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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013887
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】ウォーターサーバ
(51)【国際特許分類】
   B67D 3/00 20060101AFI20240125BHJP
   B67D 3/02 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B67D3/00 Z
B67D3/00 G
B67D3/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116298
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】平野 健
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA01
3E082BB04
3E082CC01
3E082FF00
(57)【要約】
【課題】ミネラルの析出により弁機構の弁閉時のシール性能が低下する可能性を低減させることができるウォーターサーバを提供する。
【解決手段】飲料水タンクと、第1、第2傾斜流路R41、R42及び延設流路R43を有する飲料水流路と、第1、第2傾斜流路R41、R42の上流で飲料水流路の一部を構成すると共に弁体V11、V21、弁座V12、V22及び弁流路V13、V23を有する第1、第2電磁弁V1、V2と、を備え、弁座V12、V22から傾斜流路R41、R42の下流端までの領域内に、メッシュ状に形成されたメッシュ部材M1、N1が配置される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料水を貯留する飲料水タンクと、
前記飲料水タンクよりも下流で斜め下方に傾斜する傾斜流路、及び前記傾斜流路に連続して下流へと延びると共に飲料水を出水する出水部を有する延設流路と、を有する飲料水流路と、
前記傾斜流路の上流で前記飲料水流路の一部を構成し、弁体、前記弁体が接離可能な弁座、及び前記弁座と連続する弁流路を有し、前記飲料水流路を開閉する弁機構と、
を備え、
前記弁座から前記傾斜流路の下流端までの領域内に、メッシュ状に形成されたメッシュ部材が配置される、ことを特徴とするウォーターサーバ。
【請求項2】
前記弁流路と前記傾斜流路とは、飲料水の流れ方向が異なっており、
前記弁体は、取り外し可能であって、
前記弁体が取り外された状態で、前記飲料水の流れ方向が異なる変化点を視認可能であって、
前記メッシュ部材は、前記変化点を含む位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のウォーターサーバ。
【請求項3】
前記弁流路は、下流に向かうに従って内壁が先細りに形成されて前記メッシュ部材を挟む先細内壁部を有する、ことを特徴とする請求項2に記載のウォーターサーバ。
【請求項4】
前記弁流路は、下流へ向かうに従って内壁が末広に形成されて前記メッシュ部材を挟む末広内壁部を有し、
前記末広内壁部は、前記先細内壁部と連続する、ことを特徴とする請求項3に記載のウォーターサーバ。
【請求項5】
前記弁座、前記弁流路、及び前記傾斜流路は、温水が流れる流路である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のウォーターサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォーターサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温水タンクと、温水タンクの湯が流れる管と、管の途中に設けられた弁と、管の下端部に設けられ複数の孔を有する給湯部と、を備える飲料抽出装置が開示されている(例えば特許文献1参照)。このうち、管は、弁から鉛直下方に延びる鉛直流路と、この鉛直流路の下端から斜め下方に傾斜する傾斜流路と、この傾斜流路の下端から延びる延設流路と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-315676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の発明では、弁が開くと、飲料水は、傾斜流路内を流れ、その流れの勢いで延設流路内における傾斜流路から近い方の内側面を飛び越え、延設流路内における傾斜流路から遠い方の内側面を伝って流れ易い。このときに、延設流路内における傾斜流路から近い方の内側面側に、外部から空気が入ることがある。
【0005】
そして、この状態から弁が閉じると、前述の延設流路内の空気は、上昇し、上流側の弁付近に溜まることがある。このように弁付近に空気溜まりが形成されると、空気溜まりにより飲料水が蒸発して、弁付近でミネラルが析出する可能性がある。そして、ミネラルの析出により弁機構の弁閉時のシール性能が低下する可能性がある。
【0006】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その発明の目的とするところは、ミネラルの析出により弁機構の弁閉時のシール性能が低下する可能性を低減させることができるウォーターサーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るウォーターサーバは、飲料水を貯留する飲料水タンクと、前記飲料水タンクよりも下流で斜め下方に傾斜する傾斜流路、及び前記傾斜流路に連続して下流へと延びると共に飲料水を出水する出水部を有する延設流路と、を有する飲料水流路と、前記傾斜流路の上流で前記飲料水流路の一部を構成し、弁体、前記弁体が接離可能な弁座、及び前記弁座と連続する弁流路を有し、前記飲料水流路を開閉する弁機構と、を備え、前記弁座から前記傾斜流路の下流端までの領域内に、メッシュ状に形成されたメッシュ部材が配置される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ミネラルの析出により弁機構の弁閉時のシール性能が低下する可能性が低減する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るウォーターサーバを示す斜視図である。
図2図1に示したウォーターサーバの内部の概要を示す構成図である。
図3図2に示した電磁弁機構の概略図である。
図4】(a)は、第1電磁弁において弁体を取り外した構成を上方から見た平面図である。(b)は、(a)のA-A線に沿う断面図である。(c)は、第2電磁弁において弁体を取り外した構成を上方から見た平面図である。(d)は、(c)のB-B線に沿う断面図である。
図5】第2電磁弁を開いたときの電磁弁機構の概略図である。
図6】変形例に係る電磁弁機構の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係るウォーターサーバ1を示す斜視図である。図1に示すウォーターサーバ1は、外観視して略四角柱形状となる筐体10を基本構成とし、この筐体10の前面側に出水部21(後述する延設流路R43の先端側一部)や操作パネル30が設けられて構成されている。このようなウォーターサーバ1は、筐体10の上部に飲料水ボトルB(飲料水タンク)が載置されている。なお、飲料水ボトルBは、筐体10の上部に限らず、下部に内蔵されるようになっていてもよい。
【0012】
出水部21は、ユーザの操作パネル30への操作に応じて飲料水を出水する筒状部材である。この出水部21は、筐体10の前面から後方に向けて奥まるように形成された凹部11に少なくとも一部が収納されて形成されている。操作パネル30は、ユーザからの操作を受け付ける操作部であって、例えば冷水(第1所定温度(例えば20℃)未満の温度の水)の出水操作、温水(第2所定温度(例えば40℃)以上の温度の水)の出水操作、温水の加熱操作等、種々の操作が可能となっている。
【0013】
図2は、図1に示したウォーターサーバ1の内部の概要を示す構成図である。図2に示すように、ウォーターサーバ1は、筐体10(図1参照)の内部に冷水タンクT1(飲料水タンク)と、温水タンクT2(飲料水タンク)と、を備えている。さらに、ウォーターサーバ1は、第1~第3流路R1~R3(飲料水流路)と、電磁弁機構40とを備えている。
【0014】
冷水タンクT1は、飲料水ボトルBから飲料水を導入して貯留するタンクである。冷水タンクT1には、冷却器Gが設けられており、冷水タンクT1内に導入された常温の飲料水が冷却器Gによって冷却されて冷水化される。冷水タンクT1は、内部を上下に仕切る仕切り板20を有する。仕切り板20は、冷水タンクT1の内部の飲料水について、冷却器Gによって冷却され難い上層(常温水の部分)と、冷却器Gによって冷却される下層(冷水の部分)とに分ける。なお、常温水は、第1所定温度以上で第2所定温度未満の水である。また、冷水タンクT1は、飲料水ボトルBと導水路Cで接続されている。飲料水ボトルBの飲料水は、導水路Cを通って冷水タンクT1に導入される。
【0015】
温水タンクT2は、配管を通じて冷水タンクT1の下方に接続されており、冷水タンクT1からの飲料水を導入して貯留するタンクである。この温水タンクT2の周囲にはヒータH等の加熱機構が設けられており、温水タンクT2内の飲料水はヒータHによって加熱されて温水化される。温水タンクT2は、冷水タンクT1の仕切り板20で仕切られた上層から飲料水を導入する。
【0016】
第1~第3流路R1~R3は、飲料水を電磁弁機構40まで導くための流路である。このうち第1流路R1は、冷水タンクT1内の仕切り板20の下層の冷水を電磁弁機構40まで導くための流路である。第1流路R1は、例えば一端が冷水タンクT1の仕切り板20の下層側に接続され、他端が電磁弁機構40に接続されている。なお、第1流路R1の冷水は不図示のポンプによって又は水圧を利用して電磁弁機構40まで圧送される。
【0017】
第2流路R2は、温水タンクT2内の温水を電磁弁機構40まで導くための流路である。第2流路R2は、例えば一端が温水タンクT2に接続され、他端が電磁弁機構40に接続されている。なお、第2流路R2の温水についても不図示のポンプによって又は水圧を利用して電磁弁機構40まで圧送される。
【0018】
第3流路R3は、冷水タンクT1内の仕切り板20の上層の常温水を電磁弁機構40まで導くための流路である。第3流路R3は、例えば一端が冷水タンクT1の仕切り板20に上層側と連続するように接続され、他端が電磁弁機構40に接続されている。なお、常温水は自重を利用して電磁弁機構40まで導かれる。
【0019】
図3は、図2に示した電磁弁機構40の概略図である。図3に示すように、電磁弁機構40は、第1、第2電磁弁V1、V2(弁機構)(飲料水流路)と、第3電磁弁V3(飲料水流路)と、第1、第2傾斜流路R41、R42(傾斜流路)(飲料水流路)と、延設流路R43(飲料水流路)と、メッシュ部材M1、N1と、を備えている。第1~第3電磁弁V1~V3は、飲料水流路の一部を構成する。また、第1~第3流路R1~R3、第1~第3電磁弁V1~V3、第1、第2傾斜流路R41、R42、及び延設流路R43により、飲料水ボトルB、冷水タンクT1、及び温水タンクT2から飲料水を出水する出水部21までを繋ぐ飲料水流路が形成される。
【0020】
第1電磁弁V1は、横並びとなる3つの電磁弁V1~V3のうち一方側に設けられるものであり、第1流路R1(図2参照)に接続されている。第2電磁弁V2は、横並びとなる3つの電磁弁V1~V3のうち他方側に設けられるものであり、第2流路R2(図2参照)に接続されている。第3電磁弁V3は、横並びとなる3つの電磁弁V1~V3のうち中央に設けられるものであり、第3流路R3(図2参照)に接続されている。これら第1~第3電磁弁V1~V3は、飲料水流路を開閉するために用いられる。
【0021】
第1~第3電磁弁V1、V2、V3は、弁体V11、V21、V31と、弁座V12、V22、V32と、弁流路V13、V23、V33と、を備えている。
【0022】
弁体V11~V31は、弁座V12~V32と接離可能な部材である。弁体V11~V31は、弁座V12~V32に接触した状態で飲料水の出水を禁止する。また、弁体V11~V31は、弁座V12~V32から離間した状態で飲料水の出水を許可する。
【0023】
弁座V12~V32は、弁体V11~V31が接離可能な部分である。弁座V12は、弁流路V13の上部に設けられ、弁流路V13と連続する。弁座V22は、弁流路V23の上部に設けられ、弁流路V23と連続する。弁座V32は、弁流路V33の上部に設けられ、弁流路V33と連続する。なお、本実施形態では、弁流路V13~V33は、鉛直方向に延びている。
【0024】
第1傾斜流路R41は、弁流路V13の下流で斜め下方に傾斜して延びる流路である。第1傾斜流路R41は、弁流路V13と飲料水の流れ方向が異なっている。第1傾斜流路R41の他方端(下流部)は、延設流路R43に合流する。第1傾斜流路R41は、一方端よりも他方端がやや下方となるように水平よりも僅かに傾斜した流路である。
【0025】
第2傾斜流路R42は、弁流路V23の下流で斜め下方に傾斜して延びる流路である。第2傾斜流路R42は、弁流路V23と飲料水の流れ方向が異なっている。第2傾斜流路R42の一方端(下流部)は、延設流路R43に合流する。第2傾斜流路R42は、他方端よりも一方端がやや下方となるように水平よりも僅かに傾斜した流路である。
【0026】
延設流路R43は、垂直方向に延びる流路である。延設流路R43は、第1傾斜流路R41の他方端(下流部)と連続して下流へと延びると共に第2傾斜流路R42の一方端(下流部)と連続して下流へと延びる。延設流路R43の下方端には出水部21が設けられている。なお、本実施形態では、延設流路R43は、鉛直方向に延びている。
【0027】
このような構成であるため、弁体V11の上流側の第1流路R1(図2参照)内の冷水は、弁体V11が弁座V12から離間して第1電磁弁V1が開放されたとき、弁座V12、弁流路V13、及び第1傾斜流路R41に流れ、第1傾斜流路R41から延設流路R43を通じて出水される。弁体V21の上流側の第2流路R2(図2参照)内の温水は、弁体V21が弁座V22から離間して第2電磁弁V2が開放されたとき、弁座V22、弁流路V23、及び第2傾斜流路R42に流れ、第2傾斜流路R42から延設流路R43を通じて出水される。特に、上記の出水にあたり、弁流路V13、V23と傾斜流路R41、R42との流れ方向が異なっていることから、弁流路V13、V23と傾斜流路R41、R42との接続部において飲料水の流れが変化することとなる。この変化する箇所を変化点Pという。
【0028】
弁体V31の上流側の第3流路R3(図2参照)内の常温水は、弁体V31が弁座V32から離間して第3電磁弁V3が開放されたとき、弁座V32、及び弁流路V33に流れ、延設流路R43を通じて出水される。このように、弁体V11~V31の動作に応じて飲料水の出水が制御される。なお、第1~第3電磁弁V1~V3が開放状態から閉塞状態へ移行した場合、第1、第2傾斜流路R41、R42、及び延設流路R43には飲料水が残留した状態となる。
【0029】
ここで、電磁弁機構40は弁体V11、V21を取り外し可能となっている(弁体V31も取り外し可能であるが、ここでは割愛する)。本実施形態において、弁体V11、V21を取り外した場合、取り外し側から弁流路V13、V23や第1、第2傾斜流路R41、R42等の内部が視認可能となる。このような視認可能な部位を視認可能領域Qという。本実施形態において視認可能領域Q内には、上記変化点Pが含まれている。
【0030】
メッシュ部材M1、N1は、メッシュ状に形成されている。メッシュ部材M1、N1は、平面状に展開したメッシュ状の部材を丸めることで円筒状に形成したものである。メッシュ部材M1、N1は、円筒状とするときに重なる部分同士が溶接されて形成されることが好ましい。メッシュ部材M1、N1としては、例えば、線径φ0.18mm、及び40メッシュで形成されたSUS304(SUSは、Stainless Used Steel(ステンレス鋼))が用いられる。40メッシュを使用することで出水量の低下は抑えられる。
【0031】
また、メッシュ部材M1、N1は、前述の視認可能領域Q内に配置される。特に、本実施形態においては、図3に示すように視認可能領域Qのうちの特に変化点Pを含む位置にメッシュ部材M1、N1が配置される。また、メッシュ部材M1、N1は、図3のように弁流路V13、V23に跨る高さに調整されることで、弁流路V13、V23に引っ掛かり、傾斜流路R41、R42内の所定位置に固定されている。メッシュ部材M1、N1は、メッシュ状の面が飲料水の進行方向に向けられて配置される。
【0032】
図4(a)は、第1電磁弁V1において弁体V11を取り外した構成を上方から見た平面図である。図4(b)は、図4(a)のA-A線に沿う断面図である。図4(c)は、第2電磁弁V2において弁体V21を取り外した構成を上方から見た平面図である。図4(d)は、図4(c)のB-B線に沿う断面図である。図4(b)(d)に示すように、弁流路V13、V23は下流に向かうに従って内壁が先細りに形成された先細内壁部13a、23aを有する。また、弁流路V13、V23は、下流へ向かうに従って内壁が末広に形成された末広内壁部13b、23bを有する。
【0033】
末広内壁部13b、23bの上端は、先細内壁部13a、23aの下端と連続する。先細内壁部13a、23a及び末広内壁部13b、23bの境目は、先細内壁部13a、23a及び末広内壁部13b、23bの中で最も中空面積が小さい。
【0034】
メッシュ部材M1、N1は、先細内壁部13a、23a及び末広内壁部13b、23bにより全体的に挟まれている。詳細に説明すると、メッシュ部材M1、N1は、視認可能領域Qに配置された場合、先細内壁部13a、23a及び末広内壁部13b、23bの境目で最も強く押圧挟持された状態で保持されており、円筒形状の中間部でくびれたような形状となる。すなわち、メッシュ部材M1、N1は、配置状態において境目部分で細く、境目から離れるに従って広がった状態となっており、広がった部分においても先細内壁部13a、23a及び末広内壁部13b、23bにより挟持されて一定の保持効果が発揮されている。
【0035】
次に、前述のメッシュ部材M1、N1の取付方法について説明する。製造者は、製造時に、弁座V12、V22から弁流路V13、V23の中へとメッシュ部材M1、N1を圧入する。このときに、メッシュ部材M1、N1は、先細内壁部13a、23aを進みながら狭められ、末広内壁部13b、23bを進みながら広がる。そして、製造者は、弁体V11、V21を取り付ける。
【0036】
次に、ユーザが温水を出水するときの電磁弁機構40の動作について、図4(c)、図4(d)、図5を参照しつつ説明する。図5は、第2電磁弁V2を開いたときの電磁弁機構40の概略図である。まず、図5に示すように、弁体V21が弁座V22から離間する。温水は、第2流路R2を通過する(図4(c)(d)の矢印L1参照)。温水は、弁流路V23の外側面に当たって弁流路V23に入り込み(図4(c)(d)の矢印L2参照)。温水は、メッシュ部材N1、第2傾斜流路R42を通過する(図4(c)(d)の矢印L3参照)。
【0037】
第2傾斜流路R42の通過後、温水は、延設流路R43に至る。このとき、温水は第2傾斜流路R42を勢いよく流れ、延設流路R43に至った際には第2傾斜流路R42から近い方の内側面R43aを飛び越え、延設流路R43内における第2傾斜流路R42から遠い方の内側面R43bを伝って流れ易い(符号J参照)。このように流れるため、内側面R43a側の点線領域K内に空気が入ってしまう。
【0038】
この状態から第2電磁弁V2を閉じると、メッシュ部材N1よりも下流側で点線領域K内の空気5が第2傾斜流路R42を伝って上昇する。この空気5は、主として、メッシュ部材N1に当たるとメッシュ部材N1の孔を通過せずに食い止められる。なお、ユーザが冷水を出水するときの冷水及び空気5についても、同様である。
【0039】
以上で説明した構成によれば、メッシュ部材M1、N1が視認可能領域Q内の変化点Pを含む位置に配置される。そのため、メッシュ部材M1、N1よりも下流の空気5は、メッシュ部材M1、N1によって阻まれ、弁体V11、V21へと上昇し難い。従って、弁体V11、V21付近が飲料水(温水、冷水)で満たされ、弁体V11、V21付近に空気溜まり(空気相)ができ難い。そのため、弁体V11、V21付近の空気溜まりにより飲料水が蒸発する現象が抑制される。従って、弁体V11、V21付近にミネラルが析出することがより抑制される。これにより、弁体V11、V21と弁座V12、V22との間にミネラルが異物となって挟まることが抑制される。その結果、ミネラルの析出により第1、第2電磁弁V1、V2の弁閉時のシール性能が低下する可能性が低減される。
【0040】
弁体V11、V21は、弁流路V13、V23と流れ方向が異なる傾斜流路R41、R42内の変化点Pを含む位置に配置されている。そのため、ユーザは、弁体V11、V21を外して、変化点Pに対してメッシュ部材M1、N1を取り付け易く、変化点Pからメッシュ部材M1、N1を取り外し易い。加えて、メッシュ部材M1、N1が傾斜流路R41、R42の高さよりも高い弁流路V13、V23の位置まで高く形成されていれば、メッシュ部材M1、N1は、弁流路V13、V23に引っ掛かり、傾斜流路R41、R42内を下流方向に移動し難い。
【0041】
弁流路V13、V23が先細内壁部13a、23aを有し、この先細内壁部13a、23aによりメッシュ部材M1、N1が挟まれている。先細内壁部13a、23aが先細りに形成されているので、メッシュ部材M1、N1は先細内壁部13a、23aの先側に向かうに従って強く挟まれ、ウォーターサーバ1の輸送時又は使用時に、弁流路V13、V23から抜け難い。
【0042】
弁流路V13、V23が末広内壁部13b、23bを有し、この末広内壁部13b、23bによりメッシュ部材M1、N1が挟まれているので、メッシュ部材M1、N1のうち末広内壁部13b、23b内で広がった部分が先細内壁部13a、23a及び末広内壁部13b、23bの境目部分に引っ掛かり、より抜け難い。
【0043】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、可能な範囲で適宜他の技術を組み合わせてもよい。
【0044】
例えば、本実施形態において、弁流路V13及び第1傾斜流路R41、並びに弁流路V23及び第2傾斜流路R42の両方に、メッシュ部材M1、N1が配置されるように構成したが、これに限らず、弁流路V23及び第2傾斜流路R42の方にのみ、メッシュ部材N1が配置されるように構成しても良い。弁座V22、弁流路V23、及び第2傾斜流路R42は、温水が流れる流路である。そのため、温度が高い分、空気溜まりにより飲料水が蒸発し、ミネラルが析出し易い。しかし、メッシュ部材N1があることにより、析出し易い所に設けることとなり、効果的である。
【0045】
図6は、変形例に係る電磁弁機構140の概略図である。本実施形態において、メッシュ部材M1、N1は弁体V11、V21が取り外されることにより流路内に配置されているが、これに限られるものではない。メッシュ部材M2、N2は第1、第2傾斜流路R41、R42の端部に設けられる蓋部R41a、R42aが取り外されて流路内に配置されてもよい。この場合、蓋部R41a、R42aが取り外された後に、メッシュ部材M2、N2が圧入されるようにして第1、第2傾斜流路R41、R42に挿入されていく。
【0046】
本実施形態では、メッシュ部材M1、N1は、視認可能領域Qに配置されているが、これに限られるものではなく、弁座V12、V22から傾斜流路R41、R42の下流端Sまでの領域内に配置されていても良い。この位置に配置されていても、出水時に延設流路R43に入り込んだ空気5が弁体V11、V21にまで到達してしまうことを抑制することができるからである。
【0047】
また、蓋部R41a、R42aを取り外してメッシュ部材M2、N2を第1、第2傾斜流路R41、R42を挿入する場合、飲料水の流れに応じてメッシュ部材M2、N2がR43まで至ってしまわないように、大き目のメッシュ部材N2を用いることが好ましい。この場合、メッシュ部材N2と第2傾斜流路R42との接触面積が大きくなってメッシュ部材N2を設置位置に保持し易くできるからである。
【0048】
また、本実施形態においては、ウォーターサーバ1の製造時にメッシュ部材M1、N1を取り付けることを想定して説明したが、これに限らず、ウォーターサーバ1の販売後のメンテナンス時に取り付けられてもよい。この場合においてメンテナンス業者等は、メッシュ部材M1、N1を有しないウォーターサーバの電磁弁機構40から弁体V11、V21を取り外してメッシュ部材M1、N1を取り付けることとなる。
【符号の説明】
【0049】
1 :ウォーターサーバ
5 :空気
10 :筐体
11 :凹部
13a、23a :先細内壁部
13b、23b :末広内壁部
20 :仕切り板
21 :出水部
30 :操作パネル
40、140 :電磁弁機構
B :飲料水ボトル(飲料水タンク)
C :導水路
G :冷却器
H :ヒータ
K :点線領域
L1、L2、L3 :矢印
M1、M2、N1、N2 :メッシュ部材
P :変化点
Q :視認可能領域
R1 :第1流路(飲料水流路)
R2 :第2流路(飲料水流路)
R3 :第3流路(飲料水流路)
R41 :第1傾斜流路(傾斜流路)(飲料水流路)
R41a :蓋部
R42 :第2傾斜流路(傾斜流路)(飲料水流路)
R42a :蓋部
R43 :延設流路(飲料水流路)
S :下流端
T1 :冷水タンク(飲料水タンク)
T2 :温水タンク(飲料水タンク)
V1 :第1電磁弁(弁機構)(飲料水流路)
V2 :第2電磁弁(弁機構)(飲料水流路)
V3 :第3電磁弁
V11、V21、V31 :弁体
V12、V22、V32 :弁座
V13、V23、V33 :弁流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6