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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138902
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】劣化判定装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 47/00 20060101AFI20241002BHJP
   H01H 9/54 20060101ALI20241002BHJP
   H02H 3/00 20060101ALI20241002BHJP
   H02H 3/02 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
H01H47/00 C
H01H9/54 C
H02H3/00 R
H02H3/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049622
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤村 勇貴
【テーマコード(参考)】
5G034
5G142
【Fターム(参考)】
5G034AC03
5G034AC09
5G142AA03
5G142AA14
5G142AA15
5G142AA16
5G142AB04
5G142AC06
5G142BB12
5G142BC02
5G142BD01
5G142BD02
5G142GG02
5G142HH05
(57)【要約】
【課題】リレーが劣化状態であることを判定することが可能な技術を提供する。
【解決手段】劣化判定装置10は、車載システム1に用いられる。車載システム1は、電源部2と、電源部2からの電力が供給される電力路4と、を備える。劣化判定装置10は、リレー(例えば正極側リレー11)と、劣化判定部42と、を有する。上記リレーは、電力路4に設けられる。劣化判定部42は、上記リレーの駆動電圧と駆動電流の少なくとも一方に基づいて上記リレーが劣化状態であることを判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源部と、前記電源部からの電力が供給される電力路とを備える車載システムに用いられる劣化判定装置であって、
前記電力路に設けられるリレーと、
前記リレーの駆動電圧と駆動電流の少なくとも一方に基づいて前記リレーが劣化状態であることを判定する劣化判定部と、を有する
劣化判定装置。
【請求項2】
前記劣化判定部は、前記駆動電圧と前記駆動電流の少なくとも一方に基づいて感動電圧を検出し、検出した感動電圧に基づいて前記リレーが劣化状態であることを判定する
請求項1に記載の劣化判定装置。
【請求項3】
前記劣化判定部は、前記駆動電圧と前記駆動電流の少なくとも一方に基づいて復帰電圧を検出し、検出した復帰電圧に基づいて前記リレーが劣化状態であることを判定する
請求項1に記載の劣化判定装置。
【請求項4】
前記劣化判定部は、前記駆動電圧と前記駆動電流の少なくとも一方に基づいて動作時間を検出し、検出した動作時間に基づいて前記リレーが劣化状態であることを判定する
請求項1に記載の劣化判定装置。
【請求項5】
前記劣化判定部は、前記駆動電圧と前記駆動電流の少なくとも一方に基づいて復帰時間を検出し、検出した復帰時間に基づいて前記リレーが劣化状態であることを判定する
請求項1に記載の劣化判定装置。
【請求項6】
並列リレーと抵抗部を直列に接続した構成をなし、前記リレーに対して並列に接続される並列回路と、
前記リレーと前記並列リレーを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、車両が始動する際に、前記並列リレーをオン状態に切り替えた後に前記リレーをオン状態に切り替え、前記車両が駐車する際に、前記リレー及び前記並列リレーをオフ状態に制御し、
前記劣化判定部は、前記車両が駐車して前記リレー及び前記並列リレーがオフ状態になった後に、前記リレーが劣化状態であるか否かを判定するとともに、前記並列リレーが劣化状態であるか否かを判定する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の劣化判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、劣化判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示される電池システムは、プリチャージ回路による事前の充電の後、負荷装置と電池とを電気的に接続させるリレーを閉じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-78196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リレーは、オンオフが繰り返されることで劣化が進行する。リレーの劣化が進行すると、やがてリレーが使用不能な状態となる。リレーは、完全に使用不能な状態となる前に劣化した状態であることが検出され、交換されることが好ましい。
【0005】
本開示は、リレーが劣化状態であることを判定することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の劣化判定装置は、
電源部と、前記電源部からの電力が供給される電力路とを備える車載システムに用いられる劣化判定装置であって、
前記電力路に設けられるリレーと、
前記リレーの駆動電圧と駆動電流の少なくとも一方に基づいて前記リレーが劣化状態であることを判定する劣化判定部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の技術によれば、リレーが劣化状態であることを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態の劣化判定装置を含む車載システムを概略的に示す構成図である。
図2図2は、オフ状態の正極側リレーの構成を概略的に示す説明図である。
図3図3は、可動端子が固定端子に接触したときの正極側リレーの構成を概略的に示す説明図である。
図4図4は、シャフトの先端部が規制部に接触した状態の正極側リレーの構成を概略的に示す説明図である。
図5図5は、制御基板、正極側リレー、負極側リレー、及び並列リレーの構成を概略的に示す説明図である。
図6図6は、正極側リレーがオン状態の切り替わるときの駆動電圧と、正極側リレーの両端の電位差と、駆動電流との経時的変化を示すグラフである。
図7図7は、正極側リレーがオフ状態の切り替わるときの駆動電圧と、正極側リレーの両端の電位差との経時的変化を示すグラフである。
図8図8は、正極側リレー、負極側リレー、及び並列リレーのオンオフ状態を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
〔1〕電源部と、前記電源部からの電力が供給される電力路とを備える車載システムに用いられる劣化判定装置であって、
前記電力路に設けられるリレーと、
前記リレーの駆動電圧と駆動電流の少なくとも一方に基づいて前記リレーが劣化状態であることを判定する劣化判定部と、を有する
劣化判定装置。
【0011】
リレーの駆動電圧及び駆動電流は、リレーの劣化状態に応じて変化し得る。上記劣化判定装置は、こうした特性を利用して、リレーの駆動電圧と駆動電流の少なくとも一方に基づいてリレーが劣化状態であることを判定することができる。
【0012】
〔2〕前記劣化判定部は、前記駆動電圧と前記駆動電流の少なくとも一方に基づいて感動電圧を検出し、検出した感動電圧に基づいて前記リレーが劣化状態であることを判定する
〔1〕に記載の劣化判定装置。
【0013】
リレーの感動電圧は、リレーの劣化状態に応じて変化し得る。上記劣化判定装置は、駆動電圧と駆動電流の少なくとも一方に基づいて感動電圧を検出し、検出した感動電圧に基づいてリレーが劣化状態であることを判定することができる。
【0014】
〔3〕前記劣化判定部は、前記駆動電圧と前記駆動電流の少なくとも一方に基づいて復帰電圧を検出し、検出した復帰電圧に基づいて前記リレーが劣化状態であることを判定する
〔1〕に記載の劣化判定装置。
【0015】
リレーの復帰電圧は、リレーの劣化状態に応じて変化し得る。上記劣化判定装置は、駆動電圧と駆動電流の少なくとも一方に基づいて復帰電圧を検出し、検出した復帰電圧に基づいてリレーが劣化状態であることを判定することができる。
【0016】
〔4〕前記劣化判定部は、前記駆動電圧と前記駆動電流の少なくとも一方に基づいて動作時間を検出し、検出した動作時間に基づいて前記リレーが劣化状態であることを判定する
〔1〕に記載の劣化判定装置。
【0017】
リレーの動作時間は、リレーの劣化状態に応じて変化し得る。上記劣化判定装置は、駆動電圧と駆動電流の少なくとも一方に基づいて動作時間を検出し、検出した動作時間に基づいてリレーが劣化状態であることを判定することができる。
【0018】
〔5〕前記劣化判定部は、前記駆動電圧と前記駆動電流の少なくとも一方に基づいて復帰時間を検出し、検出した復帰時間に基づいて前記リレーが劣化状態であることを判定する
〔1〕に記載の劣化判定装置。
【0019】
リレーの復帰時間は、リレーの劣化状態に応じて変化し得る。上記劣化判定装置は、駆動電圧と駆動電流の少なくとも一方に基づいて復帰時間を検出し、検出した復帰時間に基づいてリレーが劣化状態であることを判定することができる。
【0020】
〔6〕並列リレーと抵抗部を直列に接続した構成をなし、前記リレーに対して並列に接続される並列回路と、
前記リレーと前記並列リレーを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、車両が始動する際に、前記並列リレーをオン状態に切り替えた後に前記リレーをオン状態に切り替え、前記車両が駐車する際に、前記リレー及び前記並列リレーをオフ状態に制御し、
前記劣化判定部は、前記車両が駐車して前記リレー及び前記並列リレーがオフ状態になった後に、前記リレーが劣化状態であるか否かを判定するとともに、前記並列リレーが劣化状態であるか否かを判定する
〔1〕から〔5〕のいずれか一つに記載の劣化判定装置。
【0021】
上記劣化判定装置は、リレーと並列リレーが劣化状態であるか否かを判定する処理を車両が駐車してから行うことで、車両走行中の処理負担を軽減することができる。
【0022】
[本開示の実施形態の詳細]
<第1実施形態>
図1には、劣化判定装置10を含む車載システム1が開示されている。車載システム1は、電源部2と、負荷3と、電力路4と、外部ECU5と、劣化判定装置10と、を備える。
【0023】
電源部2は、負荷3に電力を供給する電力供給源である。電源部2は、例えばバッテリである。バッテリは、リチウムイオンバッテリであってもよいし、鉛バッテリであってもよいし、その他のバッテリであってもよい。負荷3は、車載用の電気機器である。電力路4は、電源部2と負荷3との間に設けられる。電源部2からの電力は、電力路4に供給され、電力路4を介して負荷3に供給される。外部ECU5は、劣化判定装置10の外部に設けられるECU(Electronic Control Unit)である。
【0024】
電力路4は、正極側電力路4Aと、負極側電力路4Bと、を有する。正極側電力路4Aの一端は、電源部2を構成するバッテリの正極側の端子に電気的に接続される。正極側電力路4Aの一端には、電源部2の出力電圧が印加される。正極側電力路4Aの他端は、負荷3の一端に電気的に接続される。負極側電力路4Bの一端は、電源部2を構成するバッテリの負極側の端子に電気的に接続される。負極側電力路4Bの他端は、負荷3の他端に電気的に接続される。バッテリの負極側の端子は、グラウンドに電気的に接続される。
【0025】
劣化判定装置10は、正極側リレー11と、負極側リレー12と、並列回路13と、を有する。正極側リレー11は、リレーの一例に相当する。正極側リレー11は、正極側電力路4Aに設けられる。負極側リレー12は、負極側電力路4Bに設けられる。並列回路13は、正極側リレー11に対して並列に接続される。並列回路13は、並列リレー14と抵抗部15を直列に接続した構成をなす。劣化判定装置10は、電力路4(より具体的には、正極側電力路4A)に設けられるヒューズ16を有する。
【0026】
正極側リレー11、負極側リレー12、及び並列リレー14は、それぞれ接点を有する機械式のリレーである。
【0027】
正極側リレー11は、図2に示すように、コイル20と、可動鉄心21と、固定鉄心22と、シャフト23と、可動端子24と、一対の固定端子25と、第1ばね26と、第2ばね27と、規制部28と、ケース29と、を有する。コイル20、可動鉄心21、固定鉄心22、シャフト23、可動端子24、第1ばね26、第2ばね27、及び規制部28は、ケース29内に収容されている。固定鉄心22、一対の固定端子25、及び規制部28は、ケース29に固定されている。
【0028】
可動鉄心21は、コイル20内に配置される。可動鉄心21は、シャフト23の基端部に固定されている。シャフト23の先端側には、可動端子24が挿通されている。シャフト23の先端部には、可動端子24の抜けを防止する抜止部23Aが設けられている。シャフト23には、可動鉄心21と可動端子24との間に、張出部30が設けられている。第1ばね26は、張出部30と可動端子24との間に設けられ、張出部30と可動端子24に押圧されて圧縮されたときに張出部30と可動端子24を離間させる方向に弾性力を付与する。固定鉄心22は、張出部30と可動鉄心21との間に設けられる。第2ばね27は、可動鉄心21と固定鉄心22との間に設けられ、可動鉄心21と固定鉄心22に押圧されて圧縮されたときに可動鉄心21と固定鉄心22を離間させる方向に弾性力を付与する。
【0029】
正極側リレー11は、コイル20に電流が流れると、磁界を発生させ、図3に示すように、可動鉄心21を固定端子25側に移動させる。このとき、張出部30は、可動鉄心21に連動して固定端子25側に移動し、第1ばね26を介して可動端子24を固定端子25側に移動させる。これにより、可動端子24が一対の固定端子25に接触する。その結果、正極側リレー11がオン状態となる。更に、可動鉄心21が移動すると、図4に示すように、シャフト23の先端部が規制部28に接触し、可動鉄心21の移動が規制される。
【0030】
コイル20に流れる電流が遮断されると、第2ばね27の弾性力によって可動鉄心21が元の位置に戻り、第1ばね26の弾性力によって張出部30と可動端子24との位置関係が元の位置関係に戻る。
【0031】
なお、負極側リレー12と並列リレー14の構成も、図2から図4に示す正極側リレー11の構成と同じであるため、以下では、正極側リレー11の構成と同じ符号を用いて説明する。
【0032】
劣化判定装置10は、図4に示すように、制御部41と、劣化判定部42と、駆動スイッチ部43A,44A,45Aと、駆動電圧検知部43B,44B,45Bと、駆動電流検知部43C,44C,45Cと、を有する。制御部41と、劣化判定部42と、駆動スイッチ部43A,44A,45Aと、駆動電圧検知部43B,44B,45Bと、駆動電流検知部43C,44C,45Cとは、制御基板40に設けられている。
【0033】
制御部41は、正極側リレー11、負極側リレー12、及び並列リレー14を制御する。制御部41は、マイクロコンピュータを含んで構成されてもよいし、マイクロコンピュータを含まない制御回路によって構成されてもよい。制御部41は、外部ECU5と通信可能である。
【0034】
制御部41は、駆動スイッチ部43Aをオン状態に切り替えることで、正極側リレー11のコイル20に電流を流す。これにより、正極側リレー11がオン状態に切り替わる。制御部41は、駆動スイッチ部43Aをオフ状態に切り替えることで、正極側リレー11のコイル20に流れる電流を遮断する。これにより、正極側リレー11がオフ状態に切り替わる。
【0035】
制御部41は、駆動スイッチ部44Aをオン状態に切り替えることで、負極側リレー12のコイル20に電流を流す。これにより、負極側リレー12がオン状態に切り替わる。制御部41は、駆動スイッチ部44Aをオフ状態に切り替えることで、負極側リレー12のコイル20に流れる電流を遮断する。これにより、負極側リレー12がオフ状態に切り替わる。
【0036】
制御部41は、駆動スイッチ部45Aをオン状態に切り替えることで、並列リレー14のコイル20に電流を流す。これにより、並列リレー14がオン状態に切り替わる。制御部41は、駆動スイッチ部45Aをオフ状態に切り替えることで、並列リレー14のコイル20に流れる電流を遮断する。これにより、並列リレー14がオフ状態に切り替わる。
【0037】
駆動電圧検知部43B,44B,45Bは、例えば公知の電圧検知回路として構成される。駆動電圧検知部43Bは、正極側リレー11のコイル20の両端に印加される電圧を検知する。つまり、駆動電圧検知部43Bは、正極側リレー11の駆動電圧を検知する。駆動電圧検知部44Bは、負極側リレー12のコイル20の両端に印加される電圧を検知する。つまり、駆動電圧検知部44Bは、負極側リレー12の駆動電圧を検知する。駆動電圧検知部45Bは、並列リレー14のコイル20の両端に印加される電圧を検知する。つまり、駆動電圧検知部45Bは、並列リレー14の駆動電圧を検知する。駆動電圧検知部43B,44B,45Bによって検知された値は、劣化判定部42に入力される。
【0038】
駆動電流検知部43C,44C,45Cは、例えば公知の電流センサとして構成される。駆動電流検知部43Cは、正極側リレー11のコイル20を流れる電流を検知する。つまり、駆動電流検知部43Cは、正極側リレー11の駆動電流を検知する。駆動電流検知部44Cは、負極側リレー12のコイル20を流れる電流を検知する。つまり、駆動電流検知部44Cは、負極側リレー12の駆動電流を検知する。駆動電流検知部45Cは、並列リレー14のコイル20を流れる電流を検知する。つまり、駆動電流検知部45Cは、並列リレー14の駆動電流を検知する。駆動電流検知部43C,44C,45Cによって検知された値は、劣化判定部42に入力される。
【0039】
劣化判定部42は、正極側リレー11の駆動電圧と駆動電流の少なくとも一方に基づいて正極側リレー11が劣化状態であることを判定する。劣化判定部42は、負極側リレー12の駆動電圧と駆動電流の少なくとも一方に基づいて負極側リレー12が劣化状態であることを判定する。劣化判定部42は、並列リレー14の駆動電圧と駆動電流の少なくとも一方に基づいて並列リレー14が劣化状態であることを判定する。劣化判定部42は、マイクロコンピュータを含んで構成されてもよいし、マイクロコンピュータを含まない制御回路によって構成されてもよい。劣化判定部42は、制御部41と同じ制御回路によって構成されてもよいし、別の制御回路によって構成されてもよい。劣化判定部42は、制御部41とは別の制御回路によって構成される場合、制御部41と通信可能であってもよい。
【0040】
劣化判定部42は、正極側リレー11の両端の電位差を取得し得る。劣化判定装置10は、正極側リレー11の一端の電位を検知する検知部51と、他端の電位を検知する検知部52と、を有する。検知部51,52によって検知された値は、それぞれ劣化判定部42に入力される。劣化判定部42は、検知部51,52によって検知された値の差を算出することで、正極側リレー11の両端の電位差を取得する。
【0041】
劣化判定部42は、負極側リレー12の両端の電位差を取得し得る。劣化判定装置10は、負極側リレー12の一端の電位を検知する検知部53と、他端の電位を検知する検知部54と、を有する。検知部53,54によって検知された値は、それぞれ劣化判定部42に入力される。劣化判定部42は、検知部53,54によって検知された値の差を算出することで、負極側リレー12の両端の電位差を取得する。
【0042】
劣化判定部42は、並列リレー14の両端の電位差を取得し得る。劣化判定装置10は、並列リレー14の一端の電位を検知する検知部55と、他端の電位を検知する検知部56と、を有する。検知部55,56によって検知された値は、それぞれ劣化判定部42に入力される。劣化判定部42は、検知部55,56によって検知された値の差を算出することで、並列リレー14の両端の電位差を取得する。
【0043】
劣化判定部42は、正極側リレー11の駆動電圧と駆動電流の少なくとも一方に基づいて感動電圧を検出し、検出した感動電圧に基づいて正極側リレー11が劣化状態であることを判定する。感動電圧は、正極側リレー11がオン状態に切り替わったときの駆動電圧のことである。劣化判定部42は、例えば正極側リレー11がオフ状態からオン状態に切り替わったか否かを繰り返し判定し、オン状態に切り替わったと判定したときの正極側リレー11の駆動電圧を、感動電圧として検出する。
【0044】
図6の上段には、駆動スイッチ部43Aがオン状態に切り替えられるときの駆動電圧の経時的変化を表すグラフが示されている。なお、図6では、説明の便宜上、駆動電圧がなだらかに上昇しているように表されているが、実際には、駆動電圧は急上昇する。駆動電圧が上昇する過程で、可動端子24が一対の固定端子25に接触する。可動端子24が一対の固定端子25に接触すると、図6の中段のグラフに示すように、チャタリングが生じた後、正極側リレー11の両端の電位差が第1閾値Vth1以下で安定する。劣化判定部42は、例えば正極側リレー11の両端の電位差が一定時間、第1閾値Vth1以下になったか否かを判定することで、正極側リレー11がオフ状態からオン状態に切り替わったか否かを判定してもよい。
【0045】
また、図6の下段に示すように、駆動電流のグラフでは、可動端子24が固定端子25に接触したときに1回目の変曲点が生じ、シャフト23の先端部が規制部28に接触したときに2回目の変曲点が生じる。劣化判定部42は、駆動電流のグラフにおいて、2回目の変曲点が生じたか否かを判定することで、正極側リレー11がオフ状態からオン状態に切り替わったか否かを判定してもよい。
【0046】
劣化判定部42は、例えば、検出した感動電圧が、予め設定した正常範囲外であると所定回数判定した場合に、正極側リレー11が劣化状態であると判定する。
【0047】
劣化判定部42は、正極側リレー11の駆動電圧と駆動電流の少なくとも一方に基づいて復帰電圧を検出し、検出した復帰電圧に基づいて正極側リレー11が劣化状態であることを判定する。復帰電圧は、正極側リレー11がオフ状態に切り替わったときの駆動電圧のことである。劣化判定部42は、例えば正極側リレー11がオン状態からオフ状態に切り替わったか否かを繰り返し判定し、オフ状態に切り替わったと判定したときの正極側リレー11の駆動電圧を、復帰電圧として検出する。
【0048】
図7の上段には、駆動スイッチ部43Aがオフ状態に切り替えられるときの駆動電圧の経時的変化を表すグラフが示されている。図7の中段には、正極側リレー11の両端の電位差の経時的変化を表すグラフが示されている。劣化判定部42は、例えば、正極側リレー11の両端の電位差が一定時間、第2閾値Vth2以上になったか否かを判定することで、正極側リレー11がオン状態からオフ状態に切り替わったか否かを判定してもよい。第2閾値Vth2は、第1閾値Vth1と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0049】
劣化判定部42は、例えば、検出した復帰電圧が、予め設定した正常範囲外であると所定回数判定した場合に、正極側リレー11が劣化状態であると判定する。
【0050】
劣化判定部42は、正極側リレー11の駆動電圧と駆動電流の少なくとも一方に基づいて動作時間を検出し、検出した動作時間に基づいて正極側リレー11が劣化状態であることを判定する。動作時間は、正極側リレー11の駆動を開始してからオン状態に切り替わるまでの時間のことである。劣化判定部42は、例えば、駆動電圧が0Vよりも大きくなったときに駆動が開始されたと判定してもよいし、駆動電流が0Aよりも大きくなったときに駆動が開始されたと判定してもよい。劣化判定部42は、例えば、正極側リレー11の両端の電位差が一定時間、第1閾値Vth1以下になったときにオン状態に切り替わったと判定してもよいし、駆動電流のグラフにおいて2回目の変曲点が生じたときにオン状態に切り替わったと判定してもよい。劣化判定部42は、例えば、検出した動作時間が、予め設定した正常範囲外であると所定回数判定した場合に、正極側リレー11が劣化状態であると判定する。
【0051】
劣化判定部42は、正極側リレー11の駆動電圧と駆動電流の少なくとも一方に基づいて復帰時間を検出し、検出した復帰時間に基づいて正極側リレー11が劣化状態であることを判定する。復帰時間は、正極側リレー11の駆動を停止してからオフ状態に切り替わるまでの時間のことである。劣化判定部42は、例えば、駆動電圧が閾値電圧以下になったときに駆動が停止されたと判定してもよいし、駆動電流が閾値電流以下になったときに駆動が停止されたと判定してもよい。劣化判定部42は、例えば、正極側リレー11の両端の電位差が一定時間、第2閾値Vth2以上になったときにオフ状態に切り替わったと判定してもよい。劣化判定部42は、例えば、検出した復帰時間が、予め設定した正常範囲外であると所定回数判定した場合に、正極側リレー11が劣化状態であると判定する。
【0052】
劣化判定部42は、負極側リレー12、及び並列リレー14についても、正極側リレー11と同様に、駆動電圧と駆動電流の少なくとも一方に基づいて劣化状態であることを判定する。
【0053】
以下の説明は、劣化判定装置10の動作に関する。
図8のタイミングt0は、車両の駐車中であり、車両の始動スイッチがオフ状態のときである。タイミングt0では、正極側リレー11、負極側リレー12、及び並列リレー14は、オフ状態となっている。
【0054】
制御部41は、車両の始動スイッチがオン状態に切り替わった場合に、タイミングt1にて、負極側リレー12をオン状態に切り替える。劣化判定部42は、負極側リレー12がオン状態に切り替わるときの感動電圧と動作時間を検出する。
【0055】
負極側リレー12がオン状態に切り替わった後、制御部41は、タイミングt2にて、並列リレー14をオン状態に切り替える。劣化判定部42は、並列リレー14がオン状態に切り替わるときの感動電圧と動作時間を検出する。このように負極側リレー12及び並列リレー14がオン状態に切り替わることで、電源部2から負荷3に電力が供給され、負荷3が有するコンデンサが充電される。コンデンサが充電されることで、正極側リレー11の両端の電位差が小さくなる。
【0056】
並列リレー14がオン状態に切り替わった後、制御部41は、タイミングt3にて、正極側リレー11をオン状態に切り替える。劣化判定部42は、正極側リレー11がオン状態に切り替わるときの感動電圧と動作時間を検出する。正極側リレー11は、両端の電位差が小さくなってからオン状態に切り替えられることで、正極側リレー11への突入電流が抑えられる。
【0057】
正極側リレー11がオン状態に切り替わった後、制御部41は、タイミングt4にて、並列リレー14をオフ状態に切り替える。劣化判定部42は、並列リレー14がオフ状態に切り替わるときの復帰電圧と復帰時間を検出する。
【0058】
制御部41は、車両の始動スイッチがオフ状態に切り替わった場合に、タイミングt5にて、正極側リレー11をオフ状態に切り替える。劣化判定部42は、正極側リレー11がオフ状態に切り替わるときの復帰電圧と復帰時間を検出する。
【0059】
正極側リレー11がオフ状態に切り替わった後、制御部41は、タイミングt6にて、負極側リレー12をオフ状態に切り替える。劣化判定部42は、負極側リレー12がオフ状態に切り替わるときの復帰電圧と復帰時間を検出する。
【0060】
負極側リレー12がオフ状態に切り替わった後、制御部41は、タイミングt7にて、並列リレー14をオン状態に切り替える。劣化判定部42は、並列リレー14がオン状態に切り替わるときの感動電圧と動作時間を検出する。制御部41は、タイミングt8にて、並列リレー14をオフ状態に切り替える。劣化判定部42は、並列リレー14がオフ状態に切り替わるときの復帰電圧と復帰時間を検出する。
【0061】
劣化判定部42は、タイミングt8で並列リレー14がオフ状態に切り替わった後に、タイミングt1からタイミングt8で検出した感動電圧、動作電圧、復帰電圧、及び復帰時間に基づいて正極側リレー11、負極側リレー12、及び並列リレー14が劣化状態であるか否かを判定する。
【0062】
以下の説明は、劣化判定装置10の効果に関する。
正極側リレー11の駆動電圧及び駆動電流は、正極側リレー11の劣化状態に応じて変化し得る。劣化判定装置10は、こうした特性を利用して、正極側リレー11の駆動電圧と駆動電流の少なくとも一方に基づいて正極側リレー11が劣化状態であることを判定することができる。劣化判定装置10は、負極側リレー12及び並列リレー14についても、正極側リレー11と同様に、駆動電圧と駆動電流の少なくとも一方に基づいて劣化状態であることを判定することができる。
【0063】
正極側リレー11の感動電圧は、正極側リレー11の劣化状態に応じて変化し得る。劣化判定装置10は、駆動電圧と駆動電流の少なくとも一方に基づいて感動電圧を検出し、検出した感動電圧に基づいて正極側リレー11が劣化状態であることを判定することができる。劣化判定装置10は、負極側リレー12及び並列リレー14についても、正極側リレー11と同様に、駆動電圧と駆動電流の少なくとも一方に基づいて感動電圧を検出し、検出した感動電圧に基づいて劣化状態であることを判定することができる。
【0064】
正極側リレー11の復帰電圧は、正極側リレー11の劣化状態に応じて変化し得る。劣化判定装置10は、駆動電圧と駆動電流の少なくとも一方に基づいて復帰電圧を検出し、検出した復帰電圧に基づいて正極側リレー11が劣化状態であることを判定することができる。劣化判定装置10は、負極側リレー12及び並列リレー14についても、正極側リレー11と同様に、駆動電圧と駆動電流の少なくとも一方に基づいて復帰電圧を検出し、検出した復帰電圧に基づいて劣化状態であることを判定することができる。
【0065】
正極側リレー11の動作時間は、正極側リレー11の劣化状態に応じて変化し得る。劣化判定装置10は、駆動電圧と駆動電流の少なくとも一方に基づいて動作時間を検出し、検出した動作時間に基づいて正極側リレー11が劣化状態であることを判定することができる。劣化判定装置10は、負極側リレー12及び並列リレー14についても、正極側リレー11と同様に、駆動電圧と駆動電流の少なくとも一方に基づいて動作時間を検出し、検出した動作時間に基づいて劣化状態であることを判定することができる。
【0066】
正極側リレー11の復帰時間は、正極側リレー11の劣化状態に応じて変化し得る。劣化判定装置10は、駆動電圧と駆動電流の少なくとも一方に基づいて復帰時間を検出し、検出した復帰時間に基づいて正極側リレー11が劣化状態であることを判定することができる。劣化判定装置10は、負極側リレー12及び並列リレー14についても、正極側リレー11と同様に、駆動電圧と駆動電流の少なくとも一方に基づいて復帰時間を検出し、検出した復帰時間に基づいて劣化状態であることを判定することができる。
【0067】
劣化判定装置10は、正極側リレー11、負極側リレー12、及び並列リレー14が劣化状態であるか否かを判定する処理を車両が駐車してから行うことで、車両走行中の処理負担を軽減することができる。
【0068】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
【0069】
(1)上記実施形態では、感動電圧、動作時間、復帰電圧、復帰時間の各々に基づいて劣化状態を判定する構成であったが、感動電圧、動作時間、復帰電圧、復帰時間の一部のみに基づいて劣化状態を判定する構成であってもよい。
【0070】
(2)上記実施形態では、正極側リレー11、負極側リレー12、及び並列リレー14の全てについて劣化状態を判定する構成であったが、正極側リレー11、負極側リレー12、及び並列リレー14の一部のみについて劣化状態を判定する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…車載システム
2…電源部
3…負荷
4…電力路
4A…正極側電力路
4B…負極側電力路
5…外部ECU
10…劣化判定装置
11…正極側リレー(リレー)
12…負極側リレー
13…並列回路
14…並列リレー
15…抵抗部
16…ヒューズ
20…コイル
21…可動鉄心
22…固定鉄心
23…シャフト
23A…抜止部
24…可動端子
25…固定端子
26…第1ばね
27…第2ばね
28…規制部
29…ケース
30…張出部
40…制御基板
41…制御部
42…劣化判定部
43A…駆動スイッチ部
43B…駆動電圧検知部
43C…駆動電流検知部
44A…駆動スイッチ部
44B…駆動電圧検知部
44C…駆動電流検知部
45A…駆動スイッチ部
45B…駆動電圧検知部
45C…駆動電流検知部
51…検知部
52…検知部
53…検知部
54…検知部
55…検知部
56…検知部
Vth1…第1閾値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-12-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
劣化判定装置10は、図に示すように、制御部41と、劣化判定部42と、駆動スイッチ部43A,44A,45Aと、駆動電圧検知部43B,44B,45Bと、駆動電流検知部43C,44C,45Cと、を有する。制御部41と、劣化判定部42と、駆動スイッチ部43A,44A,45Aと、駆動電圧検知部43B,44B,45Bと、駆動電流検知部43C,44C,45Cとは、制御基板40に設けられている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正の内容】
図5