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特開2024-138807ポジ型感光性樹脂組成物、感光性フィルム、硬化物、及びこれらを用いた積層部材、電子部品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138807
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】ポジ型感光性樹脂組成物、感光性フィルム、硬化物、及びこれらを用いた積層部材、電子部品
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/039 20060101AFI20241002BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
G03F7/039 601
G03F7/004 512
G03F7/004 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049503
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】村上 雄太
(72)【発明者】
【氏名】濱野 翼
【テーマコード(参考)】
2H225
【Fターム(参考)】
2H225AE13P
2H225AE14P
2H225AF23P
2H225AF78P
2H225AH12
2H225AJ13
2H225AJ53
2H225AN33P
2H225AN86P
2H225BA05P
2H225BA22P
2H225CA12
2H225CB05
2H225CC03
2H225CC15
(57)【要約】
【課題】
パターン形成性、低応力性に優れたポジ型感光性樹脂組成物、これを用いた感光性フィルム及び硬化物、パターン付部材及び電子部品の製造方法を提供すること。
【解決手段】
(a)アクリル樹脂、(b)光カチオン開始剤、及び(c)硬化促進剤を含む、ポジ型感光性樹脂組成物であって、前記(a)アクリル樹脂は、ガラス転移温度が-40℃以上0℃以下であり、エポキシ基を含み、更にカルボキシル基の少なくとも一部が酸分解性基で保護された官能基を含む、ポジ型感光性樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)アクリル樹脂、(b)光カチオン開始剤、及び(c)硬化促進剤を含む、ポジ型感光性樹脂組成物であって、
前記(a)アクリル樹脂は、ガラス転移温度が-40℃以上0℃以下であり、エポキシ基を含み、更にカルボキシル基の少なくとも一部が酸分解性基で保護された官能基を含む、ポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(a)アクリル樹脂は、更に、炭素数1~10の側鎖を有するアクリル酸エステルを構成モノマーとして含む重合体である、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(a)アクリル樹脂は、構成モノマーとして前記アクリル酸エステルを75質量%以上含む、請求項2に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(a)アクリル樹脂は、重量平均分子量が5000以上10万以下である、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(c)硬化促進剤が、イミダゾール系硬化促進剤であることを特徴とする、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記(c)硬化促進剤を、前記(a)アクリル樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上0.5質量部以下含む、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項7】
(d)架橋性化合物を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項8】
溶剤を除く全ての成分の合計100質量%中に、前記(d)架橋性化合物を0.5質量%以上5質量%以下含む、請求項7に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物を備えるポジ型感光性フィルム。
【請求項10】
請求項1~8のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物、又は、請求項9に記載のポジ型感光性フィルムを硬化した硬化物。
【請求項11】
第一の部材、請求項10に記載の硬化物、及び第二の部材を有する積層部材。
【請求項12】
前記積層部材が電子部品であることを特徴とする、請求項11に記載の積層部材。
【請求項13】
前記第一の部材及び前記第二の部材のいずれか一方が孔を有する、請求項11に記載の積層部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジ型感光性樹脂組成物、感光性フィルム、硬化物、及びこれらを用いた積層部材、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
センサー、半導体、LED、MEMSなどのエレクトロニクスデバイス製造の際の、ICチップ、加速度センサー、圧力センサー、イメージセンサー等のセンサーチップ、LEDチップ等のチップボンディング工程では、微小かつ薄いチップを高精度で基板などに固定する必要があり、これらの接合には従来から接着剤が使用されている(例えば、特許文献1)。これらの接着剤には、低応力性、低温接着性、耐湿信頼性、耐はんだリフロー性に加えて、半導体パッケージの機能、形態及び組立てプロセスの簡略化の手法によっては、パターン形成可能な感光性の機能を兼ね備えることが求められる場合がある。このようなパターン形成可能な感光性の機能を有する材料としては、これまで、フォトレジストの他、ポリイミド樹脂前駆体(ポリアミド酸)又はポリイミド樹脂をベースとした材料が使用されていた(例えば、特許文献2~4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-256227号公報
【特許文献2】特開2000-290501号公報
【特許文献3】特開2001-329233号公報
【特許文献4】特開平11-24257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ポリイミド樹脂前駆体(ポリアミド酸)及びポリイミド樹脂の場合は、耐熱性の点では優れているが、前者のポリアミド酸を用いた場合は熱閉環イミド化時に、後者のポリイミド樹脂を用いた場合は加工時に、それぞれ300℃以上の高温を要するため、周辺材料への熱的ダメージが大きく、また、熱応力が発生しやすいなどの問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、パターン形成性、低応力性に優れたポジ型感光性樹脂組成物、これを用いた感光性フィルム及び硬化物、パターン付部材及び電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)(a)アクリル樹脂、(b)光カチオン開始剤、及び(c)硬化促進剤を含む、ポジ型感光性樹脂組成物であって、
前記(a)アクリル樹脂は、ガラス転移温度が-40℃以上0℃以下であり、エポキシ基を含み、更にカルボキシル基の少なくとも一部が酸分解性基で保護された官能基を含む、ポジ型感光性樹脂組成物。
(2)前記(a)アクリル樹脂は、更に、炭素数1~10の側鎖を有するアクリル酸エステルを構成モノマーとして含む重合体である、前記(1)に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
(3)前記(a)アクリル樹脂は、構成モノマーとして前記アクリル酸エステルを75質量%以上含む、前記(1)又は(2)に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
(4)前記(a)アクリル樹脂は、重量平均分子量が5000以上10万以下である、前記(1)~(3)のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
(5)前記(c)硬化促進剤が、イミダゾール系硬化促進剤であることを特徴とする、前記(1)~(4)のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
(6)前記(c)硬化促進剤を、前記(a)アクリル樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上0.5質量部以下含む、前記(1)~(5)のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
(7)(d)架橋性化合物を更に含むことを特徴とする、前記(1)~(6)のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
(8)溶剤を除く全ての成分の合計100質量%中に、前記(d)架橋性化合物を0.5質量%以上5質量%以下含む、前記(7)に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
(9)前記(1)~(8)のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を備えるポジ型感光性フィルム。
(10)(1)~(8)のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物、又は、(9)に記載のポジ型感光性フィルムを硬化した硬化物。
(11)第一の部材、前記(10)に記載の硬化物、及び第二の部材を有する積層部材。
(12)前記積層部材が電子部品であることを特徴とする、前記(11)に記載の積層部材。
(13)前記第一の部材及び前記第二の部材のいずれか一方が孔を有する、前記(11)に記載の積層部材。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、現像時に基板との優れた密着性を有し、優れた保存安定性を有するパターンを形成することができるポジ型感光性樹脂組成物を得ることができる。本発明のポジ型感光性樹脂組成物から得られるパターンは、基板同士を反りなく低温で貼合することを可能とし、MEMSなど中空構造を維持したまま基板同士を貼合する用途に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のポジ型感光性樹脂組成物、感光性フィルム、硬化物、及びこれらを用いた積層部材、電子部品について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、目的や用途に応じて種々に変更して実施することができる。
【0009】
本発明は、(a)アクリル樹脂、(b)光カチオン開始剤、及び(c)硬化促進剤を含む、ポジ型感光性樹脂組成物であって、
前記(a)アクリル樹脂は、ガラス転移温度が-40℃以上0℃以下であり、エポキシ基を含み、更にカルボキシル基の少なくとも一部が酸分解性基で保護された官能基を含む、ポジ型感光性樹脂組成物である。
【0010】
<ポジ型感光性樹脂組成物>
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(a)アクリル樹脂、(b)光カチオン開始剤、及び(c)硬化促進剤を含有する。
【0011】
(a)アクリル樹脂は、ガラス転移温度が-40℃以上0℃以下で、エポキシ基を含み、更にカルボキシル基の少なくとも一部が酸分解性基で保護された官能基を含む。
【0012】
(b)光カチオン開始剤は、光照射により直接的または間接的に酸を発生する化合物である。
【0013】
(c)硬化促進剤は、エポキシ基の硬化反応を促進させる化合物である。
【0014】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(a)アクリル樹脂を含有することにより、ポジ型感光性樹脂組成物を加熱して得られる硬化物の室温での貯蔵弾性率を低減することができる。そのため、硬化物と第一の部材、及び/または硬化物と第二の部材との線膨張係数の差と硬化物の貯蔵弾性率により生じるストレスが低減され、第一の部材、硬化物、及び第二の部材を有する積層部材の反りを抑制することができる。
【0015】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(a)アクリル樹脂、(b)光カチオン開始剤を含有することにより、露光前にはアルカリ現像液に不溶であるが、露光により(b)光カチオン開始剤から発生した酸により(a)アクリル樹脂の酸分解性基が分解(脱保護)することで、カルボキシル基が生じ、露光部がアルカリ現像液に可溶となるポジ型のパターンを形成することが可能となる。
【0016】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(a)アクリル樹脂、(b)光カチオン開始剤、(c)硬化促進剤を含有することにより、フォトリソグラフィーで形成した本発明のポジ型感光性樹脂組成物のパターンを、加熱して硬化物とする際に、パターンの過度な流動を抑制することができる。
【0017】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物の厚みは、薄すぎると硬化物と第一の部材、及び/または硬化物と第二の部材との線膨張係数の差と硬化物の貯蔵弾性率により生じるストレスを低減する寄与が小さくなるため、10μm以上が好ましく、厚すぎると塗工性が低下することから200μm以下が好ましい。更にフォトリソグラフィーによる加工時の現像性の観点から、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。
【0018】
<アクリル樹脂>
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、ガラス転移温度が-40℃以上0℃以下であり、エポキシ基を含み、更にカルボキシル基の少なくとも一部が酸分解性基で保護された官能基を含む(a)アクリル樹脂を含有する。
【0019】
(a)アクリル樹脂のガラス転移温度が-40℃以上0℃以下であることにより、本発明のポジ型感光性樹脂組成物を加熱することで得られる硬化物の室温での貯蔵弾性率を低減させることができ、硬化物と第一の部材、及び/または硬化物と第二の部材との線膨張係数の差と硬化物の貯蔵弾性率により生じるストレスが低減され、第一の部材、硬化物、及び第二の部材を有する積層部材の反りを抑制することができる。(a)アクリル樹脂のガラス転移温度は、より好ましくは-5℃以上-35℃以下である。
【0020】
(a)アクリル樹脂のガラス転移温度が-40℃未満の場合、本発明のポジ型感光性樹脂組成物の自己支持性が小さくなり、フォトリソグラフィーで形成した本発明のポジ型感光性樹脂組成物のパターンを、加熱して硬化物とする際に、パターンの過度な流動が生じる虞があるため好ましくない。また、(a)アクリル樹脂のガラス転移温度が0℃を超える場合、本発明のポジ型感光性樹脂組成物を加熱して得られる硬化物の室温での貯蔵弾性率が増大し、積層部材の反りが発生する虞があり好ましくない。
【0021】
(a)アクリル樹脂は、エポキシ基を含有することにより、フォトリソグラフィーで形成した本発明のポジ型感光性樹脂組成物のパターンを、加熱して硬化物とする際に、アクリル樹脂中のエポキシ基が架橋構造を取り高分子量化するため、パターンの過度な流動を抑制することができる。
【0022】
(a)アクリル樹脂は、カルボキシル基の少なくとも一部が酸分解性基で保護された官能基を含むことにより、露光前にはアルカリ現像液に不溶であるが、露光により(b)光カチオン開始剤から発生した酸により酸分解性基が分解(脱保護)することで、カルボキシル基が生じ、露光部がアルカリ現像液に可溶となるポジ型のパターンを形成することが可能となる。
【0023】
酸分解性基としては、例えば、tert-ブトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、テトラヒドロピラニル基、エトキシエチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、トリメチルシリル基、tert-ブトキシカルボニルメチル基、エチルビニルエーテル基、メチルビニルエーテル基、トリメチルシリルエーテル基等が挙げられる。
【0024】
(a)アクリル樹脂は、エポキシ基を有し、かつカルボキシル基の少なくとも一部が酸分解性基で保護された官能基を有し、更に炭素数1~10の側鎖を有するアクリル酸エステルを構成モノマーとして含む重合体であることが、ガラス転移温度の低温化の観点から好ましい。(a)アクリル樹脂は、炭素数1~8の側鎖を有するアクリル酸エステルを構成モノマーとして含む重合体であることがより好ましい。
【0025】
炭素数1~10の側鎖を有するアクリル酸エステルの例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸-2-エチルヘキシルのようなアクリル酸アルキルエステル、また、アクリル酸シクロペンチルのようなアクリル酸の脂環属アルコールとのエステル、酢酸ビニル、エチルα-アセトキシアクリレート等が挙げられる。中でも、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシルが特に好ましい。また、このようなアクリル酸エステルは、単独であるいは組み合わせて使用することができる。
【0026】
(a)アクリル樹脂は、構成モノマーとして前記アクリル酸エステルを75質量%以上含むことが好ましい。これにより、フォトリソグラフィーによるパターン形成性、及び形成したパターンの過度な流動を抑制し、かつ室温での貯蔵弾性率を低下させることができる。(a)アクリル樹脂は、構成モノマーとして前記アクリル酸エステルを85質量%以上含むことが特に好ましい。
【0027】
(a)アクリル樹脂は、重量平均分子量が5000以上10万以下であることが好ましい。これにより、露光部のアルカリ現像液に対する溶解性を向上させることができる。
【0028】
<光カチオン開始剤>
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(b)光カチオン開始剤を含有する。このような光カチオン開始剤は、公知の化合物を、特に限定なく使用することができる。具体的には、例えば芳香族ヨードニウム錯塩と芳香族スルホニウム錯塩等を挙げることができる。芳香族ヨードニウム錯塩の具体例としては、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4-ノニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。これらの(b)光カチオン開始剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
(b)光カチオン開始剤の含有量は、感度及び解像度を向上する観点から、(a)アクリル樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下とすることが好ましく、0.01質量部以上10質量部以下とすることがより好ましく0.1質量部以上5質量部以下とすることが更に好ましい。
【0030】
<硬化促進剤>
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(c)硬化促進剤を含有する。本発明における硬化促進剤とは、エポキシ基の硬化反応を促進するものであり、例えば、フェノール樹脂系硬化促進剤、酸無水物系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、及びホスフィン系硬化促進剤が挙げられる。中でもイミダゾール系硬化促進剤が硬化反応の促進効果と安定性が両立できる点で好ましい。
【0031】
イミダゾール系硬化促進剤は、これらに限定されないが、例えば、1H-イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン、及び、エポキシ樹脂とイミダゾール類の付加体が挙げられる。
【0032】
(c)硬化促進剤の含有量は、フォトリソグラフィーで形成した本発明のポジ型感光性樹脂組成物のパターンを、加熱して硬化物とする際に、パターンの過度な流動を抑制する観点から、(a)アクリル樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上0.5質量部以下とすることが好ましく、フォトリソグラフィーによる現像性の観点から、0.1質量部以上0.3質量部以下とすることがより好ましい。
【0033】
<架橋性化合物>
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(d)架橋性化合物を更に含有してもよい。これにより、フォトリソグラフィーで形成した本発明のポジ型感光性樹脂組成物のパターンを、加熱して硬化物とする際に、架橋性化合物が架橋構造を取り高分子量化するため、パターンの過度な流動を抑制することができる。
【0034】
(d)架橋性化合物の含有量は、溶剤を除く全ての成分の合計100質量%中に、(d)架橋性化合物を0.5質量%以上5質量%以下含有することが好ましい。これにより、フォトリソグラフィーで形成した本発明のポジ型感光性樹脂組成物のパターンを、加熱して硬化物とする際に、架橋性化合物が架橋構造を取り高分子量化するため、パターンの過度な流動を抑制することができ、かつフォトリソグラフィーでパターンを形成する際に、露光部で架橋性化合物が架橋構造を取り高分子量化することによる、アルカリ現像液への不溶化の寄与を軽減することができる。
【0035】
(d)架橋性化合物としては、特に限定されないがエポキシ基を有する化合物が好ましい。エポキシ基を有する化合物は、1分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであれば特に限定されないが、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、レゾルシノール、ジヒドロキシナフタレン、ジシクロペンタジエンジフェノール等のジグリシジルエーテル、エポキシ化フェノールノボラック(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、エポキシ化クレゾールノボラック(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、エポキシ化トリスフェニロールメタン、エポキシ化テトラフェニロールエタン、エポキシ化メタキシレンジアミン及びシクロヘキサンジエポキサイド等の脂環式エポキシ等が挙げられる。さらに難燃性付与のために、ハロゲン化エポキシ樹脂、特に臭素化エポキシ樹脂を用いてもよい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
エポキシ基を有する化合物として、具体的には、“エピクロン”(登録商標)850-S、“エピクロン”HP-4032、“エピクロン”HP-7200、“エピクロン”HP-820、“エピクロン”HP-4700、“エピクロン”EXA-4710、“エピクロン”HP-4770、“エピクロン”EXA-859CRP、“エピクロン”EXA-1514、“エピクロン”EXA-4880、“エピクロン”EXA-4850-150、“エピクロン”EXA-4850-1000、“エピクロン”EXA-4816、“エピクロン”EXA-4822(以上、商品名、大日本インキ化学工業社製)、“リカレジン”(登録商標)BEO-60E、“リカレジン”BPO-20E、“リカレジン”HBE-100、“リカレジン”DME-100(以上、商品名、新日本理化社製)、EP-4003S、EP-4000S(以上、商品名、ADEKA社製)、PG-100、CG-500、EG-200(以上、商品名、大阪ガスケミカル社製)、NC-3000、NC-6000(以上、商品名、日本化薬社製)、“EPOX”(登録商標)-MKR508、“EPOX”-MKR540、“EPOX”-MKR710、“EPOX”-MKR1710、VG3101L、VG3101M80(以上、商品名、プリンテック社製)、“セロキサイド”(登録商標)2021P、“セロキサイド”2081、“セロキサイド”2083、“セロキサイド”2085(以上、商品名、ダイセル化学工業社製)などが挙げられる。
【0037】
なお、本発明においては、ポジ型感光性樹脂組成物が(d)架橋性化合物を含有することがより好ましい。
【0038】
<その他含有物>
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、必要に応じて、界面活性剤、シランカップリング剤、チタンキレート剤、フィラー、有機溶剤、イオン捕捉剤、着色剤、溶解調整剤、安定剤、消泡剤などの添加剤をさらに含有してもよい。
【0039】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、界面活性剤、シランカップリング剤、チタンキレート剤などを含有することにより、基板との密着性を向上させることができる。
【0040】
シランカップリング剤の具体例としては、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1、3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられるが特に限定されるものではない。本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、上記のシランカップリング剤を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
本発明における有機溶剤としては、ポジ型感光性樹脂組成物を溶解するものが好ましい。このような有機溶剤としては、例えば、エーテル類、アセテート類、ケトン類、芳香族炭化水素類、N-メチル-2-ピロリドン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトンなどが挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
エーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテルなどが挙げられる。アセテート類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどが挙げられる。ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、2-ヘプタノンなどが挙げられる。芳香族炭化水素類としては、例えば、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-2-ブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
【0043】
<ポジ型感光性樹脂組成物の作製方法>
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、例えば、(a)アクリル樹脂、(b)光カチオン開始剤、(c)硬化促進剤、及び必要に応じてその他の添加剤を混合し、溶解させることにより得ることができる。また、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、必要に応じて、これらを有機溶剤に溶解させ、固形分濃度が10~70質量%程度である溶液にすることができる。
【0044】
また、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、濾紙やフィルタを用いて濾過してもよい。このポジ型感光性樹脂組成物の濾過方法は、特に限定されないが、保留粒子径0.4μm~10μmのフィルタを用いて加圧濾過により濾過する方法が好ましい。
【0045】
<ポジ型感光性樹脂組成物の形態>
本発明のポジ型感光性樹脂組成物の形態は、特に限定されず、フィルム状、棒状、球状、ペレット状、ワニス状など、用途に合わせて選択することができる。ここでいう「フィルム」には、膜、シート、板なども含まれる。本発明の感光性フィルムは、本発明のポジ型感光性樹脂組成物からなる。そのため本発明の感光性フィルムは、支持体上にポジ型感光性樹脂組成物が形成されたフィルム状のものであってもよいし、支持体のない態様でフィルム状としたポジ型感光性樹脂組成物であってもよい。ワニス状で用いる場合は、前記(a)~(c)及び必要に応じ加えられる添加剤を溶剤に溶解させたものを用いることができる。本発明においては、ポジ型感光性樹脂組成物の形態として、フィルム状の形態が好ましい。すなわち、本発明のポジ型感光性樹脂組成物をフィルム状に形成した感光性フィルムが好ましい。本発明の感光性フィルムは、例えば、本発明のポジ型感光性樹脂組成物を支持体上に塗布し、次いで、これを必要に応じて乾燥することにより得ることができる。
【0046】
支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどのポリエステルフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリイミドフィルムなどが挙げられる。支持体と感光性フィルムとの接合面には、これらの密着性及び剥離性を向上させるために、シリコーン、シランカップリング剤、アルミキレート剤、ポリ尿素などによる表面処理を施してもよい。また、支持体の厚みは、特に限定されないが、作業性の観点から、10~100μmであることが好ましい。
【0047】
本発明の感光性フィルムは、感光性フィルムを保護するための保護フィルムを有してもよい。その場合、この保護フィルムにより、大気中のゴミやチリなどの汚染物質から感光性フィルムの表面を保護することができる。
【0048】
本発明における保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどのポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルムなどが挙げられる。この保護フィルムは、感光性フィルムと保護フィルムとが容易に剥離しない程度の剥離力を有することが好ましい。
【0049】
本発明の感光性フィルムを作製すべくポジ型感光性樹脂組成物を支持体に塗布する方法としては、例えば、スピンナーを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティング、スクリーン印刷、ブレードコーター、ダイコーター、カレンダーコーター、メニスカスコーター、バーコーター、ロールコーター、コンマロールコーター、グラビアコーター、スクリーンコーター、スリットダイコーターなどの方法が挙げられる。また、ポジ型感光性樹脂組成物の塗布膜厚は、塗布手法、塗布するポジ型感光性樹脂組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが、ポジ型感光性樹脂組成物の乾燥後の膜厚が0.5μm以上100μm以下となるように調整されることが好ましい。
【0050】
塗布したポジ型感光性樹脂組成物を乾燥するための乾燥装置としては、例えば、オーブン、ホットプレート、赤外線などが挙げられる。乾燥温度及び乾燥時間は、溶剤を揮発させることが可能な範囲であればよく、感光性フィルムが未硬化又は半硬化状態となるような範囲を適宜設定することが好ましい。具体的には、乾燥温度は40℃~150℃の範囲内であることが好ましく、乾燥時間は1分間~数十分間の範囲内であることが好ましい。また、乾燥温度は、この範囲内の温度を組み合わせて段階的に昇温してもよい。例えば、ポジ型感光性樹脂組成物を乾燥する際、50℃、60℃、70℃で各1分間ずつポジ型感光性樹脂組成物を加熱してもよい。
【0051】
<ポジ型感光性樹脂組成物の硬化物>
本発明の硬化物は、本発明のポジ型感光性樹脂組成物、又は、本発明の感光性フィルムを硬化した硬化物である。そのため本発明の硬化物は、本発明のポジ型感光性樹脂組成物を加熱して硬化物とすることで、得ることができる。ポジ型感光性樹脂組成物の加熱硬化において、加熱硬化温度は、100℃~400℃の範囲内であることが好ましい。ポジ型感光性樹脂組成物の硬化物の形態は、特に限定されず、フィルム状、棒状、球状、ペレット状など、用途に合わせて選択することができる。本発明において、この硬化物は、フィルム状であることが好ましい。また、ポジ型感光性樹脂組成物のパターン形成によって、導通のためのビアホール形成、インピーダンスや静電容量あるいは内部応力の調整、放熱機能付与など、用途にあわせて、この硬化物の形状を選択することもできる。この硬化物(硬化物からなる膜)の膜厚は、0.5μm以上150μm以下であることが好ましい。
【0052】
<積層部材>
本発明の積層部材は、第一の部材、前記硬化物、及び第二の部材を有する。
【0053】
第一の部材は、例えば、ガラス基板、樹脂基板、セラミック基板及びシリコン基板よりなる群から選択される少なくとも1種である。これらは、その表面に、異方性導電フィルムや異方性導電ペーストのような導電材料層を形成したものであってもよい。樹脂基板は、リジッド樹脂基板でもフレキシブル基板でもよく、例えば、エポキシ樹脂基板(例えば、ガラスエポキシ基板)、ビスマレイミドトリアジン基板、ポリイミド樹脂基板、フッ素樹脂基板などが挙げられる。基板は、内部に半導体チップ等を備える部品内蔵基板であってもよい。
【0054】
第二の部材は、前記硬化物により第一の部材に固定される部材であり、第一の部材と第二の部材の間には内部空間が形成されてもよい。第一の部材との間に内部空間を形成する必要がある第二の部材としては、例えば、SAW、FBAR、RFIC、センサーチップ、圧電振動子チップ、水晶振動子チップ、MEMSデバイスなどが挙げられる。第一の部材との間に内部空間を形成する必要がない第二の部材としては、チップ多層LFCフィルター、誘電体フィルター、積層セラミックコンデンサ(MLCC)などが挙げられる。
【0055】
また本発明の積層部材は、第一の部材及び第二の部材のいずれか一方が孔を有することが好ましい。第一の部材及び第二の部材のいずれか一方が孔を有することにより、空気の振動やガスを感知することが可能となる。
【0056】
<電子部品>
本発明のポジ型感光性樹脂組成物または感光性フィルムの硬化物や積層部材は多種の電子部品、装置への適用が可能である。用途は特に限定されないが、例えば、CCDやCMOSに代表されるイメージセンサーや、半導体微細加工技術を利用して機械的要素と電子回路要素を集積したMEMS技術を適用したジャイロセンサー、加速度センサー、圧力センサー、デジタルミラーデバイス(DMD)、マイクロフォン、光スイッチ、車載用レーダー、LED、また、携帯機器に用いられるノイズフィルターなどの微細電子部品、装置への適用が可能である。
【実施例0057】
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明が下記の各実施例に限定されるものではない。
【0058】
<実施例1~19、比較例1~3>
<ポジ型感光性樹脂組成物用塗料溶液の作製>
下記アクリル樹脂、光カチオン開始剤、硬化促進剤、及びその他添加剤をそれぞれ表1に示した組成になる様に配合し、固形分濃度60質量%となる様にPGMEA/MIBK混合溶媒に40℃で攪拌、溶解してポジ型感光性樹脂組成物用塗料溶液を作製した。
【0059】
<アクリル樹脂>
アクリル樹脂1~14:(a)アクリル樹脂をそれぞれ次の通り合成した。混合機及び冷却器を備えた反応器に窒素雰囲気下(又は、窒素気流下)で溶媒、分散剤、連鎖移動剤と重合開始剤を溶解させたモノマーなどを添加し、60℃まで昇温して重合を行った。
【0060】
(a)アクリル樹脂のモノマーは、エポキシ基を有するメタクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル、更に、炭素数1~10の側鎖を有するアクリル酸エステルとして、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メチルを選択した。
【0061】
また得られた(a)アクリル樹脂のガラス転移温度を、示差走査熱量測定(DSC)により決定した。リガク DSCvestaを用いて、昇温速度10℃/分で室温から60℃まで昇温後-60℃まで冷却し、再び40℃まで昇温して測定し、2回目昇温時のDSCカーブからガラス転移温度を読み取った。
【0062】
アクリル樹脂1:重量平均分子量8500、ガラス転移温度-14℃、アクリル酸ブチル:アクリル酸tert-ブチル:アクリル酸メチル:メタクリル酸グリシジル=48:40:5:7(重量比)
アクリル樹脂2:重量平均分子量8000、ガラス転移温度-7℃、アクリル酸ブチル:アクリル酸tert-ブチル:アクリル酸メチル:メタクリル酸グリシジル=38:40:15:7(重量比)
アクリル樹脂3:重量平均分子量8万、ガラス転移温度-7℃、アクリル酸ブチル:アクリル酸tert-ブチル:アクリル酸メチル:メタクリル酸グリシジル=38:40:15:7(重量比)
アクリル樹脂4:重量平均分子量9万、ガラス転移温度-31℃、アクリル酸-2-エチルヘキシル:アクリル酸tert-ブチル:メタクリル酸グリシジル=55:40:5(重量比)
アクリル樹脂5:重量平均分子量8000、ガラス転移温度-31℃、アクリル酸-2-エチルヘキシル:アクリル酸tert-ブチル:メタクリル酸グリシジル=55:40:5(重量比)
アクリル樹脂6:重量平均分子量9000、ガラス転移温度-15℃、アクリル酸ブチル:アクリル酸tert-ブチル:メタクリル酸グリシジル=50:40:10(重量比)
アクリル樹脂7:重量平均分子量8000、ガラス転移温度-15℃、アクリル酸ブチル:アクリル酸tert-ブチル:アクリル酸メチル:メタクリル酸グリシジル=45:30:20:5(重量比)
アクリル樹脂8:重量平均分子量1万、ガラス転移温度-15℃、アクリル酸-2-エチルヘキシル:アクリル酸tert-ブチル:メタクリル酸グリシジル=40:55:5(重量比)
アクリル樹脂9::重量平均分子量8500、ガラス転移温度―18℃、アクリル酸-2-エチルヘキシル:アクリル酸tert-ブチル:メタクリル酸メチル:メタクリル酸グリシジル=45:40:10:5(重量比)
アクリル樹脂10:重量平均分子量8500、ガラス転移温度-3℃、アクリル酸-2-エチルヘキシル:アクリル酸tert-ブチル:メタクリル酸メチル:メタクリル酸グリシジル=35:40:20:5(重量比)
アクリル樹脂11:重量平均分子量9000、ガラス転移温度-2℃、アクリル酸-2-エチルヘキシル:アクリル酸tert-ブチル:メタクリル酸メチル:メタクリル酸グリシジル=37:30:30:3(重量比)
アクリル樹脂12:重量平均分子量11万、ガラス転移温度-14℃、アクリル酸ブチル:アクリル酸tert-ブチル:アクリル酸メチル:メタクリル酸グリシジル=48:40:5:7(重量比)
アクリル樹脂13:重量平均分子量9000、ガラス転移温度-17℃、アクリル酸ブチル:アクリル酸tert-ブチル:アクリル酸メチル=50:40:10(重量比)
アクリル樹脂14:重量平均分子量9000、ガラス転移温度10℃、アクリル酸ブチル:アクリル酸tert-ブチル:アクリル酸メチル:メタクリル酸グリシジル=15:40:38:7(重量比)。
【0063】
<光カチオン開始剤>
光カチオン開始剤1:CPI-310B(スルホニウム塩系、サンアプロ(株)製)。
【0064】
<硬化促進剤>
硬化促進剤1(イミダゾール1):1H-イミダゾール(SIZ、四国化成工業(株)製)
硬化促進剤2(イミダゾール2):2-エチル-4-メチルイミダゾール(2e4mz、四国化成工業(株)製)。
【0065】
<架橋性化合物>
エポキシ樹脂1:EOCN-102S(エポキシ当量217、クレゾールノボラック型エポキシ、日本化薬(株)製)
エポキシ樹脂2:HP-7200(エポキシ当量260、シクロペンタジエン型エポキシ、DIC(株)製)。
【0066】
<シランカップリング剤>
シランカップリング剤1:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-403、信越化学工業(株)製)。
【0067】
(1)支持体への塗工・乾燥
このポジ型感光性樹脂組成物塗料用溶液をバーコーターで、支持体(厚さ38μmのPETフィルム)上に塗布し、100℃で5分間乾燥を行った後、保護フィルムとして、厚さ38μmのPETフィルムをラミネートした。この結果、ポジ型感光性樹脂組成物の厚みが50μmの感光性フィルムを得た。
【0068】
(2)現像性評価
感光性フィルムの保護フィルムを剥離し、ラミネート装置(タカトリ(株)製、VTM-200M)を用いて、ステージ温度50℃、ロール温度50℃、真空度150Pa、貼付速度5mm/秒、貼付圧力0.3MPaの条件で、感光性フィルムの剥離面をラミネートし、4インチシリコンウエハ上にポジ型感光性樹脂組成物からなる層(以下、ポジ型感光性樹脂組成物からなる層を、ポジ型感光性樹脂組成物層、という)を形成した。露光装置(清和光学製作所(株)製、SME-150GA-TRJ)に、L(Line)/S(Space)=1000/1000、500/500、200/200、100/100、75/75、50/50、45/45、40/40、35/35、30/30、25/25、20/20μmのパターンを有するフォトマスクをセットし、支持体を剥離後、フォトマスクとポジ型感光性樹脂組成物層の間隔が50μm離れた状態で、600mJ/cm(i線換算)の露光量で露光を行った。露光後、ポジ型感光性樹脂組成物層を100℃のホットプレートで5分間加熱した。次に、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38%水溶液を用いてパドル現像を行い、これにより、ポジ型感光性樹脂組成物層の露光部を除去した。このパドル現像の実行時間は、180秒間とした。続いて、水によりリンス処理を60秒間行い、その後、スピン乾燥を行った。
【0069】
上記の方法で得られた各パターン基板を、光学顕微鏡(ニコン製(株)、ECLIPSE L300)を用いて倍率100倍で観察し、形成したL/Sに詰まり等の異常のない場合の最小サイズのL/Sを評価し、L/S=200/200μm以下のものを「◎」と判定し、L/S=500/500μm以下のものを「〇」と判定し、いずれにも該当しないものを「×」と判定した。
【0070】
(3)パターン支持性評価
(2)現像性評価で得た各パターン基板を、エアオーブン中で150℃、2時間加熱硬化処理を行い、4インチシリコンウエハ上に膜厚50μmのポジ型感光性樹脂組成物層の硬化物を作製した。
【0071】
上記の方法で得られた硬化物を、光学顕微鏡(ニコン製(株)、ECLIPSE L300)を用いて倍率100倍で観察し、加熱硬化前後でLineの幅の変化量が30μm以下であるものを「◎」と判定し、加熱硬化前後でLineの幅の変化量が60μm以下であるものを「〇」と判定し、いずれにも該当しないものを「×」と判定した。
【0072】
(4)反りの評価
感光性フィルムの保護フィルムを剥離し、ラミネート装置(タカトリ(株)製、VTM-200M)を用いて、ステージ温度50℃、ロール温度50℃、真空度150Pa、貼付速度5mm/秒、貼付圧力0.3MPaの条件で、感光性フィルムの剥離面をラミネートし、4インチシリコンウエハ上にポジ型感光性樹脂組成物層を形成した。
【0073】
ポジ型感光性樹脂組成物層の支持体を剥離した後、エアオーブン中で150℃、2時間、加熱硬化処理を行い、4インチシリコンウエハ上に膜厚50μmのポジ型感光性樹脂組成物の硬化物を作製した。得られたポジ型感光性樹脂組成物の硬化物が形成された4インチシリコンウエハの反り量を、表面粗さ・輪郭形状測定機(東京精密(株)製、SURFCOM14000)を用いて評価した。4インチシリコンウエハの硬化物が形成された側において、測定長さ70mm、測定速度6mm/sの条件で測定を行い、測定長さ0mmの高さと測定長さ35mmの高さの差を反り量とした。反り量が15μm以下のものを「◎」、反り量が15μmより大きく30μm以下のものを「〇」、反り量が30μmを超えるものを「×」と評価した。
【0074】
【表1-1】
【0075】
【表1-2】
【0076】
【表1-3】
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明によれば、現像時に基板との優れた密着性を有し、優れた保存安定性を有するパターンを形成することができるポジ型感光性樹脂組成物を得ることができる。本発明のポジ型感光性樹脂組成物から得られるパターンは、基板同士を反りなく低温で貼合することを可能とし、MEMSなど中空構造を維持したまま基板同士を貼合する用途に有用である。