液滴の吐出異常を検知する検知部と、制御装置と、を備え、前記吐出ヘッドは、各前記ノズル列において前記第1方向における位置が同じである複数の前記ノズルを含むノズル群を複数含み、前記制御装置は、印刷ジョブに基づき、前記ノズルによる前記液滴の吐出を指示するための吐出データを生成する処理と、前記検知部により前記吐出異常が検知された場合に、前記吐出ヘッドにおける全ての前記ノズル群について前記液滴の吐出動作の変更を指示するように前記吐出データを変更する変更処理と、を実行するものである。
【0007】
本発明に従えば、検知部により吐出異常が検知された場合に、吐出ヘッドにおける全てのノズル群の吐出動作を変更するための吐出データが生成される。すなわち、吐出異常が生じたノズルと第1方向において同じ位置に位置する他のノズルのみならず、当該第1方向において異なる位置に位置する他のノズルの吐出動作をも変更するための吐出データが生成される。これにより、吐出異常が生じたノズルと第1方向において同じ位置に位置する他のノズルの吐出動作のみを変更する吐出データに基づき印刷を行う態様よりも、各ノズル群において吐出データを変更するノズルを例えば同数とすることで印刷画像全体における印刷むらを抑制することができる。また、2つの吐出ヘッドを設けて当該2つの吐出ヘッドのうち一方の吐出ヘッドを走査するための移動機構が必要ない。以上によって、装置を大型化させることなく、補完による画質の低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、大型化させることなく、補完による画質の低下を抑制することができる液滴吐出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る印刷装置の概略的構成を示す模式図である。
図2図1の印刷装置に設けられる液滴吐出装置を示す平面図である。
図3図1の印刷装置の構成を示すブロック図である。
図4】吐出ヘッドと電極との間に電位差を生じさせた状態で吐出ヘッドによりインク滴を吐出する態様を示す図である。
図5】各ノズル群における吐出異常ノズルの数を示す図である。
図6】各ノズル群における使用ノズルと不使用ノズルを示す図である。
図7】制御装置による処理の流れを示すフローチャートである。
図8】各ノズル群における使用ノズルの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態に係る液滴吐出装置について図面を参照して説明する。以下に説明する液滴吐出装置は一実施形態に過ぎない。従って、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除および変更が可能である。
【0011】
図1は一実施形態に係る印刷装置100の概略的構成を示す模式図である。図2図1の印刷装置100に設けられる液滴吐出装置1を示す平面図である。図3図1の印刷装置100の構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、印刷装置100は、上部に配置されている読み取り部10と、下部に配置されている印刷機構150と、コントローラユニット6(図3)とを備える。印刷装置100においては、読み取り部10による読み取りにより生成された画像データを印刷機構150が被印刷媒体Wに印刷する。なお、読み取り部10は必須な構成要素ではなく、設けなくてもよい。
【0013】
読み取り部10は、スキャナ部11および自動原稿搬送装置(ADF(Auto Document Feeder))12を備える。スキャナ部11はフラットベッドスキャナである。スキャナ部11は、原稿台13、原稿カバー14および光学式のイメージセンサ16を有するスキャナ本体15を備える。イメージセンサ16は、原稿台13上の原稿に対して相対的に移動し、当該原稿に形成されている画像を光学的に読み取るものである。また、ADF12は、図1において一点鎖線で示す搬送経路H2に沿って原稿を搬送する1又は複数の搬送ローラ18を含む搬送系駆動部19を備える。
【0014】
印刷機構150は、給紙トレイ151、排出トレイ152、プラテン53、吐出ヘッド55を保持しつつ移動可能に構成されたキャリッジ54、および図1において一点鎖線で示す搬送経路H1に沿って被印刷媒体Wを搬送する搬送系駆動部56を備える。給紙トレイ151から給紙された被印刷媒体Wは、搬送経路H1に沿って搬送系駆動部56により搬送されつつ、画像が印刷され、その後被印刷媒体Wは排出トレイ152に搬送される。
【0015】
プラテン53は板状に形成されており、給紙トレイ151の上方に配置されている。キャリッジ54は、ノズル55aからインクを吐出する吐出ヘッド55を保持した状態でプラテン53の上方に配置されている。また、排出トレイ152はプラテン53よりも前方に配置されている。搬送経路H1は給紙トレイ151から排出トレイ152に至るまでの経路となっている。
【0016】
搬送系駆動部56は、給紙ローラ61、レジストローラ62、搬送ローラ63および排紙ローラ64を含み、被印刷媒体Wを搬送経路H1に沿って搬送する。これらの給紙ローラ61、レジストローラ62、搬送ローラ63および排紙ローラ64は搬送モータ33に連結されており、当該モータから駆動力を得て回転する。なお、搬送系駆動部56は搬送ローラ63のみならず他の搬送ローラを含んでもよい。
【0017】
給紙ローラ61は、給紙トレイ151の近傍に配置され、当該給紙トレイ151に収容されている被印刷媒体Wをピックアップしてレジストローラ62に送り出す。レジストローラ62は、被印刷媒体Wの搬送方向において吐出ヘッド55の上流側に配置され、被印刷媒体Wをプラテン53へ送り出す。また、搬送ローラ63および排紙ローラ64は、被印刷媒体Wの搬送方向において吐出ヘッド55の下流側に配置され、吐出ヘッド55により画像が印刷された被印刷媒体Wを排紙トレイ152へ送り出す。
【0018】
印刷装置100には、搬送経路H1,H2に沿って配されたジャム検出手段が設けられている。具体的には、印刷装置100には、ジャム検出手段として、ADFセンサ17、後端センサ65、レジ前センサ66、レジ後センサ67、および排紙センサ68が設けられている。ADFセンサ17は、読み取り部10に設けられ、原稿の搬送経路H2におけるジャムを検出し、その検出信号をコントローラユニット6に送信する。また、後端センサ65は、印刷機構150に設けられ、被印刷媒体Wの搬送経路H1における給紙ローラ61近傍のジャムを検出し、その検出信号をコントローラユニット6に送信する。レジ前センサ66は、印刷機構150に設けられ、搬送経路H1におけるレジストローラ62の上流側のジャムを検出し、その検出信号をコントローラユニット6に送信する。レジ後センサ67は、印刷機構150に設けられ、搬送経路H1におけるレジストローラ62の下流側のジャムを検出し、その検出信号をコントローラユニット6に送信する。排紙センサ68は、印刷機構150に設けられ、搬送経路H1における排紙ローラ64近傍のジャムを検出し、その検出信号をコントローラユニット6に送信する。制御装置20は、後端センサ65、レジ前センサ66、レジ後センサ67、および排紙センサ68のうち何れかのセンサによる検出結果に基づきジャムの発生を判別する。
【0019】
続いて、図2に示すように、液滴吐出装置1は、貯留タンク57、金属製の吐出ヘッド55が搭載されたキャリッジ54、および一対のガイドレール69を備える。キャリッジ54は、移動方向Dsに延在する一対のガイドレール69に支持され、当該ガイドレール69に沿って移動方向Dsに往復移動する。これにより、吐出ヘッド55は移動方向Dsに往復移動する。また、吐出ヘッド55はチューブ57aを介して貯留タンク57に接続される。
【0020】
吐出ヘッド55は、ブラック(K)の色のインク滴を被印刷媒体Wに吐出する複数のノズル55aを有する。複数のノズル55aは、移動方向Dsに直交する方向であり被印刷媒体Wの搬送方向Dfに沿って複数のノズル列NRを形成している。ブラック色のインク滴が被印刷媒体Wに吐出されることで当該被印刷媒体Wにモノクロ画像が印刷される。なお、搬送方向Dfが第1方向に相当し、移動方向Dsが第2方向に相当する。また、移動方向Dsおよび搬送方向Dfに直交する方向を上下方向Dzとする。
【0021】
貯留タンク57にはインクが貯留されている。貯留タンク57はインクの種類ごとに設けられている。貯留タンク62は、例えば4つ設けられ、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックのインクがそれぞれ貯留される。
【0022】
液滴吐出装置1は、さらにパージ部50および受け部58を備える。受け部58はキャリッジ54の移動領域に重なるように移動方向Dsにおいてガイドレール69の一方側に配置されている。パージ部50は、キャリッジ54の移動領域に重なるように移動方向Dsにおいてガイドレール69の他方側に配置されている。
【0023】
図2および図3に示すように、パージ部50は、ノズル55aが形成されたノズル面55b(図4)を覆うキャップ51、当該キャップ51に接続される吸引ポンプ52、および、ノズル面55bを覆うキャップ位置と当該ノズル面55bから上下方向Dzに離間するアンキャップ位置との間でキャップ51を昇降する昇降機構53を有する。キャップ位置においてノズル面55bがキャップ51に覆われ密閉空間が形成された状態で吸引ポンプ52が駆動されると、上記密閉空間が吸引されてノズル55aからインク滴が強制的に吐出されるパージ処理が実行される。また、受け部58はフラッシング処理によって吐出ヘッド55から吐出されたインク滴を受ける。
【0024】
図3に示すように、印刷装置100は、操作キー4、表示部5、コントローラユニット6、上記印刷機構150を構成する要素、および上記読み取り部10を構成する要素を備える。
【0025】
操作キー4はユーザによる操作入力を受け付ける。表示部5は例えばタッチパネルで構成され、所定情報を表示する。表示部5の一部は操作キーとしても機能する。表示部5が報知部に相当する。コントローラユニット6は、操作キー4からの入力又は図略の通信インタフェースを介する外部入力に基づき印刷機能を実現すると共に表示部5の表示を制御する。
【0026】
印刷機構150は、モータドライバIC30,31、ヘッドドライバIC32、搬送モータ33、キャリッジモータ34、パージドライバIC35、電圧源41、および電流検出部42を有する。また、読み取り部10は、モータドライバIC36および搬送モータ37を有する。
【0027】
コントローラユニット6は、CPUからなる制御装置20、ROM21、RAM22、EEPROM23、HDD24、およびASIC25を有する。制御装置20は、ROM21、RAM22、EEPROM23、HDD24、およびASIC25に電気的に接続されていると共に、各ドライバIC30~32,35,36および表示部5を制御する。
【0028】
制御装置20は、ROM21に記憶された液滴吐出プログラムを実行することにより、種々の機能を実行する。制御装置20は、ユーザから送信された印刷ジョブに基づきノズル55aによるインク滴の吐出を指示するための吐出データを生成する。この場合、制御装置20は印刷ジョブに係るRGB画像データを吐出データ(ドットデータ)に変換する。この際、制御装置20はRGB画像データに対して当該RGB画像データに含まれる複数画素についてのRGB値をCMYK値に変換する色変換処理、および、色変換処理後の画像データに対してハーフトーン処理を実行して吐出データを生成する。このような制御装置20は、コントローラユニット19に1つのプロセッサとして実装されていてもよいし、互いに協働する複数のプロセッサとして実装されていてもよい。液滴吐出プログラムは、コンピュータ読取可能な光磁気ディスク等又はUSBフラッシュメモリ等の記録媒体KBから読取装置38で読み出されてROM21に記憶されてもよい。
【0029】
RAM22には、外部から受信した画像データおよび制御装置20の演算結果等が記憶される。EEPROM23には、ユーザが入力した各種の初期設定情報や印刷枚数および読取枚数の各累計値が格納される。HDD24には、外部漏洩が好ましくない機密性の高い情報である特定情報や、搬送経路H1,H2における各ジャムの発生回数、所定の閾値、異常判断を行うための正常データ等が記憶される。
【0030】
ASIC25には、各ドライバIC30~32,35,36、電圧源41および電流検出部42が接続されている。制御装置20は、ユーザから例えば印刷ジョブを受け付けると、液滴吐出プログラムに基づいて、印刷指令をASIC25へ出力する。ASIC25は、印刷指令に基づいて各ドライバIC30~32,35,36、電圧源41および電流検出部42を駆動する。制御装置20は、モータドライバIC30により印刷機構150における搬送モータ33の動作を制御する。制御装置20は、モータドライバIC31によりキャリッジモータ34の動作を制御する。制御装置20は、ヘッドドライバIC32により吐出ヘッド55の動作を制御する。これにより、制御装置20は吐出ヘッド55のノズル55aからインク滴を吐出させて被印刷媒体Wに画像を形成する印刷処理を実行する。また、制御装置20は、パージドライバIC35によりパージ部50における吸引ポンプ52および昇降機構53の各動作を制御する。制御装置20は電圧源41により吐出ヘッド55と電極40との間に電位差を生じさせる。制御装置20は、吐出ヘッド55と電極40との間に電位差が生じた際に吐出ヘッド55と電極40との間を流れる電流を電流検出部42に検知させる。さらに、制御装置20は、モータドライバIC36により読み取り部10における搬送モータ37の動作を制御する。
【0031】
次に、ノズル55aについての吐出異常の検知方法について説明する。吐出異常の検知方法としては公知の種々の方法を用いることができ、本実施形態では例えば以下の方法を用いることができる。図4は吐出ヘッド10と電極11との間に電位差を生じさせた状態で吐出ヘッド10によりインク滴を吐出する態様を示す図である。
【0032】
図4に示すように、液滴吐出装置1は各ノズル55aについてインク滴の吐出異常を検知する検知部43をさらに備える。検知部43は、吐出ヘッド55と対向配置された電極40、吐出ヘッド55と電極40との間に電位差を生じさせる電圧源41、および、吐出ヘッド55と電極40との間を流れる電流を検出する電流検出部42を有する。
【0033】
制御装置20は電圧源41により吐出ヘッド55と電極40との間に電位差を生じさせた状態で吐出ヘッド55のノズル55aからインク滴を吐出させる。このとき、インク滴がもつ電荷量に応じた電荷が吐出ヘッド55と電極40にそれぞれ誘起される。このため、吐出ヘッド55に誘起された電荷量と電極40に誘起された電荷量との差に応じた電流が当該吐出ヘッド55と電極40との間に流れる。このとき、電流検出部42は吐出ヘッド55と電極40との間を流れる電流を検知する。制御装置20は電流検出部42の検出結果に基づきノズル55aの吐出異常を判別することができる。なお、制御装置20は電流検出部42により検出された電流が流れている時間を計測してもよい。この場合、インク滴の飛翔速度をvとし、吐出ヘッド55と電極40との距離をdとし、電流が流れている時間をTとするとき、制御装置20は、v=d/Tによりインク滴の飛翔速度を算出する。制御装置20は算出した飛翔速度と所定の閾値との比較に基づきインク滴の吐出曲がりが生じているか否かを判別してもよい。この場合、吐出異常に吐出曲がりを含めることができる。
【0034】
図5は各ノズル群における吐出異常ノズルの数を示す図である。図6は各ノズル群における使用ノズルと不使用ノズルを示す図である。
【0035】
図5に示すように、ノズル面55bには、搬送方向Dfに複数並んで配置されてインク滴を吐出するノズル55aを含むノズル列NRが複数設けられている。複数のノズル列NRは移動方向Dsにそれぞれ並んで配置されている。具体的には、ブラックのインク滴を吐出するノズル列NRとして、ノズル列NR1乃至ノズル列NR8が設けられている。ノズル列NR2に含まれる各ノズル55aは、ノズル列NR1に含まれる各ノズル55aに対して搬送方向Dfにそれぞれ1つずつずれて配置されている。ノズル列NR3における各ノズル55aとノズル列NR4における各ノズル55aとの位置関係、ノズル列NR5における各ノズル55aとノズル列NR6における各ノズル55aとの位置関係、および、ノズル列NR7における各ノズル55aとノズル列NR8における各ノズル55aとの位置関係も同様である。
【0036】
このような構成において、一のノズル列NRにおける各ノズル55aの搬送方向Dfにおける位置と他のノズル列NRにおける各ノズル55aの搬送方向Dfにおける位置とが同じである。具体的には、ノズル列NR1における各ノズル55aの搬送方向Dfにおける位置とノズル列NR3,NR5,NR7の各々における各ノズル55aの搬送方向Dfにおける位置とが同じである。また、ノズル列NR2における各ノズル55aの搬送方向Dfにおける位置とノズル列NR4,NR6,NR8の各々における各ノズル55aの搬送方向Dfにおける位置とが同じである。
【0037】
ここで、ノズル列NR1乃至ノズル列NR8の各々において、搬送方向Dfにおける位置が同じである複数のノズル55aを含むノズル群NGが複数設けられている。本実施形態では、例えば22個のノズル群NGが設けられる。詳細には、22個のノズル群NGとして、ノズル群NG1乃至ノズル群NG22が搬送方向Dfに並んで設けられる。より詳細には、22個のノズル群NGのうち、序数が奇数であるノズル群NGはノズル列NR1,NR3,NR5,NR7における各ノズル55aを含む。一方、22個のノズル群NGのうち、序数が偶数であるノズル群NGはノズル列NR2,NR4,NR6,NR8における各ノズル55aを含む。なお、ノズル群NGについての理解を容易にするべく、図5ではノズル群NG1に含まれる4つのノズル55aのみ点線で囲って示している。
【0038】
以上のように吐出ヘッド55に配された各ノズル55aにおいて、ノズル群NG2に含まれるノズル列NR8におけるノズル55aと、ノズル群NG8に含まれるノズル列NR6におけるノズル55aと、ノズル群NG16に含まれるノズル列NR2,NR4における各ノズル55aと、ノズル群NG21に含まれるノズル列NR7におけるノズル55aとを、検知部43により検知された吐出異常ノズルとする。なお、図5、ならびに、後記の図6および図8においては、吐出異常ノズルの発生個所を同じとしており、当該吐出異常ノズルに係るノズル55aに×を付して図示している。
【0039】
制御装置20は、上記の通り検知部43により吐出異常が検知された場合に、吐出ヘッド55における全てのノズル群NGについてインク滴の吐出動作の変更を指示するように吐出データを変更する変更処理を実行する。以下、具体的に説明する。
【0040】
まず、制御装置20は複数のノズル群NGの各々において吐出異常が検知されたノズル55aの数をノズル群NGごとに取得する。図5においては、制御装置20はノズル群NG2,NG8,NG21における吐出異常ノズルに係るノズル55aの数としてそれぞれ1を取得し、ノズル群NG16における吐出異常ノズルに係るノズル55aの数として2を取得する。次に、制御装置20は、複数のノズル群としてのノズル群NG2,NG8,NG16,NG21のうち、吐出異常ノズルに係るノズル55aの最大数を取得する。図5においては、制御装置20は上記最大数として2を取得する。
【0041】
制御装置20は上記最大数を取得した後、当該最大数に応じて変更処理を実行する。詳しくは、制御装置20は、吐出異常ノズルの最大数が2であることに起因して正常に使用できるノズル55aの数が2であるノズル群NG16に足並みを揃えて、ノズル群NG16以外の各ノズル群NGにおいて使用するノズル55a(使用ノズル)の数も2とする。図6に示すように、各ノズル群NGにおいて、使用ノズルを白抜きの○で示し、不使用ノズルを灰色の○で示している。
【0042】
制御装置20は、各ノズル群NGにおいて使用ノズルの数を2とする際に、クロストークの影響を抑制するべく、搬送方向Dfに隣り合うノズル55aを含むノズル群NGの各々において使用ノズルが当該搬送方向Dfに連続することが最小となるように当該使用ノズルを選択する。例えば、ノズル群NG1においてノズル列NR1,NR3の各ノズル55aを使用ノズルとして選択する場合には、当該ノズル群NG1に含まれるノズル55aと搬送方向Dfに隣り合うノズル55aを含むノズル群NG3において、ノズル列NR1,NR3の各ノズル55aの選択を避ける。これにより、ノズル群NG3においては、ノズル列NR5,NR7の各ノズル55aが使用ノズルとして選択される。なお、上記例の場合、ノズル群NG14,NG16,NG18のノズル列NR6における各ノズル55aが搬送方向Dfに連続している。
【0043】
次いで、制御装置20は、各ノズル群NGにおける2つの使用ノズルに係るノズル55aについてインク滴の吐出動作の変更を指示するように、印刷ジョブに係る当初の吐出データを変更する。この場合、制御装置20は各ノズル群NGにおける2つのノズル55aにより吐出すべき1画素当たりのインク滴の量を変更する処理を実行する。具体的には、制御装置20は色変換済みの画像データに基づく当初の吐出データにおける画素についてのドット形成を例えば3階調(大滴、中滴および小滴)により変更した吐出データを生成するハーフトーン処理を実行する。変更された吐出データに基づき例えば使用ノズルから大滴を吐出させることによって、吐出異常ノズルおよび不使用ノズルにより吐出されないインク滴の量を1画素における画像を形成する際に補うことができる。なお、ハーフトーン処理は公知のディザ法又は誤差拡散法等を用いて行われる。
【0044】
制御装置20は吐出異常が検知されたノズル55aの移動方向Dsにおける位置に応じて変更処理を実行してもよい。この場合、移動方向Dsにおける例えば一方端に位置する吐出異常ノズルと例えば他方端に位置する吐出異常ノズルとで異なる変更処理を行う。例えば、吐出異常ノズルの最大数が1である場合、吐出異常ノズルが移動方向Dsの一方端に位置するノズル群NGにおける残りの3つのノズル55aから吐出されるインク滴を大滴とし、吐出異常ノズルが他方端に位置するノズル群NGにおける残りの3つのノズル55aから吐出されるインク滴を中滴としたりすることができる。また、他の変更処理として、ノズル55aごとに吐出の特性が異なるため、例えば、事前にノズル55aごとの特性値を記憶しておく。そして、ハーフトーン処理の際に吐出異常ノズルを除いた残りのノズル55aの上記特性に応じて、吐出する回数又はインク滴の大きさを変える補正を行うことが挙げられる。
【0045】
図7は制御装置20による処理の流れを示すフローチャートである。図7に示すように、制御装置20は複数のノズル群NGの各々において吐出異常が検知されたノズル55aの数をノズル群NGごとに取得する(ステップS1)。
【0046】
次に、制御装置20は、吐出異常が検知されたノズル55aを含むノズル群NGのうち、吐出異常ノズルに係るノズル55aの最大数を取得する(ステップS2)。そして、制御装置20は吐出異常が検知されたノズル55aを含むノズル群NGのうち当該ノズル群NGに含まれるノズル55aの全てが吐出異常ノズルに該当するノズル群NGがあるか否かを判別する(ステップS3)。
【0047】
ノズル55aの全てが吐出異常ノズルに該当するノズル群NGがない場合(ステップS3でNo)、制御装置20は吐出異常ノズルの最大数が存在するノズル群NGにおける使用ノズルの数に足並みを揃えるべく、当該使用ノズルの数と同数の使用ノズルを他のノズル群NGの各々にて選択し決定する(ステップS4)。そして、制御装置20は使用ノズルに係るノズル55aについての当初の吐出データをハーフトーン処理により変更する(ステップS5)。その後、制御装置20は変更した吐出データに基づき吐出ヘッド55に印刷を実行させる(ステップS6)。
【0048】
一方、ノズル55aの全てが吐出異常ノズルに該当するノズル群NGがある場合(ステップS3でYes)、制御装置20はユーザに報知するべく例えば表示部5に印刷不可である旨を表示させる(ステップS7)。そして、制御装置20は前記表示から所定時間経過するまでの間にユーザから印刷指示があるか否かを判別する(ステップS8)。ユーザから印刷指示がある場合(ステップS8でYes)、制御装置20は当初の吐出データ(つまりハーフトーン処理による変更前の吐出データ)に基づき吐出ヘッド55に印刷を実行させる(ステップS9)。一方、ユーザから印刷指示がない場合(ステップS8でNo)、制御装置20は処理を終了する。
【0049】
以上説明したように、液滴吐出装置1によれば、検知部43により吐出異常が検知された場合に、吐出ヘッド55における全てのノズル群NGにおけるノズル55aの吐出動作を変更するための吐出データが生成される。すなわち、吐出異常が生じたノズル55aと搬送方向Dfにおいて同じ位置に位置する他のノズル55aのみならず、当該搬送方向Dfにおいて異なる位置に位置する他のノズル55aの吐出動作をも変更するための吐出データが生成される。これにより、吐出異常が生じたノズル55aと搬送方向Dfにおいて同じ位置に位置する他のノズル55aの吐出動作のみを変更する吐出データに基づき印刷を行う態様よりも、各ノズル群NGにおいて吐出データを変更するノズル55aを例えば同数とすることで印刷画像全体における印刷むらを抑制できる。また、2つの吐出ヘッドを設けて当該2つの吐出ヘッドのうち一方の吐出ヘッドを走査するための移動機構が必要ない。以上によって、装置を大型化させることなく、補完による画質の低下を抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態では、吐出異常が検知されたノズル55aの最大数に応じて変更処理を実行するので、ラスタ(つまり移動方向Dsに並ぶ画素)ごとに変更処理を行う必要がない。これにより、変更処理の単純化を図ることができる。また、印刷画像全体における印刷むらをより抑制でき画質が安定する。
【0051】
また、本実施形態では、移動方向Dsにおける例えば一方端に位置する吐出異常ノズルと例えば他方端に位置する吐出異常ノズルとで異なる変更処理を行うことができる。これにより、吐出異常ノズルの移動方向Dsにおける位置に起因して印刷画像の画質が微妙に異なる場合でも当該画質を補正することができる。よって、画質が綺麗になる。
【0052】
また、本実施形態では、変更処理において1画素当たりのインク滴の量を変更することで印刷画像全体における印刷むらを容易に抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態では、ノズル55aの全てが吐出異常ノズルに該当するノズル群NGがある場合に表示部5に印刷不可である旨を表示させる。これにより、ユーザは印刷前に印刷不可である旨を容易に認識することができる。この場合、一のノズル群NGにおいて全てのノズル55aが吐出異常ノズルである場合には、当該一のノズル群NGにおいて正常ノズルが存在しないことに起因して、吐出異常ノズルを正常ノズルで補間することができない。その結果、印刷画像において移動方向Dsに延在する白スジが発現してしまう。そのため、印刷不可とする。しかし、ユーザが画質にはこだわらず印刷内容を読めればよいと考える場合には、強制印刷を行うことができる。
【0054】
また、本実施形態では、印刷不可である旨の上記表示から所定時間経過するまでの間に、ユーザは印刷を指示することができる。これにより、ユーザは緊急時等に強制的に印刷を実行させることができる。
【0055】
さらに、本実施形態では、電圧源41により吐出ヘッド55と電極40との間に電位差を生じさせたときに検出される電流値に基づき吐出異常を検知する。この場合、簡易な方法で吐出異常を検知することができる。
【0056】
(変形例)
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば以下の通りである。
【0057】
上記実施形態では、吐出異常が生じたノズル55aと搬送方向Dfにおいて同じ位置に位置する他のノズル55aのみならず、当該搬送方向Dfにおいて異なる位置に位置する他のノズル55aの吐出動作も変更するための吐出データを生成することとした。しかし、これに限定されるものではなく、以下の構成を採用することも可能である。
【0058】
図8は各ノズル群における使用ノズルの変形例を示す図である。なお、図8の内容は上述の図5の内容と同義である。
【0059】
上記実施形態のように、吐出異常が生じたノズル55aと搬送方向Dfにおいて同じ位置に位置する他のノズル55aのみならず、当該搬送方向Dfにおいて異なる位置に位置する他のノズル55aの吐出動作も変更する吐出データは生成されない。ここでは、制御装置20は、検知部43により吐出異常が検知された場合に、吐出異常が検知されたノズル55aと同じノズル群NGに含まれる他の1又は複数のノズル55aについてのみインク滴の吐出動作の変更を指示するように吐出データを変更する変更処理を実行する。この場合、図8においては、ノズル列NR8のノズル55aが吐出異常ノズルであるノズル群NG2、ノズル列NR6のノズル55aが吐出異常ノズルであるノズル群NG8、ノズル列NR2,4の各ノズル55aが吐出異常ノズルであるノズル群NG16、および、ノズル列NR7のノズル55aが吐出異常ノズルであるノズル群NG21、の各々に属するノズル55aについてのみ吐出データの変更処理が実行される。
【0060】
以上のように、上記構成によれば、検知部43により吐出異常が検知された場合に、吐出異常が検知されたノズル55aと同じノズル群NGに含まれる他の1又は複数のノズル55aについての吐出動作を変更するための吐出データが生成される。この場合、吐出異常のノズル55aの数が少ないと、ほとんどの画素について一のノズル群NGに含まれる全ノズル55aによる吐出処理が可能となり、1画素のみを見れば各ノズル55aによる吐出量を少なくすることができ、また豊かな階調表現が可能になると共に高精細な画像を印刷することができる。さらに、2つの吐出ヘッドを設けて当該2つの吐出ヘッドのうち一方の吐出ヘッドを走査するための移動機構が必要ない。以上によって、装置を大型化させることなく、補完による画質の低下を抑制することで高画質な印刷画像を得ることができる。
【0061】
また、上記実施形態では、ノズル55aの全てが吐出異常ノズルに該当するノズル群NGがある場合に、制御装置20はユーザに報知するべく表示部5に印刷不可である旨を表示させた。しかし、これに限定されるものではなく、制御装置20は音声により上記旨をユーザに報知してもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、電圧源41により吐出ヘッド55と電極40との間に電位差を生じさせたときに検出される電流値に基づき吐出異常を検知することとしたが、これに限らず、例えばレーザ光をインク滴に照射する等して吐出異常を検知してもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、吐出ヘッド55において8つのノズル列NRを設けたが、ノズル列NRの数はこれに限定されるものではなく、複数であればよい。
【0064】
また、上記実施形態では、吐出ヘッド55により印刷される画像をモノクロ画像としたが、これに限定されるものではない。シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、およびブラック(K)の各色のインク滴を吐出することでカラー画像を印刷する吐出ヘッドを採用してもよい。
【0065】
さらに、上記実施形態において、ホワイト(W)のインク滴を吐出するノズル列およびクリア(Cr)のインク滴を吐出するノズル列を有する吐出ヘッドをキャリッジ54にさらに設けてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 液滴吐出装置
5 表示部
20 制御装置
40 電極
41 電圧源
42 電流検出部
43 検知部
55 吐出ヘッド
55a ノズル
Df 搬送方向
Ds 移動方向
NG ノズル群
NR ノズル列
W 被印刷媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8