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特開2024-138920生コン車のコンクリート残量推定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138920
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】生コン車のコンクリート残量推定方法
(51)【国際特許分類】
   B28C 7/04 20060101AFI20241002BHJP
   B28C 9/02 20060101ALI20241002BHJP
   B28C 9/04 20060101ALI20241002BHJP
   B28C 5/42 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
B28C7/04
B28C9/02
B28C9/04
B28C5/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049642
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000235543
【氏名又は名称】飛島建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】512270807
【氏名又は名称】株式会社北斗工業
(74)【代理人】
【識別番号】100082658
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 儀一郎
(72)【発明者】
【氏名】澤井 茂
(72)【発明者】
【氏名】兼松 亮
(72)【発明者】
【氏名】福山 一世
(72)【発明者】
【氏名】青山 智樹
(72)【発明者】
【氏名】平間 昭信
(72)【発明者】
【氏名】金子 泰明
(72)【発明者】
【氏名】中平 憲文
(72)【発明者】
【氏名】武石 海斗
(72)【発明者】
【氏名】對馬 陽公
【テーマコード(参考)】
4G056
【Fターム(参考)】
4G056AA06
4G056CB32
4G056CD64
4G056DA01
4G056DA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】生コン車内のコンクリート残量を正確に推定でき、前記推定された生コン車内のコンクリート残量に応じた添加量で流動化剤等の混和剤を添加でき、もって所定の適正なコンクリート品質が確保できるなどの利点を有する生コン車のコンクリート残量の推定方法を提供する。
【解決手段】本発明は、生コン車と生コン車からコンクリートの供給をホッパーで受け、シリンダーピストンを作動させて所定箇所へコンクリートを送出するポンプ車とを備え、前記ポンプ車が所定箇所にコンクリートを送出するとき、前記送出により変動する生コン車のコンクリート残量につき、前記ポンプ車の有するシリンダーの容積値とシリンダーピストンのカウント回数の値をかけ算して算出した値と前記ポンプ車のホッパー内に残留するコンクリート量を足した値を算出し、生コン車のコンクリート積載量から前記足した値を差し引いて算出した値を生コン車のコンクリート残量と推定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生コン車と生コン車からコンクリートの供給をホッパーで受け、シリンダーピストンを作動させて所定箇所へコンクリートを送出するポンプ車とを備え、前記ポンプ車が所定箇所にコンクリートを送出するとき、前記送出により変動する生コン車のコンクリート残量につき、前記ポンプ車の有するシリンダーの容積値とシリンダーピストンのカウント回数の値をかけ算して算出した値と前記ポンプ車のホッパー内に残留するコンクリート量を足した値を算出し、生コン車のコンクリート積載量から前記足した値を差し引いて算出した値を生コン車のコンクリート残量と推定する、
ことを特徴とする生コン車のコンクリート残量推定方法。
【請求項2】
生コン車と生コン車からコンクリートの供給をホッパーで受け、シリンダーピストンを作動させて所定箇所へコンクリートを送出するポンプ車とを備え、前記ポンプ車が所定箇所にコンクリートを送出するとき、前記送出により変動する生コン車のコンクリート残量につき、前記ポンプ車の有するシリンダーの容積値とシリンダーピストンのカウント回数の値とポンプ車の吸い込み効率を示す値の3つの値を掛け算算出した値と前記ポンプ車のホッパー内に残留するコンクリート量を足した値を算出し、生コン車のコンクリート積載量から前記足した値を差し引いて算出した値を生コン車のコンクリート残量と推定する、
ことを特徴とする生コン車のコンクリート残量推定方法。
【請求項3】
生コン車と生コン車からコンクリートの供給をホッパーで受け、シリンダーピストンを作動させて所定箇所へコンクリートを送出するポンプ車とを備え、前記ポンプ車が所定箇所に混和剤を添加したコンクリートを送出するとき、前記送出により変動する生コン車のコンクリート残量を前記ポンプ車のシリンダーの容積値とシリンダーピストンのカウント回数の値とポンプ車の吸い込み効率を示す値をかけ算算出した値と前記ポンプ車のホッパー内に残留するコンクリート量を足した値を算出し、生コン車のコンクリート積載量から前記足した値を差し引いて算出した値を生コン車のコンクリート残量とし、該値を基に前記混和剤の適切な添加量を計測する、
ことを特徴とする生コン車のコンクリート残量への混和剤添加方法。
【請求項4】
生コン車と生コン車からコンクリートの供給をホッパーで受け、シリンダーピストンを作動させて所定箇所へコンクリートを送出するポンプ車と前記生コン車とポンプ車が行う送出作業の制御を行う制御装置を有し、
制御装置は、ポンプ車が所定箇所に混和剤を添加したコンクリートを打設するとき、生コン車のコンクリート残量の値を算出するコンクリート残量算出手段と、該コンクリート残量算出手段により算出されたコンクリート残量に基づき混和剤の添加量を算出する添加量算出手段と、生コン車のコンクリートにつき混和剤の添加タイミングを設定する添加タイミング設定手段と、前記添加量算出手段と添加タイミング設定手段によって混和剤を添加したコンクリートが送出されたときの送出データを格納部へ保存指令する保存指令手段を有する、
ことを特徴とするコンクリートの打設システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生コン車のコンクリート残量を推定できる推定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリートの打設は、コンクリートが生コン車からポンプ車へ供給され、その後、ポンプ車からコンクリートが所定の打設箇所へ送出されて行われる。
ここで、生コン車とは、コンクリートをドラムで練り混ぜながら工場から現場まで輸送するミキサー車やアジデータ車をいい、ポンプ車とは、生コン車からホッパーでコンクリートを受け、シリンダーポンプなどによりコンクリートを打設箇所へ送出する車両をいう。
【0003】
ところで、打設空間が狭隘な場合や、鉄筋量が多く密に配筋されている打設箇所の場合には、流動化剤を添加した、いわゆる中流動コンクリートや高流動コンクリートが用いられる。しかし、前記流動化剤を添加しても時間の経過とともに流動性が低下していくため、所定時間を経過すると流動化剤をさらに再添加する必要がある。
【0004】
しかしながら流動化剤を再添加する際には、生コン車内のコンクリート残量に応じた添加量で再添加することが要求される。そのような再添加でなければ、適切なコンクリート品質が確保できない。例えば、過剰添加の場合には流動化が高すぎて使用できなくなり廃棄となる可能性がある。また、添加量不足の場合にはさらに追加添加が必要になる。
【0005】
このように流動化剤等の混和剤を再添加・追加添加する場合には、生コン車のコンクリート残量を正確に把握しておき、該残量に基づく添加が重要である。例えば、前記生コン車のコンクリート残量の把握は、生コン車両におけるコンクリート量の変化に伴うドラム音の違いやコンクリートの送出時間(作業時間)から、熟練した生コン車オペレータであればその経験値に基づいて推定することも可能かもしれないが、いずれにしてもオペレータの技量に左右されてしまい、現実的ではない。
【0006】
また、生コン車全体の重量を計測することにより生コン車のコンクリート残量を把握することも可能であるが、生コン車全体の重量を計測できる大型の計測器が必要になってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-44783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するために創案されたものであり、生コン車内のコンクリート残量の把握につき、生コン車内のコンクリート残量を正確に推定でき、前記推定された生コン車内のコンクリート残量に応じた添加量で流動化剤等の混和剤を添加でき、もって所定の適正なコンクリート品質が確保できるなどの利点を有する生コン車のコンクリート残量の推定方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
生コン車と生コン車からコンクリートの供給をホッパーで受け、シリンダーピストンを作動させて所定箇所へコンクリートを送出するポンプ車とを備え、前記ポンプ車が所定箇所にコンクリートを送出するとき、前記送出により変動する生コン車のコンクリート残量につき、前記ポンプ車の有するシリンダーの容積値とシリンダーピストンのカウント回数の値をかけ算して算出した値と前記ポンプ車のホッパー内に残留するコンクリート量を足した値を算出し、生コン車のコンクリート積載量から前記足した値を差し引いて算出した値を生コン車のコンクリート残量と推定する、
ことを特徴とし、
または、
生コン車と生コン車からコンクリートの供給をホッパーで受け、シリンダーピストンを作動させて所定箇所へコンクリートを送出するポンプ車とを備え、前記ポンプ車が所定箇所にコンクリートを送出するとき、前記送出により変動する生コン車のコンクリート残量につき、前記ポンプ車の有するシリンダーの容積値とシリンダーピストンのカウント回数の値とポンプ車の吸い込み効率を示す値の3つの値を掛け算算出した値と前記ポンプ車のホッパー内に残留するコンクリート量を足した値を算出し、生コン車のコンクリート積載量から前記足した値を差し引いて算出した値を生コン車のコンクリート残量と推定する、
ことを特徴とし、
または、
生コン車と生コン車からコンクリートの供給をホッパーで受け、シリンダーピストンを作動させて所定箇所へコンクリートを送出するポンプ車とを備え、前記ポンプ車が所定箇所に混和剤を添加したコンクリートを送出するとき、前記送出により変動する生コン車のコンクリート残量を前記ポンプ車のシリンダーの容積値とシリンダーピストンのカウント回数の値とポンプ車の吸い込み効率を示す値をかけ算算出した値と前記ポンプ車のホッパー内に残留するコンクリート量を足した値を算出し、生コン車のコンクリート積載量から前記足した値を差し引いて算出した値を生コン車のコンクリート残量とし、該値を基に前記混和剤の適切な添加量を計測する、
ことを特徴とし、
または、
生コン車と生コン車からコンクリートの供給をホッパーで受け、シリンダーピストンを作動させて所定箇所へコンクリートを送出するポンプ車と前記生コン車とポンプ車が行う送出作業の制御を行う制御装置を有し、
制御装置は、ポンプ車が所定箇所に混和剤を添加したコンクリートを打設するとき、生コン車のコンクリート残量の値を算出するコンクリート残量算出手段と、該コンクリート残量算出手段により算出されたコンクリート残量に基づき混和剤の添加量を算出する添加量算出手段と、生コン車のコンクリートにつき混和剤の添加タイミングを設定する添加タイミング設定手段と、前記添加量算出手段と添加タイミング設定手段によって混和剤を添加したコンクリートが送出されたときの送出データを格納部へ保存指令する保存指令手段を有する、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、生コン車内のコンクリート残量の把握につき、ドラム音に基づく生コン車オペレータの技量に頼ることなく、生コン車内のコンクリート残量を把握することが出来、また前記の把握により生コン車のコンクリート残量に応じた正確な添加量で流動化剤を添加でき、もって所定のコンクリート品質が確保できるなどの利点を有する生コン車のコンクリート残量推定方法を提供出来るとの優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による制御装置の構成を説明する説明図である。
図2】本発明の制御部の構成を説明する説明図である。
図3】本発明の動作を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、生コン車と生コン車からコンクリートの供給を受けるポンプ車とを備え、前記ポンプ車が所定のコンクリート打設箇所にコンクリートを送出(圧送)して打設する際、送出して変動する生コン車のコンクリート残量がスムーズにかつ正確に推定でき、もって生コン車内の正確なコンクリート残量が認識できる生コン車のコンクリート残量推定方法である。
【0013】
そして、例えば、流動化剤等の混和剤の適切な再添加・追加添加が必要になったとき、適切な再添加量が把握できるなど優れた利点を有する生コン車のコンクリート残量の推定方法でもある。
【0014】
まず、本発明では、生コン車に載積したコンクリートの載積量を計測しておく。
次いで、生コン車のコンクリートの使用量、すなわちポンプ車から打設箇所へ送出されたコンクリート量及び前記ポンプ車のホッパー内コンクリート量を計測する。
そして、前記計測してある生コン車に載積したコンクリートの載積量から前記の生コン車のコンクリートの使用量及び前記ポンプ車のホッパー内コンクリート量を差し引く。この差し引いたコンクリート量が生コン車のドラム(ミキサー)内にあるコンクリート残量として推定されるのである。
【0015】
ここで、前記生コン車のコンクリート使用量の計測は、接続してあるポンプ車側での計測で求めている。現在、生コン車側で生コン車のコンクリート使用量を計測出来る機器は存在しないと考えられ、本発明では生コン車のコンクリート使用量の計測は、ポンプ車側の計測で行っている。
【0016】
生コン車のコンクリート使用量の計測を生コン車側で行うことも可能性として考えられるが、その場合、例えば生コン車を大型の計測装置に搭載し、その重量の変化で計測することなどであり、作業現場への大型機器の導入を考慮すると現実的でない。
しかしながら、生コン車のコンクリート使用量の計測をポンプ車側で行うと、計測された生コン車のコンクリート使用量の値には若干の誤差がある。
【0017】
すなわち、前記ポンプ車側で計測された生コン車のコンクリート使用量は、生コン車からポンプ車に送出されたが、まだ打設箇所へ打設送出されていないポンプ車側のホッパーに残されたコンクリート量は、生コン車のドラム内に残っているとの計測結果となってしまうからである。
【0018】
しかしながら、生コン車のドラムからはすでにポンプ車側にコンクリートを送出しており、実際の生コン車自体のドラムから送出されたコンクリートの使用量と前記計測した生コン車のコンクリート使用量は一致しないのである。すなわち、生コン車のコンクリート残量の計測に当たっては正確性に欠けるのである。
【0019】
ポンプ車側での生コン車のコンクリート使用量の計測は、ポンプ車のピストンシリンダー容積の値とピストンシリンダーのカウント回数及びポンプ車での吸い込み効率の値を掛け算した値で求めて行っている。しかし、その値は前記したように実際の生コン車のコンクリート使用量ではない。
ポンプ車のホッパー内に残留しているコンクリート量は生コン車からは送出されているからである。
【0020】
そこで、本発明では、前記ポンプ車のピストンシリンダー容積の値とピストンシリンダーのカウント回数及びポンプ車での吸い込み効率の値を掛け算した値、すなわち、ポンプ車から実際に送出したコンクリートの送出量とポンプ車のホッパー内に残留しているコンクリート量を足した値を求め、生コン車に当初積載されたコンクリート積載量から前記足した値を差し引いた値が実際の生コン車のドラムに残留しているコンクリート量としたのである。
【0021】
しかるに、生コン車内のコンクリート残量を算出する算出式につき説明すると、生コン車のコンクリート残量は、生コン車に当初積載されたコンクリート積載量から生コン車のコンクリート使用量、換言すればポンプ車から送出されたコンクリート送出量及びポンプ車のホッパー内コンクリート量の足した値を差し引くとの式、すなわち、生コン車内のコンクリート残量=生コン車コンクリート積載量-(生コン車のコンクリート使用量+ポンプ車のホッパー内コンクリート量)との算出式で算出できるものとした。
【0022】
ここで、生コン車のコンクリートの載積量は容易に計測できる。次に、生コン車のコンクリート使用量であるが、該生コン車のコンクリート使用量、すなわちポンプ車からのコンクリート送出量は、前述したようにポンプ車のピストンシリンダー容積×前記ピストンのピストン回数×吸込み効率との式で導き引き出せる。
【0023】
ピストンシリンダーの容積は当初より決まっており、計測可能な値である。また、例えば、ピンストンシリンダーによるピストン回数は、機械的にカウントでき、その回数の計測も容易に出来る。
【0024】
次に、吸込み効率の算出であるが、該吸込み効率は、実際の単位時間当たりの打設量(m/h)/理論打設量(m/h)との式で求めることができる。例えば、実際の単位時間当たりの打設量を1とした場合に、理論打設量が1.25であったとき、吸い込み効率は0.8ということになる。
【0025】
例えば、所定量打設するのに実際に100分かかったとする。このときの理論上の打設時間は80分であったとすると、実際の単位時間当たりの打設量が1であるのに対し、理論打設量は1.25となり、吸い込み効率は0.8と算出されるが如きである。
【0026】
次に、ホッパー内のコンクリート量の計測であるが、該ホッパー内のコンクリート量は、例えば、ホッパー内を均一量になるよう維持し、その状態でレベルセンサを用いてホッパー内に存するコンクリートの高さ位置の変化を検出することにより、すなわち、前記レベルセンサの移動幅を検出することにより前記ホッパー内のコンクリート量を導き出すことが出来る。
【0027】
尚、ホッパー内のコンクリート量を導き出す方法は、前記レベルセンサの移動量による検出に限定されず、いずれかの方法でホッパー内のコンクリート量やコンクリート量の変化が検出出来る装置や方法であれば良い。
【0028】
図3は、前記の算出式で求められた生コン車のコンクリートの使用量を示す具体例であり、所定の表示部に示されたものである。なお、図3の表示では、ポンプ車のホッパー内のコンクリート量は考慮されていない。従って、コンクリートの使用量である0.33mにポンプ車のホッパー内のコンクリート量を足す必要がある。それが実際の生コン車のコンクリートの使用量となる。
【0029】
図3から理解されるように、生コン車に当初より積載されたコンクリートの積載量は、4.0mであり、ピストンシリンダーの容積は0.055mである。また、ピンストンのピストン回数、すなわちカウント数は6回とされている。そして、前記の式より予め吸い込み効率(ここでは吸い込み効率は100%とされている)も求められており、生コン車のコンクリートの使用量は0.33m使用されたと表示されている。
【0030】
これに対し、ポンプ車におけるホッパー内のコンクリート量は前記した如くレベルセンサなどを用いて計測でき、前記したように生コン車のコンクリートの使用量である0.33mの値にポンプ車内におけるホッパー内のコンクリート量を足し、生コン車のコンクリートの載積量4.0mから前記足した量を差し引いた値が生コン車のコンクリート残量となるのである。
そして、本発明によって生コン車のコンクリート残量が正確に求められ、把握できる結果、例えば流動化剤の再添加量などが容易に確認できることになる。
【0031】
(流動化剤の添加量計算例)
次に、前記求められた生コン車内のコンクリート残量に適切に添加する流動化剤の添加量につき説明する。
【0032】
例えば、前記求められた生コン車内のコンクリート残量のセメント量が320kg/m3でスランプ=15cm(スランプフロー値25cm)のベースコンクリートであったとする。
このコンクリートを、目標スランプフロー値45cmに流動化する場合、すなわち、スランプフロー値を20cmアップさせる場合は、 フロー値10cmあたり 0.4%として、320kg/m3 × 0.4%× 20cm/10cm=2.56kg/m3の流動化剤を添加することになる。
【0033】
このように、生コン車内のコンクリート残量のセメント量が正確に把握出来れば、流動化剤の適切な添加量が迅速、確実に求めることが出来る。
【0034】
(流動化剤再添加のタイミング)
ここで、コンクリートに流動化剤を添加した効果は約15分で消失すると言われている。従って順調に打設できれば、生コン車1台につき7分程度で打設が終了する。その場合は、前記約15分以内に収まっているため、流動化剤の再添加は不要であるといえる。
しかしながら、打設状況によっては前記約15分以内に打設作業が収まらない場合がある。そのような場合に流動化剤の再添加が必要となる。
【0035】
従って、流動化剤再添加のタイミングは前回コンクリートに流動化剤を添加したときから約15分経過後が基本的な添加タイミングと言える。
また、約15分経過後とするタイミング以外に配管切替(段取り替え)のタイミング等、打設を停止した場合など、前回コンクリートに流動化剤を添加したときから約15分経過に関わらず流動化剤の再添加が必要となる場合もある。
尚、再添加する際には、シュートのコンクリートを目視か実測スランプでコンクリートの流動性を把握し、確認しておくのが好ましい。
【0036】
(本発明によるメリット)
前記したように、流動化剤等の混和剤を再添加する際に、生コン車の残コン量を正確に把握できるので、最適な流動化剤の添加量を算出できる。
さらに、段取り替えや、1スパン中に追加のコンクリートを打設しなければならないときにも生コン車の残コン量が正確に把握できると、段取り替えのタイミングやコンクリート追加のタイミングが調整できて無駄なく効率的に作業が行える。
尚、流動化剤の添加タイミングに本発明の推定方法を使用する場合、流動化剤再添加の時間や、生コン車の残コン量に対する流動化剤の添加量の記録を残しておくと、流動コンクリート打設箇所の施工管理、品質管理を容易に行うことも出来る。
【0037】
(第2実施例)
第2実施例の発明は、本発明にコンピュータなどの制御装置1を用いて、生コン車のコンクリート残量を正確に把握して流動コンクリートに適量の流動化剤を添加し、もって適切な中流動コンクリートや高流動コンクリートを打設できる流動コンクリートの打設システムに関するものである。
【0038】
ここで、本実施例による流動コンクリートの打設システムは、生コン車と生コン車からコンクリートの供給をホッパーで受け、例えばシリンダーピストンを作動させて所定箇所へコンクリートを打設するポンプ車を有すると共に、これらによる流動コンクリート打設動作を制御する制御装置1を有して構成されている。
【0039】
図1から理解されるように、該制御装置1は、受信部2、発信部3、制御部4、格納部5、表示部6、入力部7などを有して構成されている。
そして、制御部4は、ポンプ車が所定の打設箇所に流動化剤を添加した流動コンクリートを打設するとき、打設後の生コン車のコンクリート残量の値を算出するコンクリート残量算出手段8と、該コンクリート残量算出手段により算出されたコンクリート残量に基づき流動化剤の添加量を算出する添加量算出手段9と、生コン車のコンクリートにつき流動化剤の添加タイミングを設定する添加タイミング設定手段10と、前記添加量算出手段9と添加タイミング設定手段10によって流動化剤を添加した流動コンクリートが生成され、打設されたときの打設データを格納部5へ保存指令する保存指令手段11と、保存指令された流動コンクリートの打設データを次回の流動コンクリートの打設の際の比較参考にする比較参考手段12と、複数箇所で行われた流動コンクリートの打設状況及びその際の流動化剤の添加状況を格納部5へ一覧表示保存指令する一覧表示保存指令手段13を有して構成されている(図2)。
【0040】
コンクリート残量算出手段8では、生コン車に載積したコンクリートの載積量の値、生コン車のコンクリートの使用量、すなわちポンプ車からのコンクリート送出量及び前記ポンプ車のホッパー内コンクリート量の値が入力されこれらの値を基に生コン車のコンクリート残量が算出される。すなわち、前記生コン車に載積したコンクリートの載積量の値から生コン車のコンクリートの使用量(ポンプ車からのコンクリート送出量)及び前記ポンプ車のホッパー内コンクリート量の値を差し引く演算がなされ、生コン車のコンクリート残量が導かれる。
【0041】
ここで、生コン車のコンクリートの使用量の算出については、コンクリート残量算出手段8がポンプ車のピストンシリンダー容積×前記ピストンのピストン回数×吸込み効率との式で演算し、導き引き出している。また、ポンプ車のホッパー内コンクリート量の値は各種の検出器によって機械的にも検出することが出来、検出された値がコンクリート残量算出手段8に入力される。しかし、ポンプ車のホッパー内コンクリート量の値についても該値を算出できる計算式を設定し、この計算式をコンクリート残量算出手段8で演算して算出できるなどソフト的に検出できる場合も考えられる。
【0042】
尚、前記コンクリート残量算出手段8により算出された生コン車のコンクリート残量値は極めて正確性の高い値となっており、後述する流動化剤の添加の際に用いられるのみならず、打設作業に際して、あらゆる場面で生コン車のコンクリート残量の正確な値を周知しておくことが重要な事項となっている。例えば、コンクリート打設作業の段取り替えや、1スパン中に追加のコンクリートを打設しなければならないときなどが例としてあげられる。
【0043】
しかしながら、ここでは、正確な生コン車のコンクリート残量値は、流動コンクリートに流動添加剤を再添加する際に用いる例を挙げているので、その場合につき述べる。
【0044】
すなわち、流動コンクリートに流動添加剤を再添加する際などに、コンクリート残量算出手段8により算出された生コン車のコンクリート残量値に基づき流動化剤の再添加量が添加量算出手段9で算出される。
【0045】
例えば、前記コンクリート残量算出手段8により求められた生コン車内のコンクリート残量のセメント量が320kg/m3でスランプ=15cm(スランプフロー値25cm)のベースコンクリートであったとする。
【0046】
そのとき、目標スランプフロー値45cmに流動化させる場合、すなわち、スランプフロー値を20cmアップさせる場合、 フロー値10cmあたり 0.4%として、320kg/m3 × 0.4%× 20cm/10cm=2.56kg/m3の流動化剤を前記生コン車内のコンクリート残量に添加する必要がある。かかる算出が制御部4の添加量算出手段9で行われる。
この際、生コン車内のコンクリート残量が正確に把握出来れば、流動化剤の適切な再添加量が迅速、確実に求めることが出来るのである。
【0047】
次に、添加タイミング設定手段10では生コン車のコンクリートにつき流動化剤の添加タイミングが設定される。コンクリートに流動化剤を添加した効果は約15分で消失する。従って順調に打設できれば、生コン車1台につき7分程度で打設が終了する。その場合は、前記約15分以内に収まっているため、流動化剤の再添加は不要である。よって、流動化剤の基本的な添加タイミングは、打設作業が開始されてから15分が経過したか否かとなる。すなわち、添加タイミング設定手段10では打設作業から15分経過しても打設作業が終了しないとき、流動化剤を再添加する必要ありと判断して添加指令を送出する。該指令は警報音で報知させても構わないし、警報音以外の方法で周知させる場合でも構わない。
【0048】
また、打設に関する配管の切替、例えば段取り替えのとき、あるいは何らかの理由で打設を停止する必要があるときにも流動化剤の再添加が必要となり、このようなときに速やかに流動化剤が再添加出来るよう添加タイミング設定手段10で前記状況での添加タイミングを設定しておく。
【0049】
従って、添加タイミング設定手段10で設定される流動化剤再添加のタイミングは前回コンクリートに流動化剤を添加したときから基本的に約15分経過後となる。
【0050】
また、前述したように、配管切替(段取り替え)のタイミング等、打設を停止した場合なども添加タイミング設定手段10で添加タイミングとして設定でき、このような場合にあってはコンクリートに流動化剤を添加したときから約15分経過したか否かに関わらず流動化剤の再添加が必要と判断されたとき流動化剤を再添加することになる。
【0051】
上記流動化剤を添加して打設されたときの打設データ、すなわち、打設地域、打設地域の天候、打設容積、打設コンクリート量、打設時間、流動化剤の添加量、仕上がり具合などの打設データは保存指令手段11によって格納部5へ保存指令される。
そして、格納部5において、複数回の打設作業毎に複数の打設データが記録され、保存されるものとなる。
尚、格納部5で保存された複数の流動コンクリート打設データは次回の流動コンクリート打設の際の比較参考にすることが出来る。
【0052】
すなわち、比較参考手段12では、既に所定の箇所で打設されたときの打設データを格納部5から取り出すことが出来、例えば、打設地域の天候状況、打設容積、打設コンクリート量、打設時間、流動化剤の添加量、仕上がり具合などが明記された打設データを参考に、これから打設すべき箇所での状況と比較して最も好ましい状況での流動コンクリートの打設が行える様になっている。
【0053】
さらに、制御部4は、前記取得された打設データのほか、複数箇所で行われた打設作業につき、例えば流動コンクリートの天候以外の打設状況、例えば打設地域に不審者の立ち入りがあったとか、不慮の事故が生じたとの状況やその際の流動化剤の添加状況を含めて格納部5へ一覧表示保存指令する一覧表示保存指令手段13を有する。
【0054】
そして、格納部5に一覧表示保存された一覧打設データは、過去コンクリート打設を行ったコンクリート打設箇所の施工管理、コンクリート打設箇所におけるコンクリートの品質管理に供されるものとなる。
【符号の説明】
【0055】
1 制御装置
2 受信部
3 送信部
4 発信部
5 格納部
6 表示部
7 入力部
8 コンクリート残量算出手段
9 添加量算出手段
10 添加タイミング設定手段
11 保存指令手段
12 比較参考手段
13 一覧表示保存指定手段

図1
図2
図3