(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138824
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】電気光学装置、および電子機器
(51)【国際特許分類】
H10K 59/179 20230101AFI20241002BHJP
H10K 50/856 20230101ALI20241002BHJP
H10K 50/852 20230101ALI20241002BHJP
H10K 59/122 20230101ALI20241002BHJP
H10K 59/35 20230101ALI20241002BHJP
H10K 50/81 20230101ALI20241002BHJP
H10K 50/82 20230101ALI20241002BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
H10K59/179
H10K50/856
H10K50/852
H10K59/122
H10K59/35
H10K50/81
H10K50/82
G09F9/30 338
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049525
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】窪田 岳彦
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC41
3K107CC45
3K107DD03
3K107DD10
3K107DD22
3K107DD27
3K107DD39
3K107DD58
3K107DD89
3K107EE33
3K107FF06
3K107FF15
5C094AA43
5C094AA55
5C094BA27
5C094DA13
5C094DB01
5C094EA04
5C094EA07
5C094ED11
5C094FA02
5C094HA08
(57)【要約】
【課題】品質の低下が抑制された電気光学装置、および電子機器を提供する。
【解決手段】電気光学装置は、基板と、対向電極と、第1画素電極と、第1波長域の光を発する第1発光層を含む第1発光機能層とを有する第1発光素子と、第1コンタクト部と、対向電極と、第2画素電極と、第1波長域と異なる第2波長域の光を発する第2発光層を含む第2発光機能層とを有する第2発光素子と、第2コンタクト部と、第1開口部と第2開口部とを有する画素分離層とを備え、第1画素電極は、第1電極部と、第1コンタクト部と重なる第1接続部とを有し、第2画素電極は、第2電極部と、第2コンタクト部と重なる第2接続部とを有し、第1接続部は、第1電極部よりも対向電極の近く位置する部分を有し、第2接続部は、第2電極部よりも対向電極の近く位置する部分を有し、第1接続部の第1方向での位置と第2接続部の第1方向での位置とは、互いに等しい。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1駆動回路および第2駆動回路が設けられる基板と、
前記基板に対して第1方向に位置し、半透過性を有する対向電極と、透光性を有する第1画素電極と、第1波長域の光を発する第1発光層を含み、前記第1画素電極と前記対向電極との間に配置される第1発光機能層と、を有する第1発光素子と、
前記第1駆動回路と電気的に接続された第1コンタクト部と、
前記対向電極と、透光性を有する第2画素電極と、前記第1波長域と異なる第2波長域の光を発する第2発光層を含み、前記第2画素電極と前記対向電極との間には配置される第2発光機能層と、を有する第2発光素子と、
前記第2駆動回路と電気的に接続された第2コンタクト部と、
第1開口と第2開口とを有し、前記第1画素電極と前記第2画素電極とを絶縁する画素分離層と、
を備え、
前記第1画素電極は、前記第1開口で前記第1発光機能層と接触する第1電極部と、前記第1方向に見て前記第1コンタクト部と重なり、前記第1コンタクト部と電気的に接続された第1接続部と、を有し、
前記第2画素電極は、前記第2開口で前記第2発光機能層と接触する第2電極部と、前記第1方向に見て前記第2コンタクト部と重なり、前記第2コンタクト部と電気的に接続された第2接続部と、を有し、
前記第1接続部は、前記第1電極部よりも前記基板から離間する部分を有し、
前記第2接続部は、前記第2電極部よりも前記基板から離間する部分を有し、
前記第1接続部の前記第1方向での位置と前記第2接続部の前記第1方向での位置とは、互いに等しい、
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記基板から前記第1画素電極までの距離と、前記基板から前記第2画素電極までの距離とは、互いに異なる、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記第1波長域の光を共振させる第1光共振構造と、
前記第2波長域の光を共振させる第2光共振構造と、をさらに備える、
請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
第1反射層と、
前記第1反射層と前記第1発光素子との間に配置され、前記第1反射層と前記対向電極との間の第1光学距離を調整する第1光学調整層と、
第2反射層と、
前記第1光学調整層と厚みが異なり、前記第2反射層と前記第2発光素子との間に配置され、かつ前記第2反射層と前記対向電極との間の第2光学距離を調整する第2光学調整層と、
を備え、
前記第1波長域の光は、前記第1反射層と前記対向電極との間で共振し、前記対向電極から出射され、
前記第2波長域の光は、前記第2反射層と前記対向電極との間で共振し、前記対向電極から出射される、
請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記画素分離層は、前記第1方向に見て前記第1接続部および前記第2接続部に重なる、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記第1発光層は、前記第1方向に見て前記第2開口に重ならず、
前記第2発光層は、前記第1方向に見て前記第1開口に重ならない、
請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項7】
請求項1に記載の電気光学装置と、
前記電気光学装置の動作を制御する制御部と、を有することを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置、および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置および有機エレクトロルミネッセンス表示装置等の電気光学装置が知られている。かかる装置の一例として、特許文献1に記載の電気光学装置が挙げられる。
【0003】
当該文献の電気光学装置は、基板と、サブ画素ごとに設けられた発光素子と、を備える。基板には、供給回路が設けられる。発光素子は、画素電極と発光機能層と対向電極とを備える。画素電極と発光機能層と対向電極とは、この順に積層される。また、供給回路と画素電極とはコンタクトを介して電気的に接続される。画素電極は、コンタクトに接触する部分と、光が透過する開口部とを有する。画素電極のコンタクトに接触する部分は、開口部よりも積層方向において突出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の電気光学装置では、積層方向における画素電極の位置がサブ画素ごとに異なる。よって、画素電極のうちコンタクトに接触する部分の積層方向における位置は、サブ画素ごとに異なる。
【0006】
特許文献1に記載の電気光学装置において、発光機能層を発光色ごとに塗分けることを考える。発光機能層を発光色ごとに塗分ける場合、例えばマスクを用いた蒸着法等により画素電極上に発光色ごとに対応する発光機能層が形成される。当該蒸着法では、塗分けたい所望の開口部に対応する開口を有するマスクが、画素電極のうちコンタクトに接触する部分上に配置される。この場合、特許文献1に記載の電気光学装置のように、画素電極のうちコンタクトに接触する部分における積層方向の位置がサブ画素ごとに異なると、マスクの浮きおよび歪みが発生するおそれがある。マスクに浮きおよび歪みが生じると、発光機能層のサブ画素ごとの成膜の位置精度が低下するおそれがある。この結果、発光機能層の膜厚の不均一性が生じるおそれがある。よって、電気光学装置の品質が低下するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、本発明の好適な態様に係る電気光学装置は、第1駆動回路および第2駆動回路が設けられる基板と、前記基板に対して第1方向に位置し、半透過性を有する対向電極と、透光性を有する第1画素電極と、第1波長域の光を発する第1発光層を含み、前記第1画素電極と前記対向電極との間に配置される第1発光機能層と、を有する第1発光素子と、前記第1駆動回路と電気的に接続された第1コンタクト部と、前記対向電極と、透光性を有する第2画素電極と、前記第1波長域と異なる第2波長域の光を発する第2発光層を含み、前記第2画素電極と前記対向電極との間には配置される第2発光機能層と、を有する第2発光素子と、前記第2駆動回路と電気的に接続された第2コンタクト部と、第1開口と第2開口とを有し、前記第1画素電極と前記第2画素電極とを絶縁する画素分離層と、を備え、前記第1画素電極は、前記第1開口で前記第1発光機能層と接触する第1電極部と、前記第1方向に見て前記第1コンタクト部と重なり、前記第1コンタクト部と電気的に接続された第1接続部と、を有し、前記第2画素電極は、前記第2開口で前記第2発光機能層と接触する第2電極部と、前記第1方向に見て前記第2コンタクト部と重なり、前記第2コンタクト部と電気的に接続された第2接続部と、を有し、前記第1接続部は、前記第1電極部よりも前記基板から離間する部分を有し、前記第2接続部は、前記第2電極部よりも前記基板から離間する部分を有し、前記第1接続部の前記第1方向での位置と前記第2接続部の前記第1方向での位置とは、互いに等しい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態における電気光学装置を示す平面図である。
【
図3】
図1の電気光学装置の1画素の平面的な概略図である。
【
図5】
図4に示す赤色の波長域に対応するサブ画素の一部を示す図である。
【
図6】
図4に示す緑色の波長域に対応するサブ画素の一部を示す図である。
【
図7】
図4に示す青色の波長域に対応するサブ画素の一部を示す図である。
【
図8】
図4に示す発光層の製造方法の説明するための図である。
【
図10】電子機器の一例である虚像電気光学装置の一部を模式的に示す平面図である。
【
図11】電子機器の一例であるパーソナルコンピューターを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法や縮尺は実際のものと適宜異なり、理解を容易にするために模式的に示す部分もある。また、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
【0010】
また、要素αと要素βとの「電気的な接続」は、要素αと要素βとが直接的に接合されることで導通する構成のほか、要素αと要素βとが他の導電体を介して間接的に導通する構成も含まれる。また、「要素α上の要素β」とは、要素αと要素βとが直接的に接触している構成のほか、要素αと要素βとが他の要素を介して間接的に接触している構成も含まれる。また、「要素αと要素βとが等しい」とは、要素αと要素βとが実質的に等しければよく、製造誤差の範囲を含む。
【0011】
1.実施形態
1A.電気光学装置の基本構成
図1は、実施形態における電気光学装置100を示す平面図である。以下では、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を適宜用いて説明する。また、X軸に沿う一方向をX1方向といい、X1方向とは反対の方向をX2方向という。同様に、Y軸に沿う一方向をY1方向といい、Y1方向とは反対の方向をY2方向という。Z軸に沿う一方向をZ1方向といい、Z1方向とは反対の方向をZ2方向という。また、Z1方向は「第1方向」に相当する。「第1方向」に見ること、すなわちZ1方向またはZ2方向に見ることを「平面視」という。また、光透過性とは、可視光に対する透過性を意味し、好ましくは可視光の透過率が50%以上であることをいう。また、光反射性とは、可視光に対する反射性を意味し、好ましくは可視光の反射率が50%以上であることをいう。
【0012】
図1に示す電気光学装置100は、例えばフルカラーの画像を表示する有機EL(エレクトロルミネッセンス)装置である。なお、画像には、文字情報のみを表示するものが含まれる。電気光学装置100は、例えば、ヘッドマウントディスプレイにおいて画像を表示するマイクロディスプレイとして好適に用いられる。
【0013】
電気光学装置100は、表示領域A10と周辺領域A20とを有する。表示領域A10は、画像を表示する領域である。表示領域A10の平面視での形状は、ほぼ四角形であるが、他の形状でもよい。周辺領域A20は、表示領域A10の外側に設けられ、表示領域A10を平面視で囲む枠状の領域である。
【0014】
表示領域A10は、複数の画素P0を含む。各画素P0は、画像の表示における最小単位である。複数の画素P0は、例えば、X軸およびY軸に沿った行列状に配置される。各画素P0は、サブ画素PBと、サブ画素PGと、サブ画素PRとを含む。サブ画素PRは、赤色の波長域の光を出射する。サブ画素PGは、緑色の波長域の光を出射する。サブ画素PBは、青色の波長域の光を出射する。赤色の波長域は、「第3波長域」の例示であり、580nmを超え、700nm以下である。緑色の波長域は、「第2波長域」の例示であり、500nm以上、580nm以下である。青色の波長域は、「第1波長域」の例示であり、400nm以上、500nm未満である。
【0015】
以下では、サブ画素PR、サブ画素PGおよびサブ画素PBを区別しない場合、サブ画素Pと表記する。サブ画素Pは、画素P0を構成する要素である。サブ画素Pは、表示する画像の最小単位である。サブ画素PR、サブ画素PG、サブ画素PBによって、カラー画像の1つの画素P0が表現される。サブ画素Pは他のサブ画素Pとは独立して制御される。本実施形態では、サブ画素Pの配列は、ストライプ配列である。
【0016】
また、以下では、サブ画素PRに関連する要素の符号の末尾に「R」を付し、サブ画素PGに関連する要素の符号の末尾に「G」を付し、サブ画素PBに関連する要素の符号の末尾に「B」を付す。なお、発光色ごとに区別しない場合には、符号の末尾の「B」、「G」および「R」を省略する。
【0017】
図1に示すように、電気光学装置100は、素子基板1と、透光性基板9と、を有する。電気光学装置100は、いわゆるトップエミッション構造である。電気光学装置100は、透光性基板9から光を出射させる。
【0018】
周辺領域A20には、データ線駆動回路101と、走査線駆動回路102と、制御回路103と、複数の外部端子104とが配置される。データ線駆動回路101および走査線駆動回路102は、各サブ画素Pに含まれる各部の駆動を制御する。制御回路103には、図示省略された上位回路から画像データが供給される。制御回路103は、当該画像データに基づく各種信号をデータ線駆動回路101および走査線駆動回路102に供給し、画像の表示を制御する。図示省略するが、外部端子104には、上位回路との電気的な接続を図るためのFPC(Flexible printed circuits)基板等が接続される。なお、電気光学装置100には、図示省略された電源回路が電気的に接続される。
【0019】
1B.電気光学装置の電気的な構成
図2は、
図1に示すサブ画素Pの等価回路図である。電気光学装置100は、複数の走査線13および複数のデータ線14を有する。
図2では、1つのサブ画素Pに対応する1つの走査線13および1つのデータ線14が図示される。走査線13はX軸に沿って延在し、データ線14はY軸に沿って延在する。なお、図示省略するが、複数の走査線13と複数のデータ線14は、格子状に配列される。また、各走査線13は
図1に示す走査線駆動回路102に接続され、各データ線14は
図1に示すデータ線駆動回路101に接続される。
【0020】
図2に示すように、サブ画素Pは、発光素子20と、駆動回路30とを含む。発光素子20は、OLED(有機発光ダイオード)で構成される。発光素子20は、画素電極23と、対向電極25と、有機層24とを有する。画素電極23は、サブ画素Pごとに設けられ、陽極として機能する。対向電極25は、複数のサブ画素Pで共通であり、陰極として機能する。有機層24は、画素電極23と対向電極25との間に配置される。発光素子20では、画素電極23から供給される正孔と、対向電極25から供給される電子とが有機層24で再結合することにより、有機層24が光を発生させる。対向電極25には、給電線16が電気的に接続される。給電線16には、図示省略されたい電源回路から低位側の電位Vctが供給される。画素電極23は他の画素電極23とは独立して互いに異なるように設定可能である。
【0021】
駆動回路30は、発光素子20の駆動を制御する画素回路であり、画素電極23に供給される電流量を制御する。駆動回路30は、スイッチング用トランジスター31と、駆動用トランジスター32と、保持容量33とを有する。スイッチング用トランジスター31のゲートは、走査線13に電気的に接続される。また、スイッチング用トランジスター31のソースまたはドレインの一方が、データ線14に電気的に接続され、他方が、駆動用トランジスター32のゲートに電気的に接続される。また、駆動用トランジスター32のソースまたはドレインの一方が、給電線15に電気的に接続され、他方が、画素電極23に電気的に接続される。なお、給電線15には、図示省略された電源回路から高位側の電位Velが供給される。また、保持容量33の一方の電極は、駆動用トランジスター32のゲートに接続され、他方の電極は、給電線15に接続される。
【0022】
走査線駆動回路102が走査信号をアクティブにすることで走査線13が選択されると、選択されるサブ画素Pに設けられるスイッチング用トランジスター31がオンする。すると、データ線14からデータ信号が、選択される走査線13に対応する駆動用トランジスター32に供給される。駆動用トランジスター32は、供給されるデータ信号の電位、すなわちゲートおよびソース間の電位差に応じた電流を発光素子20に対して供給する。そして、発光素子20は、駆動用トランジスター32から供給される電流の大きさに応じた輝度で発光する。また、走査線駆動回路102が走査線13の選択を解除してスイッチング用トランジスター31がオフした場合、駆動用トランジスター32のゲートの電位は、保持容量33により保持される。このため、発光素子20は、スイッチング用トランジスター31がオフした後も発光が可能である。
【0023】
なお、前述の駆動回路30の構成は、図示の構成に限定されない。例えば、駆動回路30は、画素電極23と駆動用トランジスター32との間の導通を制御するトランジスターをさらに備えてもよい。
【0024】
1C.画素P0における平面的な配置
図3は、
図1に示す電気光学装置100の1画素P0の平面的な概略図である。
図3では、1つの画素P0の要素が代表的に図示される。
【0025】
図3に示すように、素子基板1は、画素P0ごとに、発光素子20R、発光素子20G、および発光素子20Bの組を有する。発光素子20Rは、サブ画素PRに設けられる発光素子20である。発光素子20Gは、サブ画素PGに設けられる発光素子20である。発光素子20Bは、サブ画素PBに設けられる発光素子20である。
【0026】
発光素子20Rには、画素電極23Rが設けられる。画素電極23Rは、サブ画素PRに設けられる画素電極23である。発光素子20Gには、画素電極23Gが設けられる。画素電極23Gは、サブ画素PGに設けられる画素電極23である。発光素子20Bには、画素電極23Bが設けられる。画素電極23Bは、サブ画素PBに設けられる画素電極23である。
【0027】
発光素子20Rは、発光領域ARを有する。発光領域ARからは、赤色の波長域の光が発せられる。発光素子20Gは、発光領域AGを有する。発光領域AGからは、緑色の波長域の光が発せられる。発光素子20Bは、発光領域ABを有する。発光領域ABからは、青色の波長域の光が発せられる。
【0028】
隣り合う2つの発光領域A同士の間の距離L0は、図示の例では、互いに等しいが、互いに異なっていてもよい。例えば、距離L0は、発光領域ARと発光領域AGとの間の最短距離である。また、例えば、距離L0は、発光領域AGと発光領域ABとの間の最短距離である。また、複数の発光領域AのピッチL1、すなわち中心間距離は、図示の例では、互いに等しいが、互いに異なっていてもよい。
【0029】
また、
図3に示す例では、発光領域AR、発光領域AGおよび発光領域ABのそれぞれの平面視での形状は、四角形であるが、八角形等の他の多角形でもよいし、円形でもよい。また、発光領域AR、発光領域AGおよび発光領域ABの平面視での形状は、互いに異なってもよいし、互いに等しくてもよい。
【0030】
1D.画素P0における断面構造
図4は、
図1の電気光学装置100の断面図である。なお、
図4では、説明の便宜上、サブ画素PB、PGおよびPRが有する各要素を1つの断面に示す。
【0031】
図4に示すように、電気光学装置100は、素子基板1と、接着層90と、透光性基板9とを含む。素子基板1は、基板10と、反射層21Rと、反射層21Gと、反射層21Bと、積層体22と、画素電極23Rと、画素電極23Gと、画素電極23Bと、有機層24と、対向電極25と、封止層26と、画素分離層27と、着色層5とを含む。
【0032】
基板10は、平板状の基部11と、無機絶縁層12とを含む。基部11は、例えば、シリコン基板で構成される。無機絶縁層12は、複数の層間絶縁膜を含む。各層間絶縁膜は、酸化ケイ素等のケイ素を含む無機材料を含む。基板10には、前述の駆動回路30が設けられる。サブ画素PRに設けられる駆動回路30は、駆動回路30Rであり、画素電極23Rに供給される電流量を制御する。サブ画素PGに設けられる駆動回路30は、駆動回路30Gであり、画素電極23Gに供給される電流量を制御する。サブ画素PBに設けられる駆動回路30は、駆動回路30Bであり、画素電極23Bに供給される電流量を制御する。
【0033】
なお、駆動回路30の一部は、基部11の一部に形成されてもよい。また、基板10に設けられる各種配線等は、例えば、アルミニウム(Al)等の金属、または窒化チタン等の金属化合物を含み、単層でも複数層であってもよい。
【0034】
基板10上には、画素P0ごとに、反射層21R、反射層21G、および反射層21Bが配置される。反射層21R、反射層21G、および反射層21Bは、互いに離間して配置される。反射層21Rは、サブ画素PRに設けられる。反射層21Rは、基板10と画素電極23Rとの間に設けられ、画素電極23Rと対向する。反射層21Gは、サブ画素PGに設けられる。反射層21Gは、基板10と画素電極23Gとの間に設けられ、画素電極23Gと対向する。反射層21Bは、サブ画素PBに設けられる。反射層21Bは、基板10と画素電極23Bとの間に設けられ、画素電極23Bと対向する。
【0035】
各反射層21は、光反射性を有する。各反射層21の材料としては、例えば、アルミニウム、および銀(Ag)等の金属、あるいはこれらの金属の合金が挙げられる。例えば、各反射層21は、アルミニウム膜と窒化チタン膜との積層体で構成される。反射層21R、反射層21G、および反射層21Bの各厚みは、特に限定されないが、例えば、100nm以上200nm以下である。
【0036】
また、反射層21Rは、図示しないコンタクトを介して駆動回路30Rに電気的に接続される。反射層21Gは、図示しないコンタクトを介して駆動回路30Gに電気的に接続される。反射層21Bは、図示しないコンタクトを介して駆動回路30Bに電気的に接続される。
【0037】
複数の反射層21上には、積層体22が配置される。積層体22は、増反射膜221、絶縁膜222、第1透光層224、第2透光層225、および第3透光層226を含む。積層体22は、後述の光学距離Lの調整のために設けられる。
【0038】
複数の反射層21上には、増反射膜221が配置される。増反射膜221は、反射層21の光反射性を高めるために設けられる。増反射膜221は、光透過性および絶縁性を有する。増反射膜221は、例えば、酸化シリコン(SiOx)を含む。増反射膜221の厚みは、例えば、20nm50nm以下である。
【0039】
増反射膜221上には、絶縁膜222が配置される。絶縁膜222は、複数の反射層21を互いに分離させ、互いに絶縁する。なお、絶縁膜222は、反射層21をサブ画素Pごとに分割している。また、絶縁膜222は、隣り合う2つの反射層21内に配置される凹部222aを有する。凹部222aの内部は、埋込部223によって埋められている。絶縁膜222および埋込部223は、例えば、窒化シリコンを含む。絶縁膜222の厚みは、例えば、20nm50nm以下である。
【0040】
絶縁膜222上には、第1透光層224、第2透光層225、および第3透光層226が積層される。第1透光層224、第2透光層225、および第3透光層226は、透光性および絶縁性を有し、各反射層21と対向電極25との間における光学距離Lを調整するために設けられる。
【0041】
第1透光層224は、サブ画素PR、PGおよびPBに一様に配置される。第2透光層225は、サブ画素PRに配置され、サブ画素PGおよびPBには配置されない。第3透光層226は、サブ画素PRおよびPGに配置され、サブ画素PBには配置されない。第1透光層224、第2透光層225、および第3透光層226の各材料としては、例えば、酸化ケイ素および窒化ケイ素等の無機ケイ素材料が挙げられる。第1透光層224の厚みは、例えば、20nm50nm以下である。第2透光層225の厚みは、例えば、30nm80nm以下である。第3透光層226の厚みは、例えば、30nm150nm以下である。
【0042】
かかる積層体22は、光学調整層220Rと光学調整層220Gと光学調整層220Bとを含む。光学調整層220Rは、積層体22のうちサブ画素PRに対応する部分であって、反射層21Rと発光素子20Rとの間に配置される。光学調整層220Rは、増反射膜221、絶縁膜222、第1透光層224、第2透光層225、および第3透光層226を含む。また、光学調整層220Gは、積層体22のうちサブ画素PGに対応する部分であって、反射層21Gと発光素子20Gとの間に配置される。光学調整層220Gは、増反射膜221、絶縁膜222、第1透光層224、および第3透光層226を含む。また、光学調整層220Bは、積層体22のうちサブ画素PBに対応する部分であって、反射層21Bと発光素子20Bとの間に配置される。光学調整層220Bは、増反射膜221、絶縁膜222、および第1透光層224を含む。
【0043】
光学調整層220R、光学調整層220Gおよび光学調整層220Bの各Z1方向の長さ、すなわち各厚みは、互いに異なる。具体的には、光学調整層220Rの厚み、光学調整層220Gの厚み、および光学調整層220Bの厚みは、この順に小さくなる。
【0044】
光学調整層220Rは、光学距離LRを調整する層である。光学距離LRは、反射層21Rと対向電極25との間の光学的な距離である。具体的には、光学距離LRは、反射層21Rの画素電極23Rを向く面と、対向電極25の画素電極23Rとは反対の面との間における光学的な距離である。光学調整層220Gは、光学距離LGを調整する層である。光学距離LGは、反射層21Gと対向電極25との間の光学的な距離である。具体的には、光学距離LGは、反射層21Gの画素電極23Gを向く面と、対向電極25の画素電極23Gとは反対の面との間における光学的な距離である。光学調整層220Bは、光学距離LBを調整する層である。光学距離LBは、反射層21Bと対向電極25との間の光学的な距離である。具体的には、光学距離LBは、反射層21Bの画素電極23Bを向く面と、対向電極25の画素電極23Bとは反対の面との間における光学的な距離である。
【0045】
積層体22上には、複数の画素電極23が配置される。画素P0ごとに、画素電極23R、23Gおよび23Bが設けられる。各画素電極23は、平面視で、対応する反射層21に重なる。各画素電極23は、光透過性および導電性を有する。画素電極23の材料としては、ITO(Indium Tin Oxide)およびIZO(Indium Zinc Oxide)等の透明導電材料が挙げられる。
【0046】
積層体22上には、画素分離層27が配置される。画素分離層27は、開口270R、270G、および270Bを有し、各画素電極23の一部を覆う。画素分離層27によって、複数の画素電極23は互いに絶縁される。また、画素分離層27が有する複数の開口270により、
図3に示す複数の発光領域Aが規定される。
【0047】
また、有機層24と画素電極23とが接する領域として発光領域Aを規定することもできる。具体的には、開口270Rで画素電極24Rと発光機能層200Rとが接触しており、画素電極24Rと発光機能層200Rとが接触する領域が発光領域ARである。開口270Gで画素電極24Gと発光機能層200Gとが接触しており、画素電極24Gと発光機能層200Gとが接触する領域が発光領域AGである。開口270Bで画素電極24Bと発光機能層200Bとが接触しており、画素電極24Bと発光機能層200Bとが接触する領域が発光領域ABである。
【0048】
また、画素分離層27の材料としては、例えば、酸化ケイ素および窒化ケイ素等のケイ素系の無機材料が挙げられる。画素分離層27の厚みは、例えば、10nm以上40nm以下である。
【0049】
複数の画素電極23上には、有機層24が配置される。有機層24は、有機発光材料を含む。有機層24は、発光色ごとに異なる発光機能層200を有する。具体的には、有機層24は、サブ画素PRに対応する発光機能層200Rと、サブ画素PGに対応する発光機能層200Gと、サブ画素PBに対応する発光機能層200Bと、を含む。
【0050】
発光機能層200Rは、画素電極23Rと対向電極25との間に配置され、画素電極23Rおよび対向電極25に接する。発光機能層200Gは、画素電極23Gと対向電極25との間に配置され、画素電極23Gおよび対向電極25に接する。発光機能層200Bは、画素電極23Rと対向電極25との間に配置され、画素電極23Rおよび対向電極25に接する。
【0051】
また、発光機能層200には、発光色ごとに異なる発光層244が設けられる。具体的には、発光機能層200Rは、赤色の波長域の光を発する発光層244Rを含む。発光機能層200Gは、赤色の波長域の光を発する発光層244Gを含む。発光機能層200Bは、赤色の波長域の光を発する発光層244Bを含む。発光層244R、244Gおよび244Bは、互いに異なる有機発光材料を含む。
【0052】
有機層24上には、対向電極25が配置される。対向電極25は、有機層24と着色層5との間に配置される。対向電極25は、半透過性を有する半透過反射膜である。よって、対向電極25は、光反射性および光透過性を有する。また、対向電極25は、導電性を有する。対向電極25は、例えば、MgAg等のAgを含む合金で形成される。
【0053】
画素電極23Rと発光機能層200Rと対向電極25とによって発光素子20Rが構成される。画素電極23Gと発光機能層200Gと対向電極25とによって発光素子20Gが構成される。画素電極23Bと発光機能層200Bと対向電極25とによって発光素子20Bが構成される。
【0054】
また、反射層21Rと対向電極25とによって光共振構造29Rが構成される。光共振構造29Rは、発光素子20Rに対応して設けられる。光共振構造29Rは、赤色の波長域の光を反射層21Rと対向電極25との間で多重反射させる。よって、赤色の波長域の光は、反射層21Rと対向電極25との間で共振し、対向電極25から出射される。
【0055】
反射層21Gと対向電極25とによって光共振構造29Gが構成される。光共振構造29Gは、発光素子20Gに対応して設けられる。光共振構造29Gは、緑色の波長域の光を反射層21Gと対向電極25との間で多重反射させる。よって、緑色の波長域の光は、反射層21Gと対向電極25との間で共振し、対向電極25から出射される。
【0056】
反射層21Bと対向電極25とによって光共振構造29Bが構成される。光共振構造29Bは、発光素子20Bに対応して設けられる。光共振構造29Bは、青色の波長域の光を反射層21Bと対向電極25との間で多重反射させる。よって、青色の波長域の光は、反射層21Bと対向電極25との間で共振し、対向電極25から出射される。
【0057】
光共振構造29R、29G、および29Bの各共振波長をλ0とするとき、次のような関係式[1]が成り立つ。なお、関係式[1]中のΦ(ラジアン)は、反射層21R、21G、または21Bと対向電極25との間での透過および反射の際に生じる位相シフトの総和を表す。
{(2×L0)/λ0+Φ}/(2π)=m0(m0は整数)・・・・・[1]
所定の波長域の光のピーク波長が波長λ0となるよう、光学距離LR、LG、およびLBが設定される。この設定により、所定の波長域の光が増強され、当該光の高強度化およびスペクトルの狭幅化が図られることができる。
【0058】
対向電極25上には、光透過性を有する封止層26が配置される。封止層26は、複数の発光素子20を保護する。封止層26は、ガスバリア性を有しており、例えば、下層の各部を外部の水分または酸素等から保護する。封止層26が設けられていることで、封止層26が設けられていない場合に比べ、発光素子20の劣化を抑制することができる。このため、電気光学装置100の品質信頼性を高めることができる。封止層26は、例えば、酸窒化シリコン(SiON)等の無機材料、またはエポキシ樹脂等の樹脂材料を含み、単層または複数層で構成される。
【0059】
封止層26上には、着色層5が配置される。着色層5は、所定の波長域の光を選択的に透過させるカラーフィルターである。当該所定の波長域は、発光色ごとのピーク波長λ0を含む。着色層5は、着色部51Rと、着色部51Gと、着色部51Bとを有する。着色部51Rは、サブ画素PRに対応して設けられ、赤色の波長域の光を選択的に透過させる。着色部51Gは、サブ画素PGに対応して設けられ、緑色の波長域の光を選択的に透過させる。着色部51Bは、サブ画素PBに対応して設けられ、青色の波長域の光を選択的に透過させる。かかる着色層5を備えることで、着色層5を備えていない場合に比べ、各サブ画素Pから発せられる光の色純度を高めることができる。着色層5は、例えば、色材を含むアクリル系の感光性樹脂材料等の樹脂材料で構成される。当該色材は、顔料または染料である。
【0060】
以上の素子基板1上には、接着層90を介して透光性基板9が接合される。接着層90は、例えば、エポキシ樹脂、およびアクリル樹脂等の樹脂材料を用いた透明な接着剤である。透光性基板9は、素子基板1を保護するカバーである。透光性基板9は、例えばガラス基板または石英基板で構成される。
【0061】
図5は、
図4に示す赤色の波長域に対応するサブ画素PRの一部を示す図である。
図6は、
図4に示す緑色の波長域に対応するサブ画素PGの一部を示す図である。
図7は、
図4に示す青色の波長域に対応するサブ画素PBの一部を示す図である。
【0062】
図5、6および7に示すように、積層体22には、コンタクト部28R、28Gおよび28Bが設けられる。コンタクト部28R、28Gおよび28Bのそれぞれは、増反射膜221、絶縁膜222および第1透光層224を貫通する貫通孔であるコンタクトホールの内壁面に沿って設けられるトレンチ型の電極である。コンタクト部28R、28Gおよび28Bのそれぞれは、トレンチ型の電極であるため、凹凸を有する。
【0063】
図5に示すコンタクト部28Rは、反射層21Rと画素電極23Rとを電気的に接続する。よって、コンタクト部28Rは、駆動回路30Rと画素電極23Rとを電気的に接続する。
図6に示すコンタクト部28Gは、反射層21Gと画素電極23Gとを電気的に接続する。よって、コンタクト部28Gは、駆動回路30Gと画素電極23Gとを電気的に接続する。
図7に示すコンタクト部28Bは、反射層21Bと画素電極23Bとを電気的に接続する。よって、コンタクト部28Bは、駆動回路30Bと画素電極23Bとを電気的に接続する。
【0064】
コンタクト部28の材料としては、例えば、タングステン(W)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、鉄(Fe)およびアルミニウム等の金属、金属窒化物ならびに金属シリサイド等を含む。
【0065】
図5、6および7に示すように、コンタクト部28と第1透光層224との間には絶縁性の保護膜280が配置される。保護膜280の材料としては、例えば、酸化ケイ素等の無機ケイ素材料が挙げられる。
【0066】
画素電極23R、23Gおよび23Bのそれぞれは、電極部231と接続部232とを含む。したがって、
図5に示す画素電極23Rは、電極部231Rと接続部232Rとを含む。電極部231Rは、開口270Rで
図4に示す発光機能層200Rと接触する。
図5に示す接続部232Rは、平面視でコンタクト部28Rと重なる。また、接続部232Rは、コンタクト部28Rと接触する部分を含む。接続部232Rは、コンタクト部28Rと同様に凹凸を有する。接続部232Rは、電極部231Rよりも基板10から離間する部分2320を有する。したがって、接続部232Rの部分2320は、電極部231RよりもZ1方向に位置する。
【0067】
同様に、
図6に示す画素電極23Gは、電極部231Gと接続部232Gとを含む。電極部231Gは、開口270Gで
図4に示す発光機能層200Gと接触する。
図6に示す接続部232Gは、平面視でコンタクト部28Gと重なる。また、接続部232Gは、コンタクト部28Gと接触する部分を含む。接続部232Gは、コンタクト部28Gと同様に凹凸を有する。接続部232Gは、電極部231Gよりも基板10から離間する部分2320を有する。したがって、接続部232Gの部分2320は、電極部231GよりもZ1方向に位置する。
【0068】
同様に、
図7に示す画素電極23Bは、電極部231Bと接続部232Bとを含む。電極部231Bは、開口270Bで
図4に示す発光機能層200Bと接触する。
図7に示す接続部232Bは、平面視でコンタクト部28Bと重なる。また、接続部232Bは、コンタクト部28Bと接触する部分を含む。接続部232Bは、コンタクト部28Bと同様に凹凸を有する。接続部232Bは、電極部231Bよりも基板10から離間する部分2320を有する。したがって、接続部232Bの部分2320は、電極部231BよりもZ1方向に位置する。
【0069】
また、
図5に示す基板10から画素電極23Rまでの距離DRと、
図6に示す基板10から画素電極23Gまでの距離DGと、
図7に示す基板10から画素電極23Bまでの距離DBとは、互いに異なる。なお、距離DRは、光学調整層220Rの厚みでもある。距離DGは、光学調整層220Gの厚みでもある。距離DBは、光学調整層220Bの厚みでもある。
【0070】
距離DR、DGおよびDBが互いに異なるため、電極部231RのZ1方向の位置Z1Rと、電極部231GのZ1方向の位置Z1Gと、電極部231BのZ1方向の位置Z1Bとは、互いに異なる。具体的には、位置Z1B、Z1GおよびZ1Rは、この順にZ1方向に並ぶ。位置Z1Rは、電極部231Rの有機層24との接触面であって、電極部231Rのうち最もZ1方向に位置する部分である。位置Z1Gは、電極部231Gの有機層24との接触面であって、電極部231Gのうち最もZ1方向に位置する部分である。位置Z1Bは、電極部231Bの有機層24との接触面であって、電極部231Bのうち最もZ1方向に位置する部分である。
【0071】
また、接続部232RのZ1方向の位置Z2Rと、接続部232GのZ1方向の位置Z2Gと、接続部232BのZ1方向の位置Z2Bとは、互いに等しい。位置Z2Rは、接続部232Rの部分2320と画素分離層27との接触面であって、接続部232Rのうち最もZ1方向に位置する部分である。位置Z2Gは、接続部232Gの部分2320と画素分離層27との接触面であって、接続部232Gのうち最もZ1方向に位置する部分である。位置Z2Bは、接続部232Bの部分2320と画素分離層27との接触面であって、接続部232Bのうち最もZ1方向に位置する部分である。
【0072】
1E.発光層244の製造
図8は、
図4に示す発光層244の製造方法の説明するための図である。前述のように、有機層24は、発光色ごとに異なる発光層244を含む。発光層244は、例えば、蒸着法を用いて発光色ごとに塗分けられる。この場合、
図8に示すように、複数の画素電極23の上方にはマスクMが配置される。マスクMを用いて発光色ごとの塗分けが行われる。マスクMは、電極部231に対応する開口M0を有する。例えば、
図8に示す例では、開口M0は、電極部231Gに対応する。
【0073】
また、マスクMは、画素電極23上に設けられる有機層24の下層部24a上に配置される。下層部24aとは、有機層24のうち
図4に示す複数の発光層244よりも下層の部分である。下層部24aは、画素電極23を覆うように配置されており、下層部24aの形状は、画素電極23の形状に追従している。したがって、下層部24aでは、複数の接続部232に対応する部分が、複数の電極部231に対応する部分よりもZ1方向に位置する。
【0074】
前述のように、接続部232Rの部分2320は、電極部231RよりもZ1方向に位置する。接続部232Gの部分2320は、電極部231GよりもZ1方向に位置する。接続部232Bの部分2320は、電極部231BよりもZ1方向に位置する。このため、マスクMを用いて複数の発光層244を塗分ける場合、マスクMは下層部24aのうち複数の接続部232に対応する部分上に配置される。
【0075】
そして、前述のように、接続部232RのZ1方向側の端の位置Z2Rと、接続部232GのZ1方向側の端の位置Z2Gと、接続部232BのZ1方向側の端の位置Z2Bとは、互いに等しい。複数の接続部232同士のZ1方向での位置が互いに等しいことで、互いに異なる場合に比べ、マスクMの浮きおよび歪みが生じるおそれを抑制することができる。このため、発光層244のサブ画素Pごとの成膜の位置精度の低下を抑制することができる。この結果、発光層244の膜厚の不均一性が抑制される。よって、電気光学装置100の品質が低下するおそれがある。
【0076】
特に、サブ画素Pごとの成膜端において成膜の不均一性が生じ易い。当該端部の成膜が不均一であることに起因した異常発光が生じるおそれがある。これに対し、本実施形態では、位置Z2R、Z2GおよびZ2Bが互いに等しいことで、マスクMに浮きおよび歪みが抑制されるので、当該異常発光を抑制することができる。
【0077】
基板10から画素電極23Rまでの距離DRと、基板10から画素電極23Gまでの距離DGと、基板10から画素電極23Bまでの距離DBとは、互いに異なる。距離DR、DGおよびDBが互いに異なるため、電極部231RのZ1方向の位置Z1R、電極部231G のZ1方向の位置Z1G、および電極部231BのZ1方向の位置Z1Bは、互いに異なる。これらの位置が互いに異なっていても、複数の接続部232が存在するため、各電極部231はマスクMの浮きおよび歪みに影響を与えない。よって、位置Z1R、Z1GおよびZ1Bが互いに異なっていても発光層244の膜厚の不均一性を抑制することができる。
【0078】
また、各接続部232の下層には、各電極部231の下層よりも複数の層が配置される。このため、各接続部232は、電極部231よりも基板10から離間する部分2320を有することができる。部分2320が設けられることで、マスクMを電極部231と離間した状態で接続部232上に配置することができる。このため、マスクMと複数の電極部231との離間距離を大きくすることができる。それゆえ、例えばマスクMに異物が付着している場合であっても、当該異物が電極部231の上部に接触し難い。よって、当該異物による成膜の不具合の発生を抑制することができる。
【0079】
また、画素分離層27は、Z1方向に見て各接続部232に重なる。各接続部232上に画素分離層27が設けられることで、画素分離層27が設けられていない場合に比べ、マスクMと複数の電極部231との離間距離を大きくすることができる。よって、当該異物による成膜の不具合の発生をより効果的に抑制することができる。
【0080】
また、本実施形態では、発光色ごとに発光層244の材料が異なる。このため、発光層244が共通である場合に比べ、発光色ごとの光の発光効率を高めることができる。すなわち、本実施形態では、発光層244R、244Gおよび244Bのそれぞれが対応する色の光を発するので、白色発光を実現する発光層が共通で設けられる場合に比べ、使用しない光を減らすことができる。
【0081】
また、色ごとに発光層244が塗分けられているため、所定の色を発する発光層244は、当該所定の色以外の発光層244に平面視で重ならない。よって、発光層244Bは、平面視で発光領域AGおよびARに重ならない。発光層244Gは、平面視で発光領域ABおよびARに重ならない。発光層244Rは、平面視で発光領域ABおよびAGに重ならない。所定の色を発する発光層244が当該所定の色以外の発光層244に平面視で重ならないことで、意図しない色の発光等を避けることができる。また、所定の色を発する発光層244は、発光領域以外の領域において、当該所定の色以外の発光層244と平面視で重っていてもよい。
【0082】
また、前述のように、各発光素子20に対応する光共振構造29が設けられる。光共振構造29が設けられているため、光学距離Lは発光色ごとに異なる。このため、距離DR、DGおよびDBは互いに異なる。かかる光共振構造29を有することで距離DR、DGおよびDBは互いに異なっていても、前述のように、各電極部231はマスクMの影響を受け難い。よって、光共振構造29を有する構成において、発光層244が塗分けられた電気光学装置100を実現することができる。
【0083】
電気光学装置100が光共振構造29を有することで、光の高強度化、およびスペクトルの狭幅化による色純度の向上を図ることができる。さらに、各色に対応する発光層244が設けられているため、光の発光効率を高めることができる。このため、サブ画素Pごとに光共振構造29が設けられるとともに、サブ画素Pごとに発光層244が塗分けられていることで、非常に高効率で色純度の高い電気光学装置100を提供することができる。
【0084】
また、本実施形態では、光共振構造29は、反射層21と対向電極25とで構成され、光学距離Lは反射層21と対向電極25との間に配置される光学調整層220によって調整される。このため、各波長域の光は、反射層21と対向電極25との間で共振し、対向電極25から出射される。光学距離Lを調整する光学調整層220が設けられることで、光学距離Lの調整のために有機層24の厚みを調整する必要がない。このため、有機層24の厚みが厚くなることによる駆動電圧の上昇を抑制することができる。駆動電圧の上昇を抑制することができるので、電気光学装置100をマイクロディスプレイとして好適に用いることができる。
【0085】
なお、光学距離Lは、有機層24の厚みによって調整してもよい。この場合、色ごとに有機層24の厚みが異なる。また、光学距離Lは、画素電極23の厚みによって調整してもよい。この場合、色ごとに画素電極23の厚みが異なる。ただし、前述のように、駆動電圧の観点から、光学距離Lは光学調整層220の厚みによって調整されることが最も好ましい。
【0086】
1F.有機層24
図9は、
図4に示す電気光学装置100の概略図である。前述のように、
図9に示すように、有機層24は、複数の画素電極23と対向電極25との間に配置される。有機層24は、正孔注入層241、正孔輸送層242、電子ブロッキング層243、発光部240と、ホールブロッキング層245、電子輸送層246、および電子注入層247を含む。正孔注入層241、正孔輸送層242、電子ブロッキング層243、発光部240、ホールブロッキング層245、電子輸送層246、および電子注入層247は、この順に積層される。
【0087】
正孔注入層241は、HILと略される。正孔輸送層242は、HTLと略される。電子ブロッキング層243は、EBLと略される。発光層244は、EMLと略される。ホールブロッキング層は、HBLと略される。電子輸送層246は、ETLと略される。電子注入層247は、EILと略される。なお、
図9に示す有機層24は一例であっって、発光部240以外の各層は適宜省略されてもよい。また、
図5に示す各層以外の層が設けられてもよい。
【0088】
正孔注入層241は、陽極である各画素電極23に接触しており、各画素電極23から正孔を注入させる層である。正孔輸送層242は、正孔を発光部240に輸送する層である。電子ブロッキング層243は、正孔を輸送するとともに、電子および発光層244で生成された励起子の各移動を阻止する層である。また、電子注入層247は、陰極である対向電極25に接触しており、対向電極25から電子を注入させる層である。電子輸送層246は、電子を発光部240に輸送する層である。ホールブロッキング層245は、電子を輸送するとともに、正孔および励起子の各移動を阻止する層である。かかる各層の材料は、公知の材料を用いることができる。
【0089】
発光部240は、色ごとに異なる発光層244を含み、色ごとに塗分けられている。具体的には、発光部240は、発光層244R、発光層244Gおよび発光層244Bを含む。発光層244Rは、赤色の波長域の光を発する。発光層244Gは、緑色の波長域の光を発する。発光層244Rは、青色の波長域の光を発する。なお、発光層244R、発光層244Gおよび発光層244を区別しない場合、発光層244と称する。各発光層244では、正孔と電子とが再結合し、この再結合に際して放出されたエネルギーにより励起子が生成され、励起子が基底状態に戻る際に蛍光またはリン光を発する。
【0090】
また、各発光層244は、例えば、ホスト材料と、各色に対応するドーパント材料としてのリン光材料または蛍光材料とを含む。発光層244Rは、赤色の波長域に対応するドーパント材料を含み、当該ドーパント材料は光の発光効率の観点からリン光材料であることが好ましい。発光層244Gは、緑色の波長域に対応するドーパント材料を含み、当該ドーパント材料は光の発光効率の観点からリン光材料であることが好ましい。発光層244Bは、青色の波長域に対応するドーパント材料を含む。当該ドーパント材料は光の発光効率の観点からリン光であることが好ましいが、材料の選択を広げる観点から蛍光であってもよい。なお、発光層244Rおよび244Gのそれぞれも蛍光材料を含んでもよい。
【0091】
かかる有機層24は、発光機能層200Rと、発光機能層200Gと、発光機能層200Bとを含む。色ごとに異なる発光機能層200が設けられる。発光機能層200Rは、発光層244Rを含み、画素電極23Rと対向電極25との間に配置され、画素電極23Rおよび対向電極25に接する。発光機能層200Gは、発光層244Gを含み、画素電極23Gと対向電極25との間に配置され、画素電極23Gおよび対向電極25に接する。発光機能層200Bは、発光層244Bを含み、画素電極23Bと対向電極25との間に配置され、画素電極23Bおよび対向電極25に接する。
【0092】
また、前述のように、発光素子20R、20Gおよび20Bは、互いに異なる発光層244を含む。そして、発光層244Rを構成する材料と、発光層244Gを構成する材料と、発光層244Bを構成する材料とは、互いに異なる。それゆえ、本実施形態では、発光素子20ごとに発光層244の材料が異なる。発光素子20ごとに発光層244の材料が異なるため、発光層244の材料が共通である場合に比べ、発光色ごとの光の発光効率を高めることができる。すなわち、本実施形態では、発光層244R、244Gおよび244Bのそれぞれが対応する色の光を発するので、白色発光を実現する発光層が複数の発光素子20で共通に設けられる構成に比べ、使用しない光の発生を低減することができる。
【0093】
また、前述のように、正孔注入層241、正孔輸送層242、電子ブロッキング層243、ホールブロッキング層245、電子輸送層246、および電子注入層247のそれぞれは、発光素子20R、20Gおよび20Bで共通である。つまり、有機層24に含まれる発光部240以外の層は、発光素子20R、20Gおよび20Bで共通である。
【0094】
有機層24は、例えば、マスクMを用いた蒸着法により形成される。特に蒸着法により色ごとに塗る分けることは非常に難しい。これはマスクM自体の加工精度だけでなく、真空中でのマスクMと有機層24よりも下層の要素との位置合わせ精度が難しいためである。さらに、電気光学装置100がマイクロディスプレイに用いられる場合、発光領域Aの面積は非常に小さい。よって、発光色ごとに塗分けることが非常に難しい。
【0095】
また、発光領域Aの平面積を確保しつつ、発光領域A同士の間の距離L0を充分に確保しなければならない。距離L0が充分に確保されていないと、画像の表示にボケまたはカゲが生じるおそれがある。特に、マイクロディスプレイでは高密度にサブ画素Pが配列されているため、距離L0を充分に確保することは難しい。仮に、発光領域Aの平面積を優先して、距離L0を非常に狭くしすぎると、電気光学装置100の輝度および寿命に影響を与えてしまう。よって、蒸着法により有機層24を形成する場合、塗分けの回数は少ないことが望ましい。塗分け回数が増えれば、その分だけ蒸着膜の位置が狙いとする箇所から外れる確率が増える。このため、特性バラツキおよび歩留まりを考慮した場合、塗分ける回数はできるだけ少ない方が好ましい。
【0096】
したがって、有機層24に含まれる発光部240以外の層が発光素子20R、20Gおよび20Bで共通である場合、発光部240以外の層は、塗分ける必要がない。このため、特性バラツキおよび歩留まりの低下を抑制することができる。よって、電気光学装置100の品質を高めることができる。
【0097】
また、前述のように、例えば、電子ブロッキング層243を塗分けて発光色ごとに厚みを異ならせることにより、光学調整層220を設けずに前述の光学距離Lを調整することができる。この場合、発光部240に加えて発光部240以外の層が塗分けられる。発光部240に加えて発光部240以外の層を塗分けることは、発光部240だけを塗分ける場合に比べ、非常に難しい。
【0098】
発光部240だけを発光色ごとに塗分ける場合、画素P0ごとに3回の塗分けで済む。これに対し、例えば電子ブロッキング層243および発光部240のそれぞれを発光色ごとに塗分ける場合、画素P0ごとに6回の塗分けを行う必要がある。それゆえ、有機層24に含まれる発光部240以外の層が発光素子20R、20Gおよび20Bで共通であることで、高精細で色純度の高い電気光学装置100を提供することができる。
【0099】
また、前述のように、電子ブロッキング層243を用いて光学距離Lを調整する場合、光学調整層220を設けることで光学距離Lを調整する場合に比べ、有機層24の厚みが厚くなり易い。このため、駆動電圧が高くなってしまう。よって、電気光学装置100をマイクロディスプレイに用いる場合には、特に適さない。
【0100】
例えば、マイクロディスプレイの各サブ画素Pの駆動にかかる駆動用トランジスター32は、大型なディスプレイに比べて耐圧が低い。数千ppiという高い画素密度の場合には数V程度の電圧しか各駆動回路30に使うことができない。このため、発光素子20の駆動電圧は低い方が好ましい。同程度の電流を印加するための電圧が低ければ、電気光学装置100をより高輝度に発光させることができ、かつ、耐圧の小さい駆動用トランジスター32を使用することで電気光学装置100全体の消費電力を抑えることができる。
【0101】
また、有機層24の各層の厚みは、特に限定されない。ただし、電子ブロッキング層243の厚みD3は、各発光層244の厚みD4よりも薄いことが好ましい。厚みD3が厚みD4よりも薄いことで、厚い場合に比べ、各発光素子20の駆動電圧を低減することができる。また、光学調整層220が設けられている場合、光学距離Lを調整するために電子ブロッキング層243を塗分けなくて済む。よって、厚みD3は厚みD4よりも薄くても、電子ブロッキング層243の機能を充分に発揮させることができる。
【0102】
同様に、ホールブロッキング層245の厚みD5は、各発光層244の厚みD4よりも薄いことが好ましい。厚みD5が厚みD4よりも薄いことで、厚い場合に比べ、ホールブロッキング層245の機能を充分に発揮させつつ、各発光素子20の駆動電圧を低減することができる。
【0103】
正孔注入層241の厚みD1は、特に限定されないが、例えば、5nm以上15nm以下である。正孔輸送層242の厚みD2は、特に限定されないが、例えば、20nm以上50nm以下である。電子ブロッキング層243の厚みD3は、特に限定されないが、例えば、5nm以上15nm以下である。ホールブロッキング層245の厚みD5は、特に限定されないが、例えば、5nm以上15nm以下である。電子輸送層246の厚みD6は、特に限定されないが、例えば、20nm以上50nm以下である。電子注入層247の厚みD7は、特に限定されないが、例えば、0.5nm以上15nm以下である。発光層244R、244Gおよび244Bの各厚みD4は、特に限定されないが、例えば、20nm以上50nm以下である。
【0104】
発光層244R、244Gおよび244Bの各厚みD4は、互いに異なっていてもよいが、互いに等しいことが好ましい。発光層244R、244Gおよび244Bの各厚みD4を互いに等しいことで、互いに異なる場合に比べ、塗分けが容易である。
【0105】
また、発光機能層200R、200Gおよび200Bの各厚みD0は、特に限定されないが、80nm以上150nm以下であることが好ましい。各厚みD0が当該範囲内であることで範囲外である場合に比べ、駆動電圧を低減することができるとともに、パーティクル等の異物によりリークするおそれを抑制することができる。また、当該効果を顕著に発揮するためには、各厚みD0は、90nm以上140nm以下であることがより好ましく、100nm以上130nm以下であることがさらに好ましい。
【0106】
厚みD0が厚くなり過ぎると、駆動電圧が高くなり、よって、マイクロディスプレイに電気光学装置100を用いることが難しくなる場合がある。また、厚みD0が薄すぎると、パーティクル等の異物によりリークし易くなるおそれがある。
【0107】
前述のように、本実施形態の電気光学装置100は、マイクロディスプレイに好適に用いることができる。それゆえ、
図3に示す距離L0は、特に限定されないが、例えば、3μm以下にすることができる。距離L0が3μm以下と非常に小さいマイクロディスプレイに、本実施形態の電気光学装置100を用いることは有効である。また、ピッチL1は特に限定されないが、10μm以下にすることができる。ピッチL1が10μm以下と非常に小さい場合、本実施形態の電気光学装置100を用いることは特に有効である。
【0108】
また、前述の電子ブロッキング層243およびホールブロッキング層245のそれぞれは、各発光層244で生成した励起子を各発光層244の外部へ逃さないようにする役割を有する。このため、電子ブロッキング層243およびホールブロッキング層245のそれぞれは、発光層244に含まれるホスト材料またはドーパント材料と同等以上の励起準位であることが好ましい。
【0109】
各発光層244がリン光を発する場合、電子ブロッキング層243およびホールブロッキング層245の各最低三重項励起準位は、2.7eV以上であることが好ましい。当該数値以上であることで、当該数値未満である場合に比べ、各発光層244で生成した励起子が外部への逃れることを効果的に抑制できる。このため、各発光素子20の光発光効率を高めることができる。
【0110】
発光層244Rおよび244Gがリン光を発し、発光層244Bが蛍光を発する場合、電子ブロッキング層243およびホールブロッキング層245の各最低三重項励起準位は、2.5eV以上であることが好ましい。当該数値以上であることで、当該数値未満である場合に比べ、各発光層244で生成した励起子が外部への逃れることを効果的に抑制できる。このため、各発光素子20の光発光効率を高めることができる。
【0111】
2.変形例
以上に例示した実施形態は多様に変形され得る。前述の実施形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。
【0112】
前述の実施形態では、1画素P0は、サブ画素PR、PG、およびPBを含む。しかし、1画素P0は、サブ画素PR、PG、およびPBのうちのいずれか2つを含み、残りの1つが省略されてもよい。
【0113】
また、例えば、特定の限定が無い限り、画素電極23B、23Gおよび23Gのうちのいずれか1つが、「第1画素電極」に相当し、他の1つが「第2画素電極」に相当し、残りの1つが「第3画素電極」に相当する。また、「第1画素電極」に対応する発光色の発光層244が「第1発光層」に相当し、「第2画素電極」に対応する発光色の発光層244が「第2発光層」に相当し、「第3画素電極」に対応する発光色の発光層244が「第3発光層」に相当する。なお、「第1コンタクト」、「第2コンタクト」および「第3コンタクト」についても同様である。「第1発光機能層」、「第2発光機能層」および「第3発光機能層」についても同様である。「第1発光素子」、「第2発光素子」および「第3発光素子」、についても同様である。「第1反射層」、「第2反射層」および「第3反射層」についても同様である。「第1光学距離」、「第2光学距離」および「第3光学距離」についても同様である。「第1光学調整層」および「第2光学調整層」についても同様である。「第3光学調整層」、「第1駆動回路」、「第2駆動回路」および「第3駆動回路」についても同様である。「第1電極部」、「第2電極部」および「第3電極部」についても同様である。「第1接続部」、「第2接続部」および「第3接続部」についても同様である。「第1光共振構造」、「第2光共振構造」および「第3光共振構造」についても同様である。
【0114】
したがって、例えば、以下の通りである。画素電極23Bが「第1画素電極」に相当する。画素電極23Gが「第2画素電極」に相当する。画素電極23Rが「第3画素電極」に相当する。発光層244Bが「第1発光層」に相当する。発光層244Gが「第2発光層」に相当する。発光層244Rが「第3発光層」に相当する。発光機能層200Bが「第1発光機能層」に相当する。発光機能層200Gが「第2発光機能層」に相当する。発光機能層200Rが「第3発光機能層」に相当する。発光素子20Bが「第1発光素子」に相当する。発光素子20Gが「第2発光素子」に相当する。発光素子20Rが「第3発光素子」に相当する。コンタクト部28Bが「第1コンタクト部」に相当する。コンタクト部28Gが「第2コンタクト部」に相当する。コンタクト部28Rが「第3コンタクト部」に相当する。開口270Bが「第1開口」に相当する。開口270Gが「第2開口」に相当する。開口270Rが「第3開口」に相当する。電極部231Bが「第1電極部」に相当する。電極部231Gが「第2電極部」に相当する。電極部231Rが「第3電極部」に相当する。接続部232Bが「第1接続部」に相当する。接続部232Gが「第2接続部」に相当する。接続部232Rが「第3接続部」に相当する。反射層21Bが「第1反射層」に相当する。反射層21Gが「第2反射層」に相当する。反射層21Rが「第3反射層」に相当する。光学距離LBが「第1光学距離」に相当する。光学距離LGが「第2光学距離」に相当する。光学距離LRが「第2光学距離」に相当する。光学調整層22Bが「第1光学調整層」に相当する。光学調整層22Gが「第2光学調整層」に相当する。光学調整層22Rが「第3光学調整層」に相当する。駆動回路30Bが「第1駆動回路」に相当する。駆動回路30Gが「第2駆動回路」に相当する。駆動回路30Rが「第3駆動回路」に相当する。光共振構造29Bが「第1光共振構造」に相当する。光共振構造29Gが「第2光共振構造」に相当する。光共振構造29Rが「第3光共振構造」に相当する。
【0115】
また、サブ画素Pの配列は、ストライプ配列に限定されず、例えば、ベイヤー配列、レクタングル配列、またはデルタ配列等の他の配列でもよい。
【0116】
3.電子機器
前述の実施形態の電気光学装置100は、各種の電子機器に適用することができる。
【0117】
3-1.ヘッドマウントディスプレイ
図10は、電子機器の一例である虚像電気光学装置700の一部を模式的に示す平面図である。
図10に示す虚像電気光学装置700は、観察者の頭部に装着されて画像の表示を行うヘッドマウントディスプレイ(HMD)である。虚像電気光学装置700は、前述した電気光学装置100と、コリメーター71と、導光体72と、第1反射型体積ホログラム73と、第2反射型体積ホログラム74と、制御部79と、を備える。なお、電気光学装置100から出射される光は、映像光LLとして出射される。
【0118】
制御部79は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。コリメーター71は、電気光学装置100と導光体72との間に配置される。コリメーター71は、電気光学装置100から出射された光を平行光にする。コリメーター71は、コリメーターレンズ等で構成される。コリメーター71で平行光に変換された光は、導光体72に入射する。
【0119】
導光体72は、平板状をなし、コリメーター71を介して入射する光の方向と交差する方向に延在して配置される。導光体72は、その内部で光を反射して導光する。導光体72のコリメーター71と対向する面721には、光が入射する光入射口と、光を出射する光出射口が設けられる。導光体72の面721とは反対側の面722には、回折光学素子としての第1反射型体積ホログラム73および回折光学素子としての第2反射型体積ホログラム74が配置される。第1反射型体積ホログラム73は、第2反射型体積ホログラム74よりも光出射口側に設けられる。第1反射型体積ホログラム73および第2反射型体積ホログラム74は、所定の波長域に対応する干渉縞を有し、所定の波長域の光を回折反射させる。
【0120】
かかる構成の虚像電気光学装置700では、光入射口から導光体72内に入射した映像光LLが、反射を繰り返して進み、光出射口から観察者の瞳EYに導かれることで、映像光LLにより形成された虚像で構成される画像を観察者が観察することができる。
【0121】
虚像電気光学装置700は、前述の電気光学装置100を備える。前述の電気光学装置は表示品位が良好である。このため、電気光学装置100を備えることで、表示品質の高い虚像電気光学装置700を提供することができる。
【0122】
なお、虚像電気光学装置700は、電気光学装置100から出射される光を合成するダイクロイックプリズム等の合成素子を備えてもよい。その場合、虚像電気光学装置700は、例えば、青色の波長域の光を出射する電気光学装置100、緑色の波長域の光を出射する電気光学装置100および赤色の波長域の光を出射する電気光学装置100を備えることができる。
【0123】
3-2.パーソナルコンピューター
図11は、本発明の電子機器の一例であるパーソナルコンピューター400を示す斜視図である。
図11に示すパーソナルコンピューター400は、電気光学装置100と、電源スイッチ401およびキーボード402が設けられた本体部403と、制御部409とを備える。制御部409は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。パーソナルコンピューター400は、前述の電気光学装置100を備えるため、品質に優れる。
【0124】
なお、電気光学装置100を備える「電子機器」としては、
図10に例示した虚像電気光学装置700および
図11に例示したパーソナルコンピューター400の他、デジタルスコープ、デジタル双眼鏡、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラなど眼に近接して配置する機器が挙げられる。また、電気光学装置100を備える「電子機器」は、携帯電話機、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistants)、カーナビゲーション装置、および車載用の表示部として適用される。さらに、電気光学装置100を備える「電子機器」は、光を照らす照明として適用される。また、電気光学装置100は、例えば、フレキシブルディスプレイとして用いることが可能である。
【0125】
以上、本発明について図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。また、本発明の各部の構成は、前述した実施形態の同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。また、本発明は、前述した実施形態の任意の構成同士を組み合わせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0126】
1…素子基板、5…着色層、9…透光性基板、10…基板、11…基部、12…無機絶縁層、13…走査線、14…データ線、15…給電線、16…給電線、20…発光素子、20B…発光素子、20G…発光素子、20R…発光素子、21…反射層、21B…反射層、21G…反射層、21R…反射層、22…積層体、22B…光学調整層、22G…光学調整層、22R…光学調整層、23…画素電極、23B…画素電極、23G…画素電極、23R…画素電極、24…有機層、24B…画素電極、24G…画素電極、24R…画素電極、24a…下層部、25…対向電極、26…封止層、27…画素分離層、28…コンタクト部、28B…コンタクト部、28G…コンタクト部、28R…コンタクト部、29…光共振構造、29B…光共振構造、29G…光共振構造、29R…光共振構造、30…駆動回路、30B…駆動回路、30G…駆動回路、30R…駆動回路、31…スイッチング用トランジスター、32…駆動用トランジスター、33…保持容量、51B…着色部、51G…着色部、51R…着色部、71…コリメーター、72…導光体、73…第1反射型体積ホログラム、74…第2反射型体積ホログラム、79…制御部、90…接着層、100…電気光学装置、101…データ線駆動回路、102…走査線駆動回路、103…制御回路、104…外部端子、200…発光機能層、200B…発光機能層、200G…発光機能層、200R…発光機能層、220…光学調整層、220B…光学調整層、220G…光学調整層、220R…光学調整層、221…増反射膜、222…絶縁膜、222a…凹部、223…埋込部、224…第1透光層、225…第2透光層、226…第3透光層、231…電極部、231B…電極部、231G…電極部、231R…電極部、232…接続部、232B…接続部、232G…接続部、232R…接続部、240…発光部、241…正孔注入層、242…正孔輸送層、243…電子ブロッキング層、244…発光層、244B…発光層、244G…発光層、244R…発光層、245…ホールブロッキング層、246…電子輸送層、247…電子注入層、270…開口、270B…開口、270G…開口、270R…開口、280…保護膜、400…パーソナルコンピューター、401…電源スイッチ、402…キーボード、403…本体部、409…制御部、700…虚像電気光学装置、721…面、722…面、2320…部分、A…発光領域、A10…表示領域、A20…周辺領域、AB…発光領域、AG…発光領域、AR…発光領域、D0…厚み、D1…厚み、D2…厚み、D3…厚み、D4…厚み、D5…厚み、D6…厚み、D7…厚み、DB…距離、DG…距離、DR…距離、EY…瞳、L…光学距離、L0…距離、L1…ピッチ、LB…光学距離、LG…光学距離、LR…光学距離、LL…映像光、M…マスク、M0…開口、P…サブ画素、P0…画素、PB…サブ画素、PG…サブ画素、PR…サブ画素。