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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013889
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】インク補給容器およびプリンター
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
B41J2/175 133
B41J2/175 115
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116301
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】水谷 忠弘
(72)【発明者】
【氏名】小泉 義弘
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EC64
2C056KD08
(57)【要約】
【課題】外部からの衝撃による変形や破損を抑制した凹凸部を備えるインク補給容器を提供する。
【解決手段】プリンターが有する係合部に係合させてインクを補給するためのインク補給容器は、筒状のインク出口と、インク出口の中心軸を中心とした半径方向におけるインク出口の外側で、インク出口の周囲に配置され且つ前記中心軸に沿う軸方向に延びる壁と、インク出口の外周面と、壁の内周面と、インク出口の外周面および壁の内周面の間の空間と、のうちの少なくとも一箇所に配設される凹凸部であって、プリンターにインクを補給する状態において、プリンターが有する係合部と係合する凹凸部と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンターが有する係合部に係合させてインクを補給するためのインク補給容器であって、
筒状のインク出口と、
前記インク出口の中心軸を中心とした半径方向における前記インク出口の外側で、前記インク出口の周囲に配置され且つ前記中心軸に沿う軸方向に延びる壁と、
前記インク出口の外周面と、前記壁の内周面と、前記インク出口の外周面および前記壁の内周面の間の空間と、のうちの少なくとも一箇所に配設される凹凸部であって、前記プリンターに前記インクを補給する状態において、前記プリンターが有する前記係合部と係合する凹凸部と、
を備える、インク補給容器。
【請求項2】
請求項1に記載のインク補給容器であって、
前記凹凸部は、前記インク出口の外周面に配設された、インク補給容器。
【請求項3】
請求項1に記載のインク補給容器であって、
前記凹凸部は、前記インク出口の外周面と、前記壁の内周面と、前記インク出口の外周面および前記壁の内周面の間の空間と、のすべてに配設された、インク補給容器。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のインク補給容器であって、
前記凹凸部は、前記軸方向において前記壁と同じ高さまたは前記壁より低い高さを有する、インク補給容器。
【請求項5】
請求項1に記載のインク補給容器であって、
前記凹凸部は、前記インク出口の先端側から前記軸方向に見て凹凸形状を有する、インク補給容器。
【請求項6】
プリンターが有する係合部に係合させてインクを補給するためのインク補給容器であって、
筒状のインク出口と、
前記インク出口の中心軸を中心とした半径方向における前記インク出口の外側で、前記インク出口の周囲の一部に配置され且つ前記中心軸に沿う軸方向に延びる壁と、
前記インク出口の外周面と、前記壁の内周面と、前記インク出口の外周面および前記壁の内周面の間の空間と、のうちの少なくとも一箇所に配設される凹凸部であって、前記プリンターに前記インクを補給する状態において、前記プリンターが有する前記係合部と係合する凹凸部と、
を備え、
前記壁は、前記凹凸部のうち、少なくとも前記インク出口と対向する部分を除く部分を囲むように配置される、
インク補給容器。
【請求項7】
請求項1~3,5,6のいずれか一項に記載のインク補給容器の前記凹凸部と係合するプリンター側凹凸部を前記係合部に備えるプリンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インク補給容器およびプリンターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インクを印刷媒体に吐出して記録を行う記録装置として、インクジェットプリンターが知られている。インクジェットプリンターには、インクを貯留するインクタンクを備えており、インク残量が少なくなった場合、インクが収容されたインク補給容器を用いることでインクの補給が行われる機種が存在する。インク補給容器として、例えば特許文献1では、複数種類のインクを用いて印刷可能な構成のプリンターにおいて誤った種類のインクが補給されることを防ぐために、インク抽出口の周囲にインクの種類を識別するための凸部を設けたインク補給容器が開示されている。かかる凸部に対応する凹部がインクタンクのインク注入口の周囲に設けられているため、凸部と凹部とが嵌合するか否かによって、正しい種類のインクが注入されることを識別し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-205895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されているインク補給容器では、凸部が外部に露出しているため、外部からの衝撃により凸部の変形や破損が生じる虞がある。凸部の変形や破損が生じると、凸部および凹部による識別機能が低下するという問題が生じ得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の形態によれば、プリンターが有する係合部に係合させてインクを補給するためのインク補給容器が提供される。このインク補給容器は、筒状のインク出口と、前記インク出口の中心軸を中心とした半径方向における前記インク出口の外側で、前記インク出口の周囲に配置され且つ前記中心軸に沿う軸方向に延びる壁と、前記インク出口の外周面と、前記壁の内周面と、前記インク出口の外周面および前記壁の内周面の間の空間と、のうちの少なくとも一箇所に配設される凹凸部であって、前記プリンターに前記インクを補給する状態において、前記プリンターが有する前記係合部と係合する凹凸部と、を備える。
【0006】
本開示の第2の形態によれば、プリンターが有する係合部に係合させてインクを補給するためのインク補給容器が提供される。このインク補給容器は、筒状のインク出口と、前記インク出口の中心軸を中心とした半径方向における前記インク出口の外側で、前記インク出口の周囲の一部に配置され且つ前記中心軸に沿う軸方向に延びる壁と、前記インク出口の外周面と、前記壁の内周面と、前記インク出口の外周面および前記壁の内周面の間の空間と、のうちの少なくとも一箇所に配設される凹凸部であって、前記プリンターに前記インクを補給する状態において、前記プリンターが有する前記係合部と係合する凹凸部と、を備え、前記壁は、前記凹凸部のうち、少なくとも前記インク出口と対向する部分を除く部分を囲むように配置される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態におけるプリンターの斜視図である。
図2】第1実施形態におけるインクタンクの斜視図である。
図3】第1実施形態におけるインクタンクの平面図である。
図4】第1実施形態におけるインク補給容器の分解斜視図である。
図5】第1実施形態におけるインク補給容器の正置状態における斜視図である。
図6図5におけるVI-VI線断面図である。
図7】第1実施形態におけるインク補給容器の正置状態における平面図である。
図8図7におけるVIII-VIII線断面図である。
図9】インクタンクにインク補給が行われている様子を示す斜視図である。
図10図9のX-X線断面図である。
図11】インク出口外周部の外周面に凹凸部が配設されたインク補給容器の平面図である。
図12図11のXII-XII線断面図である。
図13】壁とインク出口外周部の外周面との間の空間に凹凸部が配設されたインク補給容器の平面図である。
図14図13のXIV-XIV線断面図である。
図15】凹凸部の高さが壁よりも低く構成されたインク補給容器の断面図である。
図16】凹凸部が壁とインク出口外周部の外周面との間の空間に壁434とインク出口外周部とを連結するように配設されたインク補給容器の平面図である。
図17図16のXVII-XVII線断面図である。
図18】突出部が形成された凹凸部を備えるインク補給容器の平面図である。
図19】壁がインク出口の軸を中心とした周方向の一部を囲むように形成されたインク補給容器の平面図である。
図20】他の実施形態8にかかるインク補給容器の平面図である。
図21】他の実施形態10にかかるインク補給容器の平面図である。
図22】凹凸部が第3直線部に配設されたインク補給容器の平面図である。
図23】プリンター側凹凸部が第2直線部に設けられたインク入り口形成部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態におけるプリンター100の斜視図である。プリンター100は、インクを印刷媒体に吐出して印刷を行うインクジェットプリンターである。図1には、互いに直行するX軸とY軸とZ軸とが描かれている。X軸はプリンター100の幅方向に対応し、Y軸はプリンター100の奥行き方向に対応し、Z軸はプリンター100の高さ方向に対応する。プリンター100は、X軸方向とY軸方向とによって規定される水平な設置面に設置されている。なお、「X軸方向」とは、+X方向と-X方向とを含む概念を意味する。同様に、「Y軸方向」とは、+Y方向と-Y方向とを含む概念を意味し、「Z軸方向」とは、+Z方向と-Z方向とを含む概念を意味する。また、本開示において、+X方向を左、-X方向を右、+Y方向を後ろ、-Y方向を前、+Z方向を上、-Z方向を下と呼ぶことがある。
【0009】
プリンター100は、X軸方向を長手方向とする略直方体形状の筐体110を備える。筐体110の内部には、X軸方向に移動可能な不図示のキャリッジが設けられている。キャリッジには、インクを印刷媒体に吐出する印刷ヘッドが設置されている。筐体110の前面(即ち、-Y方向)には、複数のインクタンク700を収容するインクタンク収容ユニット160が設けられている。インクタンク収容ユニット160の上部(即ち、+Z方向)には、開閉可能な蓋162が取り付けられている。インクタンク700は、収容できるインク容量が小さいインクタンク700Sと、インク容量が大きいインクタンク700Lとを含む。本開示において、インクタンク700Sとインクタンク700Lとを区別せずに、インクタンク700と呼ぶ。各インクタンク700は、後面に設けられた不図示のチューブを介してキャリッジの印刷ヘッドに接続されている。したがって、インクは、各インクタンク700からチューブを介して印刷ヘッドに供給される。本開示において、各インクタンク700は、インク残量が低下した場合にインク補給容器からインクが補給される構成である。なお、本開示では、プリンター100の前面に設けられる定置型のインクタンクを一例として説明するが、本開示はこれに制限されずキャリッジ上に搭載されるインクタンクであってもよい。
【0010】
また、本実施形態では、複数のインクタンク700のそれぞれに、相互に異なる種類のインクを収容する構成や、相互に同じ種類のインクを収容する構成としてもよい。インクの種類としては、例えば、インクの色が挙げられる。よって、本開示では、複数のインクタンク700のそれぞれに、相互に異なる色のインクを収容する構成や、相互に同じ色のインクを収容する構成のいずれも採用され得る。インクの色としては、例えば、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンなどが挙げられる。
【0011】
図2は、第1実施形態におけるインクタンク700の斜視図である。図3は、第1実施形態におけるインクタンク700の平面図である。インクタンク700は、略直方体形状であり、その内部にインクを貯留可能に構成されている。インクタンク700の前面には、Z軸方向に延びる視認部710が設けられている。視認部710は、透明部材で形成されている。したがって、ユーザーはインクタンク700内のインクの液面を視認部710から視認し得る。視認部710には、複数の目盛りが記されている。ユーザーは、目盛りを参考にしてインクタンク700内のインク量を確認することができる。なお、図1に示すようにインクタンク収容ユニット160の前面には開口が形成されており、各インクタンク700の視認部710が、外部から視認可能に構成されている。
【0012】
図2に示すように、インクタンク700の上面には、タンクキャップ720と、インク入り口形成部730と、が設けられている。タンクキャップ720は、インク入り口形成部730と嵌合可能に形成されている。図2および図3に示すように、ユーザーは、インクの補給時にタンクキャップ720を上方に外してインク入り口形成部730を露出させることにより、インクを補給することが可能な状態にできる。
【0013】
図3に示すように、インク入り口形成部730は、略凹形状を有し、インクタンク700の上面の前方側中央に形成されている。インク入り口形成部730は、インク補給時にインク補給容器と接続する部分である。インク入り口形成部730は、底面731と、インク入り口732と、係合部733と、インク入り口囲み部734と、を備える。底面731は、XY軸に沿った水平面であり、底面731の中央位置には第1貫通孔Ho1がZ軸方向に形成されている。
【0014】
インク入り口732は、第1貫通孔Ho1に重なる位置に配置されている。インク入り口732は、Z軸方向の両端が開口した略円筒形状である。したがって、インク入り口732および第1貫通孔Ho1は、インクタンク700の内部と外部とを連通しており、インクがインク補給容器から補給される際に、インクの流路として機能する。インク入り口732には、開口の中心軸を通ってY軸方向およびZ軸方向に延びる区画壁735が設けられている。即ち、インク入り口732は、区画壁735によりX軸方向において略二分割されている。また、図2に示すように、区画壁735は、インク入り口732の+Z軸方向の開口において、僅かに上側に突出している。かかる突出は、後述するインクの補給の際に、インク補給容器の出口弁ユニットの押し込みに用いられる。
【0015】
図2および図3に示すように、係合部733は、XY平面においてインク入り口732から離間して、インク入り口732を囲むように設けられている。係合部733は、後述するインク補給容器と係合する部材である。係合部733は、Z軸方向に延びており、Z軸方向の高さは、インク入り口732のZ軸方向の高さと略等しい。図3に示すように、係合部733は、一対の第1直線部736と、一対の第1アーチ部737と、プリンター側凹凸部738を有する。各第1直線部736は、いずれもY軸方向に平行であり、左右方向、即ちX軸方向に互いに離れて位置する。各第1直線部736は、Y軸方向の両端で各第1アーチ部737と接続している。各第1アーチ部737は、前後方向、即ちY軸方向に互いに離れて位置する。各第1アーチ部737は、XY平面において、+Y方向または-Y方向に凸な曲線形状を有する。各第1アーチ部737には、プリンター側凹凸部738が設けられている。プリンター側凹凸部738は、第1アーチ部737に設けられた凹凸形状であり、後述するインク補給容器が備える凹凸部と係合可能に形成されている。プリンター側凹凸部738は、インク入り口732を挟んで一対形成されている。各プリンター側凹凸部738は、インク入り口732を中心とした点対称の位置に在るともいえる。
【0016】
プリンター側凹凸部738は、複数あるインクタンク700ごとに、位置を変えて設けられる。即ち、各インクタンク700のインク入り口形成部730は、互いに異なる形状を有する。このため、インクタンク700のプリンター側凹凸部738と対応する形状を有するインク補給容器200だけが、当該インクタンク700に補給可能となる。即ち、プリンター側凹凸部738は、インク補給容器200を識別可能な識別子として機能する。
【0017】
インク入り口囲み部734は、XY平面において係合部733から離間して、係合部733を囲むように設けられている。インク入り口囲み部734は、Z軸方向に延びている。インク入り口囲み部734は、XY平面において、係合部733を外側に拡大したような形状を有する。具体的には、インク入り口囲み部734は、一対の第2直線部739と、一対の第2アーチ部740とを有する。各第2直線部739は、左右方向、即ち+X方向と-X方向とに位置する。各第2直線部739は、XY平面においてY方向に延びており、両端で各第2アーチ部740と接続している。各第2アーチ部740は、前後方向、即ち+Y方向と-Y方向とに位置する。各第2アーチ部740は、XY平面において、+Y方向または-Y方向に凸な曲線形状を有する。係合部733の各第1アーチ部737にはプリンター側凹凸部738が形成されていたが、インク入り口囲み部734の第2アーチ部740には、複数の突起741が設けられている。突起741は、第2アーチ部740の内周面に設けられた凸形状であり、後述するインク補給容器が備える壁の陥没部と係合可能に形成されている。突起741は、インク入り口732を挟んで一対形成されている。突起741は、インク入り口732を中心にして、線対称の位置に在るともいえる。
【0018】
図4は、第1実施形態におけるインク補給容器200の分解斜視図である。インク補給容器200は、インクタンク700へ補給するためのインクが収容された容器である。インク補給容器200は、インクを収容可能な容器本体部300と、インク出口を形成するインク出口形成部400と、出口弁ユニット500と、インク出口形成部400に装着されてインク出口432を覆うことが可能なキャップ600と、を有する。本開示において、インク補給容器200のキャップ600側である上端側を「先端側」と呼び、容器本体部300側である下端側を「後端側」と呼ぶ。容器本体部300は、先端側に開口を有する有底円筒状の容器である。本開示において、インク補給容器200の中心軸Cと平行な方向を「軸方向」と呼び、中心軸Cから外側に向かう方向を「径方向」と呼ぶ。
【0019】
インク出口形成部400は、容器本体部300に接続される結合部420を備えている。結合部420内には、出口弁ユニット500が装着される。従って、出口弁ユニット500は、インク出口形成部400の一部を構成する部材とみなすことも可能である。出口弁ユニット500は、インクタンク700にインクを補給しない場合、「閉弁状態」となってインク出口を封止してインクが外部に漏れないように構成されている。他方、インクタンク700にインクを補給する場合、「開弁状態」となって封止を解除してインクタンク700のインク入り口732にインクが流れ込むように構成されている。「閉弁状態」および「開弁状態」については後述する。
【0020】
図4に示すように、出口弁ユニット500は、シール部材510と、弁体520と、バネ部材530と、弁筐体540と、を有する。弁筐体540は、弁体520と、バネ部材530と、を内部に収容する。弁筐体540は、中心軸C方向の先端側が開口し、他端側が閉塞された略円筒形状である。弁筐体540は、先端側の開口からインクタンク700のインク入り口732が挿抜自在に挿入され得る。弁筐体540は、軸方向と交差する方向に貫通する複数の第2貫通孔Ho2を有する。第2貫通孔Ho2は、弁筐体540の側壁を中心軸Cを中心とする半径方向に貫通する孔であり、中心軸C方向にも延びるように形成されている。また、第2貫通孔Ho2は、弁筐体540と、結合部420との間の半径方向の隙間に連通する。
【0021】
バネ部材530は、弁筐体540内に格納される。バネ部材530は、弁筐体540内で後端側に収納され、弁筐体540に支持されている。バネ部材530は、弁体520を先端側に付勢する。本開示においてバネ部材530は、コイルスプリングである。
【0022】
シール部材510は、弁筐体540内に装着される。シール部材510は、弁筐体540内で先端側に位置している。シール部材510は、両端が開口した略円筒状の形状を有する。シール部材510は、弾性を有するゴム部材で形成することが可能である。シール部材510は、インク入り口732が挿抜される開口を有する。
【0023】
弁体520は、弁筐体540内に、軸方向に移動可能に収容される。弁体520は、略円柱形状の部材である。弁体520は、後端側でバネ部材530と接しており、先端側でシール部材510と接している。弁体520の側面は、弁筐体540の内側面と対向している。弁体520は、弁筐体540に案内されて軸方向に摺動し得る。このため、後述する「閉弁状態」と「開弁状態」の切り替えを円滑に行うことができる。弁体520は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンのような熱可塑性樹脂で形成することが可能である。
【0024】
出口弁ユニット500は、「閉弁状態」と「開弁状態」を取り得る。具体的には、弁体520が、バネ部材530によりシール部材510に向けて付勢される。かかる付勢により、弁体520の先端側がシール部材510の開口を閉塞すると「閉弁状態」となる。したがって、インクは、容器本体部300から外部に移動することができない。他方、弁体520は、後述するインク補給時においてインクタンク700の区画壁735の上端により、バネ部材530の付勢方向と反対方向に押圧される。かかる押圧により、弁体520がシール部材510から離れて開口の閉塞が解除されると「開弁状態」となる。したがって、インク補給時においては容器本体部300に収容されたインクが、シール部材510の開口からインク補給容器200の外部に移動可能となる。
【0025】
図5は、第1実施形態におけるインク補給容器200の正置状態における斜視図である。図6は、図5におけるVI-VI線断面図である。なお、「インク補給容器200の正置状態」とは、インク補給容器200の先端側を上に向け、机などの水平面の上に置いた状態を意味する。正置状態において、インク補給容器200の中心軸Cは、Z軸と平行である。図5および図6に示すように、インクを補給しない際は、インク補給容器200にはキャップ600が取り付けられている。図6に示すように、キャップ600の内側には栓部601が設けられている。栓部601は中心軸Cに沿って後端側に突出する突起であり、インク出口432に挿入されている。また、キャップ600の内周面には雌ねじ602が形成されている。雌ねじ602がインク出口形成部400の先端部430の外周に形成された雄ねじ460と螺合することにより、キャップ600は、インク出口432を覆うように取り付けられる。
【0026】
次いで、インク補給容器200のインク出口形成部400について説明する。本開示におけるインク出口形成部400は、上述したインクタンク700のインク入り口形成部730と対応する構造を有する。即ち、インク補給時において、インク出口形成部400は、インク入り口形成部730と係合するように構成されている。具体的には、後述する凹凸部437が、上述した係合部733が備えるプリンター側凹凸部738と係合するように構成されている。
【0027】
図7は、第1実施形態におけるインク補給容器200の正置状態における平面図である。図8は、図7におけるVIII-VIII線断面図である。なお、図7および図8は、キャップ600を外した状態のインク補給容器200を示す。
【0028】
図8に示すように、インク出口形成部400は、後端側に位置する結合部420と、先端側に位置する先端部430と、を含む。結合部420と先端部430とは、互いに一体的に形成されている。結合部420は、円筒形状を有している。結合部420の内径は、容器本体部300の先端側の外径よりも僅かに大きい。結合部420の内周面には図示しない雌ねじが形成され、容器本体部300の先端側の外周面には図示しない雄ねじが形成されている。このため、インク出口形成部400は、容器本体部300と螺合している。
【0029】
図7に示すように、先端部430は、先端側に開口した略凹形状を有する。先端部430は、底部431と、インク出口432と、インク出口外周部433と、壁434と、を備える。底部431の略中央位置には、第3貫通孔Ho3がZ軸方向に形成されている。
【0030】
インク出口432は、第3貫通孔Ho3に重なる位置に配置されている。インク出口432は、軸方向の両端が開口した略円筒形状である。図8に示すように、インク出口432と出口弁ユニット500とは、中心軸が重なるように配置されている。このため、上述したように出口弁ユニット500が開弁状態をとる際に、インク出口432は、容器本体部300からインクタンク700へとインクが補給される際のインクの流路として機能する。
【0031】
図7に示すように、インク出口外周部433は、インク出口432の周方向を囲むように、インク出口432の外周に沿って形成されている。また、図8に示すようにインク出口432は、中心軸C方向に延びるように形成されている。インク出口外周部433の中心軸C方向の高さは、インク出口432の高さよりも僅かに低い。
【0032】
なお、本開示における「インク出口432の中心軸」とは、インク出口432の開口面の法線であって、インク出口432の開口の中心を通る法線のことをいう。また、図4に示すように、出口弁ユニット500の中心軸Cは、インク補給容器200の中心軸Cと一致している。したがって、インク出口432の中心軸は、インク補給容器200の中心軸Cと一致する。
【0033】
図7に示すように、壁434は、インク出口432の中心軸Cを中心とした半径方向における外側で、インク出口外周部433の周囲を囲むように形成されている。また、壁434は、中心軸C方向に延びるように形成されている。壁434は、上述したインクタンク700の係合部733と対応し、係合するように構成されている。具体的には、壁434は、一対の第3直線部435と一対の第3アーチ部436とを備える。各第3直線部435は、いずれもY軸方向に平行であり、左右方向、即ちX軸方向に互いに離れて位置する。各第3直線部435は、Y軸方向の両端で第3アーチ部436と接続している。各第3アーチ部436は、XY平面において、+Y方向または-Y方向に凸な曲線形状を有する。各第3アーチ部436の内周面には、凹凸部437が配設されている。凹凸部437は、XY平面において、インクタンク700のプリンター側凹凸部738と係合可能な凹凸形状を有しており、中心軸C方向に延びるように形成されている。上述したように、プリンター側凹凸部738と係合できる凹凸部437を有するインク補給容器200だけが、インクタンク700に補給を行うことができる。したがって、インク補給容器200の凹凸部437もインクタンク700を識別可能な識別子として機能する。図8に示すように、本実施形態において、凹凸部437の中心軸C方向の高さは、壁434の中心軸C方向の高さと同じである。なお、「高さが同じ」とは、完全に同じ高さだけではなく、±5%程度の誤差を含む広い概念を意味する。また、各第3アーチ部436の外周面には、陥没部438が形成されている。陥没部438は、インクタンク700の突起741と係合可能な凹形状を有している。なお、陥没部438は、図7に示すように4つに限られず、1つ以上の任意の個数分設けられてもよい。かかる場合、インク入り口形成部730の突起741は、陥没部438に対応した個数分設けられる。
【0034】
壁434は上述したようにインクタンク700の係合部733と対応する形状を有する。このため、インク補給容器200によりインクタンク700へのインク補給が行われる際、壁434の内周面は、係合部733の外周面と係合し、壁434の外周面は、インク入り口囲み部734の内周面と係合する。
【0035】
図9は、インク補給容器200からインクタンク700にインクを補給する補給状態を示す断面図である。上述したインクタンク700に、インク補給容器200を用いて行われるインク補給について以下に説明する。図10は、図9のX-X線断面図である。本開示において、「補給状態」とは、インク補給容器200のキャップ600を取り外し、インク補給容器200を倒置させて、インクタンク700に接続させた状態をいう。ユーザーは、インクタンク700前面の視認部710からインクタンク700中のインク量が減っていることを確認すると、インクの補給を開始する。図2および図3に示したように、ユーザーは、タンクキャップ720を上方に開き、インク入り口形成部730を外部に露出させる。次いで、図9および図10に示すようにインク補給容器200のキャップ600を取り外し、インク補給容器200を倒置させて、インク出口形成部400とインク入り口形成部730との位置を合わせ、係合させる。このとき、ユーザーは、インク出口形成部400の凹凸部437がインク入り口形成部730のプリンター側凹凸部738と係合し、インク入り口形成部730の突起741がインク出口形成部400の陥没部438と係合することを確認する。
【0036】
もし係合しない場合、補給しようとしているインク補給容器200中のインクと、インクタンク700中のインクとが異なることがわかる。即ち、ユーザーは、誤ったインク補給容器200で補給しようとしていることを認識できる。正しいインク補給容器200が係合された場合、図10に示すように、ユーザーが更に下方にインク補給容器200を押し込むことで、出口弁ユニット500の弁体520がインクタンク700の区画壁735の上端と当接し、後端側に押し込まれる。これにより、出口弁ユニット500は、開弁状態となり、インクがインク補給容器200からインクタンク700内のインク室701へ流入する。
【0037】
インクタンク700に対するインク補給容器200からのインク補給を終了する場合、ユーザーはインク補給容器200を上方に引き抜く。これにより、出口弁ユニット500が閉弁状態となり、インク補給容器200からインクタンク700へのインクの流出が止まる。
【0038】
以上説明した第1実施形態にかかるインク補給容器200によれば、インク出口形成部400の壁434の内周面に凹凸部437が形成されている。かかる構成により、凹凸部437が壁434により保護されているので、凹凸部437が外部からの衝撃により変形や破損することを抑制することができる。
【0039】
また、凹凸部437が壁434の内周面に配設されているので、壁434の外側に凹凸部を配設する構成と比較して、インク補給容器200の大型化を抑制することができる。
【0040】
また、凹凸部437が壁434の内周面に形成されているので、インク出口432からインク滴が流出した場合であっても、凹凸部437にインク滴が保持される。このため、インク滴によりユーザーの手やプリンター100が汚れることを抑制することができる。
【0041】
また、壁434が一対の第3直線部435と一対の第3アーチ部436とを有するので、インク補給容器200の各第3直線部435とインクタンク700の各第1直線部736との位置を合わせるか、あるいはインク補給容器200の各第3アーチ部436とインクタンク700の各第1アーチ部737との位置を合わせることで、ユーザーがインクを補給する際に、インク補給容器200とインクタンク700とを接続しやすくできる。
【0042】
また、凹凸部437が、インク出口432を中心とした線対称の位置に形成されているので、ユーザーがインクを補給する際に、位置合わせを容易に行うことができる。したがって、ユーザーがインク補給容器200とインクタンク700との接続方向を確かめるために要する時間を短縮することができる。
【0043】
また、各第3アーチ部436の外周面には、陥没部438が形成されているので、陥没部438も識別子として機能し得る。このため、陥没部438の位置や数を変更することによっても、インク出口形成部400の形状パターンを増やすことができる。また、陥没部438が形成されていない構成と比較して、インク出口形成部400とインク入り口形成部730との係合する場所が増えるので、インク補給状態においてインク補給容器200の姿勢がより安定しやすくなる。
【0044】
B.他の実施形態:
B1.他の実施形態1:
上記第1実施形態のインク補給容器200において、凹凸部437は、壁434の内周面に配設されていたが、本開示はこれに限られない。図11は、インク出口外周部433の外周面に凹凸部437aが配設されたインク補給容器200aの平面図である。図12は、図11のXII-XII線断面図である。図11および図12に示すように、インク出口外周部433の外周面に凹凸部437aを設ける構成にしてもよい。なお、インク出口外周部433は、インク出口432の周囲に沿って形成されているので、インク出口外周部433の外周面は、インク出口432の外周面ともいえる。かかる構成のインク補給容器200aに対応して、インクタンク700のインク入り口形成部730では、プリンター側凹凸部738が、インク入り口732の外周面に形成される。かかる構成においても、第1実施形態のインク補給容器200と同様の効果を得ることができる。また、第1実施形態のインク補給容器200に形成された凹凸部437よりも、径方向においてより内側に凹凸部437aが形成されているので、衝撃により凹凸部437aが変形や破損することをより抑制することができる。
【0045】
B2.他の実施形態2:
上記第1実施形態のインク補給容器200において、凹凸部437は、壁434の内周面に配設されていたが、本開示はこれに限られない。図13は、壁434とインク出口外周部433の外周面との間の空間に凹凸部437bが配設されたインク補給容器200bの平面図である。図14は、図13のXIV-XIV線断面図である。図13および図14に示すように、壁434とインク出口外周部433の外周面との間の空間に凹凸部437bが配設された構成にしてもよい。凹凸部437bは、中心軸Cに沿って底部431から延びる略直方体形状である。かかる構成のインク補給容器200bに対応して、インクタンク700のインク入り口形成部730では、プリンター側凹凸部738が、インク入り口732と、第1直線部736と、第1アーチ部737と、に囲まれる空間に、底面731からZ軸方向に延びるように形成される。かかる構成においても、第1実施形態のインク補給容器200と同様の効果を得ることができる。
【0046】
B3.他の実施形態3:
上記第1実施形態のインク補給容器200において、凹凸部437は、壁434の内周面に配設されていたが、本開示はこれに限られない。凹凸部437は、壁434の内周面と、インク出口外周部433の外周面と、壁434の内周面およびインク出口外周部433の外周面の間の空間と、のうちの2箇所または全てに配設する構成にしてもよい。かかる構成においても、第1実施形態のインク補給容器200と同様の効果を得ることができる。更に、凹凸部437が、壁434の内周面と、インク出口外周部433の外周面と、壁434の内周面およびインク出口外周部433の外周面の間の空間と、のうちの一箇所だけに配設される構成と比較して、凹凸部437の設ける位置のパターンを増やすことができる。このため、インク出口形成部400の大きさを拡張せずに、識別子として機能する凹凸部437の形状パターンを増やすことができる。また、プリンター側凹凸部738と係合する凹凸部437の数が増加するので、インク補給状態において、インク補給容器200の姿勢が安定しやすくなる。なお、かかる構成の場合、インクタンク700のインク出口形成部400の対応する位置にプリンター側凹凸部738が形成される。
【0047】
B4.他の実施形態4:
上記第1実施形態のインク補給容器200において、凹凸部437の中心軸C方向における高さは、壁434の中心軸C方向における高さと同じであったが、本開示はこれに限られない。図15は、凹凸部437dの高さが壁434よりも低く構成されたインク補給容器200dの断面図である。図15に示すように、凹凸部437dの高さが壁434よりも低い構成にしてもよい。かかる構成においても、第1実施形態のインク補給容器200と同様の効果を得ることができる。更に、凹凸部437dの高さが壁434よりも低いため、径方向だけでなく中心軸C方向からの衝撃も凹凸部437dに加えられにくくなる。このため、外部からの衝撃による凹凸部437dの変形や破損をより抑制することができる。
【0048】
B5.他の実施形態5:
上記第1実施形態のインク補給容器200において、凹凸部437は、壁434の内周面に配設されていたが、本開示はこれに限られない。図16は、凹凸部437eが壁434とインク出口外周部433の外周面との間の空間に、壁434とインク出口外周部433とを連結するように配設されたインク補給容器200eの平面図である。図17は、図16のXVII-XVII線断面図である。図16および図17に示すように、凹凸部437eが壁434とインク出口外周部433の外周面との間の空間に連続して配設された構成にしてもよい。かかる構成においても、第1実施形態のインク補給容器200と同様の効果を得ることができる。また、かかる構成において、壁434とインク出口外周部433との間の空間は、凹凸部437eによって二分されている。このため、インク滴がかかる空間に複数付着した場合に、かかる空間が二分されていない構成と比較して、インク滴同士が凝集し、大きなインク滴が形成されることを抑制することができる。したがって、大きなインク滴によりユーザーの手やプリンター100が汚れることを抑制することができる。なお、凹凸部437eによって分割される空間は、二分以外であってもよく、3以上の任意の空間に分割されてもよい。
【0049】
B6.他の実施形態6:
上記他の実施形態5の凹凸部437eは、突出部441が形成されていてもよい。図18は、突出部441が形成された凹凸部437fを備えるインク補給容器200fの平面図である。図18に示すように、凹凸部437fの+X方向と-X方向とに突出している突出部441が設けられている。かかる構成によっても、他の実施形態5のインク補給容器200eと同様の効果を得ることができる。また、突出部441の位置や数を変更することで、凹凸部437fの形状パターンを増やすことができる。このため、インク出口形成部400の大きさを拡張せずに、識別子となる凹凸部437fのパターンを更に増やすことができる。
【0050】
B7.他の実施形態7:
上記第1実施形態のインク補給容器200において、壁434は、インク出口432の中心軸Cを中心とした周方向全てを囲むように形成されていたが、本開示はこれに限られない。図19は、壁434gがインク出口432の中心軸Cを中心とした周方向の一部を囲むように形成されたインク補給容器200gの平面図である。図19に示すように、壁434gはインク出口432の+Y方向および-Y方向にだけ設けられていてもよい。即ち、第1実施形態におけるインク補給容器200から一対の第2直線部739を取り除き、一対の第2アーチ部740だけで壁434gを構成してもよい。かかる構成によっても、第1実施形態にかかるインク補給容器200と同様の効果を得ることができる。また、第2直線部739に相当する部材が存在しない分、インク出口形成部400の大きさを小さくすることができる。
【0051】
B8.他の実施形態8:
上記他の実施形態7の壁434gは、凹凸部437のうち少なくともインク出口432に対向する部分を除く部分を囲むように形成されていてもよい。図20は、他の実施形態8にかかるインク補給容器200hの平面図である。図20に示すように、インク補給容器200hの壁434hは、インク出口外周部433の周囲の一部に配置され、中心軸C方向に延び、かつ凹凸部437を囲むように配置されている。具体的には、壁434hは、一対の第4直線部435hと、弧部436hとを含む。各第4直線部435hは、Y軸方向に延びて形成されている。各第4直線部435hは、インク出口432側の端部でインク出口外周部433と接続しており、他方の端部で弧部436hと接続している。弧部436hは、インク出口外周部433から離間して、弧状に配置されている。弧部436hの両端は、各第4直線部435hと接続している。弧部436hの内周面には凹凸部437が形成されており、外周には陥没部438が形成されている。また、本実施形態において、壁434hに囲まれる領域は、インク出口432の+Y方向側と-Y方向側に一対形成されており、X軸方向において互いにずれた位置に存在する。かかる構成により、凹凸部437は、インク出口外周部433と対向する部分と、先端部側の部分を除いて、壁434hに囲まれる。かかる構成によっても、他の実施形態7にかかるインク補給容器200gと同様の効果を得ることができる。更に、本実施形態のインク補給容器200hによれば、凹凸部437が一対の第4直線部435hと弧部436hとに保護されているので、凹凸部437の破損や変形をより抑制することができる。
【0052】
B9.他の実施形態9:
上記他の実施形態8では、壁434hは、凹凸部437のうち少なくともインク出口432に対向する部分と、先端側の端面と、を除く部分を囲むように形成されていたが、この構成に加えて、壁434hが凹凸部437とインク出口432との間に更に形成されていてもよい。即ち、凹凸部437は、先端側の端面を除く部分が壁434hで囲まれる。かかる構成により、凹凸部437は四方が囲まれるので、凹凸部437の外部からの衝撃による破損や変形をより抑制することができる。
【0053】
B10.他の実施形態10:
上記他の実施形態8の壁434hに囲まれる領域は、X軸方向において互いに揃った位置に存在していてもよい。図21は、他の実施形態10にかかるインク補給容器200iの平面図である。図21に示すように、壁434iに囲まれる領域は、インク出口432の+Y方向側と-Y方向側に一対形成されており、X軸方向において互い揃った位置に存在する。かかる構成によっても、他の実施形態8にかかるインク補給容器200hと同様の効果を得ることができる。
【0054】
B11.他の実施形態11:
上記他の実施形態8から他の実施形態10では、壁434hで囲まれる領域が一対存在していたが、一対に代えて、任意の数の領域が存在していてもよい。
【0055】
B12.他の実施形態12:
上記第1実施形態のインク補給容器200において、凹凸部437は、第3アーチ部436の内周面に配設されていたが、本開示はこれに限られない。凹凸部437は、第3アーチ部436に代えて、第3直線部435に設けられてもよい。また、上記第1実施形態のインク補給容器200では、凸部として機能するインク補給容器200の凹凸部437と、凹部として機能するインクタンク700のプリンター側凹凸部738と、が互いに係合する構成であったが、本開示はこれに限られない。インク補給容器200の凹凸部437が凹部として機能し、インクタンク700のプリンター側凹凸部738が凸部として機能する構成であってもよい。図22は、凹凸部437jが第3直線部435に配設されたインク補給容器200jの平面図である。図23は、プリンター側凹凸部738jが第2直線部739に設けられたインク入り口形成部730jの平面図である。図22に示すように、インク補給容器200jの凹凸部437jは、第3直線部435において、内周面が内側に突出し、外周面が内側に窪んだ部位として構成されている。凹凸部437jは、インク出口432を中心とした点対称の位置に一対配設されている。図23に示すように、かかる構成のインク補給容器200jに対応して、インクタンク700のインク入り口形成部730jでは、プリンター側凹凸部738jが、第2直線部739の内周面から内側に突出するように配設されている。プリンター側凹凸部738jは、インク入り口732を中心とした点対称の位置に一対形成されている。インク補給時には、図22に示したインク補給容器200jが図23に示したインク入り口形成部730jに装着される際、一対の凹凸部437jと、一対のプリンター側凹凸部738jとが、互いに係合する。かかる構成においても、第1実施形態のインク補給容器200と同様の効果を得ることができる。
【0056】
C.他の形態:
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0057】
(1)本開示の第1の形態によれば、プリンターが有する係合部に係合させてインクを補給するためのインク補給容器が提供される。このインク補給容器は、筒状のインク出口と、前記インク出口の中心軸を中心とした半径方向における前記インク出口の外側で、前記インク出口の周囲に配置され且つ前記中心軸に沿う軸方向に延びる壁と、前記インク出口の外周面と、前記壁の内周面と、前記インク出口の外周面および前記壁の内周面の間の空間と、のうちの少なくとも一箇所に配設される凹凸部であって、前記プリンターに前記インクを補給する状態において、前記プリンターが有する前記係合部と係合する凹凸部と、を備える。
この形態のインク補給容器によれば、インク出口の外周面と、壁の内周面と、インク出口の外周面および壁の内周面の間の空間と、のうちの少なくとも一箇所に凹凸部が配設されるので、径方向において凹凸部が壁により遮蔽される。このため、凹凸部が外部に露出している構成と比較して、衝撃による凹凸部の変形や破損を抑制することができる。
また、インク出口の外周面と、壁の内周面と、インク出口の外周面および壁の内周面の間の空間と、のうちの少なくとも1箇所に凹凸部が配設されるので、凹凸部の配設箇所を増やすことで、容易に凹凸部の配置パターンを増加させることができる。
また、凹凸部の配設箇所がインク出口の外周面から壁の内周面までの間の空間であるため、凹凸部を壁の外部に配設する構成と比較して、インク補給容器の大型化を抑制することができる。
また、インク滴がインク補給容器から流出した場合、凹凸部にインク滴が保持されるので、インク滴によりユーザーの手やプリンターが汚れることを抑制することができる。
【0058】
(2)上記第1の形態において、前記凹凸部は、前記インク出口の外周面に配設されてもよい。
この形態のインク補給容器によれば、凹凸部がインク出口の外周面に配設されるので、インク補給容器の径方向において、より内側に凹凸部が形成されることになる。このため、外部からの衝撃による凹凸部の変形や破損をより抑制することができる。
【0059】
(3)上記第1の形態において前記凹凸部は、前記インク出口の外周面と、前記壁の内周面と、前記インク出口の外周面および前記壁の内周面の間の空間と、のすべてに配設されてもよい。
この形態のインク補給容器によれば、凹凸部がインク出口の外周面と、壁の内周面と、インク出口の外周面および壁の内周面の間の空間と、のすべてに配設されているので、凹凸部がインク出口の外周面と、壁の内周面と、インク出口の外周面および壁の内周面の間の空間と、のうちでいずれか1箇所に配設されている構成と比較して、インク補給容器の大きさを拡大せずに、凹凸部の配置パターンをより多くすることができる。
また、プリンター側の係合部と係合する凹凸部が増加するため、インク補給容器を倒置させてインクを補給する際に、インク補給容器の姿勢が安定しやすくなる。
【0060】
(4)上記第1の形態において、前記凹凸部は、前記軸方向において前記壁と同じ高さまたは前記壁より低い高さを有してもよい。
この形態のインク補給容器によれば、凹凸部の軸方向の高さが、壁の軸方向の高さ以下なので、凹凸部が壁により更に遮蔽される。このため、径方向だけでなく軸方向からの外部の衝撃による凹凸部の変形や破損を更に抑制することができる。
【0061】
(5)上記第1の形態において、前記凹凸部は、前記インク出口の先端側から前記軸方向に見て凹凸形状を有してもよい。
この形態のインク補給容器によれば、凹凸部の形状により、識別子となる形状パターンを増やすことができる。
【0062】
(6)本開示の第2の形態によれば、プリンターが有する係合部に係合させてインクを補給するためのインク補給容器が提供される。このインク補給容器は、筒状のインク出口と、前記インク出口の中心軸を中心とした半径方向における前記インク出口の外側で、前記インク出口の周囲の一部に配置され且つ前記中心軸に沿う軸方向に延びる壁と、前記インク出口の外周面と、前記壁の内周面と、前記インク出口の外周面および前記壁の内周面の間の空間と、のうちの少なくとも一箇所に配設される凹凸部であって、前記プリンターに前記インクを補給する状態において、前記プリンターが有する前記係合部と係合する凹凸部と、を備え、前記壁は、前記凹凸部のうち、少なくとも前記インク出口と対向する部分を除く部分を囲むように配置される。
この形態のインク補給容器によれば、壁がインク出口の周囲の一部に配置されるので、壁がインク出口の周囲を全て囲むような構成と比較して、インク補給容器をよりコンパクトな構成にすることができる。
また、凹凸部が壁により遮蔽されているので、外部からの衝撃による凹凸部の変形や破損を抑制することができる。
【0063】
(7)本開示の第3の形態によれば、上記形態のインク補給容器の前記凹凸部と係合する前記プリンター側凹凸部を前記係合部に備えるプリンターが提供される。
この形態のプリンターによれば、インク補給容器の凹凸部とプリンター側凹凸部とが適切に係合するため、インクの誤注入を防止することができる。
【符号の説明】
【0064】
100…プリンター、110…筐体、160…インクタンク収容ユニット、162…蓋、200,200a,200b,200d,200e,200f,200g,200h,200j…インク補給容器、300…容器本体部、400…インク出口形成部、420…結合部、430…先端部、431…底部、432…インク出口、433…インク出口外周部、434,434g,434h…壁、435…第3直線部、435h…第4直線部、436…第3アーチ部、436h…弧部、437,437a,437b,437d,437e,437f,437j…凹凸部、438…陥没部、441…突出部、460…雄ねじ、500…出口弁ユニット、510…シール部材、520…弁体、530…バネ部材、540…弁筐体、600…キャップ、601…栓部、602…雌ねじ、700,700L,700S…インクタンク、701…インク室、710…視認部、720…タンクキャップ、730,730j…インク入り口形成部、731…底面、732…インク入り口、733…係合部、734…インク入り口囲み部、735…区画壁、736…第1直線部、737…第1アーチ部、738,738j…プリンター側凹凸部、739…第2直線部、740…第2アーチ部、741…突起、C…中心軸、Ho1…第1貫通孔、Ho2…第2貫通孔、Ho3…第3貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23