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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138854
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】静電保護回路
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20241002BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
H01L27/04 H
H01L27/06 311A
H01L27/06 311B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049564
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】平岡 孝之
【テーマコード(参考)】
5F038
5F048
【Fターム(参考)】
5F038AV04
5F038AV06
5F038BH02
5F038BH04
5F038BH07
5F038BH13
5F048AC01
5F048AC10
5F048CC01
5F048CC06
5F048CC09
(57)【要約】
【課題】保護性能を向上させることができる静電保護回路を提供する。
【解決手段】実施形態の静電保護回路は、ダイオードD1、ダイオードD2、ダイオードD3、抵抗素子R1、及びDMOS電界効果トランジスタT1を備える。ダイオードD1は接地配線11に接続される。ダイオードD2はダイオードD1と信号配線12との間に接続される。ダイオードD3は、ダイオードD1とダイオードD2とが接続されたノードN1と、接地配線11との間に接続される。抵抗素子R1は、ダイオードD3と接地配線11との間に接続される。MOS電界効果トランジスタT1は、ノードN1と接地配線11との間に第1端と第2端が接続され、抵抗素子R1とダイオードD3とが接続されたノードN2にゲートが接続される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1配線に接続された第1ダイオードと、
前記第1ダイオードと第2配線との間に接続された第2ダイオードと、
前記第1ダイオードと前記第2ダイオードとが接続された第1ノードと、前記第1配線との間に接続された第3ダイオードと、
前記第3ダイオードと前記第1配線との間に接続された第1抵抗素子と、
前記第1ノードと前記第1配線との間に第1端と第2端が接続され、前記第1抵抗素子と前記第3ダイオードとが接続された第2ノードにゲートが接続された第1MOS電界効果トランジスタと、
を具備する静電保護回路。
【請求項2】
前記第1ダイオードのアノードは前記第1配線に接続され、前記第1ダイオードのカソードは前記第2ダイオードのカソードに接続され、前記第2ダイオードのアノードは前記第2配線に接続される請求項1に記載の静電保護回路。
【請求項3】
前記第1抵抗素子の第1端は前記第1配線に接続され、前記第1抵抗素子の第2端は前記第3ダイオードのアノードに接続され、前記第3ダイオードのカソードは前記第1ノードに接続される請求項1に記載の静電保護回路。
【請求項4】
前記第3ダイオードのカソードにアノードが接続され、前記第1ノードにカソードが接続された第4ダイオードをさらに具備する請求項1に記載の静電保護回路。
【請求項5】
前記第1MOS電界効果トランジスタのソースが前記第1配線に接続され、前記第1MOS電界効果トランジスタのドレインが前記第1ノードに接続される請求項1に記載の静電保護回路。
【請求項6】
前記第1ノードと前記第1MOS電界効果トランジスタとの間に第1端と第2端が接続され、前記第2ノードにゲートが接続された第2MOS電界効果トランジスタをさらに具備する請求項1に記載の静電保護回路。
【請求項7】
前記第1ダイオードと前記第2ダイオードとが接続された前記第1ノードと、前記第2配線との間に接続された第5ダイオードと、
前記第5ダイオードと前記第2配線との間に接続された第2抵抗素子と、
前記第1ノードと前記第2配線との間に第1端と第2端が接続され、前記第2抵抗素子と前記第5ダイオードとが接続された第3ノードにゲートが接続された第3MOS電界効果トランジスタと、
をさらに具備する請求項1に記載の静電保護回路。
【請求項8】
前記第5ダイオードのカソードにアノードが接続され、前記第1ノードにカソードが接続された第6ダイオードをさらに具備する請求項7に記載の静電保護回路。
【請求項9】
前記第1ノードと前記第1MOS電界効果トランジスタとの間に第1端と第2端が接続され、前記第2ノードにゲートが接続された第4MOS電界効果トランジスタと、
前記第1ノードと前記第3MOS電界効果トランジスタとの間に第1端と第2端が接続され、前記第3ノードにゲートが接続された第5MOS電界効果トランジスタと、
をさらに具備する請求項7に記載の静電保護回路。
【請求項10】
前記第3ダイオードはツェナーダイオードを含む請求項1に記載の静電保護回路。
【請求項11】
前記第1MOS電界効果トランジスタは、Double-diffused MOS電界効果トランジスタを含む請求項1に記載の静電保護回路。
【請求項12】
第1配線と第2配線との間に接続され、第1ダイオード及び第2ダイオードを備える第1クランプ回路、
前記第1ダイオード及び前記第2ダイオードのカソードが互いに電気的に接続され、
前記第1ダイオードと前記第2ダイオードとの間の第1ノードと、前記第1配線との間に接続され、第3ダイオード、第1抵抗素子、及び第1MOS電界効果トランジスタを備える第2クランプ回路、
前記第3ダイオードのアノードが前記第1抵抗素子の第1端に電気的に接続され、
前記第1MOS電界効果トランジスタの第1端が前記第3ダイオードのカソードに電気的に接続され、
前記第1MOS電界効果トランジスタの第2端が前記第1抵抗素子の第2端に電気的に接続され、
前記第1MOS電界効果トランジスタのゲートが前記第3ダイオードのアノードに電気的に接続される、
を具備する静電保護回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、静電保護回路に関する。
【背景技術】
【0002】
静電気放電(electro-static discharge:ESD)や回路の開閉等によるサージ電圧(あるいは、サージ電流)から内部回路を保護するEMS(electromagnetic Susceptibility)対策保護回路(以下、静電保護回路と記す)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-075435号公報
【特許文献2】特開2014-063854号公報
【特許文献3】特開2014-120547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
保護性能を向上できる静電保護回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の静電保護回路は、第1配線に接続された第1ダイオードと、前記第1ダイオードと第2配線との間に接続された第2ダイオードと、前記第1ダイオードと前記第2ダイオードとが接続された第1ノードと、前記第1配線との間に接続された第3ダイオードと、前記第3ダイオードと前記第1配線との間に接続された第1抵抗素子と、前記第1ノードと前記第1配線との間に第1端と第2端が接続され、前記第1抵抗素子と前記第3ダイオードとが接続された第2ノードにゲートが接続された第1MOS電界効果トランジスタとを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る静電保護回路の構成を示す回路図である。
図2】第1実施形態に係る静電保護回路の電流-電圧特性を示す図である。
図3】第2実施形態に係る静電保護回路の構成を示す回路図である。
図4】第2実施形態に係る静電保護回路の電流-電圧特性を示す図である。
図5】第3実施形態に係る静電保護回路の構成を示す回路図である。
図6】第3実施形態に係る静電保護回路の電流-電圧特性を示す図である。
図7】第4実施形態に係る静電保護回路の構成を示す回路図である。
図8】第4実施形態に係る静電保護回路の電流-電圧特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。以下の説明において、同一の機能及び構成を有する構成要素については、共通する参照符号を付す。また、以下に示す実施形態は、この実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、構成部品の材質、形状、構造、及び配置等を下記のものに特定するものではない。
【0008】
1.第1実施形態
第1実施形態の静電保護回路について説明する。静電保護回路は、入出力端子に侵入するESDや回路の開閉等によるサージ電圧(あるいは、過電圧)から被保護回路を保護する回路である。静電保護回路は、サージ電圧によって生じる電流を接地端子に逃がすことにより、被保護回路に過電流が流れて被保護回路が破壊されるのを防止する。
【0009】
1.1 第1実施形態の構成
図1は、第1実施形態の静電保護回路の構成を示す回路図である。
【0010】
静電保護回路1は、接地端子TVSSと入出力端子TIOとの間に設けられたメインクランプ回路MC、及びサブクランプ回路SC1を備える。さらに、接地端子TVSSと入出力端子TIOとの間には、静電保護回路1によって保護される被保護回路PCが設けられる。接地端子TVSSには、低レベル側の電圧VSS、例えば、接地電圧(例えば、0V)が外部から供給される。入出力端子TIOには、高レベル側の入出力信号SIが外部との間で入出力される。
【0011】
メインクランプ回路MCは主の保護回路であり、サブクランプ回路SC1は第2の保護回路である。メインクランプ回路MCは、ダイオードD1及びD2を有する。サブクランプ回路SC1は、ツェナーダイオードD3、D4、D5、抵抗素子R1、及びMOS電界効果トランジスタ(例えば、nチャネルのDMOS(Double-diffused Metal Oxide Semiconductor)電界効果トランジスタ)T1を有する。また、被保護回路PCとして、例えば、MOS電界効果トランジスタ(例えば、nチャネルのDMOS電界効果トランジスタ)Tpを有する。
【0012】
メインクランプ回路MC内のダイオードD1及びD2の各々は、例えば、ツェナーダイオードの一種であるTVS(Transient Voltage Suppressor)ダイオードを含む。ダイオードD1及びD2は、入出力端子TIOから侵入するESD等のサージ電圧から被保護回路PCを保護する、あるいはサージ電圧による被保護回路PCの誤動作を防止する。
【0013】
サブクランプ回路SC1内のツェナーダイオードD3、D4、及びD5は、ESD等によるサージ電圧の発生時にMOSトランジスタT1のゲートに供給される電圧を一定に設定し、MOSトランジスタT1をターンオンさせる。MOSトランジスタT1は、サージ電圧の発生時にターンオンし、サージ電圧で生じた大きな電流を接地端子TVSSに逃がす。抵抗素子R1は、ツェナーダイオードD3、D4、及びD5に大きな電流が流れるのを抑制し、ツェナーダイオードD3、D4、及びD5が破壊されるのを防止する。
【0014】
以下に、図1に示した回路の接続関係について説明する。接地端子TVSSには接地配線11が接続される。入出力端子TIOには信号配線12が接続される。接地配線11と信号配線12との間に、ダイオードD1及びD2が接続される。ダイオードD1及びD2は、互いのカソードが向き合うように直列に接続される。すなわち、接地配線11にダイオードD1のアノードが接続され、ダイオードD1のカソードがダイオードD2のカソードに接続される。ダイオードD2のアノードが信号配線12に接続される。以降、ダイオードD1のカソードとダイオードD2のカソードとが接続されたノードを、第1ノードN1と称する。
【0015】
接地配線11と第1ノードN1との間に、抵抗素子R1、及びツェナーダイオードD3、D4及びD5が接続される。抵抗素子R1、及びツェナーダイオードD3、D4及びD5は直列に接続される。すなわち、接地配線11に抵抗素子R1の一端が接続され、抵抗素子R1の他端がツェナーダイオードD3のアノードに接続される。ツェナーダイオードD3のカソードがツェナーダイオードD4のアノードに接続され、ツェナーダイオードD4のカソードがツェナーダイオードD5のアノードに接続される。さらに、ツェナーダイオードD5のカソードが第1ノードN1に接続される。以降、抵抗素子R1の他端とツェナーダイオードD3のアノードとが接続されたノードを、第2ノードN2と称する。
【0016】
接地配線11と第1ノードN1との間に、MOSトランジスタT1が接続される。すなわち、接地配線11にMOSトランジスタT1のソースが接続され、MOSトランジスタT1のドレインが第1ノードN1に接続される。MOSトランジスタT1のゲートが第2ノードN2に接続される。
【0017】
接地配線11と第1ノードN1との間に、被保護回路PCとしてのMOSトランジスタTpが接続される。すなわち、接地配線11にMOSトランジスタTpのソースが接続され、MOSトランジスタTpのドレインが第1ノードN1に接続される。
【0018】
なお、本実施形態では、接地配線11と第1ノードN1との間に、直列接続された3段のツェナーダイオードD3、D4及びD5を設けたが、これに限るわけではない。接地配線11と第1ノードN1との間に設けるツェナーダイオードの段数は任意に設定可能である。ツェナーダイオードの段数は、サブクランプ回路SC1におけるMOSトランジスタT1のターンオン電圧、及びこの静電保護回路1の仕様に基づいて設定される。
【0019】
1.2 第1実施形態の動作
以下に、第1実施形態の静電保護回路1の動作について説明する。
【0020】
図2は、第1実施形態の静電保護回路における電流-電圧特性を示す図である。横軸は入出力端子TIOに入力される電圧VESを表し、縦軸はメインクランプ回路MC及びサブクランプ回路SC1に流れる電流Iを表す。電圧VESは、例えば、ESD等によって外部から侵入するサージ電圧である。メインクランプ回路MCに流れる電流をIaとし、サブクランプ回路SC1の抵抗素子R1に流れる電流をIb、MOSトランジスタT1の電流経路に流れる電流をIcとする。ここでは、一例としてダイオードD1及びD2の各々の耐圧が45Vであり、直列接続された3段のツェナーダイオードD3、D4及びD5の降伏電圧が21Vで、抵抗素子R1の抵抗値が100kΩ程度である場合を述べる。なお、ツェナーダイオードD3、D4及びD5の各々の降伏電圧は7Vである。
【0021】
図2に示すように、入出力端子TIOに入力される電圧VESが21Vに達するまでは、メインクランプ回路MC及びサブクランプ回路SC1に共に電流は流れない。
【0022】
次に、電圧VESが21Vを越えると、サブクランプ回路SC1における電流(Ib+Ic)が流れ始め、電圧VESが上昇するのに従って電流(Ib+Ic)が増加する。
【0023】
次に、電圧VESが45Vを越えると、メインクランプ回路MCにおける電流Iaが流れ始める。その後、電流(Ia+Ib+Ic)は増大し、例えば、2A程度以上になる。
【0024】
第1実施形態の静電保護回路1では、電圧VESが21Vを越えたときに、電圧VESで生じる大きな電流を、サブクランプ回路SC1の電流(Ib+Ic)により高速に接地端子TVSSに逃がす。これにより、被保護回路PCに過電流が流れるのを防ぐことができる。この結果、ESD等により生じるサージ電圧によって被保護回路PCが破壊されるのを防止できる。
【0025】
1.3 第1実施形態の効果
第1実施形態によれば、保護性能を向上できる静電保護回路を提供できる。
【0026】
以下に、第1実施形態における効果を詳述する。第1実施形態の構成では、サブクランプ回路SC1にMOSトランジスタT1を設けることにより、サブクランプ回路SC1におけるサージ電圧の放電能力を向上できる。すなわち、サブクランプ回路SC1におけるサージ電流(または、ピーク電流)の処理能力、及びサージ電圧に対する高速応答性を向上させることができる。
【0027】
また、第1実施形態の構成では、ツェナーダイオードの段数によらずMOSトランジスタT1の接合容量により高速なサージに対する放電経路が確保できているため、MOSトランジスタT1を設けない場合と比較して高速応答性を改善することができる。
【0028】
2.第2実施形態
第2実施形態の静電保護回路について説明する。第2実施形態は、サブクランプ回路に2つのMOSトランジスタを設ける例である。第2実施形態では主に第1実施形態と異なる点について説明する。
【0029】
2.1 第2実施形態の構成
図3は、第2実施形態の静電保護回路の構成を示す回路図である。
【0030】
静電保護回路2は、接地端子TVSSと入出力端子TIOとの間に設けられたメインクランプ回路MC、及びサブクランプ回路SC2を備える。メインクランプ回路MCは、ダイオードD1及びD2を有する。サブクランプ回路SC2は、ツェナーダイオードD3、D4、D5、抵抗素子R1、並びにMOSトランジスタT1、及びMOS電界効果トランジスタ(例えば、nチャネルのDMOS電界効果トランジスタ)T2を有する。
【0031】
サブクランプ回路SC2内のツェナーダイオードD3、D4、及びD5は、ESD等によるサージ電圧の発生時にMOSトランジスタT1及びT2のゲートに供給される電圧を一定に設定し、MOSトランジスタT1及びT2をターンオンさせる。MOSトランジスタT1及びT2は、サージ電圧の発生時にターンオンし、サージ電圧で生じた大きな電流を接地端子TVSSに逃がす。
【0032】
以下に、図3に示した回路の接続関係について説明する。接地配線11と信号配線12との間に、ダイオードD1及びD2が接続される。ダイオードD1及びD2は、互いのカソードが向き合うように直列に接続される。すなわち、接地配線11にダイオードD1のアノードが接続され、ダイオードD1のカソードがダイオードD2のカソードに接続される。ダイオードD2のアノードが信号配線12に接続される。
【0033】
接地配線11と第1ノードN1との間に、抵抗素子R1、及びツェナーダイオードD3、D4及びD5が接続される。抵抗素子R1、及びツェナーダイオードD3、D4及びD5は直列に接続される。すなわち、接地配線11に抵抗素子R1の一端が接続され、抵抗素子R1の他端がツェナーダイオードD3のアノードに接続される。ツェナーダイオードD3のカソードがツェナーダイオードD4のアノードに接続され、ツェナーダイオードD4のカソードがツェナーダイオードD5のアノードに接続される。さらに、ツェナーダイオードD5のカソードが第1ノードN1に接続される。
【0034】
接地配線11と第1ノードN1との間に、MOSトランジスタT1及びT2が接続される。MOSトランジスタT1及びT2は、それらの電流経路が直列になるように接続される。すなわち、接地配線11にMOSトランジスタT1のソースが接続され、MOSトランジスタT1のドレインがMOSトランジスタT2のソースに接続される。MOSトランジスタT2のドレインが第1ノードN1に接続される。さらに、MOSトランジスタT1及びT2のゲートが第2ノードN2に接続される。
【0035】
なお、本実施形態では、接地配線11と第1ノードN1との間に2段のMOSトランジスタT1及びT2を設けたが、これに限るわけではない。接地配線11と第1ノードN1との間に設けるMOSトランジスタの数は任意に設定可能であり、例えば、3段以上のMOSトランジスタを設けても良い。
【0036】
また、接地配線11と第1ノードN1との間に、直列接続された3段のツェナーダイオードD3、D4及びD5を設けたが、これに限るわけではない。接地配線11と第1ノードN1との間に設けるツェナーダイオードの段数は任意に設定可能である。
【0037】
2.2 第2実施形態の動作
以下に、第2実施形態の静電保護回路2の動作について説明する。
【0038】
図4は、第2実施形態の静電保護回路における電流-電圧特性を示す図である。横軸は入出力端子TIOに入力される電圧VESを表し、縦軸はメインクランプ回路MC及びサブクランプ回路SC2に流れる電流Iを表す。メインクランプ回路MCに流れる電流をIaとし、サブクランプ回路SC2の抵抗素子R1に流れる電流をIb、MOSトランジスタT1及びT2の各々の電流経路に流れる電流をIcとする。ここでは、一例としてダイオードD1及びD2の各々の耐圧が45Vであり、直列接続された3段のツェナーダイオードD3、D4及びD5の降伏電圧が21Vであり、またMOSトランジスタT1及びT2が同じオン抵抗を持つ場合を述べる。
【0039】
図4に示すように、入出力端子TIOに入力される電圧VESが21Vに達するまでは、メインクランプ回路MC及びサブクランプ回路SC2に共に電流は流れない。
【0040】
次に、電圧VESが21Vを越えると、サブクランプ回路SC2における電流(Ib+Ic)が流れ始め、電圧VESが上昇するのに従って電流(Ib+Ic)が増加する。ここで、MOSトランジスタT1及びT2が持つオン抵抗は、第1実施形態においてMOSトランジスタT1が持つオン抵抗の2倍である。このため、第2実施形態における電流(Ib+Ic)の電流量は、第1実施形態における電流(Ib+Ic)の電流量の1/2程度となる。しかし、この場合でも、被保護回路PCを保護するために必要な電流量を維持できるため、不具合は生じない。
【0041】
次に、電圧VESが45Vを越えると、メインクランプ回路MCにおける電流Iaが流れ始める。その後、電流(Ia+Ib+Ic)は増大し、例えば、1A程度以上になる。
【0042】
第2実施形態の静電保護回路2では、電圧VESが21Vを越えたときに、電圧VESで生じる大きな電流を、サブクランプ回路SC2の電流(Ib+Ic)により高速に接地端子TVSSに逃がす。これにより、被保護回路PCに過電流が流れるのを防ぐことができる。この結果、ESD等により生じるサージ電圧によって被保護回路PCが破壊されるのを防止できる。
【0043】
2.3 第2実施形態の効果
第2実施形態によれば、保護性能を向上できる静電保護回路を提供できる。
【0044】
以下に、第2実施形態における効果を詳述する。第2実施形態の構成では、サブクランプ回路SC2にMOSトランジスタT1及びT2を設けることにより、サブクランプ回路SC2におけるサージ電圧の放電能力を向上できる。すなわち、サブクランプ回路SC2におけるサージ電流(または、ピーク電流)の処理能力、及びサージ電圧に対する高速応答性を向上させることができる。
【0045】
また、第2実施形態の構成では、ツェナーダイオードの段数によらずMOSトランジスタT1及びT2の接合容量により高速なサージに対する放電経路が確保できているため、MOSトランジスタT1及びT2を設けない場合と比較して高速応答性を改善することができる。
【0046】
さらに、第2実施形態の構成では、サブクランプ回路SC2におけるMOSトランジスタT1及びT2の降伏電圧を高くすることができる。すなわち、MOSトランジスタT2のドレインとMOSトランジスタT1のソースとの間に印加できる最大電圧(即ち、耐圧)を高くすることができる。これにより、MOSトランジスタT1及びT2が意図せずに降伏状態になり、破壊されることを防止できる。
【0047】
3.第3実施形態
第3実施形態の静電保護回路について説明する。第3実施形態は、入出力端子TIOに正あるいは負の電圧VESが入力された場合に適応可能な構成例である。第3実施形態では、第1実施形態で用いたサブクランプ回路を2つ設ける例を説明する。第3実施形態では主に第1実施形態と異なる点について説明する。
【0048】
3.1 第3実施形態の構成
図5は、第3実施形態の静電保護回路の構成を示す回路図である。
【0049】
静電保護回路3は、接地端子TVSSと入出力端子TIOとの間に設けられたメインクランプ回路MC、サブクランプ回路SC1、及びサブクランプ回路SC1aを備える。詳述すると、サブクランプ回路SC1は、接地端子TVSSと第1ノードN1との間に設けられる。サブクランプ回路SC1aは、入出力端子TIOと第1ノードN1との間に設けられる。
【0050】
メインクランプ回路MCは、ダイオードD1及びD2を有する。サブクランプ回路SC1は、ツェナーダイオードD3、D4、D5、抵抗素子R1、及びMOSトランジスタT1を有する。サブクランプ回路SC1aは、ツェナーダイオードD3a、D4a、D5a、抵抗素子R1a、及びMOS電界効果トランジスタ(例えば、nチャネルのDMOS電界効果トランジスタ)T1aを有する。
【0051】
サブクランプ回路SC1a内のツェナーダイオードD3a、D4a、及びD5aは、ESD等によるサージ電圧の発生時にMOSトランジスタT1aのゲートに供給される電圧を一定に設定し、MOSトランジスタT1aをターンオンさせる。MOSトランジスタT1aは、サージ電圧の発生時にターンオンし、サージ電圧で生じた大きな電流を入出力端子TIOに逃がす。
【0052】
以下に、図5に示した回路の接続関係について説明する。接地配線11と信号配線12との間に、第1実施形態と同様に、ダイオードD1及びD2が接続される。ダイオードD1及びD2は、互いのカソードが向き合うように直列に接続される。
【0053】
接地配線11と第1ノードN1との間に、第1実施形態と同様に、抵抗素子R1、及びツェナーダイオードD3、D4及びD5が接続される。抵抗素子R1、及びツェナーダイオードD3、D4及びD5は直列に接続される。
【0054】
接地配線11と第1ノードN1との間に、第1実施形態と同様に、MOSトランジスタT1が接続される。接地配線11にMOSトランジスタT1のソースが接続され、MOSトランジスタT1のドレインが第1ノードN1に接続される。MOSトランジスタT1のゲートが第2ノードN2に接続される。
【0055】
信号配線12と第1ノードN1との間に、抵抗素子R1a、及びツェナーダイオードD3a、D4a及びD5aが接続される。抵抗素子R1a、及びツェナーダイオードD3a、D4a及びD5aは直列に接続される。すなわち、信号配線12に抵抗素子R1aの一端が接続され、抵抗素子R1aの他端がツェナーダイオードD3aのアノードに接続される。ツェナーダイオードD3aのカソードがツェナーダイオードD4aのアノードに接続され、ツェナーダイオードD4aのカソードがツェナーダイオードD5aのアノードに接続される。さらに、ツェナーダイオードD5aのカソードが第1ノードN1に接続される。以降、抵抗素子R1aの他端とツェナーダイオードD3aのアノードとが接続されたノードを、第3ノードN2aと称する。
【0056】
信号配線12と第1ノードN1との間に、MOSトランジスタT1aが接続される。すなわち、信号配線12にMOSトランジスタT1aのソースが接続され、MOSトランジスタT1aのドレインが第1ノードN1に接続される。MOSトランジスタT1aのゲートが第3ノードN2aに接続される。
【0057】
なお、本実施形態では、接地配線11と第1ノードN1との間、及び信号配線12と第1ノードN1との間に直列接続された3段のツェナーダイオードをそれぞれ設けたが、これに限るわけではない。接地配線11と第1ノードN1との間、及び信号配線12と第1ノードN1との間に設けるツェナーダイオードの段数は任意に設定可能である。
【0058】
3.2 第3実施形態の動作
以下に、第3実施形態の静電保護回路3の動作について説明する。
【0059】
図6は、第3実施形態の静電保護回路における電流-電圧特性を示す図である。横軸は入出力端子TIOに入力される電圧VESを表し、縦軸はメインクランプ回路MC、サブクランプ回路SC1及びSC1aに流れる電流を表す。メインクランプ回路MCに流れる電流をIaあるいはIdとし、サブクランプ回路SC1の抵抗素子R1に流れる電流をIb、MOSトランジスタT1の電流経路に流れる電流をIcとする。また、サブクランプ回路SC1aの抵抗素子R1aに流れる電流をIe、MOSトランジスタT1aの電流経路に流れる電流をIfとする。ここでは、一例としてダイオードD1及びD2の各々の耐圧が45Vであり、直列接続された3段のツェナーダイオードD3、D4及びD5、並びに3段のツェナーダイオードD3a、D4a及びD5aの降伏電圧がそれぞれ21Vである場合を述べる。
【0060】
先ず、入出力端子TIOに入力される電圧VESが正電圧である場合以下のように動作する。図6に示すように、入出力端子TIOに入力される電圧VESが21Vに達するまでは、メインクランプ回路MC、サブクランプ回路SC1及びSC1aに共に電流は流れない。
【0061】
次に、電圧VESが21Vを越えると、サブクランプ回路SC1における電流(Ib+Ic)が流れ始め、電圧VESが上昇するのに従って電流(Ib+Ic)が増加する。
【0062】
次に、電圧VESが45Vを越えると、メインクランプ回路MCにおける電流Iaが流れ始める。その後、電流(Ia+Ib+Ic)は増大し、例えば、2A程度以上になる。
【0063】
一方、入出力端子TIOに入力される電圧VESが負電圧である場合以下のように動作する。入出力端子TIOに入力される電圧VESが-21Vに低下するまでは、メインクランプ回路MC、サブクランプ回路SC1及びSC1aに共に電流は流れない。
【0064】
次に、電圧VESが-21Vより低下すると、サブクランプ回路SC1aにおける電流(Ie+If)が流れ始め、電圧VESが低下するのに従って電流(Ie+If)が増加する。
【0065】
次に、電圧VESが-45Vより低下すると、メインクランプ回路MCにおける電流Idが流れ始める。その後、電流(Id+Ie+If)は増大し、例えば、-2A程度以上になる。
【0066】
第3実施形態の静電保護回路3では、電圧VESが21Vを越えたときに、電圧VESで生じる大きな電流を、サブクランプ回路SC1の電流(Ib+Ic)により高速に接地端子TVSSに逃がす。また、電圧VESが-21Vより低下したときに、電圧VESで生じる大きな電流を、サブクランプ回路SC1aの電流(Ie+If)により高速に入出力端子TIOに逃がす。これにより、被保護回路PCに過電流が流れるのを防ぐことができる。この結果、ESD等により生じるサージ電圧によって被保護回路PCが破壊されるのを防止できる。
【0067】
3.3 第3実施形態の効果
第3実施形態によれば、保護性能を向上できる静電保護回路を提供できる。
【0068】
第3実施形態の構成では、第1実施形態で得られる効果に加えて、電圧VESが電圧VSSに対して負の電圧になった場合でも、電圧VESが電圧VSSに対して正の電圧の場合と同様に、ESD等により生じるサージ電圧(あるいは、過電圧)によって被保護回路PCが破壊されるのを防止できる。
【0069】
4.第4実施形態
第4実施形態の静電保護回路について説明する。第4実施形態は、入出力端子TIOに正あるいは負の電圧VESが入力された場合に適応可能な構成例である。第4実施形態では、第2実施形態で用いたサブクランプ回路を2つ設ける例を説明する。第4実施形態では主に第2実施形態と異なる点について説明する。
【0070】
4.1 第4実施形態の構成
図7は、第4実施形態の静電保護回路の構成を示す回路図である。
【0071】
静電保護回路4は、接地端子TVSSと入出力端子TIOとの間に設けられたメインクランプ回路MC、サブクランプ回路SC2、及びサブクランプ回路SC2aを備える。詳述すると、サブクランプ回路SC2は、接地端子TVSSと第1ノードN1との間に設けられる。サブクランプ回路SC2aは、入出力端子TIOと第1ノードN1との間に設けられる。
【0072】
メインクランプ回路MCは、ダイオードD1及びD2を有する。サブクランプ回路SC2は、ツェナーダイオードD3、D4、D5、抵抗素子R1、MOSトランジスタT1及びT2を有する。サブクランプ回路SC2aは、ツェナーダイオードD3a、D4a、D5a、抵抗素子R1a、MOSトランジスタT1a、及びMOS電界効果トランジスタ(例えば、nチャネルのDMOS電界効果トランジスタ)T2aを有する。
【0073】
サブクランプ回路SC2a内のツェナーダイオードD3a、D4a、及びD5aは、ESD等によるサージ電圧の発生時にMOSトランジスタT1a及びT2aのゲートに供給される電圧を一定に設定し、MOSトランジスタT1a及びT2aをターンオンさせる。MOSトランジスタT1a及びT2aは、サージ電圧の発生時にターンオンし、サージ電圧で生じた大きな電流を入出力端子TIOに逃がす。
【0074】
以下に、図7に示した回路の接続関係について説明する。接地配線11と信号配線12との間に、第2実施形態と同様に、ダイオードD1及びD2が接続される。ダイオードD1及びD2は、互いのカソードが向き合うように直列に接続される。
【0075】
接地配線11と第1ノードN1との間に、第2実施形態と同様に、抵抗素子R1、及びツェナーダイオードD3、D4及びD5が接続される。抵抗素子R1、及びツェナーダイオードD3、D4及びD5は直列に接続される。
【0076】
接地配線11と第1ノードN1との間に、第2実施形態と同様に、MOSトランジスタT1及びT2が接続される。MOSトランジスタT1及びT2は、それらの電流経路が直列になるように接続される。
【0077】
信号配線12と第1ノードN1との間に、抵抗素子R1a、及びツェナーダイオードD3a、D4a及びD5aが接続される。抵抗素子R1a、及びツェナーダイオードD3a、D4a及びD5aは直列に接続される。すなわち、信号配線12に抵抗素子R1aの一端が接続され、抵抗素子R1aの他端がツェナーダイオードD3aのアノードに接続される。ツェナーダイオードD3aのカソードがツェナーダイオードD4aのアノードに接続され、ツェナーダイオードD4aのカソードがツェナーダイオードD5aのアノードに接続される。さらに、ツェナーダイオードD5aのカソードが第1ノードN1に接続される。
【0078】
信号配線12と第1ノードN1との間に、MOSトランジスタT1a及びT2aが接続される。MOSトランジスタT1a及びT2aは、それらの電流経路が直列になるように接続される。すなわち、信号配線12にMOSトランジスタT1aのソースが接続され、MOSトランジスタT1aのドレインがMOSトランジスタT2aのソースに接続される。MOSトランジスタT2aのドレインが第1ノードN1に接続される。MOSトランジスタT1a及びT2aのゲートが第3ノードN2aに接続される。
【0079】
なお、本実施形態では、接地配線11と第1ノードN1との間、及び信号配線12と第1ノードN1との間に直列接続された3段のツェナーダイオードをそれぞれ設けたが、これに限るわけではない。接地配線11と第1ノードN1との間、及び信号配線12と第1ノードN1との間に設けるツェナーダイオードの段数は任意に設定可能である。
【0080】
4.2 第4実施形態の動作
以下に、第4実施形態の静電保護回路4の動作について説明する。
【0081】
図8は、第4実施形態の静電保護回路における電流-電圧特性を示す図である。横軸は入出力端子TIOに入力される電圧VESを表し、縦軸はメインクランプ回路MC、サブクランプ回路SC2及びSC2aに流れる電流を表す。メインクランプ回路MCに流れる電流をIaあるいはIdとし、サブクランプ回路SC2の抵抗素子R1に流れる電流をIb、MOSトランジスタT1及びT2の各々の電流経路に流れる電流をIcとする。また、サブクランプ回路SC2aの抵抗素子R1aに流れる電流をIe、MOSトランジスタT1a及びT2aの各々の電流経路に流れる電流をIfとする。ここでは、一例としてダイオードD1及びD2の各々の耐圧が45Vであり、直列接続された3段のツェナーダイオードD3、D4及びD5、並びに3段のツェナーダイオードD3a、D4a及びD5aの降伏電圧がそれぞれ21Vである。また、MOSトランジスタT1及びT2が同じオン抵抗を持ち、MOSトランジスタT1a及びT2aが同じオン抵抗を持つ場合を述べる。 先ず、入出力端子TIOに入力される電圧VESが正電圧である場合以下のように動作する。図8に示すように、入出力端子TIOに入力される電圧VESが21Vに達するまでは、メインクランプ回路MC、サブクランプ回路SC2及びSC2aに共に電流は流れない。
【0082】
次に、電圧VESが21Vを越えると、サブクランプ回路SC2における電流(Ib+Ic)が流れ始め、電圧VESが上昇するのに従って電流(Ib+Ic)が増加する。ここで、MOSトランジスタT1及びT2が持つオン抵抗は、第1実施形態においてMOSトランジスタT1が持つオン抵抗の2倍である。このため、第4実施形態における電流(Ib+Ic)の電流量は、第1実施形態における電流(Ib+Ic)の電流量の1/2程度となる。しかし、この場合でも被保護回路PCを保護するために必要な電流量を維持できるため、不具合は生じない。
【0083】
次に、電圧VESが45Vを越えると、メインクランプ回路MCにおける電流Iaが流れ始める。その後、電流(Ia+Ib+Ic)は増大し、例えば、1A程度以上になる。
【0084】
一方、入出力端子TIOに入力される電圧VESが負電圧である場合以下のように動作する。入出力端子TIOに入力される電圧VESが-21Vに低下するまでは、メインクランプ回路MC、サブクランプ回路SC2及びSC2aに共に電流は流れない。

次に、電圧VESが-21Vより低下すると、サブクランプ回路SC2aにおける電流(Ie+If)が流れ始め、電圧VESが低下するのに従って電流(Ie+If)が増加する。ここで、MOSトランジスタT1a及びT2aが持つオン抵抗は、第3実施形態においてMOSトランジスタT1aが持つオン抵抗の2倍である。このため、第4実施形態における電流(Ie+If)の電流量は、第3実施形態における電流(Ie+If)の電流量の1/2程度となる。しかし、この場合でも被保護回路PCを保護するために必要な電流量を維持できるため、不具合は生じない。
【0085】
次に、電圧VESが-45Vより低下すると、メインクランプ回路MCにおける電流Idが流れ始める。その後、電流(Id+Ie+If)は増大し、例えば、-1A程度以上になる。
【0086】
第4実施形態の静電保護回路4では、電圧VESが21Vを越えたときに、電圧VESで生じる大きな電流を、サブクランプ回路SC2の電流(Ib+Ic)により高速に接地端子TVSSに逃がす。また、電圧VESが-21Vより低下したときに、電圧VESで生じる大きな電流を、サブクランプ回路SC2aの電流(Ie+If)により高速に入出力端子TIOに逃がす。これにより、被保護回路PCに過電流が流れるのを防ぐことができる。この結果、ESD等により生じるサージ電圧によって被保護回路PCが破壊されるのを防止できる。
【0087】
4.3 第4実施形態の効果
第4実施形態によれば、保護性能を向上できる静電保護回路を提供できる。
【0088】
第4実施形態の構成では、第2実施形態で得られる効果に加えて、電圧VESが電圧VSSに対して負の電圧になった場合でも、電圧VESが電圧VSSに対して正の電圧の場合と同様に、ESD等により生じるサージ電圧(あるいは、過電圧)によって被保護回路PCが破壊されるのを防止できる。
【0089】
5.その他
前述した実施形態の静電保護回路1-4は、車載用のLIN(Local Interconnect Network)あるいはCAN(Controller Area Network)が適用された電子機器のインタフェース回路、またはその他の電子機器等に使用される。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0091】
1…静電保護回路、2…静電保護回路、3…静電保護回路、4…静電保護回路、11…接地配線、12…信号配線、D1…ダイオード、D2…ダイオード、D3…ツェナーダイオード、D3a…ツェナーダイオード、D4…ツェナーダイオード、D4a…ツェナーダイオード、D5…ツェナーダイオード、D5a…ツェナーダイオード、N1…ノード、N2…ノード、N2a…ノード、PC…被保護回路、R1…抵抗素子、R1a…抵抗素子、SC1…サブクランプ回路、SC1a…サブクランプ回路、SC2…サブクランプ回路、SC2a…サブクランプ回路、T1…DMOS電界効果トランジスタ、T1a…DMOS電界効果トランジスタ)、T2…DMOS電界効果トランジスタ、T2a…DMOS電界効果トランジスタ、Tp…DMOS電界効果トランジスタ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8