(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138911
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】バイオマス燃料燃焼用排ガス処理触媒
(51)【国際特許分類】
B01J 27/053 20060101AFI20241002BHJP
B01D 53/86 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
B01J27/053 A ZAB
B01D53/86 222
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049633
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000190024
【氏名又は名称】日揮触媒化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100160864
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 政治
(72)【発明者】
【氏名】加藤 慧史
(72)【発明者】
【氏名】児玉 貴志
(72)【発明者】
【氏名】足立 健太郎
【テーマコード(参考)】
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
4D148AA06
4D148AB02
4D148AC04
4D148BA06X
4D148BA07X
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4D148BB02
4G169AA03
4G169AA08
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4G169BA04A
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4G169BB04B
4G169BB10B
4G169BC54A
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4G169BC60A
4G169BC60B
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4G169BC62B
4G169BC66A
4G169BC66B
4G169CA02
4G169CA08
4G169CA13
4G169DA06
4G169EA19
4G169EB14Y
4G169ED07
4G169FA01
4G169FB06
4G169FB30
4G169FB67
4G169FC08
(57)【要約】
【課題】カリウム被毒を抑えられる触媒を提供すること。
【解決手段】本発明による触媒は、酸化チタン担体に、活性金属成分を担持した構造であり、マンガンと鉄の少なくともひとつを含み、MnO2換算のマンガン含有量と、Fe2O3換算の鉄含有量と、の合計が0.03重量%以上である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス燃料を燃焼した後に発生する排ガスを処理するための触媒であって、
酸化チタン担体に、活性金属成分を担持した構造であり、
マンガンと鉄の少なくともひとつを含み、
MnO2換算の前記マンガンの濃度と、Fe2O3換算の前記鉄の濃度と、の合計が0.03重量%以上である触媒。
【請求項2】
前記活性金属成分がバナジウムであり、
前記バナジウムをV2O5換算で0.1~2重量%含むことを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
マンガンと鉄を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の触媒。
【請求項4】
前記活性金属成分がバナジウムであり、
前記バナジウムをV2O5換算で0.1~10重量%含み、
前記チタンをTiO2換算で65重量%以上含み、
ケイ素をSiO2換算で0.1~7重量%含み、
タングステンをWO3換算で3.5~9重量%含むことを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス燃料を燃焼した後に発生する排ガスを処理するための触媒に関する。
【0002】
石炭や火力発電所等には、燃料を燃焼した後に発生する窒素酸化物等の排ガスを処理するための触媒が設置されている。近年、CO2排出量を削減するために、燃料としてバイオマス燃料が用いられている。化石燃料とは異なり、バイオマス燃料にはカリウム(K)やカルシウム(Ca)等が存在する。これらの元素は触媒の活性を下げる(被毒)原因(被毒物質)となる。Caの被毒を抑えるために、幅が4~20μm,深さが20~300μmのデポジット孔を有する触媒を用いて排ガスを処理する方法が知られている(例えば、特許文献1)。Ti,Si,およびWを含む酸化物とTiおよびWを含む酸化物とを混合してから焼成することにより、このデポジット孔は形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、デポジット孔を有する触媒を用いているため、Caの被毒を抑えることができる。しかしながら、Kの被毒を抑えるための対策をしていないので、Kを含むバイオマス燃料の排ガスをこの触媒を用いて処理した際に、この触媒の活性が下がってしまう。すなわち、特許文献1の触媒では、Kの被毒を抑えることができないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、触媒に特定量のMnまたはFeを含ませることにより、K被毒を抑えられる触媒が実現することを見出した。すなわち、本発明による触媒は、酸化チタン担体に、活性金属成分を担持した構造であり、マンガンと鉄の少なくともひとつを含み、MnO2換算のマンガン含有量と、Fe2O3換算の鉄含有量と、の合計が0.03重量%以上である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、酸化チタン担体に、活性金属成分を担持した構造を有する触媒(以下、単に触媒と略記する)に関する。活性金属成分はNOxをNH3と反応させN2に分解する性能(脱硝性能)を有する。この触媒はマンガン(Mn)または鉄(Fe)を含む。MnやFeは、活性金属成分の被毒物質であるカリウム(K)を吸着するため、Kが活性金属成分に吸着することを防げる。すなわち、触媒毒を抑えることができ、触媒の脱硝性能の低下を抑えられる。触媒中のMn含有量とFe含有量の合計は0.03重量%以上である。これにより、触媒へのK被毒が抑えられ易くなる。この合計は0.1重量%以上が好ましい。一方、触媒では、MnやFe含有量が少ないほど、活性金属成分や酸化チタン担体の含有量を高くでき、NOxをN2に分解する反応の初期活性を高くできる。そのため、触媒中のMnの含有量とFeの含有量の合計は4重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましく、1重量%以下がさらに好ましい。ここで、Mn含有量はMnO2換算の割合で、Feの含有量はFe2O3換算の割合である。
【0007】
MnやFeは、K以外の被毒物質も吸着できる。被毒物質として、アルカリ金属、アルカリ土類金属、砒素(As)、鉛(Pb)などが挙げられる。MnとFeの両方を含む触媒では、どちらか片方のみを含む触媒よりも、多くの種類の被毒物質による触媒毒が抑えられる。触媒毒を抑える効果を高めるために、触媒がMnをMnO2換算で0.01重量%以上、FeをFe2O3換算で0.03重量%以上含むことが好ましい。触媒のMnやFeの含有量が少ないほど、触媒の活性金属成分や酸化チタン担体の含有量を高くできるので、触媒の初期活性を高くできる。そのため、Mnの含有量はMnO2換算で3重量%以下が好ましい。Feの含有量は1重量%以下が好ましい。
【0008】
酸化チタン担体には活性金属成分が結合し易い。酸化チタン担体に結合した活性金属成分の脱硝性能は高い。また、主成分が酸化チタンである触媒は成形し易い。これらの理由から、触媒中の酸化チタン含有率はTiO2換算で60重量%以上が好ましく、65重量%以上がより好ましく、75重量%以上さらに好ましい。酸化チタンの結晶構造はアナターゼ型が好ましい。このような酸化チタンを用いることにより、脱硝性能が高くなり易い。また、アナターゼ型の(101)面の回折ピークの半価幅から求めた結晶子径は、5~40nmが好ましい。この結晶子径がこの範囲にある場合、チタン酸化物が活性金属成分と結合し易い。この結晶子径は5~10nm以下がより好ましい。
【0009】
活性金属成分として、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、パラジウム(Pd)、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、インジウム(In)およびイリジウム(Ir)やその酸化物が挙げられる。このうち、Vとその酸化物は安価であり、且つ排ガスに含まれる有機ハロゲン化合物の分解率が高い。触媒中の活性金属成分の含有量が高いほど、脱硝性能が高くなり易い。そのため、Vの含有量は0.1重量%以上が好ましく、3重量%以上がより好ましい。この含有量が高過ぎる場合、コストが高くなる。そのため、Vの含有量は10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、2重量%以下がさらに好ましい。なお、FeとMnが含まれない触媒では、活性金属成分の含有量が少ないほど、触媒毒により性能が劣化し易い。そのため、活性金属成分の含有量が少ない触媒(例えば、2.0重量%以下)は、その含有量が多い触媒よりも、脱硝性能の低下を抑える効果を受け易い。
【0010】
タングステン(W)は酸化チタンの結晶構造がアナターゼ型からルチル型に転移することを抑えることができる。そのため、触媒はWを含むことが好ましく、触媒中のW含有量はWO3換算で3.5重量%以上が好ましい。一方、活性金属成分と酸化チタン担体を結合させ易くするため、触媒中のW含有量はWO3換算で9重量%以下が好ましい。
【0011】
ケイ素(Si)は酸化チタンの結晶構造がアナターゼ型からルチル型に転移することを抑えることができる。そのため、触媒はSiを含むことが好ましい。活性金属成分と酸化チタン担体を結合させ易くするため、触媒はSiをSiO2換算で0.1重量%以上含むことが好ましく、1.0重量%以上がより好ましい。一方、触媒の成形性を高めるために、触媒中のSi含有率はSiO2換算で7重量%以下が好ましく、3重量%以下が好ましい。
【0012】
モリブデン(Mo)は触媒のSO2被毒を抑えることができる。そのため、触媒はMoを含むことが好ましく、触媒中のMo含有量はMoO3換算で0.05重量%以上が好ましい。一方、触媒中のMo含有量はMoO3換算で0.5重量%以下が好ましい。Mo含有量がこの範囲にある場合、触媒が活性金属成分や酸化チタン担体を多く含むことができる。
【0013】
硫黄は、Vのバンド構造に影響を与え、触媒の脱硝性能が高くなる。そのため、触媒は硫黄(S)を含むことが好ましい。さらに、触媒中のS含有量はSO4換算で0.1重量%以上が好ましく、0.5重量%以上がより好ましい。一方、この含有量が少ないほど、触媒の活性金属成分や酸化チタン担体の含有量を高くできる。そのため、触媒のS含有率は5重量%以下が好ましく、4重量%以下がより好ましく、3重量%以下がさらに好ましい。
【0014】
触媒の形状として、ペレットやハニカム等の形状が挙げられる。ハニカム構造は平行に貫通した多数の小孔(セル)を有する。ハニカム構造の形状として、六角柱、直方体、円筒等の形状が挙げられる。セルの形状として、六角形、四角形、円形などが挙げられる。通常、セルの大きさ(径)は目開き、セルとセルとの間は壁、1つのセルに注目した場合に対向する左右または上下の壁の各中心間の距離はピッチと呼ばれる。ハニカム構造では、排ガス中の流れの乱流成分が増加し、排ガスの拡散効率が向上する。その結果、脱硝の効率が高い。
【0015】
NOxを分解する方法として、NOxを含むガスにアンモニアなどの還元剤を添加・接触させて還元反応させる方法がある。この還元反応に本発明の触媒を用いることができる。特に、バイオマス燃料を燃焼した後に発生する排ガスはKを多く含むので、この排ガスを処理するために触媒を用いることが適している。この排ガスを還元する際の温度は、200~500℃である。
【0016】
以下、触媒の製造方法について説明する。チタン含有酸化物と水とを含む混合物を調製する<混合物調製工程>。混合物中の水分濃度が25~35重量%となるまで混合物を混練する<混練工程>。混合物を成形し、成形品を得る<成形工程>。成形品を30~200℃で乾燥する<乾燥工程>。乾燥後の成形品を450~700℃で焼成する<焼成工程>。混練中の混合物に活性金属成分の原料を添加する。焼成より前のいずれかの工程でFeまたはMnの化合物を添加する。以下、製造方法について、詳細に説明する。
【0017】
混合物調製工程では、チタン含有酸化物と水とを含む混合物を調製する。チタンを含む酸化物として、酸化チタンや、他の金属(Si、W、Mo等)との複合酸化物が挙げられる。固形の原料を用いる場合、粉末の状態で混合することが好ましい。原料が粉末であると、各成分が均一に分散した状態で含まれている触媒を得やすい。混合物にアンモニアを添加することにより、各成分がより均一に分散した状態で含まれている触媒を得やすい。各原料を混練する前の全原料における水分量は38~50重量%である。水分量が38重量%より低い場合、チタン含有酸化物と水をうまく混合できない。水分量が50重量%より高い場合、混合物の粘度が低いため、混練することが難しい。
【0018】
次に、水分量が38~50重量%の混合物を水分濃度が25~35重量%となるまで、混練する。混合物を混練しながら、活性金属成分の原料を添加する。この原料として、V化合物が好ましい。V化合物としては、バナジン酸塩、硫酸V、または塩化V等を用いることが好ましく、特にメタバナジン酸アンモニウムを用いることが好ましい。Vを触媒中に分散させやすくするために、V化合物は水溶液の状態で添加することが好ましい。特に、V酸化物を酸で溶解することが好ましい。V化合物の水溶液にモノエタノールアミンを添加することにより、Vが触媒中にさらに分散し易くなる。
【0019】
FeまたはMn化合物は、成形工程より前のいずれかの混合物(または混合物を調製する前の水)に添加してもよいし、成形後に含浸することにより添加してもよい。これら化合物を成形前に添加すれば、含浸やその後の乾燥をしなくてよいので、生産効率が高くなる。Fe化合物として、Fe塩や酸化物が挙げられる。Mn化合物として、Mn塩や酸化物が挙げられる。塩のうち、装置や環境への負荷が少ないため、硫酸塩が好ましい。また、硫酸塩を用いれば、Sを触媒に添加することができる。FeやMnを水溶液の状態で添加することにより、FeとMnが触媒に分散され易く、触媒毒を抑え易くなる。
【0020】
また、成形工程より前のいずれかの混合物(または混合物を調製する前の水)にSiやW、Moの化合物を添加することができる。これらは、塩や酸化物の形態が挙げられる。これらはチタン含有酸化物に含まれていてもよい。
【0021】
水分量を25~35重量%に調整した混合物を成形し、成形品を作成する。成形方法として、押出成形が挙げられる。成形助剤を添加することにより、成形し易くなる。成形助剤として、ポリエチレンオキサイド、結晶性セルロース、グリセリン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。成形助剤の添加タイミングは混練時が好ましい。強度を高めるために、ガラス繊維を添加してもよい。
【0022】
成形品を30~200℃で1時間以上乾燥する。その後、成形品を450~700℃で1時間以上焼成することにより、触媒を得る。
【実施例0023】
以下、実施例を挙げて、触媒の製造方法と、触媒の物性について詳細に説明する。
本発明は以下に挙げる実施例に限定されない。
【0024】
[実施例1]
<混合物調製工程>
特開2016-123954の実施例に記載の方法によりTi-W複合酸化物原料7.57kg(TiO2/WO3=93/7)と、Ti-W-Si複合酸化物原料15.46kg(TiO2/WO3/SiO2=90/5/5)と、炭酸Mn(新日本電工社製)229gと、水を混合することにより、混合物を調製した。
【0025】
<混練工程>
この混合物を混練しながら、この混合物にFe化合物としてFe2(SO4)3として42重量%の硫酸第二鉄液(十条合成化学社製)415g、メタバナジン酸アンモニウム(新興化学工業社製)1300g、モリブデン酸アンモン(太陽鉱工社製)62g、15重量%アンモニア水2.5kgと水、ポリエチレンオキサイド(明成化学工業社製アルコックスE-160)188g、カルボキシメチルセルロース(ニチリン社製)188gを添加した。その後、混合物を水分濃度が30重量%になるまで混練した。
【0026】
<成形工程・乾燥工程・焼成工程>
ハニカム状(縦80mm、横80mm、高さ450mm、セルは高さ方向(長辺に平行)に四角形で10目×10目、)に混合物を押出成形し、成形品を得た。この成形品を110℃で1時間以上乾燥した後、540℃で1時間以上焼成し触媒を得た。
【0027】
触媒の調製条件を表1に示す。得られた触媒を以下のように分析・評価した。以下の実施例および比較例の調製条件、分析・評価結果も併せて表1に示す。
【0028】
(1)触媒の成分(元素分析)
・SO4
サンプル約0.1gをるつぼに採取して、助燃剤(Fe・スズ(Sn)・W)を添加して、装置(LECO製 CS844)にセットする。高周波電流で加熱し、SO2を発生させ、検出・定量した。この値をSO4に換算した。
【0029】
・V、Fe、Mn、W、Si、Mo
ジルコニウムルツボに約0.2gを採取し、Na2O2を2g、NaOHを1g加えて、熔融する。熔融後、(1+1)硫酸20mlと水を加えて溶解し、メスフラスコで500mlに希釈して試験溶液とする。測定はICP-OESで(Agilent製5800または島津製作所社製 ICPS-8100)行った。V、Fe、Mn、W、Si、Moを測定して、それぞれ、V2O5、Fe2O3、MnO2、WO3、SiO2、MoO3に換算した。
【0030】
(2)脱硝性能(選択的還元触媒(SCR)活性)および劣化試験
以下のように脱硝性能を測定した。触媒を直方体(縦16mm、横16mm、高さ107mm、セルは高さ方向(長辺に平行)に四角形で2目×2目)に切り出して、評価用試料とした。これを流通式反応器に充填した。ガス(ガス組成:NOx=180ppm、NH3=180ppm、SOx=500ppm,O2=7%、H2O=10%、N2=バランス)を反応器にSV:18750h-1の条件で流通させ、320℃で評価用試料に接触させた。触媒接触前後のガス中のNOx濃度から以下の式*を用いて算出した値(脱硝率η)を、脱硝率ηOとした。以下の実施例および比較例の脱硝率ηOも併せて表1に記載する。
【0031】
脱硝率η(%)=[接触前ガス中のNOx(ppm)-接触後ガス中のNOx(ppm)]/接触前ガス中NOx(ppm)×100 ・・・・・・*
【0032】
さらに、以下の式*2から触媒の反応速度定数K(初期反応速度定数Ko)を算出した。この数値が高いほど、触媒の脱硝性能が高いといえる。
K=-Vs×ln(1-([η/100]/α)) ・・・・・・*2
ここで、Vsは面積速度(m3/(m2×h))で、Vs=触媒の体積(本実施例では、16mm×16mm×107mm)÷ハニカムのセル内の外表面積(本実施例では、セル幅6.7mm×高さ107mm×4(目)×4(面))×SV(本実施例では18750h-1)である。αは接触前ガス中のNH3濃度CNH3とNOx濃度CNOXの比(CNH3/CNOX)である(本実施例ではCNH3/CNOX=180ppm/180ppm=1である)。
【0033】
以下のように、劣化試験を行った。評価用試料と同形状の触媒を3.4%KCl溶液に浸漬した後、60℃で15時間乾燥、320℃で1.5時間焼成することにより、劣化試験用試料を調製した。評価用試料と同様の方法で劣化試験用試料の脱硝率η1を測定し、反応速度定数K(劣化後反応速度定数K1)を算出した。さらにK1/Koを算出した。
なお、ガス中のNOxの濃度は、化学発光式の窒素酸化物分析計(株式会社アナテック・ヤナコ製、ECL-88AO)にて測定した。
【0034】
[実施例2]
本実施例は、混合物調製工程で炭酸Mnを混合しなかったこと以外は実施例1と同様である。
【0035】
[実施例3]
本実施例は、混練工程で硫酸第二鉄液を添加しなかったこと以外は実施例1と同様である。
【0036】
[実施例4]
本実施例は、以下の相違点を除き、実施例1と同様である。すなわち、混合物調製工程で炭酸Mnを681g添加した。混練工程で硫酸第二鉄液を1052g添加した。混練工程でメタバナジン酸アンモニウムを206g添加した。
【0037】
[実施例5]
本実施例は、以下の相違点を除き、実施例4と同様である。混合物調製工程で炭酸Mnを37g添加した。混練工程で硫酸第二鉄液を70g添加した。
【0038】
[比較例1]
本実施例は、以下の相違点を除き、実施例1と同様である。混合物調製工程で炭酸Mnを混合しなかったこと。混練工程で硫酸第二鉄液とモリブデン酸アンモンを添加しなかったこと。
【0039】
[比較例2]
本実施例は、以下の相違点を除き、実施例5と同様である。混合物調製工程で炭酸Mnを混合しなかったこと。混練工程で硫酸第二鉄液とモリブデン酸アンモンを添加しなかったこと。
【0040】