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特開2024-138811ソルベントインクジェットインク用前処理液及びソルベントインクジェットインクセット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138811
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】ソルベントインクジェットインク用前処理液及びソルベントインクジェットインクセット
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/00 20060101AFI20241002BHJP
   C09D 11/36 20140101ALI20241002BHJP
   C09D 11/54 20140101ALI20241002BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
B41M5/00 132
C09D11/36
C09D11/54
B41M5/00 100
B41M5/00 120
B41J2/01 123
B41J2/01 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049508
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】我有 紘彰
(72)【発明者】
【氏名】中尾 彩弥子
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
4J039
【Fターム(参考)】
2C056EA05
2C056EA13
2C056FC01
2C056HA42
2H186AB03
2H186AB05
2H186AB06
2H186AB12
2H186AB34
2H186AB39
2H186AB58
2H186BA08
2H186DA09
2H186FB04
2H186FB11
2H186FB15
2H186FB22
2H186FB24
2H186FB29
2H186FB48
2H186FB57
4J039AE05
4J039BA04
4J039BC13
4J039BC26
4J039BE12
4J039BE22
4J039EA46
4J039FA02
4J039GA24
(57)【要約】
【課題】印刷物の耐アルコール擦過性及び画像の滲み抑制を改善する前処理液を提供する。
【解決手段】ソルベントインクジェットインクを基材にインクジェット法で付与する方法に用いられ、インクジェット法で付与可能である前処理液であって、有機溶剤と、ガラス転移点(Tg)が70℃以上であり、アミノエチル基を有する(メタ)アクリル樹脂とを含む、ソルベントインクジェットインク用前処理液である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソルベントインクジェットインクを基材にインクジェット法で付与する方法に用いられ、インクジェット法で付与可能である前処理液であって、有機溶剤と、ガラス転移点(Tg)が70℃以上であり、アミノエチル基を有する(メタ)アクリル樹脂とを含む、ソルベントインクジェットインク用前処理液。
【請求項2】
ソルベントインクジェットインクと、前処理液とを含み、前記ソルベントインクジェットインクは、有機溶剤と、エポキシ樹脂と、顔料とを含み、前記前処理液は、請求項1に記載のソルベントインクジェットインク用前処理液である、ソルベントインクジェットインクセット。
【請求項3】
前記ソルベントインクジェットインクの前記エポキシ樹脂は、エポキシ当量が450~2200g/eqである、請求項2に記載のソルベントインクジェットインクセット。
【請求項4】
請求項1に記載のソルベントインクジェットインク用前処理液をインクジェット法で基材に付与すること、及び前記前処理液が付与された基材に、ソルベントインクジェットインクをインクジェット法で付与することを含む、印刷物の製造方法。
【請求項5】
前記基材は非吸収性基材である、請求項4に記載の印刷物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ソルベントインクジェットインク用前処理液及びソルベントインクジェットインクセットに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式は、流動性の高いインクジェットインクを微細なノズルから液滴として噴射し、ノズルに対向して置かれた基材に画像を記録するものであり、低騒音で高速印字が可能であることから、近年急速に普及している。このようなインクジェット記録方式に用いられるインクとして、水を主溶媒として含有する水性インク、重合性モノマーを主成分として高い含有量で含有する紫外線硬化型インク(UVインク)、ワックスを主成分として高い含有量で含有するホットメルトインク(固体インク)とともに、非水系溶剤を主溶媒として含有する、いわゆる非水系インクが知られている。非水系インクは、主溶媒が揮発性有機溶剤であるソルベントインク(溶剤系インク)と、主溶媒が低揮発性あるいは不揮発性の有機溶剤である油性インク(オイル系インク)に分類できる。ソルベントインクは主に有機溶剤の蒸発によって基材上で乾燥するのに対して、油性インクは基材への浸透が主となって乾燥する。
【0003】
インクジェット記録方式では各種基材に対して非接触で印刷でき、応用分野が広がっている。例えば、ポリ塩化ビニルシート、ポリプロピレン製合成紙等の非吸収性基材に直接インクジェット印刷することで、効率よく印刷物を提供することができる。また、このような耐久性のある印刷物は屋外で使用される用途、人に触られる用途等に使用されるため、印刷物の耐擦過性が要求される。また、印刷物の汚れを拭き取って清掃されることもあるため、印刷物の耐擦過性がより重要になる。
【0004】
非吸収性基材に対しては、ソルベントインクを付与し、溶剤を乾燥除去することで、画像を基材に定着させることができる。ソルベントインクがバインダー樹脂を含み、バインダー樹脂が溶剤に溶解していることで、バインダー樹脂と顔料が基材に均一に付与されて、画像を基材により強固に定着させることができる。
【0005】
特許文献1では、溶剤系インクジェットインキ組成物の分散剤として、主鎖がポリエチレンイミンであり、側鎖が少なくともオキシアルキレンカルボニル基を有し、重量平均分子量(Mw)、酸価、アミン価、及び重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が所定の範囲を満たす分散剤を用いることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-71681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ソルベントインクによって印刷された印刷物を清掃等の目的でアルコールを含む布等を用いて擦ると、画像がアルコールに溶け出して、印刷物の色落ちが発生する問題がある。特許文献1には、所定の分散剤を用いることで低粘度の顔料分散体を作製することが可能であり、低粘度になることよって、インク塗膜の耐性に寄与するインク中のバインダー樹脂比率を増やすことができるため、インク塗膜の耐アルコール性が向上することが開示される。
【0008】
さらなる検討として、ソルベントインクをインクジェット法で基材に付与する方法では、繊細な画像を形成することができる一方で、基材への着弾時にソルベントインクが濡れ広がると画像の滲みが発生する現象がある。従来の技術では、耐アルコール擦過性とソルベントインクの滲み抑制を両立することが難しい。
【0009】
本発明の実施形態は、印刷物の耐アルコール擦過性及び画像の滲み抑制を改善する前処理液及びソルベントインクジェットインクセットを提供することを一目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は、ソルベントインクジェットインクを基材にインクジェット法で付与する方法に用いられ、インクジェット法で付与可能である前処理液であって、有機溶剤と、ガラス転移点(Tg)が70℃以上であり、アミノエチル基を有する(メタ)アクリル樹脂とを含む、ソルベントインクジェットインク用前処理液に関する。
【0011】
他の実施形態は、ソルベントインクジェットインクと、前処理液とを含み、前記ソルベントインクジェットインクは、有機溶剤と、エポキシ樹脂と、顔料とを含み、前記前処理液は、上記に記載のソルベントインクジェットインク用前処理液である、ソルベントインクジェットインクセットに関する。
【0012】
さらに他の実施形態は、上記に記載のソルベントインクジェットインク用前処理液をインクジェット法で基材に付与すること、及び前記前処理液が付与された基材に、ソルベントインクジェットインクをインクジェット法で付与することを含む、印刷物の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一実施形態によれば、印刷物の耐アルコール擦過性及び画像の滲み抑制を改善する前処理液及びソルベントインクジェットインクセットを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施形態を用いて説明する。以下の実施形態における例示が本発明を限定することはない。
【0015】
<前処理液>
一実施形態によるソルベントインクジェットインク用前処理液は、ソルベントインクジェットインクを基材にインクジェット法で付与する方法に用いられ、インクジェット法で付与可能である前処理液であって、有機溶剤と、ガラス転移点(Tg)が70℃以上であり、アミノエチル基を有する(メタ)アクリル樹脂とを含むものである。
【0016】
以下の説明において、ソルベントインクジェットインクを単に「ソルベントインク」又は「インク」とも記す。ソルベントインクジェットインク用前処理液を単に「前処理液」とも記す。ガラス転移点(Tg)が70℃以上であり、アミノエチル基を有する(メタ)アクリル樹脂を「(メタ)アクリル樹脂A」とも記す。本明細書において、(メタ)アクリル樹脂は、アクリル樹脂及びメタクリル樹脂の少なくとも一方を意味する。
【0017】
一実施形態によれば、印刷物の耐アルコール擦過性及び画像の滲み抑制を改善する前処理液を提供することができる。
【0018】
アミノエチル基を有する(メタ)アクリル樹脂Aは、塩基性基であるアミノ基を有する。塩基性基は、ソルベントインクに含まれる顔料表面の酸性水酸基と結合が可能である。また、(メタ)アクリル樹脂Aは基材への密着性に優れる。なかでも、(メタ)アクリル樹脂は、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂等と相溶性を有することから、(メタ)アクリル樹脂Aは、インク受容層を備えない場合もポリ塩化ビニルシート、ポリプロピレン製合成紙といった非吸収性基材への優れた密着性を示す。これらの作用によって、(メタ)アクリル樹脂Aは、基材表面において基材とソルベントインクとを繋ぐプライマーとなる。この効果によって、一実施形態による前処理液は、非吸収性基材を含む各種基材表面において、ソルベントインクの滲みを抑制することができる。また、(メタ)アクリル樹脂Aのアミノエチル基は、極性基のアミノ基と疎水基のエチレン基とを有するため、基材表面においてソルベントインクの滲みを抑制しながら、インク受容層を備えない非吸収性基材であっても塗膜の密着性を改善すると考えられる。
【0019】
また、(メタ)アクリル樹脂Aは、ガラス転移点(Tg)が70℃以上であることで、耐擦過性が高く耐久性を備える塗膜を形成可能な樹脂である。そのため、一実施形態による前処理液は、基材表面に強固な塗膜を形成可能であり、アルコールに対しても耐擦過性を示す塗膜を形成可能である。また、上記した(メタ)アクリル樹脂Aと顔料との作用によって、一実施形態による前処理液は、基材表面において、顔料を定着させることもできる。これらの作用によって、一実施形態による前処理液は、非吸収性基材であっても基材表面において、ソルベントインクによる画像の耐アルコール擦過性を高めることができる。
【0020】
さらに、前処理液に(メタ)アクリル樹脂Aが含まれることから、基材への前処理液の付与量の制御によってソルベントインク付与後の塗膜の耐アルコール擦過性を改善することができる。ソルベントインクでは、インクジェット吐出適正の観点から、インクに添加可能なバインダー樹脂量が制限されることがある。この制限によって、ソルベントインクによって耐アルコール擦過性を十分に付与可能な塗膜を形成することが難しいことが知られている。一実施形態による前処理液と組み合わせてソルベントインクを用いることで、基材表面において、(メタ)アクリル樹脂Aによる強固な塗膜を形成可能であり、この塗膜とソルベントインクによる画像とが一体となって、耐アルコール擦過性を備える塗膜を形成可能となる。ソルベントインクにバインダー樹脂が含まれる場合においても、基材表面においては前処理液により強固な塗膜が形成されるため、ソルベントインクに含まれるバインダー樹脂の含有量を低減して、ソルベントインクのインクジェット吐出性能の低下を防止することができる。
【0021】
前処理液は、ガラス転移点(Tg)が70℃以上であり、アミノエチル基を有する(メタ)アクリル樹脂Aを含む。(メタ)アクリル樹脂Aは、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル共重合体にエチレンイミンを反応させてアミノエチル化したアミノエチル化(メタ)アクリル樹脂であることが好ましい。このアミノエチル化(メタ)アクリル樹脂は、主鎖としての(メタ)アクリル樹脂に、側鎖としてポリエチレンイミン鎖をグラフトしたものであって、ポリエチレンイミン鎖に1級アミノ基を有する(メタ)アクリル樹脂であることが好ましい。この場合、ポリエチレンイミン鎖は直鎖又は分岐鎖であってもよいが、直鎖ポリエチレンイミン鎖であることが好ましい。1級アミノ基由来の高い反応性によって、基材表面においてソルベントインクの顔料表面の酸性水酸基と結合し、ソルベントインクの滲みを抑制することができる。また、(メタ)アクリル樹脂の骨格であることから、基材への密着性が高く、基材表面に強固な塗膜を形成し、印刷物の耐アルコール擦過性を高めることができる。ポリ塩化ビニルシート、ポリプロピレン製合成紙等の非吸収性基材に対しても高い密着性を得ることができる。
【0022】
(メタ)アクリル樹脂Aは、ガラス転移点(Tg)が70℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、100℃以上がさらに好ましい。これによって、基材表面に強固な塗膜を形成し、ソルベントインクによる画像の耐アルコール擦過性を高めることができる。(メタ)アクリル樹脂Aのガラス転移点(Tg)は、特に限定されないが、塗膜の基材への密着性の観点から、200℃以下、180℃以下、又は150℃以下であってよい。例えば、(メタ)アクリル樹脂Aのガラス転移点(Tg)は、70~150℃、80~180℃、又は100~200℃であってよい。
【0023】
本明細書において、樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量測定(DSC)に従って測定された数値である。ガラス転移点測定装置には、例えば、株式会社リガク製「高感度示差走査熱量計DSC8231」を用いることができる。
【0024】
(メタ)アクリル樹脂Aは、アミン価が0.5mmol/g-solid以上であることが好ましく、0.7mmol/g-solid以上であることがより好ましい。これによって、基材表面において、ソルベントインクに含まれる顔料と(メタ)アクリル樹脂Aとが適当量で相互に作用し、ソルベントインクの滲みをより抑制することができる。
【0025】
本明細書において、樹脂のアミン価は、不揮発分1gに含まれる全塩基性成分を中和するのに必要な塩酸と当量の水酸化カリウムのミリグラム数である。
【0026】
(メタ)アクリル樹脂Aは合成したものであってもよく、市販品を使用してもよい。市販品の例としては、株式会社日本触媒製「ポリメントNK-380」等が挙げられる。
【0027】
(メタ)アクリル樹脂Aは、基材への付与量を調節する観点から、前処理液全質量に対し1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、6質量%以上がさらに好ましい。(メタ)アクリル樹脂Aは、基材へ付与する際の粘度調節の観点から、前処理液全質量に対し50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下が一層好ましい。これらの範囲では、前処理液をインクジェット吐出することも可能である。例えば、(メタ)アクリル樹脂Aは、前処理液全質量に対し、1~50質量%、3~40質量%、6~30質量%、又は6~20質量%であってよい。
【0028】
前処理液は、有機溶剤を含む。有機溶剤としては、特に限定されないが、ソルベントインクで使用可能な有機溶剤と親和性を示すものが好ましく、ソルベントインクで使用可能な有機溶剤であることがより好ましい。このような有機溶剤としては、低沸点かつ高極性の有機溶剤であることが好ましい。前処理液の有機溶剤は、(メタ)アクリル樹脂Aを溶解可能な有機溶剤であることが好ましい。これによって、前処理液の付与によって(メタ)アクリル樹脂Aを基材により均一に付与することができる。
【0029】
前処理液の有機溶剤は、乾燥性の観点から、沸点が250℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましい。前処理液の有機溶剤は、印刷作業での臭気の抑制の観点から、沸点が100℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましい。例えば、前処理液の有機溶剤は、沸点が150℃~200℃が好ましい。さらに、前処理液は、沸点が150℃~200℃の有機溶剤を有機溶剤全質量の70質量%以上で含むことが好ましい。
【0030】
有機溶剤は、グリコールエーテル系溶剤であることが好ましい。グリコールエーテル系溶剤は、(メタ)アクリル樹脂Aとの相溶性を高めることができ、塗膜形成後に溶剤の除去も容易である。また、グリコールエーテル系溶剤は、ソルベントインクに含まれる有機溶剤、顔料及び樹脂とも親和性が高いことから、前処理液の付与後に、基材表面において前処理液とソルベントインクとの相互作用を促進することができる。
【0031】
グリコールエーテル系溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル等が好ましい。アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
【0032】
アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートとしては、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0033】
また、グリコールエーテル系溶剤として、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、エチレングリコールジアセテート等のアルキレングリコールジアセテート等;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のアルキレングリコールジアルキルエーテル等が挙げられる。
【0034】
有機溶剤として、ラクトン系溶剤、含窒素系溶剤、アセテート系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤等を用いてもよい。ラクトン系溶剤としては、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等が挙げられる。含窒素系溶剤としては、N-メチル-2-ピロリドン等が挙げられる。アセテート系溶剤としては、シクロヘキシルアセテート等が挙げられる。ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、イソホロン等が挙げられる。アルコール系溶剤としては、炭素数が8以下、好ましくは4以下のアルコール系溶剤が好ましく、具体的にはメタノール、エタノール等が挙げられる。脂肪酸系溶剤としては、炭素数が8以下、好ましくは4以下のアルコール系溶剤が好ましく、具体的には酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル等が挙げられる。
【0035】
有機溶剤は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記した通り、有機溶剤はアルキレングリコール系溶剤を含むことが好ましく、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート及びアルキレングリコールモノアルキルエーテルから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
有機溶剤は、前処理液全質量に対して、50~95質量%であることが好ましく、60~90質量%であることがより好ましく、70~80質量%であることがさらに好ましい。
【0036】
前処理液は、ソルベント組成物であることが好ましい。前処理液は水を含まないことが好ましく、例えば、前処理液全質量に対し水は5質量%以下、1質量%以下、又は0.1質量%以下であってよい。
【0037】
前処理液は、界面活性剤を含むことが好ましい。例えば、疎水性の基材表面においても前処理液の濡れ性を良好にし、乾燥速度を上げ前処理液を均一に付与する観点から、前処理液は、界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤が好ましく、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤等が挙げられる。
【0038】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ポリエステル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。シリコーン系界面活性剤の市販品の例としては、例えば、ビックケミー・ジャパン株式会社製の「BYK-307」、「BYK-313」、「BYK-330」、「BYK-333」、「BYK-342」、「BYK-370」、「BYK-377」、「BYK-378」、「BYK-3550」、「BYK-3565」「BYK-3750」、「BYK-3761」、「BYK-3762」、「BYK-3764」、「BYK-SILCLEAN 3700」、日信化学工業株式会社製の「シルフェイスSAG005」、「シルフェイスSAG008」等が挙げられる(いずれも商品名)。
【0039】
フッ素系界面活性剤の市販品の例としては、ビックケミー・ジャパン株式会社製の「BYK-340」、AGC株式会社製の「サーフロンS-211」、「サーフロンS-131」、「サーフロンS-132」、「サーフロンS-141」、「サーフロンS-144」、「サーフロンS-145」等が挙げられる(いずれも商品名)。
【0040】
アセチレングリコール系界面活性剤の市販品の例としては、例えば、エボニックインダストリーズ社製の「サーフィノール82」、「サーフィノール104」、「サーフィノール465」、「サーフィノール485」、「サーフィノールTG」、日信化学工業株式会社製の「オルフィンSTG」、「オルフィンE1004」等が挙げられる(いずれも商品名)。
【0041】
界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。界面活性剤は、前処理液全質量に対して、0.05~2質量%が好ましく、0.1~1質量%がより好ましい。
【0042】
前処理液は、用途等によっては、各種添加剤を含んでよい。添加剤としては、例えば、UV吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、可塑剤等が挙げられる。
【0043】
前処理液の作製方法は限定されないが、原料を一括又は分割して混合し、得られた混合物を撹拌して、任意的にフィルタ等で異物を除去して前処理液を得ることができる。有機溶剤に(メタ)アクリル樹脂Aを溶解させるために、混合物を加熱しながら撹拌するとよい。
【0044】
前処理液の粘度は、インクジェット記録システムの吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが、一般に、23℃において5~35mPa・sであることが好ましく、5~30mPa・sであることがより好ましく、8~25mPa・sであることが一層好ましい。本明細書において、前処理液の粘度は、23℃において測定した数値である。粘度測定装置には、例えば、株式会社アントンパール・ジャパン製「レオメーターMCR302」を用いることができる。
【0045】
本実施形態による前処理液は、ソルベントインクと組み合わせて用いられることから、非浸透性基材に好ましく用いることができる。非浸透性基材としては、ガラス、セラミックス、金属、プラスチック等が挙げられる。ガラスとしては、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、ソーダライムガラス等の板ガラスが挙げられる。セラミックスとしては、アルミナ、ジルコニア、ステアタイト、窒化ケイ素等の成形体が挙げられる。金属としては、アルミニウム、鉄、銅、錫、クロム、カドミウム、ステンレス、ブリキ等の金属板が挙げられ、メッキ、塗装、コーティングされたものであってもよい。プラスチックとしては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、及びポリアミド樹脂等のシート、及びフィルム等が挙げられる。これらの樹脂を原料とする合成紙等が挙げられる。
【0046】
基材としては、インク受容層を有する基材等の、付与されたインクを吸収可能である吸収性基材であってもよいが、非吸収性基材が好ましい。本実施形態の前処理液は、インク受容層を有していない非吸収性基材に対しても、ソルベントインクと組み合わせて、耐アルコール擦過性及び画質に優れる印刷物を形成することができる。非吸収性基材としては、例えば、インク受容層を有していない合成紙(例えば、ポリプロピレン製合成紙等)、インク受容層を有していないポリ塩化ビニルシート等のプラスチックシート、金属板、ガラス板等が挙げられる。
【0047】
前処理液はインクジェット法で基材に付与することが好ましい。これによって、ソルベントインクジェットインクを基材に付与する方法において、インクジェット印刷装置を共有することができ、工程を簡便化することができる。また、インクジェット法は画像をオンデマンドに形成することができるため、前処理液とインクとの付与領域を合わせて印刷をすることができる。そのため、前処理液の付与量をインクの付与領域に合わせて適量とすれば、前処理液の使用量を低減することができる。
【0048】
前処理液は、(メタ)アクリル樹脂Aと有機溶剤とを含むものであり、好ましくは(メタ)アクリル樹脂Aが有機溶剤に溶解しているものである。そのため、前処理液を低粘度化でき、前処理液のインクジェット吐出性能も良好である。
【0049】
<ソルベントインクジェットインクセット>
一実施形態によれば、ソルベントインクジェットインクと、前処理液とを含み、ソルベントインクジェットインクは、有機溶剤と、エポキシ樹脂と、顔料とを含み、前記前処理液は、有機溶剤と、ガラス転移点(Tg)が70℃以上であり、アミノエチル基を有する(メタ)アクリル樹脂とを含むソルベントインクジェットインクセットを提供することができる。
【0050】
前処理液の詳細については上記した通りである。以下、ソルベントインクジェットインクの詳細について説明する。
【0051】
<ソルベントインク>
ソルベントインクは、有機溶剤とエポキシ樹脂と顔料とを含む。ソルベントインクは顔料とともに顔料分散剤を併用することが好ましい。
【0052】
インクは、顔料を含むことができる。なお、印刷物の使用用途に応じて、顔料以外の色材、例えば酸性染料等を用いることも可能である。顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料、染付レーキ顔料等の有機顔料、及び、カーボンブラック、金属酸化物等の無機顔料を用いることができる。アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料等が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、金属フタロシアニン顔料及び無金属フタロシアニン顔料等が挙げられる。多環式顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料及びジケトピロロピロール(DPP)等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0053】
インク中における顔料粒子の平均粒子径は、発色性と吐出安定性の観点から、動的光散乱法により測定した粒度分布における体積基準の平均値として、50~500nmであることが好ましく、50~200nmであることがより好ましい。
【0054】
顔料の含有量は、顔料の種類、発色性、吐出安定性等の観点から、インク全質量に対して0.1~20質量%であることが好ましく、0.1~15質量%であることがより好ましく、0.5~10質量%であることがさらに好ましく、1~5質量%であることが一層好ましい。
【0055】
顔料の分散形態は、顔料を非油溶性樹脂で被覆したいわゆるカプセル顔料、着色樹脂粒子を顔料分散剤で分散させた分散体等であってもよいが、顔料分散剤を顔料表面に直接吸着させて分散させた分散体であることが好ましい。
【0056】
インク中で顔料を安定して分散させるために、顔料とともに顔料分散剤を用いることができる。顔料分散剤としては、顔料を有機溶剤に安定して分散できるものであれば特に限定されないが、例えば、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、ビニルピロリドンと長鎖アルケンとの共重合体、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリエステルポリアミン等が好ましく用いられる。
【0057】
顔料分散剤の市販品の例としては、日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース11200」、「ソルスパース13940」、「ソルスパース20000」、「ソルスパース24000」、「ソルスパース32000」、「ソルスパース33000」、「ソルスパース32500」、「ソルスパース32600」、「ソルスパース33500」、「ソルスパース34750」、「ソルスパース35000」、「ソルスパース35100」、「ソルスパース36000」、「ソルスパース37500」、「ソルスパース39000」、「ソルスパース41000」、「ソルスパース56000」、「ソルスパース71000」、「ソルスパース73000」、「ソルスパース74000」、「ソルスパース75000」、「ソルスパース75500」、「ソルスパース85000」、「ソルスパース86000」、「ソルスパース87000」、「ソルスパース88000」、「ソルスパースJ180」、「ソルスパースJ200」;ビックケミー・ジャパン株式会社製「DISPERBYK-162」、「DISPERBYK-163」、「DISPERBYK-168」、「DISPERBYK-2050」、「DISPERBYK-2055」、「DISPERBYK-2150」、「DISPERBYK-2155」、「ANTI-TERRA-U/U 100」;楠本化成株式会社製「ディスパロンKS-873N4」等が挙げられる。
【0058】
顔料分散剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。顔料分散剤は、顔料1に対し0.2~1.0の質量比で含まれていることが好ましい。顔料分散剤のインク全質量に対する含有量としては、0.5~15質量%であることが好ましく、1~5質量%であることがより好ましい。
【0059】
インクは、エポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂は、バインダー樹脂として機能し、基材表面に塗膜を形成し、耐アルコール擦過性を高めることができる。エポキシ樹脂としては、エポキシ当量が450~2200g/eqであることが好ましい。エポキシ樹脂は、前処理液に含まれる(メタ)アクリル樹脂Aのアミノエチル基を基点として架橋反応を形成することで、基材表面により強固な塗膜を形成可能である。これによって、基材表面においてソルベントインクによる塗膜と前処理液による塗膜とが一体となって強固な塗膜を形成し、印刷物の耐アルコール擦過性をより改善することができる。
【0060】
エポキシ樹脂は、通常、2個以上のエポキシ基を有する。エポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、フェノール化合物(フェノール、クレゾール、アルキルフェノール、カテコール、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールS等)とアルデヒド化合物(ホルムアルデヒド、サリチルアルデヒド等)との縮合物のグリシジルエーテル化物、二官能フェノールのグリシジルエーテル化物、二官能アルコールのグリシジルエーテル化物、三官能以上のポリフェノールのグリシジルエーテル化物、及びこれらの水素添加物又はハロゲン化物等が挙げられる。エポキシ樹脂は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
【0061】
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、印刷画像の耐アルコール擦過性の観点から、2200g/eq以下であることが好ましく、1400g/eq以下であることがより好ましく、550g/eq以下であることがさらに好ましい。このエポキシ当量が2200g/eq超過であると、エポキシ樹脂にエポキシ基が少なくなることで、前処理液の(メタ)アクリル樹脂Aとの反応性が低下する傾向がある。そのため、このエポキシ当量は2200g/eq以下とし、基材表面において、前処理液の(メタ)アクリル樹脂Aとソルベントインクのエポキシ樹脂とを適切に反応させることで、ソルベントインク付与後の塗膜の強度をより高め、耐アルコール擦過性をより改善することができる。
【0062】
このエポキシ当量が450g/eq未満であると、エポキシ樹脂にエポキシ基が多くなることで、基材表面において、前処理液の(メタ)アクリル樹脂Aとソルベントインクのエポキシ樹脂とが優先的に反応する傾向がある。その結果として、前処理液の(メタ)アクリル樹脂Aとソルベントインクの顔料との反応が起こりにくくなる現象がある。これより、このエポキシ当量を450g/eq以上とし、前処理液の(メタ)アクリル樹脂Aとソルベントインクの顔料とを適切に反応させることで、基材表面においてソルベントインクの滲みをより抑制し、顔料の定着性も改善し耐アルコール擦過性をより高めることができる。エポキシ樹脂のエポキシ当量は、450~2200g/eqであることが好ましく、450~1400g/eqであることがより好ましく、450~550g/eqであることがさらに好ましい。
【0063】
エポキシ当量は、1グラム当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂のグラム数である。エポキシ樹脂のエポキシ当量は、JIS K7236:2001「エポキシ樹脂のエポキシ当量の求め方」にしたがって測定することができる。
【0064】
エポキシ樹脂の数平均分子量は、500以上が好ましく、900以上がより好ましい。一方、エポキシ樹脂の数平均分子量は、前処理液の低粘度化の観点から、4000未満が好ましく、3000未満がより好ましい。エポキシ樹脂の数平均分子量は、例えば、500以上4000未満が好ましく、900以上3000未満がより好ましい。
【0065】
エポキシ樹脂の数平均分子量は、GPC法により標準ポリスチレン換算によって求められる数平均分子量である。エポキシ樹脂の数平均分子量は、JIS K7252-1:2016「プラスチック─サイズ排除クロマトグラフィーによる高分子の平均分子量及び分子量分布の求め方―第1部:通則」にしたがって測定することができる。
【0066】
エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製「jER819」、「jER1001」、「jER1002」、「jER1003」、「jER1055」、「jER1004」、「jER1004AF」、「jER1007」、「jER1003F」、「jER1004F」、「jER1005F」、「jER1004FS」、「jER1006FS」、「jER1007FS」、「jER1009」、「jER819」、「jER825」、「jER827」、「jER828」、「jER828EL」、「jER828US」、「jER828XA」、「jER834」、「jER801N」、「jER802」、「jER811」、「jER813」、「jER816A」、「jER1010」、「jER1009F」、「jER1001B80」、「jER1001X70」、「jER1001X75」、「jER1001T75」、「jER806」、「jER806H」、「jER807」、「jER4005P」、「jER4007P」、「jER4010P」;DIC株式会社製「EPICLON1050」、「EPICLON1055」、「EPICLON2050」、「EPICLON3050」、「EPICLON4050」、「EPICLON7050」、「EPICLON1050-70X」、「EPICLON1050-75X」、「EPICLON1055-75X」、「EPICLON1051-75M」、「EPICLON840」、「EPICLON840-S」、「EPICLON850」、「EPICLON850-S」、「EPICLON EXA-850CRP」、「EPICLON850-LC」、「EPICLON860」、「EPICLON HM-091」、「EPICLON HM-101」、「EPICLON830」、「EPICLON830-S」、「EPICLON835」、「EPICLON EXA-830CRP」、「EPICLON EXA-830LVP」、「EPICLON EXA-835LV」、「EPICLON855」、「EPICLON D-591」、「EPICLON D-595」、「EPICLON860-90X」、「EPICLON1051-75M」、「EPICLON HM-091-40AX」、「EPICLON5300-70」、「EPICLON HP-820」;株式会社ADEKA製「アデカレジンEP-4005」、「アデカレジンEP-7001」、「アデカレジンEP-5100-75X」、「アデカレジンEP-4100」、「アデカレジンEP4100-G」、「アデカレジンEP-4100TX」、「アデカレジンEP-4400」、「アデカレジンEP-4520S」、「アデカレジンEP-4530」、「アデカレジンEP-4901」、「アデカレジンEP-4000」、「アデカレジンEP-4005」、「アデカレジンEPU-6」、「アデカレジンEPU-7N」、「アデカレジンEPU-11F」、「アデカレジンEPU-1395」、「アデカレジンEPU-73B」、「アデカレジンEPU-17」、「アデカレジンEPU-17T-6」、「アデカレジンEP-49-10N」、東レ・ファインケミカル株式会社製「FLEP-50」、「FLEP-60」、「FLEP-125X」等が挙げられる(いずれも商品名)。
【0067】
エポキシ樹脂は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いてよい。エポキシ樹脂は、耐アルコール擦過性の観点から、インク全質量に対して、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。一方、エポキシ樹脂は、粘度上昇を抑制しインクジェット吐出性及びインク保存安定性を高める観点から、インク全質量に対して、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。例えば、エポキシ樹脂は、インク全質量に対して、0.1~20質量%であることが好ましく、1~10質量%であることがより好ましく、5~10質量%であることがさらに好ましい。
【0068】
インクは、エポキシ樹脂以外に他のバインダー樹脂を含んでもよい。ただし、エポキシ樹脂の含有量は、インク中のバインダー樹脂全質量に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。エポキシ樹脂と他のバインダー樹脂を含めたバインダー樹脂の合計量は、インク全質量に対し、0.1~20質量%であることが好ましく、1~10質量%であることがより好ましく、5~10質量%であることがさらに好ましい。
【0069】
バインダー樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、スチレン-(メタ)アクリル共重合樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0070】
有機溶剤としては、特に限定されず、ソルベントインクジェットインクに使用可能な有機溶剤を用いることができる。例えば、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、アセテート系溶剤などが挙げられる。有機溶剤としては、印刷作業時の臭気の抑制の観点から、沸点が100℃以上の有機溶剤を使用することが好ましく、沸点が150℃以上の有機溶剤を使用することがより好ましい。また、乾燥性の観点から、沸点が250℃以下の有機溶剤を使用することが好ましく、沸点が200℃以下の有機溶剤を使用することがより好ましい。沸点150℃以上200℃以下の有機溶剤が、有機溶剤全質量の70質量%以上を占めることが好ましい。
有機溶剤の詳細については、上記した前処理液で説明した通りである。例えば、ソルベントインクの有機溶剤は、上記した前処理液で説明したものの中から、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0071】
インクセットにおいて、前処理液の有機溶剤とソルベントインクの有機溶剤は同じであってもよいし、一部又は全部が異なってもよい。前処理液の有機溶剤とソルベントインクの有機溶剤は、基材表面において、互いに混和性を示すように組みわせることが好ましい。
【0072】
有機溶剤は、インク全質量に対して、60~95質量%であることが好ましく、70~90質量%であることがより好ましく、80~90質量%であることがさらに好ましい。
【0073】
インクは、界面活性剤を含むことが好ましい。例えば、疎水性の基材表面においてもインクの濡れ性を良好にし、乾燥速度を上げ良好な画像を形成させる観点から、インクは、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、例えばシリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は、非イオン性界面活性剤が好ましい。界面活性剤の詳細については、上記前処理液で説明した通りである。例えば、インクの界面活性剤は、上記前処理液で説明した界面活性剤の中から、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0074】
印刷時の連続吐出性と印刷画像の光沢性の点から、インクはシリコーン系界面活性剤を含むことが好ましい。
【0075】
界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。界面活性剤は、インク全質量に対して、0.05~2質量%が好ましく、0.1~1質量%がより好ましい。
【0076】
インクは、用途等によっては、各種添加剤を含んでよい。添加剤としては、例えば、UV吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、可塑剤等が挙げられる。
【0077】
インクの製造方法は特に限定されないが、一方法としては、各成分を一括ないし分割して混合及び撹拌してインクを作製することができる。具体的には、ビーズミル等の分散機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等のろ過機を通すことにより作製することができる。
【0078】
ソルベントインクの粘度は、インクジェット記録システムの吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが、一般に、23℃において3~30mPa・sであることが好ましく、3~15mPa・sであることがより好ましく、5~13mPa・sであることが一層好ましい。本明細書において、ソルベントインクの粘度は、上記した前処理液粘度と同じ手順で測定した数値である。
【0079】
<印刷物の製造方法>
以下、印刷物の製造方法についていくつかの実施形態を用いて説明する。一実施形態によれば、前処理液をインクジェット法で基材に付与することと、前処理液が付与された基材に、ソルベントインクジェットインクをインクジェット法で付与することを含む印刷物の製造方法を提供することができる。前処理液は、有機溶剤と、ガラス転移点(Tg)が70℃以上であり、アミノエチル基を有する(メタ)アクリル樹脂とを含むものである。ソルベントインクジェットインクは、有機溶剤と、エポキシ樹脂と、顔料とを含むものである。前処理液及びソルベントインクジェットインクの詳細については、上記説明した通りである。基材の詳細については、上記説明した通りである。基材としては非浸透性基材であることが好ましく、インク受容層を有さない非吸収性基材であることが好ましい。
【0080】
インクジェット法は、基材に非接触で、オンデマンドで簡便かつ自在に画像形成をすることができる印刷方法である。インクジェット法は特に限定されず、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式などのいずれの方式であってもよい。インクジェット印刷装置を用いる場合は、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドから前処理液又はインクの液滴を吐出させ、吐出された液滴を布に付着させるようにすることが好ましい。インクジェット印刷装置は、シリアルヘッド型であってもラインヘッド型であってもよい。
【0081】
前処理液を付与する領域は、ソルベントインクによる画像と同一の形状の領域であってもよいし、ソルベントインクによる画像の形状を含む広めの領域であってもよいし、基材の全面であってもよい。基材への前処理液の付与量は、5~200g/mが好ましく、10~100g/mが好ましく、15~80g/mがより好ましい。基材へのソルベントインクの付与量は特に限定されないが、例えば、10~400g/mが好ましく、15~250g/mがより好ましい。
【0082】
基材に前処理液を付与した後からソルベントインクを付与する前に、基材を熱処理する工程をさらに設けてもよい。この熱処理によって、前処理液の有機溶剤を除去し、前処理液の(メタ)アクリル樹脂Aを基材により定着させることができる。
【0083】
基材にソルベントインクを付与した後に、基材を熱処理する工程をさらに設けてもよい。この熱処理によって、ソルベントインクの有機溶剤を除去し、ソルベントインクのエポキシ樹脂を基材により定着させることができる。また、基材の表面において、前処理液の(メタ)アクリル樹脂Aとエポキシ樹脂の反応性を高めて、塗膜強度をより高めることができる。
【0084】
前処理液付与後及びソルベントインク付与後のそれぞれの熱処理温度は、基材の材料等によって適宜選択することができる。熱処理温度は、例えば、100℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましい。熱処理温度は、基材へのダメージを低減する観点から、200℃以下が好ましい。加熱装置は、特に制限されないが、例えば、ヒートプレス、ロールヒータ、温風装置、赤外線ランプヒーター等を用いることができる。加熱処理時間は、加熱方法等に応じて適宜設定すればよく、例えば、1秒~10分が好ましく、5秒~5分であってよい。
【0085】
前処理液を付与する工程及びソルベントインクを付与する工程は、別々の印刷装置で行ってもよく、1つの印刷装置を用いて行ってもよい。
【0086】
本開示は、下記の実施形態を含む。
<1>ソルベントインクジェットインクを基材にインクジェット法で付与する方法に用いられ、インクジェット法で付与可能である前処理液であって、有機溶剤と、ガラス転移点(Tg)が70℃以上であり、アミノエチル基を有する(メタ)アクリル樹脂とを含む、ソルベントインクジェットインク用前処理液。
【0087】
<2>ソルベントインクジェットインクと、前処理液とを含み、前記ソルベントインクジェットインクは、有機溶剤と、エポキシ樹脂と、顔料とを含み、前記前処理液は、<1>に記載のソルベントインクジェットインク用前処理液である、ソルベントインクジェットインクセット。
<3>前記ソルベントインクジェットインクの前記エポキシ樹脂は、エポキシ当量が450~2200g/eqである、<2>に記載のソルベントインクジェットインクセット。
【0088】
<4>上記<1>に記載のソルベントインクジェットインク用前処理液をインクジェット法で基材に付与すること、及び前記前処理液が付与された基材に、ソルベントインクジェットインクをインクジェット法で付与することを含む、印刷物の製造方法。
<5>前記基材は非吸収性基材である、<4>に記載の印刷物の製造方法。
【実施例0089】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されない。表中の成分の含有量について「-」は未添加を示す。
【0090】
<前処理液の作製>
表1に前処理液の処方を示す。表中に示す樹脂の含有量は溶媒を含む総量である。
まず、株式会社日本触媒製のアミノエチル化アクリル樹脂(1)「ポリメントNK-380」(商品名、ガラス転移点100℃、アミン価0.7~1.3mmol/g-solid)の溶媒を減圧除去してトリエチレングリコールモノメチルエーテルに置換した濃度30質量%の樹脂溶液を調合した。株式会社日本触媒製のアミノエチル化アクリル樹脂(2)「ポリメントNK-350」(商品名、ガラス転移点40℃、アミン価0.6~1.0mmol/g-solid)の溶媒を減圧除去してトリエチレングリコールモノメチルエーテルに置換した濃度30質量%の樹脂溶液を調合した。
【0091】
前処理液1~3の作製では、表中に示す処方にしたがって、樹脂、有機溶剤、及び界面活性剤を混合し、ミックスロータで100rpmで30分間撹拌することで前処理液を得た。
【0092】
前処理液4の作製では、表中に示す処方にしたがって、有機溶剤と界面活性剤とを含む混合液を調合し、混合液をホットスターラーを用いて80℃に加熱した。星光PMC株式会社製のスチレンアクリル樹脂(1)「ハイロースRS-1191」(商品名、ガラス転移点128℃)の樹脂粉末を秤量して、混合液に添加し、混合液をホットスターラーで1時間、加熱及び撹拌した。樹脂粉末が混合液に溶解したことを目視で確認した後に、混合液を室温まで冷却して前処理液を得た。
【0093】
【表1】
【0094】
前処理液の処方において、界面活性剤には、ビックケミー・ジャパン株式会社製のシリコーン系界面活性剤「BYK-3565」(商品名、有効成分100質量%)を用いた。前処理液の処方において用いた有機溶剤は、東京化成工業株式会社等より入手可能である。
【0095】
<インクの作製>
インクの処方を表2及び表3に示す。表中に示す処方にしたがって原料を混合し、φ0.5mmジルコニアビーズを加え、ロッキングミル(株式会社セイワ技研製)にて2時間分散した。ジルコニアビーズを除去し、メンブレンフィルターで粗大粒子を除去することでインクを得た。
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
インクの処方において用いた成分は以下の通りである。
(顔料)カーボンブラック:三菱ケミカル株式会社製「#950」(商品名)。
(顔料分散剤)「Solsperse 86000」:Lubrizol Corporation製、有効成分100%。
(顔料分散剤)「Solsperse 75000」:Lubrizol Corporation製、有効成分100%。
【0099】
(バインダー樹脂)
エポキシ樹脂(1):三菱ケミカル株式会社製「jER1001」(エポキシ当量450~500g/eq)。
エポキシ樹脂(2):三菱ケミカル株式会社製「jER819」(エポキシ当量180~220g/eq)。
エポキシ樹脂(3):三菱ケミカル株式会社製「jER1007」(エポキシ当量1750~2200g/eq)。
エポキシ樹脂(4):三菱ケミカル株式会社製「jER1009」(エポキシ当量2400~3300g/eq)。
【0100】
インクの処方において、界面活性剤には、ビックケミー・ジャパン株式会社製のシリコーン系界面活性剤「BYK-3565」(商品名、有効成分100質量%)を用いた。インクの処方において用いた有機溶剤は、東京化成工業株式会社等より入手可能である。
【0101】
<印刷物の作製>
印刷物の作製において用いた基材及び印刷装置は以下の通りである。
基材:ポリプロピレン製合成紙、株式会社ユポ・コーポレーション製「ニューユポFGS80」(商品名)。
印刷装置:シャトル型インクジェットプリンター、マスターマインド社製「MMP845H」(商品名)。
【0102】
以下の手順にしたがって印刷物を作製した。
(1)前処理液をシャトル型インクジェットプリンターに装填し、前処理液の付与量が12g/mとなるように設定し、ポリプロピレン製合成紙に前処理液を吐出した。
(2)前処理液を吐出したポリプロピレン製合成紙を120℃に設定した恒温槽内に1分間静置することによって乾燥した。
(3)インクをシャトル型インクジェットプリンターに装填し、インクの付与量が20g/mとなるように設定し、前処理液したポリプロピレン製合成紙にインクを吐出し、ベタ画像と10ptの細字画像を印刷した。
(4)印刷したポリプロピレン製合成紙を120℃に設定した恒温槽内に2分間静置することによって乾燥した。
なお、前処理液とインクの付与領域をほぼ一致するにように印刷した。
【0103】
<印刷物の評価>
得られた印刷物を用いて、下記の評価を行った。結果を表4に示す。
【0104】
「耐アルコール擦過性」
イオン交換水で60%に希釈したエタノールに綿棒を5秒以上漬け込んでから、この綿棒を用いて印刷物のベタ画像部分に100gの荷重をかけた状態で擦過を行い、所定の面積が色落ちするまでの回数を計測した。擦過回数から以下の基準で耐アルコール擦過性を評価した。
【0105】
AA:5回の擦過で色落ちし無し。
A:3回の擦過では色落ちしないが、5回の擦過で擦過した部分の面積の内30%以下で色落ちが発生。
B:3回の擦過で擦過した部分の面積のうち30%以下で色落ちが発生。
C:3回の擦過で擦過した部分の面積のうち50%以下で色落ちが発生。
D:3回以下の擦過で擦過した部分の面積のうち50%超で色落ちが発生。
【0106】
「画像の滲み抑制」
印刷物のベタ画像及び細字画像を目視で観察し、画像の滲み抑制を以下の基準で評価した。
【0107】
A:ベタ画像と細字画像の両方に滲みが観察されない。
B:ベタ画像に滲みは観察されないが細字画像に滲みが観察される。
C:細字画像の滲みが観察され、ベタ画像の端部が歪んでいる。
【0108】
【表4-1】
【0109】
【表4-2】
【0110】
【表4-3】
【0111】
【表4-4】
【0112】
表中に示す通り、各実施例では、印刷物の耐アルコール擦過性に優れ、画像の滲みを防止することができた。
【0113】
比較例1では、前処理液を用いず、インクを印刷物に直接付与したため、耐アルコール擦過性及び画像の滲み抑制の効果が得られなかった。比較例2では、前処理液に含まれるアミノエチル化アクリル樹脂のTgが低く、十分な耐アルコール擦過性が得られなかった。比較例3では、前処理液に含まれる樹脂がスチレンアクリル樹脂であり、画像の滲みが発生した。
【0114】
各実施例は、比較例1及び3と比較して画像の滲み抑制性能が良好であった。これは、前処理液1及び2に含まれるアミノエチル化アクリル樹脂がインク中の顔料と結合することで、画像の滲みの抑制につながったと考えられる。また、各実施例は、比較例1~3と比較して耐アルコール擦過性が良好であった。前処理液に含まれるアミノエチル化アクリル樹脂のTgが高いことに加えて、アミノエチル基と顔料との結合形成によって耐アルコール擦過性が向上したと考えらえる。
【0115】
実施例1及び2の対比、並びに実施例3及び4の対比では、インクの違いによらず、耐アルコール擦過性と画像の滲み抑制において同等の結果を示している。前処理液中のアミノエチル基量とインク中のエポキシ基量が十分な量になった結果として、アミノエチル基と顔料、(メタ)アクリル樹脂Aとエポキシ樹脂間で強固な結合が形成可能となり、耐アルコール擦過性と画像の滲み抑制がインクの違いによらずに同等となったことが考えられる。また、実施例13より、インクにバインダー樹脂が含まれない場合でも、良好な結果が得られることが確認された。
【0116】
実施例5及び9においては、それぞれ同じ前処理液を用いているが、インク3を使用した実施例5の方が耐アルコール擦過性と画像滲み抑制性能が良い。これは、実施例9では、インク5に含まれるエポキシ樹脂のエポキシ基量が多すぎることで、アミノエチル化アクリル樹脂とインク中のエポキシ樹脂が優先的に結合してしまい、顔料とアミノエチル化アクリル樹脂が十分に結合できなかったことに起因することが考えられる。実施例7及び11においても同様の要因によって、同様の結果が生じていることが考えられる。
【0117】
実施例6及び10においては、それぞれ同じ前処理液を用いているが、インク4を使用した実施例6の方が耐エタノール擦過性が良い。これは、実施例10では、インク6に含まれるエポキシ樹脂のエポキシ基量が少なすぎることで、十分な耐アルコール擦過性を得るために強固な塗膜を形成できなかったことに起因することが考えられる。実施例8及び12においても同様の要因によって、同様の結果が生じていることが考えられる。