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特開2024-138815半導体装置及び半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138815
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3205 20060101AFI20241002BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
H01L21/88 A
H01L21/88 R
H01L27/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049513
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】山田 雅基
【テーマコード(参考)】
5F033
5F038
【Fターム(参考)】
5F033HH08
5F033HH11
5F033HH18
5F033HH19
5F033HH21
5F033HH23
5F033HH32
5F033HH33
5F033HH34
5F033MM01
5F033MM08
5F033MM12
5F033MM13
5F033MM17
5F033PP06
5F033PP15
5F033PP27
5F033PP28
5F033QQ09
5F033QQ13
5F033QQ48
5F033RR01
5F033RR04
5F033RR06
5F033SS11
5F033SS15
5F033VV10
5F033WW01
5F033WW03
5F033XX08
5F033XX28
5F033XX31
5F038AC05
5F038AC15
(57)【要約】
【課題】厚い銅層を有し高性能な半導体装置を提供する。
【解決手段】実施形態の半導体装置は、下面、上面、第1の側面、及び、第2の側面を有し、第1の側面と第2の側面との間の第1の距離が、下面と上面との間の第2の距離よりも大きい、銅層と、下面、第1の側面、及び、第2の側面に接し、銅と異なる第1の金属材料を含む第1の金属層と、上面に接し、銅と異なる第2の金属材料を含む第2の金属層と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面、上面、第1の側面、及び、第2の側面を有し、前記第1の側面と前記第2の側面との間の第1の距離が、前記下面と前記上面との間の第2の距離よりも大きい、銅層と、
前記下面、前記第1の側面、及び、前記第2の側面に接し、銅と異なる第1の金属材料を含む第1の金属層と、
前記上面に接し、銅と異なる第2の金属材料を含む第2の金属層と、
を備える、半導体装置。
【請求項2】
前記下面、前記上面、前記第1の側面、及び、前記第2の側面を含む断面において、前記銅層は、前記第1の金属層及び前記第2の金属層によって囲まれる、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2の距離が2μm以上である、請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2の金属材料のヤング率は、銅のヤング率よりも大きい請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の金属材料と前記第2の金属材料は、同一の金属材料である、請求項1記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1の金属材料は、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、タングステン、窒化タングステン、及び、チタンタングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの材料を含む、請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2の金属材料は、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、タングステン、窒化タングステン、及び、チタンタングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの材料を含む、請求項1記載の半導体装置。
【請求項8】
前記下面、前記上面、前記第1の側面、及び、前記第2の側面を含む断面において、前記第2の金属層の中央部の厚さは、両端部の厚さより厚い、請求項1記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2の金属層の上に設けられ、窒化シリコン、炭化珪素、又は、炭窒化珪素を含む絶縁膜を、更に、備える請求項1記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2の金属層の上に設けられたキャパシタ絶縁膜と、
前記キャパシタ絶縁膜の上に設けられたキャパシタ上部電極と、を更に備え、
前記銅層は、キャパシタ下部電極である、請求項1記載の半導体装置。
【請求項11】
絶縁層に、深さが2μm以上、幅が前記深さより大きい凹部を形成し、
前記凹部に第1の金属膜を形成し、
前記凹部を銅膜で埋め込み、
前記銅膜及び前記第1の金属膜を化学的機械研磨法により研磨して前記絶縁層の上の前記銅膜及び前記第1の金属膜を除去し、
前記銅膜の上に第2の金属膜を形成し、
前記第2の金属膜を化学的機械研磨法により研磨して、前記絶縁層の上の前記第2の金属膜を除去し、かつ、前記銅膜の上に前記第2の金属膜を残存させる、半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記銅膜及び前記第1の金属膜を除去した後、前記第2の金属膜を形成する前に、
前記銅膜の一部を、更に除去する、請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記絶縁層の上の前記第2の金属膜を除去し、かつ、前記銅膜の上に前記第2の金属膜を残存させた後に、
前記第2の金属膜の上に、250℃以上の成膜温度で、第1の絶縁膜を、更に形成する、請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記絶縁層の上の前記第2の金属膜を除去し、かつ、前記銅膜の上に前記第2の金属膜を残存させた後に、
前記第2の金属膜の上に、キャパシタ絶縁膜を、更に形成し、
前記キャパシタ絶縁膜の上に、キャパシタ上部電極を、更に形成する、請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの配線層として、例えば、銅層が用いられる。電気抵抗の低い銅層で電子回路を形成することにより、高性能な半導体デバイスが実現できる。配線層の電気抵抗を更に低減し、半導体デバイスを更に高性能にするために、銅層の厚さを厚くすることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-332422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、厚い銅層を有する高性能な半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様の半導体装置は、下面、上面、第1の側面、及び、第2の側面を有し、前記第1の側面と前記第2の側面との間の第1の距離が、前記下面と前記上面との間の第2の距離よりも大きい、銅層と、前記下面、前記第1の側面、及び、前記第2の側面に接し、銅と異なる第1の金属材料を含む第1の金属層と、前記上面に接し、銅と異なる第2の金属材料を含む第2の金属層と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図2】第1の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図3】第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式断面図。
図4】第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式断面図。
図5】第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式断面図。
図6】第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式断面図。
図7】第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式断面図。
図8】第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式断面図。
図9】第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式断面図。
図10】比較例の半導体装置の模式断面図。
図11】比較例の半導体装置の問題点の説明図。
図12】第1の実施形態の変形例の半導体装置の模式断面図。
図13】第2の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書中、同一又は類似する部材については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0008】
本明細書中、部品等の位置関係を示すために、図面の上方向を「上」、図面の下方向を「下」と記述する場合がある。本明細書中、「上」、「下」の概念は、必ずしも重力の向きとの関係を示す用語ではない。
【0009】
本明細書中の半導体装置を構成する部材の化学組成の定性分析及び定量分析は、例えば、二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectroscopy:SIMS)、エネルギー分散型X線分光法(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy:EDX)により行うことが可能である。また、半導体装置を構成する部材の厚さ、部材間の距離等の測定には、例えば、走査型電子顕微鏡(Scannning Electron Microscope:SEM)、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)を用いることが可能である。
【0010】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の半導体装置は、下面、上面、第1の側面、及び、第2の側面を有し、第1の側面と第2の側面との間の第1の距離が、下面と上面との間の第2の距離よりも大きい、銅層と、下面、第1の側面、及び、第2の側面に接し、銅と異なる第1の金属材料を含む第1の金属層と、上面に接し、銅と異なる第2の金属材料を含む第2の金属層と、を備える。
【0011】
第1の実施形態の半導体装置は、LSI100である。LSI100は、配線層として銅層を備える。
【0012】
図1及び図2は、第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。図1は、図2のBB’断面である。図2は、図1のAA’断面である。
【0013】
LSI100は、シリコン基板10(半導体基板)、第1の層間絶縁層12、銅層14、バリアメタル層16(第1の金属層)、キャップメタル層18(第2の金属層)、カバー絶縁膜20(絶縁膜)、第2の層間絶縁層22、及び、上部配線層24を備える。
【0014】
第1の実施形態において、第1の方向及び第2の方向は、シリコン基板10の表面に平行な方向である。第2の方向は、第1の方向に垂直な方向である。第3の方向は、シリコン基板10の表面に垂直な方向である。第3の方向は、第1の方向及び第2の方向に垂直な方向である。
【0015】
図1は、第1の方向に垂直な断面である。図2は、第3の方向に垂直な断面である。
【0016】
シリコン基板10は、例えば、単結晶シリコンである。シリコン基板10は、半導体基板の一例である。
【0017】
第1の層間絶縁層12は、シリコン基板10の上に設けられる。第1の層間絶縁層12は、例えば、酸化シリコンである。
【0018】
シリコン基板10、及び、第1の層間絶縁層12内に、例えば、図示しないトランジスタやダイオードなどの半導体素子が形成されている。
【0019】
銅層14は、第1の層間絶縁層12の中に設けられる。銅層14は、第1の方向に延びる。
【0020】
銅層14は、銅を主成分とする。銅層14に含まれる銅の割合は、例えば、99%以上である。
【0021】
銅層14は、下面14a、上面14b、第1の側面14c、及び、第2の側面14dを有する。下面14aは上面14bと対向する。第1の側面14cは第2の側面14dと対向する。
【0022】
第1の側面14cと第2の側面14dとの間の第1の距離(図1中のd1)は、下面14aと上面14bとの間の第2の距離(図1中のd2)よりも大きい。第1の距離d1は、例えば、第2の距離d2の1.5倍以上50倍以下である。
【0023】
第2の距離d2は、例えば、2μm以上5μm以下である。第1の距離d1は、例えば、3μm以上100μm以下である。
【0024】
銅層14の第3の方向の厚さは、2μm以上である。
【0025】
バリアメタル層16は、銅層14の下面14a、第1の側面14c、及び、第2の側面14dに接する。バリアメタル層16は、銅層14と第1の層間絶縁層12との間に設けられる。バリアメタル層16は、第1の層間絶縁層12に接する。
【0026】
バリアメタル層16は、導電体である。バリアメタル層16は、銅と異なる第1の金属材料を含む。第1の金属材料は、例えば、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、タングステン、窒化タングステン、及び、チタンタングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの材料を含む。
【0027】
バリアメタル層16は、例えば、タンタル層、窒化タンタル層、チタン層、窒化チタン層、タングステン層、窒化タングステン層、又は、チタンタングステン層である。バリアメタル層16は、例えば、タンタル層、窒化タンタル層、チタン層、窒化チタン層、タングステン層、窒化タングステン層、及び、チタンタングステン層から選ばれる複数の層の積層構造であっても構わない。
【0028】
バリアメタル層16の厚さは、例えば、1nm以上100nm以下である。
【0029】
バリアメタル層16は、例えば、銅の拡散防止層として機能する。
【0030】
キャップメタル層18は、銅層14の上面14bに接する。バリアメタル層16は、銅層14とカバー絶縁膜20との間に設けられる。キャップメタル層18は、カバー絶縁膜20に接する。
【0031】
キャップメタル層18は、導電体である。キャップメタル層18は、銅と異なる第2の金属材料を含む。第2の金属材料は、例えば、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、タングステン、窒化タングステン、及び、チタンタングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの材料を含む。第2の金属材料は、例えば、第1の金属材料と同一の材料である。
【0032】
キャップメタル層18は、例えば、タンタル層、窒化タンタル層、チタン層、窒化チタン層、タングステン層、窒化タングステン層、又は、チタンタングステン層である。キャップメタル層18は、例えば、タンタル層、窒化タンタル層、チタン層、窒化チタン層、タングステン層、窒化タングステン層、及び、チタンタングステン層から選ばれる複数の層の積層構造であっても構わない。
【0033】
キャップメタル層18に含まれる第2の金属材料のヤング率は、例えば、銅のヤング率より高い。例えば、チタン、タンタル、及び、タングステンのヤング率は、銅のヤング率より高い。
【0034】
下面14a、上面14b、第1の側面14c、及び、第2の側面14dを含む断面において、例えば、キャップメタル層18の中央部の厚さ(図1中のt1)は、両端部の厚さ(図1中のt2)より厚い。なお、図1に示すBB’断面は、下面14a、上面14b、第1の側面14c、及び、第2の側面14dを含む断面の一例である。キャップメタル層18の中央部の厚さt1は、例えば、両端部の厚さt2の1.2倍以上100倍以下である。
【0035】
キャップメタル層18の厚さは、例えば、1nm以上100nm以下である。キャップメタル層18の中央部の厚さt1は、例えば、1nm以上100nm以下である。キャップメタル層18の両端部の厚さt2は、例えば、0.1nm以上100nm以下である。
【0036】
キャップメタル層18の両端部は、バリアメタル層16に接する。下面14a、上面14b、第1の側面14c、及び、第2の側面14dを含む断面において、例えば、銅層14は、バリアメタル層16及びキャップメタル層18によって囲まれる。
【0037】
キャップメタル層18は、例えば、銅の拡散防止層として機能する。
【0038】
カバー絶縁膜20は、キャップメタル層18及び第1の層間絶縁層12の上に設けられる。カバー絶縁膜20は、例えば、キャップメタル層18及び第1の層間絶縁層12に接する。
【0039】
カバー絶縁膜20は、絶縁体である。カバー絶縁膜20は、例えば、窒化シリコン、炭化珪素、又は、炭窒化珪素を含む。カバー絶縁膜20は、例えば、窒化シリコン膜、炭化珪素膜、又は、炭窒化珪素膜である。カバー絶縁膜20は、例えば、窒化シリコン膜、炭化珪素膜、及び、炭窒化珪素膜から選ばれる複数の膜の積層膜であっても構わない。
【0040】
カバー絶縁膜20の第3の方向の厚さは、例えば、2nm以上200nm以下である。
【0041】
カバー絶縁膜20は、例えば、銅の拡散防止膜として機能する。カバー絶縁膜20を省略することも可能である。
【0042】
第2の層間絶縁層22は、カバー絶縁膜20の上に設けられる。第2の層間絶縁層22は、例えば、酸化シリコンである。
【0043】
第2の層間絶縁層22の第3の方向の厚さは、カバー絶縁膜20の第3の方向の厚さより厚い。第2の層間絶縁層22の第3の方向の厚さは、例えば、0.5μm以上10μm以下である。
【0044】
第2の層間絶縁層22の比誘電率は、例えば、カバー絶縁膜20の比誘電率よりも低い。いいかえれば、カバー絶縁膜20の比誘電率は、例えば、第2の層間絶縁層22の誘電率よりも高い。
【0045】
上部配線層24は、第2の層間絶縁層22の上に設けられる。上部配線層24は、例えば、第1の方向に延びる。
【0046】
上部配線層24は、導電体である。上部配線層24は、例えば、銅又はアルミニウムを含む。
【0047】
次に、第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例について説明する。第1の実施形態の半導体装置の製造方法は、LSI100の製造方法である。
【0048】
第1の実施形態の半導体装置の製造方法は、絶縁層に、深さが2μm以上、幅が深さより大きい凹部を形成し、凹部に第1の金属膜を形成し、凹部を銅膜で埋め込み、銅膜及び第1の金属膜を化学的機械研磨法により研磨して絶縁層の上の銅膜及び第1の金属膜を除去し、銅膜の上に第2の金属膜を形成し、第2の金属膜を化学的機械研磨法により研磨して、絶縁層の上の第2の金属膜を除去し、かつ、銅膜の上に第2の金属膜を残存させる。
【0049】
図3図4図5図6図7図8、及び、図9は、第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式断面図である。
【0050】
最初に、シリコン基板10に公知の製造方法を用いて、図示しないトランジスタ等の素子を形成する。さらに、シリコン基板10の上に絶縁層50を形成する。絶縁層50は、例えば、化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法:CVD法)を用いて形成される。
【0051】
絶縁層50は、例えば、酸化シリコンである。絶縁層50は、最終的に第1の層間絶縁層12となる。
【0052】
次に、絶縁層50に凹部51を形成する(図3)。凹部51は、例えば、フォトリソグラフィ法によるレジストのパターニングと、レジストをマスクとした反応性イオンエッチング法(RIE法)を用いて行う。凹部51の深さは、2μm以上である。凹部51の幅は、深さよりも大きい。
【0053】
次に、凹部51に第1の金属膜52を形成する。第1の金属膜52は、例えば、スパッタリング法を用いて形成される。
【0054】
第1の金属膜52は、例えば、タンタル膜と窒化タンタル膜の積層膜である。第1の金属膜52の一部は、最終的にバリアメタル層16となる。
【0055】
次に、凹部51を、銅膜53で埋め込む(図4)。銅膜53は、例えば、めっき法を用いて形成する。銅膜53の厚さは、2μm以上である。
【0056】
次に、銅膜53及び第1の金属膜52を化学的機械研磨法(Cheimical Mechanical Polishing法:CMP法)により研磨する。銅膜53及び第1の金属膜52をCMP法により研磨することで、絶縁層50の上の銅膜53及び第1の金属膜52を除去する(図5)。
【0057】
銅膜53及び第1の金属膜52をCMP法により研磨した際、凹部51の中の銅膜53の上面が窪んだ形状となる。銅膜53及び第1の金属膜52をCMP法により研磨した際、いわゆる、ディッシングが生じる。
【0058】
次に、銅膜53の上面の一部を除去する(図6)。銅膜53の上面の一部を除去することで、銅膜53の上面が、絶縁層50の上面から下がるようにする。
【0059】
銅膜53の上面の一部の除去は、例えば、ウェットエッチング法により行う。例えば、過酸化水素と塩酸を含む溶液を用いて銅膜53をエッチングする。
【0060】
なお、銅膜53の上面の一部をエッチングする工程は、省略することも可能である。
【0061】
次に、銅膜53の上に、第2の金属膜54を形成する(図7)。第2の金属膜54は、例えば、スパッタリング法を用いて形成される。
【0062】
第2の金属膜54は、例えば、タンタル膜と窒化タンタル膜の積層膜である。第2の金属膜54の一部は、最終的にキャップメタル層18となる。
【0063】
次に、第2の金属膜54をCMP法により研磨する。第2の金属膜54をCMP法により研磨することで、絶縁層50の上の第2の金属膜54を除去する。第2の金属膜54をCMP法により研磨することで、銅膜53の上に、第2の金属膜54を残存させる(図8)。
【0064】
次に、第2の金属膜54の上に、第1の絶縁膜55を形成する(図9)。第1の絶縁膜55は、例えば、CVD法で形成する。第1の絶縁膜55は、例えば、成膜温度が250℃以上のプラズマCVD法を用いて形成する。
【0065】
第1の絶縁膜55は、例えば、窒化シリコン膜、炭化珪素膜、又は、炭窒化珪素膜である。第1の絶縁膜55は、最終的に、カバー絶縁膜20となる。なお、第1の絶縁膜55の形成を省略することも可能である。
【0066】
その後、公知のプロセス技術を用いて、カバー絶縁膜20の上に、上部配線層24及び第2の層間絶縁層22を形成する。
【0067】
以上の製造方法により、図1及び図2に示すLSI100が形成される。
【0068】
以下、第1の実施形態の半導体装置及び半導体装置の製造方法の作用及び効果について説明する。
【0069】
半導体デバイスの配線層として、銅層が用いられる。電気抵抗の低い銅層で電子回路を形成することにより、高性能な半導体デバイスが実現できる。配線層の電気抵抗を更に低減し、半導体デバイスを更に高性能にするために、銅層の厚さを厚くすることが考えられる。
【0070】
図10は、比較例の半導体装置の模式断面図である。比較例の半導体装置は、LSI900である。
【0071】
LSI900は、第1の実施形態のLSI100と同様、シリコン基板10(半導体基板)、第1の層間絶縁層12、銅層14、バリアメタル層16(第1の金属層)、カバー絶縁膜20(絶縁膜)、第2の層間絶縁層22、及び、上部配線層24を備える。銅層14の第3の方向の厚さは、第1の実施形態のLSI100と同様、2μm以上と厚い。
【0072】
LSI900は、キャップメタル層18(第2の金属層)を備えない点で、第1の実施形態のLSI100と異なる。
【0073】
LSI900は、キャップメタル層18を備えないため、銅層14をCMP法を用いて形成した際の、窪んだ形状が銅層14の上のカバー絶縁膜20の上面及び、第2の層間絶縁層22の上面に反映されている。
【0074】
図11は、比較例の半導体装置の問題点の説明図である。図11は、図10に対応する図である。
【0075】
比較例のLSI900は、キャップメタル層18を備えないため、銅層14をCMP法を用いて形成した際の、窪んだ形状が第2の層間絶縁層22の上面に反映されている。例えば、第2の層間絶縁層22の上面の窪んだ部分に、上部配線層24のパターニングの際に金属材料が残り、隣接する上部配線層24のショート不良が生じるおそれがある。
【0076】
また、比較例のLSI900は、キャップメタル層18を備えないため、銅層14の上にカバー絶縁膜20を形成する際に、凸形状のヒロック60が成長するおそれがある。ヒロック60は、カバー絶縁膜20を形成する際の温度上昇により生じる圧縮応力で、銅層14が塑性変形することで生じると考えられる。特に、カバー絶縁膜20を形成する際の成膜温度が250℃以上の場合、ヒロック60の発生が顕在化する。
【0077】
銅層14の上面にヒロック60が発生すると、例えば、図11に示すように、第2の層間絶縁層22の上面に、ヒロック60の凸形状が反映された凸形状61が形成される。例えば、第2の層間絶縁層22の上面の凸形状61により、上部配線層24のパターンが崩れ、隣接する上部配線層24のショート不良が生じるおそれがある。
【0078】
また、例えば、第2の層間絶縁層22の上面にヒロック60の凸形状が反映された凸形状61が形成され、凸形状61の上にパッド電極を形成する場合を考える。例えば、パッド電極にも凸形状が反映される。例えば、パッド電極に製品検査のためのプローブ針を接触させる際、凸形状に加わる応力で、第2の層間絶縁層22にクラックが生じるおそれがある。また、例えば、パッド電極にボンディングワイヤを接続する際に、凸形状に加わる応力で、第2の層間絶縁層22にクラックが生じるおそれがある。
【0079】
例えば、ヒロック60の上に、銅層14と上部配線層24をつなぐコンタクト構造を形成しようとする場合を考える。銅層14の上面にヒロック60が発生すると、コンタクト構造に用いられるバリアメタル層のカバレッジ不良が生じるおそれがある。バリアメタル層のカバレッジ不良が生じると、例えば、銅層14からコンタクト構造を形成するメタル層に銅が拡散し、コンタクト構造の導通不良が生じるおそれがある。
【0080】
また、銅層14の上面にヒロック60が発生すると、例えば、図11に示すように、ヒロック60の上の、カバー絶縁膜20のステップカバレッジが悪くなる。このため、例えば、カバー絶縁膜20の上に形成されたヒロック60の上の金属層をエッチングで除去する場合に、カバー絶縁膜20が消失し、銅層14から銅が飛散するおそれがある。飛散した銅は、例えば、導電層間のショート不良を引き起こす可能性がある。
【0081】
第1の実施形態のLSI100は、銅層14の上にキャップメタル層18を備える。キャップメタル層18は、銅層14をCMP法を用いて形成した際の窪んだ形状を埋める。したがって、第2の層間絶縁層22の上面が平坦になる。よって、上部配線層24のショート不良を低減する。
【0082】
また、キャップメタル層18は、銅層14の上にカバー絶縁膜20を形成する際のヒロック60の発生を抑制する。キャップメタル層18が銅層14の上に設けられることで、銅層14の塑性変形が抑制される。
【0083】
ヒロック60の発生を抑制する観点から、キャップメタル層18に含まれる第2の金属材料のヤング率は、銅のヤング率より高いことが好ましい。したがって、キャップメタル層18に含まれる第2の金属材料は、銅のヤング率より高いヤング率を有するチタン、タンタル、又は、タングステンであることが好ましい。
【0084】
ヒロック60の発生を抑制する観点から、キャップメタル層18の両端部は、バリアメタル層16に接することが好ましい。いいかえれば、下面14a、上面14b、第1の側面14c、及び、第2の側面14dを含む断面において、銅層14は、バリアメタル層16及びキャップメタル層18によって囲まれることが好ましい。銅層14が、バリアメタル層16及びキャップメタル層18によって囲まれることで、銅層14の塑性変形が抑制される。
【0085】
下面14a、上面14b、第1の側面14c、及び、第2の側面14dを含む断面において、キャップメタル層18の中央部の厚さ(図1中のt1)は、両端部の厚さ(図1中のt2)より厚いことが好ましい。例えば、両端部の厚さt2が薄いことで、銅層14の両端部の厚さが厚くなり、銅層14の電気抵抗が低減する。
【0086】
また、中央部の厚さt1が両端部の厚さt2より厚いことで、キャップメタル層18の上面の平坦性が向上する。
【0087】
第1の実施形態のLSI100の製造方法によれば、銅層14の上にキャップメタル層18を形成することで、銅層14の上に形成される層の表面の平坦性が向上する。また、銅層14のヒロック60の発生が抑制できる。
【0088】
第1の実施形態のLSI100及びその製造方法によれば、厚い銅層の形成に起因する不良の発生が抑制される。したがって、配線層の電気抵抗が低減された高性能なLSI100が実現できる。
【0089】
(変形例)
図12は、第1の実施形態の変形例の半導体装置の模式断面図である。図12は、第1の実施形態の図1に対応する図である。
【0090】
第1の実施形態の変形例の半導体装置は、LSI101である。LSI101は、キャップメタル層18の両端部は、バリアメタル層16と離隔する点で、第1の実施形態のLSI100と異なる。
【0091】
変形例のLSI101によれば、例えば、銅層14の両端部の厚さが厚くなり、銅層14の電気抵抗が低減する。
【0092】
以上、第1の実施形態及び変形例によれば、厚い銅層を有する高性能な半導体装置及び半導体装置の製造方法を実現できる。
【0093】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の半導体装置は、第2の金属層の上に設けられたキャパシタ絶縁膜と、キャパシタ絶縁膜の上に設けられたキャパシタ上部電極と、を更に備え、銅層は、キャパシタ下部電極である点で、第1の実施形態の半導体装置と異なる。また、第2の実施形態の半導体装置の製造方法は、絶縁層の上の第2の金属膜を除去し、かつ、銅膜の上に第2の金属膜を残存させた後に、第2の金属膜の上に、キャパシタ絶縁膜を、更に形成し、キャパシタ絶縁膜の上に、キャパシタ上部電極を、更に形成する点で、第1の実施形態の半導体装置の製造方法と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0094】
第2の実施形態の半導体装置は、アナログデジタル混載LSI200である。アナログデジタル混載LSI200は、アナログLSIとデジタルLSIとが同一半導体チップに混載されている。アナログデジタル混載LSI200は、金属の多層配線と、MIMキャパシタ(Metal-Insulator-Metalキャパシタ)を有する。
【0095】
図13は、第2の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【0096】
アナログデジタル混載LSI200は、シリコン基板10(半導体基板)、第1の層間絶縁層12、銅層14、バリアメタル層16(第1の金属層)、キャップメタル層18(第2の金属層)、第2の層間絶縁層22、キャパシタ絶縁膜70、キャパシタ上部電極72、及び、上部配線層24を備える。
【0097】
シリコン基板10、及び、第1の層間絶縁層12内に、例えば、図示しないトランジスタやダイオードなどの半導体素子が形成されている。
【0098】
銅層14、バリアメタル層16、キャップメタル層18、キャパシタ絶縁膜70、キャパシタ上部電極72がMIMキャパシタを構成する。
【0099】
銅層14、バリアメタル層16、及び、キャップメタル層18がMIMキャパシタの下部電極である。
【0100】
キャパシタ絶縁膜70は、キャパシタ下部電極の上に設けられる。キャパシタ絶縁膜70は、キャップメタル層18の上に設けられる。キャパシタ絶縁膜70は、キャップメタル層18に接する。
【0101】
キャパシタ絶縁膜70は、例えば、窒化シリコンである。
【0102】
キャパシタ上部電極72は、キャパシタ絶縁膜70の上に設けられる。キャパシタ上部電極72は、キャパシタ絶縁膜70に接する。
【0103】
キャパシタ上部電極72は、導電体である。キャパシタ上部電極72は、例えば、金属である。キャパシタ上部電極72は、例えば、タンタル、チタン、窒化タンタル、窒化チタン、窒化タングステン、又は、タングステンチタンである。
【0104】
第2の実施形態のアナログデジタル混載LSI200の製造方法は、第1の実施形態の製造方法と同様、第2の金属膜54をCMP法により研磨する。第2の金属膜54をCMP法により研磨することで、絶縁層50の上の第2の金属膜54を除去する。第2の金属膜54をCMP法により研磨することで、銅膜53の上に、第2の金属膜54を残存させる(図8)。
【0105】
その後、第2の金属膜54の上に、キャパシタ絶縁膜70を形成する。キャパシタ絶縁膜70は、例えば、CVD法により形成する。
【0106】
その後、キャパシタ絶縁膜70の上にキャパシタ上部電極72を形成する。キャパシタ上部電極72は、例えば、CVD法により形成する。
【0107】
その後、公知のプロセス技術を用いて、カバー絶縁膜20の上に、上部配線層24及び第2の層間絶縁層22を形成する。
【0108】
以上の製造方法により、図13に示すアナログデジタル混載LSI200が形成される。
【0109】
第2の実施形態のアナログデジタル混載LSI200は、銅層14の上にキャップメタル層18を備える。キャップメタル層18は、銅層14をCMP法で形成した際の窪んだ形状を埋める。したがって、銅層14の上に形成される層の表面の平坦性が向上する。したがって、銅層14をCMP法で形成した際の窪んだ形状に起因する不良の発生が抑制される。
【0110】
第2の実施形態のアナログデジタル混載LSI200は、銅層14の上にキャップメタル層18を備える。したがって、銅層14のヒロックの発生が抑制できる。よって、銅層14のヒロックに起因する不良の発生が抑制される。例えば、ヒロックの上に形成されるキャパシタ絶縁膜70のステップカバレッジが悪くなり、キャパシタ下部電極とキャパシタ上部電極72のショート不良の発生が抑制される。
【0111】
第2の実施形態のアナログデジタル混載LSI200及びその製造方法によれば、厚い銅層の形成に起因する不良の発生が抑制される。したがって、配線層の電気抵抗が低減された高性能なアナログデジタル混載LSI200が実現できる。
【0112】
以上、第2の実施形態によれば、厚い銅層を有する高性能な半導体装置及び半導体装置の製造方法を実現できる。
【0113】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0114】
10 シリコン基板(半導体基板)
14 銅層
14a 下面
14b 上面
14c 第1の側面
14d 第2の側面
16 バリアメタル層(第1の金属層)
18 キャップメタル層(第2の金属層)
20 カバー絶縁膜(絶縁膜)
50 絶縁層
51 凹部
52 第1の金属膜
53 銅膜
54 第2の金属膜
55 第1の絶縁膜
70 キャパシタ絶縁膜
72 キャパシタ上部電極
100 LSI(半導体装置)
200 アナログデジタル混載LSI(半導体装置)
d1 第1の距離
d2 第2の距離
t1 中央部の厚さ
t2 両端部の厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13