(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138806
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、感光性フィルム、硬化物、及びこれらを用いた電子部品
(51)【国際特許分類】
G03F 7/038 20060101AFI20241002BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20241002BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
G03F7/038 503
G03F7/004 512
G03F7/004 501
H01L23/30 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049502
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】村上 雄太
(72)【発明者】
【氏名】濱野 翼
【テーマコード(参考)】
2H225
4M109
【Fターム(参考)】
2H225AC34
2H225AC63
2H225AD26
2H225AE12P
2H225AE13P
2H225AE14P
2H225AE15P
2H225AF23P
2H225AF79P
2H225AM23P
2H225AN33P
2H225AP11P
2H225BA05P
2H225BA20P
2H225BA24P
2H225CA12
2H225CB02
2H225CC01
2H225CC12
2H225CD05
4M109AA01
4M109EA12
4M109EA15
4M109EB02
4M109EB04
(57)【要約】
【課題】
素子の被覆性に優れ、かつフォトリソグラフィーにより被覆部の一部を除去することが可能な感光性樹脂組成物、これを用いた感光性フィルム及び硬化物、これらを用いた電子部品を提供すること。
【解決手段】
(a)アクリル樹脂、(b)カチオン重合性化合物、(c)熱カチオン重合開始剤、及び(d)光カチオン重合開始剤を含み、
前記(a)アクリル樹脂は、ガラス転移温度が-40℃以上30℃以下の(a1)アクリル樹脂、及び、ガラス転移温度が60℃以上110℃以下の(a2)アクリル樹脂を含む、感光性樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)アクリル樹脂、(b)カチオン重合性化合物、(c)熱カチオン重合開始剤、及び(d)光カチオン重合開始剤を含み、
前記(a)アクリル樹脂は、ガラス転移温度が-40℃以上30℃以下の(a1)アクリル樹脂、及び、ガラス転移温度が60℃以上110℃以下の(a2)アクリル樹脂を含む、感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(a1)アクリル樹脂は、重量平均分子量が60万以上180万以下である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(a2)アクリル樹脂は、重量平均分子量が1万以上10万以下である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
溶剤を除く全ての成分の合計100質量%中に、前記(a1)アクリル樹脂を10質量%以上30質量%以下含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
溶剤を除く全ての成分の合計100質量%中に、前記(a2)アクリル樹脂を15質量%以上45質量%以下含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記(d)光カチオン重合開始剤の含有量(質量基準)に対する前記(c)熱カチオン重合開始剤の含有量(質量基準)の比率が、0.1以上1以下である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
(e)ラジカル重合性化合物を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
(f)ラジカル重合開始剤を更に含むことを特徴とする、請求項7に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の感光性樹脂組成物を備える感光性フィルム。
【請求項10】
請求項1~8のいずれかに記載の感光性樹脂組成物、又は、請求項9に記載の感光性フィルムを硬化した硬化物。
【請求項11】
請求項10に記載の硬化物を含む電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、感光性フィルム、硬化物、及びこれらを用いた電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体集積回路(IC)パッケージとして、デュアルインラインパッケージ(DIP)、スモールアウトラインパッケージ(SOP)及びクアッドフラットパッケージ(QFP)等のパッケージ形態が用いられてきた。一方、最近ではパッケージの小型化・高集積化が進み、ICチップパッケージサイズがチップサイズと同等であるCSP(チップサイズパッケージ)等が適用されてきている。また、ICとパッケージ端子との接合方法も小型化、薄型化の要求により従来金ワイヤーで接続されていたものが、ICのアクティブ面と接続端子を半田ボールや金バンプ等で接続するフリップチップ接続が主流となっている。
【0003】
一方、水晶振動子やSAWフィルタに代表される水晶デバイスは圧電現象を電気回路に応用することで、各種ICの同期基準信号、時計用、通信回路のノイズフィルタ等に活用されている。水晶デバイスは電気信号を物理振動、また物理振動を電気信号へ変換するため、素子のアクティブ面が空間に存在しなければならず、これらの素子は中空構造を持ったパッケージ形態である必要がある。従来は素子を外部環境から保護するため、素子をエンボス加工された積層セラミック内に配置し、素子と電極とをワイヤーボンディングで接続し、金属溶接で蓋をする金属封止が実施されていたが、携帯電話に代表される通信機器の小型化・薄型化に伴い、素子のアクティブ面とパッケージ基板とをフリップチップ接続し、素子-バンプ-パッケージ基板により形成された空間部分を維持し、中空構造とした状態で樹脂封止する方法が提案されている。この際、樹脂封止の方法としてフィルム状の封止材で基板上に素子を実装することで形成された凹凸部分を充填しつつ素子-バンプ-パッケージ基板により形成された空間部分を維持する方法や、フィルム状の材料を電子部品実装により形成された凹凸形状に追従させて電子部品を被覆・保護する方法(特許文献1~3)などが提案されている。
【0004】
更に、近年では従来個別に製造していた電子部品を一体化し、機能性を付与した電子部品モジュールが提案されている。電子部品モジュールは複数の素子を基板に配置し、これらの素子を一括してフィルム状の材料で被覆する方法が提案されている。(特許文献4)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4053483号公報
【特許文献2】特許第4730652号公報
【特許文献3】特開2003-17979号公報
【特許文献4】特許第6089567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電子部品モジュールのような基板に配置された複数の素子を、一括してフィルム状の材料で被覆することは可能であるが、被覆後に素子の一部と電極とを接続する際、被覆したフィルム材料をレーザーによって除去する必要があり、工程が煩雑であった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、素子の被覆性に優れ、かつフォトリソグラフィーにより被覆部の一部を除去することが可能な感光性樹脂組成物、これを用いた感光性フィルム及び硬化物、これらを用いた電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は次の構成を有する。
(1)(a)アクリル樹脂、(b)カチオン重合性化合物、(c)熱カチオン重合開始剤、及び(d)光カチオン重合開始剤を含み、
前記(a)アクリル樹脂は、ガラス転移温度が-40℃以上30℃以下の(a1)アクリル樹脂、及び、ガラス転移温度が60℃以上110℃以下の(a2)アクリル樹脂を含む、感光性樹脂組成物。
(2)前記(a1)アクリル樹脂は、重量平均分子量が60万以上180万以下である、前記(1)に記載の感光性樹脂組成物。
(3)前記(a2)アクリル樹脂は、重量平均分子量が1万以上10万以下である、前記(1)又は(2)に記載の感光性樹脂組成物。
(4)溶剤を除く全ての成分の合計100質量%中に、前記(a1)アクリル樹脂を10質量%以上30質量%以下含む、前記(1)~(3)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
(5)溶剤を除く全ての成分の合計100質量%中に、前記(a2)アクリル樹脂を15質量%以上45質量%以下含む、前記(1)~(4)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
(6)前記(d)光カチオン重合開始剤の含有量(質量基準)に対する前記(c)熱カチオン重合開始剤の含有量(質量基準)の比率が、0.1以上1以下である、前記(1)~(5)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
(7)(e)ラジカル重合性化合物を含むことを特徴とする、前記(1)~(6)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
(8)(f)ラジカル重合開始剤を含むことを特徴とする、前記(7)に記載の感光性樹脂組成物。
(9)前記(1)~(8)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を備える感光性フィルム。
(10)前記(1)~(8)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物、又は、(9)に記載の感光性フィルムを硬化した硬化物。
(11)前記(10)に記載の硬化物を含む電子部品。
【発明の効果】
【0009】
本発明の感光性樹脂組成物を用いることにより、基板に配置された複数の素子の一括被覆、及び被覆後にフォトリソグラフィーで感光性樹脂組成物の未露光部を除去することが可能である。これにより加工工程での歩留まりを向上させ、信頼性に優れた電子部品を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の感光性樹脂組成物、感光性フィルム、硬化物、及びこれらを用いた電子部品について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、目的や用途に応じて種々に変更して実施することができる。
【0011】
本発明は、(a)アクリル樹脂、(b)カチオン重合性化合物、(c)熱カチオン重合開始剤、及び(d)光カチオン重合開始剤を含み、
前記(a)アクリル樹脂は、ガラス転移温度が-40℃以上30℃以下の(a1)アクリル樹脂、及び、ガラス転移温度が60℃以上110℃以下の(a2)アクリル樹脂を含む、感光性樹脂組成物である。
【0012】
<感光性樹脂組成物>
本発明の感光性樹脂組成物は、(a)アクリル樹脂、(b)カチオン重合性化合物、(c)熱カチオン重合開始剤、(d)光カチオン重合開始剤を含有する。
【0013】
(a)アクリル樹脂は、ガラス転移温度が-40℃以上30℃以下の(a1)アクリル樹脂、及び、ガラス転移温度が60℃以上110℃以下の(a2)アクリル樹脂を含む。
【0014】
(b)カチオン重合性化合物は、カチオン重合性を有する化合物である。
【0015】
(c)熱カチオン重合開始剤は、熱により直接又は間接的に酸を発生し、カチオン重合を生じさせる化合物である。
【0016】
(d)光カチオン重合開始剤は、光により直接又は間接的に酸を発生し、カチオン重合を生じさせる化合物である。
【0017】
本発明の感光性樹脂組成物は、(a1)アクリル樹脂を含有することにより、感光性樹脂組成物の加工前の取り扱い性を容易とし、又、基板に複数配置された素子で形成された凹凸形状に、感光性樹脂組成物を追従させ被覆することが可能となる。
【0018】
本発明の感光性樹脂組成物は、(a2)アクリル樹脂を含有することにより、感光性樹脂組成物の貯蔵弾性率が増大し、凹凸形状への追従加工時の破れを抑制することができる。
【0019】
本発明の感光性樹脂組成物は、(a)アクリル樹脂、(b)カチオン重合性化合物、(d)光カチオン重合開始剤を含有することにより、露光前には現像液に可溶であるが、露光により光カチオン重合開始剤から酸が発生し、カチオン重合性化合物のカチオン重合反応が進行することで、露光部のカチオン重合性化合物が架橋構造となる。これにより露光部は現像液に不溶となり、未露光部のみを現像液により除去することが可能となる。更に(c)熱カチオン重合開始剤を含有することにより、本発明の感光性樹脂組成物を加熱硬化して得られる硬化物の貯蔵弾性率が増大し、耐熱性に優れた硬化物を得ることができる。
【0020】
本発明の感光性樹脂組成物の厚みは、薄すぎると感光性樹脂組成物の強度が不足するため、10μm以上が好ましく、厚すぎると凹凸形状への追従加工性が低下することから200μm以下が好ましい。更にフォトリソグラフィーによる加工時の現像性の観点から、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。
【0021】
<アクリル樹脂>
本発明の感光性樹脂組成物は、(a)アクリル樹脂を含有し、(a)アクリル樹脂は、ガラス転移温度が-40℃以上30℃以下の(a1)アクリル樹脂を含む。
【0022】
(a1)アクリル樹脂のガラス転移温度が-40℃以上30℃以下であることにより、本発明の感光性樹脂組成物の室温での取り扱い性が容易となる。(a1)アクリル樹脂のガラス転移温度は、より好ましくは-20℃以上20℃以下である。
【0023】
(a1)アクリル樹脂のガラス転移温度が-40℃未満の場合、本発明の感光性樹脂組成物のタックが大きくなり、感光性フィルムから支持体や保護フィルムを剥離する際、剥離不良を生じる虞があり好ましくない。また、(a1)アクリル樹脂のガラス転移温度が30℃を超える場合、本発明の感光性樹脂組成物の靭性が低下し、室温での取り扱い時に割れが生じる虞があり好ましくない。
【0024】
(a1)アクリル樹脂は、重量平均分子量が60万以上180万以下であることが好ましい。これにより、フィルム状とした際の強度や可撓性が高く、取り扱い性が良好となる。又、凹凸形状への追従加工時に良好な伸度を発現することが可能となる。(a1)アクリル樹脂の重量平均分子量は、より好ましくは60万以上140万以下である。
【0025】
本発明の感光性樹脂組成物は溶剤を除く全ての成分の合計100質量%中に、(a1)アクリル樹脂を10質量%以上30質量%以下含有することが好ましい。感光性樹脂組成物100質量%中に、(a1)アクリル樹脂を10質量%以上30質量%以下含有することにより、重量平均分子量が大きく、現像液に溶解しづらいアクリル樹脂であっても、フォトリソグラフィーによる感光性樹脂組成物の未露光部の除去性が良好となる。感光性樹脂組成物100質量%中の(a1)アクリル樹脂の含有量は、より好ましくは15質量%以上30質量%以下である。
【0026】
(a1)アクリル樹脂に好適なアクリル樹脂は、エポキシ基、シアノ基、水酸基、アミノ基、ヒドロキシアルキル基、及びカルボキシ基からなる群より選ばれた少なくとも2種の官能基を有し、さらに、炭素数1~5の側鎖を有するアクリル酸エステル及び/又は炭素数1~5の側鎖を有するメタクリル酸エステルを構成モノマーとして含む重合体であることが好ましい。
【0027】
炭素数1~5の側鎖を有するアクリル酸エステル、炭素数1~5の側鎖を有するメタクリル酸エステルの例としては、アクリル酸メチル・メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル・メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル・メタクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル・メタクリル酸ペンチルのようなアクリル酸アルキルエステル・メタクリル酸アルキルエステル、また、アクリル酸シクロペンチル・メタクリル酸シクロペンチルのようなアクリル酸・メタクリル酸の脂環属アルコールとのエステル、酢酸ビニル、ビニリデンクロライド、エチルα-アセトキシアクリレート等が挙げられる。また、このようなアクリル酸エステル・メタクリル酸エステルは、単独であるいは組み合わせて使用することができる。
【0028】
本発明の感光性樹脂組成物は、(a1)アクリル樹脂を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
本発明の感光性樹脂組成物は、ガラス転移温度が60℃以上110℃以下の(a2)アクリル樹脂を含む。
【0030】
(a2)アクリル樹脂のガラス転移温度が60℃以上110℃以下であることにより、本発明の感光性樹脂組成物の貯蔵弾性率が増大し、凹凸形状への追従加工時に感光性樹脂組成物の破れを抑制することができる。
【0031】
(a2)アクリル樹脂のガラス転移温度が60℃未満の場合、本発明の感光性樹脂組成物の貯蔵弾性率を増大する寄与が小さくなり、凹凸形状への追従加工時に、感光性樹脂組成物が破れる虞があり好ましくない。また(a2)アクリル樹脂のガラス転移温度が110℃を超える場合、(a1)アクリル樹脂との相溶性が低下し、感光性樹脂組成物中で(a2)アクリル樹脂の分離が生じ、均一な感光性フィルムとならない虞があるため好ましくない。
【0032】
(a2)アクリル樹脂は、重量平均分子量1万以上10万以下であることが好ましい。これにより、フォトリソグラフィーで本発明の感光性樹脂組成物の未露光部を除去する際、現像液による膨潤を抑制でき、より高精細に未露光部の樹脂を除去することができる。(a2)アクリル樹脂の重量平均分子量は、より好ましくは3万以上8万以下である。
【0033】
本発明の感光性樹脂組成物は、溶剤を除く全ての成分の合計100質量%中に、(a2)アクリル樹脂を15質量%以上45質量%以下含有することが好ましい。感光性樹脂組成物100質量%中に、(a2)アクリル樹脂を15質量%以上45質量%以下含有することにより、感光性樹脂組成物の貯蔵弾性率を増大することができ、かつ感光性樹脂組成物をフィルム状とした際の強度や可撓性が高く、取り扱い性が良好となる。
【0034】
(a2)アクリル樹脂に好適なアクリル樹脂は、炭素数1~5の側鎖を有するメタクリル酸エステルを構成モノマーとして含む重合体であることが好ましい。より詳細には(a2)アクリル樹脂とは、炭素数1~5の側鎖を有するメタクリル酸エステルを構成モノマーとして含む重合体であって、(a1)アクリル樹脂に該当しない重合体を意味する。つまり、炭素数1~5の側鎖を有するメタクリル酸エステルを構成モノマーとして含む重合体であって、(a1)アクリル樹脂の条件を満たすものは(a1)アクリル樹脂に区分され、炭素数1~5の側鎖を有するメタクリル酸エステルを構成モノマーとして含む重合体であって、(a1)アクリル樹脂に該当しない重合体は、(a2)アクリル樹脂に区分されることとなる。(a2)アクリル樹脂としては、炭素数1~2のメタクリル酸メチル及び炭素数1~2のメタクリル酸エチルの両方を構成モノマーとして含む重合体であることが、ガラス転移温度の高温化の観点からより好ましい。
【0035】
本発明の感光性樹脂組成物は、(a2)アクリル樹脂を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
<カチオン重合性化合物>
本発明の感光性樹脂組成物は、(b)カチオン重合性化合物を含有する。このようなカチオン重合性化合物としては、例えば、エポキシ樹脂、ビニルエーテル樹脂、オキセタン樹脂等が挙げられる。(b)カチオン重合性化合物は特に限定されないが、エポキシ樹脂であることが好ましい。
【0037】
エポキシ樹脂は、1分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであれば特に限定されないが、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、レゾルシノール、ジヒドロキシナフタレン、ジシクロペンタジエンジフェノール等のジグリシジルエーテル、エポキシ化フェノールノボラック(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、エポキシ化クレゾールノボラック(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、エポキシ化トリスフェニロールメタン、エポキシ化テトラフェニロールエタン、エポキシ化メタキシレンジアミン及びシクロヘキサンジエポキサイド等の脂環式エポキシ等が挙げられる。さらに難燃性付与のために、ハロゲン化エポキシ樹脂、特に臭素化エポキシ樹脂を用いてもよい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
エポキシ基を有する化合物として、具体的には、“エピクロン”(登録商標)850-S、“エピクロン”HP-4032、“エピクロン”HP-7200、“エピクロン”HP-820、“エピクロン”HP-4700、“エピクロン”EXA-4710、“エピクロン”HP-4770、“エピクロン”EXA-859CRP、“エピクロン”EXA-1514、“エピクロン”EXA-4880、“エピクロン”EXA-4850-150、“エピクロン”EXA-4850-1000、“エピクロン”EXA-4816、“エピクロン”EXA-4822(以上、商品名、大日本インキ化学工業社製)、“リカレジン”(登録商標)BEO-60E、“リカレジン”BPO-20E、“リカレジン”HBE-100、“リカレジン”DME-100(以上、商品名、新日本理化社製)、EP-4003S、EP-4000S(以上、商品名、ADEKA社製)、PG-100、CG-500、EG-200(以上、商品名、大阪ガスケミカル社製)、NC-3000、NC-6000(以上、商品名、日本化薬社製)、“EPOX”(登録商標)-MKR508、“EPOX”-MKR540、“EPOX”-MKR710、“EPOX”-MKR1710、VG3101L、VG3101M80(以上、商品名、プリンテック社製)、“セロキサイド”(登録商標)2021P、“セロキサイド”2081、“セロキサイド”2083、“セロキサイド”2085(以上、商品名、ダイセル化学工業社製)などが挙げられる。
【0039】
本発明の感光性樹脂組成物は、(b)カチオン重合性化合物として、エポキシ当量が150以上300以下のエポキシ樹脂を含むことが好ましい。これにより、露光部でエポキシ樹脂が高密度な架橋構造を形成することが可能となり、フォトリソグラフィーで、より高精細に未露光部の樹脂を除去することができる。
【0040】
<熱カチオン重合開始剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、(c)熱カチオン重合開始剤を含有する。このような熱カチオン重合開始剤は、公知の化合物を、特に限定なく使用することができる。具体的には、
例えば、芳香族ヨードニウム錯塩と芳香族スルホニウム錯塩等を挙げることができる。芳香族ヨードニウム錯塩の具体例としては、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4-ノニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。これらの熱カチオン重合開始剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
本発明の感光性組樹脂成物は、(c)熱カチオン重合開始剤を含有することにより、本発明の感光性樹脂組成物を低温で加熱硬化させ、硬化物とすることができる。ここで言う低温とは、100℃以上150℃未満の温度である。
【0042】
本発明の感光性樹脂組成物は、(d)光カチオン重合開始剤の含有量(質量基準)に対して(c)熱カチオン重合開始剤の含有量(質量基準)の比率が、0.1以上1以下になるように、(c)熱カチオン重合開始剤を含有することが好ましい。これにより、カチオン重合性化合物が十分な硬化性を示し、本発明の感光性樹脂組成物を加熱硬化して得られる硬化物の貯蔵弾性率が増大し、耐熱性に優れた硬化物を得ることができる。
【0043】
<光カチオン重合開始剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、(d)光カチオン重合開始剤を含有する。このような光カチオン重合開始剤は、公知の化合物を、特に限定なく使用することができる。具体的には、例えば芳香族ヨードニウム錯塩と芳香族スルホニウム錯塩等を挙げることができる。芳香族ヨードニウム錯塩の具体例としては、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4-ノニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。これらの(d)光カチオン重合開始剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
本発明の感光性樹脂組成物は、(b)カチオン重合性化合物100質量部に対し、(d)光カチオン重合開始剤を0.3質量部以上含有することが好ましく、0.5質量部以上含有することがより好ましく、0.7質量部以上含有することが更に好ましい。これにより、カチオン重合性化合物が十分な硬化性を示し、露光部の架橋密度を向上させることができ、フォトリソグラフィーで、より高精細に未露光部の樹脂を除去することができる。
【0045】
<ラジカル重合性化合物>
本発明の感光性樹脂組成物は、(e)ラジカル重合性化合物を更に含有することにより、本発明の感光性樹脂組成物を光及び/又は加熱硬化して得られる硬化物の貯蔵弾性率が増大し、耐熱性に優れた硬化物を得ることができる。このようなラジカル重合性化合物としては、例えば、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等の不飽和二重結合官能基及び/又はプロパギル基等の不飽和三重結合官能基が挙げられ、これらの中でも共役型のビニル基やアクリロイル基、メタクリロイル基が重合性の面で好ましい。また、重合反応による架橋点が多いとパターンにクラックが生じる点から、その官能基が含有される数としては、1~6であることが好ましく、それぞれは同一の基でなくとも構わない。
【0046】
本発明の感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物100質量%中に、(e)ラジカル重合性化合物を5質量%以上40質量%以上含有することが好ましい。感光性樹脂組成物100質量%中の(e)ラジカル重合性化合物のより好ましい含有量は、10質量%以上35質量%以下である。これにより、本発明の感光性樹脂組成物を光及び/又は加熱硬化して得られる硬化物の貯蔵弾性率が増大し、耐熱性に優れた硬化物を得ることができる。
【0047】
(e)ラジカル重合性化合物は、アクリルモノマーであることが好ましい。ここで言うアクリルモノマーとは、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、及びメタクリルアミド等のことである。
【0048】
アクリルモノマーの好ましい例としては、新中村化学工業(株)製NKエステルシリーズAM-90G、AM-130G、AM-230G、AMP-20GY、A-LEN-10、A-SA、M-20G、M-40G、M-90G、M-130G、M-230G、M-450G、PHE-1G、SA、HD-N、NOD-N、DOD-N、NPG、701、2G、3G、4G、9G、14G、23G、9PG、DCP、BPE-80N、BPE-100、BPE-200、BPE-500、BPE-1300N、TMPT、A-200、A-400、A-600、A-HD-N、A-NOD-N、A-DOD-N、APG-200、APG-400、APG-700、A-PTMG65、A-DCP、ABE-300、A-BPE-4、A-BPE-10、A-BPE-20、701A、A-TMPT、A-TMPT-9EO、AT-20E、A-GLY-3E、A-GLY-9E、A-GLY-20E、A-9300、A-9200YN、A-TMM-3、A-TMM-3L、A-TMM-3、A-TMM-3LM-N、A-TMMT、ATM-35E、ATM-4P、A-DPH、A-9550,A-DPH-12E等が挙げられる。また、共栄社化学(株)製ライトアクリレートシリーズ1AA、L-A、S-A、EC-A、MTG-A、EHDG-AT、130A、DPM-A、PO-A、P2H-A、P-200A、THF-A、IB-XA、HOA(N)、HOP-A(N)、HOB-A、M-600A、HOA-MS(N)、HOA-HH(N)、HOA-MPL(N)、HOA-MPE(N)、BA-104、P-1A、3EG-A、4EG-A、9EG-A、14EG-A、PTMGA-250、NP-A、MPD-A、1.6HX-A、1.9ND-A、DCP-A、BP-4EAL、BP-4PA、HPP-A、BP-6EM、TMP-A、PE-3A、PE-4A、DPE-6A等が挙げられる。また、共栄社化学(株)製ライトエステルシリーズ E、NB、IB、TB、EH、ID、L、L-7、S、BC、130MA、041MA、CH、THF(1000)、BZ、PO、IB-X、HO-250(N)、HOP(N)、HOA(N)、HOP-A(N)、HOB(N)、DM、DE、HO-MS-(N)、EG、2EG、3EG、4EG、9EG、14EG、1.4BG、NP、1.6HX、1.9ND、G-101P、G-201P、BP-2EMK、TMP等が挙げられる。また、東亞合成(株)製“アロニックス(登録商標)”シリーズM-101A、M-113、M-120、M-140、M-208、M-211B、M-215、M-220、M-225、M-240、M-305、M-309、M-315、M-321、M-321、M-350、M-400、M-402、M-408、M-450等が挙げられる。これらの化合物を単独又は2種以上含有してもよい。
【0049】
(d1)アクリルモノマーは、1分子内に2個以下のアクリロイル基を有するものがさらに好ましい。具体的には、例えば、新中村化学工業(株)製NKエステルシリーズAM-90G、AM-130G、AM-230G、AMP-20GY、A-LEN-10、A-SA、M-20G、M-40G、M-90G、M-130G、M-230G、M-450G、PHE-1G、SA、HD-N、NOD-N、DOD-N、NPG、701、2G、3G、4G、9G、14G、23G、9PG、DCP、BPE-80N、BPE-100、BPE-200、BPE-500、BPE-1300N、A-200、A-400、A-600、A-HD-N、A-NOD-N、A-DOD-N、APG-200、APG-400、APG-700、A-PTMG65、A-DCP、ABE-300、A-BPE-4、A-BPE-10、A-BPE-20、701A、A-9300、A-9200YN等が挙げられる。また、共栄社化学(株)製ライトアクリレートシリーズ 3EG-A、4EG-A、9EG-A、14EG-A、TMGA-250、NP-A、MPD-A、1.6HX-A、BEPG-A、1.9ND-A、MOD-A、DCP-A、BP-4EA、BP-4PA、BA-134、BP-10EA、HPP-A等が挙げられる。また、共栄社化学(株)製ライトエステルシリーズE、NB、IB、TB、EH、ID、L、L-7、S、BC、130MA、041MA、CH、THF(1000)、BZ、PO、IB-X、HO-250(N)、HOP(N)、HOA(N)、HOP-A(N)、HOB(N)、DM、DE、HO-MS-(N)、EG、2EG、3EG、4EG、9EG、14EG、1.4BG、NP、1.6HX、1.9ND、G-101P、G-201P、BP-2EMK等が挙げられる。また、東亞合成(株)製“アロニックス(登録商標)”シリーズM-101A、M-113、M-120、M-140、M-208、M-211B、M-215、M-220、M-225、M-240等が挙げられる。
【0050】
本発明の感光性樹脂組成物は、(e)ラジカル重合性化合物を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
本記載の(e)ラジカル重合性化合物とは、分子量が100以上2000以下で、かつ不飽和二重結合官能基及び/又は不飽和三重結合官能基を有し、(b)カチオン重合性化合物に該当しない化合物のことを指す。
【0052】
<ラジカル重合開始剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、(f)ラジカル重合開始剤を更に含有してもよい。ラジカル重合開始剤は、光及び/又は熱により直接又は間接的にラジカルを発生し、ラジカル重合を生じさせるものである。
【0053】
このような(f)ラジカル重合開始剤として、光によりラジカルを発生させるものとしては、ベンゾフェノン類、グリシン類、メルカプト類、オキシム類、ベンジルジメチルケタール類、α-ヒドロキシアルキルフェノン類、α-アミノアルキルフェノン類、アシルフォスフィンオキサイド類及び2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾールから選択される化合物の組み合わせが好適である。
【0054】
このような(f)ラジカル重合開始剤として、熱によりラジカルを発生させるものとしては、例えば、有機過酸化物やアゾ化合物等を上げることができる。具体的には、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケータル、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーおきしエステル、パーオキシジカーボネート、アゾ化合物等である。中でも有機過酸化物であることが好ましい。有機過酸化物の場合、カチオン重合反応を阻害する可能性が低いため好ましい。
【0055】
なお、本発明においては、感光性樹脂組成物が(e)ラジカル重合性化合物および(f)ラジカル重合開始剤を含有することがより好ましい。
【0056】
<その他の含有物>
本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、重合禁止剤、増感剤、界面活性剤、シランカップリング剤、チタンキレート剤、フィラー、有機溶剤、イオン捕捉剤、難燃剤、着色剤、溶解調整剤、安定剤、消泡剤などの添加剤をさらに含有してもよい。
【0057】
本発明の感光性樹脂組成物は、更に重合禁止剤を含有することにより、励起子の濃度が調節されるため、過度な光応答性を抑制し、露光マージンを広くすることができる。重合禁止剤としては、塩基性化合物、芳香族ポリオール系化合物、キノン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物等を用いることができる。
【0058】
塩基性化合物としては、プロトンのアクセプターとなり得る化合物、すなわち非共有電子対を持つ化合物が用いられる。具体的には窒素、硫黄、リン等の原子を含む化合物が挙げられるが、中でも含窒素化合物が好ましい。
【0059】
含窒素化合物として、特に好ましくはアミン化合物が挙げられる。具体的には、トリフェニルアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N,N-ジエチル-3-アミノフェノール、N-エチルジエタノールアミン、2-ジエチルアミノエタノール等の3級アミン類、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-メチルベンジルアミン等の2級アミン類、ピリミジン、2-アミノピリミジン、4-アミノピリミジン、5-アミノピリミジン等のピリミジン化合物類及びその誘導体、ピリジン、メチルピリジン、2、6-ジメチルピリジン等のピリジン化合物類及びその誘導体、2-アミノフェノール、3 -アミノフェノール等のアミノフェノール類及びその誘導体等が挙げられる。
【0060】
さらに、これらの塩基性物質は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0061】
本発明の感光性樹脂組成物は、紫外線を吸収し、吸収した光エネルギーを光カチオン重合開始剤に供与するために増感剤を使用してもよい。増感剤としては、例えば9位と10位にアルコキシ基を有するアントラセン化合物(9,10-ジアルコキシ-アントラセン誘導体)が好ましい。アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のC1~C4のアルコキシ基が挙げられる。9,10-ジアルコキシ-アントラセン誘導体は、さらに置換基を有していてもよい。置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、プロピル基等のC1~C4のアルキル基やスルホン酸アルキルエステル基、カルボン酸アルキルエステル基等が挙げられる。スルホン酸アルキルエステル基やカルボン酸アルキルエステルにおけるアルキルとしては、例えばメチル、エチル、プロピル等のC1~C4のアルキルが挙げられる。これらの置換基の置換位置は2位が好ましい。
【0062】
本発明の感光性樹脂組成物は、界面活性剤、シランカップリング剤、チタンキレート剤などを含有することにより、基板との密着性を向上させることができる。
【0063】
シランカップリング剤の具体例としては、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1、3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられるが特に限定されるものではない。本発明の感光性樹脂組成物は、上記のシランカップリング剤を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0064】
本発明の感光性樹脂組成物は、フィラーを用いることは何ら制限されない。フィラーとしては、例えば、結晶シリカ粉末、溶融シリカ粉末、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化珪素、水酸化マグネシウム、カルシウム・アルミネート水和物、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酸化チタン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化クロム、タルク、アルミニウム、金、銀、ニッケル、鉄、クレー及びマイカなどが挙げられる。中でも分散性の観点から、水酸化アルミニウム、アルミナ及びシリカが好ましい。これらの中でもリフロー耐熱性の観点から、TGA(加熱重量減少測定)による5%重量減少温度(熱分解温度)が350℃以上であるシリカ、好ましくは球状シリカ粉末、さらに好ましくは溶融球状シリカが好ましく用いられる。
【0065】
また、本発明の感光性樹脂組成物に用いられる樹脂組成物中の有機成分とフィラーとのぬれ性を向上させるために、フィラーをシランカップリング剤で表面処理してもよい。シランカップリング剤の具体例としては、上記シランカップリング剤が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0066】
本発明における有機溶剤としては、感光性樹脂組成物を溶解するものが好ましい。このような有機溶剤としては、例えば、エーテル類、アセテート類、ケトン類、芳香族炭化水素類、N-メチル-2-ピロリドン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトンなどが挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0067】
エーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテルなどが挙げられる。アセテート類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどが挙げられる。ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、2-ヘプタノンなどが挙げられる。芳香族炭化水素類としては、例えば、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-2-ブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
【0068】
本発明の感光性樹脂組成物は、さらに各種添加剤を含有してもよい。例えば、三酸化アンチモンや五酸化アンチモン、ハイドロタルサイト系の化合物などのイオン捕捉剤、ハロゲン化合物、リン化合物などの難燃剤、熱発色性染料、無機顔料、有機顔料などの着色剤、オレフィン系共重合体、変性ニトリルゴム、変性ブタジエンゴム、変性ポリブタジエンゴムなどの各種エラストマーが挙げられる。
【0069】
<感光性樹脂組成物の作製方法>
本発明の感光性樹脂組成物は、例えば、(a)アクリル樹脂、(b)カチオン重合性化合物、(c)熱カチオン重合開始剤、(d)光カチオン重合開始剤、及び必要に応じてその他の添加剤を混合し、溶解させることにより得ることができる。また、本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、これらを有機溶剤に溶解させ、固形分濃度が10~70質量%程度である溶液にすることができる。
【0070】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、濾紙やフィルタを用いて濾過してもよい。この感光性樹脂組成物の濾過方法は、特に限定されないが、保留粒子径0.4μm~10μmのフィルタを用いて加圧濾過により濾過する方法が好ましい。
【0071】
<感光性樹脂組成物の形態>
本発明の感光性樹脂組成物の形態は、特に限定されず、フィルム状、棒状、球状、ペレット状、ワニス状など、用途に合わせて選択することができる。ここでいう「フィルム」には、膜、シート、板なども含まれる。本発明の感光性フィルムは、本発明の感光性樹脂組成物からなる。そのため本発明の感光性フィルムは、支持体上に感光性樹脂組成物が形成されたフィルム状のものであってもよいし、支持体のない態様でフィルム状とした感光性樹脂組成物であってもよい。ワニス状で用いる場合は、前記(a)~(d)及び必要に応じ加えられる添加剤を溶剤に溶解させたものを用いることができる。本発明においては、感光性樹脂組成物の形態として、フィルム状の形態が好ましい。すなわち、本発明の感光性樹脂組成物をフィルム状に形成した感光性フィルムが好ましい。本発明の感光性フィルムは、例えば、本発明の感光性樹脂組成物を支持体上に塗布し、次いで、これを必要に応じて乾燥することにより得ることができる。
【0072】
支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどのポリエステルフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリイミドフィルムなどが挙げられる。支持体と感光性フィルムとの接合面には、これらの密着性及び剥離性を向上させるために、シリコーン、シランカップリング剤、アルミキレート剤、ポリ尿素などによる表面処理を施してもよい。また、支持体の厚みは、特に限定されないが、作業性の観点から、10~100μmであることが好ましい。
【0073】
本発明の感光性フィルムは、感光性フィルムを保護するための保護フィルムを有してもよい。その場合、この保護フィルムにより、大気中のゴミやチリなどの汚染物質から感光性フィルムの表面を保護することができる。
【0074】
本発明における保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどのポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルムなどが挙げられる。この保護フィルムは、感光性フィルムと保護フィルムとが容易に剥離しない程度の剥離力を有することが好ましい。
【0075】
本発明の感光性フィルムを作製すべく感光性樹脂組成物を支持体に塗布する方法としては、例えば、スピンナーを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティング、スクリーン印刷、ブレードコーター、ダイコーター、カレンダーコーター、メニスカスコーター、バーコーター、ロールコーター、コンマロールコーター、グラビアコーター、スクリーンコーター、スリットダイコーターなどの方法が挙げられる。また、感光性樹脂組成物の塗布膜厚は、塗布手法、塗布する感光性樹脂組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが、感光性樹脂組成物の乾燥後の膜厚が0.5μm以上100μm以下となるように調整されることが好ましい。
【0076】
塗布した感光性樹脂組成物を乾燥するための乾燥装置としては、例えば、オーブン、ホットプレート、赤外線などが挙げられる。乾燥温度及び乾燥時間は、溶剤を揮発させることが可能な範囲であればよく、感光性フィルムが未硬化又は半硬化状態となるような範囲を適宜設定することが好ましい。具体的には、乾燥温度は40℃~150℃の範囲内であることが好ましく、乾燥時間は1分間~数十分間の範囲内であることが好ましい。また、乾燥温度は、この範囲内の温度を組み合わせて段階的に昇温してもよい。例えば、感光性樹脂組成物を乾燥する際、50℃、60℃、70℃で各1分間ずつ感光性樹脂組成物を加熱してもよい。
【0077】
<感光性樹脂組成物の硬化物>
本発明の硬化物は、本発明の感光性樹脂組成物、又は、本発明の感光性フィルムを硬化した硬化物である。そのため本発明の硬化物は、本発明の感光性樹脂組成物を露光、及び/又は、加熱して硬化物とすることで、得ることができる。感光性樹脂組成物の加熱硬化において、加熱硬化温度は、100℃~400℃の範囲内であることが好ましい。感光性樹脂組成物の硬化物の形態は、特に限定されず、フィルム状、棒状、球状、ペレット状など、用途に合わせて選択することができる。本発明において、この硬化物は、フィルム状であることが好ましい。また、感光性樹脂組成物のパターン形成によって、導通のためのビアホール形成、インピーダンスや静電容量あるいは内部応力の調整、放熱機能付与など、用途にあわせて、この硬化物の形状を選択することもできる。この硬化物(硬化物からなる膜)の膜厚は、0.5μm以上150μm以下であることが好ましい。
【0078】
<電子部品>
本発明の感光性樹脂組成物又は感光性フィルムの硬化物は多種の電子部品、装置への適用が可能である。用途は特に限定されないが、例えば、CCDやCMOSに代表されるイメージセンサーや、半導体微細加工技術を利用して機械的要素と電子回路要素を集積したMEMS技術を適用したジャイロセンサー、加速度センサー、圧力センサー、デジタルミラーデバイス(DMD)、マイクロフォン、光スイッチ、車載用レーダー、LED、また、水晶振動子やSAWフィルタに代表される水晶デバイスなどの微細電子部品、装置への適用が可能である。
【実施例0079】
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明が下記の各実施例に限定されるものではない。
【0080】
<実施例1~28、比較例1~4>
<感光性樹脂組成物用塗料溶液の作製>
下記アクリル樹脂、カチオン重合性化合物、熱カチオン重合開始剤、光カチオン重合開始剤、及びその他添加剤をそれぞれ表1に示した組成になる様に配合し、固形分濃度30質量%となる様にDMF/MIBK混合溶媒に40℃で攪拌、溶解して感光性樹脂組成物用塗料溶液を作製した。
【0081】
<アクリル樹脂>
アクリル樹脂1~9:(a1)アクリル樹脂及び(a2)アクリル樹脂をそれぞれ次の通り合成した。混合機及び冷却器を備えた反応器に窒素雰囲気下(又は、窒素気流下)で水、分散剤、連鎖移動剤と重合開始剤を溶解させたモノマーなどを添加し、60℃まで昇温して重合を行った。
【0082】
(a1)アクリル樹脂のモノマーは、エポキシ基、シアノ基、水酸基、アミノ基、ヒドロキシアルキル基、及びカルボキシ基からなる群より選ばれた少なくとも2種の官能基を有するモノマーとして、エポキシ基を有するメタクリル酸グリシジル及びシアノ基を有するアクリロニトリルを選択し、さらに、炭素数1~5の側鎖を有するアクリル酸エステルとして、アクリル酸エチル又はアクリル酸ブチルを選択した。
【0083】
(a2)アクリル樹脂のモノマーは、炭素数1~5の側鎖を有するメタクリル酸エステルとして、メタクリル酸メチル及び/又はメタクリル酸エチルを選択した。
【0084】
得られた(a1)アクリル樹脂及び(a2)アクリル樹脂の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法(GPC装置:東ソー(株)製、GELPERMEATION CHROMATOGRAPH、カラム:東ソー(株)製、TSK-GEL GMHXL 7.8*300mm*3本)により測定し、ポリスチレン換算で算出した。
【0085】
また得られた(a1)アクリル樹脂及び(a2)アクリル樹脂のガラス転移温度を、示差走査熱量測定(DSC)により決定した。リガク DSCvestaを用いて、昇温速度10℃/分で室温から60℃まで昇温後-60℃まで冷却し、再び40℃まで昇温して測定し、2回目昇温時のDSCカーブからガラス転移温度を読み取った。
【0086】
アクリル樹脂1:重量平均分子量80万、ガラス転移温度-4℃、アクリル酸ブチル:アクリロニトリル:メタクリル酸グリシジル=57:33:1(モル比)
アクリル樹脂2:重量平均分子量140万、ガラス転移温度-32℃、アクリル酸ブチル:アクリル酸エチル:メタクリル酸グリシジル=60:30:1(モル比)
アクリル樹脂3:重量平均分子量60万、ガラス転移温度22℃、アクリル酸ブチル:アクリロニトリル:メタクリル酸グリシジル=45:45:1(モル比)
アクリル樹脂4:重量平均分子量40万、ガラス転移温度-4℃、アクリル酸ブチル:アクリロニトリル:メタクリル酸グリシジル=57:33:1(モル比)
アクリル樹脂5:重量平均分子量200万、ガラス転移温度-32℃、アクリル酸ブチル:アクリル酸エチル:メタクリル酸グリシジル=60:30:1(モル比)
アクリル樹脂6:重量平均分子量3.5万、ガラス転移温度104℃、メタクリル酸メチル:メタクリル酸エチル=80:10(モル比)
アクリル樹脂7:重量平均分子量8万、ガラス転移温度65℃、メタクリル酸メチル:メタクリル酸エチル=5:85(モル比)
アクリル樹脂8:重量平均分子量20万、ガラス転移温度84℃、メタクリル酸メチル:メタクリル酸エチル=50:40(モル比)
アクリル樹脂9:重量平均分子量20万、ガラス転移温度45℃、アクリル酸ブチル:アクリロニトリル:メタクリル酸グリシジル=31:59:1(モル比)。
【0087】
<カチオン重合性化合物>
エポキシ樹脂1:EOCN-102S(エポキシ当量217、クレゾールノボラック型エポキシ、日本化薬(株)製)
エポキシ樹脂2:HP-7200(エポキシ当量260、シクロペンタジエン型エポキシ、DIC(株)製)
エポキシ樹脂3:YL980(エポキシ当量165、ビスフェノールA型エポキシ、三菱ケミカル(株)製)
エポキシ樹脂4:N-865(エポキシ当量200、変性ノボラック型エポキシ、DIC(株)製)。
【0088】
<熱カチオン重合開始剤>
熱カチオン重合開始剤1:サンエイドSI-B3(三新化学工業(株)製)。
【0089】
<光カチオン重合開始剤>
光カチオン重合開始剤1:CPI-310FG(サンアプロ(株)製)。
【0090】
<ラジカル重合性化合物>
アクリルモノマー1:BP-6EM(分子量726、2官能性アクリルモノマー、共栄社化学(株)製)。
【0091】
<ラジカル重合開始剤>
ラジカル重合開始剤1:パーブチルO(有機過酸化物、日油(株)製)。
【0092】
<シランカップリング剤>
シランカップリング剤1:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-403、信越化学工業(株)製)。
【0093】
<フィラー>
フィラー1:球状シリカ(SO-C5、平均粒径1.6μm、アドマテックス(株)製)。
【0094】
(1)支持体への塗工・乾燥
この感光性樹脂組成物塗料用溶液をバーコーターで、支持体(厚さ38μmのPETフィルム)上に塗布し、100℃で5分間乾燥を行った後、保護フィルムとして、厚さ38μmのPETフィルムをラミネートした。この結果、感光性樹脂組成物の厚みが20μmの感光性フィルムを得た。
【0095】
(2)引張破断伸度評価
感光性フィルムをチャック間サンプル長40mm、幅5mmの条件で引張試験器(UCT100型、オリエンテック(株)製)にて、100℃の条件下で50mm/minの速度で引張り試験を行ない、破断に至るまでの応力ひずみ曲線を記録し、引張破断伸度を求めた。
【0096】
(3)被覆性評価
複数の電子部品が実装された基板の表面を感光性フィルムで被覆する際の被覆性につき、以下の手順で評価した。
【0097】
複数の電子部品が実装された基板として、アルミナ基板上に幅0.9mm×長さ1.1mm×高さ0.3mmの評価用Siチップを高さ0.04mmの半田バンプを介してフリップチップ実装した基板を用いた。Siチップは1cm×1cmのアルミナ基板上の中心部分に5行×6列実装し、実装されたSiチップの各行の間隔は0.5mmとし、1列目と2列目、3列目と4列目、5列目と6列目の間隔を0.5mm、2列目と3列目、4列目と5列目の間隔を0.05mmとした。
【0098】
上記の複数のSiチップが実装された基板上に、片面に支持体の付いた状態の厚みが20μmの感光性フィルムを保護フィルムの無い面を基板と相対するように置いた。
【0099】
ステージ温度70℃、ロール温度70℃、真空度150Pa、貼付速度5mm/秒、貼付圧力0.1MPaの条件で感光性フィルムをSiチップ上に仮貼りした。
【0100】
次いで、支持体を剥がし、アスカー硬度10のシリコーンゴム上に上記基板を感光性フィルムが置かれた面が下になる様に置き、真空ラミネーター(ニッコーマテリアルズ(株)製、CVP-300T)を用いて、温度40~100℃、真空加圧0.1~1.0MPa、真空引き時間30~100秒、加圧時間30~300秒の範囲で適宜調整し、真空ラミネートを行い、アルミナ基板上にSiチップ実装により形成された凹凸に、20μmの感光性樹脂組成物からなる層(以下、感光性樹脂組成物からなる層を、感光性樹脂組成物層、という)を被覆させた。
【0101】
次に、感光性樹脂組成物層で被覆された基板をエアオーブン中で150℃、2時間加熱硬化処理を行った。
【0102】
感光性樹脂組成物層よる被覆後の外観につき以下の基準で判定を行った。
【0103】
(a)1列目と2列目、3列目と4列目、5列目と6列目、および各行間の感光性樹脂組成物層の外観
感光性樹脂組成物層がアルミナ基板上にSiチップ実装により形成された凹凸に追従しているかを顕微鏡観察により判定した。感光性樹脂組成物層が破れず、かつ凹部まで十分に追従しているものを◎と判定し、感光性樹脂組成物層が破れているものは×と判定し、感光性樹脂組成物層が破れてはおらず、かつ凹部まで十分に追従していない箇所があるものは○とした。
【0104】
(b)2列目と3列目、および4列目と5列目の感光性樹脂組成物層の外観
(a)の外観評価と同様に顕微鏡観察により判定した。感光性樹脂組成物層が破れておらず、かつ被覆厚みが3μm以上のものを◎と判定し、感光性樹脂組成物層が破れているものは×と判定し、感光性樹脂組成物層が破れておらず、かつ被覆厚みが3μm以下のものを〇と判定した。
【0105】
(4)現像性評価
感光性フィルムの保護フィルムを剥離し、ラミネート装置(タカトリ(株)製、VTM-200M)を用いて、ステージ温度80℃、ロール温度80℃、真空度150Pa、貼付速度5mm/秒、貼付圧力0.3MPaの条件で、感光性フィルムの剥離面を、シリコンウエハ上にラミネートした。露光装置(清和光学製作所(株)製、SME-150GA-TRJ)に、L(Line)/S(Space)=1000/1000、500/500、200/200、100/100、75/75、50/50、45/45、40/40、35/35、30/30、25/25、20/20μmのパターンを有するフォトマスクをセットし、支持体を剥離後、フォトマスクと感光性樹脂組成物層の間隔が50μm離れた状態で、1000mJ/cm2(i線換算)の露光量で露光を行った。露光後、感光性樹脂組成物層を100℃のホットプレートで5分間加熱した。次に、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いてパドル現像を行い、これにより、感光性樹脂組成物層の未露光部を除去した。このパドル現像の実行時間は、180秒間とした。続いて、イソプロピルアルコール(IPA)によりリンス処理を60秒間行い、その後、スピン乾燥を行った。さらに、エアオーブン中で150℃、2時間、加熱硬化処理を行い、パターンを形成した基板を得た。
【0106】
上記のパターン形成方法で得られた各パターン基板を、光学顕微鏡(ニコン製(株)、ECLIPSE L300)を用いて倍率100倍で観察し、形成したL/Sに詰まり等の異常のない場合の最小サイズのL/Sを評価し、L/S=75/75μm以下であるものを◎と判定し、L/S=500/500μm以上のものを×と判定し、L/S=200/200μm以下であるものを〇と判定した。
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
本発明の感光性樹脂組成物を用いることにより、基板に配置された複数の素子の一括被覆、及び被覆後にフォトリソグラフィーで感光性樹脂組成物の未露光部を除去することが可能である。これにより加工工程での歩留まりを向上させ、信頼性に優れた電子部品を得ることができる。