(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138907
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】廃棄物焼却装置及び廃棄物焼却方法
(51)【国際特許分類】
F23J 1/00 20060101AFI20241002BHJP
F23G 5/00 20060101ALI20241002BHJP
F23H 3/02 20060101ALI20241002BHJP
F23H 7/02 20060101ALI20241002BHJP
F23H 7/08 20060101ALI20241002BHJP
F23L 1/00 20060101ALI20241002BHJP
F23L 1/02 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
F23J1/00 Z
F23G5/00 109
F23H3/02 A
F23H7/02
F23H7/08 A
F23L1/00 D
F23L1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049628
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川崎 翔太
(72)【発明者】
【氏名】戸田 朝子
【テーマコード(参考)】
3K023
3K161
3K261
【Fターム(参考)】
3K023DB01
3K161AA19
3K161CA01
3K161DA02
3K161EA01
3K161EA02
3K261AA03
3K261AA07
3K261BA06
3K261BA11
3K261BA27
(57)【要約】
【課題】効率良く焼却灰の炭酸化を行なう。
【解決手段】乾燥火格子、燃焼火格子、及び後燃焼火格子のそれぞれが可動火格子、及び固定火格子を有し、前記可動火格子を駆動して廃棄物を送りながら焼却する焼却炉を備える廃棄物焼却装置において、前記乾燥火格子及び前記燃焼火格子の下方へ空気を供給する空気供給手段と、前記後燃焼火格子の下方へ焼却炉の排ガスの一部を供給する排ガス供給手段と、前記可動火格子を駆動する火格子駆動機構と、を有し、前記乾燥火格子、及び前記燃焼火格子を形成する第1火格子ブロックは、下方から供給される前記空気を前記廃棄物へ供給する貫通孔を有し、前記後燃焼火格子を形成する第2火格子ブロックは、下方から供給される前記排ガスを焼却灰へ供給する貫通孔を有し、前記第2火格子ブロックの前記貫通孔から前記焼却灰へ供給される排ガスの流速が10~40m/sである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥火格子、燃焼火格子、及び後燃焼火格子のそれぞれが可動火格子、及び固定火格子を有し、前記可動火格子を駆動して廃棄物を送りながら焼却する焼却炉を備える廃棄物焼却装置において、
前記乾燥火格子及び前記燃焼火格子の下方へ空気を供給する空気供給手段と、
前記後燃焼火格子の下方へ焼却炉の排ガスの一部を供給する排ガス供給手段と、
前記可動火格子を駆動する火格子駆動機構と、
を有し、
前記乾燥火格子、及び前記燃焼火格子を形成する第1火格子ブロックは、下方から供給される前記空気を前記廃棄物へ供給する貫通孔を有し、
前記後燃焼火格子を形成する第2火格子ブロックは、下方から供給される前記排ガスを焼却灰へ供給する貫通孔を有し、
前記第2火格子ブロックの前記貫通孔から前記焼却灰へ供給される排ガスの流速が10~40m/sである
廃棄物焼却装置。
【請求項2】
前記第2火格子ブロックは、前記排ガスを焼却灰へ供給する貫通孔を複数有する
請求項1に記載の廃棄物焼却装置。
【請求項3】
乾燥火格子、燃焼火格子、及び後燃焼火格子のそれぞれが可動火格子、及び固定火格子を有し、前記可動火格子を駆動して廃棄物を送りながら焼却する焼却炉を備える廃棄物焼却装置による廃棄物焼却方法であって、
前記乾燥火格子及び前記燃焼火格子の下方へ空気を供給し、
前記後燃焼火格子の下方へ焼却炉の排ガスの一部を供給し、
前記可動火格子を駆動し、
前記乾燥火格子、及び前記燃焼火格子を形成し、下方から供給される前記空気を前記廃棄物へ供給する貫通孔を有する第1火格子ブロックの貫通孔から前記空気を前記廃棄物へ供給し、
前記後燃焼火格子を形成し、下方から供給される前記排ガスを焼却灰へ供給する貫通孔を有する第2火格子ブロックの貫通孔から前記排ガスを前記焼却灰へ供給し、
前記第2火格子ブロックの貫通孔から前記焼却灰へ10~40m/sの流速で前記排ガスを供給する
廃棄物焼却装置による廃棄物焼却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物焼却装置及び廃棄物焼却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物を焼却する焼却装置の発明として、例えば特許文献1に開示された廃棄物焼却装置がある。この廃棄物焼却装置は、乾燥火格子、燃焼火格子、及び後燃焼火格子を有する廃棄物焼却装置であり、後燃焼火格子の下方へ焼却炉の排ガスの一部を循環排ガスとして供給する。後燃焼火格子は、乾燥火格子および燃焼火格子の送り速度より遅い送り速度で駆動され、下方から供給された排ガスを焼却灰へ送る。これにより、焼却灰中の鉛と排ガス中の二酸化炭素とが反応して難溶性の炭酸鉛が生成される。また、焼却灰中の酸化カルシウムと排ガス中の二酸化炭素とが反応して炭酸カルシウムが生成され、焼却灰のpHは、低下して鉛の難溶性領域となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明では、焼却灰の炭酸化のために後燃焼火格子での灰の送り速度を乾燥火格子、及び燃焼火格子の送り速度より遅くして焼却灰を後燃焼火格子上で滞留させているが、炭酸化の効率を上げて焼却灰を炭酸化できれば、焼却灰を後燃焼火格子上で滞留させることなく焼却炉から効率良く排出することができる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、効率良く焼却灰の炭酸化を行なうことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る廃棄物焼却装置は、乾燥火格子、燃焼火格子、及び後燃焼火格子のそれぞれが可動火格子、及び固定火格子を有し、前記可動火格子を駆動して廃棄物を送りながら焼却する焼却炉を備える廃棄物焼却装置において、前記乾燥火格子及び前記燃焼火格子の下方へ空気を供給する空気供給手段と、前記後燃焼火格子の下方へ焼却炉の排ガスの一部を供給する排ガス供給手段と、前記可動火格子を駆動する火格子駆動機構と、を有し、前記乾燥火格子、及び前記燃焼火格子を形成する第1火格子ブロックは、下方から供給される前記空気を前記廃棄物へ供給する貫通孔を有し、前記後燃焼火格子を形成する第2火格子ブロックは、下方から供給される前記排ガスを焼却灰へ供給する貫通孔を有し、前記第2火格子ブロックの前記貫通孔から前記焼却灰へ供給される排ガスの流速が10~40m/sである。
【0007】
本発明に係る廃棄物焼却装置においては、前記第2火格子ブロックは、前記排ガスを焼却灰へ供給する貫通孔を複数有する構成であってもよい。
【0008】
本発明の一側面に係る廃棄物焼却方法は、乾燥火格子、燃焼火格子、及び後燃焼火格子のそれぞれが可動火格子、及び固定火格子を有し、前記可動火格子を駆動して廃棄物を送りながら焼却する焼却炉を備える廃棄物焼却装置による廃棄物焼却方法であって、前記乾燥火格子及び前記燃焼火格子の下方へ空気を供給し、前記後燃焼火格子の下方へ焼却炉の排ガスの一部を供給し、前記可動火格子を駆動し、前記乾燥火格子、及び前記燃焼火格子を形成し、下方から供給される前記空気を前記廃棄物へ供給する貫通孔を有する第1火格子ブロックの貫通孔から前記空気を前記廃棄物へ供給し、前記後燃焼火格子を形成し、下方から供給される前記排ガスを焼却灰へ供給する貫通孔を有する第2火格子ブロックの貫通孔から前記排ガスを前記焼却灰へ供給し、前記第2火格子ブロックの貫通孔から前記焼却灰へ10~40m/sの流速で前記排ガスを供給する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、効率良く焼却灰の炭酸化を行なうことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る廃棄物焼却装置の模式図である。
【
図2】
図2は、可動火格子と固定火格子の斜視図である。
【
図4】
図4は、可動火格子と固定火格子における排ガスの流通経路を示す図である。
【
図5】
図5は、火格子ブロックの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一又は対応する要素には適宜同一の符号を付している。さらに、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0012】
[実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係る廃棄物焼却装置1000の模式図である。廃棄物焼却装置1000は、焼却炉1、廃熱ボイラ21、バグフィルタ22、及び煙突23を備えている。
【0013】
焼却炉1は、産業廃棄物や家庭ごみ等の廃棄物を焼却する所謂ストーカ式の焼却炉である。焼却炉1は、燃焼室10、投入口12、押出機13、二次燃焼室14、排出部15、及び駆動部16を備えている。燃焼室10は、例えば産業廃棄物や家庭ごみ等の廃棄物2が投入される。投入口12は、廃棄物2を燃焼室10に投入するための投入口であり、廃棄物2の流れの上流側で燃焼室10より上方に設けられている。投入口12の下方には、投入された廃棄物2を燃焼室10へ押し出す押出機13が配置されている。二次燃焼室14は、廃棄物2の流れの下流側で燃焼室10に接続されており、燃焼室10で発生した燃焼ガスのうち可燃性ガスの未燃分が燃焼される。
【0014】
廃熱ボイラ21は、二次燃焼室14に接続されており、焼却炉1から排出された排ガスから熱を回収して蒸気を発生させる。バグフィルタ22は、廃熱ボイラ21に接続されており、廃熱ボイラ21で熱回収された排ガスを除塵する装置である。煙突23は、バグフィルタ22に接続されており、バグフィルタ22で除塵され、図示省略した無害化装置で無害化された排ガスを大気中へ放出する。
【0015】
燃焼室10は、投入口12側から順に乾燥火格子11A、燃焼火格子11B、後燃焼火格子11Cを備えている。乾燥火格子11Aでは、主に廃棄物2の乾燥が行われる。燃焼火格子11Bでは、主に廃棄物2の熱分解と部分酸化が行われる。また、燃焼火格子11Bでは、熱分解により発生した可燃性ガスと固形分の燃焼が行われ、可燃性ガスが燃焼する際に火炎を形成する。後燃焼火格子11Cでは、燃え残った廃棄物2の固形の未燃分を完全に燃焼させる後燃焼が行われ、廃棄物2の固形分が燃焼する際には火炎は発生せず後燃焼する。この後燃焼により、後燃焼火格子11Cでは、完全に燃焼した後の焼却灰の層が形成される。排出部15は、後燃焼火格子11Cで形成された焼却灰を燃焼室10の外へ排出する。
【0016】
乾燥火格子11Aは、複数の可動火格子17aと複数の固定火格子18aで構成され、燃焼火格子11Bは、複数の可動火格子17bと複数の固定火格子18bで構成され、後燃焼火格子11Cは、複数の可動火格子17cと複数の固定火格子18cで構成されている。複数の可動火格子17a、17b、17cは、駆動部16に連結されている。火格子駆動機構の一例である駆動部16は、乾燥火格子11A、燃焼火格子11B、及び後燃焼火格子11Cの下方に配置されており、例えば公知の直線往復運動機構により、可動火格子17a、17b、17cを廃棄物2の流れの上流側と下流側に往復移動させる。
【0017】
図2は、乾燥火格子11Aを構成する可動火格子17aと固定火格子18aの斜視図である。可動火格子17aと固定火格子18aは、廃棄物2の流れの上流側から下流側に向けて交互に設けられている。可動火格子17aと固定火格子18aの各々は、複数の火格子ブロック100が所定の角度で長手方向が廃棄物2の進行方向に沿うように並列に配置されて形成されている。火格子ブロック100は、第1火格子ブロックの一例である。駆動部16により可動火格子17aが駆動されると、可動火格子17aが上流側と下流側へ往復移動し、廃棄物2を燃焼火格子11Bへ送り出す。
【0018】
なお、燃焼火格子11Bにおいても乾燥火格子11Aと同様に火格子ブロック100が並列に配置されて可動火格子17bと固定火格子18bが形成されており、可動火格子17bと固定火格子18bは、廃棄物2の流れの上流側から下流側に向けて交互に配置されている。駆動部16により可動火格子17bが駆動されると、可動火格子17bが上流側と下流側へ往復移動し、乾燥火格子11Aから送られた廃棄物2を後燃焼火格子11Cへ送り出す。また、後燃焼火格子11Cにおいては、火格子ブロック100と形状が一部異なる火格子ブロック100cが乾燥火格子11Aと同様に並列に配置されて可動火格子17cと固定火格子18cを形成しており、可動火格子17cと固定火格子18cは、廃棄物2の流れの上流側から下流側に向けて交互に配置されている。駆動部16により可動火格子17cが駆動されると、可動火格子17cが上流側と下流側へ往復移動し、燃焼火格子11Bから送られた廃棄物2を排出部15へ送り出す。
【0019】
可動火格子17a、17b、及び固定火格子18a、18bの下方には、廃棄物2の燃焼用の一次空気を供給する空気供給手段としての空気供給ライン31が設けられている。空気供給ライン31は、送風機33を備えており、送風機33の下流側で乾燥火格子11Aの下方に接続された分岐ライン32aと、燃焼火格子11Bの下方に接続された分岐ライン32bとを有している。
【0020】
送風機33から送られた空気は、分岐ライン32aを通って可動火格子17aと固定火格子18aの下方に送られ、可動火格子17a及び固定火格子18aを形成する火格子ブロック100に設けられた貫通孔104aを通って廃棄物2へ供給される。また、送風機33から送られた空気は、分岐ライン32bを通って可動火格子17bと固定火格子18bの下方に送られ、可動火格子17bと固定火格子18bを形成する火格子ブロック100に設けられた貫通孔104aを通って廃棄物2へ供給される。送風機33から送られる一次空気は、乾燥火格子11A及び燃焼火格子11Bにある廃棄物2の乾燥と燃焼に用いられるほか、廃棄物2の撹拌や可動火格子17a、17b、及び固定火格子18a、18bの冷却に用いられる。
【0021】
可動火格子17c、及び固定火格子18cの下方には、排ガスを供給する排ガス供給手段としての排ガス供給ライン41が設けられている。排ガス供給ライン41は、バグフィルタ22での除塵後の排ガスの一部をバグフィルタ22の出口側のダクトから可動火格子17c、及び固定火格子18cの下方へ送るラインである。排ガス供給ライン41には、燃焼室10へ送る排ガスの流量の調整を行うバルブ43と、排ガスをバルブ43へ送る送風機42が設けられている。送風機42から送られた排ガスは、バルブ43を通って可動火格子17cと固定火格子18cの下方に送られ、可動火格子17c及び固定火格子18cを形成する火格子ブロック100cに設けられた貫通孔104cを通って焼却灰へ供給される。
【0022】
図3は、可動火格子17c、及び固定火格子18cを形成する火格子ブロック100cの斜視図である。第2火格子ブロックとしての火格子ブロック100cは、例えば耐熱性及び耐摩耗性を有する高クロム鋳鋼で形成されている。火格子ブロック100cは、上面を形成する所定の厚さの上壁101と、火格子ブロック100cの長手方向の一端側で上壁101に連なる傾斜面を有して所定の厚さの傾斜壁102と、傾斜壁102に連なり、下流側に向けられる所定の厚さの前壁103を備えており、前壁103には、表面から裏面に貫通して排ガスが流通する貫通孔104cが形成されている。また、火格子ブロック100cは、短手方向の両端で上壁101に直交して下方に連なる側壁105を備えている。上壁101、側壁105、傾斜壁102、及び前壁103の内側は中空となっており、排ガス供給ライン41から送られた排ガスが流通する。
【0023】
なお、可動火格子17a、17b、及び固定火格子18a、18bを形成する火格子ブロック100は、火格子ブロック100cと同じ形状であるが、貫通孔104aの断面積が火格子ブロック100cの備える貫通孔104cの断面積より広い点で相違している。
【0024】
図4は、可動火格子17cと固定火格子18cにおける排ガスの流通経路を示す図であり、火格子ブロック100cの長手方向に沿った断面を示している。可動火格子17cの下方には、バルブ43を通った排ガスが流通する第1流通路51が設けられ、固定火格子18cの下方には、バルブ43を通った排ガスが流通する第2流通路52が設けられている。
【0025】
排ガスは、第1流通路51を図中の矢印の方向に流通し、第1流通路51の末端に設けられたノズル51aから火格子ブロック100cの内側に送られる。火格子ブロック100cの内側に送られた排ガスは、前壁103に設けられた貫通孔104cを流通して焼却灰へ供給される。また、排ガスは、第2流通路52を図中の矢印の方向に流通し、第2流通路52の末端に設けられたノズル52aから火格子ブロック100cの内側に送られる。火格子ブロック100cの内側に送られた排ガスは、前壁103に設けられた貫通孔104cを流通して焼却灰へ供給される。火格子ブロック100cの貫通孔104cを通って前壁103から流出する排ガスの流速は、10~40m/sの範囲内であり、好ましくは、20~40m/sの範囲内である。
【0026】
なお、可動火格子17a、17b、及び固定火格子18a、18bを形成する火格子ブロック100においては、一次空気が火格子ブロック100の内側に供給され、供給された一次空気が貫通孔104aを流通して廃棄物2へ供給される。この貫通孔104aの断面積は、火格子ブロック100cの貫通孔104cより断面積が広くなっている。
【0027】
次に廃棄物焼却装置1000の動作について説明する。投入口12へ投入された廃棄物2は、押出機13により投入口12から押し出されて乾燥火格子11Aへ送られる。乾燥火格子11Aにおいては、燃焼室10内の熱と、可動火格子17aと固定火格子18aから送られる一次空気により、廃棄物2が乾燥させられる。乾燥火格子11Aで乾燥させられた廃棄物2は、可動火格子17aの往復移動により燃焼火格子11Bへ送られる。
【0028】
燃焼火格子11Bにおいては、可動火格子17bと固定火格子18bから送られる一次空気を受け、乾燥した廃棄物2が燃焼する。燃焼火格子11Bにおいて燃え残った廃棄物2と、廃棄物2の燃焼により生じた焼却灰は、可動火格子17bの往復移動により、後燃焼火格子11Cへ送られる。
【0029】
後燃焼火格子11Cにおいては、可動火格子17cと固定火格子18cから送られる排ガスを受け、廃棄物2が後燃焼する。また、後燃焼火格子11Cの焼却灰に含まれるCa(OH)2やCaOなどのアルカリ成分に排ガス中の二酸化炭素が反応して炭酸化が行われる。この炭酸化により、焼却灰のpHが低下して重金属類の溶出が抑制されるとともに、焼却灰中の鉛に排ガス中の二酸化炭素が反応して炭酸鉛が生成されて鉛が難溶出化する。
【0030】
流出する排ガスの流速が火格子ブロック100cより遅い従来の火格子ブロックを可動火格子17c、及び固定火格子18cに採用した場合、焼却灰溶出液のpHが12.1であるのに対し、本実施形態に係る火格子ブロック100cを可動火格子17c、及び固定火格子18cに採用した場合、焼却灰溶出液のpHが11.9となり、従来の火格子ブロックを採用した場合より焼却灰のpHを低下させることができる。
【0031】
また、流出する排ガスの流速が火格子ブロック100cより遅い従来の火格子ブロックを可動火格子17c、及び固定火格子18cに採用した場合、溶出試験での鉛の濃度が0.2mg/lであるのに対し、本実施形態に係る火格子ブロック100cを可動火格子17c、及び固定火格子18cに採用した場合、溶出試験での鉛の濃度が0.1mg/l未満であり、鉛の溶出を抑えることができる。
【0032】
炭酸化が行われた焼却灰は、可動火格子17cの往復移動によって順次排出部15へ送られて燃焼室10から排出される。
【0033】
燃焼室10で発生した可燃ガスのうち未燃焼のものは、二次燃焼室14において二次空気と混合及び撹拌がされて二次燃焼する。二次燃焼室14で生じた排ガスは、廃熱ボイラ21において熱が回収された後、バグフィルタ22において除塵される。バグフィルタ22で除塵された排ガスは、煙突23から大気中に排出され、一部が排ガス供給ライン41へ分岐して可動火格子17c、及び固定火格子18cへ送られる。
【0034】
以上説明したように本実施形態によれば、可動火格子17c及び固定火格子18cから流出する排ガスの流速が従来のものより速いため、焼却灰が拡散して効率良く炭酸化が行われる。
【0035】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。なお、上述した実施形態及び以下の変形例は、各々を組み合わせてもよい。上述した各実施形態及び各変形例の構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態や変形例に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0036】
図5は、火格子ブロック100cの変型例を示す図である。火格子ブロック100cは、
図5(a)に示すように貫通孔104cが幅方向に複数設けられていてもよい。また、火格子ブロック100cは、
図5(b)に示すように貫通孔104cが上下に複数配列されていてもよい。火格子ブロック100cが複数の貫通孔104cを備える場合、複数の貫通孔104cの断面積の合計は、貫通孔104cが一つであるときの貫通孔104cの断面積と等しくなるようにしてもよい。
【0037】
本発明においては、可動火格子17c、及び固定火格子18cにも一次空気を送り、火格子ブロック100cから一次空気も排出するようにしてもよい。
【0038】
本発明においては、火格子ブロック100cの貫通孔104cは、上壁101や傾斜壁102に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 焼却炉
2 廃棄物
10 燃焼室
11A 乾燥火格子
11B 燃焼火格子
11C 後燃焼火格子
16 駆動部
17a、17b、17c 可動火格子
18a、18b、18c 固定火格子
31 空気供給ライン
41 排ガス供給ライン
100、100c 火格子ブロック
101 上壁
102 傾斜壁
103 前壁
104a、104c 貫通孔
1000 廃棄物焼却装置