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特開2024-138865情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138865
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/063 20230101AFI20241002BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20241002BHJP
【FI】
G06Q10/063
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049579
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】514020389
【氏名又は名称】TIS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉原 則彦
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA04
5L010AA09
5L049AA04
5L049AA09
(57)【要約】
【課題】高い精度でのプロジェクトの将来予測を可能とする。
【解決手段】情報処理装置100の受付部132は、プロジェクトに関する情報とリスクについてのユーザアンケートに関する情報とを受け付ける。情報処理装置100の算出部133は、プロジェクトに関する情報とリスクについてのユーザアンケートに関する情報とを用いて所定の予測を算出する。情報処理装置100の出力部134は、算出部133により算出された所定の予測を用いてプロジェクトの将来予測に関する情報を出力する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクトに関する情報とリスクについてのユーザアンケートに関する情報とを受け付ける受付部と、
前記プロジェクトに関する情報と前記リスクについてのユーザアンケートに関する情報との少なくともどちらか一方を用いて所定の予測を算出する算出部と、
前記算出部により算出された前記所定の予測を用いてプロジェクトの将来予測に関する情報を出力する出力部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
プロジェクトの履歴情報と、プロジェクトマネージャに関する情報と、人事に関する情報とを学習データとして、納期の予測値または利益の予測値を出力する学習モデルを学習する学習部を更に有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記算出部は、
前記プロジェクトに関する情報と前記リスクについてのユーザアンケートに関する情報とを用いて、納期の予測、利益の予測、リスク度合いの予測、乖離度の予測の少なくともいずれか1つを前記所定の予測として算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記算出部は、前記プロジェクトに関する情報に含まれる顧客情報、システム概要、利益目標、工数、マネジメント工数、工程計画、契約内容、高リスク観点、リスク費比率、工程別契約、工程別工期工数、自由記入によるリスクコメントのうち少なくともいずれか1つを入力として、学習モデルを用いて納期の予測、利益の予測および成功率の予測のうち1つまたは複数を算出する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記算出部は、前記リスクについてのユーザアンケートに関する情報に含まれるリスクに関するアンケート結果の内容を所定の閾値に基づいてスコアリング項目に割り当ててリスク度の予測を算出する、
ことを特徴とする請求項1または3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記算出部は、所定の指標と予め設定された条件とに基づいて類似プロジェクトと評価対象のプロジェクトとの乖離度の予測を算出する、
ことを特徴とする請求項1または3に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記出力部は、前記算出部により算出された前記所定の予測である納期の予測、利益の予測、リスク度の予測およびの乖離度の予測のうちの1つまたは複数の組み合わせを用いて、プロジェクトのリスク評価に関する情報およびリスクへの対応策に関する情報を含む前記プロジェクトの将来予測に関する情報を出力する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記出力部は、前記プロジェクトのリスク評価に関する情報に含まれるキーワードと、予め記憶された対応策に関する情報に含まれるキーワードとのマッチングにより、リスクへの対応策に関する情報を出力する、
ことを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
情報処理装置に実施させる情報処理方法であって、
プロジェクトに関する情報とリスクについてのユーザアンケートに関する情報とを受け付ける受付工程と、
前記プロジェクトに関する情報と前記リスクについてのユーザアンケートに関する情報との少なくともどちらか一方を用いて所定の予測を算出する算出工程と、
前記算出工程により算出された前記所定の予測値を用いてプロジェクトの将来予測に関する情報を出力する出力工程と、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
プロジェクトに関する情報とリスクについてのユーザアンケートに関する情報とを受け付ける受付手順と、
前記プロジェクトに関する情報と前記リスクについてのユーザアンケートに関する情報との少なくともどちらか一方を用いて所定の予測を算出する算出手順と、
前記算出手順により算出された前記所定の予測値を用いてプロジェクトの将来予測に関する情報を出力する出力手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
対象のプロジェクトに関して、プロジェクトの成功率の予測が行われる場合がある。例えば、従来技術では、プロジェクトの達成のために求められるパフォーマンス水準と、プロジェクトのステークホルダの評価値等に基づいて、プロジェクトの成功確率を予測する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-170718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、より高い精度でのプロジェクトの将来予測が求められている。例えば、従来技術は、プロジェクトの達成のために求められるパフォーマンス水準と、プロジェクトのステークホルダの評価値等に基づいて成功率を予測するが、予測された成功率予測の精度がプロジェクトマネージャやプロジェクトオーナが求める水準に到達しない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、上記の課題を解決し目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、プロジェクトに関する情報とリスクについてのユーザアンケートに関する情報とを受け付ける受付部と、前記プロジェクトに関する情報と前記リスクについてのユーザアンケートに関する情報との少なくともどちらか一方を用いて所定の予測を算出する算出部と、前記算出部により算出された前記所定の予測を用いてプロジェクトの将来予測に関する情報を出力する出力部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、高い精度でのプロジェクトの将来予測を可能とする、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係るプロジェクトの総合リスク評価の概要を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る情報処理装置の機能ブロック図の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る学習データの一例を示すテーブル図である。
図5図5は、実施形態に係る学習データの一例を示すテーブル図である。
図6図6は、実施形態に係る学習データの一例を示すテーブル図である。
図7図7は、実施形態に係る学習モデルの学習の一例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る学習モデルに基づく納期の予測値の算出の概要を示す図である。
図9図9は、実施形態に係る学習モデルに基づく利益の予測値の算出の概要を示す図である。
図10図10は、実施形態に係るリスク度の予測の算出の一例を示す図である。
図11図11は、実施形態に係る乖離度の予測の算出の一例を示す図である。
図12図12は、実施形態に係る総合リスク評価に関する情報の出力の一例を示す図である。
図13図13は、実施形態に係る出力画面の一例を示す図である。
図14図14は、実施形態に係る出力画面の一例を示す図である。
図15図15は、実施形態に係る情報処理方法のフローチャートの一例を示す図である。
図16図16は、本実施形態に係る情報処理装置が実現されるコンピュータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示に係る情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0009】
〔1.序説〕
本実施形態に係る情報処理装置100は、プロジェクトの将来予測として総合リスク評価(成否予測およびリスク抽出)の実施に関する技術を提供する。ここから、序説として、プロジェクトの総合リスク評価の概要、および情報処理装置100による情報処理の概要について説明する。
【0010】
〔1-1.プロジェクトの総合リスク評価の概要〕
まず、図1を用いて本実施形態に係る情報処理装置100により実現されるプロジェクトの総合リスク評価の概要について説明する。図1は、実施形態に係るプロジェクトの総合リスク評価の概要を示す図である。
【0011】
本実施形態に係る情報処理装置100は、従来のプロジェクトの過去実績やユーザの経験則等に基づく予測に加え、プロジェクトの履歴情報と、プロジェクトマネージャに関する情報と、人事に関する情報とを用いて学習した学習モデルを用いて、総合リスク評価を実施する(図1の(1))。
【0012】
それにより、情報処理装置100は、従来よりも高い精度で評価対象のプロジェクトの将来予測を可能とする(図1の(2))。さらに、情報処理装置100は、プロジェクトの総合リスク評価に基づいて受注プロジェクトの選定やプロジェクトの見直しを可能とする(図1の(3))。また、情報処理装置100は、プロジェクトの総合リスク評価に基づいてリスクの高いプロジェクトの監視を可能とする(図1の(4))。
【0013】
〔1-2.情報処理装置による情報処理の概要〕
次に、図2を用いて情報処理装置100による情報処理の概要について説明する。図2は、実施形態に係る情報処理装置100の機能ブロック図の一例を示す図である。なお、図2では、各機能部の詳細な機能は後述することとし、本項目では処理の流れのみを説明する。
【0014】
情報処理装置100は、総合リスク評価に用いる所定の予測値(納期の予測値、利益の予測値)の算出のための学習モデルの学習を行う。まず、学習部131は、予め用意された学習データとしてプロジェクトの履歴情報121aと、プロジェクトマネージャに関する情報121bと、人事に関する情報121cとを用いて所定の予測値を算出するための学習モデルを学習する(図2の(1))。
【0015】
次に、情報処理装置100は、所定の予測を算出する。図2に示す通り、受付部132は、入力データとしてプロジェクトに関する情報123aおよびリスクについてのユーザアンケートに関する情報123bを受け付ける(図2の(2))。
【0016】
算出部133は、受付部132により受け付けられた入力データを用いて所定の予測を算出する。具体的には、算出部133は、プロジェクトに関する情報123aおよびリスクについてのユーザアンケートに関する情報123bを入力とする学習モデルに基づいて、納期の予測を算出する(図2の(3-1))。また、算出部133は、プロジェクトに関する情報123aおよびリスクについてのユーザアンケートに関する情報123bを入力とする学習モデルに基づいて、利益の予測を算出する(図2の(3-2))。
【0017】
また、算出部133は、受付部132により受け付けられたプロジェクトに関する情報123aおよびリスクについてのユーザアンケートに関する情報123bを用いて、リスク度の予測を算出する(図2の(3-3))。また、算出部133は、受付部132により受け付けられたプロジェクトに関する情報123aおよびリスクについてのユーザアンケートに関する情報123bを用いて、乖離度の予測を算出する(図2の(3-4))。
【0018】
出力部134は、算出部133により算出された納期の予測、利益の予測、リスク度の予測、乖離度の予測を用いて、評価対象のプロジェクトについての総合リスク評価に関する情報をユーザの端末装置200等に出力する(図2の(5))。
【0019】
〔2.情報処理装置の構成〕
ここから、図3を用いて、実施形態に係る情報処理装置100について説明する。図3は、実施形態に係る情報処理装置100の構成例を示す図である。図3に示すように、情報処理装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0020】
(通信部110)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部110は、所定のネットワークにより有線または無線で接続され、例えば、端末装置200との間で情報の送受信を行う。
【0021】
(記憶部120)
記憶部120は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。また、図3に示す通り、記憶部120は、学習データ記憶部121と、学習モデル記憶部122と、入力データ記憶部123と、予測情報記憶部124と、解決策情報記憶部125とを有する。
【0022】
(学習データ記憶部121)
学習データ記憶部121は、後述の学習部131が所定の学習モデルの学習に用いる情報を記憶する。具体的には、学習データ記憶部121は、プロジェクトの履歴情報121aと、プロジェクトマネージャに関する情報121bと、人事に関する情報121cとを記憶する。ここから、学習データ記憶部121が記憶する情報について、図4から図6を用いて説明する。図4から図6は、実施形態に係る学習データの一例を示すテーブル図である。
【0023】
(プロジェクトの履歴情報121a)
まず、図4を用いてプロジェクトの履歴情報121aについて説明する。プロジェクトの履歴情報121aは、過去に行われたプロジェクトに関する情報である。例えば、プロジェクトの履歴情報121aは、過去行われたプロジェクトを実行した組織の部門、プロジェクトの属性、客先情報、経営指標、工数情報等を含んでいてよい。
【0024】
具体的には、図4に示す通り、プロジェクトの履歴情報121aは、「No」および「変数名」といった項目を有する一覧表形式で記憶されていてよい。例えば、プロジェクトの履歴情報121aは、Noが「1」により識別される変数名が「事業部」といったような情報を含んでいてよい。なお、図4に示した項目は、あくまで一例でありプロジェクトの履歴情報121aに含まれる項目はこれに限定されない。
【0025】
(プロジェクトマネージャに関する情報121b)
次に、図5を用いてプロジェクトマネージャに関する情報121bについて説明する。プロジェクトマネージャに関する情報121bは、所定の組織においてプロジェクトを統括する人物(以降、「プロジェクトマネージャ」と表記)に関する情報である。例えば、プロジェクトマネージャに関する情報121bは、所定の組織に所属するプロジェクトマネージャの識別情報、経験、評価、スキルに関する情報等を含んでいてよい。
【0026】
具体的には、図5に示す通り、プロジェクトマネージャに関する情報121bは、「No」および「変数名」といった項目を有する一覧表形式で記憶されていてよい。例えば、プロジェクトマネージャに関する情報121bは、Noが「1」により識別される変数名が「社員ID」といったような情報を含んでいてよい。なお、図5に示した項目は、あくまで一例でありプロジェクトマネージャに関する情報121bに含まれる項目はこれに限定されない。
【0027】
(人事に関する情報121c)
次に、図6を用いて人事に関する情報121cについて説明する。人事に関する情報121cは、対象のプロジェクトに係るプロジェクトマネージャの人事情報である。例えば、人事に関する情報121cは、プロジェクトマネージャの経験年数(資格任用期間等)や入社後経過年数等の情報を含んでいてよい。
【0028】
具体的には、図6に示す通り、人事に関する情報121cは、「No」および「変数名」といった項目を有する一覧表形式で記憶されていてよい。例えば、人事に関する情報121cは、Noが「1」により識別される変数名が「プロジェクトマネージャ資格任用開始後月数」といったような情報を含んでいてよい。なお、図6に示した項目は、あくまで一例であり、人事に関する情報121cに含まれる項目はこれに限定されない。
【0029】
(学習モデル記憶部122)
ここで、図3に戻り説明を続ける。学習モデル記憶部122は、後述の算出部133が算出を行う際に用いる学習モデルを記憶する。例えば、学習モデル記憶部122は、プロジェクトに関する情報123aおよびリスクについてのユーザアンケートに関する情報123bを入力として、納期の予測値および利益の予測値を出力する学習モデルを記憶できる。
【0030】
なお、本実施形態における学習モデルは、LightGBM(Light Gradient Boosting Machine)である前提で説明するが、前述の予測値を算出可能な学習モデルであれば限定されない。また、学習モデル記憶部122は、学習部131により学習された学習モデルの他、外部の装置で学習された学習モデルを記憶してよい。また、学習モデル記憶部122は、教師あり学習モデル、教師なし学習モデル、強化学習モデル等を学習モデルとして記憶してよい。
【0031】
(入力データ記憶部123)
入力データ記憶部123は、後述の算出部133が所定の予測の算出を行う際に用いる入力データを記憶する。具体的には、入力データ記憶部123は、プロジェクトに関する情報123aおよびリスクについてのユーザアンケートに関する情報123bを記憶する。
【0032】
(プロジェクトに関する情報123a)
プロジェクトに関する情報123aは、評価対象のプロジェクトに関する情報である。例えば、プロジェクトに関する情報123aは、顧客情報、システム概要、利益目標、工数、マネジメント工数、工程計画、契約内容、高リスク観点、リスク費比率、工程別契約、工程別工期工数、リスクコメント(自由入力)等を含んでいてよい。なお、入力データ記憶部123は、前述した情報以外にもプロジェクトに関する情報の範疇に含まれる情報であれば、プロジェクトに関する情報123aとして記憶することができる。
【0033】
(リスクについてのユーザアンケートに関する情報123b)
リスクについてのユーザアンケートに関する情報123bは、評価対象のプロジェクトのリスクに関する情報である。例えば、リスクについてのユーザアンケートに関する情報123bは、プロジェクトに関する状況(例えば、顧客情報、自社状況、システムの特性等)についてのユーザのアンケート回答の結果を含んでいてよい。
【0034】
(予測情報記憶部124)
予測情報記憶部124は、後述の算出部133により算出された所定の予測(将来予測)を記憶する。具体的には、予測情報記憶部124は、納期の予測124aと、利益の予測124bと、リスク度の予測124cと、乖離度の予測124dとを記憶する。
【0035】
(納期の予測124a)
納期の予測124aは、後述の算出部133により算出された、評価対象のプロジェクトに係る納期の将来予測である。例えば、納期の予測124aは、「プロジェクトの完了に係る日数が〇〇日」といったように予測実施時点から完了までの日数を数値、テキスト等の納期の予測値を含んでいてよい。また、納期の予測124aは、ユーザの納期予測値と前述の納期の予測値とを用いて、算出部133により算出された納期の乖離度を含んでいてよい。また、納期の予測124aは、前述の納期の乖離度を用いて算出部133により算出された納期のリスク評価を含んでいてよい。
【0036】
(利益の予測124b)
利益の予測124bは、後述の算出部133により算出された、評価対象のプロジェクトに係る利益の将来予測である。例えば、利益の予測124bは、「売上総利益:〇〇%」や「営業利益:〇〇%」といったような数値、テキスト等の利益の予測値を含んでいてよい。また、利益の予測124bは、ユーザの利益予測値と前述の利益の予測値とを用いて、算出部133により算出された利益の乖離度を含んでいてよい。また、利益の予測124bは、前述の利益の乖離度を用いて算出部133により算出された利益のリスク評価を含んでいてよい。
【0037】
(リスク度の予測124c)
リスク度の予測124cは、後述の算出部133により算出された、評価対象のプロジェクトに係るリスク度の将来予測である。例えば、リスク度の予測124cは、プロジェクトに関する状況についてのユーザのアンケート回答の結果に基づいて算出されたリスクの大きさを示す「リスクポイント」といった指標を含んでいてよい。また、リスク度の予測124cは、前述のリスクポイントを用いて算出部133により算出されたリスク度の評価を含んでいてよい。
【0038】
(乖離度の予測124d)
乖離度の予測124dは、後述の算出部133により算出された、評価対象のプロジェクトと類似プロジェクトとの乖離度の将来予測である。例えば、乖離度の予測124dは、過去のプロジェクトと評価対象のプロジェクトとの乖離度を示す指標(乖離度の予測値)を含んでいてよい。また、乖離度の予測124dは、後述の算出部133により乖離度の予測値を用いて算出された乖離度のリスク評価を含んでいてよい。
【0039】
(解決策情報記憶部125)
解決策情報記憶部125は、後述の出力部134がリスク対応策に関する情報を出力する際に用いる予め記憶された過去のリスクや当該過去のリスクに対する解決策(対応策)に関する情報を記憶する。具体的には、解決策情報記憶部125は、過去発生したリスクの内容(例えばリスクの分類、発生日、影響度等)と、そのリスクに対する対応策(発生したリスクを解消するために講じた対応策等)の情報を記憶できる。なお、解決策情報記憶部125は、前述した情報に限定されず、過去のリスクや当該過去のリスクに対する解決策(対応策)の範疇に含まれる情報を記憶してよい。
【0040】
(制御部130)
制御部130は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、情報処理装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(情報処理プログラムの一例に相当)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、コントローラであり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0041】
図3に示すように、制御部130は、学習部131と、受付部132と、算出部133と、出力部134とを有し、以下に説明する情報処理の作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、図3に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0042】
(学習部131)
学習部131は、プロジェクトの履歴情報121aと、プロジェクトマネージャに関する情報121bと、人事に関する情報121cとを学習データとして、納期の予測値または利益の予測値を出力する学習モデルを学習する。なお、本実施形態において、学習部131は、LightGBMを用いて学習を行う前提とする。また、学習部131は、前述の予測値を算出可能な学習モデルであれば限定されず、例えば、教師あり学習モデル、教師なし学習モデル、強化学習モデル等を学習できる。
【0043】
ここで、図7を用いて学習モデルの学習について説明する。図7は、実施形態に係る学習モデルの学習の一例を示す図である。図7に示す一例では、424件の全データについて、80%(339件)を学習データとして、20%(85件)をテストデータ(入力データ)として分割して学習を行った。なお、分割したデータは「成功」および「失敗」のフラグ付けがされており、前述の分割の際に「成功」と「失敗」の比率が同程度になるように分割されたデータを用いた。なお、以降は、図7の一例で学習した学習モデルを用いて、算出部133が算出を実施する前提で説明を行う。
【0044】
(受付部132)
ここで、図3に戻り説明を続ける。受付部132は、評価対象のプロジェクトの所定の予測を算出するために用いる所定の情報を受け付ける。具体的には、受付部132は、入力データとしてプロジェクトに関する情報123aとリスクについてのユーザアンケートに関する情報123bとを受け付ける。例えば、受付部132は、プロジェクトに関する情報123aとして、顧客情報、システム概要、利益目標、工数、マネジメント工数、工程計画、契約内容、高リスク観点、リスク費比率、工程別契約、工程別工期工数、リスクコメント(自由入力)等を受け付けることができる。また、受付部132は、プロジェクトに関する状況(例えば、顧客情報、自社状況、システムの特性等)についてのユーザのアンケート回答の結果をリスクについてのユーザアンケートに関する情報123bとして受け付けることができる。
【0045】
その他に、受付部132は、学習部131が所定の学習モデルを学習するために用いる学習データを受け付けることができる。具体的には、受付部132は、前述したプロジェクトの履歴情報121aと、プロジェクトマネージャに関する情報121bと、人事に関する情報121cとを受け付けることができる。
【0046】
例えば、受付部132は、プロジェクトの履歴情報121aとして、過去行われたプロジェクトを対応した組織の部門、プロジェクトの属性、客先情報、経営指標、工数情報等を受け付けることができる。また、受付部132は、プロジェクトマネージャに関する情報121bとして、プロジェクトマネージャに関する情報121bは、所定の組織に所属するプロジェクトマネージャの識別情報、経験、評価、スキルに関する情報等を受け付けることができる。また、受付部132は、人事に関する情報121cとして、プロジェクトマネージャの経験年数(資格任用期間等)や入社後経過年数等の情報を受け付けることができる。
【0047】
(算出部133)
算出部133は、プロジェクトに関する情報123aとリスクについてのユーザアンケートに関する情報123bとの少なくともどちらか一方を用いて所定の予測を算出する。具体的には、算出部133は、プロジェクトに関する情報123aとリスクについてのユーザアンケートに関する情報123bとを用いて、納期の予測124a、利益の予測124b、リスク度の予測124c、乖離度の予測124dの少なくともいずれか1つを所定の予測として算出する。
【0048】
算出部133は、プロジェクトに関する情報に含まれる顧客情報、システム概要、利益目標、工数、マネジメント工数、工程計画、契約内容、高リスク観点、リスク費比率、工程別契約、工程別工期工数、自由記入によるリスクコメントのうち少なくともいずれか1つを入力として、学習モデルを用いて納期の予測124a、利益の予測124bおよび成功率の予測のうち1つまたは複数を算出する。なお、算出部133は、学習部131により学習された学習モデルを用いてもよいし、外部の装置において学習された学習モデルを用いてもよい。
【0049】
ここで、図8を用いて学習モデルに基づく納期の予測値の算出について説明する。図8は、実施形態に係る学習モデルに基づく納期の予測値の算出の概要を示す図である。なお、図8に示す納期の予測値の算出方法は、あくまで学習モデルに基づく回帰分析を概念的に記載した内容であり、実際の算出方法が限定されるものではない。
【0050】
図8に示すように、算出部133は、学習部131により学習された学習モデル(LightGBM)に基づいて回帰分析を行い、納期の予測値を算出する。例えば、算出部133は、最初の階層において入力されたプロジェクトに関する情報に含まれる納期が「納期目標120日以上」の条件を満たすか否かを判定する。前述の条件を満たす場合には、更に算出部133は、次の階層において入力されたプロジェクトに関する情報123aに含まれる工数当たり原価が「工数当たり原価90万円以上」の条件を満たすか否かを判定する。このようにして、算出部133は、複数階層にて判定を繰り返し納期の予測値(例えば、100日等)を算出できる。
【0051】
算出部133は、ユーザの納期予測値と学習モデルに基づき算出された納期の予測値とを用いて、納期の乖離度を算出する。例えば、算出部133は、ユーザの納期予測値「130日」と納期の予測値「100日」とを用いて、「乖離度(%)=(ユーザの予測納期値-納期の予測値)÷納期の予測値×100」といった算出式に基づき、納期の乖離度「30%」を算出できる。
【0052】
算出部133は、算出された納期の乖離度を用いて所定のリスク評価の算出条件に基づき、納期の予測として「納期のリスク評価」を算出する。例えば、算出部133は、所定のリスク評価の算出条件(0以上が「A」、-10以上0未満が「B」、-15以上-10未満が「C」、-20以上-15未満が「D」、-20以下が「E」等)に基づいて、納期のリスク評価を「A」と算出できる。
【0053】
次に、図9を用いて学習モデルに基づく利益の予測値の算出について説明する。図9は、実施形態に係る学習モデルに基づく利益の予測値の算出の概要を示す図である。なお、図9に示す利益の予測値の算出方法は、あくまで学習モデルに基づく回帰分析を概念的に記載した内容であり、実際の算出方法が限定されるものではない。
【0054】
図9に示すように、算出部133は、学習部131により学習された学習モデル(LightGBM)に基づいて回帰分析を行い、利益の予測値を算出する。例えば、算出部133は、最初の階層において入力されたプロジェクトに関する情報123aに含まれる営業利益が「目標営業利益率10%以上」の条件を満たすか否かを判定する。前述の条件を満たす場合には、更に算出部133は、次の階層において入力されたプロジェクトに関する情報123aに含まれる工数当たり原価が「工数当たり原価90万円以上」の条件を満たすか否かを判定する。このようにして、算出部133は、複数階層にて判定を繰り返し利益の予測値(例えば、12%等)を算出できる。
【0055】
算出部133は、ユーザの利益予測値と学習モデルに基づき算出された利益の予測値とを用いて、利益の乖離度を算出する。例えば、算出部133は、ユーザの利益予測値「38%」と利益の予測値「35%」とを用いて、「乖離度(%)=(ユーザの利益予測値-利益の予測値)÷利益の予測値×100」といった算出式に基づき、利益の乖離度「8.6%」を算出できる。
【0056】
算出部133は、算出された利益の乖離度を用いて所定のリスク評価の算出条件に基づき、利益の予測として「利益のリスク評価」を算出する。例えば、算出部133は、予め設定されたリスク評価の算出条件(0未満が「A」、0以上10未満が「B」、10以上15未満が「C」、15以上20未満が「D」、20以上が「E」等)に基づいて、利益のリスク評価を「B」と算出できる。
【0057】
また、算出部133は、所定の予測として、プロジェクトに係る所定の成功率の予測値を算出する。前述したように、算出部133は、プロジェクトに関する情報123aに含まれる顧客情報、システム概要、利益目標、工数、マネジメント工数、工程計画、契約内容、高リスク観点、リスク費比率、工程別契約、工程別工期工数、自由記入によるリスクコメントのうち少なくともいずれか1つを入力として、学習モデルを用いてプロジェクトの成功率の予測を算出する。例えば、算出部133は、前述したプロジェクトに関する情報123aに含まれる情報を用いて、評価対象のプロジェクトについて「成功率〇〇%」といった予測値を算出してよい。なお、このプロジェクトの成功率の予測は、後述の出力部134によるプロジェクトの将来予測に関する情報の出力に用いることができる。
【0058】
次に、図10を用いて所定の予測値に含まれるリスク度の予測の算出方法の一例について説明する。図10は、実施形態に係るリスク度の予測の算出の一例を示す図である。
【0059】
算出部133は、リスクについてのユーザアンケートに関する情報123bに含まれるリスクに関するアンケート結果の内容を所定の閾値に基づいてスコアリング項目に割り当ててリスク度の予測(リスク度の評価)を算出する。具体的には、算出部133は、リスクについてのユーザアンケートに関する情報123bに含まれるアンケートへの回答内容ごとに予め設定された配点を行い、リスクの大きさの指標であるリスクポイントを算出する。
【0060】
例えば、図10のアンケート10には、「顧客のシステム部門の責任者や主要メンバーにおける同種、同規模の経験者の数」という質問が示されている。さらに、アンケート10には、当該質問に対する回答の選択肢として「(1)全体のX%以上」、「(2)全体のY%以上」、「(3)Z%前後、もしくはいない」、「(4)未経験者がほとんど」が示されている。そして、算出部133は、図10に示すような回答の選択肢ごとに設定された配点表11(例えば、「(1)2ポイント」、「(2)4ポイント」、「(3)6ポイント」、「(4)10ポイント」)に基づいて、リスクポイントを算出する。なお、前述した配点は、適宜変更されてよい。
【0061】
さらに、算出部133は、算出したリスクポイントについて所定の分類ごとに集計し、分類ごとのリスク度の予測(例えば、AからEの5段階でAが最もリスクが低い等)を算出する。そして、算出部133は、所定の分類ごとに集計されたリスク度の予測を用いて、リスク度の予測(リスク度の評価)を算出する。
【0062】
例えば、算出部133は、リスク度の評価の一覧表12に示すように、分類「顧客」のリスクポイント「30」に基づいて、リスク度の評価「D」を算出する。そして、算出部133は、全ての項目のリスクポイントを合計した、総合計のリスクポイント「80」に基づいて、リスク度の評価「C」を算出する。
【0063】
次に、図11を用いて乖離度の予測の算出方法の一例について説明する。図11は、実施形態に係る乖離度の予測の算出の一例を示す図である。まず、算出部133は、過去のプロジェクトの中から評価対象のプロジェクトと類似するプロジェクトを選択する。なお、類似プロジェクトの選択は、例えば、「規模」、「システム特性」、「顧客特性が一致するもの」等の項目に基づいて行われてよい。
【0064】
次に、算出部133は、所定の指標と予め設定された条件とに基づいて類似プロジェクト評価対象のプロジェクトとの乖離度の予測(乖離度のリスク評価)として算出する。具体的には、算出部133は、プロジェクトの履歴情報121aに含まれる「成功」のフラグ付けがされた類似プロジェクトの所定の項目の平均値と、評価対象のプロジェクトの所定の項目の平均値とを用いて、乖離度の予測値を算出する。なお、ここでいう所定の項目とは任意に設定されてよく、例えば、「売上総利益率」、「マネジメント工数比率」、「工数当たりの原価」、「原価に対する販売費率」等であってよい。
【0065】
例えば、売上総利益率の場合、算出部133は、類似プロジェクトが「平均40%」と評価対象のプロジェクトが「45%」という情報(平均値)を用いる。そして、算出部133は、前述の平均値を用いて「乖離度(%)=(評価対象のプロジェクトの平均値-類似プロジェクトの平均値)÷評価対象のプロジェクトの平均値×100」といった算出式に基づいて、乖離度の予測値「2.8%」を算出できる。
【0066】
次に、算出部133は、一覧表20に基づいて売上総利益率についての乖離度の予測値を用いて、乖離度のリスク評価として「A」を算出する。そして、算出部133は、リスク評価に対応する配点(例えば、Aの場合は「1」)に所定の係数を乗じて、得点「1」を算出する。このようにして、算出部133は、図11に示すリスク評価の結果21に示す通り、各項目について算出された得点の合計値に基づき乖離度のリスク評価を「D」と算出する。
【0067】
(出力部134)
出力部134は、算出部133により算出された所定の予測を用いてプロジェクトの将来予測に関する情報を出力する。具体的には、出力部134は、算出部133により算出された所定の予測である納期の予測124a(納期のリスク評価)、利益の予測124b(利益のリスク評価)、リスク度の予測124c(リスク度の評価)およびの乖離度の予測124d(乖離度のリスク評価)のうちの1つまたは複数の組み合わせを用いて、プロジェクトのリスク評価に関する情報およびリスクへの対応策に関する情報を含むプロジェクトの将来予測に関する情報を出力する。
【0068】
ここで、図12を用いてプロジェクトの総合リスク評価に関する情報の出力について説明する。図12は、実施形態に係る総合リスク評価に関する情報の出力の一例を示す図である。前述した通り、出力部134は、算出部133により算出された納期の予測124a、利益の予測124b、リスク度の予測124cおよび乖離度の予測124dを用いて、プロジェクトの総合リスク評価を出力できる。
【0069】
例えば、図12に示す一例では、総合リスク評価の一覧表30には、納期の予測値が「A」、利益の予測値が「B」、リスク度の予測値が「C」、類似案件との乖離度が「D」であり、総合リスク評価が「B」と示されている。なお、本実施形態において、「リスクの評価」は、AからDの4段階のアルファベットで出力される。
【0070】
なお、前述したそれぞれのアルファベットは、次の通りの意味を含む。Aは、「リスクが少なく、予定どおりに完了する可能性が高い」を意味する。Bは、「リスクはあるものの、予定に近い結果になる可能性が高い」を意味する。Cは、「リスクがあり、予想どおりに進まない可能性がある」を意味する。Dは、「リスクが多く、予想に反した結果になる可能性が高い(要注意)」を意味する。
【0071】
総合リスク評価の一覧表30には、「配点」、「係数」、「得点」という項目が含まれる。配点は、項目「評価」に示されたアルファベットに対応する点数で、例えば、Aが「1」、Bが「2」、Cが「3」、Dが「4」といったように予め設定される。なお、図12に示された配点は、限定されるものではなく変更してよい。
【0072】
係数は、各予測結果に乗ずる重み付けの数値である。例えば、係数は、納期の予測が「0.5」、利益の予測が「0.5」、リスク度の予測が「1.0」、乖離度の予測が「0.7」といったように設定される。なお、図12に示された係数は、限定されるものではなく変更されてよい。そして、得点は、配点に係数を乗じた数値として算出される。
【0073】
出力部134は、それぞれのリスク評価について算出された得点の合計と総合リスク評価の算出条件31に基づき、総合リスク評価に関する情報を出力する。例えば、図12に示す一例では、出力部134は、合計得点が「7.3」に基づいて、総合リスク評価を「B」と出力できる。
【0074】
ここから、図13および図14を用いて出力画面の一例について説明する。図13および図14は、実施形態に係る出力画面の一例を示す図である。出力部134は、前述した評価対象のプロジェクトの総合リスク評価に関する情報を、図13に示すような出力画面40のような形式で出力することができる。例えば、出力画面40は、「診断総合判定」といったように、評価対象のプロジェクトの総合リスク評価(図13の(1))、自然言語文章で出力されたリスク高低等についてのコメント(図13の(2))、を含んでいてよい。
【0075】
また、出力画面40は、「類似プロジェクトとの比較」といったように、評価対象のプロジェクトと、それに類似するプロジェクトとの比較結果(例えば、売上総利益率、マネジメント工数比率、工数あたりの原価、原価における販売比率等)の情報を含んでいてよい(図13の(3))。また、出力画面40は、予測値と目標値との比較結果(例えば、利益予測、工期予測、工期工数比率等)の情報を含んでいてよい(図13の(4))。
【0076】
また、出力部134は、リスクについてのユーザアンケートに関する情報に含まれるキーワードと、予め解決策情報記憶部125に記憶された解決策に関する情報に含まれるキーワードとのマッチングにより、リスクへの対応策に関する情報を出力する。
【0077】
具体的には、出力部134は、前述したプロジェクトの総合リスク評価に関する情報に基づく解決策について、図14に示すような出力画面50のような形式でリスクへの対策に関する情報を出力することができる。例えば、出力部134は、出力画面50に各予測観点(例えば、顧客、体制、オフショア、現行踏襲等)について、「リスクの多い観点」や「その他リスク観点」といったように分類分けしたリスク評価の結果を出力することができる(図14の(1))。また、出力部134は、前述のリスク評価ごとに対応するリスク対応策を出力することができる。また、出力部134は、「リスクレベル4(65Point) ややリスクが少ないPJです」、「リスク費が少ない可能性があります。」、「マネジメント工数が少ない可能性があります。」といったような自然言語文章を出力することができる(図14の(2-1)および(2-2))。
【0078】
なお、出力部134は、文章を「分かち書き」(単語式)もしくは形態素解析による名詞の抽出により特定のキーワードが含まれる場合に、予め解決策情報記憶部125に記憶された関連するリスクへの対応策に関する情報を出力することができる。例えば、出力部134は、「オフショア」という単語が含まれる場合に、「オフショアに関するリスクとその対策」を出力することができる。
【0079】
加えて、出力部134は、算出部133により算出された「プロジェクトの成功率の予測」を前述の所定の予測に併せて用いて、プロジェクトのリスク評価に関する情報およびリスクへの対応策に関する情報を含むプロジェクトの将来予測に関する情報を出力できる。
【0080】
(端末装置200)
端末装置200は、情報処理装置100から出力された総合リスク評価に関する情報を受け付けユーザ等に表示する情報処理端末である。なお、本実施形態に係る端末装置200は、例えば、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレット端末、ノートPC(Personal Computer)等であってよく、限定されない。
【0081】
〔3.処理手順〕
ここから、本実施形態に係る情報処理装置100の情報処理手順について図15を用いて説明する。図15は、実施形態に係る情報処理方法のフローチャートの一例を示す図である。なお、各ステップは、入れ替えて実施されてもよいし、実施されないステップが存在してもよい。
【0082】
受付部132は、プロジェクトに関する情報とリスクについてのユーザアンケートに関する情報とを受け付ける(ステップS101)。算出部133は、プロジェクトに関する情報とリスクについてのユーザアンケートに関する情報との少なくともどちらか一方を用いて所定の予測を算出する(ステップS102)。
【0083】
具体的には、算出部133は、学習部131により学習された学習モデル(LightGBM)に基づいて回帰分析を行い、利益の予測値を算出する。次に、算出部133は、ユーザの利益予測値と学習モデルに基づき算出された利益の予測値とを用いて、利益の乖離度を算出する。そして、算出部133は、算出された利益の乖離度を用いて所定のリスク評価の算出条件に基づき、利益の予測として「利益のリスク評価」を算出する。
【0084】
また、算出部133は、学習部131により学習された学習モデル(LightGBM)に基づいて回帰分析を行い、利益の予測値を算出する。次に、算出部133は、ユーザの利益予測値と学習モデルに基づき算出された利益の予測値とを用いて、利益の乖離度を算出する。そして、算出部133は、算出された利益の乖離度を用いて所定のリスク評価の算出条件に基づき、利益の予測として「利益のリスク評価」を算出する。
【0085】
また、算出部133は、リスクについてのユーザアンケートに関する情報に含まれるアンケートへの回答内容ごとに予め設定された配点を行い、リスクの大きさの指標であるリスクポイントを算出する。次に、算出部133は、算出したリスクポイントについて所定の分類ごとに集計し、分類ごとのリスク度の予測を算出する。そして、算出部133は、所定の分類ごとに集計されたリスク度の予測を用いて、全体のリスク度の予測(リスク度の評価)を算出する。
【0086】
また、算出部133は、プロジェクトの履歴情報に含まれる「成功」のフラグ付けがされた類似プロジェクトの所定の項目の平均値と評価対象のプロジェクトの所定の項目の平均値とを用いて、乖離度の予測値を算出する。次に、算出部133は、乖離度の予測値を用いて、乖離度のリスク評価を算出する。そして、算出部133は、リスク評価に対応する配点に所定の係数を乗じて、得点を算出する。このようにして、算出部133は、各項目について算出された得点の合計値を算出し、乖離度のリスク評価を算出する。
【0087】
出力部134は、所定の予測を用いてプロジェクトの将来予測に関する情報を出力する(ステップS103)。具体的には、出力部134は、算出部133により算出された所定の予測である納期の予測(納期のリスク評価)、利益の予測(利益のリスク評価)、リスク度の予測(リスク度の評価)およびの乖離度の予測(乖離度のリスク評価)のうちの1つまたは複数の組み合わせを用いて、プロジェクトのリスク評価に関する情報およびリスクへの対応策に関する情報を含むプロジェクトの将来予測に関する情報を出力する。そして、情報処理装置100は、処理を終了する。
【0088】
〔4.効果〕
ここから、本実施形態の情報処理装置100が提供する効果について説明する。本実施形態に係る情報処理装置100の受付部132は、プロジェクトに関する情報とリスクについてのユーザアンケートに関する情報とを受け付ける。情報処理装置100の算出部133は、プロジェクトに関する情報とリスクについてのユーザアンケートに関する情報との少なくともどちらか一方を用いて所定の予測を算出する。情報処理装置100の出力部134は、算出部133により算出された所定の予測を用いてプロジェクトの将来予測に関する情報を出力する、ことを特徴とする。
【0089】
具体的には、情報処理装置100の算出部133は、プロジェクトに関する情報とリスクについてのユーザアンケートに関する情報とを用いて、納期の予測、利益の予測、リスク度合いの予測、乖離度の予測の少なくともいずれか1つを所定の予測として算出する。それにより、情報処理装置100は、納期の予測、利益の予測、リスク度合いの予測、乖離度の予測という4つの将来予測を算出する。それにより、従来実施されていたプロジェクトの実績データ等を単に用いた将来予測よりも高い精度で評価対象のプロジェクトの将来予測を実施できる。
【0090】
情報処理装置100の学習部131は、プロジェクトの履歴情報と、プロジェクトマネージャに関する情報と、人事に関する情報とを学習データとして、納期の予測値または利益の予測値を出力する学習モデルを学習する。そして、情報処理装置100の算出部133は、プロジェクトに関する情報に含まれる顧客情報、システム概要、利益目標、工数、マネジメント工数、工程計画、契約内容、高リスク観点、リスク費比率、工程別契約、工程別工期工数、自由記入によるリスクコメントのうち少なくともいずれか1つを入力として、学習モデルを用いて納期の予測、利益の予測および成功率の予測のうち1つまたは複数を算出する、という特徴を有する。このように、情報処理装置100は、評価対象のプロジェクトの将来予測の出力に用いる将来予測を、学習モデルに基づいて算出する。それにより、従来実施されていたプロジェクトの実績データ等を単に用いた将来予測よりも高い精度で評価対象のプロジェクトの将来予測を実施できる。
【0091】
情報処理装置100の算出部133は、リスクについてのユーザアンケートに関する情報に含まれるリスクに関するアンケート結果の内容を所定の閾値に基づいてスコアリング項目に割り当ててリスク度の予測を算出する、という特徴を有する。それにより、情報処理装置100は、評価対象のプロジェクトについて、「リスクの発生度合いはどの程度か」といった情報を算出できる。
【0092】
情報処理装置100の算出部133は、所定の指標と予め設定された条件とに基づいて類似プロジェクトと評価対象のプロジェクトとの乖離度の予測を算出する、という特徴を有する。それにより、情報処理装置100は、評価対象のプロジェクトと類似する過去の成功プロジェクトとの乖離度に基づいて「リスクの発生度合いはどの程度か」といった情報を算出できる。
【0093】
情報処理装置100の出力部134は、算出部133により算出された所定の予測である納期の予測、利益の予測、リスク度の予測およびの乖離度の予測のうちの1つまたは複数の組み合わせを用いて、プロジェクトのリスク評価に関する情報およびリスクへの対応策に関する情報を含む前記プロジェクトの将来予測に関する情報を出力する。また、情報処理装置100の出力部134は、プロジェクトのリスク評価に関する情報に含まれるキーワードと、予め記憶された対応策に関する情報に含まれるキーワードとのマッチングにより、リスクへの対応策に関する情報を出力する、という特徴を有する。それにより、情報処理装置100は、評価対象のプロジェクトについて、従来技術のように単に成功率等を算出するだけでなく、「どういった点で成功率が高いのか」や、「どういったリスクが予測されるのか」といったリッチな情報を出力できる。その結果、情報処理装置100は、従来よりも精度の高い評価対象のプロジェクトの将来予測を実現する。
【0094】
上記したような特徴により、本実施形態に係る情報処理装置100は、高い精度でのプロジェクトの将来予測を可能とする、という効果を奏する。そのため、情報処理装置100は、出力される評価対象のプロジェクトの総合リスク評価に関する情報に基づいて、対象となり得る全てのプロジェクトについて成功可否およびリスク抽出といった審査を可能とする。他方で、情報処理装置100は、一斉チェック等により高リスク案件を抽出し、対象のプロジェクトについてピンポイントで調査する運用を可能とする。
【0095】
また、情報処理装置100は、プロジェクトの条件を変更して場合の成功率や想定されるリスクをシミュレーションし、計画の改善の検討を可能とする。また、情報処理装置100は、前述した総合リスク評価に関する情報の出力と、プロジェクト実行に係る経験者等のレビューとを組み合わせることにより、従来よりも高い精度で対象プロジェクトの将来予測を可能とする。
【0096】
〔5.ハードウェア構成〕
次に、実施形態に係る情報処理装置100のハードウェア構成例について説明する。図16は、本実施形態に係る情報処理装置100が実現されるコンピュータの一例を示す図である。図16を参照すると、情報処理装置100は、コンピュータ1000で実現される。
【0097】
コンピュータ1000は、例えば、プロセッサ801と、ROM802と、RAM803と、ホストバス804と、ブリッジ805と、外部バス806と、インターフェース807と、入力装置808と、出力装置809と、ストレージ810と、ドライブ811と、接続ポート812と、通信装置813と、を有する。なお、ここで示すハードウェア構成は一例であり、構成要素の一部が省略されてもよい。また、ここで示される構成要素以外の構成要素をさらに含んでもよい。
【0098】
(プロセッサ801)
プロセッサ801は、例えば、演算処理装置または制御装置として機能し、ROM802、RAM803、ストレージ810、またはリムーバブル記録媒体901に記録された各種プログラムに基づいて各構成要素の動作全般またはその一部を制御する。
【0099】
(ROM802、RAM803)
ROM802は、プロセッサ801に読み込まれるプログラムや演算に用いるデータ等を格納する手段である。RAM803には、例えば、プロセッサ801に読み込まれるプログラムや、そのプログラムを実行する際に適宜変化する各種パラメータ等が一時的または永続的に格納される。
【0100】
(ホストバス804、ブリッジ805、外部バス806、インターフェース807)
プロセッサ801、ROM802、RAM803は、例えば、高速なデータ伝送が可能なホストバス804を介して相互に接続される。一方、ホストバス804は、例えば、ブリッジ805を介して比較的データ伝送速度が低速な外部バス806に接続される。また、外部バス806は、インターフェース807を介して種々の構成要素と接続される。
【0101】
(入力装置808)
入力装置808には、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ、およびレバー等が用いられる。さらに、入力装置808としては、赤外線やその他の電波を利用して制御信号を送信することが可能なリモートコントローラ(以下、リモコン)が用いられることもある。また、入力装置808には、マイクロフォン等の音声入力装置が含まれる。
【0102】
(出力装置809)
出力装置809は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD、または有機EL等のディスプレイ装置、スピーカ、ヘッドホン等のオーディオ出力装置、プリンタ、携帯電話、またはファクシミリ等、取得した情報を利用者に対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置である。また、本実施形態に係る出力装置809は、触覚刺激を出力することが可能な種々の振動デバイスを含む。また、出力装置809は、AIスピーカやウェアラブルデバイスを含んでもよい。
【0103】
(ストレージ810)
ストレージ810は、各種のデータを格納するための装置である。ストレージ810としては、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイス等が用いられる。
【0104】
(ドライブ811)
ドライブ811は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体901に記録された情報を読み出し、またはリムーバブル記録媒体901に情報を書き込む装置である。
【0105】
(接続ポート812)
接続ポート812は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)、RS-232Cポート、または光オーディオ端子等のような外部接続機器902を接続するためのポートである。
【0106】
(通信装置813)
通信装置813は、ネットワークに接続するための通信デバイスであり、例えば、有線または無線LAN、Bluetooth(登録商標)、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カード、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または各種通信用のモデム等である。
【0107】
(リムーバブル記録媒体901)
リムーバブル記録媒体901は、例えば、DVDメディア、Blu-ray(登録商標)メディア、HD DVDメディア、各種の半導体記憶メディア等である。もちろん、リムーバブル記録媒体901は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード、または電子機器等であってもよい。
【0108】
(外部接続機器902)
外部接続機器902は、例えば、プリンタ、携帯音楽プレーヤ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、またはICレコーダ等である。
【0109】
なお、実施形態に係る情報処理装置100は、ROM802やRAM803、ストレージ810によって実現される。また、プロセッサ801によって実現される制御部130が、実現する各制御プログラム(例えば、実施形態に係る情報処理プログラム)を、ROM802やRAM803等から読み出し実行する。
【0110】
〔6.その他〕
上記した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部は、手動的に行われてもよい。また、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部は、公知の方法で自動的に行われてもよい。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られるものではない。
【0111】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されなくともよい。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られない。また、各構成要素は、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成してもよい。また、上記してきた各処理は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて実行されてもよい。
【0112】
以上、本願の実施形態をいくつかの図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0113】
10 アンケート
11 配点表
12,20 一覧表
21 リスク評価の結果
30 総合リスク評価の一覧表
31 総合リスク評価の算出条件
40,50 出力画面
100 情報処理装置
110 通信部
120 記憶部
121 学習データ記憶部
121a プロジェクトの履歴情報
121b プロジェクトマネージャに関する情報
121c 人事に関する情報
122 学習モデル記憶部
123 入力データ記憶部
123a プロジェクトに関する情報
123b リスクについてのユーザアンケートに関する情報
124 予測情報記憶部
124a 納期の予測
124b 利益の予測
124c リスク度の予測
124d 乖離度の予測
125 解決策情報記憶部
130 制御部
131 学習部
132 受付部
133 算出部
134 出力部
200 端末装置
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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