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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138822
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】入浴剤内封用グッズ
(51)【国際特許分類】
   A63H 3/00 20060101AFI20241002BHJP
   A63H 3/16 20060101ALI20241002BHJP
   A63H 23/10 20060101ALI20241002BHJP
   A61H 33/00 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
A63H3/00 K
A63H3/16
A63H23/10 Z
A61H33/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049521
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】390020019
【氏名又は名称】レック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(72)【発明者】
【氏名】大柴 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】大谷 将好
【テーマコード(参考)】
2C150
4C094
【Fターム(参考)】
2C150CA01
2C150CA02
2C150DA20
2C150DC07
2C150DD21
2C150EB02
2C150EH09
2C150EH16
2C150FB29
2C150FB43
2C150FC01
2C150FD08
4C094BC18
4C094DD21
(57)【要約】
【課題】固形入浴剤中に内封しても、変形等が生ずることなく、湯中に目的の形状で浮遊し得るようにする。
【解決手段】ロボット玩具の形態の入浴剤内封用グッズ2は、第1のパーツ2aである前面部3と、第2のパーツ2bである後面部4とを組み合わせている。前面部3と後面部4とは相互に嵌合可能な凹凸部を有し、これらの凹凸部により合体して一体化することができる。この場合に、前面部3は比重が1よりも十分に小さく、後面部4の比重は1よりも大きいが、全体としての比重は1よりも小さくすることで、入浴剤内封用グッズ2は前面部3を上にして、湯中に浮遊する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂材から成型される第1のパーツと、前記第1のパーツより硬質である合成樹脂材から成型される第2のパーツとから構成され、固形化された粉末入浴剤中に内封される入浴剤内封用グッズであって、
前記第1のパーツと前記第2のパーツとを合体させて一体化した際に、全体の比重を1以下とし水に浮遊すると共に、各種キャラクタに模した形状となることを特徴とする入浴剤内封用グッズ。
【請求項2】
前記第1のパーツの比重は1よりも小さく、前記第2のパーツの比重は前記第1のパーツの比重よりも大きいことを特徴とする請求項1の記載の入浴剤内封用グッズ。
【請求項3】
前記第2のパーツの比重は1よりも大きいことを特徴とする請求項2の記載の入浴剤内封用グッズ。
【請求項4】
前記第2のパーツの体積を前記第1のパーツの体積よりも大きくしたことを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の入浴剤内封用グッズ。
【請求項5】
前記第1のパーツ、前記第2のパーツ同士には相互に嵌合可能な凹凸部が形成されていることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の入浴剤内封用グッズ。
【請求項6】
前記第1のパーツは前記凹凸部として複数の貫通孔又は挿入部を有し、前記第2のパーツは前記凹凸部として複数の挿入部又は貫通孔を有し、前記貫通孔に前記挿入部を挿通することで、前記第1のパーツと前記第2のパーツとを一体化することを特徴とする請求項5の記載の入浴剤内封用グッズ。
【請求項7】
前記第1のパーツと前記第2のパーツとが合体した際に、前記貫通孔を介して前記挿入部の先端部を視認できることを特徴とする請求項6に記載の入浴剤内封用グッズ。
【請求項8】
前記第1のパーツと前記第2のパーツは異なる色に着色したことを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の入浴剤内封用グッズ。
【請求項9】
前記キャラクタの細部の突片は、前記第2のパーツから突出するように成型されていることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の入浴剤内封用グッズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末入浴剤を固形化した固形入浴剤中に内封する入浴剤内封用グッズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水溶性の外殻内に、粉末入浴剤と、比重が1以下で合成樹脂製の玩具とを収容した玩具入り入浴剤が開示されている。この入浴剤を浴槽内に投入して、外殻が湯に溶解すると、外殻内の粉末入浴剤が湯中に拡散すると共に、玩具が湯面上に浮遊する。従って、幼児などはこの玩具により、浴槽内で遊ぶことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平6-3593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、外殻を使用せずに、粉末入浴剤のみを圧縮することで固形化された場合には、スポンジゴムまたはシリコンゴム等の合成柔軟材料から成り、内部に空気室を有する玩具は、圧縮されることになる。そして、時間経過と共に形状が復元し、固形化された粉末入浴剤にクラックを発生させることがある。
【0005】
従って、粉末入浴剤を保護するために、水溶性の外殻を設ける必要があるが、この外殻はコスト高になると共に、入浴剤形状が無駄に大きくなるという問題が生ずる。
【0006】
本発明の目的は、上述の課題を解消し、粉末入浴剤を圧縮して固形化する固形入浴剤に内封されても、時間の経過と共に復元力によって粉末入浴剤にクラックを発生させることのない入浴剤内封用グッズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するための本発明に係る入浴剤内封用グッズは、比重が1よりも小さく、合成樹脂材から成型される第1のパーツと、比重が1よりも大きく、前記第1のパーツより硬質である合成樹脂から成型される第2のパーツとから構成され、固形化された粉末入浴剤中に内封される入浴剤内封用グッズであって、前記第1のパーツと前記第2のパーツとを合体させて一体化した際に、全体の比重を1以下とし水に浮遊すると共に、各種キャラクタに模した形状となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る入浴剤内封用グッズによれば、比重が1より小さい第1のパーツと、比重が1より大きい第2のパーツとを一体化させて、全体の比重を1以下とすると共に、主となる第2のパーツに復元力の小さい材料を採用することで、粉末入浴剤を圧縮して固形化する固形入浴剤に内封しても、時間の経過と共にパーツの復元力による固形入浴剤にクラックが発生することはない。また、固形入浴剤中に内封した入浴剤内封用グッズは変形することなく形状をとどめ得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】固形入浴剤の断面図である。
図2】入浴剤内封用グッズの斜視図である。
図3】入浴剤内封用グッズの前面部の斜視図である。
図4】入浴剤内封用グッズの背面部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は実施例の固形入浴剤の断面図であり、水溶性の固形入浴剤1は例えば直径3~5cm程度の球形に成型された所謂バスボールである。この固形入浴剤1は粉末入浴剤Fを圧縮することで固形化したものであり、例えば、球体を成型する金型内でプレス機等を用いて、周囲から大きな圧力をかけて押し固めている。
【0011】
粉末入浴剤Fは温浴効果がある硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム等を主成分とし、必要に応じて公知の保湿剤、香料等を含有するようにしたものである。或いは、温浴効果が高い炭酸ナトリウム等の発泡剤を含有するようにしてもよい。
【0012】
固形化された固形入浴剤1の内部には、予め成型された合成樹脂製の例えば人形、動物、魚、昆虫、ロボット、自動車、船舶、航空機、主食、野菜、果物、建造物等の各種キャラクタに模した入浴剤内封用グッズ2が封入されている。
【0013】
固形入浴剤1の固形化に際しては、内部の入浴剤内封用グッズ2にも大きな圧力が印加されるため、入浴剤内封用グッズ2は変形が生じないように、隙間や内部空洞を有しない構造とすると共に、入浴剤内封用グッズ2の材料を選定している。そして、入浴剤内封用グッズ2は、全体の比重が1以下に設定され、単独で浴槽中に浮遊可能とされている。
【0014】
固形入浴剤1としては、従来から入浴時の温浴効果を高めると共に、清涼効果を得るために、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム等の中性無機塩類を主剤とする入浴剤が広く使用されている。また、入浴剤の湯中での拡散性を良くするために、炭酸ガスを発生する無基炭酸塩粉末を含有することもある。
【0015】
更に固形入浴剤1は、視覚上の効果を得るための着色剤等を含んでいてもよく、匂いによる効果を得るために芳香剤、例えば天然香料、合成香料等を含有していることが好ましい。
【0016】
入浴剤内封用グッズ2は、比重が1よりも十分に小さく、例えば熱可塑性ゴム(TPR)の合成樹脂材から成型される第1のパーツ2aと、比重が僅かに1よりも大きく、熱可塑性ゴムより硬質であって、例えばアクリロニトリル、ブタジエン、スチレンから成るABS合成樹脂から成型される第2のパーツ2bとから構成されている。
【0017】
固形入浴剤1の固形化のための加圧に際して、軟性で復元力を有する第1のパーツ2aは変形され易く、硬質性の第2のパーツ2bは変形され難い。なお、硬質性を有する第2のパーツ2bは、密度が高いため比重が1より大きくなり、第1のパーツ2aは密度が低いため比重が1より小さくなる。
【0018】
第1のパーツ2aは、圧縮の際に変形に伴う復元力が発生するため固形入浴剤1のクラックの原因となる。従って、主となる第2のパーツ2bよりも小さな体積で使用することが好ましく、復元力が小さい第2のパーツ2bは、大きな体積で特徴的な外形形状を有する部位に使用されている。
【0019】
図2は固形入浴剤1中に封入されているロボット玩具の形態の入浴剤内封用グッズ2の斜視図であり、図3に示す第1のパーツ2aである前面部3と、図4に示す第2のパーツ2bである後面部4とを組み合わせている。この場合に、前面部3は比重が1よりも十分小さく、後面部4の比重は1より若干大きい。
【0020】
従って、前面部3の体積を後面部4の体積よりも小さくしていても、全体としての比重は1よりも小さくすることが可能である。前面部3を浮きのように機能させて、入浴剤内封用グッズ2を前面部3を上にして、湯上に浮遊させることができる。
【0021】
また、手足等のキャラクタの細部の突片については、第1のパーツ2aから突出するように成型すると加圧した際に、変形した状態で固まることがある。従って、図示するように、キャラクタの細部の突片は加圧した際に変形が発生し難い第2のパーツ2bから突出するように成型されている。
【0022】
第1のパーツ2a、第2のパーツ2b同士には、相互に嵌合し合体可能な凹凸部が設けられており、入浴剤内封用グッズ2として一体に組み立てられている。なお、一体化した第1のパーツ2aと第2のパーツ2bとの間に、僅かな間隙を設けることで、粉末入浴剤Fを圧縮した際に、第1のパーツ2aと第2のパーツ2bとが密着して内封され、第1のパーツ2aによる反発力が弱めることになる。
【0023】
また、前面部3には嵌合のための凹凸部として、ロボットの眼に相当する2つの貫通孔3a、口に相当する貫通孔3b、目盛を表示し指針を設けた腹部の貫通孔3c、点灯ランプを表示する下腹部の貫通孔3dが設けられている。
【0024】
後面部4には同様に凹凸部として、前面部3の2つの貫通孔3aに挿通する目玉に相当する2つの柱状部4a、貫通孔3bに挿通する歯部4b、貫通孔3cに挿通する目盛部4c、貫通孔3dに挿通するランプ部4d等の挿入部が形成されている。更に、後面部4には、スパナ形状の手部4e、歩行用の足部4fが付設されている。
【0025】
これらの前面部3、後面部4の間を隙間なく、かつ空洞が生ずることなく、図2に示すように組み合わせて一体化すると、ロボット形態の入浴剤内封用グッズ2が得られる。前面部3の貫通孔3a~3dには、後面部4のそれぞれの挿入部が挿入され、前面部3の前方からこの挿入状態を視認でき、いかにもロボットらしさが表現される。特に、前面部3と後面部4で合成樹脂材の色を変えると、更にその表現効果は大きくなる。
【0026】
なお実施例では、前面部3である第1のパーツ2aに貫通孔を設け、後面部4である第2のパーツ2bに挿入部を設けたが、この関係は全く逆であってもよく、更には部分的に逆であってもよい。
【0027】
また、第1のパーツ2aは水に浮き易く、第2のパーツ2bは水に沈み易いので、入浴剤内封用グッズ2の形態の特徴に合わせて、第1のパーツ2aと第2のパーツ2bの特性を使い分けることもできる。例えば、入浴剤内封用グッズ2が怪獣の模型であれば、頭部には主に第1のパーツ2aを用い、胴体には主に第2のパーツ2bを使用すると、怪獣は湯面上に頭部を現しながら浮遊することになる。或いは、潜水艦を入浴剤内封用グッズ2にした場合には、底部に主に第2のパーツ2bを使用し、上部に主に第1のパーツ2aを用いれば、潜水艦は上部を上にして湯面を浮遊することができる。
【0028】
更には、第1のパーツ2aと第2のパーツ2bとを形状、色を違えて複数個ずつ成型し、これらを凹凸部を用いて組み合わせることにより、種々の形態の入浴剤内封用グッズ2が得られる。
【0029】
使用に際して、この入浴剤内封用グッズを浴槽に投入すると、固形入浴剤1は一旦は湯中に沈下するが、入浴剤は徐々に湯中に溶出する。この固形入浴剤1の溶解に伴い、比重が1よりも小さな入浴剤内封用グッズ2は湯中から浮上し、湯面上を浮遊することになる。
【0030】
実施例の入浴剤内封用グッズによれば、固形入浴剤1による従来と同様の薬用効果が得られる。固形入浴剤1の外観からは、どのような形態の入浴剤内封用グッズ2が内封されているかは知り得ない。
【0031】
従って、幼児などは、どのような入浴剤内封用グッズ2が現れるかの期待感を持ち、浮揚した入浴剤内封用グッズ2で遊ぶことができ、入浴がより楽しくなる。また、入浴剤内封用グッズ2をシリーズ化すれば、コレクションとしても楽しむこともできる。
【0032】
なお、第2のパーツ2bはABS合成樹脂以外に、熱可塑性ゴムから成型される第1のパーツ2aよりも硬質なポリプロピレン樹脂(PP)等の合成樹脂材を採用してもよい。更には、第2のパーツ2bを第1のパーツ2aよりも比重が大きい合成樹脂材を採用することもできる。
【0033】
本発明に係る入浴剤内封用グッズによれば、比重が1より小さい第1のパーツ2aと、比重が1より大きい第2のパーツ2bとを一体化させて、全体の比重を1以下とすると共に、主となる第2のパーツ2bに復元力の小さい材料を採用することで、粉末入浴剤Fを圧縮して固形化する固形入浴剤1に内封しても、時間の経過と共にパーツの復元力による固形入浴剤1にクラックが発生することはない。また、固形入浴剤1中に内封した入浴剤内封用グッズ2は変形することなく形状をとどめ得る。
【符号の説明】
【0034】
1 固形入浴剤
2 入浴剤内封用グッズ
2a 第1のパーツ
2b 第2のパーツ
3a、3b、3c、3d 貫通孔
図1
図2
図3
図4